JP3922193B2 - 廃棄物の熱分解装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物を熱分解して搬送する廃棄物熱分解装置に係り、また廃棄物熱分解装置と燃焼溶融炉とを備えた廃棄物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物を熱分解し、生成した熱分解ガスと熱分解残渣とを分離し、熱分解残渣を搬送して不燃成分と可燃成分とに分離し、可燃成分を燃焼溶融炉で燃焼することは周知である(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−122536号公報(特許請求の範囲、図1,図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
廃棄物処理では、熱分解炉で連続的に生成する熱分解残渣を下流側に速やかに搬送することが重要である。熱分解残渣が搬送管内で詰まったりすることは搬送不良に繋がるので避けなければならない。
【0005】
従来技術には、熱分解残渣の搬送過程で外部空気が侵入するのを防止するために、熱分解残渣排出系をマテリアルシール構造にすることは記載されているが、搬送不良防止に関しては記載されていない。
【0006】
本発明の目的は、熱分解残渣を搬送する搬送管内で、熱分解残渣の搬送不良が生じないようにした廃棄物熱分解装置及び廃棄物処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、廃棄物を熱分解する熱分解炉と、前記熱分解炉の出口に設けられ熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して熱分解残渣を排出する熱分解残渣排出機構とを具備した熱分解装置において、前記熱分解残渣排出機構に、熱分解残渣が搬送される方向とは逆方向から不活性ガスを導入する不活性ガス導入部を設け、前記排出機構は、前記熱分解炉で生成した熱分解ガスを上部排出口から排出し熱分解残渣を下部排出口から排出するように構成した排出管と、前記排出管に接続され、熱分解残渣の流れを鉛直方向の流れから水平方向の流れに変えて搬送する搬送管とを有し、前記搬送管にはスクリューフィーダが設けられ、前記排出管或いは前記搬送管のどちらか一方で熱分解残渣が鉛直方向に流れる部分に熱分解残渣の流れを遮断するためのスライド弁が二段に設けられ、前記搬送管のうち前記スライド弁の位置よりも下流側に、熱媒体の循環によって前記搬送管を加熱或いは冷却する温度調節器を備え、前記温度調節器による温度調節は前記スライド弁の上流における熱分解残渣の温度計測値に基づいて行われ、前記スライド弁の下流における熱分解残渣の温度計測値により調節すべき温度が管理されるようにしたことにある。
【0008】
熱分解残渣を搬送する過程で、搬送管が詰まる等の搬送不良が生じるのは、主に搬送管内で熱分解残渣が圧密化してしまうことによる。熱分解残渣が移送される方向とは逆の方向から不活性ガスを導入することにより、熱分解残渣の流動性を高め、圧密化を抑制することができる。また、搬送中の熱分解残渣の温度をコントロールすることにより、熱分解残渣に同伴された熱分解ガス中のタール成分が凝縮して搬送管の内面に堆積するのを抑制し、この温度コントロールと不活性ガスの導入とによって、搬送不良防止効果を一層高めることができる。
【0009】
本発明の廃棄物熱分解装置は、家庭やオフィスから出される都市ごみ等の一般廃棄物,廃プラスチック,カーシュレッダダストなど可燃物を含む産業廃棄物を処理するのに好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る熱分解装置の一実施例を示す断面図である。
【0011】
本実施例の熱分解装置は、熱分解炉7と熱分解残渣排出機構とから構成されている。熱分解炉7は、入口から出口に向かって廃棄物が移動できるように矢印
7a方向に回転する。熱分解炉の外壁には燃焼ガス11を流通する加熱ジャケット70が備えられ、廃棄物を間接的に加熱するようにしている。加熱ジャケット70に導入される燃焼ガスの温度は、通常800℃以上である。熱分解炉には、傾斜式或いは水平式のものがあるが、どちらも使用可能である。熱分解炉内で、廃棄物は、熱分解炉の回転と廃棄物の投入により出口側に向かって移動する。
