JP3910614B2 - 立体規則性高分子及びその単量体、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

立体規則性高分子及びその単量体、並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、立体規則性高分子及びその単量体、並びにこれらの製造方法に関するものである。
背景技術
高分子化合物(ポリマー)の諸物性は、ポリマー鎖の1次構造に依存する。そのため、ポリマーの合成は、ポリマーの分子量や分子量分布、末端構造、分岐構造、立体構造等の1次構造を制御して反応設計が行われている。近年、ポリマー鎖の1次構造を精密に制御するだけでなく、会合、自己組織化、結晶化、相分離等のポリマー鎖の集合状態を制御し、高分子化合物の立体規則性といった高次構造をも制御することに関心が高まっている。
このような高次構造を制御する一手法として、特定の分子配列を持つ結晶格子を重合反応の反応場として用いる手法が考えられる。すなわち、モノマー分子が結晶状態であることにより、モノマー分子が自ずから重合反応の反応場を提供し、かつ、重合反応中にモノマー分子単位の重心の位置や結晶の対称性が変化することなく、最小限の原子や置換基の動きで重合反応を進行させて立体規則性高分子を生成する手法である。このような重合反応は、トポケミカル(topochemical)重合と称される。
トポケミカル重合は、モノマー分子の集合体である結晶の構造によって反応経路や反応速度が支配され、結晶中の分子配列によって生成物であるポリマーの構造が決定される。さらに、このトポケミカル重合によってポリマーを取得すれば、分離や精製を必要とすることなくポリマーを得ることができ、また、有機溶媒を用いることがないため、環境への負荷を低減することができる。
従って、結晶格子の支配下でトポケミカル重合が進行するので、立体規則性ポリマーを容易に得ることができる。それゆえ、これまでに、トポケミカル重合に関して精力的な研究が行われ、例えば、ジアセチレンの固相重合(文献:H.Basser,Adv.Polym.Sci.,63,p.1(1984)等)やオレフィンの固相重合(文献:M.Hasegawa,Adv.Phys.Org.Chem.,30,p.117(1995)等)に関する報告がなされている。また、本発明者らは、ジエンモノマーのトポケミカル重合について報告している(文献:A.Matsumoto,T.Matsumura,S.Aoki,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1994,p.1389)。
上記ジエンモノマーのトポケミカル重合として、図11及び図12に示す置換基Y及びYを有する(Z,Z)−1,4−ブタジエン(以下、単に、ジエンモノマーと記載する)を例に挙げて説明する。なお、図中の置換基Y及びYは、ともに同じ置換基とする。
図11中の矢印の前に示すように、上記ジエンモノマーでは、モノマー分子が全て同じ配向方向にて、カラム状に配列した結晶構造を有している。すなわち、モノマー分子の積層方向(カラム方向)の一方の側から各モノマー分子を含む平面(分子平面)を見た場合、この分子平面内のモノマー分子の方向は、全て同じとなっている。言い換えれば、積層方向の一方の側から見た上記分子平面を表とするとき、各モノマー分子が形成する分子平面は、全て表となるように積層している。
それゆえ、上記ジエンモノマーがトポケミカル重合すると、図中、破線にて示す位置にて各ジエンモノマーが結合して、ポリマーが生成する。生成したポリマーは、図11中の矢印の後に示すように、−CHY−CH=CH−CHY−を繰り返し構造として有するポリマー(以下、ジエンポリマーと記載する)となる。このジエンポリマーでは、置換基Y及び置換基Yがそれぞれ結合する炭素のまわりの立体配置が、繰り返し構造ごとに全て同じとなっている。このような立体規則性を有するポリマーは、ジイソタクチックと呼ばれる。
これに対し、上記ジイソタクチックの立体規則性ポリマーの異性体であって、立体規則性がジシンジオタクチックであるポリマーがある。上記したように、ポリマーの物性は、立体規則性に依存する。そのため、ジシンジオタクチックの立体規則性を有するポリマーは、上記したジイソタクチックのポリマーとは異なる結晶性、機械的特性、耐溶媒性、熱安定性等を有していると考えることができる。
上記ジシンジオタクチックの立体規則性を有するポリマーは、図12中の矢印の後に示すように、置換基Y及び置換基Yのそれぞれが結合する炭素のまわりの立体配置が、−CHY−CH=CH−CHY−にて表される繰り返し構造を一単位として、一つおきに同じとなる立体規則性を有している。すなわち、上記ポリマーの隣り合う繰り返し構造は、置換基Y及び置換基Yのそれぞれが結合する炭素のまわりの立体配置が異なっている。言い換えれば、ジシンジオタクチックのポリマーでは、2つの異なる立体配置を有する繰り返し構造が、交互に規則的に現れることになる。
このようなジシンジオタクチックの立体規則性を有するポリマーをトポケミカル重合によって得るために、図12中の矢印の前に示すように、モノマー分子によって形成される分子平面が、交互に表裏となるように積層することが提案されている(文献:A.Matsumoto,S.Nagahama,T.Odani,J.Am.Chem.Soc.,122,p.9109(2000);A.Matsumoto,Prog.React.Kinet.Mecha.,26,p.59(2001)等)。すなわち、まず、モノマー分子の積層方向の一方の側から、各モノマー分子が形成する分子平面を見た場合、この分子平面内のモノマー分子の方向は、一つおきに同じとなるように積層している。そして、このような結晶構造を有するモノマー分子をトポケミカル重合することにより、図中、破線にて示す位置にて、各ジエンモノマーが結合される。その結果、図12中の矢印の後に示すように、ジシンジオタクチックのポリマーが得られると考えられている。
しかしながら、これまで、トポケミカル重合によって、ジシンジオタクチックの立体規則性ポリマーが得られたという報告はない。つまり、従来では、図12に示す結晶構造を有するモノマー分子を用いることにより、ジシンジオタクチックの立体規則性を有するポリマーが得られることは提案されているものの、図12に示すジエンモノマー分子や、該ジエンモノマー分子をトポケミカル重合することによって、ジシンジオタクチックのポリマーが得られたという報告はなされていない。
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、図12に示すような結晶構造を有するジエンモノマーを見出すとともに、該ジエンモノマーを重合させて得られるジシンジオタクチックの立体規則性を有する立体規則性高分子を得、さらにこれらの製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明の立体規則性高分子は、上記課題を解決するために、少なくとも1つのエステル置換基を有する鎖式炭化水素からなる繰り返し構造を有し、立体規則性がジシンジオタクチックであることを特徴としている。
