JP3916948B2 - 車両用開閉体の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に設けられ、例えば車両の乗員が乗り降りをするときなどに開閉動作をする車両用開閉体の速度を制御する車両用開閉体の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に設けられたスライド式のドア機構をモータの駆動力により開閉動作させるパワースライドドアシステムが知られている。このように車両のスライドドアをモータで駆動して自動開閉する車両用スライドドア開閉制御装置では、モータの回転数を検出する回転数検出部を備え、この回転数検出部によって検出した所定時間当たりのモータの回転数からスライドドアの移動速度を算出し、算出したスライドドアの移動速度と目標移動速度とに基づいてモータの駆動力を制御するように、デューティ比を制御するPWM(Pulse Width Modulation)制御する。このような技術は、例えば特開平9−125821号公報にて知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の車両用スライドドア開閉制御装置では、目標移動速度の上下限値を設定し、スライドドアの移動速度が目標移動速度の上限値を超えた場合には所定値だけデューティ比を減少させ、スライドドアの移動速度が目標移動速度の下限値を下回った場合には所定値だけデューティ比を増加させていた。しかし、このような制御では、スライドドアの速度を目標速度値に正確に一致させることが困難である。また、このようにスライドドアの移動速度を制御すると、デューティ比を変化させる所定値を適切に決定することが困難であるという問題があった。
【0004】
すなわち、従来では、スライドドアの移動速度が目標移動速度の上限値と下限値との間の速度である場合には、デューティ比を変更する制御を行わないため、移動速度が変化してしまう。これに対し、目標移動速度の上限値と下限値との速度差を小さくした場合、実際の移動速度が目標移動速度の上下限値外となったときのデューティ比を変化させる所定値を大きくすると、実際の移動速度が目標速度の上下限値外となるオーバーシュートが頻繁に発生してしまい、デューティ比を変化させる所定値を小さくすると、目標移動速度の上下限値外となっても実際の移動速度が目標移動速度に収束するのに多くの時間を要してしまう。このような状態は、車両が坂道等に停車し、スライドドアにかかる負荷が著しく変化した場合などに更に顕著になる。
【0005】
また、スライドドアの移動速度をあらゆる状況で適切に維持することは、挟み込み時に適切な挟み込み荷重にてスライドドアの移動方向を反転させるために重要である。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、車両用開閉体の速度を適切に制御することができる車両用開閉体の制御装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る車両用開閉体の制御装置では、車両に設置された車両用開閉体の開閉位置を検出する位置検出手段と、上記車両用開閉体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、上記位置検出手段で検出される上記車両用開閉体の開閉位置に応じた上記車両用開閉体の目標速度を生成する目標速度生成手段と、上記目標速度生成手段で生成された目標速度と上記移動速度検出手段で検出された移動速度の速度差を求め、求めた速度差を用いて、上記車両用開閉体を開閉動作させるモータに供給する電力をデューティ制御するときのデューティ比を算出するデューティ比算出手段と、上記デューティ比算出手段でデューティ比を算出するのに使用するゲインを算出するゲイン算出手段とを備え、上記ゲイン算出手段は、上記車両用開閉体の開閉位置が全閉直前位置である場合の上記速度差に乗算する比例ゲイン及び上記速度差の積分値に乗算する積分ゲインを、上記車両用開閉体の開閉位置が全閉直前位置以外である場合の上記比例ゲイン及び上記積分ゲインよりも高くするように算出し、上記デューティ比算出手段は、上記速度差の積分値を算出し、上記積分ゲインと上記積分値とを乗算し、上記積分ゲインと上記積分値との乗算値と、上記速度差と上記比例ゲインの乗算値とを加算して、デューティ比を算出することを特徴とする。
【0011】
請求項に係る車両用開閉体の制御装置では、上記比例ゲイン、上記積分ゲインのうちの少なくとも一つを上記モータに供給する電圧値が低いほど高く変化させることを特徴とする。
請求項3に係る車両用開閉体の制御装置では、請求項1に係る車両用開閉体の制御装置であって、上記ゲイン算出手段は上記比例ゲイン及び上記目標速度に乗算するフィードフォワードゲインを、上記モータに供給する電圧値が低いほど高く変化させるように算出し、上記デューティ比算出手段は上記目標速度に上記フィードフォワードゲインを乗算し、上記目標速度と上記フィードフォワードゲインとの乗算値と、上記速度差と上記比例ゲインの乗算値と、上記積分ゲインと上記積分値との乗算値とを加算して、デューティ比を算出することを特徴とする。
【0015】
請求項に係る車両用開閉体の制御装置では、請求項1乃至請求項の何れかに係る車両用開閉体の制御装置であって、上記車両用開閉体の閉作動時において、上記目標速度生成手段は、上記位置検出手段によって検出された車両用開閉体の位置が、予め定められた全閉直前の全閉直前領域となった場合に目標速度を増加することを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
請求項1に係る車両用開閉体の制御装置によれば、車両用開閉体の制御装置によれば、目標速度と検出した移動速度との速度差に乗算する比例ゲインを算出し、デューティ比算出手段により速度差に比例ゲインを乗算してデューティ比を算出するので、移動速度を確実に目標速度に一致させることができ、車両用開閉体の速度を適切に制御することができる。また、車両用開閉体の制御装置によれば、目標速度と検出した移動速度との速度差の積分値に乗算する積分ゲインを算出し、デューティ比算出手段により速度差の積分値を算出し、積分ゲインと積分値とを乗算してデューティ比を算出するので、目標速度が一定でない場合であっても、目標速度に移動速度を一致させることができる。更に、車両用開閉体の制御装置によれば、車両用開閉体の開閉位置に応じて比例ゲイン及び積分ゲインを変化させるので、車両用開閉体の位置に応じて目標速度を維持することが困難な場合であっても最適に速度を制御することができる。
