JP3924909B2 - 電子演奏装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数系統の演奏音出力手段から位相の異なる演奏音を出力することにより、立体的な音響を形成することができる電子演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラオケ装置などの電子演奏装置は、一般的に左右2チャンネルのいわゆる2チャンネルステレオの演奏音を出力する装置であるが、より立体的な演奏音を出力するために前後に左右のスピーカを設けて4チャンネルの楽音を出力するようにしたものも提案されている。
【0003】
従来、カラオケ装置において演奏音を4チャンネルステレオで出力する場合には、2チャンネルの演奏音をフィルタ処理などで4チャンネルの演奏音に加工するか、または、楽曲データに4チャンネル分のデータトラックを用意し、各チャンネルの演奏音を別々に形成することによって4チャンネルの楽音を出力するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フィルタ処理で2チャンネル信号を4チャンネル化するためには、複雑なフィルタ処理が必要であるため、アンプやプロセッサに専用のDSPを内蔵する必要があり、装置のコストアップの原因になるという問題点があった。
【0005】
また、楽曲データに4チャンネル分のデータトラックを用意する方式の場合、楽曲データのデータサイズが大きくなるという問題点があった。すなわち、カラオケ装置で扱う楽曲データの曲数は1万曲を超えるため、オンラインでダウンロードしたり装置のハードディスクに記憶する場合に伝送時間や記憶容量が極めて大きくなり、通信コストやハードウェアのコストアップを招くという問題点があった。また、このように4チャンネル分のデータトラックで4チャンネル信号を形成する方式では、従来の2チャンネル用の楽曲データでは4チャンネルの演奏音を出力することができないという問題点があった。
【0006】
この発明は、従来からの楽曲データを用い、簡略な構成で4チャンネルなどのマルチチャンネルの演奏音を出力することができる電子演奏装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、演奏音信号を形成するためのノート情報、および、該演奏音信号を複数チャンネルに振り分けて放音するための演奏音制御情報とを含む演奏情報を記憶する記憶手段と、演奏情報に基づいて演奏音信号を形成して、前方の複数チャンネルに出力するフロント演奏音信号形成手段と、記記憶手段に記憶されている演奏情報をそのまま前記フロント演奏音信号形成手段に入力するとともに、この演奏情報を遅延させ、且つ、前記演奏音制御情報の振り分けの態様を変更する制御手段と、前記制御手段によって遅延および変更された演奏情報に基づいて演奏音信号を形成して、後方の複数チャンネルに出力するリア演奏音信号形成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、前記ノート情報は、その音量を制御するベロシティ情報を含み、前記演奏音制御情報は、演奏音に残響を付与する残響情報および周波数特性を制御するフィルタ情報を含み、前記制御手段は、リア演奏音信号形成手段に出力する演奏情報について、ノート情報のベロシティ情報を小さく変更し、前記残響情報を残響が長くなるように変更し、および、前記フィルタ情報を前記演奏音の高域が抑制されるように変更することを特徴とする。
【0009】
なお、この発明において、演奏情報は、鍵盤等から入力されるリアルタイムの演奏情報でもよく、カラオケ装置の楽曲データのような自動演奏データから読み出されるイベントデータでもよい。また、これらを複合したものでもよい。
【0012】
なお、この発明において、位相差は時間的な遅延によって形成してもよく、形成する演奏音信号に関数波形を乗算することにより位相をシフトするようにしてもよい。また、各系統の演奏音信号に位相差以外に音量差や効果の程度の差を設けるようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、カラオケ装置を例にとってこの発明の実施形態を説明する。一般的なカラオケ装置は、電子的に楽音信号を形成する音源装置とバックコーラスなどの音声信号を再生する音声データ処理部(ADPCMデコーダ)とを備えており、音源装置が形成した楽音信号と音声データ処理が再生した音声信号をミキシングしてカラオケ演奏音信号が形成される。そして、このカラオケ演奏音信号が所定のパンデータによって左右2チャンネルに振り分けられて2チャンネルのステレオ信号として出力される。
【0014】
