JP3904240B2 - セラミック素子 - Google Patents

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Description

発明の背景
I.技術分野
本発明は、アクチュエータ、各種振動子、ディスプレイ、リレー等に用いられる電気エネルギーを機械エネルギーに変換する素子ないしは、フィルタ、共振回路等に用いられるコンデンサ素子であって、特に反強誘電相−強誘電相転移を利用したセラミック素子に関する。
II.背景技術
近年、光学や精密加工等の分野において、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する変位素子が所望されるようになってきている。
これに応えるものとして、強誘電体等の圧電材料に電界を加えた時に起きる逆圧電効果に基づくところの変位の発現を利用したアクチュエータの開発が進められている。
その中で、本出願人にあっても、先に、特開平3−128681号公報や特開平5−49270号公報等において、各種の用途に好適に用いられるセラミックス製の圧電/電歪膜型素子を提案している。
前記提案例に係る圧電/電歪膜型素子は、小型で安価な、高信頼性の電気機械変換素子であるとともに、低い駆動電圧にて大変位を得られ、また応答速度が速く、かつ発生力も大きいという優れた特徴を有しており、アクチュエータ、ディスプレイ、リレー等の構成部材等として有用である。
ところで、前記圧電/電歪膜型素子は、圧電/電歪作動部(アクチュエータ部)に電圧を印加することによって、その逆圧電効果あるいは電歪効果で機械的変位を得るようにしているため、印加電圧に対して変位量の大小を精密に制御可能な利点を有する反面、微細な素子では大きな変位の発生力を得ることが困難であるという欠点を有する。
また、圧電/電歪膜型素子は、一方向に変位した状態を一定時間にわたって維持する必要がある場合には、圧電/電歪膜作動部に対して電圧を印加し続ける必要がある。
このため、例えば本発明者らが特開平7−287176号公報で開示したような表示装置に適用する場合、発光状態を維持する必要のある期間中、前記圧電/電歪膜作動部に電圧を印加しつづけなければならない。
この場合、多数の発光素子が2次元的に配列されて構成される表示装置等を作製する際に、駆動用の電気配線を1素子ずつ独立して配設する必要があり、設計的、製造的に大きな制約となる。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、印加電圧に対応して変位量の大小を精密に制御可能であって、かつ、微細な素子においても、圧電/電歪膜型素子を上回る大きな変位発生力を得ることが可能なセラミック素子を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、前記条件に加えて、駆動電圧の印加終了後における電圧無負荷状態ないし低負荷状態において、駆動電圧印加時とほぼ同等の変位量を維持することができるセラミック素子を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、前記条件に加えて、様々なアプリケーション(表示装置やフィルタ等)を構成した場合に、駆動用の電気配線を簡素化でき、製造コストの低廉化を有効に図ることができるセラミック素子を提供することにある。
発明の開示
反強誘電体膜と該反強誘電体膜に形成された少なくとも一対の電極とを有するアクチュエータ部本体と、前記アクチュエータ部本体を支持する振動部と、前記振動部を振動可能に支持する固定部とを設けて構成する。
ここで、反強誘電体膜の動作原理について説明する。反強誘電体膜においては、強誘電相が温度、応力、電界などの変化によって誘起されたとすると、その歪みxFは、以下の式で与えられる。
F=Q(1+Ω)PF 2
但し、PFは強誘電的分極でPF=(Pa+Pb)/2であり、Pa及びPbは副格子分極を示す。
ペロブスカイト型結晶では、電歪定数Qh(=Q11+2Q12)が正値をとるため、通常の強誘電体の自発体積歪みは常に正であるのに対して、反強誘電体では、Ωの値によってその自発歪みxAは正にも負にもなり得る。なお、ジルコン酸鉛(PbZrO3)ではΩ=1.8である。
仮に、反強誘電相−強誘電相転移の前後で副格子分極の絶対値|Pa|,|Pb|があまり変化しないと考えた場合、この転移に伴う歪み変化量Δxは、
Δx=xF−xA=2QΩPF 2
となる。また、反強誘電相−強誘電相転移を利用する方が、常誘電相−反強誘電相転移を用いるよりも大きな変位が得られることが知られている。
例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)派生系セラミックス(多結晶体)は、高温相の立方晶常誘電相から温度の降下につれて擬正方晶反強誘電相、斜方晶強誘電相へと逐次転移を示すことが知られている。従って、室温での反強誘電相が安定な組成を選ぶと、外部電界の印加によって容易に強誘電相を誘起することが可能であり、それに付随して大きな歪みの変化が行われることが予想される。
そして、強誘電相が誘起されると電界を零にしても反強誘電相に戻ることはなく、「強誘電相の歪みの状態を記憶する効果(形状記憶効果)」を示す。元の反強誘電状態に戻すには、小さな逆バイアス電界を印加する、あるいは昇温アニールすればよい。
つまり、反強誘電体は、外部電界の印加により電界誘起相転移を生じるため、前記一対の電極に所定電圧以上の電圧を印加することにより、反強誘電相から強誘電相に相転移して体積変化し、容易に機械的変位を得ることができる。
この変位量は、前記相転移に伴うことから、圧電/電歪素子のように、印加電圧値によって変位量の大小を精度よく制御することはできないが、逆に印加電圧を下げても、該印加電圧が、強誘電相から元の反強誘電相に相転移する所定の電圧まで下がらなければ前記変位を維持しつづけることができるという特性を示す。
これを知って、本発明に係るセラミック素子をみると、該セラミック素子は、固定部にて振動可能に支持された振動部上に反強誘電体膜を有するアクチュエータ部本体が形成されたかたちとなるため、一対の電極に所定電圧を印加することにより、アクチュエータ部本体における反強誘電体膜は、前記所定電圧による外部電界によって電界誘起相転移が生じ、その相転移に伴って機械的変位が発生する。この変位は振動部によって増幅され、アクチュエータ部本体は一方向(例えばアクチュエータ部本体が自由空間を臨む方向)に変位することになる。
一旦、アクチュエータ部本体が一方向に変位した場合、一対の電極への電圧印加を停止(例えば電界=0)しても、その変位はそのまま維持される。そのため、アクチュエータ部本体に生じた変位を一定期間にわたって維持する必要がある場合においても、一対の電極に電圧を印加し続ける必要がなくなる。なお、アクチュエータ部本体に生じた変位を元に戻すには、一対の電極に小さな逆バイアス電圧、具体的には、強誘電相から反強誘電相に相転移する電圧を印加すればよい。
このように、本発明に係るセラミック素子においては、一対の電極への印加電圧に応じて機械的変位量がデジタル的に変化し、更に電圧の印加終了後における電圧無負荷状態において、電圧印加時と同等の変位量を維持することができる。
そして、前記構成において、前記一対の電極として、該一対の電極への印加電圧によって発生する電界の強さが空間的に異なる形態を有するようにしてもよい。これにより、アクチュエータ部本体のうち、一部の領域が例えば低い電圧印加によって変位し、その他の部分は変位しないという現象が生じ、その後、例えば高い電圧を一対の電極に印加することによって、前記その他の部分も変位して、アクチュエータ部本体全体が変位する。
即ち、アクチュエータ部本体は、印加電圧を昇圧していくにつれて、逐次、比較的高電界のかかる部分から順次デジタル的に変位していくことになる。
このように、本発明に係るセラミック素子においては、一対の電極に印加される電圧値により複数の変位形態及び/又は変位分布を選択することができ、準アナログ的な機械的変位の実現を図ることができる。
前記変位形態等の選択性に富んだ素子を得る場合、具体的には、前記一対の電極における電極間距離が大きい領域と小さい領域を有するようにすればよい。一対の電極パターンによって電極間距離の大きい領域と小さい領域を形成することにより、一対の電極に一定電圧を印加した場合において、常に前記大きい領域よりも前記小さい領域の方が高い電界が発生するため、印加電圧が低いときは、ある電圧で、前記反強誘電体膜のうち、前記小さい領域に対応する部分だけが相転移して、変位することになる。次に、より大きな電圧を一対の電極に印加すると、ある電圧で前記大きい領域が相転移して変位する。結果として、2つの印加電圧レベルのうちのいずれかを選択することにより、2つの変位形態・変位分布を任意に選択できるという効果を得ることができる。
もちろん、一対の電極に印加する電圧レベルと変位形態・変位分布の数は3つ以上でも実現可能である。
また、前記構成において、分極後の前記反強誘電体膜に前記電極に印加される電圧に応じて、その平均誘電率がアナログ的に増加する領域を有するようにしてもよい。この場合、電極に電圧を印加することにより、アクチュエータ部本体における反強誘電体膜は、印加される電圧に応じた領域にわたって電界誘起相転移が生じることとなる。印加電圧というときは、正電圧及び負電圧の絶対値を指す。
具体的に、本発明に係るセラミック素子の作用について説明すると、印加電圧が徐々に上昇することによって、まず、印加電圧が所定電圧に達するまでは、アクチュエータ部本体に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜には電界誘起相転移(以下、単に相転移と記す)は生じない。
印加電圧が所定電圧を越えた段階から、電極間の距離が最も短い領域や電極に最も近い領域が相転移させるのに十分な電界強度を有することとなって、これらの領域において相転移が生じ、その相転移に伴って機械的変位が発生する。この変位は振動部によって増幅され、アクチュエータ部本体は一方向(例えばアクチュエータ部本体が自由空間を臨む方向)に変位することになる。
更に、前記印加電圧が上昇するに従って、相転移させるのに十分な電界強度の領域が徐々に広がり、電極間の距離が長い領域や電極から遠い領域においても相転移が生じることになる。この場合、相転移領域の拡大に応じてアクチュエータ部本体の機械的変位も大きくなる。
即ち、本発明に係るセラミック素子においては、アクチュエータ部本体に生じた一方向への変位が印加電圧の上昇に応じてアナログ的に増大することとなる。
一旦、アクチュエータ部本体が一方向に変位した場合、一対の電極への電圧印加を停止(例えば電界=0)しても、その変位はそのまま維持される。そのため、アクチュエータ部本体に生じた変位を一定期間にわたって維持する必要がある場合においても、一対の電極に電圧を印加し続ける必要がなくなる。なお、アクチュエータ部本体に生じた変位を元に戻すには、一対の電極に小さな逆バイアス電圧、具体的には、強誘電相から反強誘電相に相転移する電圧を印加すればよい。
このように、本発明に係るセラミック素子においては、電極への印加電圧に応じて機械的変位量がアナログ的に変化し、更に電圧の印加終了後における電圧無負荷状態において、電圧印加時と同等の変位量を維持することができる。
そのため、印加電圧に対応して変位量の大小を精密に制御可能であって、かつ、微細な素子においても、圧電/電歪膜型素子を上回る大きな変位発生力を得ることができる。
また、本発明に係るセラミック素子においては、駆動電圧の印加終了後における電圧無負荷状態ないし低負荷状態において、駆動電圧印加時とほぼ同等の変位量を維持することができ、当該セラミック素子を様々なアプリケーション(表示装置やフィルタ等)に適用した場合に、駆動用の電気配線を簡素化でき、製造コストの低廉化を有効に図ることができる。
なお、前記構成において、前記印加電圧に応じて平均誘電率がアナログ的に増加する領域を複数組み合わせるようにしてもよい。この場合、印加電圧に応じて変位する割合(変位増大率)の異なる領域が複数存在することになる。また、印加電圧値によって複数の変位形態及び/又は変位分布を選択することができ、変位形態等の選択性に富んだ素子を得ることができる。
前記変位形態等の選択性に富んだ素子を得る場合、具体的には、例えば前記一対の電極における電極間距離が大きい領域と小さい領域を有するようにすればよい。一対の電極パターンによって電極間距離の大きい領域と小さい領域を形成することにより、一対の電極に一定電圧を印加した場合において、常に前記大きい領域よりも前記小さい領域の方が高い電界が発生するため、印加電圧が低いときは、ある電圧で、前記反強誘電体膜のうち、前記小さい領域に対応する部分だけが相転移して、変位することになる。次に、より大きな電圧を一対の電極に印加すると、ある電圧で前記大きい領域が相転移して変位する。結果として、2つの印加電圧レベルのうちのいずれかを選択することにより、2つの変位形態・変位分布を任意に選択できるという効果を得ることができる。
もちろん、一対の電極に印加する電圧レベルと変位形態・変位分布の数は3つ以上でも実現可能である。
そして、前記構成において、前記振動部及び固定部を、セラミックグリーンシート又はセラミックグリーンテープを積層し、一体焼成して構成された基体に設けるようにしてもよい。
この場合、少なくとも振動部を、主として部分安定化ジルコニアにて構成するようにしてもよい。これにより、高強度かつ高靱性の振動部とすることができ、セラミック素子の長寿命化を図ることができる。
また、前記構成において、前記反強誘電体膜の組成を、主として下記の組成としてもよい。
Pb0.99Nb0.02{[ZrxSn1-x1-yTiy0.983
但し、0.5<x<0.6,0.05<y<0.063,0.01<Nb<0.03
この場合、反強誘電相−強誘電相転移を利用するため、常誘電相−反強誘電相転移を用いるよりも大きな変位が得られる。特に、前記組成は、室温での反強誘電相が安定であるため、外部電界の印加によって容易に強誘電相を誘起することが可能であり、それに付随して大きな歪みの変化を行わせることができる。
特に、前記反強誘電体膜の材料として、前記組成にAgを酸化銀換算で1〜10重量%含有することが、より緻密で大きな変位を得る上で、また、より安定な形状記憶特性を得る上で好適である。
なお、前記のAgを含有させる手段としては、反強誘電体膜を合成する過程において、酸化物の形態で他の原料粉末と同時に添加してもよいし、予め合成した反強誘電体材料粉末に、酸化銀として、あるいは硝酸銀の水溶液として粉砕混合してもよい。また、あるいは印刷ペーストを調合する際に、酸化銀粉末の形態やAgの有機金属化合物の形態で混合してもよい。
そして、基体の構成としては、窓部が設けられたスペーサプレートと該スペーサプレートの一方の側に重ね合わされて前記窓部を覆蓋する閉塞プレートとを積層し、一体焼成して構成するようにしてもよい。この場合、振動部上の微細な領域にアクチュエータ部本体を形成することが可能となり、アクチュエータ部本体の高集積化を実現させることができる。
