JP3925576B2 - 投影光学系、該光学系を備えた露光装置、及び該装置を用いたデバイスの製造方法 - Google Patents
投影光学系、該光学系を備えた露光装置、及び該装置を用いたデバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1物体のパターンの像を第2物体上に投影するための投影光学系、この投影光学系を備え、半導体素子、又は液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程中でマスクパターンを基板上に転写する際に使用される露光装置、及びこの露光装置を用いたデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンの像を投影光学系を介して、レジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写する一括露光型(ステッパー等)、又はステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光型の投影露光装置が使用されている。半導体集積回路等のパターンの微細化が進むに従って、その種の露光装置に備えられている投影光学系に対しては特に解像力の向上が望まれている。投影光学系の解像力を向上するためには、露光波長をより短くするか、あるいは開口数(N.A.)を大きくすることが考えられる。
【0003】
そこで、近年、露光光については、水銀ランプのg線(波長436nm)からi線(波長365nm)が主に用いられるようになってきており、最近ではより短波長の露光光、例えばKrF(波長248nm)、更にはArF(波長193nm)等のエキシマレーザ光が用いられようとしている。そして、これらの短波長の露光光のもとで使用できる投影光学系が開発されている。
【0004】
また、投影光学系においては、解像力の向上と共に、像歪の低減要求も一段と厳しくなってきている。その像歪には、投影光学系自体に起因するディストーション(歪曲収差)による要素の他、投影光学系の像側で投影像が焼き付けられるウエハの反り等による要素と、投影光学系の物体側で回路パターン等が描かれているレチクルの反りによる要素とがある。そこで、ウエハの反りによる像歪への影響を少なくするため、投影光学系の像側で射出瞳位置を遠くに位置させる、所謂像側テレセントリック光学系が従来より用いられてきた。
【0005】
一方、レチクルの反りによる像歪の軽減についても、投影光学系の入射瞳位置を物体から遠くに位置させる、所謂物体側テレセントリック光学系の導入が考えられてきた。そのため、例えば特開昭63−118115号公報、特開平4−157412号公報、特開平5−173065号公報等で、そのように投影光学系の入射瞳位置を物体面から比較的遠くに位置させる投影光学系が提案されている。
【0006】
更に最近の半導体素子、又は液晶表示素子等の製造工程では、レチクル上のパターン及び各種の使用条件に応じて、より最適な開口数(N.A.)を選択使用することが求められているため、露光装置においても開口数を可変できる絞りを有する投影光学系が要求されてきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、ウエハの反り、及びレチクルの反りの像歪への影響を軽減するためには、投影光学系を像側、及び物体側でテレセントリックにすることが望ましい。そこで、上記の公報にも開示されているように、物体側と像側とが共にテレセントリックである、所謂両側テレセントリックな投影光学系も開発されている。しかしながら、従来の両側テレセントリックな投影光学系では、広い投影領域で諸収差を低減した上で解像力に寄与する開口数(N.A.)を十分に大きくするのが困難であり、特にディストーションの補正が十分ではなかった。
【0008】
また、投影光学系の開口数を可変とするための可変開口絞りを設けた場合、この可変開口絞りの開口数を変化させると、瞳での球面収差によって像面の投影領域の周辺部で口径食(vignetting)の影響が生じることがあった。そのため、像面の投影領域の周辺部において、開口数を可変にした際にテレセントリック性の悪化や像面上での照度均一性の悪化などが生じ、投影領域をあまり広くできないという不都合があった。
【0009】
本発明は斯かる点に鑑み、開口数を変化させても口径食の影響があまり大きくならないと共に、両側テレセントリックにすることが可能な投影光学系を提供することを第1の目的とする。
更に本発明は、大きな開口数と広い投影領域とを確保しつつ両側テレセントリックにすることが可能で、且つ諸収差、特にディストーションを極めて良好に補正し得る高性能な投影光学系を提供することを第2の目的とする。
【0010】
更に本発明は、広い投影領域を確保しつつ両側テレセントリックにすることが可能で、且つ開口数を変化させた場合でも諸収差を良好に補正し得る投影光学系を提供することを第3の目的とする。
また、本発明は、そのような投影光学系を備えた露光装置、及びこの露光装置を用いたデバイスの製造方法を提供することを第4の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の投影光学系は、第1物体(R)のパターンの像を第2物体(W)上に形成する屈折型の投影光学系において、開口数を決定するための開口絞り(AS)と、複数のレンズ素子からなり、その第1物体とその開口絞りとの間に位置する前レンズ群(GF)と、複数のレンズ素子からなり、その開口絞りとその第2物体との間に位置する後レンズ群(GR)とを備え、その開口絞りの位置を、近軸上においてその第2物体側からの光軸と平行な光線がその光軸と交わる位置よりもその第2物体側に配置し、その第1物体からその第2物体までの距離をLとし、近軸上においてその第2物体側から光軸(AX)に平行にその後レンズ群へ入射する光線がその光軸と交わる位置(Q)からその開口絞りまでの光軸上の距離をd、その投影光学系のその第2物体側の開口数をN.A.とするとき、以下の条件を満足するように構成したものである。
【0012】
0.005<d/{L×(1−N.A.)}<0.2 (A)
斯かる本発明によれば、条件式(A)が満たされているため、容易に両側テレセントリックにできると共に、投影領域内で口径食の影響が均一化されて、その開口絞り(AS)の開口数を変化させた場合でも特に口径食の影響が大きくなることがない。このとき、条件式(A)の上限を超えると、瞳の収差が大きくなり過ぎ、第1物体と第2物体との両側にテレセントリックな光学系を得ることが困難となり好ましくない。一方、条件式(A)の下限を下回ると、瞳の収差を必要以上に補正して、結果的に投影光学系の長大化を招くことになり好ましくない。
【0013】
この場合、その開口絞り(AS)を可変開口絞りとして、その開口絞りによってその第2物体側の開口数N.A.を変えたときに、その第2物体上の投影領域において口径食の差が最小になるように、その開口絞りの位置を、近軸上においてその第2物体側からの光軸(AX)と平行な光線がその光軸と交わる位置(Q)よりその第2物体側に配置することが好ましい。
【0014】
ここで、その投影光学系へ第2物体側から平行光束が入射した場合を考える。この平行光束の内、近軸上の光線(近軸主光線)は、第2物体側に配置された正レンズ(主には後レンズ群)の屈折作用により所定の位置(Q)で光軸と交差する。このとき、後レンズ群が正の屈折力を有しているため、光軸に対して所定の角度をなして後レンズ群に入射する平行光束は、上記近軸上で光軸に沿って入射する平行光束の結像位置(Q)より第2物体側にずれた位置に結像する。ここで、上記結像位置(Q)よりも第2物体側に開口絞り(AS)を配置すれば、この開口絞りの開口径を変化させても瞳の像面湾曲による投影領域周辺部での口径食の影響を実用上十分に抑えることができ、諸収差も良好に補正することができる。
【0015】
また、本発明による第1の投影光学系では、その前レンズ群とその後レンズ群とは、全体としてその第1物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群(G1)と、負の屈折力を有する第2レンズ群(G2)と、正の屈折力を有する第3レンズ群(G3)と、負の屈折力を有する第4レンズ群(G4)と、正の屈折力を有する第5レンズ群(G5)と、を配置して構成されることが好ましい。
【0016】