カラオケ演奏用の楽曲データは、前記音源装置を駆動するための楽音トラックおよび音声データ処理部を駆動するための音声制御トラック,音声データを有しているが、それぞれ1トラックずつであり、1つの演奏音を形成するためのデータは1つだけが記録されている。このカラオケ装置は、この1つのデータで2系統の演奏音信号形成部を駆動して前後2系統の演奏音信号を形成し、前後の演奏音出力部からカラオケ演奏音として出力する。そして、この前後系統別に形成される演奏音信号の位相,音量,効果に差をつけることにより、出力されるカラオケ演奏音に広がり感を持たせるようにしている。
【0015】
また、カラオケ曲の演奏は、複数パート(複数音色)で行われることが一般的であるが、各パート毎に上記位相,音量,効果の差のつけかたを異ならせることによって、カラオケ演奏音に立体感を持たせるようにしている。
【0016】
図面を参照して上記カラオケ装置について説明する。図1は同カラオケ装置のブロック図である。図2は演奏音信号形成部18およびコントロールアンプ2の詳細図である。図3は同カラオケ装置で用いられる楽曲データの構成を示す図である。このカラオケ装置において、利用者によってカラオケ曲がリクエストされると、このカラオケ曲の楽曲データをハードディスク17やCD−ROMチェンジャ4のCD−ROMから読み出して演奏音信号形成部18を駆動してカラオケ演奏を実行する。演奏音信号形成部18は図2に示すように前後2系統の演奏音信号形成部18a,18bからなっている。演奏音信号形成部18a,18bが形成したカラオケ演奏音信号はコントロールアンプ2を介してスピーカ5から演奏音として出力される。スピーカ5は4台のスピーカ5a,5b,5C,5dからなり、それぞれ部屋の前後の左右両隅に設置されている。
【0017】
図1において、このカラオケ装置は、カラオケ装置本体1,コントロールアンプ2,CD−ROMチェンジャ4,スピーカ5,モニタ6,マイク7および赤外線のリモコン装置8で構成されている。カラオケ装置本体1はこのカラオケ装置全体の動作を制御する。該カラオケ装置本体1の制御装置であるCPU10には、内部バスを介してROM11,RAM12,ハードディスク記憶装置17,通信制御部16,リモコン受信部13,表示パネル14,パネルスイッチ15,演奏音信号形成部18,文字表示部20,表示制御部21が接続されるとともに、上記外部装置であるコントロールアンプ2およびCD−ROMチェンジャ4がインタフェースを介して接続されている。
【0018】
ROM11にはこの装置を起動するために必要な起動プログラムなどが記憶されている。装置の動作を制御するシステムプログラム,カラオケ演奏実行プログラムなどはハードディスク記憶装置17に記憶されている。カラオケ装置の電源がオンされると上記起動プログラムによってシステムプログラムやカラオケ演奏プログラムがRAM12に読み込まれる。
【0019】
ハードディスク記憶装置17には、上記プログラムを記憶するプログラム記憶エリアのほか、楽曲データを記憶する楽曲データ記憶エリアなどが設定されている。楽曲データ記憶エリアは、数千曲分の楽曲データを記憶することができ、配信センタ9が定期的にダウンロードしてくる新曲の楽曲データなどが記憶される。また、通信制御部16はISDN回線を介して配信センタ9と接続される。配信センタ9は、定期的にカラオケ装置に対して電話を掛け、新曲の楽曲データ,バージョンアップされた制御プログラムなどをダウンロードしてくる。
【0020】
リモコン装置8は、テンキー,予約キーなどのキースイッチを備えており、利用者がこれらのスイッチを操作するとその操作に応じたコード信号が赤外線で出力される。利用者はテンキーを操作して所望のカラオケ曲の曲番号を入力し、その曲をリクエストする場合には続いて予約キーをオンする。リモコン受信部13はリモコン装置8から送られてくる赤外線信号を受信して、そのコード信号を復元しCPU10に入力する。CPU10は、リモコン装置8から曲番号がリクエスト曲として入力されると、この曲番号をRAM12に設定されている予約曲リストに登録する。
【0021】
表示パネル14はこのカラオケ装置本体1の前面に設けられており、現在演奏中の曲番号や予約曲数を表示するマトリクス表示器や、現在設定されているキーやテンポを表示するLED群などを含んでいる。パネルスイッチ15は、前記リモコン装置8と同様の曲番号入力用のテンキー,予約キーなどのほかキーチェンジスイッチ、テンポチェンジスイッチを備えている。
【0022】
文字表示部20はVRAMを備え、カラオケ曲の歌詞などを文字パターンに展開する。この文字パターンは、映像信号として表示制御部21に入力される。また、カラオケ演奏時はCD−ROMチェンジャ4は背景映像を再生し、この映像信号も表示制御部21に入力される。表示制御部21は、文字パターンを背景映像にスーパーインポーズで合成してモニタ6に表示する。なお、CD−ROMチェンジャ4にセットには6枚程度のCD−ROMをセットすることができ、そのうち数枚には上記背景映像が記録されており、他の数枚には定番となっているカラオケ曲の楽曲データが記録されている。
