JP3908033B2 - 位相検出装置、これを用いたタイミング再生装置、および、これを用いた復調装置 - Google Patents
位相検出装置、これを用いたタイミング再生装置、および、これを用いた復調装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、衛星通信、移動体通信等の各種のディジタル通信に用いられ、プリアンブル内での高速なタイミング位相引き込みとデータ部における低移相ジッタを実現するとともに装置の軽量小型化を促進することができる位相検出装置、これを用いたタイミング再生装置、および、これを用いた復調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディジタル無線通信用の復調器におけるタイミング再生装置としては、たとえば、下記非特許文献1に記載されているように、差分した位相データの絶対値情報から、位相の進み遅れを検出するフィードバック型の装置がある。
【0003】
第22図は、従来のタイミング再生装置を有した復調器を含む受信装置の全体構成を示すブロック図である。第22図において、アンテナ101は、QPSK変調信号を含むRF信号を受信し、周波数変換部102は、このRF信号を増幅、帯域制限、周波数変換を順次行って同相成分と直交成分とのベースバンド信号を出力する。
【0004】
A/D変換器111a,111bは、それぞれ時刻t=τ+iT/2において、ベースバンド信号の同相成分と直交成分とをサンプリングし、このサンプリングしたデータ系列Ii(同相振幅成分),Qi(直交振幅成分)を出力する。ここで、Tはシンボル周期、τは、タイミング誤差で、−T/2≦τ≦T/2の範囲の値であり、iは、自然数で、i=1,2,3…の値をもつ。なお、A/D変換器111a,111bによるベースバンド信号のサンプリングは、後述するタイミング再生部112から出力されるサンプリングクロックSSKの立ち上がりエッジで行われる。
【0005】
座標変換部110は、各A/D変換器111a,111bから出力されたデータ系列Ii,Qiを次式(1)を用いて座標変換、すなわち逆正接演算を行ってベースバンド信号の位相データ系列θiを算出する。
【0006】
θi=tan-1(Qi/Ii) …(1)
【0007】
タイミング再生部112は、座標変換部110から出力された位相データ系列θiを用いて、位相制御、すなわち入力されたベースバンド信号に位相同期したサンプリングクロックSSKおよび再生シンボルクロックRRCを生成するタイミング再生処理を行う。
【0008】
ナイキストデータ抽出部113は、サンプリングクロックSSKによってサンプリングされたデータ系列Ii,Qiから、再生シンボルクロックRRCを用いて、ナイキスト点のデータ系列を抽出する。データ判定部116は、このナイキスト点のデータ系列をもとにデータ判定を行い、復調データとして復号器104に出力し、復号器104は、復調データをもとに復号処理を行う。なお、データ判定部116のデータ判定は、変調方式に対応した同期検波方式あるいは遅延検波方式によって行う。
【0009】
ここで、第23図〜第25図を参照して、タイミング再生部112によるタイミング再生処理についてさらに詳述する。ここでは、タイミング再生等に用いられるプリアンブル部とランダムパターンであるメッセージを含むデータ部とから構成されるバースト信号を受信した場合について説明する。第23図は、1シンボル毎に±180[degree]の位相変動を繰り返す0π変調信号をプリアンブルとして受信した場合のベースバンド信号の位相θ(t)の時間変化と、この位相θ(t)のT/2(シンボル周期の1/2)時間の変動量の絶対値信号α(t)の時間変化を示す図である。第24図は、位相θ(t)がランダムに変化するデータ部のランダムパターンを受信した場合のベースバンド信号の位相θ(t)の時間変化と、この位相θ(t)のT/2時間の変動量の絶対値信号α(t)の時間変化を示す図である。また、第25図は、ナイキスト点におけるベースバンド信号の振幅遷移を示すコンスタレーション図であり、横軸がベースバンド信号の同相成分(Iチャンネル)を示し、縦軸がベースバンド信号の直交成分(Qチャンネル)を示している。第25図(a)は、DCオフセットが無いときのコンスタレーション図であり、第25図(b)は、DCオフセットが付加されたときのコンスタレーション図である。
【0010】
第23図に示すプリアンブル信号は、第25図(a)の点「A」と点「C」とを交互に遷移する信号であり、第24図に示すランダムパターン信号は、第25図(a)の点「A」〜点「D」をランダムに遷移する信号である。すなわち、第23図に示すプリアンブル信号の位相θ(t)は、1シンボル周期で180[degree]の変動を繰り返し、第24図に示すランダムパターン信号の位相θ(t)は、1シンボル周期で、0,±90,±180[degree]をランダムに繰り返す。なお、時間軸上における時刻t=0,T,2T,3T,…は、ナイキスト点を示し、t=0は、バースト信号の先頭を示す。また、Tは、上述したようにシンボル周期を示す。
【0011】
T/2時間の変動量の絶対値信号α(t)は、次式(2)で定義される。すなわち、
α(t)=
min[|θ(t)−θ(t−T/2)|,360−|θ(t)−θ(t−T/2)|]
…(2)
である。この絶対値信号α(t)は、位相θ(t)が、一般に、ナイキスト点(t=0,T,2T,3T,…)近傍において変動が緩慢であり、ナイキスト点からT/2シンボル時間後の点(t=T/2,3T/2,5T/2,7T/2,…)近傍において急峻であることに着目して得た信号であり、第23図および第24図に示す絶対値信号α(t)には、プリアンブル信号およびランダムパターン信号とに関わらず、いずれも次式(3)に示すシンボル周波数成分s(t)とDC成分とが含まれていることがわかる。すなわち、
s(t)=−sin2πt/T …(3)
と、DC成分である。特に、プリアンブル受信時には、シンボル周波数成分s(t)が多く含まれている。
【0012】
ここで、絶対値信号α(t)の1/2シンボル時間間隔の差分信号Δα(t)を次式(4)に示すように定義する。
【0013】
Δα(t)=α(t)−α(t−T/2) …(4)
【0014】
この差分信号Δα(t)の時刻ta=τ+jTにおける平均値M[Δα(ta)]と、タイミング誤差τとの間には次式(5)に示す関係が成立する。ただし、jは自然数(j=1,2,3,…)である。
【0015】
M[Δα(ta)]<0 のとき 0<τ<T/2
M[Δα(ta)]>0 のとき −T/2<τ<0 …(5)
【0016】
なお、M[Δα(ta)]=0のときはτ=0である。
【0017】
同様にして、時刻tb=τ+iT/2における差分信号Δα(t)に、(−1)iを乗算した値の平均値M[Δα(t)×(−1)i]と、タイミング誤差τとの間には次式(6)に示す関係が成立する。
【0018】
M[Δα(tb)×(−1)i]<0 のとき 0<τ<T/2
M[Δα(tb)×(−1)i]>0 のとき −T/2<τ<0
…(6)
【0019】
なお、M[Δα(tb)×(−1)i]=0のときはτ=0である。
【0020】
従って、平均値M[Δα(ta)]あるいは平均値M[Δα(tb)×(−1)i]の情報、すなわちシンボル周波数成分を含む情報をもとに、サンプルタイミングSSKの位相を制御し、平均値M[Δα(ta)]あるいは平均値M[Δα(tb)×(−1)i]の値を0に収束させるフィードバック制御を行うことによって、ベースバンド信号とのタイミング同期を確立することができる。
【0021】
このタイミング同期の具体的な制御は等タイミング再生部112によって行われ、上述したT/2時間の平均値M[Δα(tb)×(−1)i]の情報を用いた場合の制御について以下説明する。
【0022】
第22図において、位相差分型位相検出部121は、座標変換部110から出力される位相データ系列θiをもとに、式(2)に対応した次式(7)に示す位相変動量データ系列αiを算出する。すなわち、
αi=min[|θi−θi-1|,360−|θi−θi-1|] …(7)
を算出する。ここでiは、整数(i=0,±1,±2,±3,…)である。
【0023】
さらに位相差分型位相検出部121は、式(7)によって算出した位相変動量データ系列αiをもとに、式(4)に対応した次式(8)に示す位相検出データ系列δiを算出する。すなわち、
δi=(αi−αi-1)×(−1)i …(8)
を算出する。ここでiは、整数(i=0,±1,±2,±3,…)である。
【0024】
平均化部122は、ランダムウォークフィルタによって構成され、位相差分型位相検出部121から出力される位相検出データ系列δiを平均化し、タイミング位相差を打ち消す制御信号Vi∈[1,0,−1]を出力する。すなわち、平均化部122は、位相検出データ系列δiの平均値が正の値となる場合には、制御信号Vi=1を出力し、位相検出データ系列δiの平均値が負の値となる場合には、制御信号Vi=−1を出力し、位相検出データ系列δiの平均値が0の値となる場合には、制御信号Vi=0を出力する。
【0025】
位相制御部123は、平均化部122から出力された制御信号Viをもとに、この位相制御部123から出力されるサンプリングクロックSSKの位相を制御する。すなわち、位相制御部123は、制御信号Vi=1が入力された場合にはサンプリングクロックSSKの位相を遅らせ、制御信号Vi=−1が入力された場合にはサンプリングクロックSSKの位相を進ませ、制御信号Vi=0が入力された場合にはサンプリングクロックSSKの位相をそのままに維持する位相制御を行う。この位相制御されたサンプリングクロックSSKは、A/D変換器111a,111bによるサンプリングクロックとして用いられる。なお、この位相制御部123による位相制御ステップ幅は、たとえば、T/16(シンボル周期の1/16)で行う。
【0026】
さらに、2分周器124は、位相制御部123によって位相制御されたサンプリングクロックSSKを2分周し、この2分周した信号を再生シンボルクロックRRCとして出力し、この再生シンボルクロックRRCは、ナイキストデータ抽出部113におけるナイキスト点のラッチに用いられ、さらには復号器104のクロックとして用いられる。
【0027】
ところで近年、復調器の小型軽量化を達成するために、無線周波数信号(RF信号)に、この無線周波数信号と同一のローカル周波数信号を直接乗算してベースバンド信号を得るダイレクトコンバージョン方式が注目されている。このダイレクトコンバージョン方式を用いた場合には、ベースバンド信号にDCオフセットが付加され、これによってBER(ビット誤り率)が大きく劣化するという問題点があった。
【0028】
この問題点を解決するため、たとえば、下記特許文献1には、ベースバンド信号をローパスフィルタに入力してDCオフセット成分を検出し、この検出したDCオフセット成分をベースバンド信号から取り除く補正を行う復調器オフセット除去回路が記載されている。
【0029】
第26図は、第22図の受信装置の復調器にDCオフセット除去構成を付加した従来の受信装置の構成を示すブロック図である。すなわち、第26図に示す受信装置は、第22図に示した受信装置のA/D変換器111a,111bと座標変換部110との間にオフセット検出部131とオフセット補正部132とを付加した構成としている。
【0030】
オフセット検出部131は、A/D変換器111a,111bからそれぞれ出力されるデータ系列Ik,Qkをローパスフィルタに入力してDCオフセット成分ID,QDを検出する。ローパスフィルタを移動平均回路の構成とする場合には、移動平均値をDCオフセット成分ID,QDとして検出する。DCオフセット成分IDは、データ系列Ik,に対応するDCオフセット成分であり、DCオフセット成分QDは、データ系列Qkに対応するDCオフセット成分である。
【0031】
オフセット補正部132は、オフセット検出部131が出力したDCオフセット成分ID,QDをそれぞれデータ系列Ik,Qkから差分し、DCオフセットを除去したデータ系列に補正して座標変換部110に出力する。
【0032】
【特許文献1】
特開平6−261088号公報
【非特許文献1】
文献「受信信号位相情報を用いたQPSK用タイミング再生方式の検討」(藤村著、電子情報通信学会論文誌、Vol.J81-B-II No.6、pp.665-668、1998.6)
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の受信装置における復調器では、DCオフセットを除去することができるが、このDCオフセットがオフセット補正部132によって、ある程度以上に除去されるまでは、タイミング再生部112によってタイミング同期を確立することができないことになり、タイミング同期が確立されて正常な復調が可能になるまでの時間は、ベースバンド信号が示すデータの先頭部が入力されてからDCオフセットが除去されるまでの時間と、DCオフセットが、ある程度除去されてから、タイミング位相引き込みが完了するまでの時間と、を加算した時間となり、復調部にデータの先頭が入力されてから、データが正常に復調されるまでに長い時間を要するという問題点があった。
【0034】
このDCオフセットが付加されている期間にはデータを正常に復調することはできず、このデータを正常に復調できない状態について具体的に説明する。このDCオフセットが付加された状態は、第25図(b)に示したようにコンスタレーション図上の各点「A」〜「D」が第1象限方向に平行移動した状態となる。
【0035】
第27図は、DCオフセットが付加された状態におけるプリアンブル受信時の位相θ(t)の時間変化と、この位相θ(t)のT/2時間の変動量の絶対値信号α(t)の時間変化を示す図である。上述したように、プリアンブル受信時には、第25図(b)のコンスタレーション図上の点「A」と点「D」との間を交互に遷移する。従って、プリアンブル受信時における位相θ(t)は、DCオフセットが無い状態における位相45[degree]と位相225[degree]との間の繰り返しとはならず、常に位相45[degree]近傍の値となる。すなわち、位相θ(t)はほとんど変化しないことになる。このため、たとえ絶対値信号α(t)を演算したとしても、位相θ(t)自体が変化しないので、絶対値信号α(t)も変化せず、ほとんど値が0の状態となる。結果として、絶対値信号α(t)には、シンボル周波数成分s(t)が全く存在しないことになる。
【0036】
一方、図28は、DCオフセットが付加された状態におけるランダムパターン受信時の位相θ(t)の時間変化と、この位相θ(t)のT/2時間の変動量の絶対値信号α(t)の時間変化を示す図である。このランダムパターン受信時には、第25図(b)のコンスタレーション図上の各点「A」〜「D」間をランダムに遷移することになる。従って、ランダムパターン受信時における位相θ(t)は、位相0[degree]と位相45[degree]と位相90[degree]との間を遷移するのみで、DCオフセットがない場合に比較して、位相変化が急減している。さらに、絶対値信号α(t)を演算しても、位相θ(t)自体の位相変化が小さくなったために、絶対値信号α(t)内にシンボル周波数成分s(t)が含まれる部分が激減する。この絶対値信号α(t)内にシンボル周波数成分s(t)が含まれる割合は、DCオフセット成分が増加する程小さくなる。
【0037】
このようにしてDCオフセット成分が含まれた状態では、シンボル周波数に対応したタイミング位相を検出することができないために、タイミング位相の進み遅れを検出できず、結果としてタイミング同期を確立することができず、このDCオフセットを除去するまでの期間もタイミング同期を確立するまでの時間として付加されることなる。
【0038】
さらに、上述した従来の受信装置の復調器103は、座標変換部110を用いて位相データ系列θiを算出する構成を必要とし、この座標変換処理の演算量が大きいために復調処理にかかる時間がかかり、タイミング同期の確立までの時間がかかるとともに、座標変換処理をROMを用いて変換する構成としても、この変換回路規模は無視できず、結果として復調器、さらには受信装置全体の構成規模を大きくするという問題点があった。
【0039】
また、上述した従来の受信装置の復調器103は、一般にPLL(位相同期ループ)型の同期回路を用いてフィードバック処理を行っており、このPLL内ループのレジスタ等による時間遅延は短いほど、高速タイミング位相引き込みおよび低位相ジッタという特性向上を実現することができるが、演算量の大きな座標変換部110がPLLループ内に存在するために、PLLループ内の時間遅延が大きくなる傾向にあり、後続タイミング位相引き込みおよび低位相ジッタという特性を劣化させるという問題点があった。
【0040】
従って、本発明は、ベースバンド信号に含まれるDCオフセットの有無に関係なくベースバンド信号のタイミング位相を検出することができ、この検出したタイミング位相を用いてタイミング位相調整を行って復調処理を行うことができ、簡易な演算処理および構成によって高速タイミング位相引き込みと低位相ジッタとを実現することができる位相検出装置、これを用いたタイミング再生装置、およびこれを用いた復調装置を提供することを目的としている。
【0041】
また、本発明は、ベースバンド信号がリミタ増幅器によって一定振幅に制限された振幅情報を用いた簡単な加減算によって、タイミング位相を検出することができ、この検出したタイミング位相を用いてタイミング位相調整を行って復調処理を行うことができ、簡易な演算処理および構成によって高速タイミング位相引き込みと低位相ジッタとを実現することができる位相検出装置、これを用いたタイミング再生装置、および、これを用いた復調装置を提供することを目的としている。
【0042】
また、本発明は、DCオフセットの除去とタイミング位相引き込みとを並行処理することによってベースバンド信号を正常に復調できるまでの時間を短縮することができる位相検出装置、これを用いたタイミング再生装置、および、これを用いた復調装置を提供することを目的としている。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる位相検出装置は、ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量を算出する同相振幅変動量算出手段と、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量を算出する直交振幅変動量算出手段と、前記同相振幅変動量と前記直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量を算出する合成振幅変動量算出手段と、を備え、前記合成振幅変動量をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相を検出することを特徴とする。
【0044】
