JP3912781B2 - レンズ付きフイルムユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ付きフイルムユニットに関し、更に詳しくは、絞り値を切り替える機構を備えたレンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
簡単な撮影機構を備え、製造時に写真フイルムが装填されるレンズ付きフイルムユニットが各種製造販売されている。レンズ付きフイルムユニットは、携帯性やデザイン性を向上させるために、全体が薄型に形成されている。しかし、スナップ撮影に適した30mm前後の焦点距離を得る必要性から、遮光筒を短くすることはできない。そのため、撮影レンズの周囲に隆起部を設け、この隆起部内に撮影レンズの周辺部品を収めている。
【0003】
レンズ付きフイルムユニットでは、1枚のシャッタ羽根を蹴飛ばして回動させる蹴飛ばし式のシャッタ機構が用いられている。上記隆起部は、このシャッタ羽根と、シャッタ羽根の回動スペースとが収められる大きさにされている。
【0004】
従来のレンズ付きフイルムユニットでは、暗い室内や夜間でのストロボ撮影を行うと、ストロボ光到達距離内の主要な被写体は適正な露出で撮影することができた。しかし、ストロボ光到達距離より遠方の背景などは、光の取り込み量が少なくなるため暗く撮影されていた。これを解決するために、特開平10−333287号公報記載のレンズ付きフイルムユニットでは、小絞り穴が設けられた絞り切替板を回動させて撮影レンズの背後に挿脱させる絞り切替機構を設け、ストロボ撮影時に絞りを開いて周辺光の取り込み量を多くしている。
【0005】
また、種々のレンズ付きフイルムユニットの中には、撮影画質の向上のために、撮影レンズを前玉レンズと後玉レンズとで構成し、これら前玉レンズと後玉レンズとの間に絞りを配置したもの(ビトウィーン絞り)がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記ビトウィーン絞りを用いたレンズ付きフイルムユニットに、絞り切替機構を組み込むと、隆起部内に絞り切替板の作動スペースも必要となる。シャッタ羽根の回動方向と絞り切替板の回動方向とが異なると、隆起部が大型化してしまい、携帯性やデザイン性に対する大きな制約となる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためのもので、ビトウィーン絞りと絞り切替機構とを用いたレンズ付きフイルムユニットにおいて、撮影レンズ周辺の隆起部の大型化を防ぐことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のレンズ付きフイルムユニットは、シャッタ羽根の回動中心と絞り切替板の回動中心とを一致又は近接させ、かつシャッタ羽根の閉じ位置から開き位置への回動方向と、絞り切替板の小絞り位置から大絞り位置への回動方向とを同一方向にしたものである。
【0009】
また、レンズ鏡筒の外周に、絞りの切り替え操作に応じて回動される切替リングを組み込み、この切替リングの回動に連動して、絞り切替板を小絞り位置と大絞り位置との間で回動させるようにしたものである。切替リングの回動は、シャッタ速度の切り替えに利用することもできる
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を実施したレンズ付きフイルムユニットの外観形状を示す斜視図である。レンズ付きフイルムユニット2は、各種撮影機構が組み込まれたユニット本体3と、このユニット本体3の製造時に装填されたフイルムパトローネと、ユニット本体3の外周に巻き付けられるようにして貼付されるラベル4とからなる。ラベル4には、ユニット本体3の各部を露呈させるための開口が形成されている。
【0011】
ユニット本体3の前面には、撮影レンズ5,ファインダ6,ストロボ発光部7,撮影モード選択部8等が設けられている。撮影レンズ5の周囲には、ユニット本体3の前面側に膨出された隆起部13が設けられている。この隆起部13の中には、撮影レンズ5や周辺部品が組み込まれている。