上記立体規則性高分子とは、主鎖を構成する原子であり、かつ、エステル置換基等の置換基を有する原子(以下、立体中心と記載する)の立体配置に規則性を有している高分子を指し、上記立体規則性高分子では、その規則性がジシンジオタクチックとなっている。ジシンジオタクチックとは、立体中心の立体配置が、立体規則性高分子の繰り返し構造ごとに、全て同じとなるのではなく、繰り返し構造の一つおきに同じとなる立体規則性をいう。つまり、ジシンジオタクチックでは、立体規則性高分子の隣り合う繰り返し構造に含まれる立体中心が、互いに異なる立体配置となっており、この異なる立体配置を有する繰り返し構造が一つの単位となって繰り返される。
本発明の立体規則性高分子としては、繰り返し構造の鎖式炭化水素に、炭素間の単結合を含むビニル系や、炭素間の二重結合を含むジエン系の高分子を挙げることができる。このうち、特に、上記繰り返し構造に、炭素−炭素二重結合を有するジエン系の立体規則性高分子であることが好ましい。
また、繰り返し構造にて、主鎖に少なくとも2つの置換基を有していることが好ましい。これらの置換基としては、全てエステル置換基であってもよく、また、少なくとも1つのエステル置換基を有していれば、他の置換基を有していてもよい。つまり、上記ビニル系の高分子の単量体としては、1,2−ジ置換体(α,β−ジ置換体)が好ましく、上記ジエン系の高分子の単量体としては、1,4−ジ置換体(α,δ−ジ置換体)が好ましい。また、これらのジ置換体の誘導体や、これらのジ置換体に、さらに置換基を有する多置換体であってもよい。
エステル置換基としては、特に限定されるものではなく、例えば、官能基として、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アミノ基、アミノアルキル基等を有しているエステル置換基を挙げることができる。上記のうち、エーテル結合を含んでなるベンジル基を有しているエステル置換基であることが特に好ましい。
なお、官能基としての上記炭化水素基は、特に限定されるものではなく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のどちらであってもよく、また、鎖式炭化水素基、環式炭化水素基のどちらであってもよい。
具体的には、上記立体規則性高分子は、一般式(1)
Figure 0003910614
(式中、R,Rは、それぞれ官能基を有していてもよい炭化水素基を示す)
にて表される繰り返し構造を有していることが好ましい。
上記官能基とは、炭化水素基以外の官能基を指し、上記R,Rは、それぞれ、炭化水素基以外の官能基を有している炭化水素基であれば特に限定されるものではない。好ましくは、エーテル結合を含んでなるベンジル基がよい。ベンジル基に含まれるエーテル結合としては、CHO−(メトキシ基)、CO−(エトキシ基)、CO−(プロポキシ基)、CO−(ブトキシ基)、CO−(フェノキシ基)が特に好ましい。
さらに、上記一般式(1)にて表される立体規則性高分子は、炭素−炭素二重結合の位置での立体配置がトランス体となっていることが好ましい。
上記の構成によれば、本発明の立体規則性高分子は、立体規則性がジシンジオタクチックであるので、ジイソタクチックの立体規則性を有する高分子に比べて、優れた結晶性、機械的特性、耐溶媒性、熱安定性を期待することができる。ここで、ジイソタクチックの立体規則性を有する高分子とは、立体中心の立体配置が、該高分子の繰り返し構造ごとに、全て同じである高分子をいう。
具体的には、本発明の立体規則性高分子は、単独にて、又は、既存のポリマーとを組み合わせたポリマーアロイとして用いることにより、熱安定性、難燃性、弾性率、引っ張り強度、曲げ強度、耐衝撃性、耐磨耗性、線膨張係数、寸法安定性、成型加工性、電気特性、絶縁破壊強度、誘電率、高温特性、耐候性、耐加水分解性等に優れた特性を示す。
上記ポリマーアロイとして、本発明の立体規則性高分子との複合化に用いられる既存のポリマーは、汎用ポリマー、縮合系ポリマー、エンジニアリングプラスチックもしくはスーパーエンジニアリングプラスチック等、特に限定されるものではない。例えば、上記汎用ポリマーとしては、ポリオレフィン、ジエンポリマー、ビニルポリマー等であり、上記縮合系ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等を挙げることができる。また、エンジニアリングプラスチックもしくはスーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリイミド等を挙げることができる。
上記ポリマーアロイを作製するための複合化は、ブレンド、IPN(相互侵入網目構造体)、ブロック・グラフト化等によって行えばよい。さらに、ガラス繊維や炭素繊維等の無機材料と併用してもよい。
それゆえ、本発明の立体規則性高分子は、電気・電子材料、射出成型回路基板、OA機器部品、磁気ディスク、自動車外板、燃料関係部品、電装関係部品、自動車外装品、自動車内装品、航空機部品、スポーツ用品、建材・エクステリア、農業資材、雑貨、食品包装材等のような各種用途に用いることができる。
また、本発明のエステル誘導体は、炭素−炭素二重結合を有するエステル誘導体であって、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を有していることを特徴としている。
上記分子平面とは、エステル誘導体の各分子が有する炭素−炭素二重結合によって形成される平面を指す。また、上記隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるとは、エステル誘導体の結晶構造にて隣接する分子が形成している各分子平面内の分子方向が、互いに逆向きとなることをいう。すなわち、上記エステル誘導体の結晶構造を分子の積層方向の一方の側から見た場合、上記分子平面が交互に表裏をなすように積層していることをいう。
上記エステル誘導体としては、炭素−炭素二重結合を有するエステル誘導体であれば特に限定されるものではないが、エステル置換基を有するジエンであることが好ましく、エステル置換基を有する共役ジエンであることが特に好ましい。
また、上記エステル誘導体は、少なくとも2つの置換基を有していることが好ましく、少なくとも1つは、エステル置換基であることが好ましい。エステル置換基としては、特に限定されるものではなく、例えば、官能基として、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アミノ基、アミノアルキル基等を有しているエステル置換基を挙げることができる。
上記エステル誘導体のうち、エステル置換基を有する共役ジエンとしては、例えば、ムコン酸誘導体やソルビン酸誘導体を挙げることができる。
さらに具体的には、上記エステル誘導体は、一般式(2)
Figure 0003910614
(式中、R,Rは、それぞれ官能基を有していてもよい炭化水素基を示す)
にて表されることが好ましい。
上記R,Rは、それぞれ、炭化水素基以外の官能基を有している炭化水素基であれば特に限定されるものではない。好ましくは、エーテル結合を含んでなるベンジル基がよい。ベンジル基に含まれるエーテル結合としては、CHO−、CO−、CO−、CO−、CO−が特に好ましい。
