JP3907141B2 - ゲル状組成物とその利用 - Google Patents

ゲル状組成物とその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ゲル状組成物とその利用に関し、詳しくは、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と共に、特別なゲル化剤を含み、このゲル化剤が可逆的ゲル化剤としてのみ機能する第1の温度域では、可逆的なゲル状組成物(第1のゲル状組成物)であって、ゲルと溶液との間の変換が可逆的であり、この第1のゲル状組成物は、これを上記ゲル化剤が不可逆的ゲル化剤として機能する第2の温度域に加熱することによって、不可逆的なゲル状組成物(第2のゲル状組成物)を形成することができるゲル状組成物とその製造方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、上記ゲル状組成物からなるゲル状電解質組成物とその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
固体電解質とは、固体状態でイオン伝導性の高い物質をいい、なかでも、高分子物質を固体として用いる高分子固体電解質は、近年、次世代リチウム二次電池用電解質として、特に、注目されており、世界的に研究が推進されている。
【0004】
このような高分子固体電解質は、従来の電解質溶液に比べて、液漏れのおそれがなく、また、薄膜にすることができる等、その形状も、自由度が大きい。しかしながら、従来、知られている非水系の高分子固体電解質は、電解質溶液に比べて、電導度が著しく低いという問題がある。例えば、従来、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の鎖状ポリマーやポリフォスファゼン等の櫛型ポリマー等のポリマー材料を電解質塩と複合化してなる非水系高分子固体電解質が知られているが、従来、電導度が室温で10-3S/cmを上回るものは見出されていない。
【0005】
そこで、近年、種々の非水系ゲル状電解質の実用化が研究されており、これによれば、室温において、10-3S/cm以上の電導度を有し、電解質溶液に近いものが提案されている。このようなゲル状電解質は、ポリマー材料と非水系有機溶媒とによって形成されるゲル中に電解質塩を溶解させたものであり、ポリマー材料又はその前駆体を電解質塩と共に有機溶媒に溶解させた後、固体化(ゲル化)することによって得ることができる。
【0006】
しかしながら、従来より知られているこのようなゲル状電解質は、電解質溶液に比べて、電極の表面との接触がよくなく、ゲル状電解質と電極の表面との間の抵抗が大きいという問題がある。このように、ゲル状電解質と電極の表面との間の抵抗が大きいときは、ゲル状電解質自体の有する電導度を有効に活かすことができず、電気化学素子として実用的に用いることができない。特に、電極の表面が平坦でないとき、従来のゲル状電解質は、電極の表面によく接触させることが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明は、従来の固体電解質における上述したような問題を解決するためになされたものであって、固体電解質として有用な新規なゲル状組成物を提供することを目的とする。特に、本発明は、固体電解質として取扱うことができ、電極の表面と密着させることができ、所望の形状の電気化学素子として利用することができるゲル状組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、このようなゲル状組成物からなるゲル状電解質組成物とその製造方法に関する。
【0009】
抗酸化剤に、本発明は、このようなゲル状電解質組成物を含む固体電解質積層体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるゲル状組成物は、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と共に、一般式(I)
【0011】
【化3】
Figure 0003907141
【0012】
(式中、Xは炭素間単結合又は−NH−を示し、R1 は−(CH2 x −又は−(CH2 y −COO−(CH2 z −を示し、R2 は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜50の数を示す。)
で表わされるシクロヘキサン誘導体をゲル化剤として含むことを特徴とする。
【0013】
本発明によるゲル状組成物の製造方法は、上記ゲル化剤が可逆的ゲル化剤として機能する第1の温度域に加熱し、ゾル化して、所望の形状に成形する第1の工程と、上記ゲル化剤が不可逆的ゲル化剤として機能する第2の温度域に加熱して、不可逆的にゲル化させる第2の工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明によるゲル状電解質組成物は、上記ゲル状組成物からなり、本発明によるゲル状電解質組成物も、前記第1の工程と第2の工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
更に、本発明による固体電解質積層体は、固体電解質薄膜の少なくとも一方の表面に上記ゲル状電解質組成物の層が積層されてなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ゲル化剤として、一般式(I)
