JP3623751B2 - 灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設とその運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般廃棄物や医療廃棄物を含む産業廃棄物を焼却し、焼却灰等を溶融処理する灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、実用に供されている灰溶融炉は、図5にその概略構造を示す流動床式ガス化溶融方式が主流を占めている。
【0003】
図5において、何らかの手段で破砕されたごみaは、スクリューフィーダbによって流動床炉c内に投入され、下方から圧入される高温・高圧の流動ガス体dによって、流動砂eとともに燃焼室c1 内で低酸素状態で浮遊燃焼される。 この浮遊燃焼により発生した熱分解ガスfは、未燃分を多量に含有した未燃ガスの他にばいじんや粉塵を多量に含む排ガスであり、次工程である灰溶融炉(高温溶融室)gに導かれ、熱分解の結果として底部に残留した残渣hは、残渣排出口c2 から残渣選別装置iに排出される。
【0004】
この残渣hは、遊離炭素を多量に含んだ未燃残渣j1 と循環する流動砂eの他に、鉄・非鉄及びがれき等の不燃物j2 で構成されており、残渣選別装置iにおいて分離された流動砂eは再び流動床炉c内に返送され、不燃物j2 は選別されて鉄・非鉄等が有価物として回収されるとともに残余が粗大ごみとして廃棄され、残りの未燃残渣j1 は、後述のバグフィルタによる捕集灰j3 とともに1次燃焼室g1 に送入される。
【0005】
高温溶融室gは、1次燃焼室g1 と2次燃焼室g2 とを主体とした竪型の旋回溶融炉であり、未燃分を多量に含有した熱分解ガスfは1次燃焼室g1 の上部から旋回状に吹込まれ、未燃残渣j1 と捕集灰j3 とは1次燃焼室g1 の肩部から旋回しながら送入され、両者の混合気体は点火バーナg3 により燃焼されながら2次燃焼室g2 側に降下する。
【0006】
そこで溶融バーナg4 で加熱されるとともに溶融空気kの供給を受け、熱分解ガスfと未燃残渣j1 及び捕集灰j3 の各未燃物が燃焼し、気体分は高温の溶融排ガスmとなって次工程の再燃焼室nに流れ、旋回の結果溶融排ガスmと分離して2次燃焼室g2 の底部に落下した未燃残渣j1 に含有される不燃物は、上記燃焼時の高熱を受けて溶融して溶融スラグpとなる。
【0007】
溶融スラグpは、2次燃焼室g2 の底部から滴下し、冷却装置qにおいて急冷破砕されて水砕スラグrとなり、場外に搬出される。
【0008】
2次燃焼室g2 で発生した溶融排ガスmは、次工程の再燃焼室nに送られて残留する未燃物を完全燃焼させたあと、ガス冷却室sを経てバグフィルタtに至り、溶融排ガスm中の粉塵やダイオキシン類を含む有害ガスを除去したあと、図示しない誘引通風機に吸引されて図示しない煙突から大気中に放出される。
【0009】
上記バグフィルタtで除去された粉塵や有害ガスを吸収した薬剤は、捕集灰j3 となって1次燃焼室g1 に送られ、未燃残渣j1 とともに燃焼・熱分解される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、流動床式の場合は、高温燃焼室gに導入される未燃ガスの燃焼熱と溶融バーナg4 の加熱により、未燃残渣j1 及び捕集灰j3 中に残存する可燃分を燃焼させ、その熱で含有する不燃物を溶融する方式である。
【0011】
しかし、一般にごみ質は安定するものではなく、特に医療廃棄物を含む産業廃棄物はその変動が非常に大きく、溶融熱源である熱分解ガスf中の未燃分や未燃残渣j3 中に残存する可燃物の質や量が一定しないために、2次燃焼室g2 内での温度は安定せず、その結果、溶融スラグpの特性が不安定になるだけでなく、温度を安定させるための燃料費が増大する。
【0012】
また、流動砂eの分離・循環装置が余分に必要になるほか、浮遊燃焼のために大量の流動ガス体dを圧入することにより発生する多量のばいじんと粉塵を含む熱分解ガスfの全量を処理するための余分な設備が必要となり設備費が高騰する。