【0012】
熱分解残渣排出機構は、熱分解炉の出口に設けられる。本実施例の熱分解残渣排出機構は、熱分解炉7で生成した熱分解ガスG1を上部排出口101から排出し、熱分解残渣Cを下部排出口から排出するようにした排出管10と、排出管
10に接続され、熱分解残渣の流れを鉛直方向の流れから水平方向の流れに変えて搬送する搬送管20を有する。搬送管にはスクリューフィーダ21が設けられている。また、排出管10或いは搬送管20のどちらか一方で熱分解残渣が鉛直方向に流れる部分には熱分解残渣の流れを遮断するためのスライド弁22,23が二段に設けられている。スライド弁22,23は交互にスライドして開閉するようになっている。スライド弁23が開いたときには、スライド弁22は閉まっており、スライド弁22とスライド弁23の間に溜まっている熱分解残渣が下流側に落下する。スライド弁23が閉められ、スライド弁22が開いているときには、スライド弁23の上に熱分解残渣が貯まる。搬送管20は、熱分解残渣を鉛直方向に搬送する管24と熱分解残渣を水平方向に搬送する管25とを有する。管25の部分に前述のスクリューフィーダ21が備えられる。スクリューフィーダ21は、スクリュー軸26とらせん状をした羽根27を備えており、モータ9により回転速度を制御できるようになっている。
【0013】
本実施例では又、搬送管20の管25の部分に冷却ジャケット30が設けられている。この冷却ジャケット30は、冷却剤31を流して熱分解残渣を間接的に冷却するように構成されている。熱分解残渣は、ここで通常50℃以下好ましくは常温程度に冷却される。また、搬送管の鉛直方向の部分すなわち管24の部分には、ガスを流して管24を冷却することにより熱分解残渣の温度を間接的に調節するための温度調節器40が設けられている。この温度調節器40による温度調節は、スライド弁22,23よりも熱分解残渣の流れの上流側に設けられた温度測定器90とスライド弁22,23よりも熱分解残渣の流れの下流側に設けられた温度測定器93により測定された温度に基づいて、温度コントローラ91からの指示により行われる。具体的には、温度測定器の温度計測値が所定温度よりも低ければ熱分解残渣を加熱し、所定温度よりも高ければ熱分解残渣を加熱するように制御される。温度調節器40による熱分解残渣の加熱は、温度測定器93による温度計測値が所定の温度になるように行われる。このように熱分解残渣の温度をコントロールし所定温度に保持することにより、搬送管を流れる熱分解残渣に熱分解ガスの一部が同伴されたとしても、熱分解ガス中のタール成分が管の内部で凝集したりするのを防止できる。
【0014】
熱分解残渣は、搬送管20の水平部において、スクリューフィーダ21の回転により、下流側に押し出される。スクリューフィーダの回転により下流側に移送された熱分解残渣は、冷却ジャケット30で常温程度にまで冷却されたのち、外気に触れる。熱分解残渣には、可燃性の物質が含まれており、高温の状態で外気に接触すると発火の恐れがあるが、本実施例では、冷却ジャケット30で常温程度まで冷却されるので、外気に触れても発火の危険はない。
【0015】
熱分解残渣排出機構は、複数の管が接続された構造になり、またスライド弁などが設けられることから機密性に欠けやすい。また、熱分解は低酸素雰囲気で行われることから、外気が管内へ入り込みやすい。外気が管内に入ると、熱分解残渣が発火する危険がある。搬送管20の下端開口部から不活性ガスG2を管内に導入することにより、外気が搬送管内へ入り込むのを抑制できる。また、搬送管内を流れる熱分解残渣は流動状態であり、圧密化しやすいが、不活性ガスを導入することにより、圧密化するのを抑制できる。
【0016】
図2は、本発明に係る熱分解装置の他の実施例を示している。図2の装置の特徴は、熱分解残渣排出機構に差圧計P1とP2を備え、P1,P2の測定値に基づいてコントローラ88でスクリューフィーダ21を駆動するモータ9の回転数を制御していることである。差圧計P1,P2での計測により、熱分解残渣の密度を連続的に把握することができ、熱分解残渣の送り速度を変え、良好な搬送状態を維持することができる。また、図2では、酸素濃度検出器M1,M2を備え、これらの検出値を参考にして不活性ガスG2の量を制御するようにしている。