【0017】
【化4】
Figure 0003907141
【0018】
(式中、Xは炭素間単結合又は−NH−を示し、R1 は−(CH2 x −又は−(CH2 y −COO−(CH2 z −を示し、R2 は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜50、好ましくは、1〜30、特に好ましくは、1〜10の数を示す。)
で表わされるシクロヘキサン誘導体が用いられる。
【0019】
このようなゲル化剤の具体例として、例えば、
【0020】
【化5】
Figure 0003907141
【0021】
で表わされるジアクリレートや、また、
【0022】
【化6】
Figure 0003907141
【0023】
で表わされるジメタクリレートを挙げることができる。
【0024】
このようなゲル化剤は、電解質塩を溶解させた非水系有機溶媒の溶液に配合して、組成物とするとき、その組成物を室温(25℃)よりも高い第1の温度域、例えば、限定されるものではないが、40〜70℃に加熱するとき、均一な溶液を形成し、この溶液を室温(25℃)に冷却するとき、可逆的にゲル状組成物(第1のゲル状組成物)を形成する。
【0025】
更に、上記ゲル化剤は、電解質塩を溶解させた非水系有機溶媒の溶液に配合して、組成物とするとき、その組成物を上記第1の温度域の上限の温度よりも高い第2の温度域、限定されるものではないが、例えば、70℃を越えて、100℃以下の範囲の温度に加熱するとき、前記第1のゲル状組成物を不可逆的なゲル状組成物(第2のゲル状組成物)とする。
【0026】
即ち、本発明によるゲル状組成物は、第1の温度域においては、可逆的にゾル−ゲル変換することができるが、上記第1の温度域の上限の温度よりも高い第2の温度域に加熱すれば、不可逆的にゲルを形成する。
【0027】
本発明において、電解質塩としては、水素イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属のイオン、第3級又は第4級アンモニウムイオンをカチオン成分とし、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、テトラフルオロホウ酸、フッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸等の無機酸や、有機カルボン酸、フッ素置換有機カルボン酸、有機スルホン酸、フッ素置換有機スルホン酸等の有機酸をアニオン成分とする塩を用いることができる。これらのなかでは、特に、アルカリ金属イオンをカチオン成分とする電解質塩が好ましく用いられる。
【0028】
このようなアルカリ金属イオンをカチオン成分とする電解質塩の具体例としては、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アルカリ金属、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム等のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等のヘキサフルオロリン酸アルカリ金属、トリフルオロ酢酸リチウム等のトリフルオロ酢酸アルカリ金属、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のトリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属を挙げることができる。
【0029】
本発明において、上記電解質塩のための非水系有機溶媒としては、用いる電解質塩を溶解するものであれば、特に、制約を受けることなく、適宜に選ばれるが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0030】
本発明において、前記ゲル化剤の配合量は、用いる電解質塩や溶媒に応じて、これらの混合物が所期の第1のゲル状組成物を形成するように、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル状組成物の0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは、1〜20重量%の範囲である。
【0031】
他方、電解質塩の配合量は、それ自体のみならず、用いる可逆的ゲル化剤や溶媒に応じて、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル状組成物の1〜20重量%の範囲である。
【0032】
本発明によるゲル状組成物は、上述した溶媒に電解質塩と可逆的ゲル化剤と不可逆的ゲル化剤とからなり、このようなゲル状組成物からなる成形体を製造する場合に有利に用いることができる。
【0033】
即ち、本発明によれば、前記溶媒に電解質塩と前記ゲル化剤とを加え、これを、例えば、40〜70℃の第1の温度域に加熱攪拌することによって、均一な溶液(ゾル)とすることができ、これを室温(25℃)に冷却すれば、第1の段階のゲル状組成物とすることができる。この第1の段階のゲル状組成物は、室温(25℃)においてゲルであり、これを40〜70℃程度の第1の温度域に加熱することによって、ゾルとすることができ、このようなゾルとゲルの間の変化は可逆的である。
【0034】
