JP3642781B2 - R−t−b系永久磁石 - Google Patents

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Description

本発明は、R−T−B系永久磁石の耐食性の向上に関するものである。
214B型金属間化合物を主相とするR−T−B系永久磁石(RはYを含む希土類元
素の1種又は2種以上であり、TはFe又はFeとCo)は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、各種電気機器に使用されている。
優れた磁気特性を有するR−T−B系永久磁石にもいくつかの解消すべき技術的な課題がある。その一つが耐食性である。つまり、R−T−B系永久磁石は、主構成元素であるR及びFeが酸化されやすい元素であるために耐食性が劣るのである。そのため、磁石表面に腐食防止のための保護膜を形成している。保護膜としては、樹脂コーティング、クロメート膜あるいはメッキなどが採用されているが、特にNiメッキに代表される金属皮膜をメッキする方法が耐食性および耐磨耗性等に優れており多用されている。ところで、最近は従来に増して厳しい寸法精度がR−T−B系永久磁石に対して要求される場合がある(例えばレンジで5/100mm)。要求されるのは保護膜付きの磁石の寸法であるが、
この寸法には磁石素体の寸法も大きく影響することは言うまでもない。この問題に対し、磁石素体側及び保護膜側の寸法精度からの種々のアプローチがなされている。磁石素体側ではメッキ前にバレル処理などを行い、メッキの盛り上がりが生じやすい磁石素体端部を丸めているが、その後に酸エッチングやメッキ成膜処理を行うことで、磁石素体の表面部が部分的に崩壊(脱粒)するという問題があり、表面、特に端部の寸法精度を低下させる要因となっている。
特開平5−226125号公報 特開2001−135511号公報 特開2001−210504号公報
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、表面部における部分的な崩壊(脱粒)を抑制して寸法精度の高いR−T−B系永久磁石を提供することを目的とする。
本発明者は、酸エッチングやメッキ成膜処理を行った後に発生する表面部の部分的な崩壊(脱粒)は、酸エッチングやメッキ成膜処理を行うことで発生する水素を吸蔵することが原因であることを究明した。しかるに、磁石素体表面における水素含有量が所定の範囲にある場合には、部分的な崩壊が抑制されて寸法精度の高いR−T−B系永久磁石が得られることを知見するに到った。
本発明は以上の知見に基づくものであり、R214B化合物(ただし、RはYを含む希
土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)からなる主相結晶粒と、主相結晶粒よりRを多く含む粒界相とを少なくとも含む焼結体からなる磁石素体と、磁石素体の表面に被覆された保護膜とを備え、磁石素体の表層部に300〜1000ppmの水素濃度を有する厚さが300μm以下(ゼロを含まず)の水素高濃度層が形成されていることを特徴とするR−T−B系永久磁石である。
本発明のR−T−B系永久磁石において、保護膜は電解金属メッキとすることができる

ここで、特許文献1〜3にR−T−B系永久磁石のメッキに関して興味深い開示がなされている。
特許文献1は、R−T−B系永久磁石は水素吸蔵性が高く、水素吸蔵によって脆化する性質があるので、NiまたはNi合金メッキ法を採用すると、R−T−B系永久磁石中にメッキ時に発生する水素が吸蔵されてメッキ界面で脆化割れを起こし、メッキ剥離を起こして耐食性を維持できなくなることに鑑みて、以下の提案を行っている。すなわち、NiまたはNi合金メッキを施したR−T−B系永久磁石を、600℃以上800℃未満の温度において真空加熱することにより、メッキ工程で磁石中又はメッキ層中に吸蔵された水素を追い出し、例えば永年の使用の途中でメッキ層中の水素が磁石中に拡散するのを防ぎ、磁石界面の水素脆化を防ぐことを提案している。
特許文献2は、例えば電解メッキによるNi被膜を形成した磁石を着磁して磁気特性を評価すると減磁曲線の角形性が著しく低下するが、その原因がコーティング後の磁石素体と被膜に含まれる水素量の増加にあることを指摘している。そこで、特許文献2は保護膜形成の手段として無電解メッキ、または気相メッキを採用し、かつ、磁石素体と被膜に含まれる水素量を100ppm以下に制御することを提案している。
また特許文献3は、R−T−B系永久磁石の熱減磁がメッキ膜中に含まれる含有水素量に依存して大きく変化することを発見したことに基づいて、R−T−B系永久磁石におけるメッキに含有される水素量を100ppm以下に低減することを提案している。
しかし、特許文献1〜3のいずれにも、磁石素体の表層部に300〜1000ppmの水素濃度を有する厚さが300μm以下(ゼロを含まず)の水素高濃度層を形成すること、さらにはこの水素高濃度層が寸法精度の高いR−T−B系永久磁石を得るために寄与することの開示はなされていない。
以上の本発明によれば、表面部における部分的な崩壊(脱粒)を抑制して寸法精度の高いR−T−B系永久磁石を提供することができる。
<水素高濃度層>