上記一般式(2)にて表されるエステル誘導体は、炭素−炭素二重結合の位置での立体配置がどちらも同じであることが好ましい。つまり、一般式(2)のエステル誘導体は、(Z,Z)体又は(E,E)体であることが好ましい。しかし、エステル誘導体として(E,Z)体を用いても構わない。
上記の構成によれば、本発明のエステル誘導体は、結晶内にて、上記したように、分子方向が交互に向きを変えて配列している。そのため、後述するように、この結晶構造のまま重合反応を進行させることによって、ジシンジオタクチックの立体規則性を有する上記立体規則性高分子を得ることができる。それゆえ、上記エステル誘導体は、上記立体規則性高分子の原料として有用である。
また、本発明のエステル誘導体の製造方法は、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸と、該カルボン酸のカルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物とを用い、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を形成することを特徴としている。
上記カルボン酸としては、炭素−炭素二重結合を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ソルビン酸、クロトン酸、チグリン酸等の一塩基性不飽和カルボン酸;ムコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等の二塩基性不飽和カルボン酸を挙げることができる。このうち、共役ジエンを有するムコン酸、ソルビン酸が好ましい。
また、上記カルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物としては、特に限定されるものではなく、炭化水素基以外の官能基を有している炭化水素基を、上記ジエンを有するカルボン酸に導入することができる化合物であればよい。このような化合物として、例えば、エーテル結合を含んでなるハロゲン化ベンジルを挙げることができる。
上記の方法によれば、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を有するエステル誘導体を得ることができる。そのため、後述するように、この結晶構造のエステル誘導体を重合させることによって、ジシンジオタクチックの立体規則性を有する上記立体規則性高分子を得ることができる。
なお、上記の方法にて行われるエステル化は、従来行われているエステル化の手法であれば特に限定されず、例えば、酸触媒存在下での加熱脱水や、酸クロリドとアルコールとの反応させることによって、エステル化を行うことができる。
また、上記従来のエステル化とは別の手法として、溶媒としてヘキサメチルホスホルアミドを用い、炭酸カリウムの存在下にて、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸と、該カルボン酸ジエンのカルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物とを反応させてもよい。
特に、カルボン酸ジエンのエステル化に際して、溶媒としてヘキサメチルホスホルアミドを用い、触媒として炭酸カリウムを用いてエステル化を行うことにより、生成するエステル誘導体の異性化を抑制しながら、特定の立体配置を有するエステル誘導体を高収率にて得ることができる。言い換えれば、上記のエステル化を行うことにより、上記エステル誘導体のうち、特定の立体配置を有するエステル誘導体を高い選択性にて得られるように反応を行うことができる。
なお、上記の方法は、本発明のエステル誘導体のように、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を有するエステル誘導体を得る場合に限らず、種々のカルボン酸ジエンのエステル化に適用することができる。つまり、上記の方法を用いれば、種々のカルボン酸ジエンに対して、反応中に生じる異性化を抑制して、高収率にてエステル化を行うことができる。
また、本発明の立体規則性高分子の製造方法は、上記ジエンを有するエステル誘導体の結晶に光照射する、又は、該結晶を加熱することによって重合反応を進行させることを特徴としている。
上記の方法によれば、エステル誘導体を結晶状態に保ったまま、光照射又は加熱により、重合させることができる。結晶状態での重合反応は、結晶内の分子の配列が強く束縛されている。そのため、本発明のエステル誘導体のように、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を有している場合、立体特異的な重合反応を進行させることができる。それゆえ、分子が形成する結晶構造を制御したエステル誘導体を用いることにより、ジシンジオタクチックの立体規則性を有する立体規則性高分子を得ることができる。
なお、上記光照射に用いる光としては、可視光線、紫外線、X線、γ線等を挙げることができる。このうち、紫外線、X線、γ線が好ましい。透過性の高いX線やγ線を用いた場合、結晶全体にて均一に反応が起こり、歪みや欠陥が特に少ない立体規則性高分子の結晶を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の一形態について図1及び図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
A.立体規則性高分子の構造、及びその単量体の構造
立体規則性高分子の構造、該立体規則性高分子を構成するエステル誘導体としての単量体の構造について、図1及び図2に基づいて説明する。
▲1▼立体規則性高分子の構造
本発明の立体規則性高分子は、少なくとも1つのエステル置換基を有する立体規則性高分子であって、立体規則性がジシンジオタクチックであるものである。
上記立体規則性高分子の繰り返し構造は、ムコン酸誘導体の重合によって形成され得るものであることが好ましい。すなわち、前記一般式(1)にて表される繰り返し構造を有していることが好ましい。また、前記一般式(1)中のR,Rは、それぞれ官能基を有していてもよい炭化水素基であり、好ましくは、エーテル結合を有するベンジル基がよい。
従って、本発明の立体規則性高分子は、一般式(3)
Figure 0003910614
(式中、Rはエーテル結合を有するベンジル基を示し、Rは炭化水素基を示す)
にて表される繰り返し構造を有していることが好ましい。さらに、上記Rは、メチル基であることが特に好ましく、従って、上記Rは、メトキシベンジル基であることが特に好ましい。
以下では、上記一般式(3)にて表される繰り返し構造を有する立体規則性高分子(以下、ムコン酸ポリマーと記載する)を例に挙げて説明する。
上記ムコン酸ポリマーは、図1中の矢印の後に示すように、立体規則性がジシンジオタクチックとなっている。つまり、上記ムコン酸ポリマーでは、繰り返し構造内の−COORが結合している2つの炭素(以下、立体中心と記載する)の立体配置が、隣接する繰り返し構造に含まれる2つの立体中心の立体配置と同じではなく、異なっている。そして、繰り返し構造内の立体中心の立体配置は、繰り返し構造の一つおきに同じとなっている。
