JP3554709B2 - 産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療系廃棄物を含む産業廃棄物を焼却するごみ焼却炉施設の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業廃棄物は、有害物質が多く含まれるだけでなく、高発熱量物質や難燃物あるいは、不燃物が混在しているほか、固体・粉体・液体・粘体とその性状は多種多様であるため、過去に使用されていた固定バッチ燃焼式焼却炉では、このような産業廃棄物を、安定した温度で完全に焼却処理することは非常に困難であった。
【0003】
特にごみ質のバラツキが大きく、病源性ウィルスを含む危険な感染性物質や、ガラス等の溶融しやすい物質を多量に含む医療系廃棄物の焼却処理として一般に用いられている、ロータリーキルン式、または傾斜回転炉床式、あるいは攪拌手段付き水平回転炉床式の焼却炉は、いずれも廃棄物を転回あるいは攪拌して燃焼させる方式であるために、燃えやすい物だけ先燃えして難燃物が残る燃えむらができて完全焼却・滅菌することは不可能であり、特に不完全燃焼によるダイオキシン類の発生と未燃物の排出を阻止できないという欠陥があった。
【0004】
図6は、これらの問題を解決するために、特開平4−158110号公報に開示された「竪型焼却炉及びその焼却方法」の概要を示す縦断側面図である。
【0005】
図6において、 焼却炉本体aの頂部には燃焼ガス排出口bが、上部にはフィーダを有するホッパcと着火バーナdとが設置され、焼却炉本体a内下方には出没自在なごみ支持板e,eが設けられ、底部には開閉自在な焼却灰排出板f,fが配置されている。
【0006】
上記ごみ支持板e,eは、通常は図示するように焼却炉本体a内から没した状態に配置され、焼却灰排出板f,fが開放して焼却灰を排出する時にのみ、図において1点鎖線で示すように灰層gの上層に突出して、このごみ支持板e,eよりも上部にあるごみ及び燃焼した焼却灰の荷重を支持する。
【0007】
また、ごみ支持板e,eが位置する焼却炉本体aの両側には、ごみ支持板e,eが焼却炉本体a内から没した時に、このごみ支持板e,eを収納する収納室h,hが設けられている。
【0008】
この収納室h,hには常温の冷却空気iが供給されており、この冷却空気iは、焼却炉本体aと収納室h,hとの間に形成された間隙j,jから焼却炉本体a内に吹出し、ごみ支持板e,eの冷却を行うとともに、この間隙j,jから焼却炉本体a内の焼却灰が収納室h,h側に進入しないように防止している。
【0009】
焼却灰排出板f,fは焼却炉本体aの底部において、水平位置から1点鎖線で示す垂直位置まで開閉自在に設けられている。そして、ごみ支持板e,eによって焼却炉本体a内下部の灰層gの上層から上を支持したのち、焼却灰排出板f,fを下方に転回することによって、燃焼が終わった焼却灰を焼却炉本体a下方に設けられた灰搬出装置kに排出することができる。
【0010】
つまり、前記ごみ支持板e,eは、焼却灰排出板f,fによる焼却灰の排出を補助するために設けられている。
【0011】
また、焼却炉本体aの上部、中部、下部にはそれぞれ温度調節された燃焼用空気m、n、pがダンパq、r、sを介して供給されている。これら燃焼用空気m、n、pはごみ質に応じて最適の温度に調節されている。
【0012】
焼却炉本体aのホッパcの反対側に設置された着火用バーナdは、始業時のごみ着火または炉内温度低下時の助燃に利用される。
【0013】
次に、このように構成された竪型焼却炉によるごみの焼却方法について説明する。
【0014】
ここで、平常操業時における焼却炉本体a内では、ごみの燃焼状態により位置が移動するものの、上から火炎層t、ごみ層u、おき燃焼層v及び灰層gを形成している。
【0015】
ホッパcから焼却炉本体a内に供給されたごみは、始業時においては焼却炉本体aの底部にある灰層g上に堆積され、着火バーナdにより加熱され、燃焼用空気m、nによって燃焼を始め、燃え易いごみから焼却されて灰となり、難燃性のごみとともに火種を保有しながらおき燃焼層vに堆積する。