【0012】
ユニット本体3の上面には、シャッタボタン9,カウンタ表示窓10,シグナル用開口11等が設けられている。ユニット本体3の背面からは、撮影後のフイルム巻き上げに用いられる巻上げノブ12の一部が露呈されている。
【0013】
撮影モード選択部8は、ユニット本体3の前面に形成された操作開口14と、この操作開口14内で移動自在とされた略小判形状の操作部材15とからなる。操作部材15は、操作開口14内の下方に位置する第1操作位置と、図2に示すように、第1操作位置から上方に向けてスライドされた第2操作位置と、図3に示すように、第2操作位置から図中時計方向に回動される第3操作位置との間で移動される。
【0014】
レンズ付きフイルムユニット2は、操作部材15が第1操作位置にある際に、ストロボOFF及び小絞り及び高速シャッタの日中撮影モードとなる。また、操作部材15が第2操作位置にある際には、ストロボON及び小絞り及び高速シャッタの日中シンクロ撮影モードとなる。この日中シンクロ撮影モードでは、レンズ付きフイルムユニット2の上面からシグナル部材17が突出される。このシグナル部材17はライトガイドであり、ストロボ充電の完了時に発光する発光素子の光をユニット本体3外にガイドして、撮影準備が完了したことを知らせる。
【0015】
操作部材15が第3操作位置にある際には、ストロボON及び大絞り及び低速シャッタの夜間シンクロ撮影モードとなる。この夜間シンクロ撮影モードでは、ストロボ発光部7の前方に板状の減光部材19が下方から挿入され、ストロボ光量の減光が図られる。また、ファインダ6の前方には、円板状の指標板20が突出される。この指標板20は、ファインダ6内で視認されることにより、レンズ付きフイルムユニット2が夜間シンクロ撮影モードにあることを撮影者に知らせる。
【0016】
図4は、ユニット本体3の構成を示す分解斜視図である。ユニット本体3は、135タイプのフイルムパトローネ22が装填される本体基部23と、この本体基部23の前面側に取り付けられるストロボユニット24と、撮影モードの切り替えを行うモード切替機構25と、本体基部23の前面側及び背面側に取り付けられる前カバー26及び後カバー27とからなる。隆起部13は、前カバー26の前面に一体に形成されている。
【0017】
ストロボユニット24は、各種電気部品が取り付けられてストロボ回路が形成されたプリント基板29と、放電管やリフレクタ,拡散板等からなるストロボ発光部7とから構成されている。また、プリント基板29には、シャッタレリーズに連動してオンしてストロボ発光を行わせるシンクロスイッチ30と、撮影モード選択部8の操作部材15の移動によってオン/オフされる充電スイッチを構成する金属接片31と、電池32をストロボ回路に接続する電池接片33等が取り付けられている。
【0018】
本体基部23の前面中央には、遮光筒35が設けられている。この遮光筒35の周囲には、シャッタチャージ機構,シャッタレリーズ機構,フイルム巻上げ機構,フイルム巻止機構,フイルムカウント機構,絞り切替機構,シャッタ速度切替機構,撮影光学系,ファインダ光学系等が組み込まれている。
【0019】
図5は、遮光筒35の周囲に組み込まれたシャッタレリーズ機構,絞り切替機構,シャッタ速度切替機構,撮影光学系の構成を示す分解斜視図である。遮光筒35の前面には、矩形状の露光開口37が形成されている。遮光筒35の側方には、シャッタ羽根38を揺動自在に支持するピン39と、バネ40の一端が掛けられるピン41とが設けられている。
【0020】
シャッタレリーズ機構を構成するシャッタ羽根38は、ピン39に挿通される穴43aが形成されたベース部43と、露光開口37の前方に配置されて該露光開口37の開閉を行う開閉部44と、ベース部43と開閉部44とを接続する連結部45とからなる。ベース部43には、バネ40の他端が掛けられるピン43bと、シャッタ駆動レバー47によって蹴飛ばされる突出部43cと、ストロボユニット24のシンクロスイッチ30を動作させるシンクロ突起43dとが設けられている。シャッタ羽根38は、バネ40に付勢されて露光開口37を塞ぐ閉じ位置に保持されている。