言い換えれば、上記ムコン酸ポリマーは、上記一般式(3)にて表される繰り返し構造を一つの単位として、立体中心の立体配置が異なる2つの繰り返し構造を有し、この異なる2つの繰り返し構造が交互に現れている。このような立体規則性は、ジシンジオタクチックと称される。
▲2▼単量体の構造
次に、上記ムコン酸ポリマーを得るために用いられるモノマー(以下、ムコン酸単量体と記載する)について説明する。上記したように、一般式(3)にて表されるムコン酸ポリマーは、ムコン酸誘導体の重合によって形成されるものであるため、ムコン酸単量体は、一般式(4)
Figure 0003910614
(式中、Rはエーテル結合を有するベンジル基を示す)
にて表されることが好ましい。上記一般式(4)にて表されるムコン酸単量体が有する置換基(−COOR)は、一般式(3)にて表されるムコン酸ポリマーが有する置換基と同じである。
上記一般式(4)にて表されるムコン酸単量体は、図1中の矢印の前に示すように、それぞれ炭素−炭素二重結合を含む分子平面を有している。このムコン酸単量体として、2つの炭素−炭素二重結合の位置での立体配置が、ともにシスである(Z,Z)体、ともにトランスである(E,E)体、一方がシスであって他方がトランスである(E,Z)体(図示せず)の3つの異性体が考えられる。この3つの異性体のうち、上記したムコン酸ポリマーを得るためには、(Z,Z)体又は(E,E)体であることが好ましい。しかし、ムコン酸単量体として(E,Z)体を用いても、上記したムコン酸ポリマーが得られる。
上記(Z,Z)体又は(E,E)体のムコン酸単量体は、図1に示すように、分子平面が積層したカラム構造を有する結晶を形成している。この結晶にて、積層方向に隣接する分子平面は、積層方向の一方の側から見た場合、互いに表裏の関係をなしている。つまり、上記ムコン酸単量体の結晶では、分子平面が交互に表裏をなして積層されたカラム構造を有している。言い換えれば、ムコン酸単量体の結晶は、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように、各分子が配列したカラム構造を有している。そして、ムコン酸単量体の結晶は、このカラム構造が積層方向に垂直となる方向に、複数配列している。
ムコン酸単量体の結晶が上記のようなカラム構造を有している理由は、カラム構造内及びカラム構造間にて、隣接するムコン酸単量体の間に、弱い分子間相互作用が働いているためであると考えられている。
すなわち、一般に、単量体の結晶内における分子配列は、水素結合やイオン結合といった強い分子間相互作用に大きく依存すると考えられている。つまり、単量体は、水素結合に特有な方向性と、イオン結合に特有な分子間相互作用とが協同的に作用することによって、結晶を形成している。
その一方で、上記水素結合やイオン結合以外の比較的弱い分子間相互作用も、結晶内の分子配列を支配する因子として働いていると考えられている。上記弱い分子間相互作用とは、ハロゲン−ハロゲン相互作用、π−πスタッキング、CH/O相互作用、CH/N相互作用、CH/π相互作用等である。上記ハロゲン−ハロゲン相互作用は、ハロゲン原子上の電子分布の異方性によって生じていると考えられ、π−πスタッキングは、二つの芳香環のπ平面が対向した際に生じるπ電子間の相互作用である。CH/O相互作用、CH/N相互作用は、OH/OやNH/H等の強い水素結合に関わるOHやNHよりも、酸性度の低いCHに置き換えた場合に生じる相互作用である。また、CH/π相互作用は、上記OHやNHよりも、塩基性度の低いπ電子に置き換えた場合に生じる相互作用である。
本発明者らは、これまでに、OH/OやNH/H等の強い水素結合や、ハロゲン−ハロゲン相互作用を分子間力として利用した単量体の結晶は、カラム構造内にて、分子方向が平行となるように配列する傾向にあることを見出している。
これに対し、上記ムコン酸単量体の結晶は、カラム構造内及びカラム構造間にて、CH/O相互作用、NH/H相互作用、CH/π相互作用といった弱い分子間相互作用が働いていると考えられる。従って、本発明のムコン酸単量体の結晶のように、上記の弱い分子間相互作用が働く単量体の結晶では、カラム構造内にて、分子方向が反平行となるように配列する傾向にあると考えられる。
以下では、上記一般式(4)にて表されるムコン酸単量体にて、Rがメトキシベンジル基である場合を例に挙げて、図2(a)〜図2(c)に基づいて説明する。
上記ムコン酸単量体のカラム構造内では、カラム方向にて隣接する単量体間に、CH/O相互作用及びCH/π相互作用が働くと考えられる。CH/O相互作用は、図2(b)の破線にて示すように、炭素−炭素二重結合の位置の水素と、カルボキシル基のカルボニル酸素との間に働く。また、CH/π相互作用は、図2(a)及び図2(c)の破線にて示すように、メトキシベンジル基のメトキシ基とベンゼン環との間に働く。これに対し、カラム構造間では、カラム方向とは垂直な方向にて隣接する単量体間に、図2(b)の二点鎖線にて示すように、メトキシベンジル基のメトキシ基間にCH/O相互作用が働く。
このように、ムコン酸単量体のカラム構造内及びカラム構造間にて、CH/O相互作用及びCH/π相互作用が働くことによって、結晶内の分子配置を支配されていると考えられる。そのため、上記ムコン酸単量体の結晶は、カラム構造内にて、隣接する分子平面内の分子方向が反平行となるように積層した構造となり、また、カラム構造が積層方向に直交する方向に配列していると考えられる。
B.立体規則性高分子の製造方法、及びその単量体の製造方法
立体規則性高分子の製造方法、及び、該立体規則性高分子を構成する単量体の製造方法について説明する。なお、以下では、上記と同様に、立体規則性高分子として、上記一般式(3)にて表されるムコン酸ポリマーを用い、単量体として、上記一般式(4)にて表されるムコン酸単量体を用いて、それぞれの製造方法について説明する。
▲1▼ムコン酸ポリマーの製造方法
上記A.▲1▼にて説明した立体配置を有するムコン酸ポリマーを得るためには、立体選択性や立体特異性が顕著に表れ、生成物の構造を制御することができる固相重合を行えばよい。つまり、上記A.▲2▼にて説明したムコン酸単量体の結晶を用いて、固相重合を行えば、ムコン酸ポリマーを得ることができる。
上記固相重合としては、特にトポケミカル重合が好ましい。トポケミカル重合は、単量体単位の重心の位置や単量体が形成する結晶の対称性が変わることなく、最小限の原子や置換基の動きによって反応が進行する。トポケミカル重合では、反応経路や反応速度は、単量体の結晶の構造によって支配され、トポケミカル重合によって得られるポリマーの構造は、結晶中での単量体の配列様式に依存する。従って、トポケミカル重合では、単量体の結晶の構造を制御することによって、所望する立体構造を有するポリマーを得ることができる。それゆえ、特定の立体規則性を有するポリマーを容易に得ることができる。
具体的には、図1中の矢印の前に示すカラム構造を有するムコン酸単量体の結晶を用い、該結晶に対して、可視光線、紫外線、X線、γ線等の光照射を行ったり、加熱処理することによって、トポケミカル重合を進行させてムコン酸ポリマーを得ることができる。つまり、トポケミカル重合によって、図1の破線にて示す位置にて、ムコン酸単量体どうしが結合し、ムコン酸ポリマーが生成する。