【0017】
なお、熱分解残渣の送出量制御は、搬送管20内に蓄積している熱分解残渣の高さをレベルセンサーにて検出し、そのレベルに応じてスクリューフィーダ駆動モータの回転数を制御することでも、効果的に達成可能である。
【0018】
図3は、熱分解炉と熱分解残渣排出機構とを具備する熱分解装置と、燃焼溶融炉とを備えた廃棄物処理装置の一実施例の形態を示す系統図である。
【0019】
本実施例の廃棄物処理装置において、都市ごみ等の廃棄物1は、たとえば二軸破砕機等で所定の大きさに切断,破砕され、コンベア等により乾燥炉2に投入される。乾燥炉2に投入された廃棄物1は約100℃の乾燥空気5によって水分が10%以下になるように乾燥され、必要に応じて乾燥廃棄物ホッパ3の廃棄物とともに熱分解炉7に供給される。乾燥炉2から出た乾燥空気5は乾燥廃棄物ホッパ3を通り、ファン4から空気加熱器62へ送られ、燃焼ガス11を加熱した後、後段へ送られる
熱分解炉の出口には熱分解残渣排出機構が設けられている。この熱分解残渣排出機構は、熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して熱分解残渣を下方へ移送する排出管10と排出管10を流れてきた熱分解残渣を鉛直方向の流れから水平方向の流れに切り替える搬送管20を有し、又、鉛直方向の管の部分に二段にスライド弁22,23を備えている。その他に図1で述べたように温度調節器40及び冷却ジャケット30等を備えている。
【0020】
熱分解炉7で生成した熱分解ガスG1は、排出管10の上部排出口から排出されたのち、熱分解ガス燃焼器12に導入され、ここで補助燃料Fとともに燃焼される。熱分解ガス燃焼器12で生成した燃焼ガス11は、熱分解炉の加熱ジャケット70に導入され、廃棄物の加熱に利用されたのち、空気加熱器6,61で加熱され、後段側へ送られる。
【0021】
熱分解残渣は、図1に示したものと同様の構成を有する熱分解残渣排出機構により搬送される。このとき、不活性ガスG2が搬送管20内に導入される。熱分解残渣排出機構の搬送管20から排出された熱分解残渣は、粉砕機13によって所定の粒径にまで粉砕,整粒される。粉砕機13では、不燃物中のガレキは可燃物(炭化物)とともに粉砕されるが、不燃物中の金属類15はその展延性のゆえに粉砕されずに断面が粗大化する。そこで、分級器14により、金属類15と粉砕チャー16とに分離する。粉砕チャー16は主成分が可燃物(炭化物)で、これに粉砕されたガレキの一部が混入した粉体である。
【0022】
粉砕チャー16はホッパ17に貯留される。そして搬送空気32とともに燃焼溶融炉8に導入され、燃焼空気33で加熱し燃焼される。本実施例の燃焼溶融炉8は粉砕チャーを炉内に供給するための燃料ノズル41と、2次ノズル42と、3次ノズル43を有している。燃料ノズル41は、燃焼溶融炉8の最も下部に位置し、粉砕チャー燃料を搬送空気32によって燃焼溶融炉8に送りこむものである。2次ノズル42および3次ノズル43は粉砕チャー燃料を燃焼するための燃焼空気33を送り込むものである。
【0023】
燃焼溶融炉8では、搬送空気32と燃焼空気33の旋回流を形成させるのがよい。この旋回流は、例えば各ノズルを炉内面の接線方向に開口を有するように配置することで達成される。旋回流は燃料ノズルと2次ノズルの噴流によって形成された旋回流は高温還元燃焼域を形成し、3次ノズルの噴流によって形成された旋回流は完全燃焼域を形成する。粉砕チャー燃料は2次ノズル42から送気された燃焼空気33により、高温還元燃焼域で約1200℃以上で燃焼された後、3次ノズル43から送気された燃焼空気33によって完全燃焼域で理論空気量より多い空気量で燃焼する。粉砕チャー燃料中の可燃分が燃焼溶融炉8中で燃焼することによって、粉砕チャー燃料中の灰分が溶融スラグ化する。燃焼溶融炉8内に旋回流が存在するため、溶融スラグ化した成分は燃焼溶融炉8内の壁面に沿って流下し、スラグ排出口44から冷却水槽85中に滴下する。冷却水槽85内で溶融スラグ化した成分は直ちに冷却され、冷却水槽85中に設置されているコンベア86上に堆積し、冷却水槽85外に排出される。
