JP3917793B2 - リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法に係わり、より詳しくは、高温寿命特性及び過充電の際に、構造的安定性に優れたリチウム二次電池用マンガン系正極活物質及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池用正極活物質のうち、LiMn24、LiMnO2などのマンガン系活物質は、合成が容易で、製造費用が比較的安く、環境に対する汚染の恐れも少ないという長所がある。その中でもLiMn24は、電池システムの安定性等から電気自動車(electric vehicle)に適用する可能性が最も高い正極活物質として浮び上がっている。
【0003】
しかしながら、LiMn24は、LiCoO2、LiNiO2などの他の活物質に比べて放電容量が少なく、高率充放電の際に放電容量が急激に減少して、高温での連続的な充放電の際にマンガンの溶出によって電池寿命が急激に劣化するという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記問題点を解決するための本発明の目的は、サイクル寿命特性、特に、高温寿命特性に優れたマンガン系リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記本発明の目的を達成するために、本発明は、LixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yMyO2、LixMn1-yy2、LixMn1-yMyS2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LixMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつである)からなる群で選択されたリチウム二次電池用正極活物質として、正極活物質の表面に、 2 5 がコーティングされたリチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【0006】
また、本発明は、LixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yMyO2、LixMn1-yy2、LixMn1-yMyS2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LixMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつである)からなる群で選択された物質の粉末を製造する工程と、粉末を 2 5 水溶液、または 2 5 アルコール溶液でコーティングする工程、及び粉末を熱処理する工程とを含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0008】
本発明の一番目の工程は、LixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LixMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LiMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつであるのが好ましく、他の転移金属またはランタナイド金属でありうる)の粉末を製造する工程である。前記物質の製造工程は、本分野での公知の方法によって製造可能である。
【0009】
次いで、前記LixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LixMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつであるのが好ましく、他の転移金属またはランタナイド金属でありうる)粉末を、バナジウムオキサイド水溶液、またはバナジウムオキサイドアルコール溶液でコーティングする。前記バナジウムオキサイド水溶液、またはバナジウムオキサイドアルコール溶液は、バナジウムオキサイドを0.1−30重量%を含むのが好ましい。バナジウムオキサイド水溶液は、バナジウムオキサイドと水とを混合した後、これを還流させて製造することができ、バナジウムオキサイドアルコール溶液は、バナジウムオキサイドとアルコールとを混合した後、これを還流させて製造することができる。前記アルコールとしては、メタノールまたはエタノールを用いるのが好ましい。前記バナジウムオキサイドの使用量が0.1重量%より少ないと、バナジウムオキサイド水溶液、またはバナジウムオキサイドアルコール溶液で前記粉末をコーティングする効果が現れないし、前記バナジウムオキサイドの使用量が30重量%を超えると、バナジウムを含む金属酸化物のコーティング層の厚さがかなり厚くなるので好ましくない。前記コーティング方法としては、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ディープコーティング(dip coating)法などの汎用コーティング方法を使用することができ、最も手軽なコーティング法として、単純に粉末をコーティング溶液に浸してから取り出すディープコーティング法を使用するのが好ましい。
【0010】
次いで、バナジウムオキサイド水溶液、またはバナジウムオキサイドアルコール溶液でコーティングされた粉末を、100−1000℃の温度で1−20時間熱処理する。もっと均一な活物質を製造するために、前記熱処理工程は、乾燥空気または酸素をブローイング(blowing)する条件下、すなわち、酸化雰囲気で実施するのが好ましい。この時、熱処理温度が100℃より低いと、コーティングされたバナジウムオキサイド水溶液、またはバナジウムオキサイドアルコール溶液が結晶化されないため、この活物質を電池に適用するとリチウムイオンの移動が妨害を受けることになる。この熱処理工程を通じて、バナジウムを含む金属酸化物が表面処理されたLixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yy2、LixMn1-yy2、LixMn1-y2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LiMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつであるのが好ましく、他の転移金属またはランタナイド金属場合でありうる)活物質が製造される。前記粉末表面に形成された金属酸化物は、バナジウムオキサイド水溶液、またはバナジウムオキサイドアルコール溶液から由来するバナジウムの酸化物、または活物質の中に存在するマンガンとバナジウムとの複合金属酸化物でありうる。前記金属酸化物の層の厚さは、概略1−100nmであるのが好ましい。
【0011】
本発明によるバナジウムオキサイド溶液で表面処理する方法を、コバルト系正極活物質であるLiCoO2、LiCo1-xx2(x≧0、Mは金属)、ニッケル系正極活物質であるLiNiO2、LiNi1-xx2(x≧0、Mは金属)などにも適用して、表面にバナジウムを含む金属酸化物がコーティングされたコバルト系リチウム二次電池用正極活物質、またはニッケル系リチウム二次電池用正極活物質を提供することができる。しかしながら、バナジウムオキサイド水溶液で前記活物質を表面処理する場合、活物質の中のコバルト、ニッケルなどがバナジウムオキサイド水溶液中に溶出する恐れがある。
【0012】