トポケミカル重合を光照射により行う場合には、室温にて、10分〜100時間、光照射を行うことが好ましく、さらに好ましくは、1時間〜10時間がよい。一方、加熱処理によりトポケミカル重合を行う場合には、40℃〜200℃にて行うことが好ましく、さらに好ましくは、80℃〜120℃がよい。また、加熱時間は、加熱温度によって適宜選択すればよいが、10分〜200時間が好ましく、1時間〜20時間が好ましい。また、ここで、光照射と加熱処理とを併用しても良く、併用によりトポケミカル重合に要する時間を短縮することができる。
なお、上記ムコン酸ポリマーを得るためには、(Z,Z)体又は(E,E)体のムコン酸単量体の結晶を用いることが好ましい。
上記のように、トポケミカル重合は、光照射や加熱によって固体のまま重合反応を行うので、反応溶媒や触媒等の単量体以外の添加物を一切必要とせず、また、生成したポリマーの分離精製を行わなくてもよいという利点を備えている。さらに、原料である単量体を全てポリマーに変換することができるので、廃棄物が出ることもなく、環境に対する負荷を低減することができる。
▲2▼ムコン酸単量体の製造方法
上記A.▲2▼にて説明したムコン酸単量体を得るためには、ムコン酸とメトキシベンジルのハロゲン化物を反応させ、ムコン酸のカルボキシル基をエステル化すればよい。上記ムコン酸単量体を合成するためには、出発原料として、ムコン酸の(Z,Z)体又は(E,E)体を用いればよい。ムコン酸の(E,E)体は、(Z,Z)体に比較して、熱力学的に安定であるので、出発原料としては、(Z,Z)体のムコン酸が好ましい。
(Z,Z)体のムコン酸を出発原料とし、溶媒としてヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を用い、炭酸カリウムの存在下にて、メトキシベンジルのハロゲン化物を反応させれば、(Z,Z)体と(E,Z)体との混合物としてムコン酸単量体が得られる(式(5))。
Figure 0003910614
(式中、Rはメトキシベンジル基を示し、X’はハロゲンを示す)。
一般的に、(Z,Z)体と(E,Z)体とは、カラムクロマトグラフィによって分離することができる。それゆえ、上記式(5)の反応によって得られた(Z,Z)体及び(E,Z)体のムコン酸単量体は、それぞれ分離して得ることができる。
また、(E,E)体のムコン酸単量体を得るためには、まず、上記と同様に、式(5)のように反応を行って、(Z,Z)体と(E,Z)体との混合物としてムコン酸単量体を得る。次いで、(Z,Z)体及び(E,Z)体のムコン酸単量体に対して、紫外線等の光を照射すれば、より熱力学的に安定な(E,E)体のムコン酸単量体への異性化が生じる。これにより、(E,E)体のムコン酸単量体のみを得ることができる。
上記の各エステル化反応にて、用いるムコン酸量、メトキシベンジルのハロゲン化物量は、理論量比が等しくなるように設定すればよい。すなわち、ムコン酸が有するカルボキシル基と、メトキシベンジルのハロゲン化物が有するメトキシベンジル基との数が等しくなるように設定すればよい。さらに、ヘキサメチルホスホルアミドの使用量は、特に限定されるものではなく、上記ムコン酸が溶解することができる程度の量であればよい。また、炭酸カリウムは、ムコン酸に対する理論量比として、0.5〜10倍が好ましく、1〜2倍が特に好ましい。
上記の方法によれば、カラムクロマトグラフィによる分離が困難である(E,Z)体と(E,E)体との混合物は生じないので、(Z,Z)体、(E,Z)体、(E,E)体を高純度にて分離精製して得ることができる。さらに、式(5)と同様にエステル化を行えば、(Z,Z)体のムコン酸単量体を主生成物として得ることができる。
上記の方法は、カルボン酸をエステル化するために、本発明者らによって新規に見出された方法である。この方法は、従来、一般的に行われている酸触媒存在下にて加熱脱水するエステル化方法や、酸クロリドとアルコールとの反応によるエステル化方法等とは異なるエステル化方法である。
上記従来のエステル化方法では、特にカルボン酸ジエンをエステル化する場合には、用いた原料や反応条件に応じて、(Z,Z)体、(E,Z)体、(E,E)体からなる異性体の混合物として、反応生成物であるエステル化化合物が得られる。しかしながら、上記従来のエステル化方法では、(E,Z)体や(E,E)体への異性化が生じやすく、(Z,Z)体を高収率にて得ることが困難であった。また、(E,Z)体と(E,E)体とは、一般的に分離することが困難であり、上記従来の方法では、各異性体を分離して得ることが困難となっていた。
これに対し、上記したように、溶媒としてヘキサメチルホスホルアミドを用い、触媒として炭酸カリウムを用いることによって、(E,Z)体や(E,E)体への異性化を抑制しながら、(Z,Z)体のエステル化化合物を高収率にて得ることができる。さらに、エステル化化合物が、(E,Z)体と(E,E)体との混合物として得られることはないので、各異性体を容易に得ることができる。つまり、本発明のエステル化方法は、エステル化化合物を得るために、異性化を極力抑制するとともに、特定の立体配置を有するエステル化化合物を高収率にて得ることができる。
なお、上記のエステル化方法は、上記A.▲2▼にて説明したように、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように各分子が配列したカラム構造を有するムコン酸単量体を得る場合に限定されるものではない。後述する実施例にて説明するように、種々のエステル化化合物を得るために好適に用いることができる。つまり、上記のエステル化方法は、エステル化反応における異性化を抑制し、特定の立体配置を有するエステル化化合物を得るために、広く一般的に用いることができる方法である。
本発明の実施例について、図2ないし図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
〔融点測定・熱分解温度測定・スペクトル測定〕
融点測定及び熱分解温度測定は、窒素気流下、昇温速度10℃/min.にて、熱重量・示差熱分析同時測定装置(TG/DTA6000、セイコーインスツルメント製)を用いた熱重量分析、及び示差熱分析によって行い、これらの結果に基づいて、融点及び熱分解温度を決定した。
H−NMRスペクトル測定は、JMN A−400(日本電子製、400MHz)を用い、溶媒としてCDClを用いた。13C−NMRスペクトル測定は、同様に、JMN A−400(日本電子製、100MHz)を用い、溶媒としてCDClを用いた。
紫外線吸収スペクトル測定は、紫外可視分光光度計(V−550、日本分光製)を用い、溶媒としてアセトニトリルを用いた。
赤外線吸収スペクトル測定は、Herschel FT−IR−430(JACSO社製)を用いて行った。
粉末X線回折スペクトルのプロファイルは、RINT−2100(RIGAKU社製)を用い、単色化されたCuK照射(λ=1.5418Å)によって行った。
〔X線結晶構造解析〕
