JP3921695B2 - マンガン含有排水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマンガン含有排水の処理方法に係り、特に、排煙脱硫排水等の、高濃度で濃度変動の激しいマンガン含有排水に、過マンガン酸塩によるマンガンの不溶化処理法を適用して安定かつ効率的な処理を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排煙脱硫排水中のマンガンは燃料とする石炭や重油に由来するものであり、その濃度は炭種や水の使用量の影響を受けて大きく変動する。特に、最近では水需要の逼迫から、排ガス処理において塩分は高濃縮化傾向となっており、排煙脱硫排水中のマンガン濃度も増加しつつある。
【0003】
排煙脱硫排水中のマンガン等の重金属処理技術としては、従来、鉄塩や水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムを用いたアルカリ凝集沈殿法や、硫化物による不溶化法が採用されてきた。
【0004】
一方、地下水等の低濃度マンガン含有水の処理法としては、KMnO4(過マンガン酸カリウム)法、塩素法、マンガンゼオライト法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の処理法のうち、アルカリ凝集沈殿法では、アルカリ剤やその処理水を中和するための多量の薬剤を使用するため、処理コストの面で問題がある上に、共存するマグネシウムも不溶化し、多量の汚泥を発生するという不都合がある。また、硫化物法ではマンガン除去には効果が悪いなどの問題があった。
【0006】
KMnO4法は地下水等の低濃度に安定した用水の処理技術であるが、マンガン含有量が低濃度でかつ安定している場合でもKMnO4の適正注入量を管理するのは難しく、注入量不足のときは原水中のマンガンが、逆に、注入量が過剰なときは過剰分のKMnO4由来のマンガンが、それぞれ処理水中に検出され、安定処理が難しい。従って、KMnO4法は、排煙脱硫排水のように高濃度で濃度変動の激しい排水に対しては、KMnO4注入量の制御が特に難しく、適用困難である。
【0007】
また、塩素法は、アンモニアを含む水に対しては注入量が多くなり、適正注入量管理が困難であり、また、マンガンゼオライト法は高濃度排水系では発生濁質量が多いため、濾材の目詰りが起こり易く、その再生に多大な労力を必要とする欠点があり、高濃度系排水に対しては実用化に至っていない。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決し、排煙脱硫排水等の、高濃度で濃度変動の激しいマンガン含有排水をKMnO4法により安定かつ効率的に処理して、高水質処理水を得る方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1のマンガン含有排水の処理方法は、マンガン含有排水にアルカリを添加してpHを8.0〜9.5に調整して空気曝気し、その後、過マンガン酸塩を添加してマンガンを不溶化した後、硫黄含有化合物を添加して残留する過マンガン酸塩を不溶化し、次いで、不溶化物を固液分離することを特徴とする。
【0010】
排煙脱硫排水中のマンガン濃度は数mg/lから数10mg/lの範囲で大きく変動し、その大部分はMn2+として存在する。本発明においては、排水中のMn2+を、KMnO4等の過マンガン酸塩で下記反応によりMnO2まで酸化して不溶化する。
【0011】
3MnSO4+2KMnO4+2H2O
→ 5MnO2+K2SO4+2H2SO4
上記反応においては、Mn2+に対して、約1.92重量倍のKMnO4が必要となる。
【0012】
しかしながら、Mn2+濃度が変動する場合において、必要量の過マンガン酸塩、例えば、Mn2+に対して約1.92重量倍のKMnO4の添加量制御を行うことは困難である。
【0013】
請求項1の方法においては、排水中のMn2+濃度に対して過剰量の過マンガン酸塩を添加して排水中のMn2+をほぼ完全にMnO2に酸化した後、過剰量の過マンガン酸塩を硫黄含有化合物で還元してMnO2として不溶化する。
【0014】
これにより、過マンガン酸塩の過少添加によるMn2+の残留、及び、過マンガン酸塩の過剰添加による残留過マンガン酸塩由来のMn濃度の増大を防止して、安定な処理を行える。
【0015】
請求項2のマンガン含有排水の処理方法は、請求項1の方法において、過マンガン酸塩及び硫黄含有化合物の添加量を前記排水の酸化還元電位に基いて制御することを特徴とする。
【0016】
このように排水に過マンガン酸塩を添加した後、硫黄含有化合物を添加する方法において、過マンガン酸塩添加量及び硫黄含有化合物添加量は系内のORP測定値に基いて容易かつ適正に制御することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0018】
