JP3914557B2 - 希土類焼結磁石 - Google Patents

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Description

本発明は、Nd−Fe−B系永久磁石に代表される希土類焼結磁石に関し、特にその表面に保護膜が形成された希土類焼結磁石に関する。
希土類永久磁石は磁気特性に優れているため広く実用化されているが、酸化されやすい希土類元素および鉄を主成分として含むために耐食性が比較的低く、酸化により磁気特性が劣化してしまう。このため、磁石本体の表面に種々の保護膜を形成することが行われている。
例えば、特許文献1には、凹凸を形成した磁石本体の表面に電気めっきにより形成された電気めっき層と無電解めっきにより形成された無電解めっき層とを有する永久磁石が開示されている。特許文献1には、Rmaxの値を3〜50μmの範囲に規制することにより、磁石本体とその表面に形成されためっき層との密着性が良好となることが記載されている(引用文献1によれば、RmaxはJIS−B0610に定義された表面粗さの指標)。
また特許文献2には、磁石本体の表面をJIS−B0601に規定する十点平均粗さで5〜100μmの表面粗さとした上で磁石本体の表面に保護膜を形成することで、耐剥離性に優れた保護膜を得ることができることが開示されている。5μm以下では密着性が悪く、100μm以上では特に密着性が改善されず却って製品価値が低下するというのがその根拠である。
特開平2−185004号公報(特許請求の範囲、第5頁) 特開平7−66032号公報(特許請求の範囲)
特許文献1、2は、保護膜形成前の磁石本体の表面粗さを制御することにより、磁石本体と保護膜との密着強度を高めることを提案している。
しかしながら、たとえば希土類永久磁石をケースに圧入して使用する場合には、圧入時に保護膜を剥離するような応力が付与されるため、より密着強度に優れた保護膜を有する希土類永久磁石が求められる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、磁石本体と保護膜との密着強度を向上させる技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、保護膜の密着機構を鑑みると、保護膜と磁石本体との結合は化学的な結合というよりはむしろ物理的な結合であり、保護膜の密着強度は磁石本体の表面粗さのみならず、保護膜と磁石本体との界面に位置する粒子のサイズにも影響される点に着目した。そして、磁石本体の焼結体平均結晶粒径と10点平均粗さとの比を所定範囲に制御することにより、保護膜の密着強度が高く耐食性に優れた希土類焼結磁石が得られることを知見した。
すなわち、本発明は、希土類元素を含む焼結体からなる磁石本体と、磁石本体の表面に形成された保護膜とを備えた希土類焼結磁石であって、磁石本体の平均結晶粒径(以下、「結晶粒径D50」、または「D50」という)と、保護膜が形成された磁石本体の10点平均粗さ(以下、「10点平均粗さRz」、または「Rz」という)との比「Rz/D50」が0.20以上0.81以下であり、D50は2.0〜15.0μmであり、Rzは1.5〜11μmであるとともに、保護膜の密着強度が100N/m以上であることを特徴とする希土類焼結磁石を提供する。本発明における結晶粒径D50は、磁石本体と保護膜との界面近傍、具体的には界面から100μm以内程度に存在する粒子の面積を画像解析することにより求める。結晶粒径D50のより詳細な測定方法、ならびに本発明における10点平均粗さRzの測定方法は、後述の実施例で示す。
保護膜は、酸素の透過を防ぐために、緻密で欠陥がないことが要求されるとともに、希土類焼結磁石表面に強固に付着し高い密着強度を有している必要もある。Rz/D50を上記範囲内とすることを特徴とする本発明によれば、100N/m以上という高い密着強度を得ることができる。本発明における密着強度はJIS−H8504に基づく測定値である。
また、Rz/D50を0.20以上0.81以下とすることにより、保護膜の密着強度に優れ、かつより一層、耐食性に優れた希土類焼結磁石を得ることができる。
磁石本体に形成される保護膜の種類は特に限定されるものではないが、めっき膜が望ましい。
本発明によれば、保護膜が強固に密着形成された希土類焼結磁石を、磁石の耐食性を損なうことなく得ることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
<希土類焼結磁石>
はじめに、本発明が対象とする希土類焼結磁石について説明する。
本発明は、R−T−B系焼結磁石に適用することが好ましい。R−T−B系焼結磁石は、耐食性が劣るために保護膜を形成することが必須といえるからである。ここで、Rは希土類元素の1種または2種以上、TはFeまたはFeおよびCo、Bはホウ素である。
このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの1種または2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを3.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜2.0wt%、さらに望ましくは0.1〜1.0wt%、より一層望ましくは0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、AlおよびCuの1種または2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAlおよびCuの1種または2種を含有させることにより、得られる焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが望ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSmCo17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