【0013】
さらに、上述の流動ガス体dの圧入のために装置全体が加圧状態となり、熱分解ガスfの途中漏洩による爆発の危険性があるほか、高温溶融室gでトラブルが発生した場合には、熱分解ガスfの処理ができないために全装置を停止する必要があり、安定操業が確保できないという問題点がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設は、竪型の焼却炉本体の下端に、出没自在なごみ支持板と開閉自在な灰排出板及びシール手段を備えた灰排出機構が取付けられるとともに、該焼却炉本体の上方には、排ガス混合手段を介して再燃焼室及び空気予熱器が載置された、一般廃棄物及び医療廃棄物を含む産業廃棄物を焼却するごみ焼却施設において、上記焼却炉本体の側方には、焼却炉内を酸素不足状態としてごみを炭化燃焼させるガス化燃焼時に排出される未燃残渣と通常運転時の焼却灰及び、ガス冷却装置の落下灰や排ガス処理設備の捕集灰や、その他の高発熱量廃棄物等を受入れて随時溶融処理する高温溶融室と、焼却炉本体の側壁と高温溶融室の壁面を連通し、焼却炉本体内で発生した熱分解ガスの一部を高温溶融室に導入する熱分解ガスダクトと、上記溶融処理により高温溶融室で発生した溶融ガスを上記再燃焼室または焼却炉本体上部に還送するよう配設された溶融ガスダクトとを備えた灰溶融装置が連設されるとともに、上記熱分解ガスダクトあるいは溶融ガスダクトに設けたダンパの開閉により、灰溶融運転と通常運転を切り換え可能としたものである。
【0015】
請求項2に係る発明の灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設の運転方法は、竪型の焼却炉本体と、その下端に連設された灰排出機構と、該焼却炉本体の上方に排ガス混合手段を介して載置された再燃焼室及び空気予熱器と、併設される灰溶融装置と、該焼却炉本体側と灰溶融装置を連結する熱分解ガスダクト及び溶融ガスダクトとを主体に構成された灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設の運転方法であって、灰溶融時には、灰溶融装置の高温溶融室にごみのガス化燃焼時に発生する熱分解ガスの一部を熱分解ガスダクトを通じて導入するとともに、酸素分を多量に含有する溶融空気を噴射し、併置した溶融バーナでの加熱と相まって上記熱分解ガスと溶融空気とを混合燃焼させることにより、上記ガス化燃焼時に排出された不純物を除去した未燃残渣と高発熱量廃棄物とを高温溶融室の炉床上で燃焼させて、該未燃残渣中の不燃物と、通常燃焼時の焼却灰と落下灰及び捕集灰中の不燃物を高温で溶融させたのち、発生した溶融ガスは、溶融ガスダクトを介して再燃焼室または焼却炉本体上部に還送して再燃焼室で再燃焼させ、灰溶融に利用されなかった残余の熱分解ガスは、焼却炉本体上方の排ガス混合手段で攪拌・混合されたのち、上記再燃焼室において完全な燃焼を遂げて次工程に排出される一方、灰溶融の必要がない場合には、灰溶融装置側の熱分解ガスダクトもしくは溶融ガスダクトを閉止して通常運転に切り換え、焼却炉本体には十分な燃焼空気を送入して通常の燃焼を行い、発生する排ガスは、焼却炉本体上方の排ガス混合手段で攪拌・混合されたのち、再燃焼室において更に完全燃焼を行うとともに、灰排出機構からは、完全燃焼した通常焼却灰を排出することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設の全体構成を示す断面図であり、図2は、通常運転時における竪型ごみ焼却炉と再燃焼設備及び、焼却灰排出装置関係の各物質の状況を示す概略説明図であり、図3は、灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設主体部の灰溶融時における各物質の状況を示す概略説明図である。
【0018】