【0020】
請求項に係る車両用開閉体の制御装置によれば、ゲイン算出手段により、比例ゲイン、積分ゲインのうちの少なくとも一つをモータに供給する電圧値に応じて変化させるので、モータに供給する電圧値が変動する場合であっても、電圧値の変動に応じてデューティ比を変動させることができ、最適に速度を制御することができる。
請求項3に係る車両用開閉体の制御装置によれば、目標速度に乗算するフィードフォワードゲインを算出し、デューティ比算出手段により目標速度にフィードフォワードゲインを乗算してデューティ比を算出するので、目標速度に対する移動速度の追従性を良好とすることができ、ゲイン算出手段により、比例ゲイン、フィードフォワードをモータに供給する電圧値に応じて変化させるので、モータに供給する電圧値が変動する場合であっても、電圧値の変動に応じてデューティ比を変動させることができ、最適に速度を制御することができる。
【0024】
請求項に係る車両用開閉体の制御装置によれば、車両用開閉体の閉作動時において、車両用開閉体の位置が予め定められた全閉直前の全閉直前領域となった場合に、目標速度生成手段により目標速度を増加するので、比例ゲインの値に拘わらず確実に閉状態にすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
本発明は、例えば図1に示すように構成されたスライドドア制御システムに適用される。
【0027】
[スライドドア制御システムの構成]
このスライドドア制御システムは、スライドドア1の開閉をするスライドドア開閉システム11と、スライドドア1内に設けられてスライドドア1の施錠及び解錠をするドアクロージャシステム12とから構成されている。
【0028】
このスライドドア制御システムにおいて、スライドドア開閉システム11により制御するスライドドア1の制御領域は、半ドア状態が検出される位置(ハーフラッチ位置)から全開位置までであり、ドアクロージャシステム12により制御するスライドドア1の制御領域から全閉位置までである。以下の説明では、ハーフラッチ位置をスライドドア開閉システム11における「全閉位置」と呼ぶ。
【0029】
ドアクロージャシステム12は、図示しないバッテリと接続された給電コネクタ21、クローズモータ22、リリースモータ23、ラッチ機構24、ハーフラッチスイッチ25、ドアハンドル2と接続されたクロージャコントローラ26を備えて構成されている。
【0030】
ラッチ機構24は、スライドドア1がハーフラッチ位置に達したことを検出する検出機構を備える。このラッチ機構24は、スライドドア1がハーフラッチ位置に達したことがハーフラッチスイッチ25により検出される。ハーフラッチスイッチ25は、スライドドア1がハーフラッチ位置に達したことを検出すると、ハーフラッチ検出信号をクロージャコントローラ26に出力する。
【0031】
また、このラッチ機構24は、クローズモータ22によりスライドドア1を全閉状態とするクローズ/リリース機構を備える。このラッチ機構24は、クローズモータ22により発生したトルクによりクローズ/リリース機構を動作させてスライドドア1を全閉状態にし、リリースモータ23により発生したトルクによりクローズ/リリース機構を動作させてスライドドア1を開状態にする。
【0032】
クロージャコントローラ26は、ドアハンドル2の動作、ハーフラッチ検出信号、及び後述のドア開閉制御部36からの操作入力信号を入力してラッチ機構24の動作を制御する。このクロージャコントローラ26は、ユーザによるドアハンドル2の操作によりスライドドア1が開状態に操作されたことを検出する。
【0033】
また、このクロージャコントローラ26は、スライドドア1が開状態であることを認識している場合であって、ハーフラッチスイッチ25によりスライドドア1がハーフラッチ位置に達したことを認識し、全閉状態にする信号を入力したことに応じて給電コネクタ21からの電力をクローズモータ22に供給してトルクを発生させる。これにより、クロージャコントローラ26は、ラッチ機構24のクローズ/リリース機構を動作させてスライドドア1を全閉状態にする。
【0034】
更に、クロージャコントローラ26は、スライドドア1が全閉状態であることを認識している場合であって、後述のドア開閉操作部34又はキーレスコントローラ35からの信号がドア開閉制御部36から入力されたことに応じて給電コネクタ21からの電力をリリースモータ23に供給してトルクを発生させる。これにより、クロージャコントローラ26は、ラッチ機構24のクローズ/リリース機構を動作させてスライドドア1を開状態にして、ウェザーストリップ反力によりスライドドア1をハーフラッチ位置よりも開方向に位置させる。この状態において、スライドドア1は、スライドドア開閉システム11による制御領域に位置し、クロージャコントローラ26は、給電コネクタ21を介してハーフラッチ検出信号をドア開閉制御部36に出力する。
【0035】
スライドドア開閉システム11は、スライドドア1と接続されたドア駆動部31、ブザー32、メイン操作部33、ドア開閉操作部34、キーレスコントローラ35、これらを制御するドア開閉制御部36から構成されている。
【0036】
メイン操作部33及びドア開閉操作部34は、例えばユーザが乗車した状態にて操作可能な位置に配設されてなる。これらのメイン操作部33及びドア開閉操作部34は、ユーザにより操作されることに応じて操作入力信号をドア開閉制御部36に出力する。
【0037】
ドア開閉操作部34は、スライドドア1の開動作を開始する操作入力信号を生成するためのスイッチ、スライドドア1の閉動作を開始する操作入力信号を生成するためのスイッチからなる。このドア開閉操作部34は、各スイッチが操作されることに応じて操作入力信号をドア開閉制御部36に出力する。
【0038】
メイン操作部33は、スライドドア制御機構の制御の許可、禁止を行う信号を生成するスイッチからなり、操作されることに応じて許可信号又は禁止信号をドア開閉制御部36に出力する。