希土類焼結磁石の結晶粒径D50が小さいほど、高い保磁力が得られやすい。よって、結晶粒径D50は2.0〜15.0μm、さらには10.0μm以下とすることが望ましい。より望ましい結晶粒径D50は2.5〜8.0μm、より一層望ましくは2.5〜6.0μmである。
但し、高い残留磁束密度を得るという観点からは、結晶粒径D50は3.5〜15.0μm、さらには4.0〜15.0μmとすることが望ましい。
<保護膜>
本発明の希土類焼結磁石は、希土類焼結磁石本体の表面に保護膜が形成されている。
本発明で用いる保護膜は特に限定されないが、特に電解めっきによる保護膜を用いるのが好ましい。電解めっきの材質としては、Ni、Ni−P、Cu、Zn、Cr、Sn、Alのいずれかを用いることができるし、他の材質を用いることもできるが、Niが最も好ましい。また、これらの材質を複層として被覆することもできる。電解めっきによる保護膜は本発明の典型的な形態であるが、他の手法による保護膜を設けることもできる。他の手法による保護膜としては、無電解めっき、クロメート処理をはじめとする化成処理及び樹脂塗装膜のいずれか又は組み合せが実用的である。保護膜の厚さは、希土類焼結磁石本体のサイズ、要求される耐食性のレベル等によって変動させる必要があるが、1〜100μmの範囲で適宜設定すればよい。望ましい保護膜の厚さは1〜50μm、さらに望ましくは1〜20μmである。
<結晶粒径D50と10点平均粗さRzとの関係>
次に、本発明の最も特徴的な部分である磁石本体の結晶粒径D50と10点平均粗さ(Rz)との関係について説明する。
本発明では、結晶粒径D50と10点平均粗さRzとの比、つまり「Rz/D50」を0.20以上10.00以下とする。「Rz/D50」が0.20未満では保護膜の密着強度が不十分である。一方、「Rz/D50」が10.00を超えると、密着強度は良好であるものの保護膜にピンホールが増加し、水分の浸透により磁石表面で腐食が進行しやすくなり耐食性が劣化する。それに加えて、「Rz/D50」が10.00を超えるようにするには、表面を粗くする工程の分だけ、コスト高となってしまう。
保護膜形成後の「Rz/D50」が0.20以上10.00以下の範囲であれば、所望の耐食性を示しつつ100N/m以上の密着強度を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
ただし、「Rz/D50」が6.00を超えると「Rz/D50」を制御することによる保護膜の密着強度向上という効果は飽和する傾向にあり、また耐食性が徐々に低下しはじめる。よって、保護膜の密着強度ならびに耐食性を高いレベルで兼備するには、「Rz/D50」を0.20以上6.00以下、さらには0.50以上6.00以下とすることが望ましい。「Rz/D50」が2.00以上6.00以下の範囲では、200N/m以上の密着強度を得ることもできる。
また、耐食性を重視する場合には、「Rz/D50」を0.20以上1.50以下とすることが望ましい。「Rz/D50」が0.20以上1.50以下、さらには0.50以上1.00以下の範囲では、後述する実施例で示すように非常に高い耐食性を示す。
上述のように、10点平均粗さRzは結晶粒径D50の値に基づき決定する必要はあるものの、10点平均粗さRzが40.0μmを超えるほど大きくなると耐食性劣化が生じやすいため、結晶粒径D50が2.0〜15.0μm程度であれば、10点平均粗さRzは20.0μm以下とすることが望ましい。より望ましい10点平均粗さRzは1.5〜20.0μm、さらに望ましくは1.5〜13.0μmである。
一般に、希土類元素を含む磁石本体は脆く欠けやすいが、本発明では磁石本体の表面に保護膜が強固に密着して磁石本体を覆っているため、外力が付与されても磁石本体は破損しにくい。
また、所定の空隙部分を有する部材の当該空隙部分に保護膜を有する希土類焼結磁石を圧入によって挿入する場合があり、この場合、圧入による応力が保護膜を剥離させるように作用する。ところが、本発明の希土類焼結磁石における保護膜の密着強度は100N/m以上という高いレベルにあるため、応力付与に対する保護膜の密着強度を確保することができる。
<製造方法>
以下、本発明によるR−T−B系焼結磁石の好適な製造方法について工程順に説明する。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、Arガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た原料金属の溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R14B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素吸蔵のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径1.5〜11.5μm、望ましくは2.5〜7μm、より望ましくは3〜7μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金の混合のタイミングは限定されるものではないが、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体や炭化水素、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、炭化水素であるパラフィン、ナフタレン等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