【0024】
一方、燃焼溶融炉8から煙突84に至る煙道には、排熱蒸気発生装置50,空気加熱器60,バグフィルター80,煙道ガス浄化装置82,排気ファン83が設けられ、排熱蒸気発生装置50の蒸気により蒸気タービン発電機501にて発電が行われる。なお、熱分解炉において、廃棄物を加熱するために使用された燃焼ガス11は、燃焼溶融炉8から排出されたガスと混合され、排熱蒸気発生装置50へ導入され、蒸気タービン発電機での発電に利用される。
【0025】
図3に示す実施例によれば、本発明の熱分解装置を含む廃棄物処理装置、更には蒸気発電システムが実現する。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、熱分解炉にて生成した熱分解残渣を、搬送不良を起こさずに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す熱分解装置の概略図。
【図2】本発明の他の実施例を示す熱分解装置の概略図。
【図3】本発明の一実施例を示す廃棄物処理装置の系統図。
【符号の説明】
1…廃棄物、7…熱分解炉、8…燃焼溶融炉、10…排出管、11…燃焼ガス、20…搬送管、21…スクリューフィーダ、22,23…スライド弁、24,25…管、30…冷却ジャケット、40…温度調節器、70…加熱ジャケット、91…温度コントローラ。
Claims (3)
- 廃棄物を熱分解する熱分解炉と、前記熱分解炉の出口に設けられ熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して熱分解残渣を排出する熱分解残渣排出機構とを具備した熱分解装置において、
前記熱分解残渣排出機構に、熱分解残渣が搬送される方向とは逆方向から不活性ガスを導入する不活性ガス導入部を設け、
前記排出機構は、前記熱分解炉で生成した熱分解ガスを上部排出口から排出し熱分解残渣を下部排出口から排出するように構成した排出管と、前記排出管に接続され、熱分解残渣の流れを鉛直方向の流れから水平方向の流れに変えて搬送する搬送管とを有し、前記搬送管にはスクリューフィーダが設けられ、前記排出管或いは前記搬送管のどちらか一方で熱分解残渣が鉛直方向に流れる部分に熱分解残渣の流れを遮断するためのスライド弁が二段に設けられ、
前記搬送管のうち前記スライド弁の位置よりも下流側に、熱媒体の循環によって前記搬送管を加熱或いは冷却する温度調節器を備え、前記温度調節器による温度調節は前記スライド弁の上流における熱分解残渣の温度計測値に基づいて行われ、前記スライド弁の下流における熱分解残渣の温度計測値により調節すべき温度が管理されるようにしたことを特徴とする廃棄物の熱分解装置。 - 廃棄物を熱分解する熱分解炉と、前記熱分解炉の出口に設けられ熱分解ガスと熱分解残渣とを分離して熱分解残渣を排出する熱分解残渣排出機構とを具備した熱分解装置において、
前記熱分解残渣排出機構に、熱分解残渣が搬送される方向とは逆方向から不活性ガスを導入する不活性ガス導入部を設け、
前記排出機構は、前記熱分解炉で生成した熱分解ガスを上部排出口から排出し熱分解残渣を下部排出口から排出するように構成した排出管と、前記排出管に接続され、熱分解残渣の流れを鉛直方向の流れから水平方向の流れに変えて搬送する搬送管とを有し、前記搬送管にはスクリューフィーダが設けられ、前記排出管或いは前記搬送管のどちらか一方で熱分解残渣が鉛直方向に流れる部分に熱分解残渣の流れを遮断するためのスライド弁が二段に設けられ、
前記排出管及び前記搬送管のうち少なくとも一方に酸素濃度測定器を備え、前記酸素濃度検出器で測定された酸素濃度に基づいて前記不活性ガス導入部から導入される不活性ガスの量が制御されるようにしたことを特徴とする廃棄物の熱分解装置。 - 請求項1又は2において、前記搬送管のうち前記スクリューフィーダが設置されている部分の下流側に、冷却媒体を循環させ搬送管を外部から冷却することで熱分解残渣の冷却を行う冷却ジャケットを備えたことを特徴とする廃棄物の熱分解装置。
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