【0021】
シャッタ駆動レバー47は、シャッタレリーズ機構を構成する部品の一つであり、シャッタチャージ機構によって図中時計方向のチャージ位置に回動される。そして、シャッタレリーズ時に、図中反時計方向のレリーズ位置に向けて回動し、その際にシャッタ羽根38の突出部43cを蹴飛ばす。シャッタ駆動レバー47に蹴飛ばされたシャッタ羽根38は、バネ40の付勢に抗して図中時計方向の開き位置に向けて回動する。そして、レンズホルダ56の内面に設けられたストッパーピン56a(図9参照)に当接すると、バネ40の付勢によって閉じ位置に復帰する。
【0022】
また、シャッタ羽根38は、開き位置への回動時に、シンクロ突起43dでシンクロスイッチ30の上部金属接片(第1金属接片)30aを押圧し、下部金属接片(第2金属接片)30bに接触させる。一対の金属接片30a,30bが接触してシンクロスイッチ30がONすると、ストロボユニット24の発光部7においてストロボ発光が行われる。
【0023】
レンズホルダ56上部には、ストップレバー49を回動自在に支持するピン50が形成されている。ストップレバー49は、ピン50に支持されるボス51と、このボス51の側面から突出された2本のアーム52,53と、一方のアーム52の先端に形成されたパッド54とからなる。
【0024】
このストップレバー49は、図6に示すように、パッド54がシンクロスイッチ30の下部金属接片30bの自由端側の下方に挿入されて当接する高速シャッタ位置と、図7に示すように、パッド54を下部金属接片30bの下方から退避させる低速シャッタ位置との間で回動される。
【0025】
図8に示すように、ストップレバー49のパッド54が高速シャッタ位置にある際にシャッタレリーズが行われると、シャッタ羽根38のシンクロ突起43dに押圧されたシンクロスイッチ30の上部金属接片30aが下部金属接片30bに接触し、ストロボ発光が行われる。下部金属接片30bはパッド54に当接するため、シャッタ羽根38は途中で回動が阻止される。これにより、短時間でシャッタ羽根38が閉じ位置に復帰する。この高速シャッタでは、例えば1/120秒のシャッタ速度を得ることができる。
【0026】
また、シンクロスイッチ30は、シンクロ突起43dとパッド54との間でオンされるので、確実に撮影開口58が全開の時にストロボ発光を行うことができ、シンクロ撮影時の露出を適正に行うことができる。
【0027】
上記とは逆に、図9に示すように、ストップレバー49のパッド54が低速シャッタ位置にある際には、シャッタ羽根38の開き位置への回動が大きくなる。これは、金属接片30bの弾性変形が自由になるためである。その結果、シャッタ羽根38が閉じ位置に復帰するまでの時間が長くなって、シャッタ速度が遅くなる。この低速シャッタでは、例えば1/45秒のシャッタ速度を得ることができる。
【0028】
なお、下部金属接片30bの自由端側をストップレバー49のパッド54に当接させるには、下部金属接片30bの自由端側をやや下向きに形成しておき、パッド54が下方に挿入された時に、パッド54で下部金属接片30bを少し持ち上げるようにするとよい。また、ストップレバー49を支持するピン50の下面に斜面を形成しておき、パッド54が下部金属接片30bの下方に近づくにしたがって、パッド54が高さ方向で移動して下部金属接片30bに当接するようにしてもよい。
【0029】
遮光筒35の前方には、略板状のレンズホルダ56が取り付けられる。レンズホルダ56の前面中央には、筒形状の鏡筒57が形成されている。鏡筒57内には、撮影開口58が形成されており、鏡筒57の側面には切欠59が形成されている。鏡筒57内には、撮影レンズ5を構成する第1レンズ60と第2レンズ61とが収納される。これら第1レンズ60と第2レンズ61との間には、絞り切替機構を構成する大絞り板62と、絞り切替板63と、絞り切替板63の挿入スペースを確保するスペーサー64とが収められる。大絞り板62は、円形の薄板からなり、中央に大径の絞り開口62aが形成されている。
【0030】
