JP3907068B2 - パッチワーク縫い補助装置及び該補助装置を備えたミシン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明はパッチワーク縫い補助装置及びこの装置を備えたミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
パッチワークは複数の素材ピースを縫い合わせることにより1つの大きな模様を形成するものであり、近年盛んに行われるようになって来ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしパッチワークを行う場合、パッチワークのデザインを決定するのが難しい問題がある。即ち最初にパッチワークの基本形状を選択し、次に該基本形状にはめ込むピースやそのピースの色や模様を決定するわけであるが、基本形状のバリエーションとピースのバリエーションの組み合わせには、ほぼ無限の選択が可能であり、パッチワークの全体のデザインを決定するのは容易ではない。しかも、デザインの全体像を把握することが難しく、自分の選択した基本形状とピースの色や模様により作品全体がどのようなパッチワークとなるのか把握することは極めて難しい問題があった。
更にデザインを決定した後に、実際にパッチワーク縫いを行うに際してパッチワークを形成する素材ピースの大きさを計算するのが面倒である問題がある。この計算は、最初に完成する作品の大きさから模様を構成する各作品ピースの大きさを逆算し、この作品ピース寸法に縫い代やキセを加算して素材ピースの寸法を計算するが、この縫い代やキセも模様に応じて異なってくる問題があり、素材ピースの寸法を算出するためには、多くの手間を要する問題があった。
本発明は上記した問題点を解決することを目的とするもので、パッチワークのデザインを容易に行うことが出来、しかも素材ピースの寸法を簡単に算出できる補助装置及び該装置を備えたミシンを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記目的を達成するために本発明のパッチワーク縫い補助装置及びこれを備えたミシンは、複数のパッチワークの模様に関する情報を与える手段と、該パッチワークの模様を構成する複数のピースに関する情報を与える手段と、前記パッチワークの模様を選択する手段と前記ピースを選択する手段と、該選択する手段により選択された模様と選択されたピースとを組み合わせて表示する手段とを備え、前記パッチワークの模様に関する情報が、パッチワーク模様の外形状を表すデータと、該外形状内における前記ピースの配設位置データと、を含み、前記ピースに関する情報が、少なくともピースの形状を表す情報を含む、ことを特徴とする。
パッチワークの模様に関する情報を与える手段は、記憶装置や入力装置であって、少なくともパッチワーク模様の形状情報を供給する。また、同様にピースに関する情報を与える手段も記憶装置や入力装置等を用いる。パッチワーク模様に関する情報の典型的な実施例は、図5 ( A )に示すようにパッチワークの形状を表すデータである。ここでは、正方形の外形枠形状と、その内部を4 列4 段の合計8 個のマスで形成したピース配設のための配設データとで構成されている。そして、ピースに関する情報は、好適な実施例においては該マスに配設されるピースの形状情報であり、図5 の(B )に示すように正方形、横長長方形、縦長長方形、色分けを指定した正方形等のピースが提供されるようになっているまたピースに関する情報には、ピーースの色に関する情報を含んでも良い。またピースに施される縦線や斜線或いは点等の模様やその他の一般的な模様などの情報を含んでも良い。
選択手段は上記したようなパッチワーク模様とそこに組み合わされるピースを選択するためのものであり、通常はユーザの操作により実行される。この選択されたパッチワーク模様とピースとは組み合わされて表示する手段に表示され、ユーザはパッチワーク模様の全体像を具体的な表示により確認することが可能になる。
請求項2 の発明においては、複数のパッチワークの模様に関する情報を与える手段と、該パッチワークの模様を構成する複数のピースに関する情報を与える手段と、前記パッチワークの模様と前記ピースを選択する手段と、パッチワーク模様の作品の大きさに関する情報を与える手段と、該作品の大きさに関する情報に基づいて前記選択されたパッチワーク模様の素材ピースの大きさを演算する手段と、該演算結果を出力する手段とを備えている。