この発明によれば、同相振幅変動量算出手段が、ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量を算出し、直交振幅変動量算出手段が、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量を算出し、合成振幅変動量算出手段が、前記同相振幅変動量と前記直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量を算出し、この算出した合成振幅変動量をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相を直接検出するようにしているので、簡易な構成によってタイミング位相を検出することができる。また、合成振幅変動量は、同相振幅成分および直交振幅成分の単純な加減算の演算処理によって行われるので、高速処理が可能であるとともに、位相検出のための構成を小型軽量化することができる。
【0045】
また、本発明にかかる位相検出装置は、上記の発明において、前記合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値を算出する差分値算出手段をさらに備え、前記差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力することを特徴とする。
【0046】
この発明によれば、差分値算出手段が、前記合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値を算出し、前記差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力するようにしているので、ベースバンド信号にDCオフセットが含まれていても、ベースバンド信号がリミタ増幅器等によって一定振幅に制限された信号であっても、ベースバンド信号に対するタイミング位相を確実に検出することができる。
【0047】
また、本発明にかかる位相検出装置は、上記の発明において、前記合成振幅変動量算出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として出力することを特徴とする。
【0048】
この発明によれば、前記合成振幅変動量算出手段が、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として出力するようにしているので、一層精度の高い合成振幅変動量を得ることができ、タイミング位相検出を精度高く行うことができる。
【0049】
また、本発明にかかる位相検出装置は、上記の発明において、前記合成振幅変動量算出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として出力することを特徴とする。
【0050】
この発明によれば、前記合成振幅変動量算出手段が、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として出力するようにしているので、一層精度の高い合成振幅変動量を得ることができ、タイミング位相検出を精度高く行うことができる。
【0051】
また、本発明にかかる位相検出装置は、上記の発明において、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行う第1の重み付け手段と、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う第2の重み付け手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0052】
この発明によれば、第1の重み付け手段が、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行い、第2の重み付け手段が、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行い、信号遷移がない場合におけるシンボル周波数成分に対する位相逆転現象が生じた場合の情報を削除する重み付けを行うようにしているので、一層精度の高いタイミング位相検出を行うことができ、高速タイミング位相引き込みおよび位相ジッタの低減を促進することができる。
【0053】
また、本発明にかかる位相検出装置は、上記の発明において、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出する第1の信号遷移量算出手段と、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出する第2の信号遷移量算出手段と、前記同相振幅シンボル時間変動量および前記直交振幅シンボル時間変動量が所定値以下であるか否か判定する遷移判定手段と、前記遷移判定手段の判定結果が所定値以下であると判定した場合、前記位相検出信号を反転出力する反転手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0054】
この発明によれば、第1の信号遷移量算出手段が、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、第2の信号遷移量算出手段が、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、遷移判定手段が、前記同相振幅シンボル時間変動量および前記直交振幅シンボル時間変動量が所定値以下であるか否か判定し、反転手段が、前記遷移判定手段の判定結果が所定値以下であると判定した場合、前記位相検出信号を反転出力し、信号遷移がない場合におけるシンボル周波数成分に対する位相逆転現象が生じた場合の情報をも有効利用して、一層精度の高いタイミング位相検出を行うことができ、高速タイミング位相引き込みおよび位相ジッタの低減を促進することができる。
【0055】
また、本発明にかかる位相検出装置は、上記の発明において、前記合成振幅変動量に自走シンボル周波数信号の余弦値を乗算した余弦乗算信号を生成する第1の乗算手段と、前記合成振幅変動量に自走シンボル周波数信号の正弦値を乗算した正弦乗算信号を生成する第2の乗算手段と、前記余弦乗算信号に対する前記正弦乗算信号の逆正接値を算出し、該逆正接値を前記ベースバンド信号に対する前記自走シンボル周波数信号のタイミング位相差として出力するタイミング位相差算出手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0056】
この発明によれば、第1の乗算手段が、前記合成振幅変動量に自走シンボル周波数信号の余弦値を乗算した余弦乗算信号を生成し、第2の乗算手段が、前記合成振幅変動量に自走シンボル周波数信号の正弦値を乗算した正弦乗算信号を生成し、位相差検出手段が、前記余弦乗算信号に対する前記正弦乗算信号の逆正接値を算出し、該逆正接値を前記ベースバンド信号に対する前記自走シンボル周波数信号のタイミング位相差として出力するようにしているので、初期のタイミング位相がどのような値であっても、安定してタイミング位相を検出することができる。
【0057】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、シンボルレートの2倍の速度をもつサンプリングクロックによってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力する位相検出手段と、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の平均値を位相制御信号として出力する平均化手段と、前記平均化手段が出力した位相制御信号をもとに前記サンプリングクロックの位相制御を行う位相制御手段と、前記位相制御手段によって位相制御されたサンプリングクロックを2分周し、この2分周したクロックを再生シンボルクロックとして出力する2分周手段と、を備えたことを特徴とする。
【0058】
この発明によれば、位相検出手段が、シンボルレートの2倍の速度をもつサンプリングクロックによってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力し、平均化手段が、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の平均値を位相制御信号として出力し、位相制御手段が、前記平均化手段が出力した位相制御信号をもとに前記サンプリングクロックの位相制御を行い、2分周手段が、前記位相制御手段によって位相制御されたサンプリングクロックを2分周し、この2分周したクロックを再生シンボルクロックとして出力するようにしているので、ベースバンド信号内のDCオフセットの有無およびベースバンド信号の振幅制限の有無にかかわらず、プリアンブル受信時における高速タイミング位相引き込みとデータ部でのランダムパターン受信時における低位相ジッタとを実現することができる。合成振幅変動量は、簡単な加減算のみで得ることができるため、回路規模を低減し、小型化を促進できるとともに、PLLのフィードバックループ内の遅延時間を小さくすることができるので高速処理が可能となり、しかもシンボルレートの2倍でサンプリングされたベースバンド信号の同相および直交の振幅情報を用いて動作するため、シンボルレートの2倍の動作速度を実現することができ、シンボルレートが数十MHz以上のマルチメディア用高速無線通信システムにも容易に適用可能となる。
【0059】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、上記の発明において、前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする。
【0060】
この発明によれば、前記位相検出手段が、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として出力し、一層精度の高い合成振幅変動量を得るようにしているので、タイミング位相検出を精度高く行うことができ、結果として高速タイミング位相引き込みおよび低位相ジッタを実現することができる。
【0061】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、上記の発明において、前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする。
【0062】
この発明によれば、前記位相検出手段が、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として出力し、一層精度の高い合成振幅変動量を得るようにしているので、タイミング位相検出を精度高く行うことができ、結果として高速タイミング位相引き込みおよび低位相ジッタを実現することができる。
【0063】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、上記の発明において、前記位相検出手段は、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行う第1の重み付け手段と、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う第2の重み付け手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0064】
この発明によれば、第1の重み付け手段が、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行い、第2の重み付け手段が、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う、信号遷移がない場合におけるシンボル周波数成分に対する位相逆転現象が生じた場合の情報を削除する重み付けを行うようにしているので、一層精度の高いタイミング位相検出を行うことができ、高速タイミング位相引き込みおよび位相ジッタの低減を促進することができる。
【0065】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、シンボルレートの4倍の速度をもつ自走サンプリングクロックを4分周し、この4分周したクロックを自走シンボルクロックとして出力する4分周手段と、前記自走サンプリングクロックによってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量に前記自走シンボルクロックの周波数成分の余弦値を乗算した余弦乗算信号と、前記合成振幅変動量に自走シンボルクロックの周波数成分の正弦値を乗算した正弦乗算信号とを前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号として出力する位相検出手段と、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の余弦乗算信号および正弦乗算信号の各平均値である余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号を位相制御信号として出力する平均化手段と、前記平均化手段が出力した位相制御信号の余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号の逆正接値であるタイミング位相を求め、前記自走シンボルクロックを該タイミング位相分、移相した再生シンボルクロックを生成するクロック生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0066】
この発明によれば、4分周手段が、シンボルレートの4倍の速度をもつ自走サンプリングクロックを4分周し、この4分周したクロックを自走シンボルクロックとして出力し、位相検出手段が、前記自走サンプリングクロックによってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量に前記自走シンボルクロックの周波数成分の余弦値を乗算した余弦乗算信号と、前記合成振幅変動量に自走シンボルクロックの周波数成分の正弦値を乗算した正弦乗算信号とを前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号として出力し、平均化手段が、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の余弦乗算信号および正弦乗算信号の各平均値である余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号を位相制御信号として出力し、クロック生成手段が、前記平均化手段が出力した位相制御信号の余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号の逆正接値であるタイミング位相を求め、前記自走シンボルクロックを該タイミング位相分、移相した再生シンボルクロックを生成するようにしているので、ベースバンド信号内のDCオフセットの有無およびベースバンド信号の振幅制限の有無にかかわらず、プリアンブル受信時における高速タイミング位相引き込みとデータ部でのランダムパターン受信時における低位相ジッタとを実現することができる。合成振幅変動量は、簡単な加減算のみで得ることができるため、回路規模を低減し、小型化を促進できるとともに、PLLのフィードバックループ内の遅延時間を小さくすることができるので高速処理が可能となる。また、フィードフォワードによって再生シンボルクロックを再生するため、初期のタイミング位相がどのような値であっても、タイミング位相引き込みに要する時間は、平均化手段によるフィルタの時定数等によって決定され、安定したタイミング位相引き込み動作を行うことができる。
【0067】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、上記の発明において、前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする。
【0068】
この発明によれば、前記合成振幅変動量算出手段が、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として出力し、一層精度の高い合成振幅変動量を得るようにしているので、タイミング位相検出を精度高く行うことができ、結果として高速タイミング位相引き込みおよび低位相ジッタを実現することができる。
【0069】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、上記の発明において、前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする。
【0070】
この発明によれば、前記合成振幅変動量算出手段が、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として出力し、一層精度の高い合成振幅変動量を得るようにしているので、タイミング位相検出を精度高く行うことができ、結果として高速タイミング位相引き込みおよび低位相ジッタを実現することができる。
【0071】
また、本発明にかかるタイミング再生装置は、上記の発明において、前記位相検出手段は、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行う第1の重み付け手段と、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う第2の重み付け手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0072】
この発明によれば、第1の重み付け手段が、前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行い、第2の重み付け手段が、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行い、信号遷移がない場合におけるシンボル周波数成分に対する位相逆転現象が生じた場合の情報を削除する重み付けを行うようにしているので、一層精度の高いタイミング位相検出を行うことができ、高速タイミング位相引き込みおよび位相ジッタの低減を促進することができる。
【0073】
