従来のごみ処理施設の廃棄物処理炉及び処理方法で、例えばキュポラタイプの炉で燃焼させる特許文献1の例では、処理対象物が汚泥のみであるため、含水率をあらかじめ乾燥機で50〜60%に調湿するとともに燃焼時の炉内に於ける廃棄物層の高温ガスの通気性を確保するために汚泥を適度な大きさに造粒してから処理炉に供給する必要があった。造粒を行うには造粒機が必要であり、それはごみ処理施設をより複雑にし、ごみ処理コストを増大させる一因になっていた。また、特許文献2にはプラスチックごみ、焼却灰、汚泥を混合して処理する例が開示されている。特許文献2の表1によれば含水率76%の汚泥を混合した場合は熱分解に必要な温度まで上昇させるのに助燃料等の外部エネルギーを必要とし、外部エネルギーを使用しない場合は汚泥の混合割合を大幅に減らす必要があり汚泥の処理量が低下するという問題点があった。また含水率の高い汚泥の場合は泥状になっていて流動性が高く通気性がないため、汚泥が塵芥と塵芥の空隙に入り炉底部からの燃焼排ガスや燃焼用空気の流通経路が塞がれ廃棄物層の燃焼が全体的に阻害される一方で、廃棄物層の通気抵抗が低い部分では吹き抜け現象が生じ、局部的な急速燃焼により未燃ガスの発生を引き起こしダイオキシン発生の要因を増大させるという問題点があった。
本発明は以上のような従来技術の問題点に鑑み、汚泥を予め造粒することなく塵芥と混合して一つの炉で処理し、炉内での吹き抜け現象の発生を抑え、局部的な急速燃焼により未燃ガスの発生を引き起こさず、ひいてはダイオキシン発生の要因を減らすことのできる廃棄物処理装置を提供することを目的としている。
かかる課題を解決するために本願発明者らが検討した結果、汚泥については予め造粒していないものを使用することで、極めて有効な燃焼ができることがわかった。すなわち、塵芥と汚泥とを合わせて処理する廃棄物処理炉において、予め汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥させてから塵芥と予め造粒していない汚泥を混合することにより燃焼に適度な含水率となり、廃棄物処理炉で処理すれば高温ガスや空気の流通経路が塞がれることがなくなり、燃焼が全体的に阻害されることが少なくなる。また廃棄物層の一部では吹き抜け現象が生じて、局部的な急速燃焼で未燃ガスの発生を引き起こすともなくなり、効率よく安定した燃焼ができるのである。
本願第1の発明の廃棄物処理炉は、塵芥と予め造粒していない含水率60重量%以下の汚泥とで形成した廃棄物層に高温ガスを流通させて前記塵芥と前記汚泥とを加熱・燃焼することを特徴とする。
本願第1の発明の廃棄物処理炉は、塵芥と予め造粒していない含水率60重量%以下の汚泥を合わせて処理する溶融炉または焼却炉であり、溶融炉本体または焼却炉本体と排ガスを処理する装置で構成されている。前記廃棄物処理炉に投入された汚泥が含水率50〜60重量%程度の場合、見かけ上は湿った土状になり、更に50%重量以下では乾いた土状になり、流動性はなくなるため、炉内の廃棄物層に存在する塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い泥状の汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に亘って高温ガスが通気できる状態となる。よって、廃棄物層の弱い部分を高温ガスの吹き抜け現象が生じることがなく、局部的な急激な燃焼が生じることがない。つまり、燃焼が不安定になる要因が少なくなるので未燃ガスの発生も少く、ダイオキシン発生の要因も減少させることができる。
本願第2の発明の廃棄物処理装置は、汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥させる乾燥炉と、塵芥と前記乾燥炉で乾燥した予め造粒していない汚泥とで形成した廃棄物層に高温ガスを流通させて前記塵芥と前記汚泥とを加熱・燃焼する廃棄物処理炉とを設けたことを特徴とする。
本願第2の発明の廃棄物処理装置を構成する乾燥機は汚泥の含水率60重量%以下まで下げるための装置であり、回転式、流動式、気流式などがある。この乾燥機を用いることで塵芥と汚泥を合わせて処理する場合に、汚泥を含水率60重量%以下まで下げることにより、汚泥が含水率50〜60重量%程度の場合、見かけ上は湿った土状になり、更に50%重量以下では乾いた土状になり、流動性がなくなるとともに水分が減少することにより粒子間の隙間ができ、通気性も出てくる。この状態になった汚泥を塵芥と共に前記廃棄物処理装置を構成する廃棄物処理炉に投入すると炉内の廃棄物層に存在する塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い泥状の汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に亘って高温ガスが通気できる状態となる。よって、廃棄物層の弱い部分を高温ガスの吹き抜け現象が生じることがなく、局部的な急激な燃焼が生じることがない。つまり、燃焼が不安定になる要因が少なくなるので未燃ガスの発生も少く、ダイオキシン発生の要因も減少させることができる。
本願第3の発明では、廃棄物処理炉から排出された燃焼排ガスを再燃焼させる二次燃焼炉と、汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥し、かつ排出された乾燥機排ガスを前記二次燃焼炉に供給する乾燥機と、塵芥と乾燥機で乾燥した予め造粒していない汚泥とで形成した廃棄物層に高温ガスを流通させて前記塵芥と予め造粒していない汚泥とを加熱・燃焼する廃棄物処理炉とを設けたことを特徴とする。
本願第4の発明では、二次燃焼炉から排出された燃焼排ガスを冷却する排ガス冷却塔と、汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥し、かつ該排ガス冷却塔から排出される排ガスの一部を引き抜き乾燥熱源とする乾燥機と、塵芥と乾燥機で乾燥した予め造粒していない汚泥とで形成した廃棄物層に高温ガスを流通させて前記塵芥と予め造粒していない汚泥とを加熱・燃焼する廃棄物処理炉とを設けたことを特徴とする。
