JP3897649B2 - ストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴミ等(都市ゴミ等)を焼却するストーカー型焼却炉の改良に関するもので、ストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴミ等の焼却処理装置として、ストーカー型焼却炉が主流として用いられてきた。
この種のストーカー型焼却炉は、燃焼排ガスにダイオキシンが大量に含まれるという問題が発生したために、高温燃焼部を設ける等の改善策を講じなければならなくなった。
同時に、燃焼残渣、即ちボトム灰、飛灰の事後処理として、その減容化が求められると共にダイオキシン、有害重金属が含まれているということで、その二次処理の問題も発生している。
【0003】
こうした既存のストーカー型焼却炉の持つ問題を解決する一つの手段として採用されてきたのが、シャフト型に構成された炉体の上部からゴミ等を投入し、下方に移行するにつれて乾燥、炭化、燃焼、溶融というプロセスで処理するところのガス化溶融炉である。
このガス化溶融方式は、ガス化によって熱エネルギーの回収が効率良く行い得ると共に低温排ガスに起因するダイオキシンの発生を抑制できる利点があり、且つ、残渣(ボトム灰)が連続して溶融処理できるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したガス化溶融方式が、ゴミ等の焼却処理方法として優れた方法であることは明らかとなってきているが、このプラントは、既存のストーカー型焼却炉とは全く原理を異にするものである。
従って、このガス化溶融炉プラントの導入は、新規の建設としなければならず、多大の建設コストを必要とする。
しかし乍ら、上述した如く、これまでにストーカー型焼却炉が主流であった為に、充分の耐用年数を持ち、減価償却の終わっていない既存のストーカー型焼却炉(ダイオキシン対策等で一部改良されている)が多数稼動している。
【0005】
そこで、本発明者は、既設のストーカー型焼却炉を用いて上述したガス化溶融炉の優れた点を活かすことができないものかと考えた。
本来、ゴミ等を燃焼させるストーカー型焼却炉と、これを熱分解させ、且つ残渣を溶融処理するガス化溶融炉とは、根本的に原理(勿論炉体構造も)を異にするものであることから、従来、両者を同次元で考え、一体化させようという考え方は全く無かった。
【0006】
本発明は、上述の現況に鑑み、既存のストーカー型焼却炉を活かしながら、ガス化溶融が行い得るところのストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置は、
ストーカー型焼却炉のストーカーの作動によるゴミ等の送り方向側に、略筒状の後燃焼部と、これに続く溶融部とが連設され、前記ストーカー型焼却炉に燃焼用空気を送入する送風機の制御手段を設けて供給する空気を、少なくとも温度検出に基づいて炉内温度が600℃〜800℃となるように抑制するように構成され、前記ストーカー型焼却炉内においてゴミ等を20〜30%燃焼させながら乾燥、熱分解、炭化を行い、そこで発生した未燃ゴミ等及び主灰等を後燃焼部で燃焼させると共に該後燃焼部を経た残渣を溶融する溶融部を前記後燃焼部に連設し、該後燃焼部と溶融部との間に間欠的に開閉操作されるゲートを設け、前記ゲートが、閉鎖時において、下方からの熱流を通過させる間隙を形成するように構成され、該ゲートの開操作によって前記残渣を溶融部に移行させて連続して溶融し、スラグ化して排出させるように構成したことを特徴とする。
【0008】
ここで言う主灰等とは、ストーカー型焼却炉で生成されたボトム灰をいう。
尚、上記燃焼用空気の供給は、少なくとも温度検出に基づいて行うが、排ガスのCO成分の検出、酸素濃度の検出、これらの併用に基づいて行うようにすることも出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法によれば、既存のストーカー型焼却炉を用いて、そこにおいてゴミ等を完全燃焼させるのではなく、少なくとも温度検出に基づいて炉内温度が600℃〜800℃となるように抑制するように燃焼用空気の送入量を制御して、ゴミ等を20〜30%燃焼させ、大半(例えば、全体の約50%程度)を乾燥させ、或いは、熱分解、炭化(例えば、20〜30%程度)させた後に後燃焼処理を行い、更に、ゲートの開閉を経て引き続いて残渣を溶融処理するようにした。
従って、既存のストーカー型焼却炉を用いながら(一部改造)、ガス化溶融プラントと同様の機能を発揮させることができる。
【0010】