また、本発明にかかる復調装置は、シンボルレートの2倍の速度をもつサンプリングクロックによってベースバンド信号をサンプリングするサンプリング手段と、前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力する位相検出手段と、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の平均値を位相制御信号として出力する平均化手段と、前記平均化手段が出力した位相制御信号をもとに前記サンプリング手段が用いるサンプリングクロックの位相制御を行う位相制御手段と、前記位相制御手段によって位相制御されたサンプリングクロックを2分周し、この2分周したクロックを再生シンボルクロックとして出力する2分周手段と、前記再生シンボルクロックを用いて前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号に対するナイキスト点データを抽出するナイキスト点データ抽出手段と、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データを平均化し、この平均化したデータからDCオフセットを検出するオフセット検出手段と、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データから前記オフセット検出手段が検出したDCオフセットを減算して該ナイキスト点データを補正する補正手段と、前記補正手段によって補正されたナイキスト点データをもとに前記ベースバンド信号のデータを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0074】
この発明によれば、サンプリング手段が、シンボルレートの2倍の速度をもつサンプリングクロックによってベースバンド信号をサンプリングし、位相検出手段が、前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力し、平均化手段が、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の平均値を位相制御信号として出力し、位相制御手段が、前記平均化手段が出力した位相制御信号をもとに前記サンプリング手段が用いるサンプリングクロックの位相制御を行い、2分周手段が、前記位相制御手段によって位相制御されたサンプリングクロックを2分周し、この2分周したクロックを再生シンボルクロックとして出力する。一方、ナイキスト点データ抽出手段は、前記再生シンボルクロックを用いて前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号に対するナイキスト点データを抽出し、オフセット検出手段が、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データを平均化し、この平均化したデータからDCオフセットを検出し、補正手段が、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データから前記オフセット検出手段が検出したDCオフセットを減算して該ナイキスト点データを補正し、判定手段が、前記補正手段によって補正されたナイキスト点データをもとに前記ベースバンド信号のデータを判定するようにしているので、ベースバンド信号内のDCオフセットの有無およびベースバンド信号の振幅制限の有無にかかわらず、プリアンブル受信時における高速タイミング位相引き込みとデータ部でのランダムパターン受信時における低位相ジッタとを実現し、BERの劣化を低減することができる。合成振幅変動量は、簡単な加減算のみで得ることができるため、回路規模を低減し、小型化を促進できるとともに、PLLのフィードバックループ内の遅延時間を小さくすることができるので高速処理が可能となり、しかもシンボルレートの2倍でサンプリングされたベースバンド信号の同相および直交の振幅情報を用いて動作するため、シンボルレートの2倍の動作速度を実現することができ、シンボルレートが数十MHz以上のマルチメディア用高速無線通信システムにも容易に適用可能となる。さらに、復調装置内部では、タイミング位相引き込みの処理とDCオフセット除去の処理とを並行して行うようにしているので、ベースバンド信号内にDCオフセットが付加された場合であっても、復調処理が正常に行われるまでの時間を短縮することができ、結果的に伝送効率を向上させることができる。
【0075】
また、本発明にかかる復調装置は、シンボルレートの4倍の速度をもつ自走サンプリングクロックを発生する自走クロック手段と、前記自走クロック手段が発生する自走サンプリングクロックを4分周し、この4分周したクロックを自走シンボルクロックとして出力する4分周手段と、前記自走クロック手段が発生する自走サンプリングクロックによってベースバンド信号をサンプリングするサンプリング手段と、前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量に前記自走シンボルクロックの周波数成分の余弦値を乗算した余弦乗算信号と、前記合成振幅変動量に自走シンボルクロックの周波数成分の正弦値を乗算した正弦乗算信号とを前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号として出力する位相検出手段と、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の余弦乗算信号および正弦乗算信号の各平均値である余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号を位相制御信号として出力する平均化手段と、前記平均化手段が出力した位相制御信号の余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号の逆正接値であるタイミング位相を求め、前記自走シンボルクロックを該タイミング位相分、移相した再生シンボルクロックを生成するクロック生成手段と、前記再生シンボルクロックを用いて前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号に対するナイキスト点データを抽出するナイキスト点データ抽出手段と、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データを平均化し、この平均化したデータからDCオフセットを検出するオフセット検出手段と、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データから前記オフセット検出手段が検出したDCオフセットを減算して該ナイキスト点データを補正する補正手段と、前記補正手段によって補正されたナイキスト点データをもとに前記ベースバンド信号のデータを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0076】
この発明によれば、自走クロック手段が、シンボルレートの4倍の速度をもつ自走サンプリングクロックを発生しており、4分周手段が、前記自走クロック手段が発生する自走サンプリングクロックを4分周し、この4分周したクロックを自走シンボルクロックとして出力し、一方、サンプリング手段が、前記自走クロック手段が発生する自走サンプリングクロックによってベースバンド信号をサンプリングする。位相検出手段は、前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量に前記自走シンボルクロックの周波数成分の余弦値を乗算した余弦乗算信号と、前記合成振幅変動量に自走シンボルクロックの周波数成分の正弦値を乗算した正弦乗算信号とを前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号として出力し、平均化手段が、前記位相検出手段が出力した位相検出信号の余弦乗算信号および正弦乗算信号の各平均値である余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号を位相制御信号として出力し、クロック生成手段が、前記平均化手段が出力した位相制御信号の余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号の逆正接値であるタイミング位相を求め、前記自走シンボルクロックを該タイミング位相分、移相した再生シンボルクロックを生成する。一方、ナイキスト点データ抽出手段が、前記再生シンボルクロックを用いて前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号に対するナイキスト点データを抽出し、オフセット検出手段が、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データを平均化し、この平均化したデータからDCオフセットを検出し、補正手段が、前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データから前記オフセット検出手段が検出したDCオフセットを減算して該ナイキスト点データを補正し、判定手段が、前記補正手段によって補正されたナイキスト点データをもとに前記ベースバンド信号のデータを判定するようにしているので、ベースバンド信号内のDCオフセットの有無およびベースバンド信号の振幅制限の有無にかかわらず、プリアンブル受信時における高速タイミング位相引き込みとデータ部でのランダムパターン受信時における低位相ジッタとを実現することができ、BERの劣化を低減することができる。合成振幅変動量は、簡単な加減算のみで得ることができるため、回路規模を低減し、小型化を促進できるとともに、PLLのフィードバックループ内の遅延時間を小さくすることができるので高速処理が可能となる。また、フィードフォワードによって再生シンボルクロックを再生するため、初期のタイミング位相がどのような値であっても、タイミング位相引き込みに要する時間は、平均化手段によるフィルタの時定数等によって決定され、安定したタイミング位相引き込み動作を行うことができる。さらに、復調装置内部では、タイミング位相引き込みの処理とDCオフセット除去の処理とを並行して行うようにしているので、ベースバンド信号内にDCオフセットが付加された場合であっても、復調処理が正常に行われるまでの時間を短縮することができ、結果的に伝送効率を向上させることができる。
【0077】
【発明の実施の形態】
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面を従ってこれを説明する。
【0078】
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1について説明する。第1図は、この発明の実施の形態1である復調器を有する受信装置の全体構成を示す図であり、特にこの受信装置に採用される復調器の詳細構成を示している。
【0079】
第1図において、アンテナ1は、QPSK変調信号を含むRF信号を受信し、周波数変換部2は、このRF信号を増幅、帯域制限、周波数変換等を行って同相成分と直交成分とのベースバンド信号を復調器3に出力する。復調器3は、ベースバンド信号をもとにベースバンド信号をサンプリングするサンプリングクロックSKおよび再生シンボルクロックを再生するとともに、この再生シンボルクロックを用いてベースバンド信号が示すデータを復調し、復調された復調データDAと再生シンボルクロックRCとを復号器4に出力し、復号器4は、復調データDAをもとに復号処理を行って復号データDBを出力する。
【0080】
復調器3のA/D変換器11a,11bは、それぞれ時刻t=τ+iT/2において、ベースバンド信号の同相成分と直交成分とをサンプリングクロックSKによってサンプリングし、このサンプリングした同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiをタイミング再生部12およびナイキストデータ抽出部13に出力する。ここで、Tはシンボル周期、τは、タイミング誤差で、−T/2≦τ≦T/2の範囲の値であり、iは、自然数で、i=1,2,3…の値をもつ。なお、A/D変換器11a,11bにおけるサンプリングは、サンプリングクロックSKの立ち上がりエッジで行われる。
【0081】
タイミング再生部12は、A/D変換器11a,11bから出力された同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiを用いて、位相制御、すなわち入力されたベースバンド信号に位相同期したサンプリングクロックSKおよび再生シンボルクロックRCを生成するタイミング再生処理を行う。
【0082】
ナイキストデータ抽出部13は、サンプリングクロックSKによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiから、再生シンボルクロックRCを用いて、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出する。但し、jは自然数であり、j=1,2,3,…である。オフセット検出部14は、抽出されたナイキスト点のデータ系列Ij,QjからそれぞれDCオフセット成分IDa,QDaを検出し、オフセット補正部15に出力する。このDCオフセット成分IDa,QDaは、ローパスフィルタを用いて検出することができ、たとえば、移動平均回路によって実現することができる。この移動平均回路によってオフセット検出部14を構成する場合には、同相および直交の移動平均値が、それぞれDCオフセット成分IDa,QDaとなる。
【0083】
オフセット補正部15は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部14で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部16に出力する。
【0084】
データ判定部16は、オフセット補正部15によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い、復調データDAとして復号器4に出力し、復号器4は、この復調データDAをもとに復号処理を行う。なお、データ判定部16のデータ判定は、変調方式に対応した同期検波方式あるいは遅延検波方式によって行う。
【0085】
ここで、第2図および第3図を参照して、タイミング再生部12によるタイミング再生処理の動作原理について説明する。ここでは、タイミング再生等に用いられるプリアンブル部とランダムパターンであるメッセージを含むデータ部とから構成されるバースト信号を受信した場合について説明する。第2図は、1シンボル毎に±180[degree]の位相変動を繰り返す0π変調信号をプリアンブルとして受信した場合のベースバンド信号の同相振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)の時間変化と、T/2(シンボル周期の1/2)時間における同相振幅成分I(t)の変動量の絶対値と直交振幅成分Q(t)の変動量の絶対値との和信号β3(t)の時間変化を示す図である。また、第3図は、同相振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)がランダムに変化するデータ部のランダムパターンを受信した場合の同相振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)の時間変化と、T/2(シンボル周期の1/2)時間における同相振幅成分I(t)の変動量の絶対値と直交振幅成分Q(t)の変動量の絶対値との和信号β3(t)の時間変化を示す図である。なお、第2図と第3図とはいずれもベースバンド信号にDCオフセット成分が付加されていない場合であり、プリアンブル受信時は、具体的には第25図(a)の点「A」と点「C」とを交互に遷移し、ランダムパターン受信時は、第25図(a)の点「A」〜点「D」をランダムに遷移する状態である。また、時間軸上における時刻t=0,T,2T,3T,…は、ナイキスト点を示し、t=0は、バースト信号の先頭を示す。また、Tは、上述したようにシンボル周期を示す。さらに、第2図および第3図の縦軸は、振幅を示しているが、8ビットで量子化された値を示しており、振幅は、具体的には−128〜+127の範囲の値をもつ。
【0086】
第2図および第3図におけるベースバンド信号の同相振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)の変動量、すなわち微分値の大きさはそれぞれ次式(9)および(10)に示すように定義される。すなわち、
ΔI(t)=|dI(t)/dt| …(9)
ΔQ(t)=|dQ(t)/dt| …(10)
である。第2図および第3図を参照とすると、同相振幅成分I(t)の変動量ΔI(t)および直交振幅成分Q(t)の変動量ΔQ(t)のいずれも、ナイキスト点の時刻(t=0,T,2T,3T,…)近傍において小さな値となり、ナイキスト点からT/2シンボル時間後の時刻(t=T/2,3T/2,5T/2,7T/2,…)近傍において大きな値となっている。
【0087】
そこで、変動量ΔI(t),ΔQ(t)に対応させて、ベースバンド信号の変動量として、微分値ではなく、T/2時間におけるベースバンド信号のベクトル変動量の絶対値すなわち距離を示す絶対値信号β1(t)を次式(11)で定義する。すなわち、
β1(t)=(|I(t)−I(t-T/2)|2+|Q(t)−Q(t-T/2)|2)1/2
…(11)
である。
【0088】
この絶対値信号β1(t)は、平方根演算等の処理を含むため、さらにこの絶対値信号β1(t)の演算時間を短く、かつハードウェア構成の規模を小さくするため、工学的に近似した絶対値信号β2(t)を次式(12)に示すように定義してもよい。すなわち、
β2(t)=|I(t)−I(t-T/2)|2+|Q(t)−Q(t-T/2)|2
…(12)
である。
【0089】
さらに、絶対値信号β2(t)は、2乗演算を含むため、演算時間の短縮とハードウェア規模の縮小のために、工学的に近似した次式(13)に示す絶対値信号β3(t)を用いるようにしてもよい。すなわち、
β3(t)=|I(t)−I(t-T/2)|+|Q(t)−Q(t-T/2)|
…(13)
である。この式(13)に示す絶対値信号β3(t)の演算は、同相振幅成分I(t)と直交振幅成分Q(t)の加減算のみによって得ることができる。
【0090】
第2図および第3図には、式(13)に示した絶対値信号β3(t)が示されており、この絶対値信号β3(t)には、次式(14)に示すシンボル周波数成分s(t)、すなわち、
s(t)=−sin2πt/T …(14)
と、DC成分とを含んでいる。従って、この絶対値信号β3(t)を演算することによって、シンボル周波数を検出することができ、ベースバンド信号のタイミング位相を検出することが可能となる。
【0091】
一方、第4図および第5図は、第2図および第3図に対応し、この第2図および第3図に示すベースバンド信号にDCオフセットを付加した場合におけるプリアンブル受信時とランダムパターン受信時とにおける絶対値信号β3(t)をそれぞれ示している。DCオフセットが付加された状態は、具体的には、第25図(b)に示すコンスタレーション図となり、プリアンブル受信時には、第25図(b)に示す点「A」と点「C」とを交互に遷移し、ランダムパターン受信時は、第25図(b)の点「A」〜点「D」をランダムに遷移する状態であり、DCオフセットがない場合に比べて位相変化が小さくなる。
【0092】
しかし、第4図および第5図に示す絶対値信号β3(t)には、DCオフセットがない場合の第2図および第3図に示す絶対値信号β3(t)とほとんど同様に、シンボル周波数成分s(t)とDC成分とを含んでおり、この絶対値信号β3(t)を演算することによって、シンボル周波数を検出することができ、ベースバンド信号のタイミング位相を検出することが可能となる。