本願第3、第4の発明では、乾燥機には排ガス冷却塔で冷却してから一部を引き抜いた排ガスを供給し、かつ排出された乾燥機排ガスは集塵装置を経て、二次燃焼炉に供給するよう乾燥機を構成する。このようにすることで乾燥機から排気される乾燥機排ガスは汚泥が乾燥して粉化した粉塵を含むが、集塵装置で除塵された状態で二次燃焼炉に戻される。よって前記乾燥機から排気される乾燥機排ガスは二次燃焼炉で高温ガスとともに燃焼されることになり、未燃ガスの発生を防止し、排ガス処理を一つの処理系として安定した燃焼ができる。合わせて燃焼廃熱を汚泥の乾燥に有効利用することができる。更には集塵装置で除塵された乾燥汚泥粉塵は、含水率60重量%以下まで乾燥した汚泥とともに廃棄物処理炉に供給され処理されるので発生した乾燥汚泥粉塵は廃棄物処理の系外に排出されることもない。
本願第5の発明では、前記廃棄物処理炉に投入する前記塵芥と前記汚泥の重量比率を3:1以上にすることが好ましい。
本発明では塵芥100%の場合、前記廃棄物処理炉は十分良好な燃焼が可能なように設計されている。しかしながら塵芥と汚泥を混合処理する場合、汚泥の混入量を少しずつ増加させていくと汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高く廃棄物層全体に通気性が悪くなり、燃焼性を阻害してしまう。そこで本願第5の発明は汚泥の含水率を60%以下にして塵芥と同等以下の含水率として、塵芥と汚泥の混合比率(重量ベース)を汚泥1に対して塵芥3以上とすれば塵芥間に形成される空隙に保持される汚泥は廃棄物層全体の通気性を阻害することがないので塵芥と汚泥を合わせて燃焼させる場合においても良好な燃焼をおこなうことができる。
塵芥と予め造粒していない含水率60重量%以下の汚泥とで前記廃棄物層が形成されて炉の運転が開始されると排ガス処理装置が稼動し、ごみ着火バーナーが作動し、投入された前記廃棄物層の燃焼帯のあたりから燃焼が始まる。予め汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥させると汚泥は湿った土状か乾いた土状になり、流動性がなくなるとともに水分が減少することにより粒子間の隙間ができ、通気性も出てくる。この状態になった汚泥は塵芥と混合して投入されて廃棄物層を形成するため汚泥は塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い泥状の汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に亘って高温ガスが通気できる状態となる。よって通気抵抗が低減されていて燃焼ガスである高温ガスの通気性が良く、効率良く燃焼することができる。
本発明の塵芥と汚泥とを合わせて処理する廃棄物処理炉は塵芥と予め造粒していない含水率60重量%以下の汚泥とを廃棄物処理炉に投入して廃棄物層を形成し、前記廃棄物層に高温ガスを流通させて前記塵芥と前記汚泥とを加熱すれば好ましい。
前記廃棄物処理炉によれば汚泥は含水率60重量%以下のものそのままか、予め汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥させてからごみホッパに塵芥とともに供給する。炉へ投入された含水率60重量%以下の汚泥と塵芥は塵芥の隙間に汚泥が入り込んだ混合状態で炉内に堆積される。この投入操作が繰り返されることにより前記汚泥と塵芥が適当な混合状態となった廃棄物層を形成することができる。
汚泥の含水率をより低くすることにより廃棄物層の通気性と乾燥性がより改善される。しかし、低すぎる含水率は汚泥を廃棄物処理炉に投入した際のダストの発生を助長する。ダストは廃棄物処理炉から排ガスに同伴して二次燃焼室に入り、高温雰囲気に曝されて溶融スラグとなって燃焼室側壁に付着して耐火物を損傷することがある。また、ボイラや空気予熱器で伝熱面に付着すると伝熱抵抗を増加させるという不具合を引き起こすことがある。したがって、本願発明における汚泥の含水率は10〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜20重量%の範囲である。
尚、ここで言う含水率とは厚生省環境整備課長通知(環整第95号)のごみ質試験項目の水分に規定されている測定法による。また、前記塵芥とは例示すれば、廃棄物処理法に規定される一般廃棄物の中の可燃ごみで、紙、繊維、厨芥、木、竹、プラスチック類、ビニル類などであり、汚泥とは例示すれば、下水処理汚泥、し尿を分解したときに発生する汚泥、産業廃棄物の中の有機性汚泥などである。
以上説明したように、本発明によれば塵芥と予め造粒していない汚泥とを合わせて処理する廃棄物処理炉は塵芥と塵芥の隙間に含水率60重量%以下に減らしてある汚泥が入り込んで空隙を保ったままの混合状態で廃棄物層を形成するので廃棄物層の通気抵抗が少なくなる。しかる後、前記廃棄物層に高温ガスを流通させるので高温ガスの吹き抜けがなくなり、局部的な燃焼も起きず未燃ガスの発生も少なくなり、前記廃棄物層を形成する前記塵芥と予め造粒していない含水率60重量%以下の汚泥とを効率良く安定して加熱・燃焼することができる。
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。なお、本廃棄物処理炉は塵芥と汚泥を処理対象とした直接溶融炉を例として説明するが、本発明は以下の説明の実施例に限定されるものではない。
本態様の廃棄物処理装置は廃棄物処理炉1と塵芥を受け入れる装置と排ガスを処理する装置で構成され、前記廃棄物処理炉1は塵芥と汚泥を合わせて処理する炉であり、溶融炉本体2又は焼却炉本体15と、排ガスダクト3と、二次燃焼室4と、ガス冷却室5で構成され、前記廃棄物処理炉1の前段には塵芥を受け入れる装置であるごみ受け入れ装置6と、投入された塵芥を粗破砕する破砕機7と、破砕された塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥した汚泥を一時貯留するごみホッパ8と、汚泥を受け入れる汚泥受け入れ装置10と、汚泥を予め含水率60重量%以下迄乾燥する乾燥機11と、乾燥した汚泥を搬送する搬送コンベア12と、ごみホッパで混合された塵芥と汚泥を前記廃棄物処理炉1に供給するごみ供給コンベア9及び給塵装置2aと、廃棄物処理炉1の後段には前記廃棄物処理炉1で前記塵芥と汚泥が処理された後に排ガス冷却塔5を経て排出される排ガスを処理する装置である排ガス処理装置14を備えている。尚、合わせて処理する汚泥が含水率60重量%以下の場合、望ましくは含水率50重量%以下の場合は、汚泥を直接ごみ受け入れ装置6に投入して塵芥と合わせて処理できるので、乾燥機11と、乾燥用排ガスダクト5aと、乾燥機排気戻しダクト4aと、集塵装置13を使用しなくともよい。