このとき、第1レンズ群(G1)はテレセントリック性を維持しながら主にディストーションの補正に寄与しており、第2レンズ群(G2)、及び第4レンズ群(G4)は、主にペッツバール和の補正に寄与し、像面の平坦化を達成する機能を有している。また、第3レンズ群(G3)は第1レンズ群(G1)と共に、正のディストーションを発生させ、第2、第4、第5レンズ群で発生する負のディストーションを補正する役割を担っている。更に、第3レンズ群(G3)と第2レンズ群(G2)とは、第2物体側から見ると、正・負の屈折力配置を有する望遠系を構成しており、これにより、投影光学系全系の長大化を防ぐ機能を有している。また、第5レンズ群(G5)は、第2物体側での高開口数化に十分対応するために、特に球面収差の発生を極力避けた状態で、ディストーションの発生を抑えて、第2物体上に光束を導き、結像させる役割を担っている。
【0017】
また、その第1レンズ群は両側を負レンズに挟まれた部分群G1pを含み、その第2レンズ群は両側を正レンズに挟まれた部分群G2nを含み、その第4レンズ群は少なくとも3枚の負レンズを含む部分群G4nを有し、その第5レンズ群は少なくとも4枚の正レンズを含む部分群G5pを有し、その第1物体からその第2物体までの距離をL、その第1レンズ群中の部分群G1pの焦点距離をf1、その第2レンズ群中の部分群G2nの焦点距離をf2、その第3レンズ群の焦点距離をf3、その第4レンズ群中の部分群G4nの焦点距離をf4、その第5レンズ群中の部分群G5pの焦点距離をf5としたとき、以下の条件を満足することが好ましい。
【0018】
0.05<f1/L<0.4 (B)
0.025<−f2/L<0.15 (C)
0.08<f3/L<0.35 (D)
0.04<−f4/L<0.16 (E)
0.06<f5/L<0.35 (F)
【0019】
この場合、条件式(B)〜(F)は、それぞれ次の本発明の第2の投影光学系における条件式(1)〜(5)に対応しており、その作用はその第2の投影光学系において説明する。
【0020】
次に、本発明による第2の投影光学系は、第1物体(R)のパターンの像を第2物体(W)上に形成する投影光学系において、その第1物体側から順に、両側を負レンズに挟まれた部分群G1pを含む、正の屈折力を有する第1レンズ群(G1)と、両側を正レンズに挟まれた部分群G2nを含む、負の屈折力を有する第2レンズ群(G2)と、少なくとも1枚の負レンズを含む、正の屈折力を有する第3レンズ群(G3)と、少なくとも3枚の負レンズを含む部分群G4nを有し、負の屈折力を有する第4レンズ群(G4)と、少なくとも4枚の正レンズを含む部分群G5pを有し、全体として少なくとも2枚の負レンズを含み、開口数を決定する開口絞り(AS)を内部のレンズ間に有すると共に、正の屈折力を有する第5レンズ群(G5)と、を備え、近軸上において、その第2物体側からの光軸(AX)と平行な光線がこの光軸と交わる位置(Q)を、その第4レンズ群とその第5レンズ群との間に有し、その開口絞りの位置を、近軸上においてその第2物体側からの光軸と平行な光線がその光軸と交わる位置よりもその第2物体側に配置し、以下の条件を満足するものである。
【0021】
0.05<f1/L<0.4 (1)
0.025<−f2/L<0.15 (2)
0.08<f3/L<0.35 (3)
0.04<−f4/L<0.16 (4)
0.06<f5/L<0.35 (5)
0.005<d/{L×(1−N.A.)}<0.2 (6)
【0022】
但し、各パラメータの定義は以下の通りである。
L :その第1物体からその第2物体までの距離、
f1:その第1レンズ群中の部分群G1pの焦点距離、
f2:その第2レンズ群中の部分群G2nの焦点距離、
f3:その第3レンズ群の焦点距離、
f4:その第4レンズ群中の部分群G4nの焦点距離、
f5:その第5レンズ群中の部分群G5pの焦点距離、
d :近軸上においてその第2物体側からの光軸と平行な光線が光軸と交わる位置(Q)からその第5レンズ群中のその開口絞り(AS)までの光軸上の距離、
N.A.:その投影光学系のその第2物体側の開口数。
【0023】
斯かる本発明の第2の投影光学系は、第1物体側から順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群(G1)と、負の屈折力を持つ第2レンズ群(G2)と、正の屈折力を持つ第3レンズ群(G3)と、負の屈折力を持つ第4レンズ群(G4)と、正の屈折力を持つ第5レンズ群(G5)とを有している。ここで、第1レンズ群(G1)はテレセントリック性を維持しながら主にディストーションの補正に寄与しており、具体的には、第1レンズ群(G1)にて正のディストーションを発生させて、このディストーションで第1レンズ群(G1)よりも第2物体側に配置される複数のレンズ群、特に第2、第4、第5レンズ群で発生する負のディストーションをバランスよく補正している。
【0024】
そして、負の屈折力を持つ第2レンズ群(G2)、及び負の屈折力を持つ第4レンズ群(G4)は、主にペッツバール和の補正に寄与し、像面の平坦化を達成する機能を有している。正の屈折力を持つ第3レンズ群(G3)も第1レンズ群(G1)と同様、正のディストーションを発生させ、第2、第4、第5レンズ群で発生する負のディストーションを補正する役割を担っている。更に、第3レンズ群(G3)と第2レンズ群(G2)とは、第2物体側から見ると、正・負の屈折力配置を有する望遠系を構成しており、これにより、投影光学系全系の長大化を防ぐ機能を有している。
【0025】
また、正の屈折力を持つ第5レンズ群(G5)は、第2物体側での高開口数化に十分対応するために、特に球面収差の発生を極力避けた状態で、ディストーションの発生を抑えて、第2物体上に光束を導き、結像させる役割を担っている。次に、本発明の第1、及び第2の投影光学系における条件式について説明する。条件式(1),(B)は、第1レンズ群(G1)中において、主たる正の屈折力を担う部分群G1pの適正な屈折力を規定するものである。条件式(1),(B)の上限を超えると、第1レンズ群で発生する正のディストーションが、第2、第4及び第5レンズ群で発生する負のディストーションを補正しきれなくなるため好ましくない。一方、条件式(1),(B)の下限を下回ると、高次の正のディストーションの発生する原因となるため好ましくない。
【0026】
条件式(2),(C)は、第2レンズ群(G2)中において、主たる負の屈折力を担う部分群G2nの適正な屈折力を規定するものである。条件式(2),(C)の上限を超えると、ペッツバール和の補正が不十分となり、像面の平坦化の達成が困難となる。一方、条件式(2),(C)の下限を下回ると、負のディストーションの発生量が大きくなり、第1及び第3レンズ群だけでは、この大きな負のディストーションの良好な補正が困難となる。
【0027】
条件式(3),(D)は、第3レンズ群(G3)の適正な正の屈折力を規定するものである。条件式(3),(D)の上限を超えると、第2レンズ群と第3レンズ群とで形成する望遠系の望遠比(telephoto ratio)が大きくなり、投影光学系の長大化を招くと共に、第3レンズ群で発生する正のディストーションの発生量が小さくなり、第2、第4及び第5レンズ群で発生する負のディストーションを良好に補正しきれなくなるため好ましくない。一方、条件式(3),(D)の下限を下回ると、高次の球面収差が発生し良好な結像性能を第2物体上で得ることができなくなるため好ましくない。
【0028】
条件式(4),(E)は、第4レンズ群(G4)中において、主たる負の屈折力を担う部分群G4nの適正な屈折力を規定するものである。条件式(4),(E)の上限を超えると、ペッツバール和の補正が不十分となり、像面の平坦性の悪化を招く。一方、条件式(4),(E)の下限を下回ると、高次の球面収差やコマ収差の発生の原因となり、像のコントラストの悪化を招く。
【0029】
条件式(5),(F)は、第5レンズ群(G5)中において、主たる正の屈折力を担う部分群G5pの適正な屈折力を規定するものである。条件式(5),(F)の上限を超えると、第5レンズ群全体の正の屈折力が弱くなり過ぎ、結果的に投影光学系の長大化を招くため好ましくない。一方、条件式(5),(F)の下限を下回ると、高次の球面収差の発生の原因となり、像のコントラストの悪化を招くため好ましくない。
【0030】