【0023】
演奏音信号形成部18は、図2に示すように前後2系統の演奏音信号形成部18a,18bからなっており、各演奏音信号形成部18a,18bは、それぞれ電子的に楽音信号を形成する音源装置28a,28b、バックコーラスなどのデジタル信号を再生する音声データ処理部29a,29bを有している。音源装置28は、図3に示す楽曲データの楽音トラックから読み出されたイベントデータに基づいて楽音信号を形成する。音源装置28は複数の楽音を同時に形成することが可能であり、楽曲データに含まれる複数パートのトラックに基づいて、複数パート(複数音色)の楽音信号を同時に形成することができる。音声データ処理部29は、楽曲データに含まれるADPCM信号である音声データを、指定された長さ,指定された音高で再生する。
【0024】
カラオケ演奏時、前系統の演奏音信号形成部18aには読み出された楽曲データがそのまま入力される。一方、後系統の演奏音信号形成部18bには、楽曲データのベロシティの値を変更するとともに、所定時間遅延させたのち入力される。これによって、前系統の楽音と後系統の楽音に位相差が生じ、同じ楽曲データを用いているにもかかわらず奥行き感が与えられる。この値の変更や遅延制御は、楽曲データの読み出しを行うCPU10が、楽曲データを読み出したときに並行して行う。また、この値の変更は後系統に入力するときのみに行われるものであり、楽曲データそのものを書き換えることはしない。以下に説明する他のデータの値の変更についても同様である。
【0025】
演奏音信号形成部18a,18bは、ともに、左右2チャンネルのステレオの演奏音信号を形成する回路であり、左右の音量比率は楽曲データに含まれるパンデータによって制御される。このパンデータも前系統の演奏音信号形成部18aにはそのまま入力され、後系統の演奏音信号形成部18bには値を変更するとともに所定時間遅延したのち入力される。これにより、前系統と後系統とでは微妙に位相の異なる演奏音信号が出力される。
【0026】
また、演奏音信号形成部の音源装置28は、複数パート(複数音色)の楽音信号を形成することができるが、上記データの変更や遅延時間は、各パート毎に異なっている。これにより、楽音の広がりが各パート毎に異なり立体的な音響を形成することができる。各パート毎の変更内容や遅延時間は、何らかルールで生成してもよく、各パート別にテーブルに記憶しておいてもよい(図4(B)参照)。また、値の変更の方式は、係数を乗算する方式、係数を加算する方式などを採用することができる。
【0027】
コントロールアンプ2は、図2に示すように、前左(FL)、前右(FR)、後左(RL)、後右(RR)の4チャンネルのアンプ2a,2b,2c,2dからなっている。前系統の演奏音信号形成部18aが形成したカラオケ演奏音信号は、アンプ2a,2bに入力される。また、後系統の演奏音信号形成部18bが形成したカラオケ演奏音信号は、アンプ2c,2dに入力される。コントロールアンプ2(2a,2b,2c,2d)は、入力された演奏音信号に残響系,フィルタ系などの効果を付与するとともに増幅してスピーカ5a,5b,5c,5dに出力する。コントロールアンプ2が付与する効果の種類や程度は楽曲データの効果制御データ(効果制御トラックのイベントデータ)によって制御される。効果制御データは前系統のアンプ2a,2bにはそのまま入力され、後系統のアンプ2c,2dには効果の程度を変更するとともに所定時間遅らせたのち入力される。
【0028】
また、コントロールアンプ2には2本のマイク7a,7bが接続されており、各マイク7a,7bから入力された歌唱音声信号もそれぞれ別々のバランスで各アンプ2a,2b,2c,2dに入力される。
【0029】
図3を参照して前記楽曲データの構成およびこのデータに基づくカラオケ装置の動作を説明する。楽曲データは、ヘッダ、楽音トラック、歌詞トラック、音声制御トラック、効果制御トラックおよび音声データ部からなっている。ヘッダは、この楽曲データに関する種々のデータが書き込まれる部分であり、曲番号,曲名,ジャンル,発売日,曲の演奏時間などのデータを含んでいる。各楽曲データは曲番号で識別される。
【0030】
楽音トラック,歌詞トラック,音声制御トラック,効果制御トラックの各トラックは全てMIDIフォーマットで記述されている。MIDIフォーマットは、本来楽音トラックのような楽音制御用のデータを記述するためのフォーマットであるが、全データを統一したフォーマットで記述し、インプリメントを容易にするため、楽音以外のトラックもMIDIフォーマットで記述している。MIDIフォーマットのトラックは複数のイベントデータと各イベントデータの読み出しタイミングを指示するタイミングデータからなっている。カラオケ曲の演奏時には、上記複数のトラックが並行して読み出される。各トラックにおいて、所定のテンポクロックにより前記タイミングデータの値をカウントし、この値がカウントアップしたとき、次のイベントデータが読み出される。読み出されたイベントデータは演奏音信号形成部18,コントロールアンプ2など所定の動作部に出力され、該動作部において対応する処理が実行される。