前記廃棄物処理炉1で溶融炉本体2の炉形式が直接溶融炉の場合、炉体形状は円筒状であり、燃焼・溶融時に炉内に形成される廃棄物層は上部から予熱乾燥帯A、熱分解帯B、燃焼帯C、溶融帯Dに区分される。炉体に形成される前記廃棄物層の上方の空間は高温ガスを還元燃焼させるための燃焼室である。一方、廃棄物を加熱・燃焼・溶融させるための補助熱源は炉に投入されるコークスやプラズマトーチ2cより発生するプラズマである。また廃棄物の着火装置として、バーナーや前記プラズマトーチ2cを有する。廃棄物やコークスを燃焼させるための空気の供給口として、炉体の外周部から炉内に向かって各々廃棄物層やコークス層の燃焼に適当な位置に羽口2bを有する。前記廃棄物が溶融処理された溶融物の排出口として、出滓口2eを炉下部の側面に有する。
また前記廃棄物処理炉1で焼却炉本体15の炉形式がストーカ炉の場合、炉床にはストーカとよばれる可動火格子があり、乾燥ストーカ、燃焼ストーカ、後燃焼ストーカから構成される。これらストーカは廃棄物の攪拌混合、移送を行うとともにストーカの下部から燃焼空気を送気する開口部も持つ。また前記廃棄物の着火装置として、バーナーを有する。更に前記廃棄物が焼却処理された燃焼灰を排出する排出口を後燃焼ストーカの後段に有する。
汚泥を予め含水率60重量%以下迄乾燥する乾燥装置は、汚泥受け入れ装置10と、乾燥機11と、汚泥搬送コンベア12と、集塵装置12からなり、受け入れた汚泥は汚泥受け入れ装置10から送り出された後、乾燥機11に供給される。供給された汚泥は、排ガス冷却室出口側から一部引き抜かれた乾燥熱源である排ガスを乾燥機11内に送風しながら汚泥の含水率が60重量%以下迄になるまで攪拌、乾燥される。汚泥の含水率が60重量%以下迄になった汚泥は汚泥搬送コンベア12によりごみホッパ8に供給される。また、乾燥熱源として使われた乾燥機排ガスの排気は集塵装置13を経て乾燥機排気戻しダクト4aにより二次燃焼炉4に戻される。
排ガス処理装置14は、前記廃棄物処理炉から排出された高温ガスを再燃焼させる二次燃焼炉4の後に接続される排ガス冷却塔5より後段にある排ガスの熱を有効利用するための熱交換器、排ガス中のダストを除去する集塵機、ダイオキシンを除去する活性炭吸着塔、誘引ファン、煙突等とで構成されていて、廃棄物が焼却、溶融処理された後に前記二次燃焼炉4で再燃焼されて出てくる排ガスを処理する。
廃棄物処理炉1に投入されるのは塵芥と汚泥であるが、塵芥はまずごみ受け入れ装置6にて受け入れられた後、破砕機7を介してごみホッパ8に投入される。汚泥はごみとは別の汚泥受け入れ装置10にて受け入れられた後、乾燥機11に供給され含水率60重量%以下迄乾燥された後、汚泥搬送コンベア12によりごみホッパ8に送られる。ごみホッパ8に貯留された塵芥と汚泥はごみ供給コンベア9を経て給塵装置2aに送られ、定量的に炉内に投入される。投入された塵芥と汚泥は適度に混合された状態で炉内に予め投入されているコークスの上に順次堆積されていき廃棄物層を形成する。この廃棄物層に熱分解帯B、燃焼帯C、溶融帯Dで発生した高温ガスが通気されるが、汚泥は含水率50〜60重量%程度の場合、見かけ上は湿った土状になり流動性はなくなるため、廃棄物層に存在する塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に亘って高温ガスが通気できる状態となる。図4は塵芥と含水率60重量%以下の汚泥とで形成した廃棄物層の中を高温ガスが流通する様子を模式的に示している。図4に示すように含水率60重量%以下の汚泥Mdは団粒状に造粒しなくても塵芥Wと混合すると廃棄物層全体の通気抵抗が少なく、高温ガスの流通経路Pが数多く且つ一様に確保され、廃棄物の乾燥・燃焼・溶融が塵芥のみの場合と同様に安定して行われる。前記廃棄物の燃焼の進行に伴い溶融状態にまでなった前記廃棄物は炉下部の側面の出滓口2eから溶融物として排出される。また、高温ガスの流通経路が一様に確保されるので溶融物が多く存在する部分の炉底圧も上昇せず、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐこともないため廃棄物層の弱い部分を高温ガスの吹き抜け現象が生じることがなく、局部的な急激な燃焼が生じることがない。よって、燃焼が不安定になる要因が少なくなるので未燃ガスの発生も少く、ダイオキシン発生の要因も減少させることができる。また、燃焼・溶融が安定して行われるので廃棄物と高温ガスの熱交換効率も向上させることができる。
塵芥のみか塵芥と含水率60重量%以下の汚泥と合わせて廃棄物処理炉1で処理する場合、ごみホッパ8に投入されてから炉内に供給されるまでに破砕されて、溶融炉本体2への給塵装置2a又は焼却炉本体15への焼却炉給塵装置15aに入る程度以下まで小さくなる。その上で定量的に溶融炉本体2又は焼却炉本体15に投入される。しかし、塵芥は形状や質が様々なことから図4に示すように廃棄物層内には随所に空隙ができ、塵芥のみの場合は勿論であるが、塵芥と含水率60重量%以下の汚泥と合わせて処理する場合も、前記汚泥は土状であるので前記空隙に保持され、通気性も損なわれず、熱分解帯B、燃焼帯C、溶融帯Dで発生する高温ガスの抜ける流通経路が適度に確保され、安定した溶融・燃焼を行うことができる。一方、前記塵芥と含水率60重量%を超える汚泥とを混合処理した場合について図5を用いて説明する。図5は塵芥と含水率60重量%を超える汚泥Mwとで形成した廃棄物層の中を高温ガスが流通する様子を模式的に示している。