JP3922624B2 - デザインパネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートの表面に凹凸模様を転写するために使用されるデザインパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の基礎又は塀等のコンクリート構造物は、一般に表面が平滑であるため、変化に乏しく見栄えも悪くなりがちである。そのため、硬化したコンクリート表面にモルタルを塗布したり吹き付けたりしてある程度の凹凸を施したり、タイル貼りすること等により、建築物の基礎又は塀等のコンクリート構造物の見栄えを向上させる工夫をおこなっていた。しかしながら、このような処理は工数が増加して多大な手数と労力を必要とするだけでなく、工期が長くなり、コスト高になるという問題点があった。
【0003】
そこで、凹凸模様を有するデザインパネルを型枠に取り付けて、コンクリートを打設することが提案されている。このようにすると、コンクリートの打放し工法をおこなうだけで、脱枠後のコンクリートの表面にデザインパネルの凹凸模様の形が転写されるので、モルタルによる処理やタイル貼り等をおこなわずに、コンクリート基礎の外観を建築物の外観にマッチさせることができる。
【0004】
このために、前記デザインパネル100は、例えば、図7に示すように、該デザインパネル100の上端101を型枠102の上面103に乗るように略直角に折り曲げ、下端104は型枠102の高さより少し短くしておくとともに、下部固定金具105の一方の引掛け片106が引っ掛かりやすいように2つの膨出部107を形成して構成されている。
【0005】
前記デザインパネル100の前記型枠102への取付けは、上部固定金具108の一方の引掛け片109を前記デザインパネル100の上端101に引っ掛けて、その他方の引掛け片110を前記型枠102の側面に掛着させるとともに、前記下部固定金具105の一方の引掛け片106を前記デザインパネル100の下端104の膨出部107の引っ掛けて、その他方の引掛け片111を前記型枠102の側面に掛着させることによりおこなわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のデザインパネル100は、前述のように、主にコンクリート基礎の側面に凹凸模様を転写ために設計されているので、コンクリート塀のように左右だけでなく上下方向にも広い面に有するコンクリート構造物に凹凸模様を転写する場合には、以下に示す問題点があった。
【0007】
まず、上下方向に高さを有すれば有するほど、コンクリート打設時のコンクリート側圧が大きくなる。このとき、デザインパネル100の上端101及び下端104はそれぞれ上部固定金具108、下部固定金具105とにより型枠102に固定されているが、隣接するデザインパネル100どうしは互いに当接しているだけなので、図8に示すように、コンクリート打設時に、各デザインパネル100が各型枠102にぴったりと密着した状態を維持していなければ、隣接するデザインパネル100どうしの継ぎ目に膨らみが生じたり、デザインパネル100の側縁が変形している場合には、打設時にコンクリートが前記デザインパネル100と型枠102との間に回り込むことがあるという問題点があった。
【0008】
この結果、デザインパネル100の凹凸模様が許容範囲を超えて変形し、デザインパネル100の凹凸模様をコンクリートの表面に正確に転写することができないという問題点があった。
【0009】
また、前記膨出部107が形成されている下端に比べて、前記デザインパネル100の上端101は横方向の力に弱く、施工時のコンクリートの側圧によって、前記デザインパネル100が折れ曲がる等してデザインパネル100の凹凸模様に著しい変形を生じて、前述と同様に、前記デザインパネル100の凹凸模様をコンクリートの表面に正確に転写することができないという問題点があった。
【0010】
更に、コンクリートが硬化して前記型枠102を脱枠するまで、コンクリートの表面に前記デザインパネル100の凹凸模様が正確に転写されているかどうかを確認することができないので、凹凸模様の変形が許容範囲を超えている場合には、変形箇所にモルタルで修正等をおこなわなければならず、作業工数が増加するだけでなく、これに伴うコストアップという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、デザインパネルの一側縁に延出片を設けることにより、施工時のコンクリートの側圧によって、デザインパネルどうしの継ぎ目に隙間が生じたり、この隙間からコンクリートが漏出したりすることを防ぐとともに、デザインパネルの目地形状の変形を抑えるデザインパネルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載のデザインパネルは、コンクリート構造物の表面に凹凸模様を転写するために、型枠の表側面に沿わせて取り付けられる凹凸模様を備えたデザインパネルであって、凹凸模様を有するデザインパネル本体と、該デザインパネル本体の上端部を略直角に折曲して形成されたフランジ部とからなり、前記デザインパネル本体の上端部及び下端部には長さ方向に沿って前記凹凸模様が施されていない無模様部がそれぞれ形成され、該下端部の無模様部には長さ方向に沿って前記フランジ部と反対の方向へ突出する突起が設けられ、前記デザインパネル本体の一側縁には上下方向に伸びるリブが前記フランジ部と反対の方向へ突出して設けられ、前記デザインパネル本体の一側縁のリブのさらに一側縁側を延出して形成された延出片が設けられたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載のデザインパネルは、請求項1に記載のデザインパネルにおいて、前記デザインパネルの上端部の無模様部に長さ方向に沿って前記フランジ部と反対の方向へ突出する突起が設けられたこと特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態に係るデザインパネル10は、図1に示すように、非発泡の合成樹脂薄板、具体的には、ポリスチレン、ポリプロピレン又はポリエチレン等の熱可塑性樹脂の薄板からなり、その表面に凹凸状に成形された所望の凹凸模様11が施されたデザインパネル本体12と、該デザインパネル本体12の上端部12aを略直角に折曲して形成されたフランジ部13(図3参照)とからなり、前記デザインパネル本体12の上端部12a及び下端部12bには長さ方向に沿って前記凹凸模様11が施されていない無模様部14a、14bが形成されて、該各無模様部14a、14bには長さ方向に沿って前記フランジ部13と反対の方向へ突出する一条の突起15a、15bがそれぞれ設けられるとともに、前記デザインパネル本体12の一側縁12cを延出して形成された延出片16が設けられて構成されている。
【0015】
その高さは取り付ける型枠の高さと等しいか少し短い高さとし、その長さは型枠の長さと等しいか少し長い長さとしている。また、前記無模様部14a、14bの上下幅は、特に限定されないが、凹凸模様11を形成する範囲等を考慮して定められている。
【0016】
前記凹凸模様11の突出高さは、低すぎると凹凸模様11が目立たなくなり、高すぎると成形が困難になるだけでなく、施工されるコンクリート構造物の幅厚の確保が困難になるため、施工後の見栄えと好適な幅厚の確保を考慮して定められている。なお、その形状は、図1に示すものに限定されないで、平面視で多角形、折線、円形、楕円形、波形等の各種の規則的形状とすることができるほか、各種の不規則形状とすることもできる。
【0017】
また、上下方向に伸びるリブ17が、デザインパネル本体12の中央部12d及び一側縁12cに1本ずつフランジ部13と反対の方向へ突出して設けられている。このとき、前記中央部12dのリブ17は、施工後のコンクリート塀82にこれらリブ17が転写されることにより形成される縦溝83(図6参照)が略等間隔となるように、この2本のリブ17の中心間距離が、中央部12dのリブ17の中心から他側縁12eまでの距離よりリブ17の幅の略1/2だけ長くなるように設けられている。
【0018】
そして、前記各突起15a、15bは、一側縁12cのリブ17と中央部12dのリブ17との間と、中央部12dのリブ17と他側縁12eとの間にそれぞれ形成されている。その突出高さは、凹凸模様11の突出高さと等しい又はそれよりも小さい寸法としている。また、その長さは2本のリブ17の中心間距離又は中央部のリブ17の中心から他側縁12eまでの距離より少し短くしている。
【0019】
なお、本実施の形態では、2つの突起15a、15bを設けているが、上端部12aはフランジ部13により補強されているので、下端部12bのみに突起15bを設けることとしてもよい。
【0020】
前記延出片16は、図1に示すように、デザインパネル本体12の一側縁12cをその高さ方向全長にわたって一定幅で延出するように形成されている。一側縁12c側のリブ17の中心からの延出幅Wは、特に限定されないが、作業性等を考慮して定められている。また、その板厚はデザインパネル12の板厚と等しい又はそれよりもわずかに薄い寸法としている。
【0021】
次に、本発明の実施の形態に係る施工具について説明する。図2に示すように、型枠20と、デザインパネル10の上端部12a又は下端部12bを型枠20の上端21に固定する上部留め具30と、デザインパネル10の下端部12b又は上端部12aを型枠20の下端22に固定するとともに、型枠20を上下配置する際に、上段の型枠20の表側面23と下段の型枠20の表側面23とを略面一に保持する下部留め具40と、上段の型枠20と下段の型枠20との間に取り付けて、相対向する一対の型枠20の間隔を施工すべきコンクリート塀の厚みに対応した間隔に保持するセパレータ50等から構成されている。なお、本実施の形態では、これらの施工具等を使用したが、型枠20の表側面23にデザインパネル10を取り付けることができ、かつ型枠20を上下方向に連結、固定することができれば、これに限定されない。