【0016】
その状態でごみを供給すれば、ごみはごみ層uに堆積され、おき燃焼層vの熱と燃焼用空気mにより着火され、燃焼が徐々にごみ層u全体に拡がり、平常操業状態に移行する。
【0017】
この燃焼時においておき燃焼層v及びごみ層uの下層で発生した燃焼ガスwは、ごみ層u内を通過して上昇し、その熱で上部のごみの着火及びガス化を促進するとともに、生ごみの乾燥を行う。
【0018】
さらに、火炎層tまで上昇した燃焼ガスwは、この上部に供給されている常温の2次空気xによって再燃焼されたのち、燃焼ガス排出口bから次工程に排出される。
【0019】
この火炎層tにおける燃焼時の放射熱によって、ごみ層uに投入されたごみの予備乾燥を行うとともに、発火点の低い紙やプラスチックを燃やして火種になるのを促進する。
【0020】
焼却灰の燃焼が完結すると、この段階でごみ支持板e,eを焼却炉本体a内の灰層gの上層に突出させ、ごみ支持板e,eよりも上部に位置するごみ層u、おき燃焼層v及び灰層gの上層の焼却灰及びごみの荷重を支持する。
【0021】
この突出時において、ごみ支持板e,eの位置ではごみの燃焼が完了しているため、ごみによる抵抗が少なく、ごみ支持板e,eはスムースに突出することができる。
【0022】
このようにごみ支持板e,eを突出させたのち、焼却灰排出板f,fを下方に転回させ、ごみ支持板e,eよりも下方の焼却灰を灰搬出装置kに落下させる。
【0023】
焼却灰排出後は、焼却灰排出板f,fを上方に復帰させたのち、ごみ支持板e,eを焼却炉本体a内から収納室h,h内へと没し、ごみ支持板e,eの上部にある残余の焼却灰及びおき燃焼層vの焼却残渣を底部の焼却灰排出板f,f上に落下させるとともに、ごみ層uも順次落下させる。
【0024】
この落下時のショックにより、灰層gの通気性が良くなるだけでなく、おき燃焼層v及びごみ層uにおける未燃物の塊が崩壊されるため、層全体の通気性が良くなるとともに、塊の内部まで空気が通るようになる。このため、高温の燃焼空気n,pを供給すると残留していた火種により焼却灰中の未燃物が容易に燃焼する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示す従来の竪型焼却炉では、火炎層tでの2次燃焼が完全ではないために、ダイオキシン類が完全に熱分解できない。したがって、焼却炉本体a及び図示しない後続の再燃焼室の容積を大きくして、排ガスwの滞留時間の延長を計る必要があり、設備費の高騰を招くだけでなく、ダイオキシン類吸着剤の使用量も増加していた。
【0026】
また、特に医療系廃棄物を焼却処理する場合には、前述の如く、高発熱量物質や難燃物あるいは不燃物が混在し、その性状も多種多様であるために、焼却炉内の温度が乱高下して不安定な燃焼状態となり完全燃焼・滅菌が困難なために、焼却炉内でのダイオキシン類の熱分解が不十分となり、後続の排ガス処理設備に負担をかけるだけでなく、排出灰中に残留する危険な感染性廃棄物を、滅菌処理不十分のまま施設から排出する虞があった。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設の制御装置は、竪型の焼却炉本体の最下段に位置する灰層の下方に、出没自在なごみ支持板と開閉自在な焼却灰排出板とが上下に装備されるとともに、該焼却炉本体の上方には、排ガス混合手段を介して、再燃焼室及び高温空気予熱器が載置された、医療系廃棄物を含む産業廃棄物を焼却する産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設において、検出された火炎層の平均温度に基づいて2次及び後燃焼空気の供給量と炉内温度冷却用水量を制御して炉内温度を安定させるとともに、焼却作業終了後は高温空気予熱器の冷却を行う燃焼制御装置と、灰層の平均温度が所定値以下に低下した時間が所定時間を超過していることを排出条件として、上記ごみ支持板と焼却灰排出板を操作する焼却灰排出制御装置と、排ガス中の一酸化炭素濃度の平均値が設定値以下になるように、排ガス混合手段に設けられた排ガス旋回兼再燃焼を目的とした2次燃焼空気量を制御して排ガスの再燃焼を完結させるダイオキシン類低減装置とを備えたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設の全体構成を示す概略図であり、図2は該竪型ごみ焼却炉の概略構成を示す縦断面図、図3は該竪型ごみ焼却炉底部の焼却灰排出機構付近の状況を示す一部破断の平面図、図4は該竪型ごみ焼却炉における燃焼状況を示す模式図である。