レンズホルダ56の前面には、鏡筒57に収められた撮影レンズ5等の部品と、鏡筒57の外周に取り付けられた切替リング68とが外れないように押さえるレンズ押さえ板65が取り付けられる。
【0031】
絞り切替板63は、く字形状の薄板からなり、一端に大絞り開口62aを塞ぐ大きさの小絞り部63aが設けられている。この小絞り部63aには、小径の絞り開口63bが形成されている。絞り切替板63の他端には、穴63cと屈曲された長穴63dとが形成されている。穴63cは、レンズホルダ56の鏡筒57の近傍に形成されたピン66に挿通され、絞り切替板63を揺動自在とする。
【0032】
絞り切替板63は、小絞り開口63bを撮影光軸上に配置する小絞り位置と、小絞り部63aを切欠59から鏡筒57の外に退避させ、大絞り開口62aを露呈させる大絞り位置との間で回動される。
【0033】
鏡筒57の外周には、切替リング68が回動自在に嵌入される。切替リング68には、バネ70の一端が掛けられるバネ掛けピン68aと、絞り切替板63の長穴63dに挿入されるリンクピン68bと、ストップレバー49の他方のアーム53が間に挟み込まれる一対の挟持ピン68cと、背面側に突出され、撮影モード切替機構によって押圧される従動ピン68dとが設けられている。
【0034】
バネ70の他端は、レンズホルダ56の前面下部に形成されたピン71に掛けられ、切替リング68を図中時計方向に付勢する。なお、バネ70によって付勢された切替リング68は、絞り切替板63によって所定の位置に保持される。
【0035】
操作部材15には、略小判形状の切替板74が一体に形成されており、この切替板74には水平方向に突出された押圧レバー75が一体に形成されている。操作部材15が第2操作位置から第3操作位置に回動すると、切替板74の押圧レバー75が切替リング68の従動ピン68dを下方から押圧する。これにより、切替リング68は図中反時計方向に回動される。
【0036】
図10及び図11は、日中撮影モード及び日中シンクロ撮影モードにある際の切替リング68の状態を示している。操作部材15が第1操作位置及び第2操作位置にある際には、操作部材15の押圧レバー75は切替リング68の従動ピン68dに接触しない。そのため、切替リング68は、絞り切替板63によって初期位置に保持されている。
【0037】
切替リング68が初期位置にある際には、リンクピン68bによって絞り切替板63の小絞り部63aが鏡筒57内に挿入される。これにより、小絞り部63aが大絞り開口62aを塞いで小絞り状態となる。また、一対の挟持ピン68cは、ストップレバー49を高速シャッタ位置に保持している。
【0038】
図12に示すように、操作部材15が第2操作位置から第3操作位置へと回動されると、押圧レバー75が従動ピン68dを下方から押圧して切替リング68を図中反時計方向に回動させる。この切替リング68の回動により、リンクピン68bに押圧された絞り切替板63が図中時計方向に回動し、小絞り部63aが光軸上から退避して大絞り状態となる。また、一対の挟持ピン68cはストップレバー49を回動させ、パッド54を低速シャッタ位置にセットする。
【0039】
図9に示すように、シャッタ羽根38と絞り切替板63とは、レンズ付きフイルムユニットの前面側から見た回動中心が近接しており、回動方向が同一で、回動範囲もほぼ等しくされている。また、鏡筒57の周囲で回動する切替リング68により絞り切替板63を回動させるようにしているため、隆起部13は、シャッタ羽根38の回動スペースを備えていた従来のレンズ付きフイルムユニットの隆起部と同程度の大きさとなる。これにより、レンズ付きフイルムユニットの携帯性やデザイン性を悪化させることはない。
【0040】
図13は、撮影モード切替機構25の構成を示す分解斜視図である。撮影モード切替機構25は、操作部材15と、軸受板77と、スライド板78と、受け板79と、減光レバー80と、減光板87と、表示レバー81とから構成されている。
【0041】