【0022】
以下、前述の施工具等を用いたコンクリート塀の施工について説明する。まず、デザインパネル10の延出片16が突出するようにして表側面23にデザインパネル10を取り付けた型枠20を互いに相対向するように立設する。横方向に所定の枚数を配設する際には、図3に示すように、一の型枠20に取り付けられているデザインパネル10の延出片16を隣接する他の型枠20の表側面23とデザインパネル本体12との間に差し込みながら、適当な固定手段により隣接する型枠20を相互に連結、固定する。
【0023】
このとき、図2に示すように、相対向する型枠20のうち、一方の型枠20は、上面24にデザインパネル10のフランジ部13を乗せて、型枠20の表側面23全体を覆うようにデザインパネル本体12をあてがい、上部留め具30で、型枠20の上端21とデザインパネルの上端部12aとを挟持することにより、デザインパネル10を型枠20に取り付ける。
【0024】
また、相対向する型枠20のうち、他方の型枠20は、型枠20の下面25にデザインパネル10のフランジ部13を敷設して、型枠20の表側面23全体を覆うようにデザインパネル本体12をあてがい、上部留め具30で、型枠20の上端21とデザインパネル10の下端部12bとを挟持することにより、デザインパネル10を型枠20に取り付ける。
【0025】
このように、相対向する型枠20のうち、他方の型枠20にデザインパネル10の上下を逆にして取り付けることにより、図4に示すように、相対向する型枠20の延出片16が同じ方向を向くこととなる。
【0026】
次に、これら最下段に位置する相対向する型枠20の下端どうしを、一般に使用されている基礎用のセパレータ等により固定して、デザインパネル10の下端部12bを型枠20の下端22に固定するとともに、相対向する型枠20の下端22間の間隔を、施工すべきコンクリート塀の厚みに対応した所定の間隔に保持する。
【0027】
型枠20を横方向に連結後、図5に示すように、セパレータ50を隣合う上部留め具30間に嵌め込むようにして相対向する型枠20間に設置するとともに、上部留め具30上に下部留め具40を設置した後、デザインパネル10を取り付けた型枠20を、下部留め具40の引掛け部41にデザインパネル10の突起15a又は15bを引掛けるようにして既に固定されている型枠20の上面24に載置して、下部留め具40の楔打込み孔42及びセパレータ50の載置板51の楔打込み孔52にそれぞれ楔60(図2参照)を打ち込むとともに、適当な固定手段を用いて上下方向に隣接する型枠20を相互に連結、固定することにより、型枠20を上下方向に連結する。
【0028】
以下、同様の要領で、所望の高さになるまで、型枠20を上方向に連結、固定してゆくとともに、横方向に隣接する型枠20を相互に連結、固定して、所望枚数の型枠20を配設した後、不図示の支保工により型枠20の裏側面から支持する。
【0029】
最後に、最上段に位置する相対向する型枠20の上端21どうしを適当な固定手段により固定して、コンクリート打設時のコンクリートの側圧による相対向する型枠20の各上端21間の間隔の広がりを防止する。
【0030】
これにより、施工すべきコンクリート塀の両側面に凹凸模様付与することとなるが、相対向する型枠20のうち一方の型枠20のみにデザインパネル10を取り付けて、いずれか一方の側面のみに凹凸模様を付与することとしてもよい。
【0031】
型枠20の配設後、必要により、相対向する型枠20間のコンクリート充填空間70(図2参照)に不図示の鉄筋の配筋をおこなった後、このコンクリート充填空間70にコンクリートを打設する。
【0032】
このとき、図4に示すように、相対向する型枠20の延出片16は互いに同じ方向を向いているので、隣接する他の型枠20から一の型枠20に向ってコンクリートを打設することによって、相対向する型枠20の双方において、横方向に隣接するデザインパネル10の継ぎ目部分に隙間が生じることなく、この継ぎ目部分にコンクリートが回り込むことを防ぐことができるとともに、延出片16により継ぎ目部分に重なりが生じるので、デザインパネル10のコンクリート打設時のコンクリートの側圧による凹凸模様11の変形を抑えることができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、デザインパネル10の厚さを可能な限り薄くし、一のデザインパネル10の延出片16と隣接する他のデザインパネル10との重ね合わせ部分の盛り上りを最小限に抑えて、デザインパネル本体12を略面一に保つように構成しているので、施工後のコンクリート塀の表面に何ら遜色はない。