また、本発明の第2の投影光学系における条件式(6)は、第5レンズ群(G5)中において、開口数を決定する絞り(AS)の適正な位置を規定するものである。ここで、第2物体側からの平行光束が第5レンズ群(G5)に入射したときの、第5レンズ群の結像を考える。光軸に平行な平行光束は、近軸上において第2物体側からの光軸と平行な光線が光軸と交わる位置の近傍に結像する。
【0031】
しかし、第5レンズ群(G5)は正の屈折力を持つため、光軸に対して平行でない平行光束は、その光軸に平行な平行光束の結像位置より第2物体側にずれた位置で結像する。これは所謂瞳の像面湾曲収差である。
一方、例えば投影露光装置に用いられる投影光学系では、結像性能が保証されている最大開口数(N.A.の最大値)の60%程度まで絞って使用できる光学系が要求されている。そのため、或る範囲の開口数N.A.を実現可能な投影光学系において、その開口数を決定する絞り(AS)の位置は、瞳の像面湾曲を考慮して決定することが必要となる。そして、条件式(6)の上限を超えると、瞳の収差が大きくなり過ぎ、第1物体と第2物体との両側にテレセントリックな光学系を得ることが困難となり好ましくない。また、条件式(6)の下限を下回ると、瞳の収差を必要以上に補正するために、結果的に投影光学系の長大化を招くため好ましくない。
【0032】
次に、本発明の第2の投影光学系においては、その第2物体上の投影領域の最周辺から光軸と平行にその第2物体側から入射する光線と、その第1レンズ群中の部分群G1pを挟む2枚の負レンズの各々の面とが交わる点と光軸との距離の最大値をH1max 、最小値をH1min とするとき、以下の条件を満足することが好ましい。
【0033】
1.2<H1max /H1min <1.8 (7)
第1レンズ群(G1)は前述のとおりディストーション補正の役割を担っており、主に正のディストーションを発生するが、異なる光線の高さを持つ2枚の負レンズの面で、高次のディストーションを補正している。そして、条件式(7)の上下限を超えると、2枚の負レンズの面で発生する高次のディストーションのバランスが崩れ好ましくない。
【0034】
また、その第2物体上の投影領域の最周辺から光軸と平行にその第2物体側から入射する光線と、その第2レンズ群中の部分群G2nを挟む2枚のその正レンズの各々の面とが交わる点と光軸との距離の最大値をH2max 、最小値をH2min とするとき、以下の条件を満足することが好ましい。
1.15<H2max /H2min <1.75 (8)
第2レンズ群(G2)は前述のとおり像面補正の役割を担っており、主に正の像面湾曲を発生するが、異なる光線の高さを持つ2枚の正レンズの面で、高次の像面湾曲を補正している。そして、条件式(8)の上下限を超えると、2枚の正レンズの面で発生する高次の像面湾曲のバランスが崩れ好ましくない。
【0035】
更に、その第5レンズ群中の少なくとも2枚のその負レンズは、その第1物体側に向けられた凹面を有することが好ましく、この凹面の曲率半径をRn1とするとき、以下の条件を満たすことが好ましい。
0.15<−Rn1/L<0.3 (9)
第5レンズ群中の第1物体側に向けられた凹面では、主に第5レンズ群中の正レンズから発生する負の球面収差を補正する機能を担っている。そして、条件式(9)は、物像間距離に対するその凹面の適切な曲率半径の比を規定している。条件式(9)の上限を超えると、正レンズで発生する負の球面収差の補正不足となるため好ましくない。一方、条件式(9)の下限を下回ると、正レンズで発生する負の球面収差の補正過剰となり、高次の正の球面収差が発生するため好ましくない。
【0036】
また、その第5レンズ群中の少なくとも2枚のその負レンズは、その第1物体側に向けられた凹面よりもその第2物体側に、その第2物体側に向けられた第2の凹面を有することが好ましく、この第2の凹面の曲率半径をRn2とするとき、以下の条件を満たすことが好ましい。
0.06<Rn2/L<0.1 (10)
第5レンズ群中の第2物体側に向けられた第2の凹面では、主に第5レンズ群中の正レンズから発生する負の球面収差及び負のディストーションを補正する機能を担っている。条件式(10)は、物像間距離に対する第2の凹面の適切な曲率半径の比を規定している。条件式(10)の上限を超えると、正レンズで発生する負の球面収差や負のディストーションの補正不足となるため好ましくない。一方、条件式(10)の下限を下回ると、正レンズで発生する負の球面収差や負のディストーションの補正過剰となるため好ましくない。
【0037】
また、その第3レンズ群(G3)は、1枚の負レンズと、複数枚の正レンズとを含み、その第3レンズ群中のその負レンズは、第3レンズ群(G3)と第2レンズ群(G2)とで構成される望遠系のパワーを調整するために、その複数枚の正レンズよりもその第1物体側に配置されることが好ましい。
更に、その第4レンズ群(G4)中の最もその第1物体側には、その第1物体側に凸面を向けたレンズが配置され、その第4レンズ群中の最もその第2物体側には、その第2物体側に凸面を向けたレンズが配置されることが好ましい。ここで、その第4レンズ群(G4)中の最もその第1物体側のその第1物体側に凸面を向けたレンズと、その第4レンズ群(G4)中の最もその第2物体側のその第2物体側に凸面を向けたレンズとは、高次の球面収差とコマ収差との発生を抑えており、逆にこれらのレンズのそれぞれが第1及び第2物体側へ凹面を向けているときには、これらのレンズで発生する高次の球面収差とコマ収差とを補正できなくなるため好ましくない。
【0038】
また、その開口絞りは可変開口絞りであり、その開口絞りによってその第2物体側の開口数N.A.を変えたときに、その第2物体上の投影領域において口径食の差が最小になるように、その開口絞りの位置を、近軸上においてその第2物体側からの光軸と平行な光線が光軸と交わる位置よりその第2物体側に配置することが好ましい。
【0039】
これによって、その可変開口絞りを用いて開口数N.A.を変化させた場合でも、第2物体側の露光領域内での口径食の差を最小にできるため、この露光領域内での結像性能の差(例えば線幅差)や照明むらを抑えることができる。
更に、本発明による第1の露光装置は、本発明による投影光学系(PL)と、その第1物体としてのマスク(R)、及びその第2物体としての基板(W)を位置決めするステージ系(RS,WS)と、そのマスクを照明する照明光学系(IS)とを備え、その照明光学系からの露光エネルギービームのもとで、そのマスクのパターンの像をその投影光学系を介してその基板上に投影するものである。
また、本発明による第2の露光装置は、回路パターンの像を形成するための本発明の投影光学系(PL)を備え、露光エネルギービームのもとで、その回路パターンの像をその投影光学系を介して基板(W)上に投影するものである。
【0040】
本発明による投影光学系(PL)は大きい開口数で両側テレセントリックにできるため、高い解像度が得られると共に、マスク(R)や基板(W)の反りが生じても投影倍率が変化しない。また、広い露光領域が得られるため、大きなチップパターンを一度に露光できる。
次に、本発明によるデバイス製造方法は、その本発明による露光装置を用いたデバイスの製造方法であって、その基板上に感光材料を塗布する第1工程(ステップ102)と、その基板上にその投影光学系を介してそのマスクのパターンの像を投影する第2工程(ステップ103)と、その基板上のその感光材料を現像する第3工程(ステップ104)とこの、現像後の感光材料をマスクとしてその基板上に所定の回路パターンを形成する第4工程(ステップ105)と、を有するものである。本発明による露光装置の使用によって、その基板上に高い解像度でデバイス用の回路パターンを形成できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態につき図1〜図4を参照して説明する。本例は、投影露光装置の投影光学系に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影光学系PLを備えた投影露光装置を示し、この図1において、投影光学系PLの物体面には所定の回路パターンが形成された投影原版としてのレチクルR(第1物体)が配置され、投影光学系PLの像面には、基板としてのフォトレジストが塗布されたウエハW(第2物体)が配置されている。レチクルRはレチクルステージRS上に保持され、ウエハWはウエハステージWS上に保持され、レチクルRの上方には、レチクルRを均一照明するための照明光学装置ISが配置されている。
【0042】