図1,2は本発明のマンガン含有排水の処理方法の一実施例方法を示す系統図である。
【0019】
図1に示す方法においては、原水、即ち、排煙脱硫排水等のマンガン含有排水をまず配管11より調整槽1に導入して、配管12よりNaOH等のアルカリを添加して液pHを8.0〜9.5、好ましくは8.5〜9.0に調整すると共に、散気管13より空気曝気を行う。この空気曝気により、液中のMn2+を空気酸化し、Mn2+濃度を低減してMn濃度変動の影響を小さくすることができる。この空気曝気に当り、液pHが8.0より低いと空気酸化が円滑に進行せず、逆に、pHが9.5を超えると共存イオン、例えばマグネシウムイオンがMg(OH)2となり、酸化を阻害する。このため、調整槽1におけるpHは上記範囲に調整する。
【0020】
この調整槽1における曝気時間は1〜6時間、特に2〜4時間行うのが好ましく、これにより、Mn濃度50mg/lの原水であれば、Mn濃度を10〜20mg/lにまで低減することができ、後工程におけるKMnO4等の過マンガン酸塩添加量を低減することができる。
【0021】
調整槽1の流出水は配管14より第1反応槽2に導入され、配管15よりKMnO4等の過マンガン酸塩、更に必要に応じてアルミニウム化合物、アルカリが添加される。
【0022】
即ち、通常、排煙脱硫排水はフッ素も含有するため、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のAl化合物を添加すると共に、pHを6.0〜7.5に調整してフッ素を不溶化する。
【0023】
Al化合物の添加量は、通常の場合、除去すべきフッ素重量に対してAlとして1〜10倍重量程度とするのが好ましい。
【0024】
この第1反応槽2においては、KMnO4等の過マンガン酸塩を、処理する可溶性マンガン含有量、即ち、Mn濃度に対して好ましくは2倍量(重量比)以上の過剰添加とすることができ、これにより、原水中のMn2+をほぼ完全に酸化して不溶化することができる。
【0025】
添加する過マンガン酸塩としては、KMnO4、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO4)、過マンガン酸アンモニウム(NH4MnO4)等を用いることができる。
【0026】
なお、第1反応槽2には、後段の膜分離装置5の濃縮水が配管16,17を経て循環されているが、このように濃縮水を循環することにより、第1反応槽2における酸化反応は効果的に促進される。
【0027】
第1反応槽2の流出液は、次いで配管18より第2反応槽3に導入され、配管19より硫黄含有化合物が添加される。
【0028】
本発明において、硫黄含有化合物としては、KMnO4の還元と共に、CdやHg等の重金属の固定も可能で、水中に共存するアルミニウム、鉄又は凝集剤として添加した水酸化アルミニウムと共に不溶化することにより、処理水中への流出の問題がないことから、高分子硫黄化合物、硫化ナトリウム(Na2S)、硫化水素ナトリウム(NaHS)等、とりわけ高分子硫黄化合物を用いるのが好ましい。即ち、排煙脱硫排水を処理する場合、排煙脱硫排水中には鉄分含有量が少なく、上記硫黄含有化合物の不溶化が十分に進行しない場合があるが、高分子硫黄化合物であればフッ素の凝集剤として添加したアルミニウム化合物から生成した水酸化アルミニウムにより効率的に不溶化される。
【0029】
高分子硫黄化合物は過剰のKMnO4等の過マンガン酸塩とほぼ当量(重量比)で反応し、過剰の高分子硫黄化合物はCdやHg等の重金属類と化合すると共に、水酸化アルミニウムと共沈して不溶化される。従って、高分子硫黄化合物は、過剰のKMnO4等の過マンガン酸塩の同量(重量比)以上を添加するのが好ましい。
【0030】
高分子硫黄化合物としては、窒素に結合する活性水素を少なくとも1個と少なくとも1個の=C=S基を有する硫黄含有化合物、少なくとも1個のチオール基(−SH)を有する硫黄含有化合物、或いは、窒素に結合する活性水素を少なくとも1個と少なくとも1個のジチオカルバミン酸もしくはその塩類を有する硫黄含有化合物などが挙げられる。このうち、窒素に結合する活性水素を少なくとも1個及び少なくとも1個の=C=S基を有する硫黄含有化合物としては、チオアセトアミド、チオ尿素、ジチオオキサミド、ジフェニルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ベンゾイルチオ尿素、チオセミカルバジドなどが挙げられる。
【0031】
少なくとも1個のチオール基(−SH)を有する硫黄含有化合物としては、システアミン、システイン、エタンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、もしくは下記構造式のものなどが挙げられる。