【0093】
すなわち、絶対値信号β3(t)は、DCオフセットの有無にかかわらず、シンボル周波数成分s(t)を含むことになる。これは、絶対値信号β3(t)を直交振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)の各差分値から算出しているからである。なお、絶対値信号β1(t),β2(t)は、絶対値信号β3(t)と同様にDCオフセットの有無にかかわらず、シンボル周波数成分s(t)を含む。
【0094】
ところで、第3図および第5図に示したランダムパターン受信時における時刻17Tから時刻18Tまでの絶対値信号β3(t)の位相は、シンボル周波数成分s(t)に対して180[degree]反転している。この絶対値信号β3(t)の位相が反転する位相逆転現象は、1シンボル間のベースバンド信号の遷移が行われない場合に生じる。第3図および第5図における時刻17Tおよび時刻18Tでは、いずれも第25図(a)の点「A」および第25図(b)の点「A」にナイキスト点がある場合に生じ、タイミング位相ジッタ、すなわち位相の揺らぎを増大させる要因となる。しかし、一般にランダムパターン受信中において、1シンボル間でベースバンド信号が遷移する状態、たとえば、第25図(a),(b)の点「A」から、他の点「B」〜「D」のいずれかに遷移する状態が生ずる確率は、ベースバンド信号が点「A」に停滞する確率よりも大きい。
【0095】
そこで、絶対値信号β3(t)の値を平均化することによって、シンボル周波数成分s(t)の位相が反転した状態の絶対値信号β3(t)を確率的に除去するようにし、シンボル周波数成分s(t)にタイミング同期したサンプリングクロックおよび再生シンボルクロックを得るようにしている。
【0096】
このために、次式(15)に示す、絶対値信号β3(t)の1/2シンボル差分信号Δβ3(t)を定義する。すなわち、
Δβ3(t)=β3(t)−β3(t−T/2) …(15)
である。この1/2シンボル差分信号Δβ3(t)の時刻τa=τ+jT(jは自然数であり、j=1,2,3,…である)における平均値M[Δβ3(ta)]と、タイミング誤差τとの間には、DCオフセットの有無にかかわらず、次式(16)の関係を有する。すなわち、
M[Δβ3(ta)]<0 のとき 0<τ<T/2
M[Δβ3(ta)]>0 のとき −T/2<τ<0
M[Δβ3(ta)]=0 のとき τ=0 …(16)
である。
【0097】
同様に、1/2シンボル差分信号Δβ3(t)の時刻τa=τ+iT/2(iは自然数であり、i=1,2,3,…である)の値であるΔβ3(ta)に(−1)iを乗算した値の平均値M[Δβ3(tb)×(−1)i]と、タイミング誤差τとの間には、DCオフセットの有無にかかわらず、次式(17)の関係を有する。すなわち、
M[Δβ3(tb)×(−1)i]<0 のとき 0<τ<T/2
M[Δβ3(tb)×(−1)i]>0 のとき −T/2<τ<0
M[Δβ3(tb)×(−1)i]=0 のとき τ=0 …(17)
である。
【0098】
従って、このような平均値M[Δβ3(ta)]あるいはM[Δβ3(tb)×(−1)i]の情報をもとに、ベースバンド信号が示すデータのサンプルタイミング位相を制御し、平均値M[Δβ3(ta)]あるいはM[Δβ3(tb)×(−1)i]の値が0に収束させるフィードバック制御を行うことによって、タイミング同期を確立することができる。
【0099】
つぎに、上述したタイミング再生処理の動作原理を適用した第1図のタイミング再生部12の動作について説明する。なお、タイミング再生部12は、式(13)に示した絶対値信号β3(t)に対応する処理および式(17)で示した平均化処理を行う。
【0100】
第1図に示すタイミング再生部12は、振幅差分型位相検出部21、平均化部22、位相制御部23、および2分周器24を有し、この振幅差分型位相検出部21は、第6図に示すように同相振幅変動量算出部31a、直交振幅変動量算出部31b、合成振幅変動量算出部32、および差分値算出部33を有する。
【0101】
第6図において、同相振幅変動量算出部31aは、A/D変換器11aによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ii−Ii-1|を算出し、直交振幅変動量算出部31bは、A/D変換器11bによってサンプリングされた直交振幅成分データ系列Qiの変動量の絶対値である直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|を算出する。なお、iは、自然数であり、i=1,2,3,…である。また、サンプリング周期は、1シンボル周期の1/2である。
【0102】
合成振幅変動量算出部32は、同相振幅変動量|Ii−Ii-1|と直交振幅変動量|Qi−Qi-1|とを加算し、次式(18)に示す合成振幅変動量β3iを算出する。すなわち、
β3i=|Ii−Ii-1|+|Qi−Qi-1| …(18)
である。この合成振幅変動量β3iのデータ系列は、上述した絶対値信号β3(t)に対応したデータ系列である。
【0103】
差分値算出部33は、この合成振幅変動量β3iに対して式(17)に対応した平均値を算出するため、次式(19)に示す差分値である位相検出データ系列γiを算出し、平均化部22に出力する。すなわち、
γi=(β3i−β3i-1)×(−1)i …(19)
である。
【0104】
ここで、上述した絶対値信号β1(t)に対応する処理を行う場合、同相振幅変動量算出部31aは、同相振幅成分データ系列Iiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ii−Ii-1|の2乗値を算出し、直交振幅変動量算出部31bは、直交振幅成分データ系列Qiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Qi−Qi-1|の2乗値を算出し、合成振幅変動量算出部32は、各2乗値を加算した値の平方根を算出することになる。すなわち、次式(20)に示す合成振幅変動量β1iを算出する。
【0105】
β1i=(|Ii−Ii-1|2+|Qi−Qi-1|2)1/2 …(20)
【0106】
そして、式(19)における合成振幅変動量β3iに、この合成振幅変動量β1iを置き換えた位相検出データ系列γiを算出し、平均化部22に出力するようにすればよい。
【0107】
また、上述した絶対値信号β2(t)に対応する処理を行う場合、同相振幅変動量算出部31aは、同相振幅成分データ系列Iiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ii−Ii-1|の2乗値を算出し、直交振幅変動量算出部31bは、直交振幅成分データ系列Qiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Qi−Qi-1|の2乗値を算出し、合成振幅変動量算出部32は、各2乗値を加算することになる。すなわち、次式(21)に示す合成振幅変動量β2iを算出する。
【0108】
β2i=|Ii−Ii-1|2+|Qi−Qi-1|2 …(21)
【0109】
そして、式(19)における合成振幅変動量β3iに、この合成振幅変動量β2iを置き換えた位相検出データ系列γiを算出し、平均化部22に出力するようにすればよい。
【0110】
平均化部22は、具体的にはランダムウォークフィルタによって実現され、位相検出データ系列γi(τ)を平均化し、タイミング位相差を打ち消す制御信号Vi∈{1,0,−1}を位相制御部23に出力する。すなわち、平均化部22は、式(17)に対応して、位相検出データ系列γi(τ)の平均値が正の値となる場合には、制御信号Vi=1を位相制御部23に出力し、位相検出データ系列γi(τ)の平均値が負の値となる場合には、制御信号Vi=−1を位相制御部23に出力し、位相検出データ系列γi(τ)の平均値が0の値となる場合には、制御信号Vi=0を位相制御部23に出力する。
【0111】
平均化部22は、その時定数を小さくする、たとえば、ランダムウォークフィルタで構成される場合には段数を小さくすることによって、プリアンブル受信中における高速なタイミング位相引き込みを実現することができる。逆に、平均化部22は、その時定数を大きくする、たとえば、ランダムウォークフィルタで構成される場合には段数を大きくすることによって、データ部におけるランダムパターン受信中における位相ジッタを低くすることができる。すなわち、平均化部22は、受信するデータの特性に応じて、その時定数、ランダムウォークフィルタで構成される場合にはその段数を制御することによって、高速タイミング位相引き込みあるいは低位相ジッタを実現することができる。この時定数あるいは段数の切替時期は、当初プリアンブル受信を行うため、初期設定として時定数を小さく、あるいは段数を小さく設定しておき、タイミング位相同期が確立したランダムパターン受信時に時定数を大きくし、あるいは段数を大きくすればよい。
【0112】
位相制御部23は、平均化部22から入力される制御信号Viの値をもとにサンプリングクロックSKを生成する。すなわち、制御信号Vi=1のときは、サンプリングクロックSKの位相を遅らせ、制御信号Vi=−1のときは、サンプリングクロックSKの位相を進ませ、制御信号Vi=0のときは、サンプリングクロックSKの位相をそのまま維持させる制御を行う。この位相制御されたサンプリングクロックSKは、A/D変換器11a,11bに供給され、タイミング同期が確立される。
【0113】
2分周器24は、タイミング同期の制御がなされたサンプリングクロックSKを2分周し、シンボルクロックに同期した再生シンボルクロックRCを生成してナイキストデータ抽出部13および復号器4に出力する。
【0114】
つぎに、第7図に示すフローチャートを参照して、復号器3における一連の復号処理手順について説明する。まず、A/D変換器11a,11bは周波数変換部2から入力されるベースバンド信号の同相成分および直交成分をサンプリングクロックSKによってサンプリングし、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Ii と直交振幅成分データ系列Qiとをタイミング再生部12およびナイキストデータ抽出部13に出力する(ステップS11)。そして、その後タイミング再生部12によるタイミング再生処理(ステップS21〜S27)とデータ判定処理(ステップS31〜S35)とが並行処理される。
【0115】
タイミング再生処理(ステップS21〜S27)では、まず同相振幅変動量算出部31aが同相振幅変動量|Ii−Ii-1|を算出し、直交振幅変動量算出部31bが直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|を算出する(ステップS21)。さらに、合成振幅変動量算出部32は、同相振幅変動量|Ii−Ii-1|と直交振幅変動量|Qi−Qi-1|とを加算した合成振幅変動量β3iを算出する(ステップS22)。その後、差分値算出部33は、この合成振幅変動量β3iから位相検出データ系列γiを算出する(ステップS23)。そして、平均化部22は、位相検出データ系列γiの平均値を求め、この平均値に基づいた位相制御の制御信号Viを位相制御部23に出力し(ステップS24)、位相制御部23は、制御信号ViをもとにサンプリングクロックSKの位相制御を行う(ステップS25)。この位相制御されたサンプリングクロックSKは、ベースバンド信号内の後続するデータ系列をサンプリングするA/D変換器11a,11bのサンプリングクロックSKとして用いられ、タイミング同期が確立される。その後、2分周器24は、位相制御されたサンプリングクロックSKを2分周し(ステップS26)、再生シンボルクロックRCとしてナイキストデータ抽出部13および復号器4に出力し(ステップS27)、上述した処理を繰り返す。
【0116】
一方、タイミング再生処理(ステップS21〜S27)に並行して、データ判定処理(ステップS31〜S35)が行われる。すなわち、ナイキストデータ抽出部13は、再生シンボルクロックRCのタイミングで同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiのナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出し(ステップS31)、オフセット検出部14は、このナイキスト点のデータ系列Ij,Qjの値をもとに、同相成分のDCオフセット成分IDaおよび直交成分のDCオフセット成分IDbをオフセット補正部15に出力する(ステップS32)。その後、オフセット補正部15は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部14で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部16に出力する(ステップS33)。さらに、データ判定部16は、オフセット補正部15によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い(ステップS34)、復調データとして復号器4に出力し(ステップS35)、上述した処理を繰り返す。
【0117】
上述した復調処理は、復調処理の開始時点において、サンプリングクロックSKおよび再生シンボルクロックRCがベースバンド信号にタイミング位相同期が確立したものではないが、上述したステップS21〜S27の処理を繰り返すことによってタイミング位相同期が確立し、このタイミング位相同期が確立した段階でデータ判定処理(ステップS31〜S35)による復調データの出力も正常となる。
【0118】
ところで、上述した実施の形態1では、ベースバンド信号がA/D変換器11a,11bの入力レンジ以内であることを前提として述べたが、これに限らず、周波数変換部2がリミタ増幅器等によって一定振幅に増幅されたベースバンド信号を出力する場合においても、同様に適用することができる。
【0119】
第8図および第9図は、復調器3に入力されるベースバンド信号がリミタ増幅器によって一定振幅に増幅された場合における絶対値信号β3(t)の時間変化を示す図であり、第8図は第2図に対応し、ベースバンド信号にDCオフセットがない場合のプリアンブル受信時を示し、第9図は第3図に対応し、ベースバンド信号にDCオフセットがない場合のランダムパターン受信時を示している。
【0120】
この第8図および第9図のいずれにおいても、第2図および第3図と同様に、絶対値信号β3(t)にシンボル周波数成分s(t)が含まれている。従って、上述した実施の形態1の復調器3に入力されるベースバンド信号がリミタ増幅器等によって一定振幅に増幅された信号であっても、実施の形態1と同じ復調処理を行うことができる。また、DCオフセットが付加された場合においても、同様に適用でき、DCオフセットの影響は受けない。
【0121】
この実施の形態1によれば、タイミング再生部12がベースバンド信号の同相振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)の振幅差分値の絶対値情報をもとに、シンボル周波数成分s(t)を含む絶対値信号β3(t)あるいはこれに等価な絶対値信号β1(t),β2(t)を求めてタイミング位相検出を行うようにしているので、ベースバンド信号内のDCオフセットの有無およびベースバンド信号の振幅制限の有無にかかわらず、プリアンブル受信時における高速タイミング位相引き込みとデータ部でのランダムパターン受信時における低位相ジッタとを実現することができる。
【0122】
また、絶対値信号β3(t)は簡単な加減算のみで得ることができるため、復調器3の回路規模を低減し、小型化を促進できるとともに、PLLのフィードバックループ内の遅延時間を小さくすることができるので高速処理が可能となり、しかもシンボルレートの2倍でサンプリングされたベースバンド信号の同相および直交の振幅情報を用いて動作するため、シンボルレートの2倍の動作速度を実現することができ、シンボルレートが数十MHz以上のマルチメディア用高速無線通信システムにも容易に適用することができる。
【0123】
さらに、復調器内部では、タイミング位相引き込みの処理とDCオフセット除去の処理とを並行して行うようにしているので、ベースバンド信号内にDCオフセットが付加された場合であっても、復調処理が正常に行われるまでの時間を短縮することができ、結果的に伝送効率を向上させることができる。
【0124】
なお、上述した実施の形態1では、シンボル周波数成分s(t)を含む絶対値信号β1(t)〜β3(t)を式(11)〜(13)に示すように、1/2シンボル時間間隔の差分の絶対値から求めるようにしているが、1/nシンボル時間間隔の差分の絶対値から求めるようにしてもよい。なお、nは2以上の自然数である。この場合、絶対値信号β1(t)に対応するβ11(t)は、次式(22)のようになる。すなわち、
β11(t)=(|I(t)−I(t-T/n)|2+|Q(t)−Q(t-T/n)|2)1/2
…(22)
である。
【0125】
また、絶対値信号β2(t)に対応するβ12(t)は、次式(23)のようになる。すなわち、
β12(t)=|I(t)−I(t-T/n)|2+|Q(t)−Q(t-T/n)|2
…(23)
である。
【0126】
さらに、絶対値信号β3(t)に対応するβ13(t)は、次式(24)のようになる。すなわち、
β13(t)=|I(t)−I(t-T/n)|+|Q(t)−Q(t-T/n)| …(24)
である。
【0127】
これらの絶対値信号β11(t)〜β13(t)を用いた復調処理は、1シンボル時間毎に、nサンプルされた受信ベースバンド信号を用い、シンボル周期の1/nで変化する絶対値信号β11(t)〜β13(t)を式(15)に適用することによって実現することができる。
【0128】
また、上述した実施の形態1では、平均値M[Δβ3(tb)×(−1)i]を用いているが、平均値M[Δβ3(ta)]を用いてもよいのは言うまでもない。
【0129】
さらに、上述した実施の形態1では、QPSK変調方式を用いた通信方式における受信装置の構成を例にあげて説明したが、これに限らず、ベースバンド信号の変化量が平均的にナイキスト点時刻近傍で緩慢となり、ナイキスト点からシンボル周期の1/2時間後に急峻となる特性を有する変調方式、たとえば、BPSK変調方式、π/4シフトQPSK変調方式、FSK変調方式等を用いた受信装置に適用できる。
【0130】
また、上述した実施の形態1では、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiの全てのビットを用いることを前提として説明したが、これに限らず、各データ系列Ii,Qiのそれぞれ上位nビット(n≧1)のみを用いて処理を行うようにしてもよい。これによれば、ほぼ同等の精度で高速処理を達成することができる。
【0131】
実施の形態2.