次に、得られた微粉末を所定形状に成形する。この成形は、所定の磁場が印加された状態で行う磁場中成形に供される。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
次いで、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
以上の処理を経た焼結体は、所定寸法・形状に切断される。
切断後、保護膜を形成する前に、焼結体に表面粗さを制御するための処理を施す。この処理は、保護膜の密着強度が高くなるように行うものであり、焼結体の表面に凹凸が形成されるよう焼結体を加工する。望ましい表面粗さは、結晶粒径D50に基づき決定される。具体的には、本発明では、結晶粒径D50と10点平均粗さRzとの比、つまり「Rz/D50」が保護膜が形成された状態で0.20以上10.00以下となるように、焼結体の表面粗さを制御する。
焼結体の表面の加工方法は特に限定されるものではないが、磁石特性を損なわないように、化学的な加工ではなく機械的な加工を行うことが望ましい。機械的な加工としては、例えば砥石を用いた研磨処理等が挙げられる。
目的とする表面状態が得られたならば、次に、保護膜を形成する。保護膜の形成は、保護膜の種類に応じて公知の手法に従って行なえばよい。例えば、電解めっきの場合には、脱脂、水洗、エッチング(例えば硝酸)、水洗、電解めっきによる成膜、水洗、乾燥という常法を採用することができる。脱脂処理、酸による化学エッチングを施し、焼結体の表面を清浄化することができる。
Niの電解めっきに用いるめっき浴としては、塩化ニッケルを含有しないワット浴(すなわち、硫酸ニッケルおよびほう酸を主成分とする)、スルファミン酸浴、ほうフッ化浴、臭化ニッケル浴などが挙げられる。ただし、この場合、陽極の溶解が少なくなるため、ニッケルイオンを浴に補充することが好ましい。ニッケルイオンは、硫酸ニッケルあるいは臭化ニッケルの溶液として補充するのが好ましい。
ストリップキャスト法により、26.5wt%Nd−5.9wt%Dy−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−Fe.balの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行う水素粉砕処理を行った。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行う程度でよい。その後、複数の条件で微粉砕を行い、粒径が異なる複数種類の粉砕粉末を得た。なお、微粉砕はジェットミルで行った。レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した粉砕粉末の粒径を表1に示す。
得られた微粉砕粉末を磁場中成形した。磁場中成形は、15kOe(1200kA/m)の磁場中で1.4ton/cm(140MPa)の圧力で行った。
得られた成形体を真空中で1080℃まで昇温し4時間保持して焼結を行った。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と560℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
粒径の異なる粉末を同一条件で焼結することにより、異なる結晶粒径をもつ焼結体を得た。次に、砥石を用いて、種々の表面粗さとなるように焼結体を研磨した。その後、各焼結体に電解Niめっきを施した。Niめっきの膜厚は10μmである。Niめっき形成後に、Ni膜、つまり保護膜の密着強度を測定した。なお、密着強度はJIS−H8504に記載された方法に準じて測定した。
Niめっき膜、つまり保護膜形成後、磁石断面を観察して、以下の手順で結晶粒径D50および10点平均粗さRzを求め、それぞれの値に基づき両者の比「Rz/D50」を算出した。その結果を表1に示す。また、「Rz/D50」と密着強度の関係を図1に示す。
<結晶粒径D50>
磁石断面を鏡面研磨し、偏光顕微鏡を用いて写真を撮影した。この写真より磁石本体とめっき膜との界面近傍の一つ一つの粒子(界面から深さ方向に100μm以内の範囲にある粒子)の面積を画像解析によって測定し(100μm×100μmの視野)、粒子を円と仮定してその直径を計算した。得られた直径は2次元での径であるため、等大球を仮定して3次元での直径を得た(2次元での径を1.5倍した)。これをもって結晶粒径D50とした。
<10点平均粗さRz>
磁石断面を鏡面研磨し、磁石本体とめっき膜との界面を偏光顕微鏡の観察し、写真を撮影した。その写真を用いて磁石本体とめっき膜との界面をトレースすることにより、粗さ曲線を得た。得られた粗さ曲線に基づき、JIS−B0601に記載された方法に準じて10点平均粗さRzを測定した。
また、以上の試料について塩水噴霧試験により耐食性を評価した。塩水噴霧試験は、35℃の5%NaCl水溶液中に240時間浸漬する条件で行った。この結果を表1に示す。なお、表1中、○が異常なし、△が一部錆発生、×が全面さび発生を表す。