本例の投影光学系PLは、瞳位置に可変の開口絞りASを有すると共に、レチクルR側及びウエハW側において、実質的にテレセントリックとなっている。そして、照明光学装置ISは、KrFエキシマレーザ光源よりなる露光光源、この光源からの波長248.4nmの露光光の照度分布を均一化するためのフライアイレンズ、照明系開口絞り、可変視野絞り(レチクルブラインド)、及びコンデンサレンズ系等から構成されている。なお、露光光としては、波長193nmのArFエキシマレーザ光、YAGレーザの高調波、又は水銀ランプのi線(波長365nm)等を使用することもできる。照明光学装置ISから供給される露光光は、レチクルRを照明し、投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASの位置)には照明光学装置IS中の光源の像が形成され、所謂ケーラー照明が行われる。そして、ケーラー照明されたレチクルRのパターンの像が、投影光学系PLを介して投影倍率β(βは本例では1/5であるが、他に1/4等もある)で縮小されてウエハW上に露光(転写)される。
【0043】
以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行にX軸を取り、図1の紙面に垂直にY軸を取って説明する。このとき、レチクルステージRSは、X方向、Y方向、回転方向にレチクルRの位置決めを行い、ウエハステージWSは、ウエハWの表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むと共に、X方向、Y方向へのウエハWの位置決めを行う。露光時には、ウエハW上の1つのショット領域へのレチクルRのパターン像の露光が終わった後、ウエハステージWSをステッピング駆動することによって、ウエハW上の次のショット領域を投影光学系PLの露光領域に移動して露光を行うという動作が、ステップ・アンド・リピート方式で繰り返される。
【0044】
このように本例の投影露光装置は、ステッパー型(一括露光方式)であるが、本発明の投影光学系は、ウエハWの各ショット領域への露光時にレチクルRとウエハWとを投影光学系PLに対して投影倍率βを速度比として同期走査する、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置にも適用できる。ステップ・アンド・スキャン方式では、スリット状の露光領域内で良好な結像特性が得られればよいため、投影光学系PLを大型化することなく、ウエハW上のより広いショット領域に露光を行うことができる。
【0045】
次に、この第1の実施の形態の投影光学系PLの構成につき説明する。本例の露光波長λは248.4nmである。
図2は、本例の投影光学系を示すレンズ断面図であり、この図2において、投影光学系は、第1物体としてのレチクルR(物体面)側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを配列して構成されている。そして、その投影光学系は、レチクルR(物体面)側、及び第2物体としてのウエハW(像面)側の両方でテレセントリックとなっている。
【0046】
また、第1レンズ群G1は、物体面側から順に、像面に凹面を向けた平凹形状の負レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、物体面に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、物体面に凸面を向けた平凸形状の正レンズL14と、像面に凹面を向けた負メニスカスレンズL15とからなる5枚のレンズを配置して構成されている。この第1レンズ群G1においては、両側を負レンズL11及びL15に挟まれた3枚の正レンズL12,L13,L14が、正の屈折力を有する部分群G1pを構成している。また、ウエハW上の露光領域(投影領域)の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射する光線と、この第1レンズ群G1内の部分群G1pを挟む2枚の負レンズL11,L15の各面とが交わる点の光軸AXからの距離をH1とすると、この距離H1が最大値H1max となるのは負レンズL11の像面側の面A1であり、この距離H1が最小値H1min となるのは負メニスカスレンズL15の像面側の面B1である。
【0047】
次に、第2レンズ群G2は、物体面側から順に、両凸形状の正レンズL21と、像面に凹面を向けた平凹形状の負レンズL22と、両凹形状の負レンズL23と、物体面に凹面を向けた平凹形状の負レンズL24と、像面に凸面を向けた平凸形状の正レンズL25とからなる5枚のレンズを配置して構成され、両側を正レンズL21及びL25に挟まれた3枚の負レンズL22,L23,L24が、負の屈折力を有する部分群G2nを構成している。
【0048】
また、ウエハW上の露光領域の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射する光線と、この第2レンズ群G2内で部分群G2nを挟む2枚の正レンズL21,L25の各面とが交わる点の光軸AXからの距離をH2とすると、この距離H2が最大値H2max となるのは正レンズL21の物体面側の面A2であり、この距離H2が最小値H2min となるのは正レンズL25の物体面側の面B2である。
【0049】
第3レンズ群G3は、物体面側から順に、像面に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と、像面に凸面を向けた正メニスカスレンズL32と、両凸形状の正レンズL33と、両凸形状の正レンズL34と、物体面に凸面を向けた正メニスカスレンズL35とよりなる5枚のレンズを配置して構成されている。即ち、第3レンズ群G3においては、4枚の正レンズL32〜L35よりなるレンズ群に対してレチクルR側に負メニスカスレンズL31が配置されている。
【0050】
また、第4レンズ群G4は、物体面側から順に、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL42と、両凹形状の負レンズL43と、物体面に凹面を向けた負メニスカスレンズL44とよりなる4枚のレンズを配置して構成されている。即ち、第4レンズ群G4中の最も物体面側には、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL41が配置され、最も像面側には像面に凸面を向けた負メニスカスレンズL44が配置されている。本例では、4枚の負レンズL41〜L44が、そのまま負の屈折力を有する部分群G4nを構成している。
【0051】
第5レンズ群G5は、物体面側から順に、像面に凸面を向けた正メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凸形状の正レンズL53と、像面に凸面を向けた負メニスカスレンズL54と、両凸形状の正レンズL55と、像面に凹面を向けた正メニスカスレンズL56と、像面に凹面を向けた正メニスカスレンズL57と、像面に凹面を向けた正メニスカスレンズL58と、像面に凹面を向けた負メニスカスレンズL59と、物体面に凸面を向けた正メニスカスレンズL510とよりなる10枚のレンズを配置して構成されている。従って、第5レンズ群G5は、2枚の負レンズL54,L59を備えている。そして、正レンズL52〜正メニスカスレンズL56よりなるレンズ群が、4枚の正レンズを含み正の屈折力を有する部分群G5pを構成し、正メニスカスレンズL51と正レンズL52との間に、この投影光学系の開口数(N.A.)を決定する可変の開口絞りASが配置されている。
【0052】
その第5レンズ群G5中で最も物体面側の負レンズである負メニスカスレンズL54の物体面に向けられた凹面の曲率半径をRn1として、その凹面よりも像面側に配置された負レンズとしての負メニスカスレンズL59の像面に向けられた凹面の曲率半径をRn2とする。
また、図2の投影光学系において、近軸上において、ウエハW側からの光軸AXと平行な光線が光軸AXと交わる位置Qは、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間に存在しており、開口絞りASはその位置QよりウエハW側に配置されている。これによって、ウエハW上の露光領域の全面で口径食(vignetting)の差が最小になっている。
【0053】