予熱乾燥帯では投入されて間もなくは含水率の高い汚泥Mwは、泥状で流動性が高いために塵芥Wと塵芥Wの間の空隙に流れ込んで高温ガスの通り抜ける流通を塞いだ状態になり通気性を悪くする。このため熱分解帯B、燃焼帯C、溶融帯Dで発生する高温ガスの抜ける流通経路Pは比較的通気抵抗の低い個所に偏って形成される。したがって、廃棄物層全体の通気抵抗が増大することで高温ガスの流通経路が炉断面に対し一様に確保されず燃焼・溶融が阻害されるとともに、炉底圧が上昇することにより、通気抵抗の低い廃棄物層の一部で吹き抜け現象が生じ、局部的な急速燃焼が本来投入された塵芥や汚泥の乾燥領域である予熱乾燥帯Aにおいても生じ未燃ガスの発生を新たに引き起こし、ダイオキシン発生の要因を増大させる。また、含水率60重量%以上の含水率が高い汚泥を投入することにより塵芥のみか塵芥と含水率60重量%以下の汚泥と合わせて処理する場合より燃焼が不安定となると共に乾燥に時間とエネルギーを余分に要することになり結果的に処理能力の低下も引き起こす。又、塵芥と汚泥を混合処理する場合、汚泥の混入量を少しずつ増加させていくと汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高く廃棄物層全体に通気性が悪くなり、燃焼性を阻害してしまう。しかし汚泥の含水率を60%以下にし、塵芥と同等以下の含水率として、塵芥と汚泥の混合比率がおよそ3:1以上であれば塵芥間に形成される空隙に保持される汚泥は廃棄物層全体の通気性を阻害することがないので塵芥と汚泥を合わせて燃焼させる場合においても良好な燃焼をおこなうことができるが、3:1未満の場合は汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高い状態で塵芥と塵芥の間の多くの空隙に充填されることにより廃棄物層全体の通気性を悪化させ、燃焼性を阻害してしまう。
(第1実施態様)
先ず、本発明にかかる廃棄物処理炉の概略構成について図1を用いて説明する。図1に示すように本廃棄物処理炉1は、溶融炉本体2と排ガスダクト3と、二次燃焼炉4と、排ガス冷却塔5と、二次燃焼排ガスの一部を引き抜く乾燥用排ガスダクト5aと、乾燥機排気戻しダクト4aと、汚泥を乾燥する乾燥機11と、塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を投入するごみホッパ8と、混合された塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を溶融炉本体2に供給するごみ供給コンベア9を備えて構成されている。
以下にくわしく各部について説明する。前述の溶融炉本体2はその下方に塵芥や汚泥、コークスなどが溶融される溶融帯Dと溶融炉本体2の中ほどにコークスが充填される燃焼帯Cと、塵芥と含水率60重量%以下の汚泥が混合されている熱分解帯B及び、予熱乾燥帯Aと溶融炉本体2の上部には高温ガスを燃焼させる燃焼室2fを有している。そして溶融炉本体2の底部部位の一端には出滓口2eが設けられており、溶融炉本体2の下部に炉底方向に向けて補助熱源の一つでもあるプラズマトーチ2cが取り付けられている。溶融炉本体2の中ほどに形成される予熱乾燥帯Aの上方側面に塵芥と含水率60重量%以下の汚泥及び補助熱源のコークスとが投入される給塵装置2aと、燃焼空気を供給する羽口2bが備えられている。
溶融炉本体2の上方には燃焼排ガスダクト3が接続され、前記溶融炉本体2から排出された高温ガスを再燃焼させる二次燃焼炉4が備えられている。また前記二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍には乾燥機排気戻しダクト4aが接続されている。前記二次燃焼炉4の出口側には排ガス冷却塔5を備え、前記排ガス冷却塔5の出口側排ガスダクトの途中には排ガスの一部を乾燥機11に送る乾燥用排ガスダクト5aが設けられている。前記乾燥用排ガスダクト5aは前記乾燥機11に接続される。前記乾燥機11の排気路の先には乾燥汚泥粉塵を除塵するサイクロンと乾燥送風機と乾燥機排気ダクトで構成される集塵装置13を備えている。前記集塵装置13は前記二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍に接続されている前記乾燥機排気戻しダクト4aに接続される。一方、前記乾燥機11に汚泥を供給する汚泥受け入れ装置10が備えられ、前記汚泥受け入れ装置10の出口側に攪拌作用と前記一部引き抜かれた排ガスの一部により汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥する前記乾燥機11が備えられている。また、前記乾燥機11で乾燥された汚泥をごみホッパ8に供給する汚泥搬送コンベア12を備え、前記塵芥と乾燥された汚泥を受け入れる前記ごみホッパ8を備え、前記ごみホッパ8から供給される前記混合された塵芥と乾燥された汚泥を前記溶融炉本体2に供給するごみ供給コンベア9と給塵装置2aを備えている。
以下に本廃棄物処理炉の働きについて処理廃棄物である塵芥と汚泥の処理手順に従って説明する。まず、ごみ供給コンベア9の途中からコークスと石灰が供給されて給塵装置2aを経て溶融炉本体2に投入される。投入されたコークスは溶融帯Dにコークスが充填層として形成される。次にコークス充填層に向けプラズマトーチ2cで発生するプラズマにより加熱された高温空気を吹き込みながらコークスを燃焼させる。この状態で前記給塵装置2aより塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を供給して予熱乾燥帯A及び熱分解帯Bに廃棄物層を形成する。前記廃棄物層では溶融帯Dにある燃焼している前記コークス充填層からの熱とプラズマトーチ2cからの高温空気と熱分解帯B及び予熱乾燥帯Aのある羽口2bからの燃焼空気により予熱乾燥帯A、熱分解帯B、燃焼帯Cでは燃焼が、溶融帯Dでは溶融が行われる。燃焼、溶融の進行に伴い、コークスと廃棄物層の境界は渾然となり廃棄物が多い予熱乾燥帯A、熱分解帯B、燃焼帯C、コークスが多い溶融帯Dで状態変化が連続的な層を形成する。