図1に示すように、本発明のR−T−B系永久磁石1は、磁石素体2と、磁石素体2の表面に被覆された保護膜3とを備えている。そして、磁石素体2の表層部に水素が高濃度の水素高濃度層21が存在する。この水素高濃度層21は、水素を300〜1000ppm含んでいる。水素濃度が300ppm未満、又は1000ppmを超えると磁石素体2、ひいては保護膜3が被覆されたR−T−B系永久磁石1の寸法精度が劣化する。また、水素を300〜1000ppm含む水素高濃度層21が存在することにより磁石素体2、ひいては保護膜3が被覆されたR−T−B系永久磁石1の寸法精度が向上するが、この層の厚さが300μmを超えると寸法精度が同等になる。したがって本発明では、水素高濃度層21の厚さを300μm以下(0を含まず)とする。望ましい水素高濃度層21の厚さは10〜200μm、さらに望ましい水素高濃度層21の厚さは10〜100μmである。
水素高濃度層21の水素濃度及び厚さは、電解メッキにより保護膜3を形成する場合には、その条件を調整することにより変動させることができる。例えば、メッキ時の電流密度を低く設定することにより水素高濃度層21の厚さを薄くすることができ、逆に電流密度を高く設定することにより水素高濃度層21の厚さを厚くすることができる。水素高濃度層21は、以上のように電解メッキにより形成することができるが、保護膜3形成の前処理として行うことのある酸によるエッチングによっても形成することができる。したが
って、本発明は酸によるエッチングを行った後に電解メッキ以外の保護膜3を形成することを包含している。
<保護膜>
本発明はその表面に電解メッキによる保護膜3を形成することができる。保護膜3の材質としては、Ni、Ni−P、Cu、Zn、Cr、Sn、Alのいずれかを用いることができるし、他の材質を用いることもできる。また、これらの材質を複数積層して被覆することもできる。
電解メッキによる保護膜3は本発明の典型的な形態であるが、他の手法による保護膜3を設けることもできる。ただし、水素高濃度層21の存在が前提である。他の手法による
保護膜3としては、無電解メッキ、クロメート処理をはじめとする化成処理及び樹脂塗装膜のいずれか又は組み合せが実用的である。
保護膜3の厚さは、磁石素体2のサイズ、要求される耐食性のレベル等によって変動させる必要があるが、1〜100μmの範囲で適宜設定すればよい。望ましい保護膜3の厚さは1〜50μmである。
<化学組成>
以下、本発明が対象とするR−T−B系永久磁石1(磁石素体2)の望ましい化学組成について説明する。
本発明のR−T−B系永久磁石1は、Rを27.0〜35.0wt%含有する。
ここで、Rは、Yを含む希土類元素(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLu)の1種又は2種以上である。R含有量が27.0wt%未満であると、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。また、27.0wt%未満では、焼結性が劣ってくる。一方、Rが35.0wt%を超えるとRリッチ相の量が多くなることにより耐食性が劣化するとともに、主相であるR214
B結晶粒の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。したがって、R含有量は27.0〜35.0wt%とする。望ましいR含有量は28.0〜33.0wt%、さらに望ましいR含有量は29.0〜31.0wt%である。
Rの中ではNdやPrが最も磁気特性のバランスが良いことと、資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdやPrとすることが好ましい。またDyやTbは異方性磁界が大きく、保磁力を向上させる上で有効である。よって、RとしてNdやPr及びDyやTbを選択し、NdやPr及びDyやTbの合計を27.0〜35.0wt%とすることが望ましい。DyやTbは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその含有量を定めることが望ましい。つまり、高い残留磁束密度を得たい場合にはDyとTbの合計量を0.1〜4.0wt%とし、高い保磁力を得たい場合にはDyとTbの合計量を4.0〜12.0wt%とすることが望ましい。
本発明のR−T−B系永久磁石1は、ホウ素(B)を0.5〜2.0wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、Bが2.0wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を2.0wt%とする。望ましいB含有量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいB含有量は0.9〜1.1wt%である。
本発明のR−T−B系永久磁石1は、Nb:0.1〜2.0wt%、Zr:0.05〜0.25wt%、Al:0.02〜2.0wt%、Co:0.3〜5.0wt%及びCu:0.01〜1.0wt%の1種又は2種以上の含有を許容する。これらは、Feの一部を置換する元素として位置付けられている。
Nbは低酸素の焼結体を得る際に結晶粒の成長を抑制し、保磁力向上の効果を有する。Nbは過剰に添加しても焼結性には影響を与えないが、残留磁束密度の低下が顕著となる
。したがって、Nb含有量は0.1〜2.0wt%とする。望ましいNb含有量は0.3〜1.5wt%、さらに望ましいNb含有量は0.3〜1.0wt%である。