また、本例の投影光学系は、開口絞りASを挟む2群のレンズに分けることも可能である。この場合、開口絞りASより物体面側の負レンズL11〜正メニスカスレンズL51より前レンズ群GFが構成され、開口絞りASより像面側の正レンズL52〜正メニスカスレンズL510より後レンズ群GRが構成される。次に、この第1の実施の形態の投影光学系の諸元の値を表1に掲げる。但し、表1において、D0はレチクルR(第1物体)から第1レンズ群G1の最もレチクルR側のレンズ面までの光軸上の距離、WDは第5レンズ群G5の最もウエハW(第2物体)側のレンズ面からウエハWまでの光軸上の距離(作動距離)、βは投影光学系の投影倍率、N.A.は投影光学系のウエハW側の開口数、φEXは投影光学系のウエハW面における円形の露光領域(投影領域)の直径、Lは物像間(レチクルRとウエハWとの間)の光軸上の距離であり、距離、又は長さの単位は一例としてmmである。更に、表1の下欄において、左端の数字はレチクルR(第1物体)側からのレンズ面の順序、rは当該レンズ面の曲率半径、dは当該レンズ面から次のレンズ面までの間隔、nは波長246.4nmにおける硝材の屈折率をそれぞれ表している。硝材としては、例えば石英が使用できる。
【0054】
【表1】
【0055】
この表1より明らかなように、本例の投影光学系を構成する複数のレンズは全て互いに非接触、即ち非貼り合わせであるため、露光を継続した場合でも貼り合わせ面の経時変化等による結像特性の劣化は生じない。
次に、本例の投影光学系の諸元の本発明の条件式(A)〜(F),(1)〜(10)に対応する値(条件対応値)を表2に掲げる。但し、条件式(A)等と条件式(6)等とは同じであるため、それぞれ1つにまとめてある。また、f1は第1レンズ群G1中の部分群G1pの焦点距離、f2は第2レンズ群G2中の部分群G2nの焦点距離、f3は第3レンズ群G3の焦点距離、f4は第4レンズ群G4中の部分群G4nの焦点距離、f5は第5レンズ群G5中の部分群G5pの焦点距離である。また、表1より、物像間(第1物体と第2物体との間)の距離Lと、近軸上においてウエハW(第2物体)側からの光軸AXと平行な光線が光軸AXと交わる位置Qから第5レンズ群G5中の開口絞りASまでの光軸上の距離dとは、それぞれ以下の通りである。
【0056】
L=1250,d=34.528
また、本例の投影光学系のウエハW側の開口数N.A.の最大値は0.65であり、開口数N.A.の可変範囲を最大値の60%程度までとすると、開口絞りASによる開口数N.A.の可変範囲は以下の通りである。
0.65≧N.A.≧0.4
更に、上述のようにウエハW(第2物体)上での露光領域の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射した光線が、面A1及び面B1と交わる点の光軸AXからの距離がそれぞれH1max 、及びH1min であり、その露光領域の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射した光線が、面A2及び面B2と交わる点の光軸AXからの距離がそれぞれH2max 、及びH2min である。そして、第5レンズ群G5中で、負メニスカスレンズL54の物体面側の凹面の曲率半径、及び負メニスカスレンズL59の像面側の凹面の曲率半径がそれぞれRn1、及びRn2である。
【0057】
【表2】
[第1の実施の形態の条件対応値]
(1)(B) f1/L=0.136
(2)(C)−f2/L=0.055
(3)(D) f3/L=0.170
(4)(E)−f4/L=0.089
(5)(F) f5/L=0.127
(6)(A) 0.046≦d/{L・(1−N.A.)}≦0.079
(7) H1max/H1min =1.49
(8) H2max/H2min =1.43
(9) −Rn1/L=0.206
(10) Rn2/L=0.064
【0058】
また、図3は、第1の実施の形態の投影光学系の縦収差図を示し、図4は、その子牛方向(タンジェンシャル方向)及び球欠方向(サジタル方向)における横収差図(コマ収差図)を示している。各収差図において、NAは投影光学系の開口数、Yは像高を示しており、非点収差図中において、点線は子牛的像面(タンジェンシャル方向像面)、実線は球欠的像面(サジタル像面)を示している。これらの収差図より、本例の投影光学系は、広い露光領域の全てにおいて、特にディストーションが良好に補正されていると共に、他の諸収差もバランス良く補正されていることが理解される。また、本例の投影光学系は、両側テレセントリックであるにも拘らず、開口数N.A.の最大値は0.65と大きく、口径食の影響も少ない。且つ、開口数N.A.を大きく変えた場合でも、諸収差が良好に補正されている。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態の投影光学系につき図5〜図7を参照して説明する。本例の露光波長λも248.4nmである。
図5は、本例の投影光学系を示すレンズ断面図であり、この図5において、投影光学系は、第1物体としてのレチクルR(物体面)側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを配列して構成され、両側テレセントリックとなっている。
【0060】
また、第1レンズ群G1は、物体面側から順に、両凸形状の正レンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、両凸形状の正レンズL13と、両凸形状の正レンズL14と、物体面に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL16とからなる6枚のレンズを配置して構成されている。そして、両側を負レンズL12及びL16に挟まれた3枚の正レンズL13,L14,L15が、正の屈折力を有する部分群G1pを構成している。また、ウエハW上の露光領域(投影領域)の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射する光線と、この第1レンズ群G1内の部分群G1pを挟む2枚の負レンズL12,L16の各面とが交わる点の光軸AXからの距離H1が、最大値H1max となるのは負レンズL12の像面側の面A1であり、この距離H1が最小値H1min となるのは負メニスカスレンズL16の像面側の面B1である。
【0061】
次に、第2レンズ群G2は、物体面側から順に第1の実施の形態(図2)と同様に、両凸形状の正レンズL21と、平凹形状の負レンズL22と、両凹形状の負レンズL23と、平凹形状の負レンズL24と、平凸形状の正レンズL25とからなる5枚のレンズを配置して構成され、中央の3枚の負レンズL22,L23,L24が、負の屈折力を有する部分群G2nを構成している。そして、ウエハW上の露光領域の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射する光線と、その部分群G2nを挟む2枚の正レンズL21,L25の各面とが交わる点の光軸AXからの距離H2が、最大値H2max となるのは正レンズL21の物体面側の面A2であり、この距離H2が最小値H2min となるのは正レンズL25の物体面側の面B2である。
【0062】
第3レンズ群G3は、物体面側から順に第1の実施の形態(図2)と同様に、負メニスカスレンズL31と、正メニスカスレンズL32と、両凸形状の正レンズL33と、両凸形状の正レンズL34と、正メニスカスレンズL35とよりなる5枚のレンズを配置して構成されている。
また、第4レンズ群G4は、物体面側から順に、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL42と、両凹の負レンズL43と、物体面に凹面を向けた負メニスカスレンズL44と、物体面に凹面を向けた正メニスカスレンズL45とよりなる5枚のレンズを配置して構成されている。即ち、第4レンズ群G4中の最も物体面側には、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL41が配置され、最も像面側には像面に凸面を向けた正メニスカスレンズL45が配置されている。本例では、第4レンズ群G4内で物体面側の4枚の負レンズL41〜L44が、負の屈折力を有する部分群G4nを構成している。
【0063】