また、前記スペーサプレートの他方の側に重ね合わされて前記窓部を覆蓋し、かつ該窓部に対応する位置に1つ以上の貫通孔を有する少なくとも1層のベースプレートを積層し、前記スペーサプレート及び閉塞プレートと共に一体焼成して基体を構成するようにしてもよい。この場合、スペーサプレート、閉塞プレート及びベースプレートの積層体が一体焼成されて振動部及び固定部が形成されることになるが、一般に、窓部の両開口部を閉塞して一体焼成した場合、窓部での圧力上昇によって焼成体自体が破壊されるおそれがある。しかし、本発明では、ベースプレートに1つ以上の貫通孔を設けるようにしているため、一体焼成時に発生する窓部の圧力が貫通孔を通じて外部に逃げ、前記積層体の一体焼成に伴う破壊は回避される。これは、振動部及び固定部の信頼性の向上において有利となる。
少なくとも反強誘電体膜の一部における前記一対の電極の形成の態様としては、前記一対の電極を共に、前記反強誘電体膜の一主面に形成するようにしてもよいし、前記対の電極のうち、一方の電極を前記反強誘電体膜の一主面に形成し、他方の電極を前記反強誘電体膜の他主面に形成するようにしてもよい。
特に、一対の電極を反強誘電体膜の一主面に形成した場合においては、前記反強誘電体膜の平均膜厚をt、電極間のピッチをpとしたとき、p/t≦2.5を満足することが好ましい。また、前記振動部を、主としてアルミナを0.5モル%以上含有する部分安定化ジルコニアにて構成することが好ましい。この場合、振動部上に直接反強誘電体膜が形成される形となるため、反強誘電体膜と振動部とが強固に結合し、これにより、高い変位量のセラミック素子を得ることができる。
また、一方の電極を反強誘電体膜の一主面に形成し、他方の電極を反強誘電体膜の他主面に形成した場合においては、前記一方の電極の面積をA、前記他方の電極の面積をBとしたとき、A/B≧2又はA/B≦0.5を満足することが好ましく、あるいは前記電極間に挟まれた領域の膜厚分布に20%以上のばらつきがあることが好ましい。
特に、上述のような電極形態においては、前記振動部を主として酸化チタンを0.5モル%以上含有する部分安定化ジルコニアにて構成するようにしてもよい。この場合、他方の電極を介して反強誘電体膜と振動部とが強固に結合されるため、信頼性が増すと共に、反強誘電体膜と振動部の相対する面において、電極の存在しない領域においては、反強誘電体膜と振動部とが固着しない。そのため、アクチュエータ部本体の振動変位に対して拘束されず、高い変位量のセラミック素子を得ることができる。
そして、一対の電極を反強誘電体膜の一主面に形成した場合においては、前記振動部と反強誘電体膜との間に中間層を設けるようにしてもよい。この場合、前記中間層は、Pt又はPdの金属、あるいは両者の合金であることが好ましい。また、中間層の厚みは1μm以上、10μm以下であることが適当であり、2μm以上、6μm以下であることが好ましい。
また、前記構成において、前記振動部の厚みを反強誘電体膜の厚みよりも薄くすることが好ましい。この場合、振動部の中心を通る最短寸法における前記固定4部の上面と前記振動部の上面との境界部分を境界点と定義し、該境界点から前記反強誘電体膜の形成端までの距離をLn、前記振動部の厚みをtvとしたとき、Ln<tv×15を満足する場合、前記基体の厚みtbがtb≦350μmであることが適当であり、好ましくはtb≦250μm、より好ましくはtb≦130μmであり、tb≦70μmが最も好ましい。
また、前記境界点から前記反強誘電体膜の形成端までの距離LnがLn≧tv×15を満足する場合においては、前記振動部の厚みtvは1〜50μmが好ましく、3〜20μmが更に好ましい。一方、反強誘電体膜22の平均厚さは、1〜100μmが好ましく、3〜50μmが更に好ましく、5〜40μmが最も好ましい。
また、前記基体上に形成された前記反強誘電体膜は、荷重が付与されながら焼成処理されていることが望ましい。この場合、前記荷重としては、0.4kg/cm2以上であることが好ましい。更に、前記振動部直下の空間の深さが10μm以下であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、第1の実施の形態に係るセラミック素子の構成を示す断面図である。
図2は、第1の実施の形態に係るセラミック素子のアクチュエータ部本体を構成する振動部の平面形状、反強誘電体膜の平面形状及び一対の電極にて形づくられる外周形状を示す平面図である。
図3は、第1の実施の形態に係るセラミック素子の反強誘電体膜上に形成される一対の電極の平面形状(渦巻き状)を示す平面図である。
図4は、第1の実施の形態に係るセラミック素子の反強誘電体膜上に形成される一対の電極の平面形状(多枝形状)を示す平面図である。
図5Aは、第1の実施の形態に係るセラミック素子の反強誘電体膜上にくし歯形状の一対の電極を形成した場合の構成を示す平面図である。
図5Bは、図5AにおけるA−A線上の断面図であり、図5Cは図5AにおけるB−B線上の断面図である。
図6Aは、第1の実施の形態に係るセラミック素子(アナログ変位タイプ)におけるアクチュエータ部の一対の電極に電圧V=0を印加した状態を示す説明図である。
図6Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V1を印加した状態を示す説明図である。
図6Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V2を印加した状態を示す説明図である。
図6Dは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V3を印加した状態を示す説明図である。
図7は、第1の実施の形態に係るセラミック素子におけるアナログ変位タイプの屈曲変位特性の一例を示す特性図である。
図8Aは、第1の実施の形態に係るセラミック素子(デジタル変位タイプ)におけるアクチュエータ部の一対の電極に電圧V=0を印加した状態を示す説明図である。
図8Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V1を印加した状態を示す説明図である。
図8Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V2を印加した状態を示す説明図である。
図8Dは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V3を印加した状態を示す説明図である。
図9Aは、第1の実施の形態に係るセラミック素子(アナログ変位タイプ及びデジタル変位タイプ)におけるアクチュエータ部の初期状態を示す説明図である。
図9Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧を印加して該アクチュエータ部を変位させた状態を示す説明図である。
図9Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極への電圧印加を停止した状態(電圧無負荷状態)を示す説明図である。
図10Aは、比較例に係る圧電/電歪膜型素子におけるアクチュエータ部の初期状態を示す説明図である。
図10Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧を印加して該アクチュエータ部を変位させた状態を示す説明図である。
図10Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極への電圧印加を停止した状態(電圧無負荷状態)を示す説明図である。
図11Aは、一対の電極の平面形状が渦巻き形状である場合の反強誘電体膜及び圧電/電歪膜の膨張方向を説明するための図である。
図11Bは、図11Aにおいて□で囲む部分の反強誘電体膜の膨張方向を示す拡大図である。
図11Cは、図11Aにおいて□で囲む部分の圧電/電歪膜の膨張方向を示す拡大図である。
図12Aは、アクチュエータ部の最短寸法での断面形状を一部省略して示す断面図である。
図12Bは、一方の最外極小点と他方の最外極小点が固定部の上面よりも下方に存在する場合を一部省略して示す断面図である。
図12Cは、一方の最外極小点と他方の最外極小点が固定部の上面よりも上方に存在する場合を一部省略して示す断面図である。
図13は、アクチュエータ部の最短寸法での断面形状において、他方の極小点存在領域内に他方の最外極小点が存在せず、他方の境界点が他方の最外極小点として認定される場合の例を一部省略して示す断面図である。
図14Aは、第1の実施の形態に係るセラミック素子の変形例を示す平面図である。
図14Bは、図14AにおけるC−C線上の断面図である。
図15Aは、前記変形例に係るセラミック素子の一対の電極に低い電圧範囲(電圧レベルV1〜V2)を印加した状態での変位形態を示す説明図である。
図15Bは、前記変形例に係るセラミック素子の一対の電極に高い電圧範囲(電圧レベルV2〜V3)を印加した状態での変位形態を示す説明図である。
図16は、第2の実施の形態に係るセラミック素子の構成を示す断面図である。
図17Aは、第2の実施の形態に係るセラミック素子(第1のアナログ変位タイプ)におけるアクチュエータ部の一対の電極に電圧V=0を印加した状態を示す説明図である。
図17Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V1を印加した状態を示す説明図である。
図17Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V2を印加した状態を示す説明図である。
図17Dは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V3を印加した状態を示す説明図である。
図18Aは、第2の実施の形態に係るセラミック素子(第1のアナログ変位タイプ)における上部電極の平面形状の一例(渦巻き形状)を示す平面図である。
図18Bは、その他の例(ジグザグ形状)を示す平面図である。
図19Aは、第2の実施の形態に係るセラミック素子(第2のアナログ変位タイプ)におけるアクチュエータ部の一対の電極に電圧V=0を印加した状態を示す説明図である。
図19Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V1を印加した状態を示す説明図である。
図19Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V2を印加した状態を示す説明図である。
図19Dは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V3を印加した状態を示す説明図である。
図20Aは、第2の実施の形態に係るセラミック素子(デジタル変位タイプ)におけるアクチュエータ部の一対の電極に電圧V=0を印加した状態を示す説明図である。
図20Bは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V1を印加した状態を示す説明図である。
図20Cは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V2を印加した状態を示す説明図である。
図20Dは、前記アクチュエータ部の一対の電極に電圧V=V3を印加した状態を示す説明図である。
図21は、第2の実施の形態に係るセラミック素子におけるデジタル変位タイプの屈曲変位特性の一例を示す特性図である。
図22は、第2の実施の形態に係るセラミック素子の変形例を示す断面図である。
図23Aは、前記変形例に係るセラミック素子の一対の電極に低い電圧範囲(電圧レベルV1〜V2)を印加した状態での変位形態を示す説明図である。
図23Bは、前記変形例に係るセラミック素子の一対の電極に高い電圧範囲(電圧レベルV2〜V3)を印加した状態での変位形態を示す説明図である。
図24は、第3の実施の形態に係るセラミック素子の構成を示す断面図である。
図25は、バルク型素子の構成を示す斜視図である。
図26は、第1の実験例(中間層の厚みによる変位保持率の変化をみた実験例)の結果を示す表図である。
図27は、第2の実験例(基体の厚みによる変位保持率の変化をみた実験例)の結果を示す表図である。
図28は、基体及び振動部の厚みの寸法関係を説明するための図である。
図29は、ホットプレス法を示す説明図である。
図30Aは、ホットプレス法の第1の具体的手法を概略的に示す説明図である。
図30Bは、ホットプレス法の第2の具体的手法を概略的に示す説明図である。
図31は、第3の実験例(ホットプレス荷重による反強誘電体膜の緻密度の変化をみた実験例)の結果を示す表図である。
図32は、反強誘電体セラミック材料の粉末を合成する場合における通常の方法を示す工程ブロック図である。
図33は、見越し補正を行う場合の反強誘電体セラミック材料の粉末の合成方法を示す工程ブロック図である。
図34は、第4の実験例(見越し補正量による変位保持率の変化をみた実験例)の結果を示す表図である。
図35は、鉛成分の後補正を行う場合の反強誘電体セラミック材料の粉末の合成方法を示す工程ブロック図である。
図36は、第5の実験例(鉛成分の後補正量による膜の緻密度の変化をみた実験例)の結果を示す表図である。
図37は、見越し補正及び鉛成分の後補正を組み合わせる場合の反強誘電体セラミック材料の粉末の合成方法を示す工程ブロック図である。
図38は、第6の実験例(SnO2の比表面積の違いによるヒステリシス特性の変化をみた実験例)の結果を示す表図である。
図39Aは、振動部が沈み込んだ状態を示す断面図である。
図39Bは、振動部の沈み込みを抑制した構成を示す断面図である。
図40は、空所の深さが10μmであるセラミック素子の第1の製造方法を示す説明図である。
図41Aは、空所の深さが10μmであるセラミック素子の第2の製造方法を示すもので、ベースプレートとなる第1層上にペーストを形成して第2層とした状態を示す工程図である。
図41Bは第2層上に閉塞プレートとなる第3層を積層した状態を示す工程図である。
図41Cは、3層の積層体を焼成して基体として一体化させた状態を示す工程図である。
図42は、第7の実験例(第2層と反強誘電体膜の厚みによる振動部の沈み込み量とピーク電圧通常印加時の変位の変化をみた実験例)における振動部の沈み込み量を説明するための図である。
図43は、第7の実験例の結果を示す表図である。
図44は、第8の実験例(実施例17と比較例16についての各ヒステリシス特性(電圧−屈曲変位特性)と各変位保持率の違いをみた実験例)の結果を示す表図である。
図45は、バルク型素子の印加電圧に対する歪みの変化(ヒステリシス特性)を示す特性図である。
図46は、実施例17及び比較例16についての電圧−屈曲変位特性を測定するために、一対の電極に印加すべき電位波形を示すタイミングチャートである。
図47は、実施例17における電圧−屈曲変位特性(ヒステリシス特性)を示す特性図である。
図48は、比較例16における電圧−屈曲変位特性(ヒステリシス特性)を示す特性図である。
図49は、第1の実施の形態に係るセラミック素子(アナログ変位タイプ及びデジタル変位タイプ)を表示装置に適用した応用例を示す構成図である。
図50は、応用例に係る表示装置におけるアクチュエータ部(画素)の配置を拡大して示す平面図である。
図51Aは、応用例に係る表示装置の動作(発光状態及び消光状態)を示す説明図である。
図51Bは、比較例に係る表示装置の動作(発光状態及び消光状態)を示す説明図である。
図52は、第3の実施の形態に係るセラミック素子を表示装置に適用した応用例を示す構成図である。
図53は、第1及び第2の実施の形態に係るセラミック素子をリレー装置に適用した応用例(以下、単に応用例に係るリレー装置と記す)を分解して示す構成図である。