【0039】
キーレスコントローラ35は、携帯型のリモコンに設けられたスイッチが操作されることにより送信される無線信号を入力して操作入力信号を生成して、ドア開閉制御部36に出力する。
【0040】
ブザー32は、ドア開閉制御部36からの駆動信号に応じて鳴吹することで、スライドドア1の動作をユーザに報知する。
【0041】
ドア駆動部31は、ドア接続機構41、プーリー42,43、ドラム機構44、バネ機構45がワイヤ46を介して接続されている。また、このドア駆動部31は、ドラム機構44の動作を検出してスライドドア1のドア駆動パルスを生成するパルスエンコーダ47、スライドドア1を開閉駆動するトルクを発生させるドア開閉駆動モータ48、ドア開閉駆動モータ48とドラム機構44との接続関係を切り換えるクラッチ機構49を備える。
【0042】
ドア駆動部31は、その一部の表面斜視図を図2に示し、裏面斜視図を図3に示すように構成されている。ドア駆動部31は、図3に示すように、スライドドア1に接続されたワイヤ46、このワイヤ46が側面部に巻き付けられるドラム機構44、ワイヤ46を一定張力に保持するバネ機構45が筐体50に収容されている。ドラム機構44は、ドア開閉駆動モータ48が回転すると、そのトルクにより回転をして、ワイヤ46を巻き付けたり、開放したりする。これにより、ドラム機構44は、ワイヤ46を巻き付ける動作又はワイヤ46を開放する動作をすることでスライドドア1を開方向又は閉方向に動作させる。
【0043】
また、ドア駆動部31は、図2に示すように、ドラム機構44の中心軸と連接し、その表面に所定間隔の電極が形成された回転電極板51、この回転電極板51の電極形成部分と接触した2本の回転検出端子52、アース端子53をパルスエンコーダ47として備える。このパルスエンコーダ47は、ドラム機構44がドア開閉駆動モータ48のトルクにより回転することで回転電極板51が回転し、回転検出端子52が各電極と接触したことに応じてドア駆動パルスを生成する。これにより、パルスエンコーダ47は、スライドドア1の開閉動作に従ったドア駆動パルスをドア開閉制御部36に供給する。このパルスエンコーダ47により生成されるドア駆動パルスは、ドア開閉駆動モータ48とパルスエンコーダ47とが連接されて構成されることにより、スライドドア1の移動速度に応じた周波数となる。なお、本実施例においては、上述のような機械式エンコーダを用いたが、これが例えば光学式等のエンコーダであっても良い。
【0044】
ドア開閉駆動モータ48は、ドア開閉制御部36からデューティ比が制御された電力が供給され、デューティ比に応じたトルクを発生させる。これにより、ドア開閉駆動モータ48は、クラッチ機構49を介してドラム機構44を回転駆動してスライドドア1を駆動する。
【0045】
更に、ドア開閉制御部36には、図4に示すように、駆動回路61と、バッテリ電圧検出部62とが接続されている。
【0046】
駆動回路61は、図示しないバッテリからデューティ制御されたバッテリ電圧が印加されると共に、ドア開閉駆動モータ48の駆動方向を示す制御信号が入力される。この駆動回路61は、制御信号に従って、バッテリ電圧に応じた駆動電流をドア開閉駆動モータ48に供給することにより、ドア開閉駆動モータ48をスライドドア1の開方向又は閉方向に回転駆動させる。
【0047】
バッテリ電圧検出部62は、図示しない車両内のバッテリと接続し、バッテリから駆動回路61に供給するバッテリ電圧を検出する。このバッテリ電圧検出部62は、検出したバッテリ電圧をドア開閉制御部36に出力する。
【0048】
「ドア開閉制御部36の構成」
ドア開閉制御部36は、機能ブロック図として図4に示すように、ドア開閉操作部34、メイン操作部33からの操作入力信号を入力する操作判断部71、ハーフラッチスイッチ25からのハーフラッチ検出信号を入力する駆動判断部72、駆動方向決定部73、パルスエンコーダ47からのドア駆動パルスを入力するドア位置算出部74、速度算出部75、挟み込み判断部76、目標速度生成部77、フィードバック制御部78、フィードバックゲイン算出部79を備えて構成されている。
【0049】
ドア位置算出部74は、ドア駆動パルスを入力して、ドア位置を算出する。このドア位置算出部74は、例えばスライドドア1が全開位置にあるときのドア位置情報として数値の「300」を保持する。そして、ドア位置算出部74は、スライドドア1が全開状態から閉方向に移動したことによりドア駆動パルスが入力されると、数値を「300」から減じてドア位置情報を算出する。このドア位置算出部74は、算出したドア位置情報を挟み込み判断部76、駆動判断部72及び目標速度生成部77に出力する。
【0050】
速度算出部75は、パルスエンコーダ6からのドア駆動パルスを入力し、ドア駆動パルスの周期を算出することでスライドドア1の実際の移動速度(実移動速度)を算出して、実移動速度情報を生成して挟み込み判断部76及びフィードバック制御部78に出力する。
【0051】
挟み込み判断部76は、ドア位置情報及び実移動速度情報に基づいてスライドドア1の異物挟み込みを検出する。この挟み込み判断部76は、異物挟み込みを検出すると、挟み込み検出信号を駆動判断部72に出力する。
【0052】
操作判断部71は、ドア操作部2及びメイン操作部33からの操作入力信号を入力すると、ドア操作部2及びメイン操作部33の操作内容を判断して、操作内容判断信号を駆動判断部72に出力する。
【0053】
駆動判断部72は、操作判断部71からの操作内容判断信号から、ユーザの操作内容を認識する。また、駆動判断部72は、ハーフラッチスイッチ4からハーフラッチ検出信号を入力すると、スライドドア1の半ドア状態にあることを認識する。この半ドア状態において、駆動判断部72は、スライドドア1の位置がスライドドア開閉システム11の制御範囲外にあり、ドアクロージャシステム12の制御範囲であることを認識する。これにより、駆動判断部72は、スライドドア1の動作の制御を行わない状態になる。更に、この駆動判断部72は、ドア位置算出部74及び挟み込み判断部76と接続され、ドア位置情報及び挟み込み検出信号を入力する。
【0054】
駆動判断部72は、入力した信号に基づいて、スライドドア1及びブザー32の駆動内容を判断し、駆動信号をブザー32に出力すると共に、スライドドア1の駆動内容を示す駆動内容信号を駆動方向決定部73に出力する。