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態1では、平均化部22が位相検出データ系列γiを平均化することによって、絶対値信号β3(t)の位相逆転現象を確率的に除去するようにしていたが、この実施の形態2では、この位相逆転現象を検出し、この位相逆転現象が生じたときの絶対値信号β3(t)を除去する重み付けを行って位相逆転現象を確実に除去するようにしている。
【0132】
第10図は、この発明の実施の形態2である振幅差分型位相検出部21の構成を示すブロック図であり、この振幅差分型位相検出部21の構成以外の構成部分は、第1図に示した実施の形態1の構成と同一の構成である。
【0133】
第10図において、同相振幅変動量算出部41aは、A/D変換器11aによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ii−Ii-1|を算出し、直交振幅変動量算出部41bは、A/D変換器11bによってサンプリングされた直交振幅成分データ系列Qiの変動量の絶対値である直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|を算出する。なお、iは、自然数であり、i=1,2,3,…である。また、サンプリング周期は、1シンボル周期の1/2である。
【0134】
重み付け部44aは、まず同相振幅成分データ系列Iiをもとに次式(25)に示す同相振幅シンボル時間変動量δIiを算出する。すなわち、
δIi=|Ii−Ii-2| i=0,2,4,…のとき
δIi=δIi-1 i=1,3,5,…のとき …(25)
である。一方、重み付け部44bは、直交振幅成分データ系列Qiをもとに次式(26)に示す直交振幅シンボル時間変動量δQiを算出する。すなわち、
δQi=|Qi−Qi-2| i=0,2,4,…のとき
δQi=δQi-1 i=1,3,5,…のとき …(26)
である。
【0135】
そして、重み付け部44aは、同相振幅変動量算出部41aが算出した同相振幅変動量|Ii−Ii-1|に同相振幅シンボル時間変動量δIiを乗算する重み付けを行い、重み付け部44bは、直交振幅変動量算出部41bが算出した同相振幅変動量|Qi−Qi-1|に直交振幅シンボル時間変動量δQiを乗算する重み付けを行う。
【0136】
合成振幅変動量算出部42は、重み付け部44a,44bによってそれぞれ重み付けされた同相振幅変動量δIi×|Ii−Ii-1|と直交振幅変動量δQi×|Qi−Qi-1|とを加算し、次式(27)に示す合成振幅変動量β23iを算出する。すなわち、
β23i=δIi×|Ii−Ii-1|+δQi×|Qi−Qi-1|
…(27)
である。この合成振幅変動量β23iのデータ系列は、実施の形態1で示した合成振幅変動量β3iのデータ系列に対し、1シンボル間で信号遷移が生じない場合にはδIiあるいはδQiが0となり、信号遷移しないときの同相振幅変動量|Ii−Ii-1|あるいは直交振幅変動量|Qi−Qi-1|は、結果として除去されることになる。
【0137】
差分値算出部43は、この合成振幅変動量β23iに対して式(19)を用いて位相検出データ系列γiを算出し、平均化部22に出力する。従って、位相逆転現象が生じた場合の情報は、平均化部22の平均処理には加味されないことになり、結果として、低位相ジッタを実現することができる。
【0138】
ここで、実施の形態1における合成振幅変動量β1iのデータ系列に対応した処理を行う場合には、合成振幅変動量算出部42は、次式(28)に示す合成振幅変動量β21iを算出する。すなわち、
β21i=
(δIi×|Ii−Ii-1|2+δQi×|Qi−Qi-1|2)1/2
…(28)
である。
【0139】
同様に、実施の形態1における合成振幅変動量β2iのデータ系列に対応した処理を行う場合には、合成振幅変動量算出部42は、次式(29)に示す合成振幅変動量β22iを算出する。すなわち、
β22i=δIi×|Ii−Ii-1|2+δQi×|Qi−Qi-1|2
…(29)
である。
【0140】
また、同相振幅シンボル時間変動量δIiおよび直交振幅シンボル時間変動量δQiの演算処理を簡易化し、処理回路規模を小さく、あるいは高速処理を実現するようにしてもよい。すなわち、同相振幅シンボル時間変動量δIiを2値判定したデータ系列IHi(i=0,1,2,3,…)を次式(30)のように定義する。すなわち、
IHi=1 (δIi≧εのとき)
IHi=0 (δIi<εのとき) …(30)
とし、直交振幅シンボル時間変動量δQiを2値判定したデータ系列QHi(i=0,1,2,3,…)を次式(31)のように定義する。すなわち、
QHi=1 (δQi≧εのとき)
QHi=0 (δQi<εのとき) …(31)
とする。但し、εは、予め設定される閾値である。データ系列IHi,QHiが0であることは、1シンボル間で信号遷移がなかった場合であり、位相逆転現象が生じていることを意味する。
【0141】
このデータ系列IHi,QHiを用いて各重み付け部44a,44bは、同相振幅変動量|Ii−Ii-1|および直交振幅変動量|Qi−Qi-1|を重み付けする。式(27)〜(29)に対応させると、次式(32)〜(34)に示す合成振幅変動量β31i〜β33iが算出される。すなわち、
β33i=IHi×|Ii−Ii-1|+QHi×|Qi−Qi-1|
…(32)
β31i=
(IHi×|Ii−Ii-1|2+QHi×|Qi−Qi-1|2)1/2
…(33)
β32i=IHi×|Ii−Ii-1|2+QHi×|Qi−Qi-1|2
…(34)
となる。このような2値判定したデータ系列IHi,QHiによって重み付けした合成振幅変動量β31i〜β33iを用いて、差分値算出部43は位相検出データ系列γiを生成し、平均化部22に出力する。
【0142】
つぎに、第11図に示すフローチャートを参照して、復号器3における一連の復号処理手順について説明する。まず、A/D変換器11a,11bは周波数変換部2から入力されるベースバンド信号の同相成分および直交成分をサンプリングクロックSKによってサンプリングし、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiと直交振幅成分データ系列Qiとをタイミング再生部12およびナイキストデータ抽出部13に出力する(ステップS41)。そして、その後タイミング再生部12によるタイミング再生処理(ステップS51〜S58)とデータ判定処理(ステップS61〜S65)とが並行処理される。
【0143】
タイミング再生処理(ステップS51〜S58)では、まず同相振幅変動量算出部41aが同相振幅変動量|Ii−Ii-1|を算出し、直交振幅変動量算出部41bが直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|を算出する(ステップS51)。その後、重み付け部44a,44bは、同相振幅シンボル時間変動量δIi,直交振幅シンボル時間変動量δQiをそれぞれ同相振幅変動量|Ii−Ii-1|,直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|に重み付けを行う(ステップS52)。さらに、合成振幅変動量算出部42は、重み付けされた同相振幅変動量δIi×|Ii−Ii-1|と直交振幅変動量δQi×|Qi−Qi-1|とを加算した合成振幅変動量β23iを算出する(ステップS53)。その後、差分値算出部43は、この合成振幅変動量β23iから位相検出データ系列γiを算出する(ステップS54)。そして、平均化部22は、位相検出データ系列γiの平均値を求め、この平均値に基づいた位相制御の制御信号Viを位相制御部23に出力し(ステップS55)、位相制御部23は、制御信号ViをもとにサンプリングクロックSKの位相制御を行う(ステップS56)。この位相制御されたサンプリングクロックSKは、ベースバンド信号内の後続するデータ系列をサンプリングするA/D変換器11a,11bのサンプリングクロックSKとして用いられ、タイミング同期が確立される。その後、2分周器24は、位相制御されたサンプリングクロックSKを2分周し(ステップS57)、再生シンボルクロックRCとしてナイキストデータ抽出部13および復号器4に出力し(ステップS58)、上述した処理を繰り返す。
【0144】
一方、タイミング再生処理(ステップS51〜S58)に並行して、データ判定処理(ステップS61〜S65)が行われる。すなわち、ナイキストデータ抽出部13は、再生シンボルクロックRCのタイミングで同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiのナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出し(ステップS61)、オフセット検出部14は、このナイキスト点のデータ系列Ij,Qjの値をもとに、同相成分のDCオフセット成分IDaおよび直交成分のDCオフセット成分IDbをオフセット補正部15に出力する(ステップS62)。その後、オフセット補正部15は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部14で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部16に出力する(ステップS63)。さらに、データ判定部16は、オフセット補正部15によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い(ステップS64)、復調データとして復号器4に出力し(ステップS35)、上述した処理を繰り返す。
【0145】
上述した復調処理は、復調処理の開始時点において、サンプリングクロックSKおよび再生シンボルクロックRCがベースバンド信号にタイミング位相同期が確立したものではないが、上述したステップS51〜S58の処理を繰り返すことによってタイミング位相同期が確立し、このタイミング位相同期が確立した段階でデータ判定処理(ステップS61〜S65)による復調データの出力も正常となる。
【0146】
なお、1シンボル間の信号遷移が発生しない場合があるのは、データ部、すなわちランダムパターン受信時のみであるので、このランダムパターン受信時のみに上述した重み付け処理を行うようにするとよい。すなわち、ステップS52における重み付け処理を行うか否かの判断ステップを加え、プリアンブル受信時には、重み付け処理を行わず、ランダムパターン受信時には、重み付け処理を行うようにする。
【0147】
この実施の形態2によれば、実施の形態1の作用効果に加えて、ランダムパターン受信時における位相ジッタをさらに低減することができ、タイミング誤差によるBERの劣化をさらに低減した復調処理を行うことができる。
【0148】
実施の形態3.
つぎに、実施の形態3について説明する。実施の形態2では、位相逆転現象が生じる絶対値信号β3(t)を重み付け部44a,44bの重み付けによって削除するようにしているが、この実施の形態3では、位相逆転現象が生じた場合における絶対値信号β3(t)の値を有効利用するようにしている。
【0149】
第12図は、この発明の実施の形態3である振幅差分型位相検出部21の構成を示すブロック図であり、この振幅差分型位相検出部21の構成以外の構成部分は、第1図に示した実施の形態1の構成と同一の構成である。
【0150】
第12図において、同相振幅変動量算出部51aは、A/D変換器11aによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ii−Ii-1|を算出し、直交振幅変動量算出部51bは、A/D変換器11bによってサンプリングされた直交振幅成分データ系列Qiの変動量の絶対値である直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|を算出する。なお、iは、自然数であり、i=1,2,3,…である。また、サンプリング周期は、1シンボル周期の1/2である。
【0151】
合成振幅変動量算出部52は、同相振幅変動量算出部51aが算出した同相振幅変動量|Ii −Ii-1|と直交振幅変動量算出部51bが算出した直交振幅変動量|Qi−Qi-1|とを加算し、式(18)に示した合成振幅変動量β3iを算出する。
【0152】
差分値算出部53は、この合成振幅変動量β3iのデータ系列をもとに、式(19)に示した位相検出データ系列γi=(β3i−β3i-1)×(−1)iを算出し、反転出力部56に出力する。
【0153】
一方、信号遷移量算出部54aは、重み付け部44aと同じように、同相振幅成分データ系列Iiをもとに式(25)に示した同相振幅シンボル時間変動量δIiを算出し、算出結果を遷移判定部55に出力する。また、信号遷移量算出部54bは、重み付け部44bと同じように、直交振幅成分データ系列Qiをもとに式(26)に示した直交振幅シンボル時間変動量δQiを算出し、算出結果を遷移判定部55に出力する。
【0154】
遷移判定部55は、信号遷移量算出部54a,54bから出力された同相振幅シンボル時間変動量δIiと直交振幅シンボル時間変動量δQiとをもとに、次式(35)に示す遷移判定を行う。すなわち、
Hi=1 δIi≧εまたはδQi≧εのとき
Hi=0 δIi<εかつδQi<εのとき …(35)
である。但し、i=0,1,2,3,…であり、εは、予め設定される閾値である。判定結果がHi=1のときは、信号遷移が有る場合であり、位相逆転現象は生じていない。また、判定結果がHi=0のときは、信号遷移が無い場合であり、位相逆転現象が生じている。
【0155】
反転出力部56は、遷移判定部55による判定結果をもとに、次式(36)に示す位相検出データ系列γiの反転/非反転出力を行う。すなわち、
γi=(β3i−β3i-1)×(−1)i Hi=1のとき
γi=−(β3i−β3i-1)×(−1)i Hi=0のとき …(36)
である。これにより、反転出力部56から出力される位相検出データ系列γiは常にシンボル周波数成分s(t)を含んだ出力となる。
【0156】
なお、合成振幅変動量算出部52は、式(20)に示した合成振幅変動量β1iを算出してもよいし、式(21)に示した合成振幅変動量β2iを算出するようにしてもよい。
【0157】
つぎに、第13図に示すフローチャートを参照して、復号器3における一連の復号処理手順について説明する。まず、A/D変換器11a,11bは周波数変換部2から入力されるベースバンド信号の同相成分および直交成分をサンプリングクロックSKによってサンプリングし、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Iiと直交振幅成分データ系列Qiとをタイミング再生部12およびナイキストデータ抽出部13に出力する(ステップS71)。その後、タイミング再生部12によるタイミング再生処理(ステップS81〜S89)とデータ判定処理(ステップS91〜S95)とが並行処理される。
【0158】
タイミング再生処理(ステップS81〜S89)では、まず同相振幅変動量算出部51aが同相振幅変動量|Ii−Ii-1|を算出し、直交振幅変動量算出部51bが直交振幅成分変動量|Qi−Qi-1|を算出する(ステップS81)。さらに、合成振幅変動量算出部52は、同相振幅変動量|Ii−Ii-1|と直交振幅変動量|Qi−Qi-1|とを加算した合成振幅変動量β3iを算出する(ステップS82)。さらに、差分値算出部53は、この合成振幅変動量β3iから位相検出データ系列γiを算出する(ステップS83)。
【0159】
一方、信号遷移量算出部54a,54bは、同相振幅シンボル時間変動量δIi,直交振幅シンボル時間変動量δQiをそれぞれ算出し、その結果をもとに遷移判定部55は、信号遷移が無いか否かを判断する(ステップS84)。信号遷移が無い場合(ステップS84,YES)には、反転出力部56は、位相検出データ系列γiを反転出力して平均化部22に出力し(ステップS85)、信号遷移がある場合(ステップS84,NO)には、反転出力部56は、位相検出データ系列γiを反転出力せずにそのまま平均化部22に出力する。
【0160】
その後、平均化部22は、位相検出データ系列γiの平均値を求め、この平均値に基づいた位相制御の制御信号Viを位相制御部23に出力し(ステップS86)、位相制御部23は、制御信号ViをもとにサンプリングクロックSKの位相制御を行う(ステップS87)。この位相制御されたサンプリングクロックSKは、ベースバンド信号内の後続するデータ系列をサンプリングするA/D変換器11a,11bのサンプリングクロックSKとして用いられ、タイミング同期が確立される。その後、2分周器24は、位相制御されたサンプリングクロックSKを2分周し(ステップS88)、再生シンボルクロックRCとしてナイキストデータ抽出部13および復号器4に出力し(ステップS89)、上述した処理を繰り返す。
【0161】
一方、タイミング再生処理(ステップS81〜S89)に並行して、データ判定処理(ステップS91〜S95)が行われる。すなわち、ナイキストデータ抽出部13は、再生シンボルクロックRCのタイミングで同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiのナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出し(ステップS91)、オフセット検出部14は、このナイキスト点のデータ系列Ij,Qjの値をもとに、同相成分のDCオフセット成分IDaおよび直交成分のDCオフセット成分IDbをオフセット補正部15に出力する(ステップS92)。その後、オフセット補正部15は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部14で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部16に出力する(ステップS93)。さらに、データ判定部16は、オフセット補正部15によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い(ステップS94)、復調データとして復号器4に出力し(ステップS95)、上述した処理を繰り返す。
【0162】
上述した復調処理は、復調処理の開始時点において、サンプリングクロックSKおよび再生シンボルクロックRCがベースバンド信号にタイミング位相同期が確立したものではないが、上述したステップS51〜S58の処理を繰り返すことによってタイミング位相同期が確立し、このタイミング位相同期が確立した段階でデータ判定処理(ステップS91〜S95)による復調データの出力も正常となる。
【0163】
なお、1シンボル間の信号遷移が発生しない場合があるのは、データ部、すなわちランダムパターン受信時のみであるので、このランダムパターン受信時のみに、上述した遷移判定を行うようにしてもよい。
【0164】
この実施の形態3によれば、位相逆転現象が生じた場合に、位相検出データ系列γiを反転出力するようにしているので、実施の形態1および2の作用効果に加えて、全ての位相検出データ系列γiをタイミング位相制御に用いることができ、タイミング位相誤差によるBERの劣化をさらに低減することができる。
【0165】
実施の形態4.