【0031】
楽音トラックは、メロディトラック,リズムトラックなど複数パートのトラックからなっている。楽音トラックのイベントデータは楽音の発音を指示するノートオンイベントデータや楽音の消音を指示するノートオフイベントデータなどであり、これらイベントデータは演奏音信号形成部18の音源装置28に出力される。
【0032】
歌詞トラックのイベントデータは、モニタ6に表示する歌詞の文字コード,表示座標,表示色などを指示するデータからなっており、CPU10はこのデータに基づいて文字パターンを文字表示部20のVRAM上に展開する。
【0033】
音声制御トラックのイベントデータは、音声データ部の音声データの再生を指示するデータである。音声データは、上述したように、音源装置28で合成しにくいバックコーラスなどの人声をデジタル化したデータであり、音声制御トラックによってその読み出しタイミングが指示される。音声制御トラックのイベントデータが読み出され、音声データの読み出しが指示されると、CPU10がこれを演奏音信号形成部18の音声データ処理部29に入力する。音声データ処理部29はデジタルの音声データをアナログ信号に復調してコントロールアンプ2に出力する。
【0034】
効果制御トラックのイベントデータは、コントロールアンプ2の動作を制御するためのデータであり、このデータによってカラオケ演奏音やマイク7から入力される歌唱音声に対して付与する効果の種類や程度などを制御する。
【0035】
このように、楽曲データは、1系統の楽音信号を発生するためのデータのみ記録したものである。上述したように前系統の演奏音信号形成部18aおよびコントロールアンプ2a,2bに対しては、このデータをそのまま出力して演奏音信号の形成,効果の制御などを行うが、後系統の演奏音信号形成部18bおよびコントロールアンプ2c,2dに対しては、このデータを変更・遅延したものを出力して楽音信号の形成,効果の制御などを行う。これにより、この従来より一般的な構成の楽曲データで広がりのある立体的なカラオケ演奏音を4チャンネルで出力することができる。
【0036】
図4はCPU10の楽曲データ読み出し動作を示すフローチャートおよびデータ変換テーブルを示す図である。同図(A)において、カラオケ演奏がスタートするとタイミングデータに従って順次イベントデータを読み出してゆく。イベントデータが読み出されたときこの動作が実行される。イベントデータが読み出されると、読み出されたイベントデータをそのまま前系統の演奏音信号形成部18aまたは前系統のアンプ2a,2bに出力する。すなわち、楽音トラックのイベントデータ(ノートイベントデータ,パンデータ,プログラムチェンジデータ(音色切換データ)など)であればこれを演奏音信号形成部18aに出力し、効果制御データであればコントロールアンプ2a,2bに出力する。こののち、このイベントデータのパートを割り出す(s2)。このパートはそのチャンネルの音色などで判断することができる。また、音色にかかわらずチャンネル番号でパートを決定するようにしてもよい。
【0037】
パート割出ののち、読み出されたイベントデータがノートデータであるか効果制御データであるかパン制御データであるかその他のデータであるかを判断する(s3,s4,s5)。ノートデータの場合、割り出されたパートに対応するノートデータの変更内容をデータ変換テーブル(同図(B)参照)から読み出し(s6)、これに従ってノートデータのベロシティを変更する(s7)。そして、このパートの対応する遅延時間だけ遅延させたのち(s12)、後系統の演奏音信号形成部18b(音源装置28)に出力する。一般的に、ベロシティは弱くする傾向に変更される。
【0038】
また、読み出されたイベントデータが効果制御データの場合(s4)、割り出されたパートに対応する効果制御データの変更内容をデータ変換テーブルから読み出し(s8)、これに従って効果制御データの効果レベルを変更する(s9)。そして、このパートの対応する遅延時間だけ遅延させたのち(s12)、後系統のコントロールアンプ2c,2dに出力する。付与される効果が残響系の効果の場合、一般的に効果レベルを長くする傾向に変更される。また、フィルタ系の効果の場合、一般的に高域を抑制する傾向に効果レベルが変更される。
【0039】
また、読み出されたイベントデータがパン制御データの場合(s5)、割り出されたパートに対応する定位係数(左右チャンネルの出力レベル比率)の変更内容をデータ変換テーブルから読み出し(s10)、これに従ってパン制御データの定位係数を変更する(s11)。そして、このパートの対応する遅延時間だけ遅延させたのち(s12)、後系統の演奏音信号形成部18b(音源装置28)に出力する。定位係数は各パートの音色に適するように考慮して決定される。