パッチワーク模様の作品の大きさに関する情報を与える手段は、好ましい実施例においては入力手段等であって、ユーザが製作する最終的な作品の大きさを入力する構成等が採用可能である。この作品の大きさに関する情報に基づいて、パッチワーク模様の素材ピースの大きさが演算する手段により演算される。この演算は、各模様パターンに適合して行われるように構成されている。また素材ピースの大きは、例えば作品の作品ピースの大きさに縫い代とキセを加えた大きさである。
更に素材ピースの大きさに加えて素材全体の大きさも演算するように構成することも可能である。
これらの演算結果は出力する手段により出力される。出力する手段としては、表示手段や音声出力手段或いは印刷手段等を用いることが可能である。
【0005】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。この実施例ではパッチワーク縫い補助装置がミシンに備え付けられているが、いうまでもなく補助装置はミシンから分離独立した装置であっても良い。
【0006】
図1において、模様に関する情報を与える手段とピースに関する情報を与える手段は共通の記憶手段1として実現されている。即ち記憶手段1には、複数のパッチワークの模様に関する情報の1つである複数のパッチワークの模様外形状A〜Nに関する情報が記憶されている。また該パッチワークの模様を構成する複数のピースに関する情報である、前記模様外形状の中に配設されるピース形状が記憶されている。また該ピース形状に施される色と模様に関する情報が記憶されている。この実施例では更に素材作品ピース等の寸法を演算するためのプログラムが各模様毎に記憶されている。
この記憶手段1はミシン本体に備え付けのものであっても良いし、或いはROMカード等のカード化されたものでも良い。カード化した場合には模様毎に異なるカードとしても良い。
【0007】
この記憶手段1に記憶された外形状A〜Nは模様選択手段2により制御手段6を介して選択できるようになっており、制御手段6がパッチワークの模様を選択する手段になっている。
更に選択した模様外形状に配設すべきピース形状をピース選択手段3により選択し、ピースに施す色又は模様を色/模様指定手段4により選択できるようになっている。該ピース選択手段3がピースを選択する手段になっている。
模様選択手段2とピース選択手段3で選択されたパッチワーク模様とピースは制御手段6を介して表示手段9上に組み合わされて表示されるように構成されている。
上記制御手段6と表示手段9とにより、パッチワークの模様と選択されたピースとを組み合わせて表示する手段を構成している。
【0008】
例えば図4に示すパッチワーク模様の中から、チェッカーボードを選択すると、記憶手段1から記憶されている内容が読み出されて、表示手段9に図5(A)に示すように外形状が実線で表示され、ピースの配設パターンが点線で表示されようになっている。また同時に(B)に示すようにピースパターンが表示され、更に色指定がスペクトルに従って指定できるようになっており、またピースの中に施される模様が指定できるようになっている。
図5の(C)(D)(E)は、ピースパターンの選択と色及び模様指定により同一の模様外形状を用いて種々の作品模様が形成できることを示している。
【0009】
この実施例では更に模様数入力手段5を備えており、図5の(C)、(D)、(E)に示すように形成したパッチワーク模様を縦横方向に任意にコピーして大きな模様を形成できるようになっている。図6に示す例は図5の(C)に示す模様を縦横方向にそれぞれ4回繰返して形成したものである。
【0010】
ユーザはこのようにパッチワーク模様を構成することができ、その完成品の模様形状及び色を表示手段9により目視することができるから、模様のデザインが簡単に行え、しかも実施の模様の像を確認することが可能になる。
【0011】
この実施例では更に、デザインした模様の素材ピースの大きさと素材全体の大きさを演算できるようになっている。
即ち、制御手段6により組み合わされた模様は演算手段8に読み出されるようになっている。また演算手段8には作品大きさ入力手段7から作品大きさの情報が入力されるようになっており、演算手段8はこれらの情報により記憶手段1からの演算プログラムに基づいて素材ピースSの大きさ(寸法)を計算し、表示手段9に表示するようになっている。
演算手段8は素材ピースSの大きさ以外に、この実施例では素材Mの大きさを計算するように構成しており、また色毎の素材ピース数を出力することが可能になっている。
【0012】