図1に示す如く、本発明に係る灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設は、供給された一般廃棄物及び医療廃棄物を含む産業廃棄物(以後ごみRと略称する。)を燃焼する竪型ごみ焼却炉VIと、該竪型ごみ焼却炉VIからの排ガスを再燃焼する再燃焼装置RBと、前記再燃焼された排ガスを後続のバグフィルタ装置の適温まで冷却するガス冷却装置GCと、冷却された排ガス中に含有されるばいじんとダイオキシン類を含む有害ガスを除去し清浄化するバグフィルタ装置と上流側の各装置を負圧状態に保つために排ガスを吸引する誘引通風機等を備えた排ガス処理設備GT及び、竪型ごみ焼却炉施設から排出される各種灰を受入れて溶融処理する灰溶融装置AT、並びに複数の制御装置CU1,2 とで主体が構成されている。
【0019】
図1乃至図3において、1は焼却炉本体であり、垂直状の上部耐火物11と、該上部耐火物11の側壁部に取付けられた、ごみRを投入するホッパを有する投入フィーダ12と、着火バーナ13と、複数の冷却水ノズル14(図2参照)と、灰溶融処理用の熱分解ガス導入口15及び、空冷または水冷方式の冷却ジャケット16(図2参照)で囲繞された漏斗状の下部耐火物17と、該下部耐火物17の下方に配置された下記の焼却灰排出装置2並びに、それらの各機器を支持する構造材と保温材とによって主体が構築されている。
【0020】
該竪型ごみ焼却炉本体1内では、ごみRの燃焼状態により位置が移動するものの、通常運転時には図2に示すように上から火炎層U、ごみ層V、おき燃焼層W及び灰層Xが、灰溶融時には図3に示すように上からガス化層Y、ごみ層V、炭化層Zが形成される。
【0021】
上記の焼却灰排出装置2は、出没自在なごみ支持板21、21と、開閉自在な灰排出板22、22と、灰シュート23及び灰シュート23内の気密を保つための例えばロータリーフィーダの如きシール手段24とで前半の灰排出機構が構成され、後半は、磁気式と渦電流式等による鉄・非鉄等の不純物除去手段25と、複数の灰冷却水ノズル26とを備えた振動フィーダの如き灰移送手段27と、不純物ホッパ28及び排出手段を備えた灰貯留槽29とで構成されている。
【0022】
一方、竪型ごみ焼却炉VIの上方には、上昇する燃焼ガスを2次燃焼させるための複数の2次空気ノズル31(図2参照)が内蔵された下記排ガス混合手段32が設けられており、該2次空気ノズル31からの空気噴射により旋回を始めた燃焼ガスを更に確実に旋回せしめるために、耐火物製の排ガス混合手段32はガス通路を傾斜せしめて構築されている。
【0023】
該排ガス混合手段32の上方には再燃焼室33が構築されており、再燃焼室33の側壁には再燃バーナ34が、天井部には高温空気予熱器35が配設され、以上の各機器で再燃焼装置RBが形成されている。
【0024】
図3に示す如く、熱分解ガス導入口15から熱分解ガスダンパ41aを備えた熱分解ガスダクト41により接続された高温溶融室4は、ほぼ全体が前方に傾斜した炉床42と、該炉床42を囲繞する炉壁43aと炉天井43bとが耐火物で構築されており、溶融バーナ44と溶融空気噴出手段45とが上記炉壁43aや炉天井部43bに取付けられ、熱分解ガスダクト41に対峙する灰送入口側には、灰ホッパ46aを備えた摺動式のプッシャ46bと、高温溶融室4内の高熱をシールし灰層の厚みを一定とする入口喉部47とが配設されており、上述の傾斜部から水平に角度を変えた炉床42の先端部の上面中央部には、V字形のスラグ滴下部48が刻み込まれている。
【0025】
また、炉床42の下方には、水または空気噴射式のスラグ冷却手段51を配した耐火構造の落下管52が接続され、該落下管52の中部からは耐火構造の溶融ガスダクト53が前記再燃焼室33に接続され、下部はスラグ貯槽54に連結されている。
【0026】
以上の高温溶融室4及び、スラグ冷却手段51、落下管52、溶融ガスダクト53と、スラグ貯槽54とによって灰溶融装置ATが構成されている。
【0027】