なお、図6で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳細説明は省略する。
【0030】
図1に示すごとく、本発明に係る産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設は、図示しないごみ供給設備と、供給された医療系廃棄物を含む産業廃棄物(以後ごみRと略称する)を燃焼して排ガスを再燃焼させる竪型ごみ焼却炉VIと、前記再燃焼された排ガスを後続のバグフィルタの適温まで冷却するガス冷却設備GCと、冷却された排ガス中に含有されるばいじんとダイオキシン類を含む有害ガスを除去し清浄化するバグフィルタ装置と誘引通風機等からなる排ガス処理設備WT及び、灰処理設備AT、並びに複数の制御装置CU1〜3とで主体が構成されている。
【0031】
ここで本発明の主体となる竪型ごみ焼却炉VIの概略構造を主に図2及び図3により、必要に応じて図1を参照して説明する。
【0032】
1は焼却炉本体であり、上部耐火物11と下部耐火物12等によって構築され、焼却炉本体1の上半分の円筒部C内の火炎層tには、その側部にごみRの投入口13が開閉自在な投入ダンパ14を備えて設けられるとともに、上部耐火物11の側壁部には着火バーナdと、火炎層tの温度過上昇時に噴射される冷却水ノズル15及び、図示しない炉内監視カメラ等が配設されている。
【0033】
焼却炉本体1の中間部以降は、ごみ層を厚くして性状の異なるごみ質を平準化させるために漏斗状に絞られた漏斗部Fになされており、焼却炉本体1内での燃焼状態により相対位置が変動するものの、該漏斗部Fに形成されるごみ層u、おき燃焼層vと灰層gとには、当該各層に常温または温度調節された1次燃焼空気21a〜cを供給する複数の1次空気ノズル22a〜cがダンパ23a〜cを伴って適宜配設されている。
【0034】
一方、前記火炎層tの上方には、常温の2次燃焼空気21dを供給する2次空気ノズル22dがダンパ23dを伴って適宜配設されている。
【0035】
また、漏斗部Fの側壁を構成する下部耐火物12の上方の角部16から下の外面は、例えば上部が空冷ジャケット24、下部が水冷ジャケット25に分割された冷却ケーシングによって冷却されており、おき燃焼層vと灰層gとには、複数の温度検出器群26a〜dが設けられ、焼却炉本体1の外部には、上述の1次・2次燃焼空気を供給する押込送風機27が配設されている。
【0036】
上述の円筒部Cと漏斗部Fとによって、焼却炉本体1が構成されている。
【0037】
焼却炉本体1の底部には、図2及び図3に示すごとく、出没動作が容易にできるように、例えば櫛形をした複数の支持棒31が取付枠32に併設された形状のごみ支持板e,eが支持板駆動手段33を備えて水平方向に配置され、該ごみ支持板e,eの下方には空間Gを隔てて開閉自在な焼却灰排出板f,fが排出板駆動手段34,34を備えて設置されている。
【0038】
上述のごみ支持板e,eと焼却灰排出板f,fとを包含するケーシング35の側面には高温の後燃焼空気28を供給する後燃焼空気ダクト36が接続され、前記ケーシング35の下部は灰搬出装置kに挿入されている。
【0039】
上述のごみ支持板e,eと、支持板駆動手段33と、焼却灰排出板f,fと、排出板駆動手段34,34及びケーシング35とで焼却灰排出機構Dが構成されている。
【0040】
一方、焼却炉本体1の上には、火炎層tから上昇する燃焼ガスwを確実に旋回させるために、ガス通路を傾斜せしめて構築された排ガス混合手段4が設けられており、該排ガス混合手段4は、外壁を構成する耐火物41と該耐火物41に内蔵された空冷管42と、複数の噴射孔43を有する2次燃焼空気噴射管44とで構成されている。