【0040】
以上の動作により、1つのイベントデータによって前系統と後系統で微妙に異なる別の演奏音信号が形成され広がりのある音響を形成することができる。
【0041】
なお、データ変換テーブルは、スピーカ5が設置される部屋の広さなどの条件に合わせた遅延時間,残響系,フィルタ系の効果制御データの変更内容を記憶したものにすればよい。
【0042】
なお、上記実施形態では、前系統と後系統で別個の演奏音信号形成部を設けているが、1つの演奏音信号形成部が十分な能力を有するものであれば、これをチャンネル分割または時分割して前系統と後系統に共用するようにしてもよい。
【0043】
上記実施形態では、前系統と後系統の2系統の演奏音信号形成部を設けたが、この発明の系統数は2系統に限定されるものではない。また、この実施形態では前系統,後系統とも2個のアンプと2個のスピーカを接続しているがこの個数も2個に限定されない。また、前左(FL)、前右(FR)、後左(RL)、後右(RR)の4チャンネルを全て別系統として4系統の演奏音信号を別々に形成するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、前系統には楽曲データの内容をそのまま出力し、後系統にはその値を変更して出力するようにしているが、逆に後系統には楽曲データの内容をそのまま出力し、前系統に出力するデータの内容を変更するようにしてもよい。また、遅延時間についても逆にしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では楽曲データの内容を必ず前後の系統に出力するようにしているが、データによっては前系統または後系統に選択的に出力するようにしてもよい。そのときにデータはそのまま出力しても内容を変更して出力してもよい。
【0046】
また、上記実施形態ではカラオケ装置について説明したが、これ以外の電子演奏装置たとえば電子楽器などにもこの発明を適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、複数の演奏音出力手段に対して少なくとも位相差を有する演奏音信号が別々に形成されるため、従来より一般的なカラオケ演奏用の楽曲データなどの演奏情報に基づいて多系統の広がりのある演奏音を出力することができる。この場合でも複雑なフィルタ処理などを行わないため、構成を簡略化することができる。
【0048】
請求項2の発明によれば、パート毎に異なる位相差で複数系統の演奏音信号を形成するようにしたことにより、各パートの演奏音毎に異なる広がりの音響となりより立体的な音響を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるカラオケ装置のブロック図
【図2】同カラオケ装置の楽音形成系統,楽音出力系統の詳細図
【図3】同カラオケ装置で用いられる楽曲データの構成を示す図
【図4】同カラオケ装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
18(18a,18b)…演奏音信号形成部、
28…音源装置、29…音声データ処理部、
2(2a,2b,2c,2d)…コントロールアンプ、
5(5a,5b,5c,5d)…スピーカ

Claims (2)

  1. 演奏音信号を形成するためのノート情報、および、該演奏音信号を複数チャンネルに振り分けて放音するための演奏音制御情報とを含む演奏情報を記憶する記憶手段と、
    演奏情報に基づいて演奏音信号を形成して、前方の複数チャンネルに出力するフロント演奏音信号形成手段と、
    前記記憶手段に記憶されている演奏情報をそのまま前記フロント演奏音信号形成手段に入力するとともに、この演奏情報を遅延させ、且つ、前記演奏音制御情報の振り分けの態様を変更する制御手段と、
    前記制御手段によって遅延および変更された演奏情報に基づいて演奏音信号を形成して、後方の複数チャンネルに出力するリア演奏音信号形成手段と、
    を備えた電子演奏装置。
  2. 前記ノート情報は、その音量を制御するベロシティ情報を含み、前記演奏音制御情報は、演奏音に残響を付与する残響情報および周波数特性を制御するフィルタ情報を含み、
    前記制御手段は、リア演奏音信号形成手段に出力する演奏情報について、ノート情報のベロシティ情報を小さく変更し、前記残響情報を残響が長くなるように変更し、および、前記フィルタ情報を前記演奏音の高域が抑制されるように変更する請求項1に記載の電子演奏装置。
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