Figure 0003914557
表1および図1に示すように、「Rz/D50」と密着強度は密接な関係を有しており、「Rz/D50」が0.20以上である試料No.2〜15はいずれも100N/m以上の密着強度を示した。その比が0.60を超えると150N/m以上の密着強度を得ることができた。
ただし、表1に示すように、「Rz/D50」が6.00を超えると徐々に耐食性が低下し、「Rz/D50」が10.00を超えるほど大きくなると焼結磁石の全面に錆が発生した。また、図1に示すように「Rz/D50」を6.00を超えるほど大きくしても、それにともなう密着強度向上効果が小さい。このため、「Rz/D50」の好ましい範囲は0.20以上6.00以下といえる。
「Rz/D50」のより好ましい範囲を確認するために、試料No.2〜11を35℃の5%NaCl水溶液中にさらに480時間浸漬し(浸漬時間の合計=720時間)、焼結磁石表面の変化を目視で確認した。その結果、表1に示すように、試料No.7〜11では一部錆が発生したのに対し、試料No.2〜6については特に変化が見られなかった。よって、「Rz/D50」を0.20〜1.00とすることにより、耐食性がより一層向上することがわかった。
また、D50が同等である試料No.6と試料No.10とを対比観察したところ、試料No.10では試料No.6(10点平均粗さ:3.5μm)に比べてめっき膜が均一に形成されておらず、めっき厚の厚さが薄い箇所に錆が発生していた。試料No.6と試料No.10とのめっき膜の形成状態の相違は両者の10点平均粗さの相違に起因するものである。密着強度が高い試料No.10の方が試料No.6よりも耐食性が低いのは、試料No.10の10点平均粗さが約15.0μmと大きいことが原因であると考えられる。10点平均粗さが15.0μm以上である試料No.8、9、11も、試料No.10と同等の耐食性を示した。よって、10点平均粗さは13.0μm以下、より好ましくは10.0μm以下とすることが、高い耐食性を得る上で有効である。
実施例1と同様の試料9種類を使用して、高温高湿試験を行った。高温高湿試験では、温度80℃、相対湿度90%の雰囲気中に試料を保持し、480時間経過後の磁石表面の発錆状況を確認した。この結果を表2に示す。なお、表2中、○が異常なし、△が一部錆発生、×が全面さび発生を表す。
Figure 0003914557
表2に示すように、「Rz/D50」が10.00を超える試料No.23、24は、焼結磁石の全面に錆が発生した。これに対し、「Rz/D50」が0.20〜6.00の範囲にある試料No.16〜22については、一部錆び発生または焼結磁石表面に変化は見られなかった。
また、B−Hトレーサを用いて試料No.16〜24の残留磁束密度(Br)を測定した。その結果、表2に示すように、高温高湿試験の結果が良好である試料No.16〜22は、試料No.23、24よりも高い残留磁束密度(Br)を示した。特に、「Rz/D50」が0.50〜1.50の範囲にある試料No.18〜21では、150N/m以上の密着強度ならびに12740G以上の残留磁束密度(Br)を兼備することができた。試料No.18、19、20は、D50およびRzがそれぞれ互いに大きく相違するものの、「Rz/D50」は略一致しており、高い耐食性ならびに高い磁気特性を兼備するには、「Rz/D50」を制御することが重要であることが確認できた。
「Rz/D50」と密着強度との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 希土類元素を含む焼結体からなる磁石本体と、
    前記磁石本体の表面に形成された保護膜と、を備えた希土類焼結磁石であって、
    前記磁石本体の平均結晶粒径D50と、前記保護膜が形成された前記磁石本体の10点平均粗さRzとの比(Rz/D50)が0.20以上0.81以下であり、
    前記D50は2.0〜15.0μmであり、前記Rzは1.5〜11μmであるとともに、
    前記希土類焼結磁石はR−T−B系焼結磁石であり、
    前記保護膜の密着強度が100N/m以上であることを特徴とする希土類焼結磁石。
  2. 前記保護膜がめっき膜であることを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石。
  3. 前記保護膜は電解めっきにより形成されることを特徴とする請求項2に記載の希土類焼結磁石。
  4. 前記保護膜はNiを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の希土類焼結磁石。
  5. 前記希土類焼結磁石はR−T−B系焼結磁石であり、
    前記R−T−B系焼結磁石は、Rを25〜37wt%、Bを0.5〜4.5wt%、AlおよびCuの1種または2種を0.02〜0.5wt%含有し、残部は実質的にTであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の希土類焼結磁石。
    但し、Rは希土類元素の1種または2種以上、TはFeまたはFeおよびCo、Bはホウ素である。
  6. 前記D50が2.5〜8.0μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の希土類焼結磁石。
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