燃焼、溶融により発生した高温ガスは前記溶融炉本体2の上方の燃焼室2fで燃焼された後、排ガスダクト3を経て二次燃焼炉4で再燃焼され、排ガス冷却塔5で冷やされた後空気予熱器、濾過式集塵機、活性炭吸着塔等で構成されている排ガス処理装置14に導かれ排出される。この高温ガスは排ガス冷却塔5を出た後で一部引き抜かれて乾燥機11にも送気される。一方、前記乾燥機11の形式はロータリーキルン型等であり、汚泥受け入れ装置10から投入された汚泥は、前記乾燥機11により前記乾燥用排ガスダクト5aで一部引き抜かれた排ガスを熱源とし含水率60重量%以下の汚泥になるまで攪拌される。乾燥に使われた排ガスは乾燥汚泥粉塵を含むため集塵装置13で除塵した後、乾燥機排気戻しダクト4aを通して前記二次燃焼炉4に戻され再燃焼される。一方、前記乾燥機11で含水率60重量%以下になった汚泥は汚泥搬送コンベア12でごみホッパ8まで搬送される。また、前記ごみホッパ8には前記塵芥と前記含水率60重量%以下になった汚泥が適宜供給され、前記ごみホッパ8内である程度混合された状態となる。この状態となった前記塵芥と前記含水率60重量%以下になった汚泥が供給コンベア9にて搬送され給塵装置2aにより溶融炉本体2に投入される。
廃棄物処理炉1に投入されるのは塵芥と汚泥であるが、塵芥はまず、ごみ受け入れ装置6のごみピットにて受け入れられ、ピットからクレーン等で掴み上げられた後、ごみホッパ8に投入される。汚泥はごみとは別の汚泥受け入れ装置10にて受け入れられた後、乾燥機11に供給され含水率60重量%以下迄乾燥された後、汚泥搬送コンベア12により前記ごみホッパ8に送られる。前記ごみホッパ8で適度に混合された塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥は給塵装置2aに送られ、定量的に溶融炉本体2に投入されるが、炉内に落下するまでに適度にばらついた状態で順次堆積されていき廃棄物層を形成する。この廃棄物層に燃焼帯C、溶融帯Dで発生する高温ガスが通気されるが、含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥は含水率50〜60重量%程度の場合、見かけ上は湿った土状であり流動性は少なくなるため、廃棄物層に存在する塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に亘って高温ガスが通気できる状態となる。又、塵芥と汚泥を混合処理する場合、汚泥の混入量を少しずつ増加させていくと汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高く廃棄物層全体に通気性が悪くなり、燃焼性を阻害してしまう。しかし汚泥の含水率を60%以下にし、塵芥と同等以下の含水率として、塵芥と汚泥の混合比率がおよそ3:1以上であれば塵芥間に形成される空隙に保持される汚泥は廃棄物層全体の通気性を阻害することがないので塵芥と汚泥を合わせて燃焼させる場合においても良好な燃焼を行うことができるが、3:1未満で汚泥割合が多くなると汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高い状態で塵芥と塵芥の間の多くの空隙に充填されることにより廃棄物層全体の通気性を悪化させ、燃焼性を阻害してしまう場合がある。従って、塵芥と汚泥の混合比率をおよそ3:1以上にしておくことがのぞましい。図4は塵芥と含水率60重量%以下の汚泥とで形成した廃棄物層の中を高温ガスが流通する様子を模式的に示している。図4に示すように含水率60重量%以下の汚泥Mdは団粒状に造粒しなくとも、汚泥Mdが塵芥Wと塵芥の間に入り込むことにより廃棄物層全体の通気抵抗が少なく、高温ガスの流通経路Pが数多く且つ一様に確保され、廃棄物の乾燥・燃焼・溶融が塵芥のみの場合と同様に安定して行われる。溶融した前記廃棄物は炉下部の側面の出滓口2eから溶融物として排出される。また、廃棄物層全体の通気抵抗が少ないので溶融物が多く存在する部分の炉底圧も上昇せず保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐこともないため廃棄物層の弱い部分を高温ガスの吹き抜け現象が生じることがなく、塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥の局部的な急速燃焼が生じることがない。よって、燃焼が不安定になる要因が少なくなるので、未燃ガスの発生も少くなり結果としてダイオキシン発生の要因も減少させることができる。また、燃焼・溶融が安定して行われるので炉内の廃棄物と高温ガスの熱交換効率も向上させることができる。従って、従来の方法である汚泥をそのまま塵芥と混合処理させる方式に比べ助燃料使用料の低減もできる。
投入される汚泥の含水率が60重量%以上の場合、予め乾燥して含水率を60重量%以下にしておく必要がある。そのために乾燥機を設けるが、乾燥機11から排気される排ガスは汚泥が乾燥して粉化した粉塵を含むため集塵装置13で除塵した後、乾燥機排気戻しダクト4aを通して二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍に戻される。前記乾燥機排気戻しダクト4aは前記二次燃焼炉4の入り口側に接続されるため、前記乾燥機11から排気される排ガスは二次燃焼炉4で高温ガスとともに燃焼されることになり、未燃ガスの発生を防止し、排ガス処理を一つの処理系として安定した燃焼ができる。合わせて燃焼廃熱を汚泥の乾燥に有効利用することができる。更には集塵装置13で除塵された乾燥汚泥粉塵は、含水率60重量%以下まで乾燥した汚泥とともに廃棄物処理炉1に供給され処理されるので発生した乾燥汚泥粉塵は廃棄物処理の系外に排出されることもない。また、投入される汚泥の含水率が60重量%以下の場合は、予め乾燥しておく必要がないため、塵芥と同様にごみ受け入れ装置6のごみピットにて受け入れ、処理することもできる。
(第2実施態様)