図14に示すように、操作部材15の前面には、操作時の指かかりを得るために略円錐形状の指掛け部83が形成されている。この指掛け部83には、階段状の段差が形成されて指かかりが向上されている。また、指掛け部83の先端には、検査機の治具が挿入される穴83aが形成されている。レンズ付きフイルムユニット2の完成後に行われる撮影モード切替機構の検査では、指掛け部83の穴83aに検査機の治具85が挿入され、この治具85が上下方向でのスライドと回動とを行うことにより、撮影モード切替機構25の動作が確かめられる。
【0042】
受け板79は、ストロボユニット24のプリント基板29の前面に取り付けられ、スライド板78と軸受板77とを上下方向でスライド自在となるように保持する。操作部材15は、軸受板77に回動自在に保持される。操作部材15が第1操作位置から第2操作位置へとスライドされると、軸受板77とスライド板78とが一緒に上方にスライドする。操作部材15が第2操作位置から第3操作位置へと回動されると、軸受板77は移動せず、スライド板78が更に上方にスライドされる。
【0043】
スライド板78には、シグナル部材17の係合ピン17aに係合する係合部78aが設けられている。操作部材15が第1操作位置にある際には、シグナル部材17はユニット本体3内に収納されている。操作部材15が第2操作位置または第3操作位置に操作されると、シグナル部材17はスライド板78のスライドに連動してユニット本体3の上面から突出される。
【0044】
軸受板77の背面には、操作部材15が第2操作位置または第3操作位置にある時に、スライド板78と受け板79とを貫通して、ストロボユニット24の充電スイッチの金属接片31を押圧する押圧片77aが設けられている。
【0045】
受け板79には、減光レバー80と表示レバー81とが回動自在に取り付けられるピン79a,79bが設けられている。減光板87は、減光部材19の下方に縦方向の長穴87aと横方向の長穴87bとが形成されている。縦方向の長穴87aには、前カバー26の前面内壁でストロボ発光部の下方に形成された複数本のピンが挿入される。これにより、減光板87は前カバー26の内側において上下方向でスライド自在となる。横方向の長穴87bには、減光レバー80の先端80aに形成されたリンクピン80bが挿入される。
【0046】
減光レバー80は、操作部材15が第3操作位置に操作された時に、切替板74に一体に設けられた減光用突起74aでリフト片80cが押圧されて図中反時計方向に回動する。その際に、リンクピン80bで減光板87を持ち上げ、減光部材19をストロボ発光部7の前方に挿入する。表示レバー81は、減光レバー80の回動に連動して時計方向に回動され、ファインダ6の前方に指標板20を挿入する。
【0047】
次に、上記実施形態の作用について説明する。図1に示すように、日中撮影モードにあるレンズ付きフイルムユニット2は、撮影モード選択部8の操作部材15が開口14の下方の第1操作位置にスライドされている。
【0048】
この日中撮影モードでは、図10に示すように、切替リング68がバネ70に付勢されて初期位置にある。切替リング68が初期位置にある時には、絞り切替板63が小絞り位置にセットされ、図6に示すように、ストップレバー49が高速シャッタ位置にセットされている。
【0049】
また、日中撮影モードでは、切替板74,軸受板77,スライド板78が下方にあるため、ストロボユニット24の充電スイッチの金属接片31は押圧されておらず、シグナル部材17はユニット本体3の上面から突出されていない。更に、切替板74の減光用突起74aが減光レバー80のリフト片80cに当接しないため、減光部材19と指標板20はレンズ付きフイルムユニット2の前面に露呈されない。
【0050】
日中撮影モードで撮影を行うと、ストロボ発光は行われない。また、絞りの状態は小絞り状態であり、図8に示すように、ストップレバー49によってシャッタ羽根38の回動が途中で阻止され、シャッタ速度が速くなる。これにより、輝度の高い日中屋外での撮影に適した露出で撮影を行うことができる。
【0051】
図2に示すように、撮影モード選択部8の操作部材15が開口14の上方の第2操作位置にスライドされると、レンズ付きフイルムユニット2は日中シンクロ撮影モードにセットされる。
【0052】