R−AXIS RAPID Imaging Plate回折器にて、グラファイトによって単色化されたMo−Kα照射(1=0.71073Å)によって行った。構造は、SIR92プログラムを用いた直接法によって解析し、最小自乗法によって決定した。全ての計算は、結晶解析ソフトCrystalStructure(Molecular Structure社製)を用いて行った。
〔実施例1〕
以下の手順にて、(Z,Z)及び(E,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を取得した。
(Z,Z)−ムコン酸(三菱化学社製)2.08g(14.5mmol)と、ヘキサメチルホスホルアミド(東京化成工業製)20mLとを、100mLのナス形フラスコに入れ、さらに、該ナス形フラスコに塩化カルシウム管を取り付け、上記(Z,Z)−ムコン酸が溶解するまで撹拌して、ヘキサメチルホスホルアミド溶液とした。その後、この溶液に、炭酸カリウム(和光純薬製)5.05g(36.6mmol)及び、4−メトキシベンジルクロリド(東京化成工業製)6.06g(42.1mmol)を加えて、さらに3日間撹拌して反応させて、反応混合物を得た。
次いで、上記反応混合物に水200mLを添加し、クロロホルム100mLにて2回抽出し、抽出液を水及び飽和食塩水にて洗浄した。続いて、洗浄液を硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にてクロロホルムを留去し、黄色液体を得た。得られた黄色液体にメタノール及び水を加え、析出した白色固体を濾取し、室温にて減圧乾燥した。減圧乾燥した白色固体をカラムクロマトグラフィ(ワコーゲルC−200、クロロホルム)に付し、第1留分から溶媒を留去し、さらに乾燥して(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)3.02g(収率54%)、第2留分から(E,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を0.71g(収率24%)を得た。
得られた(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)、(E,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の融点及びスペクトルデータを表1〜表6に示す。
Figure 0003910614
Figure 0003910614
Figure 0003910614
Figure 0003910614
Figure 0003910614
Figure 0003910614
なお、表2及び表5中、s、d、t、mは、それぞれ、スペクトルのピークが一重線、二重線、三重線、多重線であることを示している。
また、結晶構造を確認するために、X線結晶構造解析を行った。(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)についての結果を図2(a)〜図2(c)、図3(a)、図3(b)、図4に示す。
このX線結晶構造解析の結果から、上記にて得られた生成物が(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)であり(図3(a)、図3(b))、図2(a)に示すように、カラム構造を有していることがわかった。また、図4に示すように、積層した分子の重心間の距離(図中、d S)は4.74Åであり、積層した分子の炭素間の距離(図中、d CC)は3.44Åであった。
さらに、カラム方向の分子間の炭素−炭素二重結合の位置の水素と、カルボキシル基のカルボニル酸素との距離は、図2(b)の破線にて示すように、2.60Å〜2.70Åと見積もられた(図中、数値参照)。それゆえ、カラム構造内のこの部位にて、CH/O相互作用の分子間相互作用を有していると考えられる。また、メトキシベンジル基のメトキシ基とベンゼン環との間の距離は、図2(c)の破線にて示すように、2.83Å〜3.06Åと見積もられた(図中、数値参照)。それゆえ、カラム構造内のこの部位にて、CH/π相互作用の分子間相互作用を有していると考えられる。
これに対し、カラム方向に直交する方向にある分子間のメトキシ基間の距離は、図2(b)の二点鎖線にて示すように、2.60Åと見積もられた(図中、数値参照)。それゆえ、カラム構造間のこの部位にて、CH/O相互作用が働いていると考えられる。
〔実施例2〕
以下の手順にて、(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を取得した。
(Z,Z)−ムコン酸3.00g(21.1mmol)と、ヘキサメチルホスホルアミド30mLとを、100mLのナス形フラスコに入れ、さらに、該ナス形フラスコに塩化カルシウム管を取り付け、上記(Z,Z)−ムコン酸が溶解するまで撹拌して、ヘキサメチルホスホルアミド溶液とした。その後、この溶液に、炭酸カリウム4.38g(31.7mmol)及び、4−メトキシベンジルクロリド6.61g(42.2mmol)を加えて、さらに3日間撹拌して反応させ、反応混合物を得た。
次いで、上記反応混合物に水300mLを添加し、クロロホルム150mLにて2回抽出し、抽出液を水及び飽和食塩水にて洗浄した。続いて、洗浄液を硫酸ナトリウムにて乾燥し、スパチュラ1杯分のヨウ素を添加し、高圧水銀灯(SHL−100−2,100W,パイレックスフィルタ;東芝製)を用いて紫外光を6時間照射した。紫外光照射後、減圧下にてクロロホルムを留去し、黄色液体を得た。得られた黄色液体にメタノール及び水を加え、析出した白色固体を濾取して、室温にて減圧乾燥し、(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を5.78g(収率72%)を得た。
得られた(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の融点及びスペクトルデータを表1〜表4に示す。
なお、表2中、s、mは、それぞれ、スペクトルのピークが一重線、多重線であることを示している。
また、結晶構造を確認するために、X線単結晶構造解析を行った。(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)についての結果を図5(a)、図5(b)及び図6に示す。このX線単結晶構造解析の結果から、得られた生成物が(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)であることがわかり(図5(a)および図5(b))、また、カラム構造を有していることがわかった。さらに、図6に示すように、積層した分子の重心間の距離(図中、d S)は4.87Åであり、積層した分子の炭素間の距離(図中、d CC)は3.32Åであった。
〔実施例3〕
4−メトキシベンジルクロリドの代わりに、4−クロロベンジルブロミド、4−ブロモベンジルブロミド、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルブドミドをそれぞれ用い、上記実施例1と同様の理論量比にて、同様の反応を行った。
得られた生成物の(Z,Z)体及び(E,E)体について、生成量を表7に示す。反応時間は、表7に示すとおりである。
Figure 0003910614