【0041】
上記排ガス混合手段4の上方には再燃焼室45が載置されており、該再燃焼室45の側壁45aには、再燃バーナ46が設けられ、その天井部には耐火材で被覆された高温空気予熱器47が配設されており、また、前記漏斗部Fの空冷ジャケット24と上記空冷管42及び、収納室hとに冷却空気62とiを送る冷却送風機48と、高温空気予熱器47に送風する後燃焼送風機49とが焼却炉本体1の外部に配設されている。
【0042】
上記排ガス混合手段4と、再燃焼室45と再燃バーナ46と高温空気予熱器47及び各送風機48、49とで、 再燃焼機構Bが構成されている。
【0043】
また、以上の焼却炉本体1と焼却灰排出機構Dと、該再燃焼機構B及び、それら付属機器によって、竪型ごみ焼却炉VIが構成されている。
【0044】
上記再燃機構Bの下流側は、複数の水噴射ノズル51を備えるとともに、外周を空冷ケーシング52で覆われたガス冷却室53から成るガス冷却設備GCを経て、薬剤噴射手段55を備えたバグフィルタ56と、誘引通風機57等で構成される排ガス処理設備WTへと連接されている(図1参照)。
【0045】
なお、竪型ごみ焼却炉VI、ガス冷却設備GC及び、排ガス処理設備WTの外部には、図示しない保温材等で保温工事が施されている。
【0046】
次に、このように構成された産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設における産業廃棄物の燃焼状況とその制御について、医療系廃棄物を代表として、主に図4により、必要に応じて図1を参照して説明する。なお、火炎層t、ごみ層u、おき燃焼層vと灰層gの形成状況及び、平常操業状態に移行するまでの燃焼状態については、前述の従来技術と同様であるので、詳細説明は省略する。
【0047】
平常操業状態において、ごみ層uでは、火炎層tでの後述の未燃ガス61の2次燃焼による放射熱が、排ガス混合手段4の底面によってごみ層u表面に照射されるとともに、内部からは温度調節された1次燃焼空気21aの供給とおき燃暁層vから上昇する未燃ガス61の加熱によって、プラスチック類や紙・繊維類等の高発熱量の易燃物が着火されてガス化燃焼し、水分の多いごみや雑誌等の難燃物は乾燥されるとともに炭化燃焼を続け、上述の易燃物とともにさらに未燃ガス61を発生させる。
【0048】
この際、下部耐火物12の外側は冷却空気62で冷却された空冷ジャケット24で徐冷されているため、下部耐火物12の表面温度は700℃程度以下を保持できており、漏斗部Fでの燃焼を阻害することはなく、また易燃物の部分燃焼によるクリンカの溶着を防止している。
【0049】
おき燃焼層vは、ごみ層uで燃焼できなかった未燃炭化物や難燃物を、後述する灰層gから上昇する熱気と、1次燃焼空気21bと21cとの供給を受けて、時間をかけておき燃焼させる部位であり、該おき燃焼により未燃ガス61を発生する。この際、下部耐火物12の表面温度は、ジャケット冷却水63で冷却された水冷ジャケット25の冷却効果により400〜500℃に止まり、ガラス溶融物の溶着・固化を防止している。
【0050】
また、灰層gは、高温空気予熱器47によって300℃程度に加熱された後燃焼空気28の下方からの送入によって、なおかつ残留する未燃炭化物を燃焼し尽くして焼却灰Aとするとともに、焼却灰Aを冷却して熱気を上部のおき燃焼層vに供給する部位であり、灰層g下部の焼却灰Aは、前述の後燃焼空気28の通気と水冷ジャケット25によって450℃程度まで冷却されており、ごみ支持板e,e及び焼却灰排出板f,fの動作により、灰搬出装置kに排出されるまで滞留される。
【0051】
上記操業時に、火炎層tの温度が過上昇した場合には、2次燃焼空気21dの噴射量を増加し、なおかつ回復しない場合には、冷却水ノズル15から火炎層t内に冷却水64を噴霧して温度を安定させる。
【0052】