ZrはR−T−B系永久磁石1の着磁特性向上を図るために有効である。また、R−T−B系永久磁石1の磁気特性を向上するために酸素含有量を低減する際に、焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Zrは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。しかし、Zrを過剰に添加すると焼結性を低下させる。Zrの望ましい量は0.05〜0.20wt%である。
Alは保磁力の向上に効果がある。また、高い保磁力を得ることのできる時効処理の温度範囲を拡大する効果を有している。また、本発明のR−T−B系永久磁石1を後述する混合法によって製造する場合に、高R合金に添加すると粉砕性を向上することができる。しかし、Alの過剰な添加は残留磁束密度の低下を招くため、0.02〜2.0wt%とする。望ましいAl含有量は0.05〜1.0wt%、さらに望ましいAl含有量は0.05〜0.5wt%である。
Coはキュリー温度の向上及び耐食性の向上に効果がある。また、Cuと複合添加することにより、高い保磁力が得られる時効処理温度範囲が拡大するという効果をも有する。しかし、過剰の添加は保磁力の低下を招くとともに、コストを上昇させるため、0.3〜5.0wt%とする。望ましいCo含有量は0.3〜3.0wt%、さらに望ましいCo含有量は0.3〜1.0wt%である。
CuはAlと同様に保磁力の向上に効果がある。Alよりも少量で保磁力向上の効果があり、かつ効果が飽和する量がAlよりも低い点がAlとの相違点である。Cuの過剰な添加は残留磁束密度の低下を招くため、0.01〜1.0wt%とする。望ましいCu含有量は0.01〜0.5wt%、さらに望ましいCu含有量は0.02〜0.2wt%である。
上記元素以外の元素を含有することを本発明は許容する。例えば、Ga、Bi、Snを適宜含有することが本発明にとって望ましい。Ga、Bi、Snは保磁力の向上と保磁力の温度特性向上に効果がある。ただし、これらの元素の過剰な添加は残留磁束密度の低下を招くため、0.02〜0.2wt%とすることが望ましい。また、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Ta、Mo、W、Sb、Ge、Ni、Si、Hfの1種又は2種以上を含有させることもできる。
<製造方法>
本発明のR−T−B系永久磁石1は、よく知られているように、R2Fe14B結晶粒か
らなる主相と、この主相よりもRを多く含む粒界相とを少なくとも含む焼結体から構成される。この焼結体を得るための好適な製造方法について以下説明する。
原料合金は、真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティング、その他公知の溶解法により作製することができる。R2Fe14B結晶粒を主体とする
合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法で本発明にかかるR−T−B系永久磁石1を製造する場合も同様である。混合法の場合には、低R合金には、R、Fe、Co及びBの他に、Cu及びAlを含有させることができる。また、高R合金にも、R、Fe、Co及びBの他に、Cu及びAlを含有させることができる。
原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することも
できる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2〜10μm、好ましくは3〜8μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金を混合するタイミングは限定されるものではなく、粗粉砕工程の前、微粉砕工程の前、微粉砕工程の後のいずれにおいても混合することができる。ただし、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕してその後に混合する場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末とを好ましくは不活性ガス雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の粉砕助剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、次の磁場中成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。
以上のようにして得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、960〜1360kA/m(12〜17kOe)前後の磁場中で、68.6〜147MPa(0.7〜1.5t/cm2)前後の圧力で行なえばよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃で1〜10時間程度焼結すればよい。焼結工程の前に成形体に含まれている粉砕助剤、ガスなどを除去する処理を行なってもよい。焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