つぎに、実施の形態4について説明する。実施の形態1〜3は、いずれも位相制御部23がフィードバック制御によってサンプリングクロックSKのタイミング位相を制御していたが、この実施の形態4では、タイミング位相制御および再生シンボルクロックの生成を、自走クロックを用いたフィードフォワード制御によって行うようにしている。
【0166】
第14図は、この発明の実施の形態4である復調器を有する受信装置の全体構成を示す図であり、特にこの受信装置に採用される復調器の詳細構成を示している。
【0167】
第14図において、アンテナ1は、QPSK変調信号を含むRF信号を受信し、周波数変換部2は、このRF信号を増幅、帯域制限、周波数変換等を行って同相成分と直交成分とのベースバンド信号を復調器3に出力する。
【0168】
復調器3のA/D変換器61a,61bは、それぞれ自走クロック生成部67が生成する4倍クロックSK4をもとに、時刻t=τ+kT/4において、ベースバンド信号の同相成分と直交成分とをサンプリングし、このサンプリングした同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkをタイミング再生部62およびナイキストデータ抽出部63に出力する。ここで、Tはシンボル周期、τは、タイミング誤差で、−T/2≦τ≦T/2の範囲の値であり、kは、自然数で、i=1,2,3…の値をもつ。なお、A/D変換器61a,61bにおけるサンプリングは、4倍クロックSK4の立ち上がりエッジで行われる。また、A/D変換器61a,61bによるサンプリングは、自走の4倍クロックSK4によって行われるため、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkは必ずしもナイキスト点時刻におけるデータが含まれているとは限らない。この点、実施の形態1〜3では、タイミング再生処理によってタイミング位相同期が確立した後の同相振幅成分データ系列Iiおよび直交振幅成分データ系列Qiは、ナイキスト点時刻でサンプリングされたデータ系列となっている。
【0169】
タイミング再生部62は、A/D変換器61a,61bから出力された同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkと、自走クロック生成部67から発生した4倍クロックSK4を4分周した自走シンボルクロックSK1とのタイミング位相差を算出し、このタイミング位相差を用いた再生シンボルクロックRCを生成する。
【0170】
ナイキストデータ抽出部63は、ナイキスト点時刻におけるデータ系列Ij,Qjを、4倍クロックSK4によってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkと、タイミング再生部62が出力する再生シンボルクロックRCとを用いて補間し、出力する。但し、jは自然数であり、j=1,2,3,…である。
【0171】
このナイキストデータ抽出部63による補間は、まず再生シンボルクロックRCの立ち上がりエッジの時刻をtaとすると、同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkのうち、次式(37)を満足する自然数mに対応するデータIm,Qm,Im+1,Qm+1を選択する。すなわち、
τ+mT/4≦ta<τ+(m+1)×T/4 …(37)
を満たすデータIm,Qm,Im+1,Qm+1を選択する。
【0172】
ナイキストデータ抽出部63は、その後、データIm,Qm,Im+1,Qm+1と、再生シンボルクロックRCの立ち上がり時刻taとをもとに、ナイキスト点時刻におけるデータ系列Ij,Qjを、補間処理によって求める。たとえば、1次補間を行う場合には、次式(38)に示す補間処理を行う。すなわち、
Ij=Im+(Im+1−Im)×(ta−τ+mT/4)/(T/4)
Qj=Qm+(Qm+1−Qm)×(ta−τ+mT/4)/(T/4)
…(38)
とする1次補間を行って、ナイキスト点時刻におけるデータ系列Ij,Qjを求める。
【0173】
オフセット検出部64は、抽出されたナイキスト点のデータ系列Ij,QjからそれぞれDCオフセット成分IDa,QDaを検出し、オフセット補正部65に出力する。このDCオフセット成分IDa,QDaは、ローパスフィルタを用いて検出することができ、たとえば、移動平均回路によって実現することができる。この移動平均回路によってオフセット検出部64を構成する場合には、同相および直交の移動平均値がそれぞれDCオフセット成分IDa,QDaとなる。
【0174】
オフセット補正部65は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部64で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部66に出力する。
【0175】
データ判定部66は、オフセット補正部65によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い、復調データDAとして復号器4に出力し、復号器4は、この復調データDAをもとに復号処理を行う。なお、データ判定部66のデータ判定は、変調方式に対応した同期検波方式あるいは遅延検波方式によって行う。
【0176】
つぎに、第15図および第16図を参照してタイミング再生部62について説明する。第14図に示すタイミング再生部62は、振幅差分型位相検出部71、平均化部72、クロック生成部73、および4分周器74を有する。
【0177】
4分周器74は、4倍クロック生成部67から出力される4倍クロックSK4を4分周し、自走シンボルクロックSK1として振幅差分型位相検出部71およびクロック生成部73に出力する。
【0178】
振幅差分型位相検出部71は、第15図に示すように、同期振幅変動量算出部81a、直交振幅変動量算出部81b、合成振幅変動量算出部82、π/2移相器83、乗算器84a,84bを有する。
【0179】
第15図において、同相振幅変動量算出部81aは、A/D変換器61aによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ik−Ik-2|を算出し、直交振幅変動量算出部81bは、A/D変換器61bによってサンプリングされた直交振幅成分データ系列Qkの変動量の絶対値である直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|を算出する。なお、kは、自然数であり、k=1,2,3,…である。また、サンプリング周期は、1シンボル周期の1/4である。
【0180】
合成振幅変動量算出部82は、同相振幅変動量|Ik−Ik-2|と直交振幅変動量|Qk−Qk-2|とを加算し、次式(39)に示す合成振幅変動量β3kを算出する。すなわち、
β3k=|Ii−Ik-2|+|Qk−Qk-2| …(39)
である。
【0181】
一方、π/2移相器83は、自走シンボルクロックSK1のシンボル複素周波数成分のデータ系列SCkを次式(40)に示すように、余弦部分と正弦部分とに分離する。すなわち、
SCk=cos2πfs(kT/4)+sin2πfs(kT/4) …(40)
である。
【0182】
乗算器84a,84bは、次式(41)に示す乗算をそれぞれ行い、乗算後のデータ系列dCk,dSkをそれぞれ出力する。この乗算を行うのは自走シンボルクロックSK1と合成振幅変動量β3kとの相関値を求め、この相関値から、自走シンボルクロックSK1を基準としたタイミング誤差τを検出し、このタイミング誤差τを打ち消した再生シンボルクロックRCを再生するためである。
【0183】
dCk=β3k×cos2πfs(kT/4)
dSk=β3k×sin2πfs(kT/4) …(41)
【0184】
この式(41)における「cos2πfs(kT/4)」の値は、k=1,2,3,…であるため、「0,−1,0,1,0,−1,0,1,…」という単純な値となり、また、「sin2πfs(kT/4)」の値は、k=1,2,3,…であるため、「1,0,−1,0,1,0,−1,0,…」という単純な値となるので、式(41)の演算は単純で高速に行うことができる。
【0185】
なお、合成振幅変動量β3kは、実施の形態1〜3と同様に、式(20)の合成振幅変動量β1kとしてもよいし、式(21)の合成振幅変動量β2kとしてもよい。
【0186】
平均化部72は、乗算後のデータ系列dCkの各平均値あるいは累積値M[dCk]を求めてクロック生成部73に出力するとともに、データ系列dSkの各平均値あるいは累積値M[dSk]を求めてクロック生成部73に出力する。この平均値の算出には、たとえば、移動平均フィルタ(FIRフィルタ)、無限インパルス型フィルタ(IIRフィルタ)等を用いることができる。この平均化部72のフィルタの時定数(移動平均フィルタで構成する場合には、移動平均の段数)を小さくすることで、プリアンブル受信中における高速なタイミング位相引き込みを実現することができる。また、逆に平均化部72のフィルタの時定数(移動平均フィルタで構成する場合には、移動平均の段数)を大きくすることで、データ部、すなわちランダムパターン受信中において低移相ジッタとすることができる。なお、この時定数あるいは段数の切替時期は、当初プリアンブル受信を行うため、初期設定として時定数を小さく、あるいは段数を小さく設定しておき、タイミング位相同期が確立したランダムパターン受信時に時定数を大きくし、あるいは段数を大きくすればよい。
【0187】
クロック生成部73は、第16図に示すように、タイミング位相差算出部91と、判定部93を含む移相部92とを有する。タイミング位相差算出部91は、平均化部72から入力される平均値M[dCk],M[dSk]をもとに、次式(42)を用いてタイミング位相差Δθを算出し、移相部92に出力する。すなわち、
Δθ=tan-1(M[dCk]/M[dSk]) …(42)
である。
【0188】
移相部92は、自走シンボルクロックSK1をΔθ移相させた、ここではΔθ遅らせた信号を再生シンボルクロックRCとして、ナイキストデータ抽出部63および復号器4に出力する。
【0189】
ここで、自走シンボルクロックSK1をΔθ移相させる場合におけるクロック位相のジャンプを発生させないために、次式(43)に示す直交変調処理を行って位相処理を行う。すなわち、移相される再生シンボルクロックのシンボル複素周波数成分をRS(t)とすると、
RS(t)=cos(−Δθ)×cos2πfst+sin(−Δθ)×sin2πfst
…(43)
となる。そこで、判定部93は、RS(t)≧1である場合には論理「1」とし、RS(t)<1である場合には論理「0」とする2値判定を行って、論理「1」のときにクロックを発生させることによってクロック移相のジャンプが発生しないようにしている。
【0190】
つぎに、第17図に示すフローチャートを参照して、復号器3における一連の復号処理手順について説明する。まず、A/D変換器61a,61bは周波数変換部2から入力されるベースバンド信号の同相成分および直交成分を自走の4倍クロックSK4によってサンプリングし、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikと直交振幅成分データ系列Qkとをタイミング再生部62出力する(ステップS101)。その後タイミング再生部62によるタイミング再生処理(ステップS111〜S118)とデータ判定処理(ステップS121〜S125)とが並行処理される。
【0191】
タイミング再生処理(ステップS111〜S118)では、まず4分周器74が4倍クロックSK4を4分周し、この4分周した自走シンボルクロックSK1を振幅差分型移相検出部71およびクロック生成部73に出力する(ステップS111)。その後、同相振幅変動量算出部81aが同相振幅変動量|Ik−Ik-2|を算出し、直交振幅変動量算出部81bが直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|を算出する(ステップS112)。さらに、合成振幅変動量算出部82は、同相振幅変動量|Ik−Ik-2|と直交振幅変動量|Qk−Qk-2|とを加算した合成振幅変動量β3kを算出する(ステップS113)。その後、乗算器84a,84bは、自走シンボルクロックSK1を基準として、この合成振幅変動量β3kが含むシンボル周波数のタイミング誤差であるデータ系列dCk,dSkを算出して、平均化部72に出力する(ステップ114)。
【0192】
その後、平均化部72は、入力されたデータ系列dCk,dSkの平均値M[dCk],M[dSk]を算出してクロック生成部73に出力する(ステップS115)。クロック生成部73のタイミング位相差算出部91は、平均値M[dCk],M[dSk]をもとにタイミング位相差Δθを算出する(ステップS116)。移相部92は、タイミング位相差Δθをもとに自走シンボルクロックSK1を移相し(ステップS117)、再生シンボルクロックRCとして、ナイキストデータ抽出部63および復号器4に出力し(ステップS118)、上述した処理を繰り返す。
【0193】
一方、タイミング再生処理(ステップS111〜S118)に並行して、データ判定処理(ステップS121〜S125)が行われる。すなわち、ナイキストデータ抽出部13は、同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkと、再生シンボルクロックRCとをもとに、補間処理したナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出し(ステップS121)、オフセット検出部64は、このナイキスト点のデータ系列Ij,Qjの値をもとに、同相成分のDCオフセット成分IDaおよび直交成分のDCオフセット成分IDbをオフセット補正部65に出力する(ステップS122)。その後、オフセット補正部65は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部64で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部66に出力する(ステップS123)。さらに、データ判定部66は、オフセット補正部65によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い(ステップS124)、復調データDAとして復号器4に出力し(ステップS125)、上述した処理を繰り返す。
【0194】
なお、上述した実施の形態4では、ベースバンド信号がA/D変換器61a,61bの入力レンジ以内であることを前提として述べたが、これに限らず、周波数変換部2がリミタ増幅器等によって一定振幅に増幅されたベースバンド信号を出力する場合においても、同様に適用することができる。
【0195】
また、上述した実施の形態4では、合成振幅変動量β1k〜β3kを式(11)〜(13)に示すように、1/2シンボル時間間隔の差分の絶対値から求めるようにしているが、式(22)〜(24)に示すように、1/nシンボル時間間隔の差分の絶対値から求めるようにしてもよい。なお、nは2以上の自然数である。
【0196】
さらに、上述した実施の形態4では、QPSK変調方式を用いた通信方式における受信装置の構成を例にあげて説明したが、これに限らず、ベースバンド信号の変化量が平均的にナイキスト点時刻近傍で緩慢となり、ナイキスト点からシンボル周期の1/2時間後に急峻となる特性を有する変調方式、たとえばBPSK変調方式、π/4シフトQPSK変調方式、FSK変調方式等を用いた受信装置に適用できる。
【0197】
また、上述した実施の形態4では、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkの全てのビットを用いることを前提として説明したが、これに限らず、各データ系列Ik,Qkのそれぞれ上位nビット(n≧1)のみを用いて処理を行うようにしてもよい。これによれば、ほぼ同等の精度で高速処理を達成することができる。
【0198】
この実施の形態4によれば、タイミング再生部62がベースバンド信号の同相振幅成分I(t)および直交振幅成分Q(t)の振幅差分値の絶対値情報をもとに、シンボル周波数成分s(t)を含む絶対値信号β3(t)あるいはこれに等価な絶対値信号β1(t),β2(t)を求めてタイミング位相検出を行うようにしているので、ベースバンド信号内のDCオフセットの有無およびベースバンド信号の振幅制限の有無にかかわらず、プリアンブル受信時における高速タイミング位相引き込みとデータ部でのランダムパターン受信時における低位相ジッタとを実現することができる。
【0199】
また、簡単な加減算処理のみによって求まる絶対値信号β3(t)と自走シンボルクロックSK1との相関演算によってタイミング誤差を推定することができるため、第22図あるいは第26図に示した座標変換部110のような演算規模の大きな処理を行わなくて済み、復調器、あるいはこれを用いた受信装置の小型軽量化を促進することができる。
【0200】
さらに、実施の形態1〜3と異なり、フィードフォワード制御によって再生シンボルクロックを再生するようにしているので、初期のタイミング位相がどのような値であっても、タイミング位相引き込みに要する時間は、平均化部72におけるフィルタの時定数(移動平均フィルタで構成する場合にはフィルタ段数)で決定され、安定したタイミング位相引き込み動作を実現することができる。
【0201】
また、復調器内部では、タイミング位相引き込みの処理とDCオフセット除去の処理とを並行して行うようにしているので、ベースバンド信号内にDCオフセットが付加された場合であっても、復調処理が正常に行われるまでの時間を短縮することができ、たとえばプリアンブルデータの短縮によって結果的に伝送効率を向上させることができる。
【0202】
実施の形態5.