【0034】
この後、コンクリートが徐々に硬化することにより、デザインパネル10の凹凸模様11がコンクリートに転写される。
【0035】
そして、コンクリートを十分に養生させた後、型枠20を脱枠するとともに、セパレータ50の載置板51をセパレータ50の本体から切離すと、図6に示すように、側面80にデザインパネル10の凹凸模様11に対応する凹凸模様81が転写されたコンクリート塀82が現われる。
【0036】
このとき、コンクリート塀82の側面80にはデザインパネル10のリブ17に対応した上下方向に伸びる縦溝83が横方向に、型枠20の上下方向に継ぎ目には上部留め具30及び下部留め具40に対応した横方向に伸びる横溝84が上下方向に、それぞれ略等間隔に複数本形成され、凹凸模様81とともに、装飾模様の一部分を構成する。
【0037】
なお、本実施の形態においては、コンクリート塀の側面に凹凸模様を転写することとしたが、これに限定されずに、基礎、擁壁等の各種コンクリート構造物に凹凸模様を転写することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載のデザインパネルの型枠への取付構造によれば、デザインパネルの一側縁に延出片を設けたので、隣接するデザインパネルとの継ぎ目に重なり部分が生じることとなるので、継ぎ目部分の強度が増し、コンクリートを横方向に隣接する他の型枠から一の型枠に向って一方向に打設することにより、隣接するデザインパネルどうしの継ぎ目に膨らみが生じたり、前記デザインパネルの側縁が変形したりすること等を防いで、前記継ぎ目部分にコンクリートが回り込むことを防ぐことができるという利点がある。
【0039】
また、このように、コンクリートが前記デザインパネルと前記型枠との間に回り込むことを防ぐことができるので、前記デザインパネルの凹凸模様が許容範囲を超えて変形することなく、前記デザインパネルの凹凸模様をコンクリートの表面に正確に転写することができるという利点がある。
【0040】
請求項2に記載のデザインパネルによれば、デザインパネルの上端部にも突起を形成したので、横方向に強度が増し、型枠への取付け時にデザインパネルが折れ曲がることを抑えることができるとともに、コンクリート打設時のコンクリートの側圧による目地形状の変形を抑えることができるという利点がある。
【0041】
また、デザインパネルの上下についての方向性をなくすことができるので、相対向する型枠の一方にデザインパネルを上下逆にして取り付けることにより、相対向するデザインパネルの延出片どうしが同じ方向を向くこととなり、コンクリートの打設時に相対向する双方の型枠について、隣接するデザインパネルどうしの継ぎ目に膨らみが生じたり、前記デザインパネルの側縁が変形したりすること等を防いで、前記継ぎ目部分にコンクリートが回り込むことを防ぐことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデザインパネルを示す概略正面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図6】コンクリート塀を示す部分正面図である。
【図7】従来の実施の形態を示す概略断面図である。
【図8】従来の実施の形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 デザインパネル
11 凹凸模様
12 デザインパネル本体
12a 上端部
12b 下端部
13 フランジ部
14a、14b 無模様部
15a、15b 突起
16 延出片

Claims (2)

  1. コンクリート構造物の表面に凹凸模様を転写するために、型枠の表側面に沿わせて取り付けられる凹凸模様を備えたデザインパネルであって、
    凹凸模様を有するデザインパネル本体と、該デザインパネル本体の上端部を略直角に折曲して形成されたフランジ部とからなり、
    前記デザインパネル本体の上端部及び下端部には長さ方向に沿って前記凹凸模様が施されていない無模様部がそれぞれ形成され、
    該下端部の無模様部には長さ方向に沿って前記フランジ部と反対の方向へ突出する突起が設けられ、
    前記デザインパネル本体の一側縁には上下方向に伸びるリブが前記フランジ部と反対の方向へ突出して設けられ、
    前記デザインパネル本体の一側縁のリブのさらに一側縁側を延出して形成された延出片が設けられたことを特徴とするデザインパネル。
  2. 前記デザインパネルの上端部の無模様部に長さ方向に沿って前記フランジ部と反対の方向へ突出する突起が設けられたこと特徴とする請求項1に記載のデザインパネル。
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