第5レンズ群G5は、物体面側から順に、両凸形状の正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、像面に凸面を向けた負メニスカスレンズL53と、両凸形状の正レンズL54と、像面に凹面を向けた正メニスカスレンズL55と、像面に凹面を向けた正メニスカスレンズL56と、像面に凹面を向けた正メニスカスレンズL57と、像面に凹面を向けた負メニスカスレンズL58と、物体面に凸面を向けた正メニスカスレンズL59とよりなる9枚のレンズを配置して構成されている。従って、第5レンズ群G5は、2枚の負レンズL53,L58を備えている。そして、正レンズL52〜正メニスカスレンズL56よりなるレンズ群が、4枚の正レンズを含み正の屈折力を有する部分群G5pを構成し、正レンズL51と正レンズL52との間に、この投影光学系の開口数(N.A.)を決定する可変の開口絞りASが配置されている。
【0064】
その第5レンズ群G5中で最も物体面側の負レンズである負メニスカスレンズL53の物体面に向けられた凹面の曲率半径をRn1として、その凹面よりも像面側に配置された負レンズとしての負メニスカスレンズL58の像面に向けられた凹面の曲率半径をRn2とする。
また、図5の投影光学系において、近軸上において、ウエハW側からの光軸AXと平行な光線が光軸AXと交わる位置Qは、第4レンズ群G4と第5レンズG5との間に存在しており、開口絞りASはその位置QよりウエハW側に配置されている。これによって、ウエハW上の露光領域の全面で口径食(vignetting)の差が最小になっている。
【0065】
また、本例の投影光学系も、開口絞りASを挟む2群のレンズに分けることが可能である。この場合、開口絞りASより物体面側の正レンズL11〜正メニスカスレンズL45より前レンズ群GFが構成され、開口絞りASより像面側の正レンズL52〜正メニスカスレンズL59より後レンズ群GRが構成されている。
【0066】
次に、この第2の実施の形態の投影光学系の諸元の値を表3に掲げる。但し、表3における各パラメータの定義は表1と同様であり、本例の投影光学系を構成する複数のレンズも全て非貼り合わせである。
【0067】
【表3】
【0068】
次に、本例の投影光学系の諸元の本発明の条件式(A)〜(F),(1)〜(10)に対応する値(条件対応値)を表4に掲げる。表4中のパラメータは、表2と同様である。また、本例では、表3より、物像間(第1物体と第2物体との間)の距離Lと、近軸上においてウエハW(第2物体)側からの光軸AXと平行な光線が光軸AXと交わる位置Qから第5レンズ群G5中の開口絞りASまでの光軸上の距離dと、開口数N.A.の可変範囲とはそれぞれ以下の通りである。
L=1250,d=45.506,0.65≧N.A.≧0.4
【0069】
【表4】
[第2の実施の形態の条件対応値]
(1)(B) f1/L=0.128
(2)(C) −f2/L=0.056
(3)(D) f3/L=0.167
(4)(E) −f4/L=0.077
(5)(F) f5/L=0.155
(6)(A) 0.061≦d/{L・(1−N.A.)}≦0.104
(7) H1max/H1min =1.46
(8) H2max/H2min =1.45
(9) −Rn1/L=0.199
(10) Rn2/L=0.065
【0070】
また、図6は、第2の実施の形態の投影光学系の縦収差図を示し、図7は、その子牛方向(タンジェンシャル方向)及び球欠方向(サジタル方向)における横収差図(コマ収差図)を示している。各収差図中のパラメータは第1の実施の形態と同様であり、これらの収差図より、第2の実施の形態の投影光学系も、広い露光領域の全てにおいて、特にディストーションが良好に補正されていると共に、他の諸収差もバランス良く補正されていることが理解される。
【0071】
次に、本発明の第3の実施の形態の投影光学系につき図8〜図10を参照して説明する。本例の露光波長λも248.4nmである。
図8は、本例の投影光学系を示すレンズ断面図であり、この図8において、投影光学系は、第1物体としてのレチクルR(物体面)側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを配列して構成され、両側テレセントリックとなっている。
【0072】
また、第1レンズ群G1は、物体面側から順に第1の実施の形態(図2)と同様に、平凹形状の負レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と、正メニスカスレンズL13と、平凸形状の正レンズL14と、負メニスカスレンズL15とからなる5枚のレンズを配置して構成され、中央の3枚の正レンズL12,L13,L14が、正の屈折力を有する部分群G1pを構成している。また、ウエハW上の露光領域(投影領域)の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射する光線と、部分群G1pを挟む2枚の負レンズL11,L15の各面とが交わる点の光軸AXからの距離H1が、最大値H1max となるのは負レンズL11の像面側の面A1であり、この距離H1が最小値H1min となるのは負メニスカスレンズL15の像面側の面B1である。
【0073】
次に、第2レンズ群G2は、物体面側から順に第1の実施の形態(図2)と同様に、両凸形状の正レンズL21と、平凹形状の負レンズL22と、両凹形状の負レンズL23と、平凹形状の負レンズL24と、平凸形状の正レンズL25とからなる5枚のレンズを配置して構成され、中央の3枚の負レンズL22,L23,L24が、負の屈折力を有する部分群G2nを構成している。また、ウエハW上の露光領域の最周辺から光軸AXと平行にウエハW側から入射する光線と、部分群G2nを挟む2枚の正レンズL21,L25の各面とが交わる点の光軸AXからの距離H2が、最大値H2max となるのは正レンズL21の物体面側の面A2であり、この距離H2が最小値H2min となるのは正レンズL25の物体面側の面B2である。
【0074】
第3レンズ群G3は、物体面側から順に第1の実施の形態(図2)と同様に、負メニスカスレンズL31と、正メニスカスレンズL32と、両凸形状の正レンズL33と、両凸形状の正レンズL34と、正メニスカスレンズL35とよりなる5枚のレンズを配置して構成されている。
また、第4レンズ群G4は、物体面側から順に、物体面に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と、両凹の負レンズL42と、物体面に凹面を向けた負メニスカスレンズL43とよりなる3枚のレンズを配置して構成されている。即ち、第4レンズ群G4中の最も物体面側、及び最も像面側には、それぞれ物体面及び像面に凸面を向けた負レンズL41,L43が配置されており、3枚の負レンズL41〜L43が、そのまま負の屈折力を有する部分群G4nを構成している。
【0075】
第5レンズ群G5は、物体面側から順に第1の実施の形態(図2)と同様に、正メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凸形状の正レンズL53と、負メニスカスレンズL54と、両凸形状の正レンズL55と、正メニスカスレンズL56と、正メニスカスレンズL57と、正メニスカスレンズL58と、負メニスカスレンズL59と、正メニスカスレンズL510とよりなる10枚のレンズを配置して構成されている。但し、本例の第5レンズ群G5は、正レンズL52〜正メニスカスレンズL57よりなるレンズ群が、5枚の正レンズを含み正の屈折力を有する部分群G5pを構成し、正メニスカスレンズL51と正レンズL52との間に、この投影光学系の開口数(N.A.)を決定する可変の開口絞りASが配置されている。
【0076】
その第5レンズ群G5中で最も物体面側の負レンズである負メニスカスレンズL54の物体面に向けられた凹面の曲率半径をRn1として、その凹面よりも像面側に配置された負レンズとしての負メニスカスレンズL59の像面に向けられた凹面の曲率半径をRn2とする。
また、図8の投影光学系において、近軸上において、ウエハW側からの光軸AXと平行な光線が光軸AXと交わる位置Qは、第4レンズ群G4と第5レンズG5との間に存在しており、開口絞りASはその位置QよりウエハW側に配置されている。これによって、ウエハW上の露光領域の全面で口径食(vignetting)の差が最小になっている。
【0077】
更に、本例の投影光学系も、開口絞りASを挟む2群のレンズに分けることも可能である。この場合、開口絞りASより物体面側の負レンズL11〜正メニスカスレンズL51より前レンズ群GFが構成され、開口絞りASより像面側の正レンズL52〜正メニスカスレンズL510より後レンズ群GRが構成されている。