焼結体を得た後に、保護膜3を形成する。保護膜3の形成は、保護膜3の種類に応じて公知の手法に従って行なえばよい。例えば、電解メッキの場合には、焼結体加工、バレル研磨、脱脂、水洗、エッチング(例えば硝酸)、水洗、電解メッキによる成膜、水洗、乾燥という常法を採用することができる。ここで、エッチング、電解メッキの条件を操作することにより、水素高濃度層21の性状を制御することができる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
所定組成を有する薄帯状合金をストリップキャスト法で作製した。この薄帯状合金に室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で400〜700℃前後まで昇温して脱水素を行なうことにより粗粉末を得た。
ジェットミルを用いてこの粗粉末を微粉砕した。微粉砕は、ジェットミル内をN2ガス
で置換した後に高圧N2ガス気流を用いて行った。得られた微粉末の平均粒径は4.0μ
mであった。なお、微粉砕を行なう前に粉砕助剤としてステアリン酸亜鉛を0.05wt%添加した。
得られた微粉末を1200kA/m(15kOe)の磁場中で98MPa(1.0ton/cm2)の圧力で成形して成形体を得た。この成形体を真空中において、1030℃
で4時間焼結した後に、急冷した。次いで得られた焼結体に850℃×1時間と540℃
×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。焼結体の組成を分析したところ表1に示す結果が得られた。また、焼結体の磁気特性を測定した結果も表1にあわせて示す。
Figure 0003642781
得られた焼結体からA(mm)×B(mm)×C(mm)の寸法を有する直方体状試料を作成した。この試料に、バレル処理、酸エッチング処理を行った後に、電解メッキを施した。酸エッチング処理、電解メッキの条件は表2に示す通りである。なお、メッキ浴は以下に記載の通りである。
バレル処理前、バレル処理後、酸エッチング処理後及びメッキ処理後のA、B及びCの寸法を測定した(n=10)。その結果を表4〜8に示す。なお、表4〜8は、測定した値をランダムに掲載している。この結果から、標準偏差を算出した。その結果を表3に示す。
また、メッキ処理後、メッキ膜を剥離した表面から順次一定厚を削り落とし、それをガス分析した。その結果を表3にあわせて示す。なお、保護膜の剥離、表面からの削り落としは、不活性ガス雰囲気中で行った。また、表3中の素体表面の水素濃度は、素体表面から約10μmの厚さを削り落とした試料について測定した値である。
Figure 0003642781
<メッキ浴(ワット浴)>
硫酸ニッケル・6水和物 295g/リットル
塩化ニッケル・6水和物 45g/リットル
ホウ酸 45g/リットル
1,3,6−ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム 4g/リットル
2−ブチン1,4,ジオール 0.2g/リットル
表3に示すように、実施例1〜2に比べて、比較例1〜3は、酸エッチング処理後及びメッキ処理後のA〜C寸法の標準偏差が大きくなり、寸法精度が劣ることがわかる。ここで、実施例1は磁石素体表面の酸素濃度が450ppm、水素高濃度層の厚さが50μmの実施例1、及び磁石素体表面の酸素濃度が720ppm、水素高濃度層の厚さが250μmの実施例2は、酸エッチング処理後及びメッキ処理後のA〜C寸法の標準偏差がそれ以前と大きな差異は見られない。これに対して、磁石素体表面の酸素濃度が120ppm、水素高濃度層の厚さが0μmの比較例1、及び磁石素体表面の酸素濃度が1200ppm、水素高濃度層の厚さが240μmの比較例2は、酸エッチング処理後及びメッキ処理後のA〜C寸法の標準偏差がそれ以前に比べて相当程度劣ることがわかる。つまり、素体表面の水素濃度が120ppmで水素高濃度層が存在しない場合、あるいは逆に素体表面の水素濃度が1200ppmと高い場合には寸法精度が劣る。また、比較例3のように水素濃度が300〜1000ppmの範囲にある場合であっても、その厚さが450μmと厚い場合にも寸法精度が劣る。
Figure 0003642781
Figure 0003642781
Figure 0003642781
Figure 0003642781
Figure 0003642781
Figure 0003642781
本発明のR−T−B系永久磁石の構造を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1…R−T−B系永久磁石、2…磁石素体、3…保護膜、21…水素高濃度層

Claims (2)

  1. 214B化合物(ただし、RはYを含む希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又
    はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)からなる主相結晶粒と、前記主相結晶粒よりRを多く含む粒界相とを少なくとも含む焼結体からなり、その表層部に300〜1000ppmの水素濃度を有する厚さが300μm以下(ゼロを含まず)の水素高濃度層が形成されている磁石素体と、
    前記磁石素体表面に被覆された保護膜と、
    を備えることを特徴とするR−T−B系永久磁石。
  2. 前記保護膜が電解金属メッキであることを特徴とする請求項1又は2に記載のR−T−B系永久磁石。
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