次に、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、本発明が下記の実施例に限られるわけではない。
【0013】
実施例1
バナジウムオキサイド(V25)粉末を、蒸溜水100g当りに1gずつ溶かしてバナジウムオキサイド水溶液を製造した。LiMn24粉末(Nikki Co.)100g当り50mlのバナジウムオキサイド水溶液でLiMn24粉末の表面を浸した後、乾燥させた。前記乾燥された粉末を600℃の乾燥空気の雰囲気下で10時間程熱処理を実施して活物質を製造した。製造された正極活物質、導電制(カーボン、商品名:スーパーP)、バインダー(ポリビニリデンフルオリド,商品名:KF−1300)、及び溶媒(N−メチルピロリドン)を混合して活物質組成物スラリーを製造し、このスラリーをテープ形態にキャスティングして極板を製造した。この極板、これに対する大極として、Li−金属、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの1:1の体積比の混合物、及びLiPF6を含む電解液を使用して、コインセルタイプの半電池を製造した。
【0014】
実施例2
実施例1で、600℃の代わりに200℃で熱処理したことを除いては、実施例1と同一に実施した。
【0015】
実施例3
バナジウムオキサイド(V25)粉末を、蒸溜水100g当りに1gずつ溶かしてバナジウムオキサイド水溶液を製造した。LixMn2-yAly4-zz(0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0)粉末(Bell Communication Research,Inc.)100g当り50mlのバナジウムオキサイド水溶液でLixMn2-yAly4-zz粉末の表面を浸した後、乾燥させた。前記乾燥された粉末を200℃の乾燥空気の雰囲気下で10時間程熱処理を実施して活物質を製造した。製造された正極活物質、導電制(カーボン、商品名:スーパーP)、バインダー(ポリビニリデンフルオリド,商品名:KF−1300)、及び溶媒(N−メチルピロリドン)を混合して活物質組成物スラリーを製造し、このスラリーをテープ形態にキャスティングして極板を製造した。この極板、これに対する大極として、Li−金属、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの1:1の体積比の混合物、及びLiPF6を含む電解液を使用して、コインセルタイプの半電池を製造した。
【0016】
実施例4
実施例3で、200℃代わりに600℃で熱処理したことを除いては、実施例3と同一に実施した。
【0017】
比較例1
正極活物質としてLiMn24粉末をそのまま使用したことを除いては、実施例1と同一に実施した。
【0018】
比較例2
正極活物質としてLixMn2-yAly4-zz(0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0)粉末をそのまま使用したことを除いては、実施例3と同一に実施した。
【0019】
図1は、実施例1(b)及び比較例1(a)による電池を、25℃で4.3V−3.0V、0.1Cに充放電させた時の特性を示したグラフである。図2は、実施例1(a)及び比較例1(b)による電池の常温(25℃)サイクル寿命特性を示したものである。図2に示したように、実施例1が、比較例1に比べて常温サイクル寿命特性が優れていることがわかる。
【0020】
図3は、実施例1(a)及び比較例1(b)による電池の高温(50℃)サイクル寿命特性を示したものである。図3に示したように、実施例1が、比較例1に比べて高温サイクル寿命特性が非常に優れていることがわかる。このような結果は、活物質の表面にコーティングされたバナジウムを含む金属酸化物層が、活物質中に存在するマンガンの溶出を防止するためである。
【0021】
図4は、実施例1による正極活物質の分析のために実施したSIMS(secondary ion mass spectrometry)の結果である。SIMSの分析結果、図4に示したように、バナジウムは活物質の表面部に近いほどたくさん存在し、マンガンは活物質の表面部よりは中心部にたくさん存在することがわかる。この結果により、LiMn24の活物質に、バナジウムを含む酸化物が表面処理されたことがわかる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、価格が安く、製造方法が簡単なV25溶液を製造してこれをマンガン系リチウム二次電池用活物質に表面処理することにより、高温及び常温でのサイクル寿命特性が優れた、過充電時の構造的安定性に優れているリチウム二次電池用正極活物質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例及び比較例による電池の充放電のグラフである。
【図2】本発明の一実施例及び比較例による電池の常温サイクル寿命特性を示したグラフである。
【図3】本発明の一実施例及び比較例による電池の高温サイクル寿命特性を示したグラフである。
【図4】本発明の一実施例による活物質のSIMSの分析結果を示したグラフである。

Claims (5)

  1. LixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yMyO2、LixMn1-yy2、LixMn1-yMyS2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LixMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつである)からなる群で選択されたリチウム二次電池用正極活物質として、前記正極活物質の表面に、 2 5 がコーティングされたリチウム二次電池用正極活物質。
  2. 前記 2 5 の厚さは1−100nmである請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  3. LixMnO2、LixMnF2、LixMnS2、LixMn1-yMyO2、LixMn1-yy2、LixMn1-yMyS2、LixMn1-yy2-zz、LixMn1-yy2-zz、LixMn24、LixMn24、LixMn24、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4、LixMn2-yy4-zz及びLixMn2-yy4-zz(ここで、0<x≦1.5、0.05≦y≦0.3、z≦1.0、MはAl、Co、Cr、Mg、Fe、La、Sr及びCeからなる群から選択される少なくともひとつである)からなる群で選択された物質の粉末を製造する工程と、
    前記粉末を 2 5 水溶液、または 2 5 アルコール溶液でコーティングする工程、及び
    前記粉末を熱処理する工程とを含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記 2 5 水溶液、または 2 5 アルコール溶液は、バナジウムを0.1−30重量%含むことを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記熱処理工程は、空気または酸素雰囲気下で100−1000℃の温度で1−20時間熱処理することを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
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