表7に示すように、エステル化した生成物が高収率にて得られたことがわかる。また、いずれのベンジル基を有するハロゲン化物を用いた場合にも、得られた生成物は、(Z,Z)体及び(E,Z)体の混合物であることがわかる。さらに、得られた生成物は全て、(E,Z)体よりも(Z,Z)体の生成量が多くなっていることがわかる。
〔比較例〕
相転移触媒を用いて、エステル化を行った。具体的には、式(6)に示すように、硫酸水素テトラn−ブチルアンモニウム存在下にて、表8に示すように溶媒又は塩基を変えて、ムコン酸と4−ブロモベンジルブロミドとを反応させた。
Figure 0003910614
反応時間、反応条件、塩基とムコン酸との理論量比、及び、得られた生成物の各異性体の割合は、表8に示すとおりである。なお、各異性体は、1H−NMRスペクトル測定によって決定した。
Figure 0003910614
表8に示すように、(Z,Z)体及び(E,Z)体の生成物が得られ、(E,E)体は得られなかった。また、(Z,Z)体及び(E,Z)体の生成量は、反応条件に依存していることがわかった。
実施例3にて行った方法と本比較例にて行った方法とを比較すると、表7及び表8に示すように、どちらも(Z,Z)体及び(E,Z)体の生成物が得られる。しかしながら、実施例3では、得られた生成物がほぼ(Z,Z)体であるのに対し、本比較例では、どの反応においても、実施例3のように、いずれかの異性体のみが高収率にて得られることはないということがわかる。
〔実施例4〕
実施例1及び2にて得られた(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)及び(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を用いて、ポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を取得した。
具体的には、(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の結晶31mg(0.081mmol)をシャーレに入れ、このシャーレから10cm離れた位置に高圧水銀灯を配置して、室温にて、紫外線を8時間照射した。次いで、得られた固形物をクロロホルム50mLに添加して、約1時間撹拌し、不溶分を濾取し、白色粉末のポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)29mg(収率93%)にて得た。なお、以下では、このポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を(Z,Z)体からのポリマーと記載する。
(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の結晶110mg(0.31mol)を用いて、上記と同様の操作を行い、白色粉末のポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)(以下、(E,E)体からのポリマーと記載する)96mg(収率81%)を得た。
得られた(Z,Z)体からのポリマー及び(E,E)体からのポリマーについて、熱的性質、及び溶媒に対する溶解性を調べた。その結果、融点は205℃であり、分解開始温度は270℃であった。この結果より、上記各ポリマーは、優れた耐熱性を示すことが分かる。
また、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、o−ジクロベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルホスホルアミド、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノールの極性溶媒、フッ素系溶媒に、不溶であった。この結果より、上記の各ポリマーは、優れた耐溶媒性を示すことがわかる。
さらに、ジシンジオタクチックポリマーの耐溶媒性を、イソタクチックポリマーの耐溶媒性と比較するため、(E,E)−ムコン酸4−メトキシベンジルから得られたジシンジオタクチックポリマー、および(E,E)−ムコン酸3−メトキシベンジルから得られたイソタクチックポリマーについて、有機溶媒や酸に対する溶解性を調べた。この結果を表9に示す。これによれば、上記イソタクチックポリマーは、有機溶媒には不溶であるが、トリフルオロ酢酸や濃硫酸のような強酸に対しては可溶である。これに対し、上記ジシンジオタクチックポリマーは、有機溶媒だけでなく、濃硫酸やトリフルオロ酢酸のような強酸に対しても不溶であった。このことから、ジシンジオタックチックポリマーがより耐溶媒性に優れていることが分かる。
Figure 0003910614
Figure 0003910614
さらに、得られたポリマーの立体構造を調べるために、赤外吸収スペクトル測定、粉末X線回折スペクトル測定を行った。その結果を図7及び図8に示す。
また、X線結晶構造解析を行うために、以下の手順にて、単結晶のポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)を取得した。
すなわち、実施例1にて得られた(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の単結晶50mgをパイレックスガラス封管に脱気封入し、室温にてコバルト60を用いてγ線照射を200kGyで行った。これにより、(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)のポリマー単結晶が得られた。
反応の経時変化を、赤外吸収スペクトル測定及び粉末X線回折スペクトル測定によって観察したところ、反応が定量的に進行していることが確認された。また、得られたポリマー単結晶のうち、良質なものを選んでX線結晶構造解析を行った。その結果を図9(a)図9(b)に示す。
図7〜図9に示すように、得られたポリマーは、著しく高い立体規則性及び結晶性を有していることがわかる。さらに、上記各ポリマーが炭素−炭素二重結合の立体配置がトランスになっていること、結晶相間の反応であるトポケミカル重合によってポリマーが形成されたことがわかる。また、得られた上記各ポリマーの立体規則性は、ジシンジオタクチックであることがわかる。
また、ジシンジオタクチックポリマーは、上記方法以外の種々の方法によっても得られた。ジシンジオタクチックポリマーが得られた他の重合の例を表10に示す。
Figure 0003910614
表10に示されるように、(Z,Z)−、(E,E)−ムコン酸4−メトキシベンジルエステルの重合については、高圧水銀ランプを用いて10cmの距離から室温で8時間紫外線照射する、あるいは室温でγ線照射(200kGy)する、というどちらの方法によっても、ジシンジオタクチックポリマーが得られた。
また、(E,Z)−ムコン酸4−メトキシベンジルエステルの重合についても、γ線照射することで、ジシンジオタクチックポリマーが得られた。ここで、(E,Z)−ムコン酸4−メトキシベンジルエステルとそのジシンジオタクチックポリマー((E,Z)体からのポリマー)の結晶の粉末X線回折スペクトル測定を行った(図10)。これによれば、モノマーからポリマーに結晶性を保ったまま重合していた。