【0032】
【化1】
Figure 0003921695
【0033】
窒素に結合する活性水素を少なくとも1個及び少なくとも1個のジチオカルバミン酸もしくはその塩類(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)を有する硫黄含有化合物としては、N−(ジチオカルボキシ)エチレンジアミン、N,N′−ビス(ジチオカルボキシ)エチレンジアミン、N,N,N′−トリ(ジチオカルボキシ)エチレンジアミン、N−(ジチオカルボキシ)プロピレンジアミン、N,N′−ビス(ジチオカルボキシ)プロピレンジアミン、N,N,N′−トリ(ジチオカルボキシ)プロピレンジアミン、N−(ジチオカルボキシ)ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ビス(ジチオカルボキシ)ヘキサメチレンジアミン、N,N,N′−トリ(ジチオカルボキシ)ヘキサメチレンジアミン、N−(ジチオカルボキシ)フェニレンジアミン、N,N′−ビス(ジチオカルボキシ)フェニレンジアミン、N,N,N′−トリ(ジチオカルボキシ)フェニレンジアミン、N−(ジチオカルボキシ)キシレンジアミン、N,N′−ビス(ジチオカルボキシ)キシレンジアミン、N,N,N′−トリ(ジチオカルボキシ)キシレンジアミン、N−(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン、N,N″−ビス(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン、N,N,N″−トリ(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン、N,N,N″,N″−テトラ(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン、N−(ジチオカルボキシ)トリエチレンテトラミン、N,N′″−ビス(ジチオカルボキシ)トリエチレンテトラミン、N,N,N′″−トリ(ジチオカルボキシ)トリエチレンテトラミン、N,N,N,N′″,N′″−テトラ(ジチオカルボキシ)トリエチレンテトラミン、N,N,N′,N′″,N′″−ペンタ(ジチオカルボキシ)トリエチレンテトラミン、N−(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミン、N,N″″−ビス(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミン、N,N,N″″−トリ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミン、N,N,N″″,N″″−テトラ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミン、N,N,N′,N″″,N″″−ペンタ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミン、N,N,N′,N″,N″″,N″″−ヘキサ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミン、N−(ジチオカルボキシ)ペンタエチレンヘキサミン、N,N′″″−ビス(ジチオカルボキシ)ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N′″″−トリ(ジチオカルボキシ)ペンタエチレンヘキサミン、N,N,N′″″,N′″″−テトラ(ジチオカルボキシ)ペンタエチレンヘキサミン、及びエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、メラミン、アミノエチルピペラミン、ピペラジン、N−アルキルエチレンジアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルヘキサメチレンジアミン、N−アルキルフェニレンジアミン、N−アルキルキシレンジアミン、N−アルキルジエチレントリアミン、N−アルキルトリエチレンテトラミン、N−アルキルテトラエチレンペンタミン、N−アルキルペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミンなどのポリアミン類に二硫化炭素(CS2)を付加して得られるポリアミノポリチオ酸もしくはこれらの塩類が挙げられる。
【0034】
特に、好適な高分子硫黄化合物としては、ジチオカルバミン酸基(−NH−CS2Na)とチオール基(−SNa)をキレート形成基として持つ平均分子量8〜12万の高分子重金属捕集剤「ウエルクリン」(栗田工業(株)製)を用いることができる。
【0035】