図54は、応用例に係るリレー装置を示す組立構成図である。
図55Aは、応用例に係るリレー装置のアクチュエータ部(スイッチング素子)を変位させないで板ばねを対向端子板に対して非接触状態とした例を示す説明図である。
図55Bは、応用例に係るリレー装置のアクチュエータ部(スイッチング素子)を変位させて板ばねを対向端子板に対して接触状態とした例を示す説明図である。
図56Aは、第1の実施の形態に係るセラミック素子(アナログ変位タイプ)を容量可変コンデンサに適用した第1応用例におけるコンデンサ部の一対の制御電極に電圧V=0を印加した状態を示す説明図である。
図56Bは、前記コンデンサ部の一対の制御電極に電圧V=V1を印加した状態を示す説明図である。
図57Aは、前記コンデンサ部の一対の電極に電圧V=V2を印加した状態を示す説明図である。
図57Bは、前記コンデンサ部の一対の電極に電圧V=V3を印加した状態を示す説明図である。
図58は、第2の実施の形態に係るセラミック素子(第1のアナログ変位タイプ)を容量可変コンデンサに適用した第2応用例を示す構成図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係るセラミック素子の3つの実施の形態例を図1〜図48を参照しながら説明し、更に、応用例に係る表示装置と、応用例に係るリレー装置と、応用例に係る容量可変コンデンサを図49〜図58を参照しながら説明する。
まず、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aは、図1に示すように、例えばセラミックスにて構成された基体10を有し、該基体10の所定箇所にアクチュエータ部12が配設されている。
前記基体10は、一主面が連続した面(面一)とされ、前記アクチュエータ部12に対応した位置に空所14が設けられている。各空所14は、基体10の他端面に設けられた径の小さい貫通孔16を通じて外部と連通されている。
前記基体10のうち、空所14の形成されている部分が薄肉とされ、それ以外の部分が厚肉とされている。薄肉の部分は、外部応力に対して振動を受けやすい構造となって振動部18として機能し、空所14以外の部分は厚肉とされて前記振動部18を支持する固定部20として機能するようになっている。
つまり、基体10は、最下層であるベースプレート10Aと中間層であるスペーサプレート10Bと最上層である閉塞プレート10Cの積層体であって、スペーサプレート10Bのうち、画素に対応する箇所に空所14が形成された一体構造体として把握することができる。ベースプレート10Aは、補強用基板として機能するほか、配線用の基板としても機能するようになっている。なお、上記基体10は、一体焼成であっても、別途製作したものを接合してもよい。
前記アクチュエータ部12は、図1に示すように、前記振動部18と固定部20のほか、該振動部18上に直接形成された反強誘電体膜22と、該反強誘電体膜22の上面に形成された一対の電極(一方の電極24a及び他方の電極24b)とを有するアクチュエータ部本体26を有して構成されている。
ここで、各部材の形状について、図2〜図5Cを参照しながら説明する。まず、図2に示すように、基体10(図1参照)に形成される空所14の周面形状、即ち振動部18の平面形状は例えば円形とされ(破線参照)、反強誘電体膜22の平面形状(一点鎖線)並びに一対の電極24a及び24bにて形づくられる外周形状(実線参照)も円形状とされている。この場合、振動部18の大きさが最も大きく、次いで一対の電極24a及び24bの外周形状とされ、反強誘電体膜22の平面形状が最も小さく設定されている。なお、一対の電極24a及び24bの外周形状が最も大きくなるように設定してもよい。
反強誘電体膜22上に形成される一対の電極24a及び24bの平面形状は、例えば図3に示すように、これら一対の電極24a及び24bが互いに平行し、かつ相互に離間された数ターンの渦巻き状とされている。この渦巻きのターン数は、実際は、5ターン以上であるが、図3の例では、図面の複雑化を避けるために3ターンとして記載してある。
前記一対の電極24a及び24bの平面形状としては、図3に示す渦巻き形状のほかに、図4に示すような形状としてもよい。具体的には、一対の電極24a及び24bが共に、前記反強誘電体膜22上の中心に向かって延びる幹部28及び30と該幹部28及び30から多数枝分かれしてなる枝部32及び34を有する形状とし、かつ一対の電極24a及び24bが、相互に離間されて相補形に配列された形状(以下、便宜的に多枝形状と記す)にしてもよい。
前記例では、振動部18の平面形状、反強誘電体膜22の平面形状並びに一対の電極24a及び24bにて形づくられる外周形状を円形状とした場合を示したが、その他、長円形状や楕円形状としてもよい。また、振動部18の平面形状及び反強誘電体膜22の平面形状を共に矩形状とし、コーナー部が角のとれた形状にしてもよいし、振動部18の平面形状及び反強誘電体膜22の平面形状を共に多角形状(例えば八角形状)とし、各頂角部分が丸みを帯びた形状にしてもよい。
また、振動部18の形状、反強誘電体膜22の平面形状、一対の電極24a及び24bにて形づくられる外周形状は、円と楕円の組み合わせでもよいし、矩形状と楕円の組み合わせでもよく、特に限定されるものではない。
前記一対の電極24a及び24bの平面形状としては、前記渦巻き形状や多枝形状のほか、図5Aに示すように、くし型形状であってもかまわない。この場合、振動部18の形状を縦横比(アスペクト比)で0.25以下又は4.0以上とし、多数のくし歯部分の配列方向が振動部18の長手方向に沿うように一対のくし型電極24a及び24bを形成することが好ましい。
そして、この第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、反強誘電体膜22の平均膜厚と一対の電極24a及び24b間のピッチを規定することによって、一対の電極24a及び24bに印加される電圧(印加電圧)に応じてアクチュエータ部12の変位量がアナログ的に変化するアナログ変位タイプと、印加電圧がある電圧値となった時点でアクチュエータ部12の変位量が急激に変化して、ほとんど瞬時に最大変位量に達するデジタル変位タイプになることが判明した。なお、前記印加電圧は、正電圧及び負電圧の絶対値を示す。
具体的には、例えば図5A及び図5Bに示すように、アクチュエータ部12における反強誘電体膜22の平均膜厚をt(図5B参照)、一対の電極24a及び24b間のピッチをpとしたとき(図5A参照)、p/t≦2.5を満足させればアナログ変位タイプとなり、p/t>2.5を満足させればデジタル変位タイプとなることが判明した。これらの関係式から、一対の電極24a及び24b間のピッチpが一定という条件を与えたとき、平均膜厚tを厚くすればアナログ変位タイプとなり、反対に平均膜厚tを薄くすればデジタル変位タイプとなることがわかる。
前記アナログ変位タイプとデジタル変位タイプの各動作原理について図6A〜図8Dを参照しながら説明する。
図6A〜図6D及び図8A〜図8Dにおいては、説明を簡単化するために、一対の電極24a及び24bをそれぞれ1本ずつ形成した例を示す。また、図6A〜図6D及び図8A〜図8Dの例は、反強誘電体膜22に予め所定の電界を印加して反強誘電体膜22を分極処理した後の動作を示すものである。なお、図6A〜図6D及び図8A〜図8Dにおける相転移領域(斜線で示す領域)Ztは厳密な分布ではなく、あくまでも概念的なイメージを示す。
まず、アナログ変位タイプについての動作原理について図6A〜図6Dの動作概念図を参照しながら説明する。
最初に、図6Aに示すように、一方の電極24a及び他方の電極24bをそれぞれ例えば接地電位として、一対の電極24a及び24b間の印加電圧Vを0とした場合は、アクチュエータ部12に電界は生じないため、初期状態、即ち、一方向(反強誘電体膜22上に形成された一対の電極24a及び24bが自由空間を臨む方向)への屈曲変位は生じない。
次に、前記一対の電極24a及び24bに印加される電圧VをV1、V2及びV3というように徐々に電圧値(レベル)を上げていった場合についてみると、まず、図6Bに示すように、印加電圧V=V1(>0V)のとき、即ち、印加電圧Vが反強誘電体膜22に相転移が生じるのに必要な所定電圧Vd(以下、単に所定電圧Vdと記す)よりも小さい電圧V1のときは、アクチュエータ部12に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜22には相転移は生じず、このため、アクチュエータ部12の一方向への屈曲変位は生じない(図7の電圧V1時における屈曲変位量参照)。
図6Cに示すように、印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた段階から、一対の電極24a及び24b間の距離が最も短い領域や一対の電極24a及び24bに最も近い領域が相転移させるのに十分な電界強度を有することとなって、これらの領域において相転移が生じ(相転移領域Ztの発生)、その相転移に伴って機械的変位が発生する。この変位は振動部18によって増幅され、アクチュエータ部12は一方向に変位することになる(図7の電圧V2時における屈曲変位量参照)。
図6Dに示すように、印加電圧Vが更に上昇することに伴って、相転移させるのに十分な電界強度の領域が徐々に広がり、一対の電極24a及び24b間の距離が長い領域や一対の電極24a及び24bから遠い領域においても相転移が生じることになる(相転移領域Ztの拡大)。この場合、相転移領域Ztの拡大に応じてアクチュエータ部12の機械的変位も大きくなる(図7の電圧V3時における屈曲変位量参照)。
このように、アナログ変位タイプにおいては、印加電圧Vの上昇に応じてアクチュエータ部12の屈曲変位量がアナログ的に変化することとなる。図7にアナログ変位タイプの屈曲変位特性の一例を示す。この図7の屈曲変位特性を示すセラミック素子は、60V〜180Vの印加電圧Vに対してアナログ的に変位する素子であり、反強誘電体膜22の平均膜厚tは30μm、一対の電極24a及び24b間のピッチpは15μmであり、振動部18の寸法は、平面形状が直径1mmの円形であって、厚みが0.01mmである。
次に、デジタル変位タイプについての動作原理について図8A〜図8Dの動作概念図を参照しながら説明する。
最初に、図8Aに示すように、一方の電極24a及び他方の電極24bをそれぞれ例えば接地電位として、一対の電極24a及び24b間の印加電圧を0とした場合は、アクチュエータ部12に電界は生じないため、初期状態、即ち、一方向への屈曲変位は生じない。
次に、前記一対の電極24a及び24bに印加される電圧VをV1、V2及びV3というように徐々に電圧値(レベル)を上げていった場合についてみると、まず、図8Bに示すように、印加電圧V=V1(>0V)のとき、即ち、印加電圧Vが所定電圧Vdよりも小さい電圧V1のときは、アクチュエータ部12に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜22には相転移は生じず、このため、アクチュエータ部12の一方向への屈曲変位は生じない。
図8Cに示すように、印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた段階、例えば印加電圧V=V2の段階において、アクチュエータ部12は急激に一方向に変位する。これは、反強誘電体膜22の平均膜厚tと一対の電極24a及び24b間のピッチpがp/t>2.5の関係にあり、前記印加電圧V(=V2)によって発生する電界分布が均一であるため、わずかな電圧上昇で大半の領域が相転移して相転移領域Ztとなるからである。従って、アクチュエータ部12は、印加電圧Vが所定電圧Vdを越えた時点で、屈曲変位特性上、わずかな電圧変化にて急激に一方向に変位することになり、電圧V2よりもわずかに高い電圧を与えるだけで、アクチュエータ部12は最大変位量まで一方向に変位することになる。
図8Dに示すように、印加電圧Vが前記電圧V2よりも上昇して例えば電圧V3となった時点においては、アクチュエータ部12に発生する電界が強いことから、反強誘電体膜22のうち、一対の電極24a及び24bに挟まれた領域全体が相転移領域Ztとされており、しかも、電圧V2をわずかに越えた電圧にて最大変位量まで変位しているため、この段階では、アクチュエータ部12のそれ以上の屈曲変位増加は起こらない。
このように、デジタル変位タイプにおいては、印加電圧Vの上昇に応じてアクチュエータ部12の屈曲変位量が徐々に増加するという特性ではなく、印加電圧Vが反強誘電体膜22に相転移が生じるのに必要な所定電圧Vdを越えた時点で、アクチュエータ部12は急激に一方向に変位し、前記所定電圧Vdからわずかな電圧上昇にて最大変位量まで変位することとなる。
次に、前記アナログ変位タイプにおけるアクチュエータ部12の一方向変位に伴う作用について図9A〜図9C及び図10A〜図10Cを参照しながら比較例と共に説明する。これら図9A〜図9C及び図10A〜図10Cで示す例は、図5Aに示すアクチュエータ部のB−B線上の断面に沿った一方向変位の経過を示すものである。
また、比較例は、図7Aに示すように、本実施の形態の反強誘電体膜22に代えて圧電/電歪膜36としたものであり、これはデジタル変位タイプと類似した屈曲変位特性を示す。
まず、図9Aに示すように、初期状態においては、一対の電極24a及び24b間に電圧(電位差)は生じていないため、反強誘電体膜22に伸びは生じず、アクチュエータ部12の変位は0を保ったままである。これは、比較例においても同様である(図10A参照)。
次に、アクチュエータ部12の一対の電極24a及び24bに電圧Vが印加されて、該印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた時点でアクチュエータ部12が一方向に変位し始め、前記印加電圧Vの上昇に従って、その変位量は大きくなる。図9Bは一対の電極24a及び24bへの印加電圧Vを電圧V3とした場合の屈曲変位状態を示す。
一方、比較例においては、図10Bに示すように、一対の電極24a及び24bへの印加電圧Vが所定電圧Vdとなった時点でアクチュエータ部12が急激に最大変位量までデジタル的に変化する。
次に、一対の電極24a及び24bへの電圧印加を停止して、一対の電極24a及び24b間の電圧を0Vとした場合、図9Cに示すように、反強誘電体膜22の「強誘電相の歪みの状態を記憶する効果(形状記憶効果)」により、一旦生じた変位はそのまま維持される。一方、比較例においては、図10Cに示すように、一対の電極24a及び24b間の電圧が0Vとなって電圧無負荷状態となった場合、電圧印加にて生じていた変位は、その後の電圧印加の停止と共に零の状態(即ち、初期状態)に戻る。
つまり、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、固定部20にて振動可能に支持された振動部18上に反強誘電体膜22を有するアクチュエータ部本体26が形成されたかたちとなるため、一対の電極24a及び24bに電圧Vを印加することにより、アクチュエータ部本体26における反強誘電体膜22は、前記印加電圧Vによる外部電界によって相転移が生じ、その相転移に伴って機械的変位が発生する。この変位は振動部18によって増幅され、アクチュエータ部12は一方向に変位することになる。