【0055】
駆動判断部72は、操作判断部71からスライドドア1の移動方向を反転させる操作内容判断信号を入力すると、先ず、モータブレーキを掛ける駆動内容信号を駆動方向決定部73に出力する。次いで、駆動判断部72は、モータブレーキを掛けてから所定期間後にスライドドア1を反転移動させる駆動内容信号を駆動方向決定部73に出力する。
【0056】
駆動方向決定部73は、駆動判断部72からの駆動内容信号に従ってドア開閉駆動モータ48の駆動方向を判定して、駆動回路8のリレー状態を制御する制御信号を出力する。
【0057】
目標速度生成部77は、ドア位置算出部74からドア位置情報を入力し、ドア位置に応じてスライドドア1の目標とする目標移動速度を取得して、目標速度情報をフィードバック制御部78に出力する。この目標速度生成部77は、図5及び図6に示すように、ドア位置情報に従ったスライドドア1の位置に対するドア速度を示す目標速度テーブルを内部に記憶している。この目標速度生成部77は、入力したドア位置情報に従って目標速度テーブルを参照し、目標速度情報を取得してフィードバック制御部78に出力する。
【0058】
目標速度生成部77は、スライドドア1を閉方向に移動させるときには、図5(a)に示すようにドア位置に応じた領域「0」〜領域「5」に区分し、図5(b)に示すように各領域ごとに目標速度の変化を制御する。また、目標速度生成部77は、スライドドア1を開方向に移動させるときには図6(a)に示すようにドア位置に応じた領域「6」〜領域「8」に区分し、図6(b)に示すように各領域ごとに目標速度の変化を制御する。
【0059】
フィードバックゲイン算出部79は、バッテリ電圧検出信号及びドア位置情報から、ドア開閉駆動モータ48に必要なトルクを発生させるための積分ゲイン、比例ゲイン、フィードフォワードゲイン等を算出して、フィードバック制御部78に出力する。このフィードバックゲイン算出部79は、図7に示すように、ドア位置情報に従ったスライドドア1の位置に対する各ゲインを示すゲイン設定テーブルを内部に記憶している。このフィードバックゲイン算出部79は、入力したドア位置情報に従ってゲイン設定テーブルを参照し、フィードフォワードゲイン(Fゲイン)、比例ゲイン(Pゲイン)、積分ゲイン(Iゲイン)を取得してフィードバック制御部78に出力する。
【0060】
フィードバック制御部78は、フィードバックゲイン算出部79により設定された各ゲインに設定され、実移動速度を目標速度とするように演算を行って、ドア開閉駆動モータ48に必要なトルクを発生させるデューティ比を示すデューティ(Duty)サイクル信号を生成して駆動回路8に出力する。
【0061】
このフィードバック制御部78は、目標速度と実移動速度とを入力する第1加算器81、フィードフォワードゲイン演算器82、積分ゲイン演算器83、比例ゲイン演算器84、駆動回路61と接続された第2加算器85を備える。このフィードバック制御部78は、フィードフォワードゲイン演算器82のフィードフォワードゲイン(Fゲイン)、積分ゲイン演算器83の積分ゲイン(Iゲイン)、比例ゲイン演算器84の比例ゲイン(Pゲイン)がフィードバックゲイン算出部79により設定される。
【0062】
このフィードバック制御部78は、目標速度と実移動速度とが入力されると、フィードフォワードゲイン演算器82により目標速度にフィードフォワードゲインを乗算すると共に、第1加算器81により目標速度と実移動速度との速度差を演算して積分ゲイン演算器83及び比例ゲイン演算器84に出力する。そして、フィードバック制御部78は、積分ゲイン演算器83により速度差の積分値に積分ゲインを乗算して第2加算器85に出力すると共に、比例ゲイン演算器84により速度差に比例ゲインを乗算して第2加算器85に出力する。そして、第2加算器85により、フィードフォワードゲイン演算器82、積分ゲイン演算器83及び比例ゲイン演算器84からの各値を加算してデューティサイクル信号として駆動回路61に出力する。ここで、第2加算器85により加算して得た値が「1」であればデューティ比が100%となるデューティサイクル信号を生成する。
【0063】
「各ゲインによるドア開閉駆動モータ48の応答性」
つぎに、上述したように構成されたドア開閉制御部36において、フィードバック制御部78に設定する各ゲインによるドア開閉駆動モータ48の応答性について説明する。
【0064】
制御対象であるドア開閉駆動モータ48は直流モータである場合、駆動回路61から供給されるバッテリ電圧と、実移動速度との関係は、下記式1に示すように一次遅れの特性として近似(モデル化)される。
【0065】
【数1】
Figure 0003916948
上記式1において、τは定数、aはデューティ制御されるバッテリ電圧に依存する関数であるが、ここでは説明の簡単のために定数とする。すなわち、定常状態での実移動速度は、ドア開閉駆動モータ48に印加されるデューティ比に比例する。
【0066】
また、目標速度と実移動速度との速度差に比例ゲインPを乗算した値をデューティ比としてドア開閉駆動モータ48に電圧を供給した場合(図8)、そのときの伝達関数Y(s)は下記式2に示すように表現される。
【0067】
【数2】
Figure 0003916948
この式2において、比例ゲインPが十分に大きくなると伝達関数Y(s)の値が「1」となり、実移動速度が目標速度r(s)に一致する。
【0068】
更に、式2の伝達関数Y(s)に積分ゲインIを追加した場合(図9)、伝達関数Y(s)は、下記式3で表現される。
【0069】
【数3】
Figure 0003916948
式3によれば、積分ゲインIの値に拘わらず、結果的に目標速度に実移動速度が一致する。ここで、定常状態においてsは「0」となり、伝達関数Y(0)は式4に示すようになる。
【0070】
【数4】
Figure 0003916948
上記式2及び式3の伝達関数Y(s)は、1型サーボと呼ばれる特性を有するために、目標速度がランプ状に変化した場合においても目標速度に対する実移動速度の良好な追従特性を得ることができる。
【0071】
更にまた、式3の伝達関数Y(s)に目標速度に比例したフィードフォワードゲインFを追加した場合(図10)、伝達関数Y(s)は式5に示すようになる。