次に本発明にかかる廃棄物処理炉の概略構成について図2を用いて説明する。図2に示すように本廃棄物処理炉1は、溶融炉本体2と排ガスダクト3と、二次燃焼炉4と、排ガス冷却塔5と、二次燃焼排ガスの一部を引き抜く乾燥用排ガスダクト5aと、汚泥を乾燥する乾燥機11と、塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を投入するごみホッパ8と、混合された塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を溶融炉本体2に供給するごみ供給コンベア9を備えて構成されている。
以下にくわしく各部について説明する。前述の溶融炉本体2はその下方に溶融帯Dと溶融炉本体2の中ほどにコークスが充填される燃焼帯Cと、塵芥と含水率60重量%以下の汚泥が混合されている熱分解帯B及び、予熱乾燥帯Aと溶融炉本体2の上部には高温ガスを燃焼させる燃焼室2fを有している。また、前記コークス充填層の位置には着火装置である溶融炉着火バーナー2dが設けられている。しかし、第1実施態様のように溶融炉本体2の下部に炉底方向に向けたプラズマトーチ2cは取り付けられていない。そして溶融炉本体2の底部部位の一端には出滓口2eが設けられている。溶融炉本体2の中ほどに形成される予熱乾燥帯Aの上方側面に塵芥と含水率60重量%以下の汚泥及び補助熱源であるコークスとが混合されて投入される給塵装置2aと、燃焼空気を供給する羽口2bが備えられている。
溶融炉本体2の上方には燃焼排ガスダクト3が接続され、前記溶融炉本体2から排出された燃焼排ガスを再燃焼させる二次燃焼炉4が備えられている。また前記二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍には乾燥機排気戻しダクト4aが接続されている。前記二次燃焼炉4の出口側には排ガス冷却塔5を備え、前記排ガス冷却塔5の出口側排ガスダクトの途中には排ガスの一部を乾燥機11に送る乾燥用排ガスダクト5aが接続されている。前記乾燥用排ガスダクト5aは前記乾燥機11に接続される。前記乾燥機11の排気路の先には乾燥汚泥粉塵を除塵するサイクロンと乾燥送風機と乾燥機排気ダクトで構成される集塵装置13を備えている。前記集塵装置13は前記二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍に接続されている前記乾燥機排気戻しダクト4aに接続される。一方、前記乾燥機11に汚泥を供給する汚泥受け入れ装置10が備えられ、前記汚泥受け入れ装置10の出口側に攪拌作用と前記一部引き抜かれた排ガスの一部により汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥する前記乾燥機11が備えられている。また、前記乾燥機11で乾燥された汚泥をごみホッパ8に供給する汚泥搬送コンベア12を備え、前記塵芥と乾燥された汚泥を受け入れる前記ごみホッパ8を備え、前記ごみホッパ8から供給される前記混合された塵芥と乾燥された汚泥を前記溶融炉本体2に供給するごみ供給コンベア9と給塵装置2aを備えている。
以下に本廃棄物処理炉の働きについて処理廃棄物である塵芥と汚泥の処理手順に従って説明する。まず、コークス・石灰搬送コンベア16によりコークスと石灰がごみ供給コンベア9の途中から供給されて給塵装置2aを経て溶融炉本体2に投入される。投入されたコークスは溶融帯Dにコークス充填層として形成される。次に前記コークス充填層に向け装着された、着火装置である着火バーナー2dによりコークスを燃焼させる。この状態で前記給塵装置2aより塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を供給して予熱乾燥帯A及び熱分解帯Bに廃棄物層を形成する。前記廃棄物層は前記溶融帯Dにある燃焼している前記コークス充填層からの熱と前記予熱乾燥帯A及び熱分解帯Bのある羽口2bからの燃焼空気により予熱乾燥帯A、熱分解帯B、燃焼帯Cでは燃焼、溶融帯Dでは溶融が行われる。燃焼、溶融の進行に伴い、コークスと廃棄物層の境界は渾然となり廃棄物が多い前記予熱乾燥帯A、熱分解帯B、燃焼帯C、コークスが多い溶融帯Dで状態変化が連続的な層を形成する。燃焼、溶融により発生した高温ガスは溶融炉本体2の上方の燃焼室2fで燃焼された後、排ガスダクト3を経て二次燃焼炉4で再燃焼され、排ガス冷却塔5で冷やされた後空気予熱器、濾過式集塵機、活性炭吸着塔等とで構成されている排ガス処理装置14に導かれ排出される。この高温ガスは排ガス冷却塔5を出た後で排ガスとして一部引き抜かれて乾燥機11にも送気される。一方、前記乾燥機11の形式はロータリーキルン型等であり、投入された汚泥は、前記乾燥用排ガスダクト5aにより一部引き抜かれた排ガスを熱源とし含水率60重量%以下の汚泥になるまで攪拌される。乾燥に使われた排ガスは乾燥汚泥粉塵を含むため集塵装置13で除塵した後、乾燥機排気戻しダクト4aを通して前記二次燃焼炉4に戻され再燃焼される。乾燥機11で含水率60重量%以下になった汚泥は汚泥搬送コンベア12でごみホッパ8まで搬送される。また、前記ごみホッパ8には前記塵芥と前記含水率60重量%以下になった汚泥が適宜供給され、前記ごみホッパ8内である程度混合された状態となる。この状態となった前記塵芥と前記含水率60重量%以下になった汚泥が供給コンベア9にて搬送され前記給塵装置2aにより溶融炉本体2に投入される。
廃棄物処理炉1に投入されるのは塵芥と汚泥であるが、塵芥はまずごみごみ受け入れ装置6のごみピットにて受け入れられ、ピットからクレーン等で掴み上げられた後、ごみホッパ8に投入される。汚泥はごみとは別の汚泥受け入れ装置10にて受け入れられた後、乾燥機11に供給され含水率60重量%以下迄乾燥された後、汚泥搬送コンベア12により前記ごみホッパ8に送られる。前記ごみホッパ8で適度に混合された塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥は給塵装置2aに送られ、定量的に炉内に投入されるが、炉内に落下するまでに適度にばらついた状態で順次堆積されていき廃棄物層を形成する。