一方、上述の平常操業状態において、おき燃焼層v及びごみ層uの下層で発生した高温の未燃焼ガス61は、ごみ層u内を通過して上昇し、その熱で上部のごみの着火及びガス化を促進するとともに、ごみRの乾燥を行い、火炎層tまで上昇した上記未燃ガス61は、噴射口43から火炎層tの上部に供給される常温の2次空気21dによって2次燃焼されて燃焼ガスwとなるとともに、過巻状に回転にされることにより火炎層t内の滞留時間が延長されて、ダイオキシン類の熱分解を目的とした再燃焼が行われる。
【0053】
さらに排ガス混合手段4を通過することにより、旋回させられた燃焼ガスwは再燃焼室45内に入り、旋回運動による再燃焼室容積を有効に利用した滞留時間延長の効果と、温度が低下した場合に作動させる再燃バーナ46の火炎照射によって残留するダイオキシン類が完全に熱分解された再燃焼ガス65となり、高温空気予熱器47を通過する際の熱交換により降温した排ガス66となって、次工程であるガス冷却室53に送入される。
【0054】
ここで排ガス混合手段4は、内蔵する空冷管42に送入される冷却空気62により常時冷却されており、冷却後の排気67と、前記空冷ジャケット24を冷却した後の排気68とともに、後燃焼送風機49の吸込側に送られる。
【0055】
後燃焼送風機49により吸引された大気は、ガス冷却室53内面の耐火物を冷却する空冷ケーシング52を経由することによって40〜50℃程度昇温し、上記冷却後の排気67、68とともに中温の空気69となって高温空気予熱器47に供給されて約300℃まで上昇し、後燃焼空気ダクト36に装備された切替えダンパ28aを経由して、常時は後燃焼空気28として灰層gに供給されるが運転停止後も後燃焼送風機49の運転を継続して高温空気予熱器47を冷却したあと、排ガス煙道58から大気中に放出される(図1参照)。
【0056】
次に、制御方式は図5に示すブロックフロー図により、検出端と制御端は図1と図4とによって、本竪型ごみ焼却炉施設の制御装置による制御手順について説明する。
【0057】
図5において、CU1は通常の制御操作以外の燃焼制御装置であり、火炎層温度検出器71によって検出された火炎層tの単位時間平均温度と、火炎層温度設定器72とを比較・遅延・演算回路73で比較して、低ければ後燃焼空気制御部74に指令して、後燃焼空気ダンパ28bを開いて漏斗部Fでの燃焼を促進し、高ければ炉内冷却手段制御部75に指令して、2次空気ダンパ23dを開いて常温の2次燃焼空気21dを増量し、なお温度上昇が続けば冷却水ノズル制御弁15aを開いて冷却水64を炉内に噴射して炉内温度を安定させる。
【0058】
また、焼却作業終了時には、後燃焼空気制御部74に指令して、後燃焼空気切替ダンパ28aを煙突側に切替えて、後燃焼送風機49による冷却を続けることにより、排ガスwによる高温空気予熱器47の焼損を防止する。
【0059】
CU2は焼却灰排出制御装置であり、おき燃焼層vに挿入された温度検出器26d,26cと灰層gに挿入された温度検出器26bの温度変動状態により燃焼状態の移動を監視しつつ、26aの単位時間平均温度が灰層温度設定器81の設定温度よりも低下した時間が滞留時間設定器82の設定時間を超過すれば、比較・遅延・演算回路83から焼却灰排出機構制御部84に指令して、支持板駆動手段33と排出板駆動手段34とを開閉することにより、燃焼が完了した焼却灰Aを排出し、その後各駆動手段を元の位置に戻す(図3参照) 。
【0060】
CU3はダイオキシン類低減装置であり、排ガス煙道58または排ガスダクト59に挿入されたCO(一酸化炭素)濃度検出器91の検出値の単位時間平均が、CO濃度設定器92の設定値より低下するように、火炎層温度の比較・遅延・演算回路73の指令に優先するCO濃度比較・遅延・演算回路93の指令を受ける2次燃焼空気制御部94によって、2次空気ダンパ23dを開閉して、2次燃焼空気21dの噴射量を調節して再燃焼室45内での再燃焼、即ち、ダイオキシン類の熱分解を完結させるが、その指標として、ダイオキシン濃度に最も関連深いCO濃度を低下させる。
【0061】
この場合、火炎層温度が上昇気味であれば、2次燃焼空気ダンパ23dの代わりに冷却水ノズル制御弁15aが作動される。