【0072】
【数5】
Figure 0003916948
この式5を用いて、伝達関数Y(s)によるデューティ比の応答性をシミュレーションすると、図11に示すようになる。すなわち、定数のa及びτを「1」とし、比例ゲインP及び積分ゲインIを「1」とした場合、式5の伝達関数Y(s)が式7に示すようになり、比例ゲインP及び積分ゲインIを「0.2」とした場合には、式5の伝達関数Y(s)が式8に示すようになる。
【0073】
【数6】
Figure 0003916948
この結果、比例ゲインP及び積分ゲインIを「1」とした場合と比較して、比例ゲインP及び積分ゲインIを「0.2」とした場合には、伝達関数Y(s)が「1」となるまでに多くの時間を要して応答性が悪化する。更に比例ゲインP及び積分ゲインIを「0.2」とし、更にフィードフォワードゲインFを「0.8」とした場合には、式5の伝達関数Y(s)が下記式9に示すようになる。
【0074】
【数7】
Figure 0003916948
上記式9の伝達関数Y(s)は、上記式7の伝達関数Y(s)と一致するために、比例ゲインP及び積分ゲインIを「1」とした場合と同様の応答性を得ることができる。
【0075】
ここで、外部の負荷に対する応答性、すなわち外乱入力dから出力の伝達関数Y(s)を得るまでの伝達関数Y(s)は、下記式10に示すように表現される。
【0076】
【数8】
Figure 0003916948
この式10によれば、出力を得るまでの伝達関数Y(s)はフィードフォワードゲインFがない場合と同様であり、挟み込み等により外乱が増大した場合に急速にドア開閉駆動モータ48の出力トルクが上がり、挟み込み荷重の著しい増大を防ぐことが可能である。
【0077】
このように、比例ゲインP、積分ゲインI及びフィードフォワードゲインFを変化させることにより、ドア開閉駆動モータ48に供給する電圧の応答性を変化させることができ、従ってドア開閉駆動モータ48から出力されるトルクの応答性を変化させる。
【0078】
「各ゲインの設定方法」
つぎに、上述のゲイン設定テーブルにて規定されている、ドア位置によって異なる比例ゲインP、積分ゲインI及びフィードフォワードゲインFの設定方法について詳細に説明する。
【0079】
すなわち、スライドドア1の閉動作を行うとき、スライドドア1の全開近傍のドア位置情報の数値「300」から数値「150」までの全速区間では、バネ機構45によるハンチング現象を避けることを考慮してスライドドア1が振動的にならないように、積分ゲインI及び比例ゲインPを設定している。このとき、フィードバック制御部78における閉ループ極、すなわち式10の分母の根(極位置)を、図12に示すように、原点に極めて近く、且つ実軸に近い極位置となるとなるように積分ゲインI及び比例ゲインPを設定している。又は、式10の分母の根に拘わらず、比例ゲインP及び積分ゲインIを「0」にしてフィードバック制御部78を全くのフィードフォワード状態にする。
【0080】
ここで、式10の分母は下記式11に示すように表現され、式11中の角周波数ω、ダンピング係数ζは式12及び式13に示すように表現される。
【0081】
【数9】
Figure 0003916948
具体的には、スライドドア1が全閉直前領域に位置するときには、上記式13より、ダンピング係数ζの値を「1」に近づけるように比例ゲインPを設定し、実軸に近くなる角周波数ωの値となるように積分ゲインIを設定する。例えば図13及び図14のシミュレーション結果に示すように、ダンピング係数ζの値を、目標速度に対する実移動速度の応答特性が振動的にならないように、0.7〜1.4程度に設定することが望ましい。図13に示すように、ダンピング係数ζが「1」よりも大きくダンピング係数ζが大きすぎると、ダンピング係数ζが「1」よりも小さい場合と比較して原点に近い極と遠い極とが現れ、原点よりも遠い極がバネ機構45等のモデル化されていない要素に影響する。
【0082】
更にスライドドア1が閉方向に駆動して、図6(a)における領域「2」から領域「3」までの目標速度が次第に下降するような減速区間では、全開近傍領域と比較して極位置を原点より離れた位置とするように積分ゲインI及び比例ゲインPを設定する。このとき、ダンピング係数ζは、上述と同様に実移動速度の応答性が振動的にならないように積分ゲインI及び比例ゲインPを設定することが望ましい。これにより、目標速度に対する実移動速度の追従性を確保する。
【0083】
更にスライドドア1が閉方向に駆動して、スライドドア1が全閉直前領域である領域「4」から領域「5」まででは、図12に示すように、極位置を更に原点から離れた位置とするように積分ゲインI及び比例ゲインPを設定する。このとき、ダンピング係数ζは、実移動速度の応答性が振動的にならないように積分ゲインI及び比例ゲインPを設定する必要はない。これは、全閉直前領域においては、図示しないウェザーストリップをスライドドア1により押しつぶすのに必要とされる実移動速度の応答速度と、挟み込み時に発生する荷重との兼ね合いにより比例ゲインP及び積分ゲインIを設定する。
【0084】
以上のゲイン設定を具体的に図7を用いて説明する。なお、この図7では、領域「0」〜領域「5」を閉作動中のスライドドア1の位置、領域「6」〜領域「8」を開作動中のスライドドア1の位置に対応した各数値を図示している。
【0085】
図7に示した各数値は、制御対象であるプラントモデル、すなわち上記式1における定数aを、実際に制御されるスライドドア1のごとくバッテリ電圧に依存する値(a=15×(V/12)(V:バッテリ電圧))とし、スライドドア1の応答速度を表す定数τを「5」にした場合の数値である。
【0086】
先ず、スライドドア1を閉作動させる時において、スライドドア1が全開状態に近い領域「0」に位置するときでは、上述したように角速度ωを原点に近い位置、すなわち小さな値とし、ダンピング係数ζを1.25として比例ゲインP及び積分ゲインIを式12及び式13に従って算出する。スライドドア1が領域「1」に位置するときでは、目標速度が一定であるため、目標速度に対する追従性に対する要求が低いために、角速度ωの値を更に小さくする。スライドドア1が減速する領域「2」に位置するときでは、領域「0」と同じ値に各ゲインを設定し、目標速度に対する追従性を向上させる。スライドドア1が全閉位置に近づいた領域「4」に位置するときでは、角速度ωを大きくし、ダンピング係数ζを小さく設定し、ウェザーストリップとの接触位置である領域「5」に位置するときでは、更に角速度ωを大きくしダンピング係数ζをやや小さく設定している。