従って、本発明によるゲル状組成物は、このように、第1の段階のゲル状組成物の可逆的なゾル−ゲル変換を利用し、ゾルの状態で所定の形状に成形し、必要な場合、これを可逆的にゲル化することによって、ゲル状組成物を可逆的にゾル化することができるゲルとして、その形状に固定することができる。
【0035】
しかし、本発明によれば、第1の段階のゲル状組成物をそのゾル状態で成形した後、これを第1の温度域の上限の温度よりも高い第2の温度域に加熱すれば、不可逆的にゲル化することができる。
【0036】
このように、本発明によれば、第1の段階のゲル状組成物をゾル状態で成形し、冷却して、ゲル化した後、必要に応じて、再度、ゾル化して、変形させたり、成形することもでき、かくして、最終的に変形や成形の必要がなくなったときに、ゲル状組成物を不可逆的にゲル化し、最終的に選んだ形状を不可逆的に固定することができる。
【0037】
本発明によれば、ゲル状組成物に不織布、多孔質膜、割布、メッシュ等の芯材を有しめることができる。このように芯材を有するゲル状組成物は、例えば、第1のゲル状組成物をゾル化し、このなかに上記芯材を浸漬したままで、冷却して、ゲル化すればよい。
【0038】
本発明によるゲル状組成物は、いわば、電解質塩の非水有機溶媒からなる電解質溶液に前記ゲル化剤を配合してなるものであるから、ゲル状電解質組成物として、特に、有用である。
【0039】
例えば、このようなゲル状電解質組成物は、これを電池における固体電解質として用いる場合、電極の表面が平坦でないときにも、電解質組成物をゾル化させて、電極の表面に沿わせた後、ゲル化することによって、これによく密着させることができ、その後に不可逆的にゲル化すれば、安定な形状と良好な接触を保持することができる。
【0040】
また、本発明によれば、固体電解質薄膜の少なくとも一方の表面に、本発明によるゲル状組成物(ゲル状電解質組成物)をゾル状態で塗布した後、冷却して、ゲル化することによって、固体電解質薄膜の少なくとも一方の表面に本発明によるゲル状組成物(ゲル状電解質組成物)の層をインターフェース層として有する固体電解質積層体を得ることができる。このような固体電解質積層体は、好ましくは、薄膜である。
【0041】
このような固体電解質積層体において、固体電解質としては、従来より知られているいずれでも用いることができ、また、固体電解質として、従来より知られているゲル状電解質も用いることができる。このような固体電解質としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化リチウム(アルミナ)、Lix y z O等や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリシロキサン等のポリマー材料に電解質塩を溶解させてなるものを挙げることができる。
【0042】
また、ゲル状固体電解質としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸オリゴエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド、オリゴエチレンオキサイドを側鎖に有する共重合体等のポリマー材料を架橋硬化させ、これに電解質塩を溶解せてゲル状とし、必要に応じて、可塑剤を配合したもの等を挙げることができる。
【0043】
例えば、非水系有機溶媒に電解質塩を溶解させ、これにポリエチレンプロピレングリコールジアクリレートと重合開始剤とを加えて溶液とし、これを加熱し、ポリエチレンプロピレングリコールジアクリレートを架橋させることによって、ゲル状固体電解質を得ることができる。
【0044】
このような固体電解質積層体は、そのゲル状電解質組成物層からなるインターフェース層を電極の表面に接触するようにして用いれば、電極の表面が平坦でない場合にも、ゲル状電解質組成物をゾル化させて、電極の表面に沿わせた後、ゲル化することによって、固体電解質積層体を電極の表面によく密着させることができる。
【0045】
本発明によるゲル状電解質組成物や、また、上記固体電解質積層体は、前述したように、例えば、リチウム二次電池における固体電解質として好適に用いることができる。
【0046】
図1は、そのような固体電解質を用いるコイン型リチウム二次電池の縦断面図である。このリチウム二次電池においては、正極端子を兼ねる正極缶1は、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなり、絶縁体2を介して、この正極缶と絶縁された負極端子を兼ねる負極缶3と組合わされて、電池の容器を構成している。負極缶も、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなる。
【0047】
このようにして形成される電池の容器の内部には、正極4が正極缶に接触して配設されている。正極4は、例えば、リチウムマンガン複合酸化物のような正極活物質と黒鉛のような導電性物質をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンのような結着樹脂と混合し、これを加圧成形して得ることができる。同様に、負極5が負極缶に接触して配設されている。負極は、例えば、リチウム板からなる。
【0048】