再燃焼装置RBの出口はガス冷却装置GCを経て薬剤供給手段61を備えた排ガス処理設備GTに接続されている。また、ガス冷却装置GCの落下灰62と排ガス処理設備GTでの捕集灰63は、捕集灰移送手段64で灰貯留槽29に送られ、灰貯留槽29内に貯留された後述の通常焼却灰ARと炭化灰AMとともに灰コンベア65で灰ホッパ46aに送られ、さらに、別途貯留されていた廃プラスチック等の高発熱量廃棄物HRも、適宜灰ホッパ46aに投入されるようになされている(図1参照)。
【0028】
次に、このように構成された灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設により実施される運転方法について、主に図2及び図3により、必要に応じて図1を参照して説明する。
【0029】
通常運転時において、始業時には、図2に示す如く、投入フィーダ12から焼却炉本体1内に送入されたごみRは、焼却炉本体1の底部にある灰層X上に堆積され、着火バーナ13により加熱され、下方から送入される高温の1次燃焼空気71によって燃焼を始め、燃え易いごみから焼却されて灰となり、難燃性のごみとともに火種を保有しながらおき燃焼層Wに堆積する。
【0030】
その状態でごみRを供給すれば、ごみRはごみ層Vに堆積され、おき燃焼層Wの熱と高温の1次燃焼空気71により着火され、燃焼が徐々にごみ層V全体に拡がり、平常操業状態に移行する。
【0031】
平常操業状態において、ごみ層Vでは、火炎層Uでの後述の未燃焼ガス81の2次燃焼による放射熱が、排ガス混合手段32によって表面に照射されるとともに、内部からは1次燃焼空気73の供給とおき燃焼層Wから上昇する未燃焼ガス81の加熱によって、易燃物が着火されてガス化燃焼し、水分の多い難燃物は乾燥される。
【0032】
おき燃焼層Wは、変動の大きいごみ質に起因して増減するごみ層Vで、燃焼できなかった未燃物や難燃物を、後述する灰層Xから上昇する熱気と、温度調節された1次燃焼空気72の供給を受けて、時間をかけておき燃焼させる部位であり、該おき燃焼により未燃ガス81を発生させる。
【0033】
また、灰層Xは、下方から送入される高温の1次燃焼空気71によって、なおかつ残留する未燃炭化物を燃焼し尽くして通常焼却灰ARとするとともに、通常焼却灰ARを冷却して熱気を上部のおき燃焼層Wに供給する部位であり、温度検出器91によって燃焼が完結したことを検知すれば、開放されていたごみ支持板21、21を閉止して上方の荷重を支持したのち、灰搬出板22、22を開放して通常焼却灰ARを灰シュート23内に落下させる。
【0034】
灰シュート23下部に堆積された通常焼却灰ARは、シール手段24により灰移送手段27上に排出され、灰冷却水ノズル26から噴射される冷却水によって加湿されたのち、不純物除去手段25により鉄・非鉄などの不純物は不純物ホッパ28に排出し、その残りを灰貯留槽29に貯留させる。
【0035】
この際、下部耐火物17の外周は冷却ジャケット16により冷却されているために、下部耐火物17の表面温度は400〜500℃に止まっており、これによって高発熱量物質の局部異常燃焼により、おき燃焼層Wや灰層Xが過熱状態となって、ガラス溶融物が溶着・固化する現象が生じることで起こる灰排出阻害を防止している。
【0036】
一方、ごみ層Vから上昇した未燃ガス81は、側壁部からの2次燃焼空気74と、2次空気ノズル31から旋回流として供給される2次燃焼空気75とにより2次燃焼されて排ガス82となり、排ガス混合手段32を通過することにより更に旋回されながら再燃焼室33に到達する。
【0037】
この際、火炎層Uの温度が過上昇した場合には、温度検出器94の指令により、冷却水ノズル14からの冷却水噴霧と2次燃焼空気74の供給量を調整して火炎層U内の温度を安定させる。
【0038】
再燃焼装置RBは、排ガス82を850〜950℃に2秒間保持してダイオキシン類の原因物質である未燃炭素類を完全焼却する装置であり、温度検出器95の測定値が低い場合には、再燃バーナ34により排ガス82を規定値まで加熱したのち、上方の高温空気予熱器35中を通過する1次燃焼空気71を加熱したのち、次工程のガス冷却装置GCに送られる。
【0039】