図7(A)に示すように作品大きさを入力すると、最初に完成品の各作品ピースの大きさが演算され、これに縫い代とキセを加算して素材ピースの計算が行われる。そして、(B)に示すように素材ピース寸法が表示されるようになっている。同時にこの実施例では色毎に素材全体の大きさを計算して表示するようになっており、ユーザはこの表示により各色の素材を用意すれば、デザインしたパッチワーク模様を作成することが出来るようになっている。
【0013】
図2は本発明の一実施例のハード的な構成を示すブロック図である。
CPU100はプログラム記憶装置101に記憶されたプログラムに従ってミシンの制御を行っており、足踏み式等の速度コントローラである回転速度指令装置103により指示された速度でミシンモータ駆動回路110を制御して、ミシンモータ111を回転させ、該指示速度に応じた縫い速度で縫目形成機構112を駆動するようになっている。縫目形成機構112は針棒と針及び布送り機構により構成され、所定の縫いを実行するようになっている。ミシンモータ111の回転数はモータ回転検出センサ113により検出され、CPU100にフィードバックされて速度制御に使用されるようになっている。
タイミング信号発生装置114はミシン本体の上軸の回転位相を検出して、針の上下動を検出し、CPU100に該タイミング信号を入力するように構成されている。
該ミシン本体(図示せず)のフロント部には、表示装置81が設けられており、表示制御装置80によりCPU100からの指令に応じて種々の表示を行うようになっている。
ミシン本体には更にパッチワーク演算モード選択キー29が設けられており、パッチワークの演算を行いたいときにはこのパッチワーク演算モード選択キー29を押して演算モードに移行できるようになっている。
なお、11は一時記憶装置である。
【0014】
模様データ/演算プログラム記憶装置10には前記したようにパッチワーク模様データ、ピースデータと素材ピース寸法及び素材全体寸法演算プログラムが記憶されており、この模様データに基づいてパッチワーク模様が表示装置81に表示され、該表示を見ながらパッチワーク模様選択キー15により模様の選択を行えるように構成されている。そして、ピース選択キー16により選択した模様のピースパターンを選択し、更に色/模様指定キー17により色、模様の選択を行えるようになっている。また、模様数入力キー18により模様の縦横方向の拡大を行えるようになっている。
更に作品大きさ入力キー23、制御キー27が設けられており、必要な事項をこれらのキーを操作して入力するようになっている。
【0015】
これらのパッチワーク模様選択キー15、ピース選択キー16、色/模様指定キー17、模様数入力キー18、作品大きさ入力キー23、制御キー27はこの実施例では表示装置81の液晶表示画面上に形成されたタッチパネルになっており、処理の進行に応じて適宜画面上に表示形成されるようになっている。
なお、表示装置81の他に音声表示装置を用いることも可能である。
またこの実施例では表示装置81の内容をプリンタ等の印刷装置30に出力することが出来るようになっている。
【0016】
CPU100には演算手段8に相当する機能が形成されており、模様データ/演算プログラム記憶装置10から読みだした演算プログラムに応じて、パッチワーク模様毎に寸法計算を実行するようになっている。
【0017】
図3により動作を説明する。
最初にパッチワーク演算モード選択キー29を操作すると、表示装置81に図4に示すようにパッチワーク模様の選択画面が表示され、制御キー27を操作して、ページをめくることにより次々にパッチワーク模様が表示される(ステップS1)。そして、パッチワーク模様選択キー15にタッチすることにより所定のパッチワーク模様を選択する(ステップS2)。
表示装置81には選択されたパッチワーク模様の外形状とピース配設のためのマスとピースパターンが図5に示すように表示され(ステップS3)、ここで外形状の各マス毎にピースパターンをピース選択キー16により選択し(ステップS4)、同時にピースに施す色や模様等を色/模様指定キー17により指定する(ステップS5)。この操作により組み合わされた模様が図5の(C)、(D)、(E)に示すように表示される(ステップS6)。選択が終了したか否か判断し(ステップS7)、模様数入力キー18により模様の縦横方向の繰り返しがある場合には(ステップS8、9、10)、図6に示すように入力された数だけ縦横方向のコピーして、模様全体を表示装置81に表示させる(ステップS11)。
ここで、修正がある場合には上記ステップを繰り返す(ステップS12、13)。