【0087】
一方、スライドドア1を開作動させる時において、スライドドア1の全開付近の領域「6」に位置するときでは、角速度ωを「2」、をダンピング係数ζを「1」にした極位置において制御を開始し、目標速度が一定となる領域「8」においては、全開保持金具の抵抗が存在するために、閉作動時のウェザーストリップと接触する場合と同様に、極位置を大きくするように各ゲインを設定する。
【0088】
また、全閉直前領域においては、図7に示すように他の領域と同じ値にフィードフォワードゲインFを設定すると共に、図5(b)に示すように領域「2」〜領域「3」での減速領域において十分に実移動速度が低下されている。
【0089】
このように全閉直前領域で極位置を原点から離れた位置とするように積分ゲインI及び比例ゲインPを制御すると、挟み込み時の荷重の増大を招く可能性があるが、挟み込み荷重は、実移動速度と積分ゲインIと比例ゲインPとをパラメータとして変化することを利用して、実移動速度を十分に小さくする。
【0090】
すなわち、挟み込み発生時には、先ず、スライドドア1の有する運動エネルギーを減少させるために挟み込み荷重が発生し、その後、低下した実移動速度を検出してドア開閉駆動モータ48に大きなトルクを与えたことにより更に挟み込み荷重が増大するが、実移動速度を十分に小さくすることで挟み込み荷重を小さくすることができる。また、実移動速度を十分に小さくすることにより、挟み込み判断部76による挟み込み検知に要する時間においてスライドドア1が進行する距離を小さくして、結果として挟み込み判断部76による挟み込み感度を高く設定して更に挟み込み荷重の増加を低減することができる。
【0091】
なお、図5(b)において、全閉直前領域の目標速度が減少から増加に転じているのは、比例ゲインP及び積分ゲインIが十分に高くない場合であっても、実移動速度を維持して確実にウェザーストリップを押しつぶすためである。
【0092】
また、バッテリ電圧の変動に依存せずに安定してスライドドア1を所望の応答速度で開閉動作させるためには、バッテリ電圧検出部62で検出したバッテリ電圧に応じて積分ゲインI及びフィードフォワードゲインFのうちの少なくとも1つを変更するようにゲイン設定テーブルを作成することが望ましい。これにより、バッテリ電圧が変動して、式1に示すようなドア開閉駆動モータ48の近似モデルの定数aの値が変化しても、適切な積分ゲインI及びフィードフォワードゲインFにより一定の極位置及び応答性を実現することができる。
【0093】
[ドア開閉制御部36の動作]
つぎに、上述したドア開閉制御部36により、フィードフォワードゲインF、比例ゲインP、積分ゲインIを設定してデューティサイクル信号を生成するときの処理手順について図15及び図16を参照して説明する。
【0094】
先ず、ドア開閉制御部36は、ドア位置算出部74にて図15に示すフローチャートの処理を行うことにより、スライドドア1の移動方向及びドア位置を算出し、次いで、図16に示すフローチャートの処理を行うことにより、デューティサイクル信号を生成する。
【0095】
実際にスライドドア1が移動して、パルスエンコーダ47からドア駆動パルスが入力されると、ドア位置算出部74により、内部のフリーランカウンタのカウント値(FreeRun)を現在カウント値(CountNow)とする(ステップS1)。このフリーランカウンタは、例えばパルスエンコーダ47からのドア駆動パルスの立ち上がりを検出してパルス数を計数するものである。
【0096】
次に、ドア位置算出部74により、前回のカウント値とステップS1にて設定した現在カウント値との差を演算し、演算した値をドア位置を求めるためのパルス値(Pulse)に設定すると共に、ステップS1で求めた現在カウント値を前回カウント値に変更する(ステップS2)。そして、ステップS2で演算したパルス値が「0」よりも小さい負の値であるか否かを判定し(ステップS3)、小さくないと判定したときにはそのままのカウント値を以降の処理にて使用し、小さいと判定したときにはフリーランカウンタの最大カウント値(MAXFREERUN)とステップS2で求めたカウント値とを加算して、以降の処理で使用するカウント値とする(ステップS4)。
【0097】
次に、ドア位置算出部74により、ドア開閉駆動モータ48のB相の電圧レベルを判定してドア開閉駆動モータ48の回転方向を判定する(ステップS5)。このとき、ドア位置算出部74は、ドア開閉駆動モータ48のB相の電圧レベルがハイレベルであるか否かを判定して、ハイレベルでないと判定したときにはドアカウンタ値を「1」だけ加算し(ステップS6)、ハイレベルであると判定したときにはステップS7にてスライドドア1の移動方向を示すドアカウンタ値(DoorCount)を「1」だけ減算する(ステップS7)。
【0098】
次に、ドア位置算出部74により、ドア駆動パルスが入力されか否かを示すエッジフラグ(edgeFlag)の値を「1」にしてパルス入力があったとし(ステップS8)、ステップS2又はステップS4にて演算したパルス値及びステップS5にて判定したドア開閉駆動モータ48の回転方向に基づいてスライドドア1の存在する位置(エリア)を算出してドア位置情報を目標速度生成部77及びフィードバックゲイン算出部79に出力する(ステップS9)。
【0099】
このように算出されたドア位置情報が目標速度生成部77に入力され、更に、処理を実行する所定周期(例えば50msec)となると、図16のステップS11以降の処理を開始する。
【0100】
先ず、目標速度生成部77は、ドア位置算出部74から入力したドア位置情報により、現在のスライドドア1が存在する位置が上述の領域「4」又は領域「5」であると判定し(ステップS11)、エッジフラグが「1」に設定されていると判定したときには(ステップS12)、ステップS4にて求めたパルス値にサンプリング時間(Tsample)を加算してステップS14以降の処理を開始する(ステップS13)。このサンプリング時間を加算する処理は、図16の処理を行う所定期間の間にドア駆動パルスがドア位置算出部74に入力されない場合があることによる。