次に灰溶融時の操業状況について述べる。
【0040】
図3に示す如く、ごみ支持板21、21は開放されており、閉止された灰排出板22、22上にごみRを堆積させて、酸素濃度検出器93によって低酸素濃度になるように制御された高温の1次燃焼空気71を供給すれば、竪型ごみ焼却炉VI内は酸素不足状態となってごみRは不完全燃焼し、発生した未燃分を多量に含んだ400〜500℃の中温の熱分解ガス83はガス化層Yに排出され、その一部が熱分解ガスダクト41を通じて高温溶融室4に流入し、残余の固形分(熱分解残渣)は竪型焼却炉であるがために成分が比較的平準化された、未燃炭素等の未燃物を多量に含む未燃残渣AMとなって炭化層Zを形成する。
【0041】
温度検出器91、92により炭化度の進行が検知され、灰排出機構から排出された未燃残渣AMは、通常運転と同様に不燃物を除去されて灰貯留槽29に貯留され、ガス冷却装置GCの落下灰62や排ガス処理設備GTの捕集灰63も同様に灰貯留槽29に貯留されて、随時灰コンベア65によって灰ホッパ46aに移送される(図1参照)。
【0042】
灰溶融装置ATにおいて、灰ホッパ46aに移送された上述の各灰は、プッシャ46bによって入口喉部47を通過して一定の層厚で炉床42上に押出され、傾斜に従って下方に移送される。
【0043】
この炉床42の表面に、前述の熱分解ガス83が導入されるとともに、炉壁43aから酸素分を多量に含んだ溶融空気MAが噴出され、さらに炉天井43bに設置された溶融バーナ44の加熱により、混合ガスが高温で燃焼して、未燃残渣AM中の未燃炭素等の内部燃焼を誘発させることにより、送入された各灰の不燃分は高温で溶融されてスラグ状態となり、上記高温燃焼した後の溶融ガス84に同伴されてスラグ滴下部48から落下管52を経てスラグ貯留槽54へと滴下する。
【0044】
なお、上述の各灰の熱量不足のため、灰溶融装置内の温度上昇が不十分な場合には、高発熱量廃棄物HRが適宜追加投入される(図1参照)。
【0045】
この滴下するスラグは、落下管52の途中に配置されたスラグ冷却手段51によって溶融ガス84とともに冷却され、部分冷却された溶融ガス84は、溶融ガスダクト53を介して、再燃焼室33に導入される。
【0046】
一方、上記灰溶融処理に利用されなかった残余の熱分解ガス85は、通常運転時の未燃ガス82と同様に、2次燃焼空気75が噴出される排ガス混合手段32によって攪拌・混合されて再燃焼室33に導入され、上記溶融ガス84とともに完全燃焼される。
【0047】
以上のガス化燃焼を含む灰溶融装置AT関係の運転制御は、制御装置CU1 で行われ、灰溶融装置AT関係以外の一般的な運転制御は、制御装置CU2 で行われる(図1参照)。
【0048】
なお、図3に灰溶融装置ATの構造の一例を示したが、図示例に拘束されるものではなく、図4に示す如く熱分解ガスダクト41を介さずに、高温溶融室4に熱分解ガス83を直接導入するとともに、溶融ガスダンパ55を備えた溶融ガスダクト53を排ガス混合手段32の上流側に接続し、この溶融ガスダクト53により溶融ガス84を導くようにしても差し支えない。なお、他の構成については前述した竪型ごみ焼却施設と同様であり、同部材に同符号を付して説明は省略する。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設とその運転方法によれば、竪型焼却炉によるガス化燃焼方式を採用しているために、ごみ質変動の影響が少なく未燃残渣中の可燃分の比率を高くできるばかりでなく、発生する熱分解ガスの一部のみを灰溶融の熱源に利用しているために、熱分解ガスの全量を処理する従来例に比べて、少容量の灰溶融装置で十分であり、設備費の節減が可能となる。
【0050】
また、装置全体が負圧状態で運転できるために、熱分解ガス漏洩の危険を避けることができ、さらに、灰溶融装置の故障の場合には、直ちに通常運転に切換えることができるので、全装置を停止する必要がなく、安定操業が可能となる。
【0051】