一旦、アクチュエータ部12が一方向に変位した場合、一対の電極24a及び24bへの電圧印加を停止(例えば電界=0)しても、その変位はそのまま維持される。そのため、アクチュエータ部12に生じた変位を一定期間にわたって維持する必要がある場合においても、一対の電極24a及び24bに電圧を印加し続ける必要がなくなる。なお、アクチュエータ部12に生じた変位を元に戻すには、一対の電極24a及び24bに小さな逆バイアス電圧、具体的には、強誘電相から反強誘電相に相転移する電圧を印加すればよい。
このように、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、一対の電極24a及び24bへの印加電圧Vに応じて機械的変位量がアナログ的あるいはデジタル的に変化し、更に印加電圧Vの印加終了後における電圧無負荷状態において、電圧印加時と同等の変位量を維持することができる。
また、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、図11Aに示すように、一対の電極24a及び24bの平面形状が例えば渦巻き形状である場合を例にとると、一対の電極24a及び24bに所定電圧Vd以上の電圧Vが印加された場合、図11Bに示すように、反強誘電体膜22の表面中、一対の電極24a及び24b間の部分が面方向に膨張するため、アクチュエータ部12(図1参照)は、一方向に安定にかつ大きく屈曲変位することになる。
一方、比較例においては、一対の電極24a及び24bに所定電圧Vd以上の電圧Vが印加された場合、図11Cに示すように、圧電/電歪膜36の表面中、一対の電極24a及び24b間の部分が異方的に膨張する(一対の電極24a及び24b間の方向は伸びるが、その垂直方向は収縮する)ため、アクチュエータ部12の屈曲変位量は小さくなり、屈曲する方向性も不安定となる。
このように、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、一対の電極24a及び24bへの印加電圧Vに応じて機械的変位量がアナログ的あるいはデジタル的に変化し、更に印加電圧Vの印加終了後における電圧無負荷状態ないし低負荷状態において、電圧印加時と同等の変位量を維持することができる。そのため、印加電圧Vに対応して変位量の大小を精密に制御可能であって、かつ、微細な素子においても、圧電/電歪膜型素子を上回る大きな変位発生力を得ることができる。
また、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、上述のように、印加電圧Vの印加終了後における電圧無負荷状態ないし低負荷状態において、電圧印加時とほぼ同等の変位量を維持することができることから、当該セラミック素子を様々なアプリケーション(表示装置やフィルタ等)に適用した場合に、駆動用の電気配線を簡素化でき、製造コストの低廉化を有効に図ることができる。
この第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおいては、図12A〜図13に示すように、前記振動部18の中心を通る最短寸法mにおける断面形状が、以下の条件を満足することが好ましい。なお、図12A〜図13では、図面の複雑化を避けるために一対の電極24a及び24bの記載を省略してある。
即ち、図12Bに示すように、前記固定部20に近接する一方の最外極小点P1と他方の最外極小点P2とを結ぶことによって構成される基準線Lより、前記反強誘電体膜22の中央部付近における上面の少なくとも一部分が、電圧無負荷状態(電界E=0の状態)で前記振動部18と反対方向に突出していることである。
ここで、反強誘電体膜22の中央部付近とは、図12Aに示すように、前記最短寸法mにおいて、固定部20の上面と振動部18の上面との境界部分をそれぞれ一方の境界点K1及び他方の境界点K2と定義し、前記最短寸法mを100としたとき、前記一方の境界点K1から最短寸法mの中心に向かって30%の範囲a1と、前記他方の境界点K2から最短寸法mの中心に向かって30%の範囲a2を除く、中央の40%の範囲a3を指す。
また、図12Bに示すように、前記一方の最外極小点P1とは、前記最短寸法mにおいて、振動部18の上面(場合によっては反強誘電体膜22の一主面)の前記最短寸法面に対する投影線に形成される複数の極小点のうち、前記一方の境界点K1に最も近接する極小点をいい、他方の最外極小点P2とは前記複数の極小点のうち、前記他方の境界点K2に最も近接する極小点をいう。
この場合、前記最短寸法mを100としたとき、前記一方の境界点K1から最短寸法mの中心に向かって40%の範囲(一方の極小点存在領域b1)内に存在するもので、かつ一方の境界点K1に最も近接する極小点が一方の最外極小点P1として認定され、前記他方の境界点K2から最短寸法mの中心に向かって40%の範囲(他方の極小点存在領域b2)内に存在するもので、かつ他方の境界点K2に最も近接する極小点が他方の最外極小点P2として認定される。
前記最外極小点P1及びP2は、図12Bに示すように、固定部20の上面よりも下方に存在する場合や、図12Cに示すように、固定部20の上面よりも上方に存在する場合がある。
なお、図13に示すように、例えば他方の極小点存在領域a2内に他方の最外極小点P2が存在しない場合は、前記他方の境界点K2が他方の最外極小点P2として認定される。これは、一方の最外極小点P1でも同じである。
そして、前記条件、つまり、「基準線Lより反強誘電体膜22の中央部付近における上面の少なくとも一部分が、電圧無負荷状態で振動部18と反対方向に突出すること。」という条件において、前記最短寸法長をmとしたとき、その突出量tがm/1000≦t≦m/10を満たすことがより好ましい。
前記条件を満たすことにより、作製されたアクチュエータ部12に対して必ず一方向に大きな変位を行わせることができるようになるため、各種電子機器等に使用した場合の歩留まりの向上を達成させることができる。
しかも、図12B、図12C及び図13の形状を有するアクチュエータ部12は、振動部18の上面のうち、最外極小点P1及びP2の部分で屈曲された形となっているため、図12Aの形状を有するアクチュエータ部12と比較して、振動部18のたわみ剛性が大きくなる。その結果、同一の変位量を発生させた際に、振動部18に生じる応力が小さくて済み、振動部18の強度、信頼性のマージンが増すという利点を有する。前記形状は、大きな変位を得ることができる前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aの特性に対して特に有効である。
次に、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aの変形例(100Aa)について図14A〜図15Bを参照しながら説明する。なお、図5A及び図5Bと対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
この変形例に係るセラミック素子100Aaは、図14A及び図14Bに示すように、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aとほぼ同様の構成を有するが、一対の電極24a及び24bにおけるくし歯の配列ピッチが密である領域(a)と粗である領域(b)を有する点で異なる。配列ピッチが密である領域(a)は、一対の電極24a及び24b間の距離が小さいため、一対の電極24a及び24bに一定電圧を印加した場合、常に、配列ピッチが粗である領域(b)(一対の電極24a及び24b間の距離が大きい)よりも高い電界が発生する。
そのため、一対の電極24a及び24bに印加される電圧Vが低いときは、図15Aに示すように、ある電圧範囲(電圧レベルV1〜V2)で、前記反強誘電体膜22のうち、配列ピッチが密である領域(a)に対応する部分だけが印加電圧Vの上昇に応じて相転移領域が広がり、印加電圧Vのレベルに応じた変位量ほど一方向に屈曲変位することになる。
次に、印加電圧Vが、前記電圧範囲よりも大きな電圧範囲(電圧レベルV2〜V3)である場合は、図15Bに示すように、配列ピッチが粗である領域(b)に対応する部分も印加電圧Vの上昇に応じて相転移領域が広がることから、該部分も前記配列ピッチが密である領域(a)に対応する部分と共に、印加電圧Vのレベルに応じた変位量ほど一方向に屈曲変位することになる。
結果として、この変形例に係るセラミック素子100Aaにおいては、空間的に分離した複数の領域において、それぞれ変位形態が異なるアクチュエータ部12を得ることができる。
次に、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bについて図16〜図21を参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
この第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bは、図16に示すように、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aとほぼ同様の構成を有するが、アクチュエータ部本体26が、反強誘電体膜22と該反強誘電体膜22の上面及び下面にそれぞれ形成された上部電極40aと下部電極40bとを具備している点で異なる。
そして、この第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bにおいては、上部電極40a及び下部電極40bの各面積、あるいは上部電極40a及び下部電極40bに挟まれた反強誘電体膜22の膜厚分布を規定することによって、上部電極40aと下部電極40b間に印加される電圧(印加電圧V)に応じてアクチュエータ部12の変位量がアナログ的に変化するアナログ変位タイプと、印加電圧Vがある電圧値となった時点でアクチュエータ部12の変位量が急激に変化して、ほとんど瞬時に最大変位量に達するデジタル変位タイプになることが判明した。なお、印加電圧Vは、正電圧及び負電圧の絶対値を示す。
具体的には、アクチュエータ部12における上部電極40aの面積をA、下部電極40bの面積をBとしたとき、(A/B)≧2又は(A/B)≦0.5の関係を満足するか、あるいは反強誘電体膜22の膜厚分布に20%以上のばらつきがあればアナログ変位タイプとなり、0.5<(A/B)<2の関係を満足するか、あるいは反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%未満であればデジタル変位タイプとなることが判明した。
即ち、例えば反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%未満である場合は、(A/B)≧2又は(A/B)≦0.5の関係を満足することによってアナログ変位タイプとなり(図17A参照)、0.5<(A/B)<2の関係を満足することによってデジタル変位タイプとなる(図20A参照)。また、上部電極40aの面積Aと下部電極40bの面積Bが0.5<(A/B)<2の関係を有する場合は、反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%以上であればアナログ変位タイプとなり(図19A参照)、反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%未満であればデジタル変位タイプとなる(図20A参照)。
そして、この第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bの第1のアナログ変位タイプは、図17Aに示すように、反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%未満であって、かつ(A/B)≦0.5の関係を満足するように構成されている。
この場合、上部電極40aの平面形状としては、例えば図18Aに示すように、1本の連続した渦巻き形状や、図18Bに示すように、1本の連続したジグザグ形状がある。
ここで、この第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bの第1のアナログ変位タイプの動作原理について図17A〜図17Dを参照しながら説明する。
最初に、上部電極40a及び下部電極40bをそれぞれ例えば接地電位として、上部電極40a及び下部電極40b間の印加電圧Vを0とした場合は、アクチュエータ部12に電界は生じないため、初期状態、即ち、一方向(反強誘電体膜22上に形成された上部電極40aが自由空間を臨む方向)への屈曲変位は生じない。
次に、前記上部電極40a及び下部電極40b間に印加される電圧VをV1、V2及びV3というように徐々に電圧値(レベル)を上げていった場合についてみると、まず、印加電圧V=V1(>0V)のとき、即ち、印加電圧Vが所定電圧Vdよりも小さい電圧V1のときは、アクチュエータ部12に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜22には相転移は生じず、このため、アクチュエータ部12の一方向への屈曲変位は生じない。
図17Cに示すように、印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた段階から、反強誘電体膜22に発生する電界分布のうち、強電界部分(例えば上部電極40aに最も近い領域)が相転移し(相転移領域Ztの発生)、該強電界部分の相転移に伴って反強誘電体膜22に機械的変位が発生する。この変位は振動部18によって増幅され、アクチュエータ部12は一方向に変位することになる。
図17Dに示すように、印加電圧Vが上昇するに従って、相転移させるのに十分な電界強度の領域が徐々に広がり、上部電極40aから遠い領域においても相転移が生じることになる(相転移領域Ztの拡大)。この場合、相転移領域Ztの拡大に応じてアクチュエータ部12の機械的変位も大きくなる。
このように、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bの第1のアナログ変位タイプにおいても、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100A(アナログ変位タイプ)と同様に、印加電圧Vの上昇に応じてアクチュエータ部12の屈曲変位量がアナログ的に変化することとなる。
次に、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bの第2のアナログ変位タイプは、図19Aに示すように、上部電極40aの面積Aと下部電極40bの面積Bが0.5<(A/B)<2の関係を有するものであって、かつ、反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%以上となるように構成されている。
ここで、この第2のアナログ変位タイプの動作原理について図19A〜図19Dを参照しながら説明する。
最初に、上部電極40a及び下部電極40bをそれぞれ例えば接地電位として、上部電極40a及び下部電極40b間の印加電圧Vを0とした場合は、アクチュエータ部12に電界は生じないため、初期状態、即ち、一方向への屈曲変位は生じない。
次に、前記上部電極40a及び下部電極40b間に印加される電圧VをV1、V2及びV3というように徐々に電圧値(レベル)を上げていった場合についてみると、まず、印加電圧V=V1(>0V)のとき、即ち、印加電圧Vが前記所定電圧Vdよりも小さい電圧V1のときは、アクチュエータ部12に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜22には相転移は生じず、このため、アクチュエータ部12の一方向への屈曲変位は生じない。