【0078】
次に、この第3の実施の形態の投影光学系の諸元の値を表5に掲げる。但し、表5における各パラメータの定義は表1と同様であり、本例の投影光学系を構成する複数のレンズも全て非貼り合わせである。
【0079】
【表5】
【0080】
次に、本例の投影光学系の諸元の本発明の条件式(A)〜(F),(1)〜(10)に対応する値(条件対応値)を表6に掲げる。表6中のパラメータは、表2と同様である。また、本例では、表5より、物像間(第1物体と第2物体との間)の距離Lと、近軸上においてウエハW(第2物体)側からの光軸AXと平行な光線が光軸AXと交わる位置Qから第5レンズ群G5中の開口絞りASまでの光軸上の距離dと、開口数N.A.の可変範囲とはそれぞれ以下の通りである。
L=1250,d=35.998,0.65≧N.A.≧0.4
【0081】
【表6】
[第3の実施の形態の条件対応値]
(1)(B) f1/L=0.132
(2)(C) −f2/L=0.056
(3)(D) f3/L=0.168
(4)(E) −f4/L=0.089
(5)(F) f5/L=0.128
(6)(A) 0.048≦d/{L・(1−N.A.)}≦0.082
(7) H1max/H1min =1.49
(8) H2max/H2min =1.47
(9) −Rn1/L=0.210
(10) Rn2/L=0.062
【0082】
また、図9は、第3の実施の形態の投影光学系の縦収差図を示し、図10は、その子牛方向(タンジェンシャル方向)及び球欠方向(サジタル方向)における横収差図(コマ収差図)を示している。各収差図中のパラメータは第1の実施の形態と同様であり、これらの収差図より、第3の実施の形態の投影光学系も、大きい開口数が得られており、且つ広い露光領域の全てにおいて特にディストーションが良好に補正されていると共に、他の諸収差もバランス良く補正されていることが理解される。
【0083】
なお、上記の実施の形態では、露光光として波長248.4nmの光を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、ArF(波長193nm)等のエキシマレーザ光等の極紫外光や、水銀ランプのg線(波長435.8nm)やi線(波長365.0nm)等、更にはそれ以外の紫外領域の光を使用する場合にも適用できることは言うまでもない。また、硝材としては、蛍石(CaF2)等も使用できる。
【0084】
次に、上記の実施の形態の投影露光装置を用いてウエハ上に所定の回路パターンを形成する際の動作の一例につき図11のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図11のステップ101において、1ロットのウエハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ102において、その1ロットのウエハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ103において、第1の実施の形態(図2)の投影光学系PLを備えた図1の投影露光装置を用いて、レチクルR上のパターンの像がその投影光学系PLを介して、その1ロットのウエハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ104において、その1ロットのウエハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ105において、その1ロットのウエハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、レチクルR上のパターンに対応する回路パターンが、各ウエハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。
【0085】
この際に、本例の投影光学系PLは、両側テレセントリックであると共に、開口数N.A.が大きくできるため、レチクルRの反りや露光対象の各ウエハに反りがあっても、各ウエハ上に微細な回路パターンを高い解像度で安定に形成できる。また、投影光学系PLの露光領域が広いため、大きなデバイスを高いスループットで製造できる。
【0086】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0087】
【発明の効果】
本発明の第1の投影光学系によれば、条件式(A)が満たされているため、開口数を可変としても口径食の影響があまり大きくならないと共に、両側テレセントリックにすることが可能である利点がある。
また、更に条件式(B)〜(F)が満たされている場合には、球面収差やコマ収差を抑制でき、特にディストーションを良好に補正できると共に、投影光学系の長大化を防止できる。
【0088】
次に、本発明の第2の投影光学系によれば、条件式(1)〜(6)が満足されているため、大きな開口数と広い投影領域とを確保しつつ両側テレセントリックにすることが可能で、且つ諸収差、特にディストーションを極めて良好に補正できる利点がある。
また、条件式(7)が満たされていると、高次のディストーションが良好に補正され、条件式(8)が満たされていると、高次の像面湾曲が良好に補正され、条件式(9)が満たされていると、負の球面収差が良好に補正され、条件式(10)が満たされていると、負の球面収差や負のディストーションが良好に補正される。
【0089】
また、これらの場合に開口絞りは可変開口絞りであり、その開口絞りによって第2物体側の開口数N.A.を変えたときに、その第2物体上の投影領域において口径食の差が最小になるように、その開口絞りの位置を、近軸上においてその第2物体側からの光軸と平行な光線がその光軸と交わる位置よりその第2物体側に配置したときには、広い投影領域を確保しつつ両側テレセントリックにすることが可能で、且つ開口数を変化させた場合でも諸収差を良好に補正できる利点がある。
【0090】
また、本発明の露光装置によれば、本発明による両側テレセントリックで、且つ高い開口数が得られる投影光学系を備えているため、マスクや基板に反りがあっても基板上に高い解像度でマスクパターン像を転写できる利点がある。また、本発明の投影光学系は露光領域が広いため、極めて微細な回路パターンを基板上の広い露光領域に形成できる。
【0091】
更に、本発明のデバイスの製造方法によれば、マスクや基板に反りがある場合でも高性能なデバイスを製造できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態で使用される投影露光装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の投影光学系を示すレンズ断面図である。
【図3】第1の実施の形態の投影光学系の縦収差図である。
【図4】第1の実施の形態の投影光学系の横収差図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の投影光学系を示すレンズ断面図である。
【図6】第2の実施の形態の投影光学系の縦収差図である。
【図7】第2の実施の形態の投影光学系の横収差図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の投影光学系を示すレンズ断面図である。
【図9】第3の実施の形態の投影光学系の縦収差図である。
【図10】第3の実施の形態の投影光学系の横収差図である。
【図11】本発明の実施の形態の投影露光装置を用いて所定の回路パターンを形成する場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
R レチクル(第1物体)
PL 投影光学系
W ウエハ(第2物体)
G1 第1レンズ群
G1p 部分群
G2 第2レンズ群
G2n 部分群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G4n 部分群
G5 第5レンズ群
G5p 部分群
AS 開口絞り
Claims (15)
- 第1物体のパターンの像を第2物体上に形成する屈折型の投影光学系において、
開口数を決定するための開口絞りと、
複数のレンズ素子からなり、前記第1物体と前記開口絞りとの間に位置する前レンズ群と、
複数のレンズ素子からなり、前記開口絞りと前記第2物体との間に位置する後レンズ群と、
を備え、
前記開口絞りの位置を、近軸上において前記第2物体側からの光軸と平行な光線が前記光軸と交わる位置よりも前記第2物体側に配置し、