このような高分子硫黄化合物であれば、液中のアルミニウム、鉄、或いはフッ素の除去のために添加したAl化合物に吸着して不溶化することにより処理水中への流出が防止され、後工程への添加物の影響がなく極めて有利である。
【0036】
第2反応槽3の流出水は次いで配管20、循環槽4、ポンプPを備える配管21を経て膜分離装置5に導入され、不溶化物が分離除去される。膜分離装置5の濃縮水は、配管16より抜き出され、一部は配管17より第1反応槽2に、また、残部は配管22より循環槽4にそれぞれ循環される。膜分離装置5の透過水は、原水中のマンガンの空気酸化及び過マンガン酸塩による酸化で生成した不溶化物、及び、過剰の過マンガン酸塩の硫黄含有化合物による還元で生成した不溶化物が膜分離除去されたものであり、配管23より処理水として系外へ排出される。
【0037】
この膜分離装置5の分離膜としては、MF(精密濾過)膜又はUF(限外濾過)膜が望ましい。膜材質には特に制限はなく、有機質、無機質のいずれも適用可能である。
【0038】
図2は、本発明の請求項2の方法の一実施例方法を示し、図1に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号が付してある。
【0039】
本実施例においては、第1反応槽2及び第2反応槽3に各々ORP(酸化還元電位)計2A,3Aが設けられており、ORP計2A,3Aの測定値に基いて、各々、KMnO4導入配管15に設けられたポンプ15A、硫黄含有化合物導入配管19に設けられたポンプ19Aの作動を制御するように構成されている。6はKMnO4貯槽、7は硫黄含有化合物貯槽である。
【0040】
本実施例の方法においては、調整槽を設けず、原水を直接第1反応槽2及び第2反応槽3で処理すること以外は、図1に示す方法と同様に処理を行うが、その際、第1反応槽2へのKMnO4添加量及び第2反応槽3への硫黄含有化合物添加量を、各々反応槽のORP測定値に基いて制御する。
【0041】
具体的には、第1反応槽2のORPが450〜550mV、特に500mV程度となるようにKMnO4の添加量を調整する。
【0042】
また、第2反応槽3のORPが300〜400mV、特に350mV程度となるように硫黄含有化合物の添加量を調整する。
【0043】
なお、ORPはpHの影響を受けるため、上記ORPによる添加量制御に当っては、第1反応槽2のpHを6.0〜7.5の範囲の一定値に保持する必要がある。また、第2反応槽3においても、pHを6.0〜7.5の範囲の一定値に保持する必要がある。
【0044】
図1,2に示す方法は本発明の実施例方法であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
【0045】
例えば、図2に示す方法においても、図1と同様、調整槽を設けて、原水を予め空気酸化しても良い。
【0046】
また、第1反応槽において、フッ素の除去のためには、Al化合物の他、水酸化カルシウムを添加しても良い。
【0047】
図1,2においては、不溶化物を膜分離処理して除去しているが、不溶化物の除去は、沈殿又は浮上処理によるものであっても良く、その場合、アニオン系、ノニオン系、カチオン系等の高分子凝集助剤を添加してフロック粒径を大きくすることにより、分離効率を高めることができる。
【0048】
このような本発明の方法は、特にマンガン濃度が高く、その濃度変動の激しい排煙脱硫排水の処理に極めて有効である。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0050】
実施例1
図1に示す方法に従って、各々、下記水質の排煙脱硫排水A,Bの連続通水処理を行った。
【0051】
排煙脱硫排水A
pH:6.0Mn:20mg/l
F:30mg/l
排煙脱硫排水B
pH:6.0Mn:40mg/l
F:200mg/l
各槽の容量は20リットル、排水供給量は200リットル/日とし、膜分離装置には膜面積0.036m2のMF膜を用いた。
【0052】
調整槽においては、アルカリを添加すると共に、空気曝気を行い又は行わず、表1に示す流出水を得た。
【0053】
第1反応槽においては、表1に示す量のKMnO4を添加すると共に、PAC(ポリ塩化アルミニウム)を排水Aに対しては2000mg/l、排水Bに対しては5000mg/l添加し、更にアルカリによりいずれの場合もpH6.3に調整した。
【0054】
第2反応槽においては、表1に示す量のウエルクリン(栗田工業(株)製商品)を添加した。
【0055】
得られた処理水のMn濃度を表1に示す。なお、処理水のpHはいずれも6.4であり、F濃度は排水Aの処理では3.0mg/l、排水Bの処理では7.4mg/lであった。
【0056】
【表1】
Figure 0003921695
【0057】
表1より、本発明の方法によれば、マンガン含有量が異なる被処理水に対して、同じKMnO4 添加量及びウエルクリン(栗田工業(株)製商品)添加量で、マンガンを効果的に除去できることが明らかである。