図19Cに示すように、印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた段階から、反強誘電体膜22に発生する電界分布のうち、強電界部分(例えば上部電極40aと下部電極40bとの間隔が狭い領域)が相転移し(相転移領域Ztの発生)、該強電界部分の相転移に伴って反強誘電体膜22に機械的変位が発生する。この変位は振動部18によって増幅され、アクチュエータ部12は一方向に変位することになる。
図19Dに示すように、印加電圧Vが更に上昇するに従って、相転移させるのに十分な電界強度の領域が徐々に広がり、上部電極40aと下部電極40bとの間隔が広い領域においても相転移が生じることになる(相転移領域Ztの拡大)。この場合、相転移領域Ztの拡大に応じてアクチュエータ部12の機械的変位も大きくなる。
このように、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bの第2のアナログ変位タイプにおいても、前記第1のアナログ変位タイプと同様に、印加電圧Vの上昇に応じてアクチュエータ部12の屈曲変位量がアナログ的に変化することとなる。次に、デジタル変位タイプについての動作原理について図20A〜図20Dの動作概念図及び図21の屈曲変位特性を参照しながら説明する。
最初に、図20Aに示すように、上部電極40a及び下部電極40bをそれぞれ例えば接地電位として、上部電極40a及び下部電極40b問の印加電圧Vを0とした場合は、アクチュエータ部12に電界は生じないため、初期状態、即ち、一方向への屈曲変位は生じない。
次に、上部電極40a及び下部電極40b間に印加される電圧VをV1、V2及びV3というように徐々に電圧値(レベル)を上げていった場合についてみると、まず、図20Bに示すように、印加電圧V=V1(>0V)のとき、即ち、印加電圧Vが所定電圧Vd(例えば110V)よりも小さい電圧V1のときは、アクチュエータ部12に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜22には相転移は生じず、このため、アクチュエータ部12の一方向への屈曲変位は生じない(図21の電圧V1時における屈曲変位量参照)。
図20Cに示すように、印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた段階、例えば印加電圧V=V2の段階において、アクチュエータ部12は急激に一方向に変位する(図21の電圧V2時における屈曲変位量参照)。これは、上部電極40aの面積Aと下部電極40bの面積Bが0.5<(A/B)<2の関係を有し、かつ、反強誘電体膜22の膜厚分布のばらつきが20%未満の関係にあり、前記印加電圧Vによって発生する電界分布が均一であるため、わずかな電圧上昇で大半の領域が相転移領域Ztとなるからである。従って、アクチュエータ部12は、印加電圧Vが所定電圧Vdを越えた時点で最大変位量まで急激に変化することとなる。
図20Dに示すように、印加電圧Vが前記電圧V2よりも上昇して例えば電圧V3となった時点においては、アクチュエータ部12に発生する電界が強いことから、反強誘電体膜22のうち、上部電極40a及び下部電極40b間に挟まれた領域全体が相転移領域Ztとなって、アクチュエータ部12の一方向への変位量は、印加電圧Vが所定電圧Vdを越えた段階で最大変位量まで変化しているため、電界が強いにも拘わらずその変位量は変わらない(図21の電圧V3時における屈曲変位量参照)。
このように、前記デジタル変位タイプにおいては、印加電圧Vの上昇に応じてアクチュエータ部12の屈曲変位量が徐々に増加するという特性ではなく、印加電圧Vが所定電圧Vdを越えた時点で、アクチュエータ部12が急激に最大変化量までデジタル的に変化することとなる。
図21にデジタル変位タイプの屈曲変位特性の一例を示す。この図21の屈曲変位特性を示すセラミック素子は、印加電圧Vが約110Vとなった時点で最大変位量までデジタル的に変位する素子であり、反強誘電体膜22の平均膜厚tは15μm、振動部18の寸法は、平面形状が直径1mmの円形であって、厚みが0.01mmである。
この第2の実施の形態に係るセラミック素子100B(第1及び第2のアナログ変位タイプ並びにデジタル変位タイプ)においても、巨視的には前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aと同様の作用・効果(図6A〜図6C参照)を奏し、上部電極40a及び下部電極40bへの印加電圧Vに応じて機械的変位量がアナログ的あるいはデジタル的に変化し、更に印加電圧Vの印加終了後における電圧無負荷状態において、電圧印加時と同等の変位量を維持することができる。
次に、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bの変形例(100Ba)について図22〜図23Bを参照しながら説明する。
この変形例に係るセラミック素子100Baは、図22に示すように、前記第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bとほぼ同様の構成を有するが、上部電極40aと下部電極40bとの間隔が広い領域(c)と狭い領域(d)を有する点で異なる。これは、反強誘電体膜22の膜厚分布を選択的に形成することで達成できる。
上部電極40aと下部電極40bとの間隔が狭い領域(d)は、上部電極40a及び下部電極40b間の距離が小さいため、上部電極40a及び下部電極40b間に一定電圧を印加した場合、常に、上部電極40aと下部電極40bとの間隔が広い領域(c)(電極40a及び40b間の距離が大きい)よりも高い電界が発生する。
そのため、上部電極40a及び下部電極40b間に印加される電圧が低いときは、図23Aに示すように、ある電圧範囲(電圧レベルV1〜V2)で、前記反強誘電体膜22のうち、上部電極40aと下部電極40bとの間隔が狭い領域(d)に対応する部分だけが印加電圧の上昇に応じて相転移領域が広がり、前記印加電圧Vのレベルに応じた変位量ほど一方向に屈曲変位することになる。
次に、印加電圧Vが、前記電圧範囲よりも大きな電圧範囲(電圧レベルV2〜V3)である場合は、図23Bに示すように、上部電極40aと下部電極40bとの間隔が広い領域に対応する部分も印加電圧Vの上昇に応じて相転移領域が広がることから、該部分も前記上部電極40a及び下部電極40bとの間隔が狭い部分(d)と共に、印加電圧Vのレベルに応じた変位量ほど一方向に屈曲変位することになる。
結果として、この第2の実施の形態に係るセラミック素子の変形例100Baにおいても、前記第1の実施の形態に係るセラミック素子の変形例100Aaと同様に、空間的に分離した複数の領域において、それぞれ変位形態が異なるアクチュエータ部12を得ることができる。
前記第1の実施の形態に係るセラミック素子100A(変形例100Aaも含む)においては、アクチュエータ部12に形成される電極パターンとして、反強誘電体膜22の表面に一対の電極24a及び24bを形成するようにし、第2の実施の形態に係るセラミック素子100B(変形例100Baも含む)においては、アクチュエータ部12に形成される電極パターンとして、反強誘電体膜22の上面及び下面にそれぞれ上部電極40a及び下部電極40bを形成するようにしたが、その他、1つのセラミック素子内において、あるいは1つの連続した反強誘電体膜22内において、電極パターンが、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aと同様の電極パターンの領域と第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bと同様の電極パターンの領域とが共存するようにしてもよい。また、1つのセラミック素子内において、あるいは1つの連続した反強誘電体膜22内において、アナログ変位タイプとデジタル変位タイプとが共存するような構成を採用することも可能である。
次に、第1及び第2の実施の形態に係るセラミック素子100A及び100Bにおける前記アクチュエータ部12の各構成部材、特に各構成部材の材料等の選定について説明する。
まず、振動部18を構成するセラミックスとしては例えば酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの混合物等を用いることができる。
安定化された酸化ジルコニウムは振動部18の厚さが薄くても、機械的強度が高いこと、靱性が高いことなどから特に好ましい。安定化された酸化ジルコニウムとは、安定化酸化ジルコニウム及び部分安定化酸化ジルコニウムを包含する。
安定化酸化ジルコニウムを得るための安定化剤としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム又はその他の希土類金属の酸化物等を1〜30モル%含有する。特に、振動部18の機械的強度を高めるために、酸化イットリウムを1.5〜6モル%含有することが望ましく、更に好ましくは2〜5モル%含有することが好ましい。
また、部分安定化ジルコニウムを主成分とする振動部18を用いる場合、更に0.1〜5モル%の酸化アルミニウム、あるいは0.1〜10モル%の酸化チタン、又は酸化チタンと酸化アルミニウムの混合物を含有させることも、相対的変位量の増大、あるいは振動部18と反強誘電体膜22との反応性、密着性を制御する上で適宜添加することが望ましい。
即ち、例えば反強誘電体膜22として下記組成を用い、振動部18と反強誘電体膜22との密着性を向上したい場合には、酸化アルミニウムを0.1モル%添加することが好ましい。
Pb0.99Nb0.02{[Zrx、Sn1-x1-yTiy0.983
但し、0.5<x<0.6,0.05<y<0.063,0.01<Nb<0.03
これは、特に、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aのように、反強誘電体膜22の他主面が振動部18と密着し、相対する一主面上に一対の電極24a及び24bが形成された構成のセラミック素子の場合に好ましい。
逆に、振動部18と反強誘電体膜22との密着を阻害したい場合には、酸化チタンを0.1〜10モル%添加することが好ましい。これは、特に、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bのように、振動部18上に下部電極40bを形成し、その上に反強誘電体膜22を形成し、更にその上に上部電極40aを形成する構成のセラミック素子の場合に特に好ましい。その理由は、例えば図22に示すように、下部電極40b上から外方へ延びた(あるいは張り出した)反強誘電体膜22の外縁部22aが振動部18と密着結合した場合に生ずる結合部(反強誘電体膜22と振動部18との結合部)の拘束により変位量が低下することを防止できるからである。
なお、酸化アルミニウムを含有させた振動部18において、振動部18と反強誘電体膜22との密着を阻害したい場合には、酸化アルミニウム量を2モル%以下とし、かつ厚膜形成方法により反強誘電体膜22を形成するに際して、焼成後に反強誘電体膜22となるペーストを厚膜形成方法により塗布した後、焼成前に酸化雰囲気下で加熱して脱バインダー処理を施し、その後、所定の雰囲気で反強誘電体膜22を焼成することも好ましい。
ここで述べた酸化アルミニウムや酸化チタンは、安定化酸化ジルコニウム原料に混合添加してもよいが、安定化酸化ジルコニウム原料を合成する過程で共沈法等により混合添加することにより、より均一な原料粉末が得られ、ひいては均一な組織で機械的強度、耐久性等により優れた振動部18を得ることができる。
振動部18は多数のセラミックス結晶からなるが、振動部18の機械的強度を高めるため、結晶粒の平均粒径は0.05〜2μmであることが望ましい。
スペーサプレート10B及び閉塞プレート10Cは、グリーンシートの積層及び焼成一体化により振動部18及び固定部20として結合一体化されるため、同じ種類のセラミックスであることが望ましい。
但し、アルミナ等の添加量については、積層、焼成一体化後の基体10のうねり等の歪みを緩和するため、必要に応じて、振動部18と異なる添加量に調整することが望ましい。
なお、セラミックスの焼結助剤として一般には粘土等を加えることもあるが、反強誘電体膜22との反応性を高めすぎて反強誘電体膜22の組成や特性が変化しないように助剤成分を調整する必要がある。即ち、基体10中の酸化珪素等は、重量比で3%以下、更に好ましくは1%以下となるように制限することが望ましい。
反強誘電体膜22の材料としては、ジルコン酸鉛を主成分とするもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分を主成分とするもの、更にはジルコン酸鉛に酸化ランタンを添加したもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分に対してチタン酸鉛やニオブ酸鉛を添加したものが望ましい。
特に下記の組成のようにジルコン酸鉛とスズ酸鉛からなる成分を含む反強誘電体膜22を第1及び第2の実施の形態に係るセラミック素子100A及び100Bのような膜型素子として適用する場合、比較的低電圧で駆動することができるため、特に好ましい。
Pb0.99Nb0.02{[ZrxSn1-x1-yTiy0.983
但し、0.5<x<0.6,0.05<y<0.063,0.01<Nb<0.03
また、この反強誘電体膜22は、多孔質であってもよく、多孔質の場合には気孔率30%以下であることが望ましい。
なお、反強誘電体膜22の原料として用いる反強誘電体粉末は、印刷用ペーストの調合前に、乾式振動ミル、乾式アトライタ等により乾式粉砕することが、より緻密で屈曲変位特性の高い反強誘電体膜22を得る上で好適である。
この場合、特に、前記反強誘電体膜22の材料として、上述した組成にAgを酸化銀換算で1〜10重量%含有することが、より緻密で大きな変位を得る上で、また、より安定な形状記憶特性を得る上で好適である。
Agを含有させる手段としては、反強誘電体膜22を合成する過程において、酸化物の形態で他の原料粉末と同時に添加してもよいし、予め合成した反強誘電体材料粉末に、酸化銀として、あるいは硝酸銀の水溶液として粉砕混合してもよい。また、あるいは印刷ペーストを調合する際に、酸化銀粉末の形態やAgの有機金属化合物の形態で混合してもよい。
そして、反強誘電体膜22の厚さと振動部18の厚さとは、同次元の厚さであることが望ましい。なぜなら、振動部18の厚さが極端に(1桁以上)、反強誘電体膜22よりも厚くなると、反強誘電体膜22の焼成工程における収縮に対して振動部18がその収縮を妨げるように拘束するため、反強誘電体膜22が振動部18から剥離しやすくなったり、反強誘電体膜22の緻密化を阻害したり、更には焼成後の反強誘電体膜22の中に残留応力が存在して特性を低下させる要因となる。
反対に、厚さの次元が同程度であれば、反強誘電体膜22の焼成工程における収縮に振動部18が追従して変形しやすくなり、緻密で高変位な特性を有する反強誘電体膜22を得ることができる。
具体的には、振動部18の厚さは1〜50μmが好ましく、3〜20mが更に好mしい。一方、反強誘電体膜22の平均厚さは、1〜100mが好ましく、3〜50μmが更に好ましく、5〜40μmが最も好ましい。