前記第1物体から前記第2物体までの距離をL、近軸上において、前記第2物体側から光軸に平行に前記投影光学系へ入射する光線が前記光軸と交わる位置から前記開口絞りまでの光軸上の距離をd、前記投影光学系の前記第2物体側の開口数をN.A.としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影光学系。
0.005<d/{L×(1−N.A.)}<0.2 (A) - 請求項1記載の投影光学系であって、
前記開口絞りは可変開口絞りであり、前記開口絞りによって前記第2物体側の開口数N.A.を変えたときに、前記第2物体上の投影領域において口径食の差が最小になるように、前記開口絞りの位置を、近軸上において前記第2物体側からの光軸と平行な光線が前記光軸と交わる位置より前記第2物体側に配置したことを特徴とする投影光学系。 - 請求項1又は2記載の投影光学系であって、
前記前レンズ群と前記後レンズ群とは、全体として前記第1物体側から順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、
負の屈折力を有する第4レンズ群と、
正の屈折力を有する第5レンズ群と、
を配置して構成されることを特徴とする投影光学系。 - 請求項3記載の投影光学系であって、
前記第1レンズ群は両側を負レンズに挟まれた部分群G1pを含み、前記第2レンズ群は両側を正レンズに挟まれた部分群G2nを含み、前記第4レンズ群は少なくとも3枚の負レンズを含む部分群G4nを有し、前記第5レンズ群は少なくとも4枚の正レンズを含む部分群G5pを有し、
前記第1物体から前記第2物体までの距離をL、前記第1レンズ群中の部分群G1pの焦点距離をf1、前記第2レンズ群中の部分群G2nの焦点距離をf2、前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記第4レンズ群中の部分群G4nの焦点距離をf4、前記第5レンズ群中の部分群G5pの焦点距離をf5としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影光学系。
0.05<f1/L<0.4 (B)
0.025<−f2/L<0.15 (C)
0.08<f3/L<0.35 (D)
0.04<−f4/L<0.16 (E)
0.06<f5/L<0.35 (F) - 第1物体のパターンの像を第2物体上に形成する投影光学系において、
前記第1物体側から順に、
両側を負レンズに挟まれた部分群G1pを含む、正の屈折力を有する第1レンズ群と、
両側を正レンズに挟まれた部分群G2nを含む、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
少なくとも1枚の負レンズを含む、正の屈折力を有する第3レンズ群と、
少なくとも3枚の負レンズを含む部分群G4nを有し、負の屈折力を有する第4レンズ群と、
少なくとも4枚の正レンズを含む部分群G5pを有し、全体として少なくとも2枚の負レンズを含み、開口数を決定する開口絞りを内部のレンズ間に有すると共に、正の屈折力を有する第5レンズ群と、を備え、
近軸上において、前記第2物体側からの光軸と平行な光線が光軸と交わる位置を、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間に有し、
前記開口絞りの位置を、近軸上において前記第2物体側からの光軸と平行な光線が前記光軸と交わる位置よりも前記第2物体側に配置し、
前記第1物体から前記第2物体までの距離をL、前記第1レンズ群中の部分群G1pの焦点距離をf1、前記第2レンズ群中の部分群G2nの焦点距離をf2、前記第3レンズ群の焦点距離をf3、前記第4レンズ群中の部分群G4nの焦点距離をf4、前記第5レンズ群中の部分群G5pの焦点距離をf5、近軸上において前記第2物体側からの光軸と平行な光線が光軸と交わる位置から前記第5レンズ群中の前記開口絞りまでの光軸上の距離をd、前記投影光学系の前記第2物体側の開口数をN.A.としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影光学系。
0.05<f1/L<0.4 (1)
0.025<−f2/L<0.15 (2)
0.08<f3/L<0.35 (3)
0.04<−f4/L<0.16 (4)
0.06<f5/L<0.35 (5)
0.005<d/{L×(1−N.A.)}<0.2 (6) - 請求項5記載の投影光学系であって、
前記第2物体上の投影領域の最周辺から光軸と平行に前記第2物体側から入射する光線と、前記第1レンズ群中の部分群G1pを挟む2枚の前記負レンズの各々の面とが交わる点と光軸との距離の最大値をH1max 、最小値をH1min とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影光学系。
1.2<H1max /H1min <1.8 (7) - 請求項5又は6記載の投影光学系であって、
前記第2物体上の投影領域の最周辺から光軸と平行に前記第2物体側から入射する光線と、前記第2レンズ群中の部分群G2nを挟む2枚の前記正レンズの各々の面とが交わる点と光軸との距離の最大値をH2max 、最小値をH2min とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影光学系。
1.15<H2max /H2min <1.75 (8) - 請求項5、6、又は7記載の投影光学系であって、
前記第5レンズ群中の少なくとも2枚の前記負レンズは、前記第1物体側に向けられた凹面を有し、該凹面の曲率半径をRn1とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする投影光学系。
0.15<−Rn1/L<0.3 (9) - 請求項8記載の投影光学系であって、
前記第5レンズ群中の少なくとも2枚の前記負レンズは、前記第1物体側に向けられた凹面よりも前記第2物体側に、前記第2物体側に向けられた第2の凹面を有し、該第2の凹面の曲率半径をRn2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする投影光学系。
0.06<Rn2/L<0.1 (10) - 請求項5〜9の何れか一項記載の投影光学系であって、
前記第3レンズ群は、1枚の負レンズと、複数枚の正レンズとを含み、
前記第3レンズ群中の前記負レンズは、前記複数枚の正レンズよりも前記第1物体側に配置されることを特徴とする投影光学系。 - 請求項5〜10の何れか一項記載の投影光学系であって、
前記第4レンズ群中の最も前記第1物体側には、前記第1物体側に凸面を向けたレンズが配置され、前記第4レンズ群中の最も前記第2物体側には、前記第2物体側に凸面を向けたレンズが配置されることを特徴とする投影光学系。 - 請求項5〜11の何れか一項記載の投影光学系であって、
前記開口絞りは可変開口絞りであり、前記開口絞りによって前記第2物体側の開口数N.A.を変えたときに、前記第2物体上の投影領域において口径食の差が最小になるように、前記開口絞りの位置を、近軸上において前記第2物体側からの光軸と平行な光線が光軸と交わる位置より前記第2物体側に配置したことを特徴とする投影光学系。 - 請求項1〜12の何れか一項記載の投影光学系と、
前記第1物体としてのマスク及び前記第2物体としての基板を位置決めするステージ系と、
前記マスクを照明する照明光学系と、を備え、
前記照明光学系からの露光エネルギービームのもとで、前記マスクのパターンの像を前記投影光学系を介して前記基板上に投影することを特徴とする露光装置。 - 回路パターンの像を形成するための請求項1〜12の何れか一項記載の投影光学系を備え、
露光エネルギービームのもとで、前記回路パターンの像を前記投影光学系を介して基板上に投影することを特徴とする露光装置。 - 請求項13又は14記載の露光装置を用いたデバイスの製造方法であって、
前記基板上に感光材料を塗布する第1工程と、
前記基板上に前記投影光学系を介して前記マスクのパターンの像を投影する第2工程と、
前記基板上の前記感光材料を現像する第3工程と、
該現像後の感光材料をマスクとして前記基板上に所定の回路パターンを形成する第4工程と、を有することを特徴とするデバイス製造方法。
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