この廃棄物層に熱分解帯B、燃焼帯C、溶融帯Dで発生する高温ガスが通気されるが、含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥は含水率50〜60重量%程度の場合、見かけ上は湿った土状であり流動性は少なくなるため、廃棄物層に存在する塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に亘って高温ガスが通気できる状態となる。又、塵芥と汚泥を混合処理する場合、汚泥の混入量を少しずつ増加させていくと汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高く廃棄物層全体に通気性が悪くなり、燃焼性を阻害してしまう。しかし汚泥の含水率を60%以下にし、塵芥と同等以下の含水率として、塵芥と汚泥の混合比率がおよそ3:1以上であれば塵芥間に形成される空隙に保持される汚泥は廃棄物層全体の通気性を阻害することがないので塵芥と汚泥を合わせて燃焼させる場合においても良好な燃焼をおこなうことができるが、3:1未満で汚泥割合が多くなると汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高い状態で塵芥と塵芥の間の多くの空隙に充填されることにより廃棄物層全体の通気性を悪化させ、燃焼性を阻害してしまう場合がある。従って、塵芥と汚泥の混合比率をおよそ3:1以上にしておくことがのぞましい。図4は塵芥と含水率60重量%以下の汚泥とで形成した廃棄物層の中を高温ガスが流通する様子を模式的に示している。図4に示すように含水率60重量%以下の汚泥Mdは団粒状に造粒しなくても塵芥Wと混合すると廃棄物層全体の通気抵抗が少なく、高温ガスの流通経路Pが数多く且つ一様に確保され、廃棄物の乾燥・燃焼・溶融が塵芥のみの場合と同様に安定して行われる。溶融した前記廃棄物は炉下部の側面の出滓口2eから溶融物として排出される。また、廃棄物層全体の通気抵抗が少ないので溶融物が多く存在する部分の炉底圧も上昇せず、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐこともないため廃棄物層の弱い部分を高温ガスの吹き抜け現象が生じることがなく、塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥の局部的に急激な燃焼が生じることがない。よって、燃焼が不安定になる要因が少なくなるので、未燃ガスの発生も少くなり結果としてダイオキシン発生の要因も減少させることができる。また、燃焼・溶融が安定して行われるので炉内の廃棄物と高温ガスの熱交換効率も向上させることができる。従って、従来の方法である汚泥をそのまま塵芥と混合処理させる方式に比べ助燃料使用料の低減もできる。
投入される汚泥の含水率が60重量%以上の場合、予め乾燥して含水率を60重量%程度以下にしておく必要がある。そのために乾燥機を設けるが、乾燥機11から排気される排ガスは汚泥が乾燥して粉化した粉塵を含むため集塵装置13で除塵した後、汚泥乾燥機排気戻しダクト4aを経て二次燃焼炉4に戻される。乾燥機排気戻しダクト4aは二次燃焼炉4の入り口側に接続されるため、前記乾燥機11から排気される排ガスは二次燃焼炉4で高温ガスとともに燃焼されることになり、未燃ガスの発生を防止し、排ガス処理を一つの処理系として安定した燃焼ができる。合わせて燃焼廃熱を汚泥の乾燥に有効利用することができる。更には集塵装置13で除塵された乾燥汚泥粉塵は、再び乾燥機11の入り口に戻され処理されるので発生した粉塵も廃棄物処理の系外に排出されることがない。また、投入される汚泥の含水率が60重量%以下の場合は、予め乾燥しておく必要がないため、塵芥と合わせてごみ受け入れ装置6のごみピットにて受け入れ、処理することもできる。
(第3実施態様)
次に本発明にかかる廃棄物処理炉の概略構成について図3を用いて説明する。図3に示すように本廃棄物処理炉1は、焼却炉本体がストーカ炉と呼ばれる形式の場合であって、焼却炉本体15と排ガスダクト3と、二次燃焼炉4と、排ガス冷却塔5と、二次燃焼排ガスの一部を引き抜く乾燥用排ガスダクト5aと、乾燥機排気戻しダクト4aと、汚泥を乾燥する乾燥機11と、塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を投入するごみホッパ8と、混合された塵芥と含水率60重量%以下の汚泥を焼却炉本体15に供給するごみ供給コンベア9を備えて構成されている。
以下にくわしく各部について説明する。前述の焼却炉本体15の上方には塵芥と含水率60重量%以下の汚泥とが混合されて投入される焼却炉給塵装置15aと、炉床側にはごみの乾燥、燃焼、後燃焼を行うストーカと、焼却炉本体15の上部には高温ガスを燃焼させる燃焼室15dと、後燃焼ストーカ先端下方には乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15cから落下した灰を集めて排出する灰シュート15eを備えている。また、前記焼却炉本体15の燃焼帯には着火装置である着火バーナー15bが設けられ、また、乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15cに燃焼用空気を供給する送風口15fが乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15cの裏側に設けられている。
焼却炉本体15の上方には燃焼排ガスダクト3が接続され、前記焼却炉から排出された高温ガスを再燃焼させる二次燃焼炉4が備えられている。また前記二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍には乾燥機排気戻しダクト4aが接続されている。前記二次燃焼炉4の出口側には排ガス冷却塔5を備え、前記排ガス冷却塔5の出口側排ガスダクトの途中には排ガスの一部を乾燥機11に送る乾燥用排ガスダクト5aが設けられている。前記乾燥用排ガスダクト5aは前記乾燥機11に接続される。前記乾燥機11の排気路の先には乾燥汚泥粉塵を除塵するサイクロンと乾燥送風機と乾燥機排気ダクトで構成される集塵装置13を備えている。前記集塵装置13は前記二次燃焼炉4の排ガス入り口近傍に接続される前記乾燥機排気戻しダクト4aに接続される。一方、前記乾燥機11に汚泥を供給する汚泥受け入れ装置10が備えられ、前記汚泥受け入れ装置10の出口側に攪拌作用と前記一部引き抜かれた排ガスの一部により汚泥を含水率60重量%以下まで乾燥する前記乾燥機11が備えられている。また、前記乾燥機11で乾燥された汚泥をごみホッパ8に供給する汚泥搬送コンベア12を備え、前記塵芥と乾燥された汚泥を受け入れる前記ごみホッパ8を備え、前記ごみホッパ8から供給される前記混合された塵芥と乾燥された汚泥を前記焼却炉本体15に供給するごみ供給コンベア9と焼却炉給塵装置15aを備えている。