これら正極と負極との間に、本発明による固体電解質積層体6が配設されて、電池を構成している。この固体電解質積層体6は、固体電解質薄膜7の両表面にゲル状電解質組成物の層8をインターフェース層として有し、このインターフェース層が正極及び負極にそれぞれ接触している。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0050】
参考例1
(ゲル化剤(1)の合成)
6−アミノ−1−ヘキサノール11.7gをジクロロメタン100mLに溶解させ、氷冷下、攪拌しながら、これにトランス−1,2−シクロヘキサンジイソシアネート8.3gのジクロロメタン溶液50mLを1時間で滴下した。滴下終了後、反応混合物を室温で1時間攪拌して、反応の終了を確認した。反応混合物を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して硫酸ナトリウムを除いた後、溶媒を除去して、結晶16.6gを得た。この結晶をヘキサン/エーテルで再結晶して、精製品14.9gを得た。
【0051】
次いで、上記精製品14.9gとトリエチルアミン14.9gとをテトラヒドロフラン150mLに溶解させ、氷冷下、攪拌しながら、これにアクリル酸クロライド8.1gのエーテル溶液200mLを1時間で滴下した。生成した結晶を濾過して除去し、濾液をアルカリ洗浄、ブライン洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して硫酸ナトリウムを除いた後、溶媒を除去して、前記式(1)で表わされる反応生成物16.7gを得た。これをカラム精製して、以下において、ゲル化剤として用いた。
【0052】
実施例1
エチレンカーボネート36.6gとエチルメチルカーボネート55.6gの混合物を溶媒とし、これにテトラフルオロホウ酸リチウム7.8gを電解質塩として溶解させて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液48.5gに、参考例1で得たゲル化剤1.5gと重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.02gとを混合し、60℃に加熱攪拌して、均一で透明な溶液を得た。
【0053】
両端に厚みを制御するためのスペーサーを配したガラス板状に上記溶液を展開した後、室温に冷却して、厚み約200μmの白色のゲル状組成物(第1の段階のゲル状組成物)を得た。このゲル状組成物は、ホットプレート上で約60℃に加熱すると、再び、透明な溶液に戻った。即ち、第1の段階のゲル状組成物においては、ゲルと溶液との転換は可逆的であった。
【0054】
次に、この第1の段階のゲル状組成物を90℃まで加熱し、この温度で2時間加熱した。加熱を開始してしばらくは、第1の段階のゲル状組成物を50℃に加熱して得られるものと同じく、均一な溶液であったが、加熱終了後には、透明ではあるが、流動性を失なって、ゲルとなった。この透明なゲルを室温に冷却すると、厚み約200μmの白色のゲル(第2の段階のゲル状組成物)となった。
【0055】
この白色の第2の段階のゲル状組成物をホットプレート上で約60℃に加熱すると、再び、透明になったが、ゲル状のままで、溶液状とはならなかった。更に、約90℃まで加熱したが、ゲル状のままで、溶液状とはならなかった。
【0056】
即ち、第1の段階のゲル状組成物から第2の段階のゲル状組成物への変換は、不可逆的であった。そして、このようにして得られる第2の段階のゲル状組成物は、自立性であって、ピンセットで容易に取り扱うことができた。
【0057】
上記第2のゲル状組成物の薄膜をステンレス板に挟み、これをインスピーダンスアナライザーに接触して、25℃にて複素インピーダンス法にて電導度を測定したところ、1.8×10-3S/cmであった。
【0058】
比較例1(電解質溶液)
エチレンカーボネート36.6gとエチルメチルカーボネート55.6gの混合物を溶媒とし、これにテトラフルオロホウ酸リチウム7.8gを電解質塩として溶解させて、電解質溶液を調製した。
【0059】
実施例1と同様にして、この電解質溶液の電導度を測定したところ、25℃において、3.6×10-3S/cmであった。電導度の温度依存性を50℃から−20℃の範囲について、図2に示す。また、電極として金属リチウムを用いて、直流四端子法にて電導度を測定したところ、25℃において、2.5×10-3S/cmであった。
【0060】
実施例2
エチレンカーボネート36.6gとエチルメチルカーボネート55.6gの混合物を溶媒とし、これにテトラフルオロホウ酸リチウム7.8gを電解質塩として溶解させて、電解質溶液を調製した。この電解質溶液47.0gに、参考例1で得たゲル化剤3.0gと重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.03gとを混合し、65℃に加熱攪拌して、均一で透明な溶液を得た。
【0061】
両端に厚みを制御するためのスペーサーを配したガラス板状に上記溶液を展開した後、室温に冷却して、厚み約200μmの透明なゲル状組成物(第1の段階のゲル状組成物)を得た。このゲル状組成物は、ホットプレート上で約60℃に加熱すると、再び、透明な溶液に戻った。即ち、第1の段階のゲル状組成物においては、ゲルと溶液との転換は可逆的であった。
【0062】
次に、この第1の段階のゲル状組成物を90℃まで加熱し、この温度で2時間加熱した。加熱を開始してしばらくは、第1の段階のゲル状組成物を65℃に加熱して得られるものと同じく、均一な溶液であったが、加熱終了後には、透明ではあるが、流動性を失なって、ゲルとなった。この透明なゲルを室温に冷却すると、厚み約200μmの白色のゲル(第2の段階のゲル状組成物)となった。