【0101】
また、目標速度生成部77により、現在のスライドドア1が存在する領域が上述の領域「4」又は領域「5」ではないと判定した場合(ステップS11)、又はエッジフラグが「1」に設定されていないと判定した場合にステップS14以降の処理を開始する。
【0102】
ステップS14において、目標速度生成部77により、次の処理のためにエッジフラグを「0」に設定する。次に、ステップS2又はステップS4にて演算されたパルス値を用いて、1000×2.7(電極間隔)/Pulseなる演算をして実移動速度(DoorV)を求め(ステップS15)、更にドア位置情報に対応する目標速度Tvを算出する(ステップS16)。
【0103】
一方、フィードバックゲイン算出部79では、ドア位置情報を用いてゲイン設定テーブルを参照して、フィードフォワードゲイン(Fgain)、比例ゲイン(Pgain)及び積分ゲインI(Igain)を算出する(ステップS17)。そして、フィードバックゲイン算出部79は、算出した各ゲインをフィードバック制御部78のフィードフォワードゲイン演算器82、比例ゲイン演算器84及び積分ゲイン演算器83に設定する。
【0104】
そして、フィードバック制御部78では、フィードフォワードゲイン演算器82によりステップS16で算出した目標速度と設定されたフィードフォワードゲインとを乗算し(ステップS18)、第1加算器81により目標速度と実移動速度との速度差を演算し、更に速度差と比例ゲインとを乗算し(ステップS19)、速度差の積分値と積分ゲインIとを乗算する(ステップS20)。そして、第2加算器85により、ステップS18、ステップS19で演算したフィードフォワードゲインにより得た値(F)、比例ゲインにより得た値(P)、積分ゲインのサンプル値(Isum)を加算してデューティ比(Duty)を求める(ステップS21)。
【0105】
次に、ステップS21で求めたデューティ比が100[%]以上か否かを判定する。すなわち、実移動速度が目標速度を超えているか否かを判定する。デューティ比が100%以上であると判定したときには処理をステップS24に進め、デューティ比が100%以上でないと判定したときには積分サンプル値に、ステップS20で求めた積分ゲインにより得た値を加算する(ステップS23)。
【0106】
次に、ドア開閉駆動モータ48が起動直後であるか否かを判定するイニシャライズフラグの値が「1」、すなわち起動直後であるか否かを判定し(ステップS24)、起動直後でないと判定したときにはステップS21で求めたデューティ比の積分ゲインIのサンプル値を「0」にして算出されるデューティ比を示すデューティサイクル信号を出力して(ステップS25)、図示しない駆動回路61のモータ駆動用レジスタにデューティ比を設定する(ステップS26)。一方、イニシャライズフラグが「0」であると判定したときにはステップS21で求めたデューティ比をそのまま出力する(ステップS26)。
【0107】
これにより、ドア開閉制御部36では、ドア位置に応じてゲイン設定テーブルを参照してフィードフォワードゲインF、比例ゲインP、積分ゲインIを変更することができる。
【0108】
なお、本実施例においては、スライド式のドア機構の制御に本発明を適用して説明したが、これが、トランククリッドやその他の開閉体の制御であっても適用可能である。
【0109】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施の形態に係るスライドドア制御システムによれば、目標速度と実移動速度との速度差に比例ゲインP及び積分ゲインIを用いた演算を行うときに、最適な比例ゲインP、積分ゲインIを用いることにより、実移動速度を確実に目標速度に一致させることができ、車両用開閉体の速度を適切に制御することができる。
【0110】
また、このスライドドア制御システムによれば、スライドドア1の位置に応じて目標速度を変更する場合であっても、比例ゲインPを最適に設定することにより実移動速度を目標速度に一致させることができる。
【0111】
更に、このスライドドア制御システムによれば、フィードフォワードゲインFを最適に設定してフィードフォワードゲイン演算器82で演算を行ってデューティ比を設定するので、スライドドア1の挟み込み発生時の荷重低減を考慮して比例ゲインP及び積分ゲインIを低めに設定した場合であっても、目標速度に対する実移動速度の追従性を良好とすることができる。
【0112】
更にまた、このスライドドア制御システムによれば、比例ゲインP及び積分ゲインIをスライドドア1の位置に応じて変化させることができるので、全閉直前位置に配設されているウェザーストリップ等の抵抗により実移動速度を目標速度に追従させることが困難な場合に比例ゲインP及び積分ゲインIを上げて実移動速度の低下を防ぐことによる挟み込み検出の誤判断を回避すると共に、必要以上にスライドドア1を閉状態にするまでの時間がかかるのを回避することができる。また、このスライドドア制御システムによれば、スライドドア1の全閉直前以外のドア位置では比例ゲインP及び積分ゲインIを下げ、挟み込み発生時のデューティ比を低く保つことができ、スライドドア1の挟み込み荷重を下げることができる。更に、このスライドドア制御システムによれば、ワイヤ46によりスライドドア1を駆動する場合に、ワイヤ46に加わる外力(ユーザのドア操作)を緩和するため、或いはワイヤ46の弛みをなくすためのバネ機構45を設けても、バネ機構45の動作によるスライドドア1のハンチングを回避することができる。
【0113】
更にまた、このスライドドア制御システムによれば、ドア閉状態に向け、目標速度を減じると同時に、ドア閉直前においては目標速度を増加させるので、比例ゲインの値に拘わらず、確実にウェザーストリップを押しつぶして全閉状態にすることができる。
【0114】
なお、本実施例においては、積分ゲインIを電源電圧に応じて変化させるように構成したが、積分ゲインIを用いずに比例ゲインPのみによって制御する場合には、比例ゲインPを電源電圧に応じて変化させるようにしても良い。
【0115】