この際、前記ストーカー型焼却炉の燃焼用空気の制御を、ストーカー型焼却炉における排ガスのCO成分の検出の併用に基づいて行う場合には、ストーカー型焼却炉の炉内での一部燃焼、乾燥、熱分解と炭化をより確実に行える。
【0011】
本発明の装置によれば、既存のストーカー型焼却炉に、そのストーカーによるゴミ等の送り方向側に、後燃焼部及び溶融部を連設し、ストーカー型焼却炉の燃焼用空気の送入量を、特殊な範囲、即ち、ゴミ等を完全燃焼させるのではなく、炉内温度が600℃〜800℃で燃焼させるように燃焼用空気の送入量を少なくなるように制御して、ゴミ等の20〜30%を燃焼させ、大半を乾燥させ、或いは、更に、熱分解、炭化させるようにする制御手段を設けたもので、これにより既存のストーカー型焼却炉をガス化溶融炉と同様に機能させることが出来るのである。
そして、後燃焼部と溶融部との間に間欠的に開閉操作されるゲートを設け、前記ゲートが、閉鎖時において、下方からの熱流を通過させる間隙を形成するように構成されているので、ゲート閉鎖中でも溶融部のガス抜き作用が得られると共に熱を後燃焼部に送り込むことができる。
【0012】
この場合に、前記ストーカー型焼却炉の燃焼用空気の制御手段として、ストーカー型焼却炉の炉内温度検出手段又は/及び前記ストーカー型焼却炉における排ガスのCO成分の検出手段を含むときは、そのストーカー型焼却炉のゴミ等のガス化の為の前処理(乾燥)又は/及びガス化処理(熱分解、炭化)をより一層確実に行い得る。
【0013】
【実施例】
以下、本発明にかかるゴミ等の溶融処理装置の好適実施例について、以下、図面を参照して詳述する。
図1はゴミ等の溶融処理装置を示す概略縦断側面図、図2はゴミ等の溶融処理装置の要部を示す概略縦断正面図、図3はゴミ等の溶融処理装置に設けたゲートを示す概略平面図である。
図において、1はストーカー型焼却炉、2は従来から用いられているプッシャー方式によるゴミ等の投入手段である。
【0014】
3はストーカー型焼却炉1のストーカーであり、揺動してゴミ等をほぐし、或いは反転させ乍ら一側方に移送するもので、それ自体、既存のストーカーであり、その上部には、ガス燃焼部4が連設されており、ここにおいて、排ガス及び生ガスが完全燃焼される。
このガス燃焼部4は、バグフィルター型集塵機5を経て、排気ガスを大気放出する。実際には、その間で、所要の中間処理(中和、脱塩、或いは脱硫等の処理が介在する)が行なわれるが、ここでは詳細を省く。
【0015】
前記ストーカー型焼却炉1には、そのストーカー3のゴミ等の移送方向側に、略筒状の後燃焼部6が連設されており、前記ストーカー3により送られてきたゴミ等(乾燥或いは炭化されたもの)を受け入れ、燃焼を行うと共にここでの燃焼排ガスは前記ストーカー3の上部に流入してストーカー型焼却炉1において発生した生ガス/及び排ガスと合流するように構成されている。
そして、前記後燃焼部6の下方には、溶融部7が連設されており、該溶融部7の下方に、酸素供給用羽口8が設けられており、ここから吹き込まれる高純度の酸素によって、ゴミ等の炭化物を含む燃焼残渣が溶融されることになる。
【0016】
前記後燃焼部6と溶融部7との間には、間欠的に開閉操作されるゲート9が設けられている。
このゲート9は、一対の板状体9a,9aをシリンダーによる駆動手段10で水平移動させるもので、溶融部7の温度を上昇させるべく閉鎖した状態においても、図3に示すように、一対の板状体9a,9aの突合せ部に突起部9b,9bを形成することで間隙Sを形成し、下方からの熱流を通過させるように構成されている。
【0017】
前記溶融部7において溶融された溶融物は、堰71を越えて溢れ出し、下方に設けた水槽11に導かれ、ここで冷却されてスラグ(ガラス化)となって、コンベア12により排出され、事後処理に移行される。
なお、図中16は、溶融部7に設けた放射温度計、17は堰71を越えて流れするスラグの温度低下を防ぎ、落下し易いようにするスラグカッターとしてのバーナーである。
【0018】
上記ストーカー型焼却炉1には、ゴミ等の燃焼用空気の送風機15の制御手段18として、その炉内の温度を検知する温度検出手段13(既存公知の機器)と、炉内のCO成分を検出するCO検出手段14(既存公知の機器)とが設けられている。
これらの検出手段13,14による検出結果はコントローラー19に入力され、予め設定した理論温度、或いはCO濃度の値に応じて、燃焼用空気の送風機15を制御して、その風量を調節する。尚、これらの検出手段13、14以外に、たとえば、残存酸素濃度を検出する手段を用いることができる。
【0019】