【0063】
この白色の第2の段階のゲル状組成物をホットプレート上で約50℃に加熱すると、再び、透明になったが、ゲル状のままで、溶液状とはならなかった。更に、約90℃まで加熱したが、ゲル状のままで、溶液状とはならなかった。
【0064】
即ち、第1の段階のゲル状組成物から第2の段階のゲル状組成物への変換は、不可逆的であった。そして、このようにして得られる第2の段階のゲル状組成物は、自立性であって、ピンセットで容易に取り扱うことができた。
【0065】
上記第2のゲル状組成物の薄膜をステンレス板に挟み、これをインスピーダンスアナライザーに接触して、25℃にて複素インピーダンス法にて電導度を測定したところ、1.6×10-3S/cmであった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によるゲル状組成物は、室温(25℃)においてゲル状であり、これを第1の温度域(例えば、40〜70℃)に加熱することによって、可逆的にゾルとすることができる。従って、本発明によるゲル状組成物は、第の1ゲル状組成物のゾル状態において、所望の形状に成形することができ、これをゲル化することによって、基材との間に良好な接触を保持することができる。そして、このような第1の段階のゲル状組成物を上記第1の温度域の上限の温度よりも高い第2の温度域に加熱することによって、第1の段階のゲル状組成物を不可逆的にゲル化することができるので、基材との間に良好な接触を保持しながら、安定な形状を保持することができる。
【0067】
同様に、本発明によるゲル状電解質組成物は、例えば、電極の表面が平坦でない場合にも、電解質組成物をゾル化させて、電極の表面に沿わせることによって、これによく密着させることができ、この後、不可逆的にゲル化すれば、その形状を安定に保持することができる。しかも、本発明によるゲル状電解質組成物は、高い電導度を有する。
【0068】
本発明による固体電解質積層体も、上記ゲル状電解質組成物からなる層をインターフェース層として有するので、同様に、その可逆的なゾル−ゲル変換を利用して、電極の表面に密着させることができ、不可逆的にゲル化すれば、その形状を安定に保持することができる。
【0069】
従って、本発明による可逆的ゾル−ゲル状電解質組成物や固体電解質積層体、更には、これらを含む電気化学素子は、例えば、リチウム二次電池における固体電解質として、有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、コイン型固体電解質二次電池を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…正極端子を兼ねる正極缶
2…絶縁体
3…負極端子を兼ねる負極缶
4…正極
5…負極
6…固体電解質積層体
7…固体電解質薄膜
8…ゲル状電解質組成物の層(インターフェース層)

Claims (6)

  1. 電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と共に、一般式(I)
    Figure 0003907141
    (式中、Xは炭素間単結合又は−NH−を示し、R1 は−(CH2 x −又は−(CH2 y −COO−(CH2 z −を示し、R2 は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜50の数を示す。)
    で表わされるシクロヘキサン誘導体をゲル化剤として含むことを特徴とするゲル状組成物。
  2. 電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と共に、一般式(I)
    Figure 0003907141
    (式中、Xは炭素間単結合又は−NH−を示し、R1 は−(CH2 x −又は−(CH2 y −COO−(CH2 z −を示し、R2 は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜50の数を示す。)
    で表わされるシクロヘキサン誘導体をゲル化剤として含むゲル状組成物を上記ゲル化剤が可逆的ゲル化剤として機能する第1の温度域に加熱し、ゾル化して、所望の形状に成形する第1の工程と、上記ゲル化剤が不可逆的ゲル化剤として機能する第2の温度域に加熱して、不可逆的にゲル化させる第2の工程とを含むことを特徴とするゲル状組成物の製造方法。
  3. 請求項1に記載のゲル状組成物からなるゲル状電解質組成物。
  4. 請求項1に記載のゲル状組成物からなるゲル状電解質組成物を前記ゲル化剤が可逆的ゲル化剤として機能する第1の温度域に加熱し、ゾル化して、所望の形状に成形する第1の工程と、前記ゲル化剤が不可逆的ゲル化剤として機能する第2の温度域に加熱して、不可逆的にゲル化させる第2の工程とを含むことを特徴とするゲル状電解質組成物の製造方法。
  5. 固体電解質薄膜の少なくとも一方の表面に、請求項3に記載のゲル状電解質組成物の層が積層されてなることを特徴とする固体電解質積層体。
  6. 請求項3に記載のゲル状電解質組成物を含む電気化学素子。
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