上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したスライドドア制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】パルスエンコーダの表面斜視図である。
【図3】パルスエンコーダの裏面斜視図である。
【図4】ドア開閉制御部36の機能的な構成を示すブロック図である。
【図5】閉方向にスライドドアを移動させるときのドア位置に応じた目標速度について説明するための図であり、(a)はスライドドアが存在する領域に対するドア位置情報の値を示し、(b)はドア位置に対する目標速度の変化を示す。
【図6】開方向にスライドドアを移動させるときのドア位置に応じた目標速度について説明するための図であり、(a)はスライドドアが存在する領域に対するドア位置情報の値を示し、(b)はドア位置に対する目標速度の変化を示す。
【図7】ゲイン設定テーブルの内容について説明するための図である。
【図8】目標速度と実移動速度との速度差に比例ゲインを乗算した値をデューティ比としてドア開閉駆動モータに電圧を供給した場合の伝達関数をモデル化した図である。
【図9】目標速度と実移動速度との速度差に比例ゲイン、速度差の積分値に積分ゲインを乗算した値をデューティ比としてドア開閉駆動モータに電圧を供給した場合の伝達関数をモデル化した図である。
【図10】目標速度と実移動速度との速度差に比例ゲイン、速度差の積分値に積分ゲインを乗算し、目標速度にフィードフォワードゲインを乗算した値をデューティ比としてドア開閉駆動モータに電圧を供給した場合の伝達関数をモデル化した図である。
【図11】比例ゲイン、積分ゲイン及びフィードフォワードゲインを変化させたときのデューティ比の時間変化を示す図である。
【図12】伝達関数の極位置をドア位置に応じて変更することを説明するための図である。
【図13】角周波数ω及びダンピング係数ζに応じて伝達関数の極位置を変化させることを説明するための図である。
【図14】ダンピング係数ζに応じたデューティ比の応答性について説明するための図である。
【図15】本発明を適用したスライドドア開閉システムによりドア位置情報を算出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明を適用したスライドドア開閉システムによりデューティ比を算出するときの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 スライドドア
2 ドアハンドル
11 スライドドア開閉システム
12 ドアクロージャシステム
21 給電コネクタ
22 クローズモータ
23 リリースモータ
24 ラッチ機構
25 ハーフラッチスイッチ
26 クロージャコントローラ
31 ドア駆動部
32 ブザー
33 メイン操作部
34 ドア開閉操作部
35 キーレスコントローラ
36 ドア開閉制御部
41 ドア接続機構
42,43 プーリー
44 ドラム機構
45 バネ機構
46 ワイヤ
47 パルスエンコーダ
48 ドア開閉駆動モータ
49 クラッチ機構
51 筐体
52 回転検出端子
53 アース端子
61 駆動回路
62 バッテリ電圧検出部
71 操作判断部
72 駆動判断部
73 駆動方向決定部
74 ドア位置算出部
75 速度算出部
76 挟み込み判断部
77 目標速度生成部
78 フィードバック制御部
79 フィードバックゲイン算出部
81 第1加算器
82 フィードフォワードゲイン演算器
83 積分ゲイン演算器
84 比例ゲイン演算器
85 第2加算器

Claims (4)

  1. 車両に設置された車両用開閉体の開閉位置を検出する位置検出手段と、
    上記車両用開閉体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
    上記位置検出手段で検出される上記車両用開閉体の開閉位置に応じた上記車両用開閉体の目標速度を生成する目標速度生成手段と、
    上記目標速度生成手段で生成された目標速度と上記移動速度検出手段で検出された移動速度の速度差を求め、求めた速度差を用いて、上記車両用開閉体を開閉動作させるモータに供給する電力をデューティ制御するときのデューティ比を算出するデューティ比算出手段と、
    上記デューティ比算出手段でデューティ比を算出するのに使用するゲインを算出するゲイン算出手段とを備え、
    上記ゲイン算出手段は、上記車両用開閉体の開閉位置が全閉直前位置である場合の上記速度差に乗算する比例ゲイン及び上記速度差の積分値に乗算する積分ゲインを、上記車両用開閉体の開閉位置が全閉直前位置以外である場合の上記比例ゲイン及び上記積分ゲインよりも高くするように算出し、
    上記デューティ比算出手段は、上記速度差の積分値を算出し、上記積分ゲインと上記積分値とを乗算し、上記積分ゲインと上記積分値との乗算値と、上記速度差と上記比例ゲインの乗算値とを加算して、デューティ比を算出すること
    を特徴とする車両用開閉体の制御装置。
  2. 上記ゲイン算出手段は、上記比例ゲイン、上記積分ゲインのうちの少なくとも一つを上記モータに供給する電圧値が低いほど高く変化させることを特徴とする請求項に記載の車両用開閉体の制御装置。
  3. 上記ゲイン算出手段は、上記比例ゲイン及び上記目標速度に乗算するフィードフォワードゲインを、上記モータに供給する電圧値が低いほど高く変化させるように算出し、
    上記デューティ比算出手段は上記目標速度に上記フィードフォワードゲインを乗算し、上記目標速度と上記フィードフォワードゲインとの乗算値と、上記速度差と上記比例ゲインの乗算値と、上記積分ゲインと上記積分値との乗算値とを加算して、デューティ比を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用開閉体の制御装置。
  4. 上記車両用開閉体の閉作動時において、上記目標速度生成手段は、上記位置検出手段によって検出された車両用開閉体の位置が、予め定められた全閉直前の全閉直前領域となった場合に目標速度を増加することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の車両用開閉体の制御装置。
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