さらに、灰溶融装置の運転状況次第で、高発熱量廃棄物も追加投入できるので、高温保持のための燃料費が節減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設の全体構成を示す断面図である。
【図2】通常運転時における竪型ごみ焼却炉と再燃焼設備及び、焼却灰排出装置関係の各物質の状況を示す概略説明図である。
【図3】灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設主体部の灰溶融時における各物質の状況を示す概略説明図である。
【図4】灰溶融装置の他の構造を示す図である。
【図5】従来の流動床式ガス化溶融方式の灰溶融炉の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
21 ごみ支持板
22 灰排出板
32 排ガス混合手段
33 再燃焼室
4 高温溶融室
44 溶融バーナ
83 熱分解ガス
84 溶融ガス
AM 未燃残渣
MA 溶融空気
Claims (2)
- 竪型の焼却炉本体の下端に、出没自在なごみ支持板と開閉自在な灰排出板及びシール手段を備えた灰排出機構が取付けられるとともに、該焼却炉本体の上方には、排ガス混合手段を介して再燃焼室及び空気予熱器が載置された、一般廃棄物及び医療廃棄物を含む産業廃棄物を焼却するごみ焼却施設において、
上記焼却炉本体の側方には、焼却炉内を酸素不足状態としてごみを炭化燃焼させるガス化燃焼時に排出される未燃残渣と通常運転時の焼却灰及び、ガス冷却装置の落下灰や排ガス処理設備の捕集灰や、その他の高発熱量廃棄物等を受入れて随時溶融処理する高温溶融室と、
焼却炉本体の側壁と高温溶融室の壁面を連通し、焼却炉本体内で発生した熱分解ガスの一部を高温溶融室に導入する熱分解ガスダクトと、
上記溶融処理により高温溶融室で発生した溶融ガスを上記再燃焼室または焼却炉本体上部に還送するよう配設された溶融ガスダクトとを備えた灰溶融装置が連設されるとともに、
上記熱分解ガスダクトあるいは溶融ガスダクトに設けたダンパの開閉により、灰溶融運転と通常運転を切り換え可能としたことを特徴とする灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設。 - 竪型の焼却炉本体と、その下端に連設された灰排出機構と、該焼却炉本体の上方に排ガス混合手段を介して載置された再燃焼室及び空気予熱器と、併設される灰溶融装置と、該焼却炉本体側と灰溶融装置を連結する熱分解ガスダクト及び溶融ガスダクトとを主体に構成された灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設の運転方法であって、
灰溶融時には、灰溶融装置の高温溶融室にごみのガス化燃焼時に発生する熱分解ガスの一部を熱分解ガスダクトを通じて導入するとともに、酸素分を多量に含有する溶融空気を噴射し、併置した溶融バーナでの加熱と相まって上記熱分解ガスと溶融空気とを混合燃焼させることにより、上記ガス化燃焼時に排出された不純物を除去した未燃残渣と高発熱量廃棄物とを高温溶融室の炉床上で燃焼させて、該未燃残渣中の不燃物と、通常燃焼時の焼却灰と落下灰及び捕集灰中の不燃物を高温で溶融させたのち、
発生した溶融ガスは、溶融ガスダクトを介して再燃焼室または焼却炉本体上部に還送して再燃焼室で再燃焼させ、灰溶融に利用されなかった残余の熱分解ガスは、焼却炉本体上方の排ガス混合手段で攪拌・混合されたのち、上記再燃焼室において完全な燃焼を遂げて次工程に排出される一方、
灰溶融の必要がない場合には、灰溶融装置側の熱分解ガスダクトもしくは溶融ガスダクトを閉止して通常運転に切り換え、焼却炉本体には十分な燃焼空気を送入して通常の燃焼を行い、発生する排ガスは、焼却炉本体上方の排ガス混合手段で攪拌・混合されたのち、再燃焼室において更に完全燃焼を行うとともに、灰排出機構からは、完全燃焼した通常焼却灰を排出することを特徴とする、灰溶融装置を備えた竪型ごみ焼却施設の運転方法。
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