電極24a及び24b(40a及び40b)は、振動部18や強誘電体膜22に対して薄い方が、アクチュエータ部12の変位動作に対する拘束力が弱まるため好ましく、具体的には、厚さ0.01μm〜10μmであることがより好ましく、0.01〜5μmが更に好ましい。
前記電極24a及び24b(40a及び40b)の材質は、室温で固体であって導電性の物質で構成されていることが好ましい。例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛、ベリリウム等を含有する金属単体又は合金が挙げられる。これらの元素が任意の組み合わせで含有されていてもよいことはいうまでもない。
第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bのように、下部電極40bが振動部18と反強誘電体膜22との間に介在する構成のセラミック素子の場合には、反強誘電体膜22の焼成温度に耐える耐熱性を有することが望ましく、必要に応じて耐蝕性に優れた材質を選んでもよい。
次に、第1及び第2の実施の形態に係るセラミック素子100A及び100Bの製造方法を説明する。
振動部18及び固定部20を含む基体10は、グリーンシート又はグリーンテープである成形層を熱圧着等で積層し、次いで焼成することで一体化することができる。例えば、図1に示す基体10では、3層のグリーンシート又はグリーンテープを積層するが、その第2層に空所14となる所定形状の窓部を積層前に予め設けておけばよい。また、成形型を用いる加圧成形、鋳込み成形、射出成形等によって、成形層を作製し、切削、研削加工、レーザ加工、プレス加工による打ち抜き等の機械加工により、空所(窓部)14等を設けてもよい。図1では、3層構造となっているが、4層構造、5層構造として、基体10の剛性を向上させたり、裏面配線板として使用する層を同時に積層して形成してもよい。
次に、前記基体10の振動部18上にアクチュエータ部本体26を形成する。この場合、金型を用いたプレス成形法又はスラリー原料を用いたテープ成形法等によって反強誘電体膜22を成形し、この焼成前の反強誘電体膜22を焼成前の基体10における振動部18上に熱圧着で積層し、同時に焼成して、基体10の振動部18上に反強誘電体膜22を形成する方法と、以下に示す膜形成法とがある。
膜形成法は、振動部18上に反強誘電体膜22と一対の電極24a及び24bをこの順序で積層する方法であるが、例えば、スクリーン印刷のような厚膜法、ディッピング等の塗布法、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、化学蒸着法(CVD)、メッキ等の薄膜法等が適宜用いられる。一対の電極24a及び24bにつながる配線や端子パッドの形成も前記厚膜法や薄膜法が用いられる。
第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aは、その一例として、例えば以下のような製法が採用される。まず、基体10の振動部18上にスクリーン印刷法によって反強誘電体膜22を形成する。その後、焼成を行って、基体10の振動部18上に反強誘電体膜22を接合する。この場合、基体10と反強誘電体膜22との接合性を向上させて、これら基体10と反強誘電体膜22との一体化を有利にするには、反強誘電体膜22に対する焼成を反強誘電体材料の雰囲気下において密閉容器内で実施することが好ましい。更に好ましくは、雰囲気濃度は高くすることが望ましい。
雰囲気焼成は次の方法等により行われる。
(1)反強誘電体材料と同成分系の粉末を蒸発源として一緒に密閉容器内に置く。
(2)反強誘電体材料の組成として、鉛成分を予め過剰とする。
(3)反強誘電体材料の板をセッターとして使用する。
また、焼成温度は、900〜1400℃が好ましく、更に好ましくは1100〜1400℃が望ましい。
前記基体10と反強誘電体膜22との接合が終了した後、一対の電極24a及び24bを含む配線層をスクリーン印刷にて積層する。この配線層のパターンは、例えば図50に示すように、垂直選択線58のパターン、信号線60のパターン及び電極パターンであって、電極パターンは、この段階(スクリーン印刷段階)では図3に示すような渦巻き形状や図4に示すような多枝形状ではなく、単に円形状とされた状態である。
その後、例えばエキシマレーザによって円形状の電極パターンの所要箇所を蒸発させることにより、図3に示すような渦巻き形状や図4に示すような多枝形状にパターニングして一対の電極24a及び24bとする。
前記エキシマレーザによるパターニングが終了した後、熱処理することにより、基体10上へのアクチュエータ部本体26の形成が終了する。なお、薄膜法により、一対の電極24a及び24bを形成する場合においては、必ずしも前記熱処理は必要としない。
次に、前記第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bを製造する場合について説明すると、この場合、膜形成法として振動部18上に下部電極40b、反強誘電体膜22、上部電極40aをこの順序で積層する方法が採用されるわけだが、具体的には、例えば、その一例として以下のような製法が採用される。まず、基体10の振動部18に、予め酸化アルミニウムを1モル%添加して形成し、該振動部18上に白金粉末と有機バインダーを主成分とするペーストをスクリーン印刷法によって印刷塗布し、乾燥工程を経た後に焼成することによって、下部電極40bを形成する。
その後、反強誘電体粉末と有機バインダーを主成分とするペーストを同じくスクリーン印刷法によって印刷塗布し、乾燥後、酸化雰囲気中で500〜600℃1時間の脱脂処理を行う。
次いで、第1の実施の形態の場合と同様に、雰囲気焼成を行い、反強誘電体膜22を形成する。その後、金を含有する有機金属化合物と溶剤とを主体とするペーストをスクリーン印刷法によって印刷塗布し、乾燥後、焼成して上部電極40aを形成する
次に、第3の実施の形態に係るセラミック素子100Cについて図24〜図48を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態に係るセラミック素子100Cは、上述した第1及び第2の実施の形態に係るセラミック素子100A及び100Bのように、振動部18上に反強誘電体膜22を形成してなるセラミック素子において、その形状記憶効果をより高めたセラミック素子を提供するものである。
この第3の実施の形態に係るセラミック素子100Cを作製するにあたって、本発明者らは、図25に示すように、反強誘電体膜22の両面に電極102a及び102bを形成したいわゆるバルク型素子104と、例えば図1に示すように、振動部18上に形成された反強誘電体膜22上に一対の電極24a及び24bを形成してなる第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aと、例えば図14に示すように、振動部18上に下部電極40b、反強誘電体膜22及び上部電極40aを順次積層してなる第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bについて、その形状記憶効果を確かめた。
その結果、図25に示すバルク型素子104は、相転移電界を超える電圧を印加した後、印加電圧を下げて数秒間以上保持しても、屈曲変位が維持されるが、前記セラミック素子100A及び100Bにおいては、相転移電界を超える電圧を印加した後、印加電圧を下げると、数ミリ秒又は数10ミリ秒間の保持のあいだで屈曲変位が減少し、短時間の形状記憶効果しか得られないことがわかった。特に、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aは、第2の実施の形態に係るセラミック素子100Bよりも屈曲変位の減少率がわずかに大きいことが判明した。
これは、反強誘電体膜22の焼成過程から冷却過程において、振動部18の応力的な拘束により、反強誘電体膜22に残留応力が発生し、有害な結晶歪みを誘起していることが要因と推定される。従って、後述する表示装置200に応用した場合に、輝度が低下する、あるいは隣接画素に対する駆動時の電圧変動によって輝度の変動が生じるおそれがある。
そこで、本発明者らは、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aにおける前記不都合を解決するために、以下の5つの条件について検討を行った。
(1)中間層106(図24参照)の形成
(2)基体10及び振動部18の薄膜化
(3)荷重焼成(ホットプレス法:図29参照)
(4)組成の見越し補正及び鉛成分の後補正並びに酸化スズ粉末の微粉化
(5)反強誘電体膜22の焼結後における振動部18の沈み込み量の抑制
第3の実施の形態に係るセラミック素子100Cは、前記5つの条件をすべて満足するものであり(図24参照)、これら5つの条件による効果並びに有効範囲について詳細に説明する。
まず、変位保持率について定義付けをしておく。変位保持率とは、反強誘電体膜22に対してあるピーク電圧(例えば130V)を印加して屈曲変位を行わせた後に、印加電圧を下げて所定電圧(例えば50V)における変位を測定し、ピーク電圧における変位量を100%としたときの、電圧降下時の前記所定電圧印加時における変位の百分率を指す。
印加電圧に対する前記変位動作は、例えば図47に示すように、例えば初期値(0V)から正のピーク電圧(130V)にかけて丸1で示す曲線に沿って変位し、正のピーク電圧から初期値にかけて丸2で示す曲線に沿って変位し、初期値から負のピーク電圧(−130V)にかけて丸3で示す曲線に沿って変位し、負のピーク電圧から初期値にかけて丸4
で示す曲線に沿って変位する。
[1.振動部18と反強誘電体膜22の間への中間層106の形成]
中間層106の形成とは、例えば図24に示すように、反強誘電体膜22の上面に一対の電極24a及び24bが形成されたセラミック素子100Cにおいて、振動部18と反強誘電体膜22との間に金属膜層(即ち、中間層106)を形成することである。この中間層106の形成によって、変位保持率を70%程度に高めることができた。
これは、振動部18と反強誘電体膜22との間に、高温で軟らかい金属膜層(中間層106)を介在させることで、反強誘電体膜22の焼成過程から冷却過程において、振動部18の応力的な拘束によって反強誘電体膜22に発生する応力が緩和されていることによるものと推定される。
そして、前記中間層106の材質として好ましいのは、Pt又はPd、あるいは両者の合金である。中間層106の厚みとしては、1μm以上、10μm以下が適当である。好ましくは2μm以上、6μm以下である。
なぜならば、1μm未満では上述した応力緩和の効果が現れず、10μmを超えると中間層106の焼成時における焼成収縮により、中間層106が振動部18から剥離してしまうからである。
ここで、1つの実験例(便宜的に第1の実験例と記す)について説明する。この第1の実験例は、中間層106の厚みによって変位保持率がどのように変わるかを実施例1〜実施例3並びに比較例1〜比較例3に基づいて確かめたものである。
実施例1はPtの中間層106を4μm形成したものであり、実施例2はPdの中間層106を2μm形成したものであり、実施例3はPdの中間層106を8μm形成したものである。一方、比較例1はPtの中間層106を15μm形成したものであり、比較例2はPtの中間層106を0.5μm形成したものであり、比較例3は中間層106を形成しなかったものである。
その実験結果を図26に示す。中間層106が15μmである比較例1の場合、中間層の剥離により測定できず、中間層106が0.5μmである比較例2の場合、変位保持率が58%程度と低下し、中間層106のない比較例3にいたっては、変位保持率が54%と非常に低くなっている。
従って、この結果から中間層106の厚みとしては、1μm以上、10μm以下が適当であり、好ましくは2μm以上、6μm以下である。
[2.基体及び振動部の薄膜化]
振動部18の厚みを反強誘電体膜22の厚みよりも薄くし、併せて基体10の全体の厚みを薄膜化する。これによって、反強誘電体膜22に対する基体10の応力的な拘束が減るため、反強誘電体膜22の焼結性の増加と、応力緩和の効果が得られる。
ここで、1つの実験例(便宜的に第2の実験例と記す)について説明する。この第2の実験例は、基体10の厚みを変えた場合の変位保持率の変化を実施例4〜実施例7に基づいて確かめたものである。その結果を図27に示す。この図27の表中、基体10の厚みの()内の数値は順に、振動部18、スペーサプレート10B、ベースプレート10A(図24参照)の厚みである。実施例4〜実施例7はいずれも中間層106がなく、荷重焼成並びに粉末の見越し補正及び鉛成分の後補正を行わず、SnO2の比表面積を13m2/gとしたものである。
この実験結果から、振動部18の厚みを反強誘電体膜22の厚みよりも薄くし、併せて基体10の全体の厚みを薄膜化することが変位保持率を高める上で好ましいことがわかる。
前記例は、図28に示すように、振動部18の中心を通る最短寸法mにおいて、固定部20の上面と振動部18の上面との境界部分を境界点kと定義し、該境界点kから反強誘電体膜22の形成端までの距離をLn(μm)、振動部18の厚みをtv(μm)としたとき、Ln<tv×15を満足する場合に成立し、この場合、基体10の厚みtbは、tb≦350μmが適当であり、好ましくはtb≦250μm、より好ましくはtb≦130μmであり、最も好ましくはtb≦70μmである。一方、Ln≧tv×15を満足する場合は、振動部18の厚みtvは1〜50μmが好ましく、3〜20μmが更に好ましい。一方、反強誘電体膜22の平均厚さは、1〜100μmが好ましく、3〜50μmが更に好ましく、5〜40μmが最も好ましい。
[3.荷重焼成(ホットプレス法)]
図29に示すように、基体10上に形成された反強誘電体膜22に荷重(ホットプレス荷重)Pをかげながら反強誘電体膜22を焼成処理する方法である。基体10上に反強誘電体膜22を印刷により形成した段階のものを、以下、サンプル108と記す。
具体的な方法としては、例えば図30Aに示すように、ヒータ110への通電によって焼成を行う電気炉112の内部に台114を設置し、該台114の上に、基体10の底面が台114の上面に接するようにしてサンプル108を載置し、該サンプル108の上部におもし116を載せた状態で焼成する方法や、図30Bに示すように、前記電気炉112内に設置された台114の上に、反強誘電体膜22の上面が台114の上面に接するようにしてサンプル108を載置し、基体10の底面におもし116を載せた状態で焼成する方法等がある。
この荷重焼成によって、反強誘電体膜22の焼結性が増し、より緻密な膜を得ることができる。
ホットプレス荷重Pとしては0.4kg/cm2以上がよい。但し、振動部18の厚みに応じて振動部18が破壊しない程度の荷重とする。荷重が大きいと、スペーサプレート10Bと振動部18の端部s(図29参照)において、振動部18が割れるおそれがあるからである。
ここで、1つの実験例(便宜的に第3の実験例と記す)について説明する。この第3の実験例は、ホットプレス荷重Pを変えた場合の反強誘電体膜22の緻密度の変化を実施例8及び比較例4〜比較例6に基づいて確かめたものである。膜の緻密度とは、緻密度=100%−表面の気孔率である。