図11に示すように、日中シンクロ撮影モードにおいても、切替リング68は初期位置に維持される。そのため、日中撮影モードと同様に、小絞り状態及び高速シャッタ状態となる。
【0053】
また、日中シンクロ撮影モードでは、切替板74,軸受板77,スライド板78が上方にスライドされている。ストロボユニット24の充電スイッチの金属接片31は、軸受板77の押圧片77aに押圧されてオン状態となるため、ストロボユニット24ではストロボ充電が行われる。
【0054】
スライド板78は、シグナル部材17を押圧して、ユニット本体3の上面から突出させている。ストロボ充電が完了すると、ストロボユニット24に設けられた発光素子が点灯または点滅し、この発光素子の光は、シグナル部材17にガイドされてユニット本体3外に放射される。
【0055】
日中シンクロ撮影モードでも、切替板74の減光用突起74aは減光レバー80のリフト片80cに当接しない。そのため、減光部材19と指標板20との非表示状態が維持される。
【0056】
日中シンクロ撮影モードで撮影を行うと、ストロボ発光が行われる。小絞り状態及び高速シャッタ状態であるため、輝度の高い日中屋外でのシンクロ撮影に適した露出で撮影を行うことができる。
【0057】
図3に示すように、撮影モード選択部8の操作部材15が第2操作位置から第3操作位置に回動されると、レンズ付きフイルムユニット2は夜間シンクロ撮影モードにセットされる。
【0058】
図12に示すように、夜間シンクロ撮影モードでは、切替板74の押圧レバー75が切替リング68の従動ピン68dを下方から押圧する。切替リング68は、バネ70の付勢に抗して初期位置から反時計方向に回動する。切替リング68の回動に連動して絞り切替板63が大絞り位置に回動し、大絞り開口62aが撮影光軸上に配置される。また、ストップレバー49は、図7に示すように、低速シャッタ位置にセットされる。
【0059】
夜間シンクロ撮影モードでは、切替板74が操作部材25と一緒に回動され、スライド板78が日中シンクロ撮影モードの時よりも更に上方にスライドされる。そのため、シグナル部材17も若干上方に移動されるが、充電完了を表示する機能は損なわれない。なお、軸受板77は、日中シンクロ撮影モードの時と同じ位置に保持されるため、ストロボユニット24の充電スイッチは、オン状態が維持される。
【0060】
夜間シンクロ撮影モードでは、切替板74の減光用突起74aによってリフト片80cが押圧される。そのため、減光レバー80が図中反時計方向に回動し、リンクピン80bで減光板87を持ち上げる。これにより、減光部材19がストロボ発光7の前方に挿入される。また、減光レバー80の回動に連動して表示レバー81が回動し、指標板20がファインダ6の前方に挿入される。これにより、撮影者がファインダ6を覗いた時に、夜間シンクロ撮影モードにあることが分かる。
【0061】
夜間シンクロ撮影モードで撮影を行うと、ストロボ発光が行われるが、減光部材19によってストロボ光が遮られるため、ストロボ光量は小さくなる。また、大絞り及び低速シャッタ状態となるため、被写体の周辺光の取り込みが増加する。これにより、夜間や屋内での撮影でも露光オーバーを発生させることなく、被写体と被写体の周辺画像とをバランスよく撮影することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレンズ付きフイルムユニットによれば、シャッタ羽根と絞り切替板との回動中心を近接させ、回動方向を同一にしたので、シャッタ羽根と絞り切替板との回動スペースを共用させることができる。これにより、撮影レンズの周囲の隆起部を従来のレンズ付きフイルムユニットの隆起部と同程度の大きさにし、携帯性とデザイン性とを維持することができる。
【0063】
また、レンズ鏡筒の周囲で回動される切替リングによって、絞りとシャッタ速度とを切り替えるようにしたので、隆起部の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたレンズ付きフイルムユニットの日中撮影モードの状態を示す外観斜視図である。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの日中シンクロ撮影モードの状態を示す外観斜視図である。