つぎに、実施の形態5について説明する。実施の形態4では、平均化部22が乗算後のデータ系列dCk,dSkを平均化することによって、実施の形態1と同様に合成振幅変動量β3kの移相逆転現象を確率的に除去するようにしていたが、この実施の形態5では、実施の形態2と同様に、この位相逆転現象を検出し、この位相逆転現象が生じたときの絶対値信号β3kを除去する重み付けを行って、位相逆転現象を確実に除去するようにしている。
【0203】
第18図は、この発明の実施の形態5である振幅差分型位相検出部71の構成を示すブロック図であり、この振幅差分型位相検出部71の構成以外の構成部分は、第14図に示した実施の形態4の構成と同一の構成である。
【0204】
第18図において、振幅差分型位相検出部71は、実施の形態4と同様に、同期振幅変動量算出部81a、直交振幅変動量算出部81b、合成振幅変動量算出部82、π/2移相器83、乗算器84a,84bを有するとともに、重み付け部85a,85bを有する。
【0205】
第18図において、同相振幅変動量算出部81aは、A/D変換器61aによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ik−Ik-2|を算出し、直交振幅変動量算出部81bは、A/D変換器61bによってサンプリングされた直交振幅成分データ系列Qkの変動量の絶対値である直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|を算出する。なお、kは、自然数であり、k=1,2,3,…である。また、サンプリング周期は、1シンボル周期の1/4である。
【0206】
一方、重み付け部85aは、まず同相振幅成分データ系列Ikをもとに次式(44)に示す同相振幅シンボル時間変動量δIkを算出する。すなわち、
δIk=|Ik−Ik-4| i=4,8,12,…のとき
δIk=δIk-1 i≠4,8,12,…のとき …(44)
である。また、重み付け部85bは、直交振幅成分データ系列Qkをもとに次式(45)に示す直交振幅シンボル時間変動量δQkを算出する。すなわち、
δQk=|Qk−Qk-4| i=4,8,12,…のとき
δQk=δQk-1 i≠4,8,12,…のとき …(45)
である。
【0207】
そして、重み付け部85aは、同相振幅変動量算出部81aが算出した同相振幅変動量|Ik−Ik-2|に同相振幅シンボル時間変動量δIkを乗算する重み付けを行い、重み付け部85bは、直交振幅変動量算出部81bが算出した同相振幅変動量|Qk−Qk-2|に直交振幅シンボル時間変動量δQkを乗算する重み付けを行う。
【0208】
合成振幅変動量算出部82は、重み付け部85a,85bによってそれぞれ重み付けされた同相振幅変動量δIk×|Ik−Ik-2|と直交振幅変動量δQk×|Qk−Qk-2|とを加算し、次式(46)に示す合成振幅変動量β3kを算出する。すなわち、
β3k=δIk×|Ik−Ik-2|+δQk×|Qk−Qk-2|
…(46)
である。この合成振幅変動量β3kのデータ系列は、実施の形態4で示した合成振幅変動量β3kのデータ系列に対し、1シンボル間で信号遷移が生じない場合にはδIkあるいはδQkが0となり、信号遷移しないときの同相振幅変動量|Ik−Ik-2|あるいは直交振幅変動量|Qk−Qk-2|は、結果として除去されることになる。
【0209】
乗算器84a,84bに入力される合成振幅変動量β3kには、位相逆転現象が生じたものが除去されているため、乗算による相関処理を行っても、誤ったタイミング誤差をもつデータ系列dCk,dSkとして平均化部72に出力することはなく、結果として低位相ジッタを実現することができる。
【0210】
なお、式(28),(29)に対応した次式(47),(48)に示す合成振幅変動量β1k,β2kを用いてもよい。すなわち、
β1k=(δIk×|Ik−Ik-2|2+δQk×|Qk−Qk-2|2)1/2
…(47)
β2k=δIk×|Ik−Ik-2|2+δQk×|Qk−Qk-2|2
…(48)
である。
【0211】
また、同相振幅シンボル時間変動量δIkおよび直交振幅シンボル時間変動量δQkの演算処理を簡易化し、処理回路規模を小さく、あるいは高速処理を実現するようにしてもよい。すなわち、同相振幅シンボル時間変動量δIkを2値判定したデータ系列IHk(k=1,2,3,…)を次式(49)のように定義する。すなわち、
IHk=1 (δIk≧εのとき)
IHk=0 (δIk<εのとき) …(49)
とし、直交振幅シンボル時間変動量δQkを2値判定したデータ系列QHk(k=1,2,3,…)を次式(50)のように定義する。すなわち、
QHk=1 (δQk≧εのとき)
QHk=0 (δQk<εのとき) …(50)
とする。但し、εは、予め設定される閾値である。データ系列IHk,QHkが0であることは、1シンボル間で信号遷移がなかった場合であり、位相逆転現象が生じていることを意味する。
【0212】
このデータ系列IHk,QHkを用いて各重み付け部85a,85bは、同相振幅変動量|Ik−Ik-2|および直交振幅変動量|Qk−Qk-2|を重み付けする。式(46)〜(48)に対応させると、次式(51)〜(53)に示す合成振幅変動量β31k〜β33kが算出される。すなわち、
β33i=IHi×|Ii−Ii-1|+QHi×|Qi−Qi-1|
…(51)
β31i=
(IHi×|Ii−Ii-1|2+QHi×|Qi−Qi-1|2)1/2
…(52)
β32i=IHi×|Ii−Ii-1|2+QHi×|Qi−Qi-1|2
…(53)
となる。このような2値判定したデータ系列IHk,QHkによって重み付けした合成振幅変動量β31k〜β33kを用いて、乗算器84a,84bは、データ系列dCk,dSkを生成し、平均化部72に出力する。
【0213】
つぎに、第19図に示すフローチャートを参照して、復号器3における一連の復号処理手順について説明する。まず、A/D変換器61a,61bは周波数変換部2から入力されるベースバンド信号の同相成分および直交成分を自走の4倍クロックSK4によってサンプリングし、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikと直交振幅成分データ系列Qkとをタイミング再生部62出力する(ステップS131)。その後タイミング再生部62によるタイミング再生処理(ステップS141〜S149)とデータ判定処理(ステップS151〜S155)とが並行処理される。
【0214】
タイミング再生処理(ステップS141〜S149)では、まず4分周器74が4倍クロックSK4を4分周し、この4分周した自走シンボルクロックSK1を振幅差分型移相検出部71およびクロック生成部73に出力する(ステップS141)。その後、同相振幅変動量算出部81aが同相振幅変動量|Ik−Ik-2|を算出し、直交振幅変動量算出部81bが直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|を算出する(ステップS142)。その後、重み付け部85a,85bは、同相振幅シンボル時間変動量δIk,直交振幅シンボル時間変動量δQkをそれぞれ同相振幅変動量|Ik−Ik-2|,直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|に重み付けを行う(ステップS143)。さらに、合成振幅変動量算出部82は、重み付けされた同相振幅変動量δIk×|Ik−Ik-2|と直交振幅変動量δQk×|Qk−Qk-2|とを加算した合成振幅変動量β3kを算出する(ステップS144)。その後、乗算器84a,84bは、自走シンボルクロックSK1を基準として、この合成振幅変動量β3kが含むシンボル周波数のタイミング誤差をもつデータ系列dCk,dSkを算出して、平均化部72に出力する(ステップ145)。
【0215】
その後、平均化部72は、入力されたデータ系列dCk,dSkの平均値M[dCk],M[dSk]を算出してクロック生成部73に出力する(ステップS146)。クロック生成部73のタイミング位相差算出部91は、平均値M[dCk],M[dSk]をもとにタイミング位相差Δθを算出する(ステップS147)。移相部92は、タイミング位相差Δθをもとに自走シンボルクロックSK1を移相し(ステップS148)、再生シンボルクロックRCとして、ナイキストデータ抽出部63および復号器4に出力し(ステップS149)、上述した処理を繰り返す。
【0216】
一方、タイミング再生処理(ステップS141〜S149)に並行して、データ判定処理(ステップS151〜S155)が行われる。すなわち、ナイキストデータ抽出部13は、同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkと、再生シンボルクロックRCとをもとに、補間処理したナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出し(ステップS151)、オフセット検出部64は、このナイキスト点のデータ系列Ij,Qjの値をもとに、同相成分のDCオフセット成分IDaおよび直交成分のDCオフセット成分IDbをオフセット補正部65に出力する(ステップS152)。その後、オフセット補正部65は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部64で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部66に出力する(ステップS153)。さらに、データ判定部66は、オフセット補正部65によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い(ステップS154)、復調データDAとして復号器4に出力し(ステップS155)、上述した処理を繰り返す。
【0217】
なお、1シンボル間の信号遷移が発生しない場合があるのは、データ部、すなわちランダムパターン受信時のみであるので、このランダムパターン受信時のみに上述した重み付け処理を行うようにするとよい。すなわち、ステップS143における重み付け処理を行うか否かの判断ステップを加え、プリアンブル受信時には、重み付け処理を行わず、ランダムパターン受信時には重み付け処理を行うようにする。
【0218】
この実施の形態5によれば、実施の形態4の作用効果に加えて、ランダムパターン受信時における位相ジッタをさらに低減することができ、タイミング誤差によるBERの劣化をさらに低減した復調処理を行うことができる。
【0219】
実施の形態6.
つぎに、実施の形態6について説明する。実施の形態5では、位相逆転現象が生じる合成振幅変動量β3kを重み付け部85a,85bの重み付けによって削除するようにしているが、この実施の形態6では、実施の形態3と同様に、位相逆転現象が生じた場合における合成振幅変動量β3kの値を有効利用するようにしている。
【0220】
第20図は、この発明の実施の形態6である振幅差分型位相検出部71の構成を示すブロック図であり、この振幅差分型位相検出部71の構成以外の構成部分は、第14図に示した実施の形態4の構成と同一の構成である。
【0221】
第20図において、振幅差分型位相検出部71は、実施の形態4と同様に、同期振幅変動量算出部81a、直交振幅変動量算出部81b、合成振幅変動量算出部82、π/2移相器83、乗算器84a,84bを有するとともに、信号遷移量算出部86a,86b、遷移判定部87、および反転部88を有する。
【0222】
第20図において、同相振幅変動量算出部81aは、A/D変換器61aによってサンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikの変動量の絶対値である同相振幅変動量|Ik−Ik-2|を算出し、直交振幅変動量算出部81bは、A/D変換器61bによってサンプリングされた直交振幅成分データ系列Qkの変動量の絶対値である直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|を算出する。なお、kは、自然数であり、k=1,2,3,…である。また、サンプリング周期は、1シンボル周期の1/4である。
【0223】
さらに、合成振幅変動量算出部82は、同相振幅変動量|Ik−Ik-2|と直交振幅変動量|Qk−Qk-2|とを加算した合成振幅変動量β3kを算出し、乗算器84a,84bに出力する。
【0224】
一方、信号遷移量算出部86aは、まず同相振幅成分データ系列Ikをもとに式(44)に示した同相振幅シンボル時間変動量δIkを算出し、算出結果を遷移判定部87に出力する。また、信号遷移量算出部86bは、直交振幅成分データ系列Qkをもとに式(45)に示した直交振幅シンボル時間変動量δQkを算出し、遷移判定部87に出力する。
【0225】
遷移判定部87は、信号遷移量算出部86a,86bから出力された同相振幅シンボル時間変動量δIkと直交振幅シンボル時間変動量δQkとをもとに、次式(54)に示す遷移判定を行う。すなわち、
Hk=1 δIk≧εまたはδQk≧εのとき
Hk=0 δIk<εかつδQk<εのとき …(54)
である。但し、k=1,2,3,…であり、εは、予め設定される閾値である。判定結果がHk=1のときは、信号遷移が有る場合であり、位相逆転現象は生じていない。また、判定結果がHk=0のときは、信号遷移が無い場合であり、位相逆転現象が生じている。遷移判定部87は、この判定結果を反転部88に出力する。
【0226】
反転部56は、遷移判定部55による判定結果がHk=1のときは、式(41)によってそのまま乗算後のデータ系列dCk,dSkを平均化部72に出力し、判定結果がHk=0のときは、次式(55)に示す位相反転されたデータ系列dCk,dSkを平均化部72に出力する。
【0227】
dCk=β3k×(−cos2πfs(kT/4))
dSk=β3k×(−sin2πfs(kT/4)) …(55)
【0228】
この式(55)における「−cos2πfs(kT/4)」の値は、k=1,2,3,…であるため、「0,1,0,−1,0,1,0,−1,…」という単純な値となり、また、「−sin2πfs(kT/4)」の値は、k=1,2,3,…であるため、「−1,0,1,0,−1,0,1,0,…」という単純な値となるので、式(55)の演算は式(41)と同様に単純で高速に行うことができる。
【0229】
なお、合成振幅変動量算出部82は、合成振幅変動量β1kを算出してもよいし、合成振幅変動量β2kを算出するようにしてもよい。
【0230】
つぎに、第21図に示すフローチャートを参照して、復号器3における一連の復号処理手順について説明する。まず、A/D変換器61a,61bは周波数変換部2から入力されるベースバンド信号の同相成分および直交成分を自走の4倍クロックSK4によってサンプリングし、サンプリングされた同相振幅成分データ系列Ikと直交振幅成分データ系列Qkとをタイミング再生部62出力する(ステップS161)。その後タイミング再生部62によるタイミング再生処理(ステップS171〜S180)とデータ判定処理(ステップS181〜S185)とが並行処理される。
【0231】
タイミング再生処理(ステップS171〜S180)では、まず4分周器74が4倍クロックSK4を4分周し、この4分周した自走シンボルクロックSK1を振幅差分型移相検出部71およびクロック生成部73に出力する(ステップS171)。その後、同相振幅変動量算出部81aが同相振幅変動量|Ik−Ik-2|を算出し、直交振幅変動量算出部81bが直交振幅成分変動量|Qk−Qk-2|を算出する(ステップS172)。さらに、合成振幅変動量算出部82は、同相振幅変動量|Ik−Ik-2|と直交振幅変動量|Qk−Qk-2|とを加算した合成振幅変動量β3kを算出する(ステップS173)。
【0232】
一方、信号繊維量算出部86a,86bは、同相振幅シンボル時間変動量δIk,直交振幅シンボル時間変動量δQkを算出し、算出結果を遷移判定部87に出力し、遷移判定部87は、この算出結果をもとにベースバンド信号の信号遷移が無いか否かを判断する(ステップS174)。ベースバンド信号の信号遷移が無い場合(ステップS174,YES)には、反転部88によって自走シンボルクロックSK1を反転出力させて乗算器84a,84bに出力させ、ベースバンド信号の信号遷移が有った場合(ステップS174,NO)には、反転部88による自走シンボルクロックSK1を反転させずに、そのまま自走シンボルクロックを乗算器84a,84bに出力させる。
【0233】
その後、乗算器84a,84bは、自走シンボルクロックSK1を基準として、この合成振幅変動量β3kが含むシンボル周波数のタイミング誤差をもつデータ系列dCk,dSkを算出して平均化部72に出力する(ステップ176)。
【0234】
その後、平均化部72は、入力されたデータ系列dCk,dSkの平均値M[dCk],M[dSk]を算出してクロック生成部73に出力する(ステップS177)。クロック生成部73のタイミング位相差算出部91は、平均値M[dCk],M[dSk]をもとにタイミング位相差Δθを算出する(ステップS178)。移相部92は、タイミング位相差Δθをもとに自走シンボルクロックSK1を移相し(ステップS179)、再生シンボルクロックRCとして、ナイキストデータ抽出部63および復号器4に出力し(ステップS180)、上述した処理を繰り返す。
【0235】
一方、タイミング再生処理(ステップS171〜S180)に並行して、データ判定処理(ステップS181〜S185)が行われる。すなわち、ナイキストデータ抽出部13は、同相振幅成分データ系列Ikおよび直交振幅成分データ系列Qkと、再生シンボルクロックRCとをもとに、補間処理したナイキスト点のデータ系列Ij,Qjを抽出し(ステップS181)、オフセット検出部64は、このナイキスト点のデータ系列Ij,Qjの値をもとに、同相成分のDCオフセット成分IDaおよび直交成分のDCオフセット成分IDbをオフセット補正部65に出力する(ステップS182)。その後、オフセット補正部65は、ナイキスト点のデータ系列Ij,Qjから、オフセット検出部64で検出したDCオフセット成分IDa,QDaをそれぞれ差分することによって、ナイキスト点のデータ系列Ij,QjのDCオフセットを補正し、データ判定部66に出力する(ステップS183)。さらに、データ判定部66は、オフセット補正部65によってDCオフセットが補正されたデータ系列のデータ判定を行い(ステップS184)、復調データDAとして復号器4に出力し(ステップS185)、上述した処理を繰り返す。
【0236】
なお、1シンボル間の信号遷移が発生しない場合があるのは、データ部、すなわちランダムパターン受信時のみであるので、このランダムパターン受信時のみに、上述した遷移判定処理を行うようにするとよい。
【0237】
この実施の形態6によれば、実施の形態4の作用効果に加えて、位相逆転現象が生じた場合に、振幅差分型位相検出部71は、反転されたデータ系列dCk,dSkを平均化部72に出力するようにしているので、ランダムパターン受信時における位相ジッタをさらに低減することができ、タイミング誤差によるBERの劣化をさらに低減した復調処理を行うことができる。
【0238】