これまでのストーカー型焼却炉においても、炉内温度検出手段を設けて炉内の燃焼状態を監視し、或いは送風機を制御することは行われていたが、その目的は、炉内の完全燃焼を確保する為のものである。例えば、その場合では、対象となる温度は、約1000℃〜1100℃であるが、一部燃焼しか行わない本発明では、これよりも非常に低い600℃〜800℃が対象となる。また、同様に、炉内のCO成分を検出するCO検出知手段14についても、その目的が、一部燃焼とガス化(熱分解によるCOの生成)を計るものである。
【0020】
こうした温度、CO成分の検出によって、ストーカー型焼却炉1において所定の熱分解、例えば、投入ゴミ等の全体量の20〜30%の燃焼、50%程度の乾燥、20〜30%の熱分解(炭化)が進行するように、送風機15による燃焼用空気量の制御を行なうものである。
【0021】
従って、本発明のストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置は、ストーカー型焼却炉1の燃焼用空気を、少なくとも温度検出に基づいて炉内温度が600℃〜800℃となるように抑制するように制御してゴミ等を20〜30%燃焼させながら乾燥、熱分解、炭化を行い、そこで発生した未燃ゴミ等を、ストーカー型焼却炉1に連設の後燃焼部6において燃焼させ、その燃焼排ガスと前記ストーカー型焼却炉1で発生した生ガスを含む排ガスとを合流させた状態で完全燃焼させて後に集塵機5を経て大気放出し、前記後燃焼部6を経た残渣をゲートの開閉を経て、溶融部7に移行して連続して溶融し、スラグ化して排出することで実施される。
【0022】
そして、上述したように、この実施例では、前記ストーカー型焼却炉1の燃焼用空気の制御は、ストーカー型焼却炉の炉内温度の検出と、ストーカー型焼却炉における排ガスのCO成分の検出に基づいて行われる。
この場合、温度又はCO成分の検出の何れか一方のみに基づいて制御が行われるようにしてもよく、更に、他のファクター、例えば、残留酸素濃度の検出を導入してもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、既存のストーカー型焼却炉をベースとして、これを20〜30%燃焼させるだけの特異条件下、即ち、炉内温度が600℃〜800℃で運転し、この後に、後燃焼部と間欠開閉操作のゲートを介して溶融部を設けることで、残余の70〜80%を乾燥、炭化させてガス化せしめ、次いで、溶融処理することで、全体としてガス化溶融炉と同様の機能を発揮させることができる。
【0024】
これにより、ガス化溶融炉の持つ数々の優れた利点を、従来の考えとは異なり、別途新設するのではなく、既存のストーカー型焼却炉を用いて得ることが可能となり、低コストで多大の恩恵をもたらすことが出来るものである。
【0025】
本発明のその他の具体的な利点は、上記発明の実施の形態の項、実施例の項において詳述したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置を示す全体の概略縦断側面図である。
【図2】 本発明にかかるストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置の要部を示す概略縦断正面図である。
【図3】 本発明にかかるストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置に設けたゲートを示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 ストーカー型焼却炉
6 後燃焼部
7 溶融部
15 送風機
18 制御手段
Claims (1)
- ストーカー型焼却炉のストーカーの作動によるゴミ等の送り方向側に、略筒状の後燃焼部と、これに続く溶融部とが連設され、前記ストーカー型焼却炉に燃焼用空気を送入する送風機の制御手段を設けて供給する空気を、少なくとも温度検出に基づいて炉内温度が600℃〜800℃となるように抑制するように構成され、前記ストーカー型焼却炉内においてゴミ等を20〜30%燃焼させながら乾燥、熱分解、炭化を行い、そこで発生した未燃ゴミ等及び主灰等を後燃焼部で燃焼させると共に該後燃焼部を経た残渣を溶融する溶融部を前記後燃焼部に連設し、該後燃焼部と溶融部との間に間欠的に開閉操作されるゲートを設け、前記ゲートが、閉鎖時において、下方からの熱流を通過させる間隙を形成するように構成され、該ゲートの開操作によって前記残渣を溶融部に移行させて連続して溶融し、スラグ化して排出させるように構成したことを特徴とするストーカー型焼却炉におけるゴミ等の溶融処理装置。
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