その実験結果を図31に示す。この結果からホットプレス荷重Pとしては0.4kg/cm2以上で、その上限は振動部18の厚みによって異なり、好ましくは振動部18が破壊しない程度の荷重であることが望ましい。
[4.組成の見越し補正及び鉛成分の後補正並びに酸化スズ粉末の微粉化]
[a.組成の見越し補正]
反強誘電体膜22を形成するにあたり、反強誘電体セラミック材料の粉末を合成するが、その際に、反強誘電体膜22における焼成中の振動部18との相互拡散による組成変動を見越して、反強誘電体セラミック材料の粉末組成を最適組成からずらして調製する。
具体的には、反強誘電体膜22の焼成時において振動部18からジルコニウムが拡散流入し、反強誘電体膜22からチタニウムが振動部18へ拡散流出していくため、予めジルコニウムの量を減らし、チタニウムの量を増やしておく。
なお、各成分の調整量は、焼成条件及び振動部18の組成、並びに反強誘電体膜22の厚み等とも関連するため、個々に最適調整量を決定することが重要である。
次に、見越し補正をしない通常の合成方法と見越し補正を行う前記合成方法との違いについて、図32及び図33の工程ブロック図を参照しながら説明する。
通常の合成方法は、図32に示すように、反強誘電体セラミック材料の粉末を最適組成に合わせて秤量し、その後、粉末をボールミルで混合する(50時間)。その後、混合された粉末に対して1000℃、5時間の仮焼を施し、次いで、ボールミルで粉砕する(10時間)。
見越し補正を行う合成方法は、図33に示すように、秤量する粉末の組成が若干異なるものの、全体として見た場合、その工程は通常の合成方法とほぼ同じである。この場合、ZrO2は最適な焼結体組成より少なめに秤量され、TiO2は最適な焼結体組成より多めに秤量される。
ここで、1つの実験例(便宜的に第4の実験例と記す)について説明する。この第4の実験例は、見越し補正量によって変位保持率がどのように変わるかを実施例9−1、実施例9−2、実施例10−1及び実施例10−2並びに比較例7に基づいて確かめたものである。ここでの見越し補正量とは、加えるZrO2及びTiO2の各量について、それぞれの所定量を100%とした場合の百分率を示す。
その実験結果を図34に示す。この結果から、ZrO2の量は最適な焼結体組成を100%とした場合の95〜98%であり、かつ/又は、TiO2の量は最適な焼結体組成を100%とした場合の102〜104%が適当である。
[b.鉛成分の後補正]
反強誘電体膜22は、振動部18上にスクリーン印刷法によって形成されるが、その印刷材料をつくる際、特に、反強誘電体セラミック材料粉末の合成の際に、予め酸化鉛を10%少ない組成で合成した後、不足分の10%を酸化鉛の形態で混合し、その混合材料を反強誘電体膜形成用の印刷材料として用いる。この場合、酸化鉛の粉末が混在することで、反強誘電体膜22の焼結性が向上する。
この鉛成分の後補正は、図35に示すように、反強誘電体セラミック材料の粉末のうち、酸化鉛を除いたものを最適組成に合わせて秤量し、酸化鉛のみは所定配合量の90%とする。その後、これら粉末をボールミルで混合し(50時間)、次いで、混合された粉末に対して1000℃、5時間の仮焼を施す。その後、酸化鉛を所定配合量の10%を混合し、ボールミルで混合、粉砕する(10時間)。
ここで、1つの実験例(便宜的に第5の実験例と記す)について説明する。この第5の実験例は、鉛成分の後補正量によって膜の緻密度がどのように変わるかを実施例11〜実施例13並びに比較例10及び比較例11に基づいて確かめたものである。ここでの鉛成分の後補正量とは、鉛成分100%中の後補正量(wt%)を示す。
その実験結果を図36に示す。この結果から、鉛成分の後補正量は、3%以上、20%以下が適当であり、好ましくは5%以上、15%以下である。
[c.組成の見越し補正+鉛成分の後補正]
反強誘電体セラミック材料の粉末を合成する際に、上述した組成の見越し補正と鉛成分の後補正を組み合わせることにより、変位保持率が増加し、かつ、反強誘電体膜22の緻密度を上げることができる。
この組み合わせに係る合成方法は、図37に示すように、秤量の段階で、酸化鉛を所定配合量の90%とし、ZrO2を所定量より少なめに秤量し、TiO2を所定量より多めに秤量する。その後、これら粉末をボールミルで混合し(50時間)、次いで、混合された粉末に対して1000℃、5時間の仮焼を施す。その後、酸化鉛を所定配合量の10%を混合し、ボールミルで混合、粉砕する(10時間)。
[d.酸化スズ粉末の微粉化]
振動部18上での反強誘電体膜22の均質性と変位特性を向上させるために、反強誘電体セラミック材料の粉末の合成の際に、原材料として用いる酸化スズ(SnO2)の比表面積を10m2/g以上にする。この酸化スズの微粉化は、SnO2粉末のみを予め粉砕しておいて秤量に取りかかることで達成できる。
ここで、1つの実験例(便宜的に第6の実験例と記す)について説明する。この第6の実験例は、SnO2の比表面積の違いによってヒステリシス特性(電圧−歪み特性)の測定結果がどのように変化するかを実施例14並びに比較例12及び比較例13に基づいて確かめたものである。
その実験結果を図38に示す。比表面積が5m2/gの比較例12においては、SnO2粒子の残存があるため、組成のばらつきが大きく変位せず、比表面積が22m2/gの比較例13においては、SnO2粒子同士の凝集があるため、組成のばらつきが大きく変位しなかった。一方、比表面積が13m2/gの実施例14においては、図48に示す特性と同様に、良好なヒステリシスを得ることができた。
従って、SnO2の比表面積は8m2/g以上、20m2/g以下とすることが適当である。
[5.反強誘電体膜の焼結後における振動部の沈み込み量の抑制]
前記(2)の条件で示したように、反強誘電体膜22の厚みを振動部18の厚みよりも厚くしていくと、反強誘電体膜22の焼成時における焼成収縮力が増加し、図39Aに示すように、振動部18の下方へのたわみ変形が促進され、振動部18の沈み込み量が大きくなる。
例えば、スペーサプレート10Bの厚みが150μmの場合、振動部18の沈み込み量が最大150μmまで発生する可能性がある。振動部18の沈み込み量が大きいと、反強誘電体膜22の中央部付近の表面が基体10の表面よりも沈み込んでしまい、アクチュエータ部12としたときの屈曲変位が小さくなるおそれがある。
そこで、図39Bに示すように、振動部18直下の空間、即ち、空所14の深さを10μm以下にする。これにより、振動部18の沈み込み量を10μm以下に抑制でき、反強誘電体膜22の中央付近の表面が基体10の表面よりも沈み込むことがなくなる。これは、図12A〜図13で示す条件を簡単に実現できる手法でもあり、アクチュエータ部12の一方向変位を確実に達成させることができる。
次に、空所14の深さが10μmであるセラミック素子の2種類の製造方法について説明する。
まず、第1の方法は、基体10は、グリーンシート又はグリーンテープである成形層を熱圧着等で積層し、次いで焼成することで一体化することができる。例えば、図40に示すように、3層のグリーンシート又はグリーンテープ(ベースプレート10Aとなる層120A、スペーサプレート10Bとなる層120B及び閉塞プレート10Cとなる層120C)を積層するが、そのうちの第2層(スペーサプレート10Bとなる層120B)に、後に空所14となる所定形状の窓部122を積層前に予め設けておけばよい。
また、成形型を用いる加圧成形、鋳込み成形、射出成形等によって成形層を作製し、切削、研削加工、レーザ加工、プレス加工による打ち抜き等の機械加工により、空所14(窓部122)等を設けてもよい。このときに、第2層120Bの厚みを1〜15μmにすることが好ましい。
第2の方法は、まず、例えば図41Aに示すように、ベースプレート10Aとなるグリーンシート又はグリーンテープ120A上に、該グリーンシート又はグリーンテープ120Aと同素材のペースト124を印刷法により塗布して第2層(スペーサプレート10Bとなる層120B)とする。このときの印刷パターンは窓部126を設けた形状とする。その後、図41Bに示すように、前記第2層120Bを含む全面に第3層(閉塞プレート10Cとなる層120C)を積層し、次いで、焼成することで、図41Cに示すように、基体10として一体化することができる。このとき、前記窓部126の部分に空所14が形成され、振動部18が形成されることになる。この場合も、第2層120B(この例では、ペースト124)の印刷パターンの厚みを1〜15μmにすることが好ましい。
ここで、1つの実験例(便宜的に第7の実験例と記す)について説明する。この第7の実験例は、第2層(スペーサプレート10Bとなる層120B)と反強誘電体膜22の厚みによって、反強誘電体膜22の焼成後における振動部18の沈み込み量δとピーク電圧通常印加時の変位がどのように変わるかを実施例15及び実施例16並びに比較例14及び比較例15に基づいて確かめたものである。
振動部18の沈み込み量δとは、図42に示すように、反強誘電体膜22の焼成後において、振動部18の上面中、空所14の中央部分に対応する部分が、基体10の上面よりも下方に沈み込んだ量を示す。
第7の実験結果を図43に示す。この実験結果から、第2層120Bの厚みが薄いと下方への沈み込みが抑制され、かつ、大きな変位が得られるが、第2層120Bの厚みが厚いと前記沈み込みが大きく、変位も小さくなることがわかる。
なお、上記の2種類の製造方法のほかに、更に以下のような方法を採用することも可能である。
即ち、ベースプレート10Aとなるグリーンシートの一主面に、数100℃の加熱で熱分解し、ガス化する有機物ペーストを空所形状のパターンで印刷塗布し、その後、閉塞プレート10Cとなるグリーンシートをその表面に積層し、次いで、焼成することにより、空所14の深さが10μm以下の基体10を得る。そして、上述のように、基体10上に反強誘電体膜22及び一対の電極24a及び24bを形成することにより、空所14の深さが10μm以下のセラミック素子を得ることができる。この場合、前記有機物ペーストとしては、例えばテオブロミン(C7342)を適用することができる。
また、更に別の製造方法としては、ベースプレート10Aとなるグリーンシートの一主面に、空所形状のパターンでレーザ光を照射し、表面層を分解除去し、その後、閉塞プレート10Cとなるグリーンシートをその表面に積層し、次いで、焼成することにより、空所14の深さが10μm以下の基体10を得る。そして、上述のように、基体10上に反強誘電体膜22及び一対の電極24a及び24bを形成することにより、空所14の深さが10μm以下のセラミック素子を得ることができる。この場合、レーザ光としては、グリーンシート組成物中の有機物の化学結合を直接分解しうるエキシマレーザが、CO2レーザ等と比較して、照射表面における熱発生が少なく、付随して生じるグリーンシートの変形や変質を最小限に抑制できる点で好ましい。
次に、第3の実施の形態に係るセラミック素子100Cと同様の構成を有する実施例17と前記5つの条件を一部において満足しない比較例16についての各ヒステリシス特性(電圧−屈曲変位特性)と各変位保持率の違いについて1つの実験例(便宜的に、第8の実験例と記す)に基づいて図25、図44〜図48を参照しながら説明する。第8の実験結果を図44に示す。
まず、比較として、バルク型素子104の作製条件及び歪み測定条件について説明する。バルク型素子104は、図25に示すように、反強誘電体仮焼粉末を一軸プレスで成形し、焼成したものを、12×3×1mmに加工後、両主面にAg電極102a及び102bを形成して作製した。そして、一方のAg電極102a上に歪みゲージ118を貼り付け、両電極102a及び102b間に周波数0.6Hzで±4kVの電圧eを印加し、そのときの歪みを導線130a及び130bを通じて測定した。その測定結果を図45に示す。このバルク型素子104の変位保持率は100〜107%であった(図44参照)。
次に、実施例17に係るセラミック素子の作製条件は次の通りである。前記(1)の条件である中間層106として厚み4μmのPt膜を形成し、前記(2)及び(5)の条件を満足するために、基体10として厚みが50μmのもの(振動部18の厚み10μm、スペーサプレート10Bの厚み10μm、ベースプレート10Aの厚み30μm)を使用した。また、前記(3)の条件を満足するために、ホットプレス荷重Pを0.6kg/cm2とし、前記(4)の条件を満足するために、反強誘電体膜22の焼成前組成(即ち、印刷後の組成)は見越し補正と鉛成分の後補正の組み合わせで、かつ、SnO2粉末の比表面積を1.1m2/gとした。
そして、反強誘電体膜22上の一対の電極24a及び24b間に周波数が1kHz、ピーク値が±130Vのサイン波(図46参照)を印加し、そのときの変位量をレーザ変位計を用いて連続的に測定すると、一例として図47に示すような特性図を得た。この実施例17においては、ピーク電圧(130V)での変位λpeと、電圧降下時における所定電圧(50V)での変位λceから、その変位保持率が81〜95%(図44参照)であり、形状記憶効果が十分に発揮されていることがわかる。
一方、比較例16に係るセラミック素子の作製条件は次の通りである。中間層106は形成せず、基体10として厚みが310μmのもの(振動部18の厚み10μm、スペーサプレート10Bの厚み150μm、ベースプレート10Aの厚み150μm)を使用した。また、荷重焼成は行わず、反強誘電体膜22の焼成前組成(即ち、印刷後の組成)においては見越し補正及び鉛成分の後補正とも行わなかった。但し、SnO2粉末の比表面積は13m2/gとした。これは、SnO2粉末の比表面積が8m2/g未満、20m2/gを超えると反強誘電性を示さなくなるため、SnO2粉末の比表面積は前記(4)の条件の指定組成範囲内とした。
そして、反強誘電体膜22上の一対の電極24a及び24b間に周波数が1kHz、ピーク値が±130Vのサイン波(図46参照)を印加し、そのときの変位量をレーザ変位計を用いて連続的に測定すると、図48に示すような特性図を得た。この比較例16においては、ピーク電圧(130V)での変位λpcと、電圧降下時における所定電圧(50V)での変位λccから、変位保持率が50〜54%であり(図44参照)、形状記憶効果が十分でないことがわかる。
上述した第3の実施の形態に係るセラミック素子100Cでは、高い変位保持率を得るために、前記5つの条件をすべて満足させるようにしたが、70%程度以上の変位保持率を満足させる場合は、前記5つの条件をすべて満足させる必要はなく、適宜選択して行えばよい。
[応用例]
[応用例1]
次に、応用例に係る表示装置200について図49〜図52を参照しながら説明する。この応用例に係る表示装置200は、第1の実施の形態に係るセラミック素子100A(アナログ変位タイプ及びデジタル変位タイプ)を表示装置200に適用したものである。従って、図1と対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
この応用例に係る表示装置200は、図49に示すように、光50が導入される光導波板52と、該光導波板52の背面に対向して設けられ、かつ多数のアクチュエータ部12が画素に対応して配列された駆動部54を有して構成されている。
駆動部54は、例えばセラミックスにて構成された基体10を有し、該基体10の各画素に応じた位置にアクチュエータ部12が配設されている。前記基体10は、一主面が光導波板52の背面に対向するように配置されており、該一主面は連続した面(面一)とされ、各画素に対応した位置にそれぞれ空所14を有する。