【図3】レンズ付きフイルムユニットの夜間シンクロ撮影モードの状態を示す外観斜視図である。
【図4】レンズ付きフイルムユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】絞り及びシャッタ速度切替機構の構成を示す分解斜視図である。
【図6】ストップレバーの高速シャッタ位置を示す説明図である。
【図7】ストップレバーの低速シャッタ位置を示す説明図である。
【図8】高速シャッタ状態でのシャッタレリーズを示す説明図である。
【図9】低速シャッタ状態でのシャッタレリーズを示す説明図である。
【図10】絞り及びシャッタ速度切替機構の日中撮影モードを示す説明図である。
【図11】絞り及びシャッタ速度切替機構の日中シンクロ撮影モードを示す説明図である。
【図12】絞り及びシャッタ速度切替機構の夜間シンクロ撮影モードを示す説明図である。
【図13】撮影モード切替機構の構成を示す分解斜視図である。
【図14】撮影モード切替機構の検査時の操作部材の駆動方法を示す説明図である。
【符号の説明】
2 レンズ付きフイルムユニット
3 ユニット本体
6 ファインダ
7 ストロボ発光部
8 撮影モード選択部
13 隆起部
15 操作部材
19 減光部材
20 指標板
25 撮影モード切替機構
30 シンクロスイッチ
31 金属接片
38 シャッタ羽根
49 ストップレバー
62 大絞り板
63 絞り切替板
65 レンズ押さえ板
68 切替リング
74 切替板
77 軸受板
78 スライド板
79 受け板
80 減光レバー
81 表示レバー
87 減光板

Claims (3)

  1. 少なくとも前玉レンズと後玉レンズとからなる撮影レンズと、
    大絞り開口が設けられ、前玉レンズと後玉レンズとの間または後玉レンズの後方に配置される大絞り板と、
    露光開口を閉じる閉じ位置と露光開口を開く開き位置との間で回動自在とされたシャッタ羽根と、
    前玉レンズと後玉レンズとの間に小絞り開口を挿入する小絞り位置と、前玉レンズと後玉レンズとの間から小絞り開口を退避させる大絞り位置との間で回動自在とされ、その回動中心が前記シャッタ羽根の回動中心と一致または近接され、かつ小絞り位置から大絞り位置への回動方向が前記シャッタ羽根の閉じ位置から開き位置への回動方向と同一にされた絞り切替板と
    前記シャッタ羽根の回動角度を変更して、シャッタ速度を高速シャッタと低速シャッタとの間で切り替えるシャッタ速度切替機構と、
    前記撮影レンズが組み込まれるレンズ鏡筒の外周に回動自在に組み込まれて前記絞り切替板とシャッタ速度切替機構に連係され、撮影モードを切り替える操作部材の切り替え操作に連動して回動される切り替えリングとを備え、
    前記切り替えリングは、前記絞り切替板を小絞り位置にセットし、かつ前記シャッタ速度切替機構を高速シャッタにセットする位置と、前記絞り切替板を大絞り位置にセットし、かつ前記シャッタ速度切替機構を低速シャッタにセットする位置との間で回動されることを特徴とするレンズ付きフイルムユニット。
  2. 前記切替リングと絞り切替板は、切替リングの外周に設けられたリンクピンと、このリンクピンの移動によって絞り切替板が小絞り位置と大絞り位置との間で回動されるように該絞り切替板に形成された長穴によって連係されることを特徴とする請求項1記載のレンズ付きフイルムユニット。
  3. 前記シャッタ速度切替機構は、前記シャッタ羽根の回動範囲内に挿入されてシャッタ羽根の開き位置への回動角度を規制する高速シャッタ位置と、前記シャッタ羽根の回動範囲から退避する低速シャッタ位置との間で回動自在とされたストップレバーからなり、前記切替リングとストップレバーは、切替リングの外周に設けられた一対の挟持ピンと、該ストップレバーに一体に設けられて挟持ピンの間に挟持される棒状のアームによって連係されることを特徴とする請求項1または2記載のレンズ付きフイルムユニット。
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