【0062】
なお、1次燃焼空気22a〜cは、被燃焼物によっては温度調節した空気を使用する必要があり、その場合には、後燃焼空気28の一部を必要箇所に混入させてもよい。
【0063】
また、空冷ジャケット24と空冷管42を冷却した排気67と68とは、後燃焼送風機49の吸込側に返さずに、燃焼空気の加熱に利用してもよい。
【0064】
さらに、冷却ケーシングは空冷ジャケット24と水冷ジャケット25との組合わせで説明したが、その組合せ及び冷却媒体を固定するものではない。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設の制御装置によれば、2次及び後燃焼空気の供給量及び炉内温度冷却用水量を制御する燃焼制御装置を設けているために、通常は乱高下する火炎層の温度が比較的安定化して完全燃焼が可能となり、また、おき燃焼層及び灰層における燃焼が完結したことを確認して焼却灰を排出する焼却灰排出制御装置を備えているために、完全に滅菌した焼却灰を排出することができ、さらに、排ガス中の一酸化炭素濃度を設定値以下に抑えることができるダイオキシン類低減装置を備えるために、バグフィルタに導入される排ガス中のダイオキシン濃度を低く保つことができ、バグフィルタ関係の設備費及び運転経費を低減することができ、また、焼却作業終了後は高温空気予熱器を冷却するために、排ガスによる高温空気予熱器の焼損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設の全体構成を示す概略図である。
【図2】同じく竪型ごみ焼却炉の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】同じく竪型ごみ焼却炉底部の焼却灰排出機構付近の状況を示す一部破断の平面図である。
【図4】同じく竪型ごみ焼却炉における燃焼状況を示す模式図である。
【図5】同じく竪型ごみ焼却炉における制御系を示すブロックフロー図である。
【図6】従来の竪型焼却炉及びその焼却方法の概要を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 焼却炉本体
4 排ガス混合手段
45 再燃焼室
47 高温空気予熱器
e ごみ支持板
f 焼却灰排出板
CU1 燃焼制御装置
CU2 焼却灰排出制御装置
CU3 ダイオキシン類低減装置
Claims (1)
- 竪型の焼却炉本体の最下段に位置する灰層の下方に、出没自在なごみ支持板と開閉自在な焼却灰排出板とが上下に装備されるとともに、該焼却炉本体の上方には、排ガス混合手段を介して、再燃焼室及び高温空気予熱器が載置された、医療系廃棄物を含む産業廃棄物を焼却する産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設において、
検出された火炎層の平均温度に基づいて2次及び後燃焼空気の供給量と炉内温度冷却用水量を制御して炉内温度を安定させるとともに、焼却作業終了後は高温空気予熱器の冷却を行う燃焼制御装置と、灰層の平均温度が所定値以下に低下した時間が所定時間を超過していることを排出条件として、上記ごみ支持板と焼却灰排出板を操作する焼却灰排出制御装置と、排ガス中の一酸化炭素濃度の平均値が設定値以下になるように、排ガス混合手段に設けられた排ガス旋回兼再燃焼を目的とした2次燃焼空気量を制御して排ガスの再燃焼を完結させるダイオキシン類低減装置とを備えたことを特徴とする産業廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉施設の制御装置。
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JP3759116B2 (ja) | 2003-03-28 | 2006-03-22 | 株式会社プランテック | 廃棄物焼却用竪型ごみ焼却炉及びその制御方法 |
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