この発明にかかる位相検出装置、タイミング再生装置、復調装置、およびこれを用いた受信装置、並びに移相検出方法、タイミング再生方法、復調方法、およびこれを用いた受信方法は、衛星通信、移動体通信等の各種のディジタル通信分野に有用であり、プリアンブル内での高速なタイミング位相引き込みとデータ部における低移相ジッタを実現するとともに装置の軽量小型化を促進することができる位相検出装置、タイミング再生装置、復調装置、およびこれを用いた受信装置に適している。
【0239】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明によれば、同相振幅変動量算出手段が、ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量を算出し、直交振幅変動量算出手段が、前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量を算出し、合成振幅変動量算出手段が、前記同相振幅変動量と前記直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量を算出し、この算出した合成振幅変動量をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相を直接検出するようにしているので、簡易な構成によってタイミング位相を検出することができる、という効果を奏する。また、合成振幅変動量は、同相振幅成分および直交振幅成分の単純な加減算の演算処理によって行われるので、高速処理が可能であるとともに、位相検出のための構成を小型軽量化することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1図は、この発明の実施の形態1である復調器を有する受信装置の全体構成を示す図であって、特にこの受信装置に採用される復調器の詳細構成を示す図である。
【図2】 第2図は、プリアンブル受信時におけるDCオフセットの無いベースバンド信号の同相振幅成分および直交振幅成分の時間変化と合成振幅変動量の時間変化を示す図である。
【図3】 第3図は、ランダムパターン受信時におけるDCオフセットの無いベースバンド信号の同相振幅成分および直交振幅成分の時間変化と合成振幅変動量の時間変化を示す図である。
【図4】 第4図は、プリアンブル受信時におけるDCオフセットがあるベースバンド信号の同相振幅成分および直交振幅成分の時間変化と合成振幅変動量の時間変化を示す図である。
【図5】 第5図は、ランダムパターン受信時におけるDCオフセットのがあるベースバンド信号の同相振幅成分および直交振幅成分の時間変化と合成振幅変動量の時間変化を示す図である。
【図6】 第6図は、第1図に示した振幅差分型位相検出部の詳細構成を示す図である。
【図7】 第7図は、第1図に示した復調器の復調処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 第8図は、プリアンブル受信時においてDCオフセットが無く、かつリミタ増幅器によって一定振幅に制限されたベースバンド信号の同相振幅成分および直交振幅成分の時間変化と合成振幅変動量の時間変化を示す図である。
【図9】 第9図は、ランダムパターン受信時においてDCオフセットが無く、かつリミタ増幅器によって一定振幅に制限されたベースバンド信号の同相振幅成分および直交振幅成分の時間変化と合成振幅変動量の時間変化を示す図である。
【図10】 第10図は、この発明の実施の形態2である復調器を有する受信装置内の振幅差分型位相検出部の詳細構成を示す図である。
【図11】 第11図は、この発明の実施の形態2である復調器による復調処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 第12図は、この発明の実施の形態3である復調器内の振幅差分型位相検出部の詳細構成を示す図である。
【図13】 第13図は、この発明の実施の形態3である復調器による復調処理手順を示すフローチャートである。
【図14】 第14図は、この発明の実施の形態4である復調器を有する受信装置の全体構成を示す図であって、特にこの受信装置に採用される復調器の詳細構成を示す図である。
【図15】 第15図は、第14図に示した振幅差分型位相検出部の詳細構成を示す図である。
【図16】 第16図は、第14図に示したクロック生成部の詳細構成を示す図である。
【図17】 第17図は、第14図に示した復調器による復調処理手順を示すフローチャートである。
【図18】 第18図は、この発明の実施の形態5である復調器内の振幅差分型位相検出部の詳細構成を示す図である。
【図19】 第19図は、この発明の実施の形態5である復調器による復調処理手順を示すフローチャートである。
【図20】 第20図は、この発明の実施の形態3である復調器内の振幅差分型位相検出部の詳細構成を示す図である。
【図21】 第21図は、この発明の実施の形態6である復調器による復調処理手順を示すフローチャートである。
【図22】 第22図は、従来の復調器を有する受信装置の全体構成を示す図である。
【図23】 第23図は、プリアンブル受信時におけるDCオフセットの無いベースバンド信号の位相の時間変化と位相変動量の時間変化を示す図である。
【図24】 第24図は、ランダムパターン受信時におけるDCオフセットが無いベースバンド信号の位相の時間変化と位相変動量の時間変化を示す図である。
【図25】 第25図は、QPSK変調方式におけるDCオフセットがある場合とない場合とのコンスタレーション図である。
【図26】 第26図は、ベースバンド信号に含まれたDCオフセットを除去する構成を有した従来の復調器を有した受信装置の全体構成図である。
【図27】 第27図は、DCオフセットが付加された状態におけるプリアンブル受信時におけるベースバンド信号の位相の時間変化と位相変動量の時間変化を示す図である。
【図28】 第28図は、DCオフセットが付加された状態におけるランダムパターン受信時におけるベースバンド信号の位相の時間変化と位相変動量の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 周波数変換部
3 復調器
4 復号器
11a,11b A/D変換器
12 タイミング再生部
13 ナイキストデータ抽出部
14 オフセット検出部
15 オフセット補正部
16 データ判定部
21 振幅差分型位相検出部
22 平均化部
23 位相制御部
24 2分周器
41a 同相振幅変動量算出部
41b 直交振幅変動量算出部
42 合成振幅変動量算出部
43 差分値算出部
44a,44b 重み付け部
61a,61b A/D変換器
62 タイミング再生部
63 ナイキストデータ抽出部
64 オフセット検出部
65 オフセット補正部
66 データ判定部
71 振幅差分型位相検出部
72 平均化部
73 クロック生成部
74 4分周器
81a 同期振幅変動量算出部
81b 直交振幅変動量算出部
82 合成振幅変動量算出部
83 π/2移相器
84a,84b 乗算器
85a,85b 重み付け部
86a,86b 信号遷移量算出部
87 遷移判定部
88 反転部
91 タイミング位相差算出部
92 移相部
93 判定部
Claims (16)
- ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量を算出する同相振幅変動量算出手段と、
前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量を算出する直交振幅変動量算出手段と、
前記同相振幅変動量と前記直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量を算出する合成振幅変動量算出手段と、
前記合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値を算出する差分値算出手段と、
を備え、
前記差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力することを特徴とする位相検出装置。 - 前記合成振幅変動量算出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として出力することを特徴とする請求の範囲第1項記載の位相検出装置。
- 前記合成振幅変動量算出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として出力することを特徴とする請求の範囲第1項記載の位相検出装置。
- 前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行う第1の重み付け手段と、
前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う第2の重み付け手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の位相検出装置。 - 前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出する第1の信号遷移量算出手段と、
前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出する第2の信号遷移量算出手段と、
前記同相振幅シンボル時間変動量および前記直交振幅シンボル時間変動量が所定値以下であるか否か判定する遷移判定手段と、
前記遷移判定手段の判定結果が所定値以下であると判定した場合、前記位相検出信号を反転出力する反転手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の位相検出装置。 - ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量を算出する同相振幅変動量算出手段と、
前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2以上の自然数)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量を算出する直交振幅変動量算出手段と、
前記同相振幅変動量と前記直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量を算出する合成振幅変動量算出手段と、
前記合成振幅変動量に自走シンボル周波数信号の余弦値を乗算した余弦乗算信号を生成する第1の乗算手段と、
前記合成振幅変動量に自走シンボル周波数信号の正弦値を乗算した正弦乗算信号を生成する第2の乗算手段と、
前記余弦乗算信号に対する前記正弦乗算信号の逆正接値を算出し、該逆正接値を前記ベースバンド信号に対する前記自走シンボル周波数信号のタイミング位相差として出力するタイミング位相差算出手段と、
を備えたことを特徴とする位相検出装置。 - シンボルレートの2倍の速度をもつサンプリングクロックによってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力する位相検出手段と、
前記位相検出手段が出力した位相検出信号の平均値を位相制御信号として出力する平均化手段と、
前記平均化手段が出力した位相制御信号をもとに前記サンプリングクロックの位相制御を行う位相制御手段と、
前記位相制御手段によって位相制御されたサンプリングクロックを2分周し、この2分周したクロックを再生シンボルクロックとして出力する2分周手段と、
を備えたことを特徴とするタイミング再生装置。 - 前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする請求の範囲第7項記載のタイミング再生装置。
- 前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする請求の範囲第7項記載のタイミング再生装置。
- 前記位相検出手段は、
前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行う第1の重み付け手段と、
前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う第2の重み付け手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第7項記載のタイミング再生装置。 - シンボルレートの4倍の速度をもつ自走サンプリングクロックを4分周し、この4分周したクロックを自走シンボルクロックとして出力する4分周手段と、
前記自走サンプリングクロックによってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量に前記自走シンボルクロックの周波数成分の余弦値を乗算した余弦乗算信号と、前記合成振幅変動量に自走シンボルクロックの周波数成分の正弦値を乗算した正弦乗算信号とを前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号として出力する位相検出手段と、
前記位相検出手段が出力した位相検出信号の余弦乗算信号および正弦乗算信号の各平均値である余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号を位相制御信号として出力する平均化手段と、
前記平均化手段が出力した位相制御信号の余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号の逆正接値であるタイミング位相を求め、前記自走シンボルクロックを該タイミング位相分、移相した再生シンボルクロックを生成するクロック生成手段と、
を備えたことを特徴とするタイミング再生装置。 - 前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする請求の範囲第11項記載のタイミング再生装置。
- 前記位相検出手段は、前記同相振幅変動量の2乗値と前記直交振幅変動量の2乗値とを加算した値の平方根の値を前記合成振幅変動量として算出することを特徴とする請求の範囲第11項記載のタイミング再生装置。
- 前記位相検出手段は、
前記ベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である同相振幅シンボル時間変動量を算出し、該同相振幅シンボル時間変動量を用いて前記同相振幅変動量に重み付けを行う第1の重み付け手段と、
前記ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期時間で差分した値の絶対値である直交振幅シンボル時間変動量を算出し、該直交振幅シンボル時間変動量を用いて前記直交振幅変動量に重み付けを行う第2の重み付け手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第11項記載のタイミング再生装置。 - シンボルレートの2倍の速度をもつサンプリングクロックによってベースバンド信号をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/2で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量の1/2シンボル時間の差分値をもとに前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号を出力する位相検出手段と、
前記位相検出手段が出力した位相検出信号の平均値を位相制御信号として出力する平均化手段と、
前記平均化手段が出力した位相制御信号をもとに前記サンプリング手段が用いるサンプリングクロックの位相制御を行う位相制御手段と、
前記位相制御手段によって位相制御されたサンプリングクロックを2分周し、この2分周したクロックを再生シンボルクロックとして出力する2分周手段と、
前記再生シンボルクロックを用いて前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号に対するナイキスト点データを抽出するナイキスト点データ抽出手段と、
前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データを平均化し、この平均化したデータからDCオフセットを検出するオフセット検出手段と、
前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データから前記オフセット検出手段が検出したDCオフセットを減算して該ナイキスト点データを補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正されたナイキスト点データをもとに前記ベースバンド信号のデータを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする復調装置。 - シンボルレートの4倍の速度をもつ自走サンプリングクロックを発生する自走クロック手段と、
前記自走クロック手段が発生する自走サンプリングクロックを4分周し、この4分周したクロックを自走シンボルクロックとして出力する4分周手段と、
前記自走クロック手段が発生する自走サンプリングクロックによってベースバンド信号をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号の振幅同相成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である同相振幅変動量と、該ベースバンド信号の振幅直交成分をシンボル周期の1/n(nは2あるいは4)で差分した値の絶対値である直交振幅変動量とを加算した合成振幅変動量に前記自走シンボルクロックの周波数成分の余弦値を乗算した余弦乗算信号と、前記合成振幅変動量に自走シンボルクロックの周波数成分の正弦値を乗算した正弦乗算信号とを前記ベースバンド信号に対するタイミング位相の進み遅れを検出した位相検出信号として出力する位相検出手段と、
前記位相検出手段が出力した位相検出信号の余弦乗算信号および正弦乗算信号の各平均値である余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号を位相制御信号として出力する平均化手段と、
前記平均化手段が出力した位相制御信号の余弦乗算制御信号および正弦乗算制御信号の逆正接値であるタイミング位相を求め、前記自走シンボルクロックを該タイミング位相分、移相した再生シンボルクロックを生成するクロック生成手段と、
前記再生シンボルクロックを用いて前記サンプリング手段によってサンプリングされたベースバンド信号に対するナイキスト点データを抽出するナイキスト点データ抽出手段と、
前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データを平均化し、この平均化したデータからDCオフセットを検出するオフセット検出手段と、
前記ナイキスト点データ抽出手段が抽出したナイキスト点データから前記オフセット検出手段が検出したDCオフセットを減算して該ナイキスト点データを補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正されたナイキスト点データをもとに前記ベースバンド信号のデータを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする復調装置。
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