また、エステル置換基として、4−エトキシベンジルを有する、(Z,Z)−、(E,E)−ムコン酸4−エトキシベンジルエステルの結晶を重合させても、ジシンジオタクチックポリマーが得られた。なお、重合は上記した方法と同様に、高圧水銀ランプを用いて10cmの距離から室温で8時間紫外線照射する、あるいは室温でγ線照射(200kGy)することで行われた。
なお、重合反応性やポリマーの構造は、エステル置換基の位置にも影響を受ける。したがって、表10に示すように、エステル置換基として、同じメトキシ基を有するものであっても、(E,E)−ムコン酸3−メトキシベンジルを重合した場合は、ジイソタクチックポリマーが生成された。すなわち、エステル置換基は、4−メトキシベンジル、あるいは4−エトキシベンジルであることが、特に好ましいと言える。
産業上の利用の可能性
本発明の立体規則性高分子は、以上のように、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸と、該カルボン酸のカルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物とを用い、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造のエステル誘導体を重合して得られるものである。
上記エステル誘導体は、より好ましくは、溶媒としてヘキサメチルホスホルアミドを用い、炭酸カリウムの存在下にて、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸と、該カルボン酸のカルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物とを反応させてエステル化して得るとよい。
これにより、生成するエステル誘導体の異性化を抑制しながら、特定の立体配置を有するエステル誘導体を高収率にて得ることができるという効果を奏する。言い換えれば、上記のエステル化を行うことにより、上記エステル誘導体のうち、特定の立体配置を有するエステル誘導体を高い選択性にて得られるように反応を行うことができるという効果を奏する。
そして、上記にて得られたエステル誘導体の結晶に光照射する、又は、該結晶を加熱することによって重合反応を進行させることによって、簡単に、本発明の立体規則性高分子を得ることができる。
本発明の立体規則性高分子は、立体規則性がジシンジオタクチックであるので、優れた結晶性、機械的特性、耐溶媒性、熱安定性を備えている。それゆえ、エンジニアリングプラスチック等に有用な材料を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明における立体規則性高分子、及びその単量体の構造を示す図である。
図2(a)〜図2(c)は、X線結晶構造解析によって得られた(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の構造を示す図である。
図3(a)および図3(b)は、(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)のX線結晶構造解析の結果を示す図である。
図4は、(Z,Z)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)が積層した構造を示す図である。
図5(a)および図5(b)は、(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)のX線結晶構造解析の結果を示す図である。
図6は、(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)が積層した構造を示す図である。
図7は、(Z,Z)及び(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)から得られたポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の赤外吸収スペクトルである。
図8は、(Z,Z)及び(E,E)−ムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)から得られたポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)の粉末X線回折スペクトルである。
図9(a)および図9(b)は、ポリムコン酸ジ(4−メトキシベンジル)のX線結晶構造解析の結果を示す図である。
図10は、(E,Z)−ムコン酸4−メトキシベンジルと、これから得られたポリムコン酸4−メトキシベンジルの粉末X線回折スペクトルである。
図11は、立体規則性がジイソタクチックであるポリマー、及びそのモノマーの構造を示す概念図である。
図12は、立体規則性がジシンジオタクチックであるポリマー、及びそのモノマーの構造を示す概念図である。

Claims (5)

  1. 少なくとも1つのエステル置換基と、少なくとも1つの炭素間の二重結合とを有する鎖式炭化水素からなる繰り返し構造を有し、立体規則性がジシンジオタクチックである立体規則性高分子であり、
    上記立体規則性高分子は、一般式(3)
    Figure 0003910614
    (式中、R はエーテル結合を有するベンジル基を示し、R は炭化水素基を示す)
    にて表される繰り返し構造を有していることを特徴とする立体規則性高分子
  2. 炭素−炭素二重結合を有するエステル誘導体であって、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を有し、
    上記エステル誘導体は、一般式(4)
    5OOC−CH=CH−CH=CH−COOR5 ・・・・・・(4)
    Figure 0003910614
    (式中、R はエーテル結合を有するベンジル基を示し、R は炭化水素基を示す)にて表されることを特徴とするエステル誘導体の結晶
  3. 炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸と、該カルボン酸のカルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物とを用い、隣接する分子平面内の分子方向が互いに反平行となるように積層した結晶構造を形成することを特徴とするエステル誘導体の結晶の製造方法
  4. 溶媒としてヘキサメチルホスホルアミドを用い、炭酸カリウムの存在下にて、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸と、該カルボン酸のカルボキシル基に反応し得る官能基を有する化合物とを反応させることを特徴とする請求項3に記載のエステル誘導体の結晶の製造方法
  5. 請求項2に記載のエステル誘導体の結晶に光照射する、又は、該結晶を加熱することによって重合させることを特徴とする立体規則性高分子の製造方法
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