以下に本廃棄物処理炉の働きについて処理廃棄物である塵芥と汚泥の処理手順に従って説明する。まず、前記焼却炉給塵装置15aより塵芥と含水率60重量%以下の汚泥が供給されに乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15c上に廃棄物層を形成する。前記廃棄物層は前記焼却炉本体15の燃焼帯にある着火装置である焼却炉着火バーナー15bにより前記廃棄物層が着火され、乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15cに供給される燃焼用空気により燃焼が進行していく。前記廃棄物の燃焼により発生した高温ガスは前記焼却炉本体15の上方の燃焼室15dで燃焼された後、排ガスダクト3を経て二次燃焼炉4で再燃焼され、排ガス冷却塔5で冷やされた後空気予熱器、濾過式集塵機、活性炭吸着塔等が備えられている排ガス処理装置14に導かれ排出される。この高温ガスは排ガス冷却塔5を出た後の排ガスとして一部引き抜かれて乾燥機11にも送気される。一方、乾燥機11の形式はロータリーキルン型等であり、投入された汚泥は、前記乾燥用排ガスダクト5aにより一部引き抜かれた高温ガスを熱源とし含水率60重量%以下の汚泥になるまで攪拌される。乾燥に使われた高温ガスは乾燥汚泥粉塵を含むため集塵装置13で除塵した後、乾燥機排気戻しダクト4aを経て前記二次燃焼炉4に戻され再燃焼される。前記 乾燥機11で含水率60重量%以下になった汚泥は汚泥搬送コンベア12でごみホッパ8まで搬送される。また、前記ごみホッパ8には前記塵芥と前記含水率60重量%以下になった汚泥が適宜供給され、前記ごみホッパ8内である程度混合された状態となる。この状態となった前記塵芥と前記含水率60重量%以下になった汚泥が供給コンベア9にて搬送され前記焼却炉給塵装置15aにより焼却炉本体15に投入される。
廃棄物処理炉1に投入されるのは塵芥と汚泥であるが、塵芥はまずごみごみ受け入れ装置6のごみピットにて受け入れられ、ピットからクレーン等で掴み上げられた後、ごみホッパ8に投入される。汚泥はごみとは別の汚泥受け入れ装置10にて受け入れられた後、乾燥機11に供給され含水率60重量%以下迄乾燥された後、汚泥搬送コンベア12により前記ごみホッパ8に送られる。前記ごみホッパ8で適度に混合された塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥は焼却炉給塵装置15aに送られ、前記焼却炉給塵装置15aにより定量的に本焼却炉本体15に投入され、乾燥ストーカの投入側から後段に送られる。そして乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15cの攪拌、送り作用により乾燥段から後燃焼段に向けて適度にほぐされた状態で順次乾燥、燃焼、灰化と進行し灰として排出される。この間、乾燥、燃焼、後燃焼ストーカ15c上の廃棄物層に燃焼空気が供給されるが、含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥は含水率50〜60重量%程度の場合、見かけ上は湿った土状であり流動性は少なくなるため、廃棄物層に存在する塵芥間に形成される空隙に保持される。また、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐことがなく、廃棄物層全体に渡って高温ガスが通気できる状態となる。又、塵芥と汚泥を混合処理する場合、汚泥の混入量を少しずつ増加させていくと汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高く廃棄物層全体に通気性が悪くなり、燃焼性を阻害してしまう。しかし汚泥の含水率を60%以下にし、塵芥と同等以下の含水率として、塵芥と汚泥の混合比率がおよそ3:1以上であれば塵芥間に形成される空隙に保持される汚泥は廃棄物層全体の通気性を阻害することがないので塵芥と汚泥を合わせて燃焼させる場合においても良好な燃焼をおこなうことができるが、3:1未満で汚泥割合が多くなると汚泥の粒度は塵芥の粒度に比べはるかに小さく均質なため、嵩密度が高い状態で塵芥と塵芥の間の多くの空隙に充填されることにより廃棄物層全体の通気性を悪化させ、燃焼性を阻害してしまう場合がある。従って、塵芥と汚泥の混合比率をおよそ3:1以上にしておくことがのぞましい。図4は塵芥と含水率60重量%以下の汚泥とで形成した廃棄物層の中を高温ガスが流通する様子を模式的に示している。図4に示すように含水率60重量%以下の汚泥Mdは団粒状に造粒しなくても塵芥Wと混合すると廃棄物層全体の通気抵抗が少なく、高温ガスの流通経路Pが数多く且つ一様に確保され、廃棄物の乾燥・燃焼が塵芥のみの場合と同様に安定して行われる。燃焼した前記廃棄物は炉下部の灰シュート15eに焼却灰として排出される。また、廃棄物層全体の通気抵抗が少ないので炉底圧も上昇せず、保持された汚泥は通気性のほとんどない含水率の高い汚泥のように空隙を完全に塞ぐこともないため廃棄物層の弱い部分を高温ガスの吹き抜け現象が生じることがなく、塵芥と含水率60重量%以下迄乾燥された汚泥の局部的に急激な燃焼が生じることがない。よって、燃焼が不安定になる要因が少なくなるので、未燃ガスの発生も少くなり結果としてダイオキシン発生の要因も減少させることができる。また、燃焼が安定して行われるので炉内の廃棄物と高温ガスの熱交換効率も向上させることができる。従って、従来の方法である汚泥をそのまま塵芥と混合処理させる方式に比べ熱効率が良くなり安定した燃焼ができ、助燃料使用料の低減もできる。