【0058】
即ち、調整槽の流出水のMn濃度は、No.1〜18の場合において10〜40mg/lの範囲の様々な値であるが、KMnO4とウエルクリン(栗田工業(株)製商品)との併用で、良好な処理結果が得られている。これに対して、ウエルクリン(栗田工業(株)製商品)のみの添加ではマンガン除去効果は得られず(No.5,9,14,18)、KMnO4のみの添加ではMn濃度10mg/lの場合(No.6)と12mg/lの場合(No.15)とで処理水Mn濃度は異なるものとなり、Mn濃度が低いNo.6の場合の方が、処理水Mn濃度が高い。これは、処理水中に過剰のKMnO4が混入することによるものと思われる。因みに、本発明に従って、KMnO4
とウエルクリン(栗田工業(株)製商品)とを併用した場合には、Mn濃度10〜16mg/lの範囲(No.2〜4及びNo.11〜13)で処理水のMn濃度はいずれも1.0mg/lに低く抑えられている。
【0059】
しかして、本発明によれば、特に、Mn濃度が高い場合において、KMnO4添加量を多くして、高度処理を行うことも可能である(No.8,17)。なお、No.1,7,10,16において処理水のMn濃度が高いのは、KMnO4添加量が必要量よりも少ないことによる。
【0060】
実施例2
pH:6.0,Mn:50mg/l,F:50mg/lの排煙脱硫排水に液体バンド(硫酸アルミニウム)2000mg/lを加え、NaOHでpH6.5とした時のORPは220mVであった。この排水(液体バンドを添加したもの)に、pHを6.5に保持しつつ、KMnO4を100mg/l添加した時の液のORPは490mVに上昇した。この液を濾紙で濾過したところ、濾液は、わずかにピンク色を呈し、そのMn濃度は2.5mg/lであった。
【0061】
上記KMnO4100mg/l添加液に、pHを6.5に保持しつつ、ウエルクリン(栗田工業(株)製商品)を液のORPが350mVになるまで添加した。この液を濾紙で濾過したところ、得られた濾液のMn濃度は0.1mg/lであった。
【0062】
以上の結果から、KMnO4添加量及びウエルクリン(栗田工業(株)製商品)添加量をORPに基いて制御することができることが明らかである。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1のマンガン含有排水の処理方法によれば、Mn濃度が変動する排水の処理においても、過マンガン酸塩の過少添加及び過剰添加による処理水質の悪化を防止して、安定かつ効率的な処理を行って、高水質処理水を得ることができる。
【0064】
請求項2の方法によれば、このような処理において、過マンガン酸塩及び硫黄含有化合物の適正添加量をORP測定値に基いて容易に制御することができ、過マンガン酸塩及び硫黄含有化合物の過剰添加を防止して、処理水質の安定化及び処理コストの低減並びに省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマンガン含有排水の処理方法の一実施例方法を示す系統図である。
【図2】本発明の請求項2に係るマンガン含有排水の処理方法の一実施例方法を示す系統図である。
【符号の説明】
1 調整槽
2 第1反応槽
3 第2反応槽
4 循環槽
5 膜分離装置
6 KMnO4貯槽
7 硫黄化合物貯槽
2A,3A ORP計

Claims (5)

  1. マンガン含有排水にアルカリを添加してpHを8.0〜9.5に調整して空気曝気し、その後、過マンガン酸塩を添加してマンガンを不溶化した後、硫黄含有化合物を添加して残留する過マンガン酸塩を不溶化し、次いで、不溶化物を固液分離することを特徴とするマンガン含有排水の処理方法。
  2. 過マンガン酸塩及び硫黄含有化合物の添加量を前記排水の酸化還元電位に基いて制御することを特徴とする請求項1に記載のマンガン含有排水の処理方法。
  3. 前記不溶化物を膜分離装置で固液分離し、膜分離装置の濃縮水を過マンガン酸塩添加工程に循環することを特徴とする請求項1又は2に記載のマンガン含有排水の処理方法。
  4. 前記空気曝気後、マンガン含有排水に過マンガン酸塩を添加してマンガンを不溶化すると共に、アルミニウム化合物とアルカリを添加してフッ素を不溶化した後、硫黄含有化合物として高分子硫黄化合物を添加することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマンガン含有排水の処理方法。
  5. 前記アルミニウム化合物とアルカリを添加してpHを6.0〜7.5に調整してフッ素を不溶化することを特徴とする請求項4に記載のマンガン含有排水の処理方法。
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