次にパッチワーク演算モード選択キー29が操作されて作品大きさ入力キー23により作品の大きさが入力されると(ステップS14)、CPU100は、素材ピースの大きさ及び素材の大きさを演算し、表示装置81に表示する(ステップS15)。図7は表示装置81の表示の一例を示すもので、作品の大きさの指定により作品大きさ表示82が表示され、同時に構成するピース数がピース数表示83に表示される。そして、演算結果は(B)に示すように素材ピース寸法結果表示84、色毎のピース数結果表示85および素材全体寸法結果表示86に表示されるようになっている。
表示装置81に表示された内容は希望により印刷装置30によりプリントアウトされて(ステップS16)、動作を終了する。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のパッチワーク縫い補助装置及び該補助装置を備えたミシンによれば、パッチワーク模様のデザインを簡単に行うことができ、しかも作品の全体を表示手段に表示させて確認することが可能になる。
また請求項2の発明では、パッチワーク模様の素材ピースの大きさを計算でき、煩雑な計算を行う必要がなくなる効果がある。
また請求項5の発明では素材ピースの大きさに加えて素材全体の大きさも演算でき、用意すべき素材の大きさも知ることが可能になる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するフローチャート図。
【図4】本発明の一実施例の動作説明図。
【図5】本発明の一実施例の動作説明図。
【図6】本発明の一実施例の動作説明図。
【図7】本発明の一実施例の動作説明図。
【符号の説明】
1:記憶手段、2:模様選択手段、3:ピース選択手段、4:色/模様指定手段、5:模様数入力手段、6:制御手段、7:作品大きさ入力手段、8:演算手段、9:表示手段、10:模様データ/演算プログラム記憶装置、11:一時記憶装置、15:パッチワーク模様選択キー、16:ピース選択キー、17:色/模様指定キー、18:模様数入力キー、23:作品大きさ入力キー、27:制御キー、29:パッチワーク演算モード選択キー、30:印刷装置、80:表示制御装置、81:表示装置、82:作品大きさ表示、83:ピース数表示、84:素材ピース寸法結果表示、85:色毎のピース数結果表示、86:素材全体寸法結果表示、100:CPU、101:プログラム記憶装置、103:回転速度指令装置、110:ミシンモータ駆動回路、111:ミシンモータ、112:縫目形成機構、113:モータ回転検出センサ、114:タイミング信号発生装置。
Claims (7)
- 複数のパッチワークの模様に関する情報を与える手段と、該パッチワークの模様を構成する複数のピースに関する情報を与える手段と、前記パッチワークの模様を選択する手段と、前記ピースを選択する手段と、該選択する手段により選択された模様と選択されたピースとを組み合わせて表示する手段と、を備え、前記パッチワークの模様に関する情報が、パッチワーク模様の外形状を表すデータと、該外形状内における前記ピースの配設位置データと、を含み、前記ピースに関する情報が、少なくともピースの形状を表す情報を含む、ことを特徴とするパッチワーク縫い補助装置。
- 複数のパッチワークの模様に関する情報を与える手段と、該パッチワークの模様を構成する複数のピースに関する情報を与える手段と、前記パッチワークの模様と前記ピースを選択する手段と、パッチワーク模様の作品の大きさに関する情報を与える手段と、該作品の大きさに関する情報に基づいて前記選択されたパッチワーク模様の素材ピースの大きさを演算する手段と、該演算結果を出力する手段と、を備えたことを特徴とするパッチワーク縫い補助装置。
- 前記パッチワークの模様に関する情報が、パッチワーク模様の外形状を表すデータと、該外形状内における前記ピースの配設位置データと、を含み、前記ピースに関する情報が、少なくともピースの形状を表す情報を含む、ことを特徴とする、請求項2に記載のパッチワーク縫い補助装置。
- 前記ピースに関する情報が、色と模様の中の少なくとも1つを含む、請求項1又は2又は3のうちいずれか1項に記載のパッチワーク縫い補助装置。
- 前記演算する手段が、各素材ピースの大きさに加えて素材全体の大きさも演算する、請求項2又は3又は4のうちいずれか1項に記載のパッチワーク縫い補助装置。
- 前記素材ピースの大きさが、作品の作品ピースの大きさに縫い代とキセを加えたものである、請求項2又は3又は4又は5のうちいずれか1項に記載のパッチワーク縫い補助装置。
- 請求項1又は2又は3又は4又は5又は6のうちいずれか1項に記載のパッチワーク縫い補助装置を備えたミシン。
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