各アクチュエータ部12上には、光導波板52との接触面積を大きくして画素に応じた面積にする変位伝達部56が接続されている。この変位伝達部56は、実質的な発光面積を規定する板部材56aとアクチュエータ部12の変位を板部材56aに伝達するための変位伝達部材56bを有する。
変位伝達部56の変位伝達部材56bは、アクチュエータ部12の変位を直接光導波板52に伝達できる程度の硬度を有するものが好ましい。従って、上記変位伝達部材56bの材質としては、ゴム、有機樹脂、有機接着フイルム、ガラス等が好ましいものとして挙げられるが、電極層そのもの、あるいは圧電体、ないしは上述したセラミックス等の材質であってもかまわない。最も好ましくは、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリオレフィル系等の有機樹脂又は有機接着フイルムがよい。更に、これらにフィラーを混ぜて硬化収縮を抑制することも有効である。
板部材56aの材質としては、前記変位伝達部材56bの材料のほか、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系等の有機樹脂に高屈折率を有するセラミック粉末、例えばジルコニア粉末、チタニア粉末、酸化鉛粉末、それらの混合粉末等を高分散させた材料が、発光効率、平坦性維持の点で望ましい。この場合、樹脂重量:セラミック粉末重量=1:(0.1〜10)がよい。更に、前記組成に平均粒径0.5〜10μmのガラス粉末をセラミック粉末に対して1:(0.1〜1.0)の割合で添加すると、光導波板52の面との接触性、離型性が改良されるため好ましい。
なお、前記板部材56aは、光導波板52と接触する部分(面)の平坦度、平滑度が、アクチュエータ部12の変位量に比較して十分小さくすることが好ましく、具体的には、1μm以下、更に好ましくは0.5μm、特に好ましくは0.1μm以下である。但し、変位伝達部56の光導波板52と接触する部分(面)の平坦度は、変位伝達部56が光導波板52に接触した状態での隙間を減ずるために重要であって、接触した状態で当該接触部分が変形するものであれば上記平坦度に必ずしも限定されるものではない。
前記変位伝達部56のアクチュエータ部本体26への接続は、変位伝達部56として上述した材料を使用する場合にあっては、接着剤を使って上述した材料の変位伝達部56を積層するか、上述した材料の溶液、ペーストないしスラリーをコーティングする等の方法によりアクチュエータ部本体26の上部、あるいは光導波板52上に形成することにより行えばよい。
前記変位伝達部56をアクチュエータ部本体26に接続する場合は、好ましくは、変位伝達部材56bの材料を接着剤として兼ねる材料とすればよい。特に、有機接着フイルムを採用すれば、熱をかけることで接着剤として使えるため、好ましい。
光導波板52は、その内部に導入された光50が前面及び背面において光導波板52の外部に透過せずに全反射するような光屈折率を有するものであり、可視光波長領域での透過率が均一で、かつ高いものであることが必要である。このような特性を具備するものであれば、特にその材質は制限されないが、具体的には、例えばガラス、石英、アクリル等の透光性プラスチック、透光性セラミックスなど、あるいは異なる屈折率を有する材料の複数層構造体、又は表面にコーティング層を設けたものなどが一般的なものとして挙げられる。
そして、各電極24a及び24bに通じる配線は、図50に示すように、多数の画素の行数に応じた本数の垂直選択線58と、多数の画素の列数に応じた本数の信号線60とを有する。各垂直選択線58は、各画素(アクチュエータ部12)における一方の電極24aに電気的に接続され、各信号線60は、各画素12の他方の電極24bに電気的に接続されている。
また、前記各垂直選択線58は、前列の画素12に関する一方の電極24aから導出されて当該画素12に関する一方の電極24aに接続されて、一つの行に関し、シリーズに配線された形となっている。信号線60は、列方向に延びる本線60aと該本線60aから分岐して各画素12の他方の電極24bに接続される支線60bからなる。
各垂直選択線58への電圧信号の供給は、基体10の他主面からスルーホール62を通じて行われ、各信号線60への電圧信号の供給も、基体10の他主面からスルーホール64を通じて行われるようになっている。
スルーホール62及び64の配置パターンとしては種々のものが考えられるが、図50の例では、垂直選択線58のスルーホール62は、行数をM、列数をNとしたとき、N=M又はN>Mの場合においては、n行n列(n=1,2・・・)の画素の近傍で、かつ(n−1)列の信号線(本線)寄りの位置に形成され、N<Mの場合においては、(αN+n)行n列(α=0,1・・・(M/Nの商−1))の画素の近傍で、かつ(n−1)列の信号線(本線)寄りの位置に形成される。
また、垂直選択線58のスルーホール62は、信号線60の場合と異なって、垂直選択線58上に形成されないため、スルーホール62と一方の電極24a間にそれらの電気的導通を図るための中継導体66が形成される。
なお、各垂直選択線58と各信号線60とが交差する部分には、互いの配線58及び60間の絶縁をとるためにシリコン酸化膜、ガラス膜、樹脂膜等からなる絶縁膜68(二点鎖線で示す)が介在されている。
そして、この応用例に係る表示装置200に対する駆動においては、画素12に対して基本的に3つの動作(ON選択、OFF選択及び非選択)を行わせることによって画像表示するようになっている。
具体的には、表示装置200への画像信号の入力に基づいて、例えばシフトレジスタにて構成された垂直シフト回路による垂直選択線58への電位供給に従って、1水平走査期間毎に、例えば1行目、2行目、・・・n行目というように1行ずつ画素群が選択されていくが、選択された行のうち、ON選択すべき画素12に関する信号線60に対して、例えばシフトレジスタにて構成された水平シフト回路から所定の選択時点において電位供給が行われる。その結果、垂直シフト回路と水平シフト回路によってON選択された画素12には、その反強誘電体膜22に相転移を起こすに十分な所定電圧が印加される。このとき、当該画素におけるアクチュエータ部12は凸状に変位し、この状態は表示装置でみた場合、ON選択状態であり、このON選択状態では、アクチュエータ部12の凸状変形によって変位伝達部56が光導波板52側に変位し、該変位伝達部56は光導波板52に接触することとなる。
前記変位伝達部56は、アクチュエータ部12の変位に対応して光導波板52の背面に接触するものであるが、変位伝達部56が光導波板52の背面に接触すると、例えば光導波板52内で全反射されていた光50が、光導波板52の背面を透過して変位伝達部56の表面まで透過し、変位伝達部56の表面で散乱し、反射する。
変位伝達部56は、光導波板52の背面を透過した光を散乱し、反射するため、更には光導波板52との接触面積を所定以上に大きくするために設けられるものである。即ち、変位伝達部56と光導波板52との接触面積により、発光面積が規定される。
なお、変位伝達部56と光導波板52との接触とは、変位伝達部56と光導波板52とが光(光導波板52に導入される光)50の波長以下の距離に位置することを意味する。
一方、垂直シフト回路にて選択された行に関する画素群のうち、ON選択しない画素、即ち、OFF選択すべき画素12については、所定の選択時点において当該画素12に関する信号線60の電位がON選択時の電位とは異なる電位とされ、この場合、アクチュエータ部12の凸状変位を元に戻すに十分な電圧(逆バイアス電圧)とされる。このとき、当該画素におけるアクチュエータ部12は、元の状態に復帰する。この状態は、表示装置200でみた場合、OFF選択状態であり、このOFF選択状態では、アクチュエータ部12の前記変位動作によって変位伝達部56が光導波板52側から離間した状態となる。
垂直シフト回路によって選択されない行に関する全ての画素群については、非選択状態とされ、この場合、一対の電極24a及び24bへの電圧印加は停止される。
次に、本応用例に係る表示装置200の動作を図49を参照しながら説明する。まず、光導波板52の例えば端部から光50が導入される。この場合、光導波板52の屈折率の大きさを調節することにより、全ての光50が光導波板52の前面及び背面において透過することなく内部で全反射する。この状態において、あるアクチュエータ部12が励起状態とされて、光導波板52の背面に前記アクチュエータ部12に対応する変位伝達部56が光の波長以下の距離で接近あるいは接触すると、それまで全反射していた光50は、光導波板52の背面に接触している変位伝達部56の表面まで透過する。
一旦、変位伝達部56の表面に到達した光50は、変位伝達部56の表面で反射して散乱光70として、一部は再度光導波板52の中で反射するが、散乱光70の大部分は光導波板52で反射されることなく、光導波板52の前面を透過することになる。
つまり、光導波板52の背面にある変位伝達部56の接触の有無により、光導波板52の前面における光の発光(漏れ光)の有無を制御することができる。特に、本応用例に係る表示装置200では、光導波板52に対して変位伝達部56を接触・離隔方向に変位動作させる1つの単位を1画素とし、更にこの画素12を多数マトリクス状、あるいは各行に関し、千鳥状に配列するようにしているため、入力される画像信号の属性に応じて各画素12での変位動作を制御することにより、陰極線管や液晶表示装置と同様に、光導波板52の前面に画像信号に応じた映像(文字や図形等)を表示させることができる。
このように、本応用例に係る表示装置200においては、変位伝達部56を選択的に変位させるアクチュエータ部本体26の構成として、反強誘電体膜22と、該反強誘電体膜22に形成された一対の電極24a及び24bとを有するようにしている。この場合、一対の電極24a及び24bに所定の電圧が印加されると、アクチュエータ部本体26に印加電圧に応じた電界が生じ、この発生電界によって反強誘電体膜22が例えば一方向に変位する。この反強誘電体膜22の一方向の変位によって変位伝達部56が光導波板52側に変位し、上述したような光導波板52からの漏れ光の発生を誘起する。
特に、反強誘電体膜22は、上述したように、一旦、変位が行われると、電圧無負荷状態にした場合においても、その変位を維持することから、画像表示のために、所要画素について電圧印加を行って、該所要画素12のアクチュエータ部本体26を変位させれば、変位が解除されるまでの期間にわたって当該所要画素12の一対の電極24a及び24bへの電圧印加を停止しても、その変位が維持されて所要画素12の発光が持続する。
ここで、本応用例に係る表示装置200と比較例に係る表示装置の発光動作上の違いを図51A及び図51Bに基づいて説明する。なお、比較例に係る表示装置は、本応用例に係る表示装置200の反強誘電体膜22に代えて圧電/電歪膜36(図10A参照)を用いたものである。
比較例に係る表示装置は、選択行(垂直シフト回路にて選択された行)に関しては、一対の電極24a及び24bに所定電圧が印加されることから、ON選択された画素12が発光することになるが、選択行以外の行、即ち非選択行に関する画素12については電圧印加が停止状態となるため、これら非選択行に関する画素群のすべてのアクチュエータ部12の変位が元に戻ってしまい、選択時での発光状態は維持されない。図51Bにその様子を示す。図51Bは、非選択行に関する画素12がすべて消光状態であって、選択行のON選択された画素12のみが発光している状態を示している。
一方、本応用例に係る表示装置200においては、選択行に関しては、一対の電極24a及び24bに所定電圧が印加されることから、ON選択された画素12が発光し、OFF選択された画素12は消光することになる。この発光状態は、反強誘電体膜22の「強誘電相の歪みの状態を記憶する効果(形状記憶効果)」によって、一対の電極24a及び24bへの電圧印加を停止したとしても、そのまま維持される。図51Aにその様子を示す。この図51Aにおいて、選択行については、現在の水平走査線に関する画像信号に対応した発光状態を示し、選択行よりも上の行については、直前に選択したときの発光状態が維持されていることを示し、選択行よりも下の行については前フィールド期間(あるいは前フレーム期間)における発光状態が維持されていることを示す。
つまり、個別に信号配線と共通配線を形成した場合には、アクチュエータ部12の変位を維持したい時間に対して、より短い時間だけ所定の電圧を印加すればよいため、圧電/電歪膜36を用いた比較例に係る表示装置と比して省電力化が可能である。
更に、垂直選択線58と信号線60とを形成した場合において、比較例に係る表示装置のように、圧電/電歪膜36を使用した場合には、全アクチュエータ部12のうち、常に選択した行のアクチュエータ部12しか同時に変位させることができないが、本応用例に係る表示装置200においては、選択した行のアクチュエータ部12は次の行を選択するタイミングにおいても変位を維持するため、全ての行を選択し終えた時点では、最大、全ての行の全てのアクチュエータ部12を同時に変位維持することが可能である。
また、複雑な映像を表示可能な構成の場合には、必然的に画素数の多い構成となり、それに伴って垂直選択線58と信号線60を形成する構成が必要となるが、圧電/電歪膜36を用いた比較例に係る表示装置の場合には、全アクチュエータ部12のうち、常に選択した行のアクチュエータ部12しか同時に変位させることができず、選択した行の画素しか発光させることができないが、本応用例に係る表示装置200の場合には、選択した行のアクチュエータ部12は、次の行を選択するタイミングにおいても変位を維持するため、すべての行を選択し終えた時点では、全ての行の全てのアクチュエータ部12を同時に変位維持することが可能で、最大で、全画素を発光させることが可能となり、一定時間内における発光量を数倍から数十倍以上に増加させることが可能となる。
このようなことから、画像表示の例えば水平走査線に合わせて画素表示させる場合において、該当水平走査線に対応する画素列(画素群)に対してのみ電圧印加を行えばよいため、他の画素列(画素群)に対する電圧印加を考慮する必要がなくなり、その結果、駆動用の電気配線を行う場合に、1画素ずつ独立に配線する必要がなくなり、電気配線の簡素化を実現することができる。これは、駆動電圧供給系の負荷の低減化につながり、機械的構造及び回路構成の簡略化並びに製造コストの低廉化を図ることができる。
特に、図52に示すように、第3の実施の形態に係るセラミック素子100C(図24参照)を適用して表示装置200aとした場合、アクチュエータ部12での変位保持率が高いため、輝度の低下や、隣接画素に対する駆動時の電圧変動による輝度の変動等は生じなくなり、高品位の画像を表示を行わせることが可能となる。
[応用例2]
次に、第1の実施の形態に係るセラミック素子100A(図1参照)をリレー装置に適用した応用例に係るリレー装置210について図53〜図55Bを参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
この応用例に係るリレー装置210は、図53に示すように、例えば接地電位Vssが印加された対向端子板80と、該対向端子板80の背面に対向して設けられ、かつ多数のアクチュエータ部12がスイッチング素子として例えば1列に配列された駆動部82を有して構成されている。
駆動部82は、例えばセラミックスにて構成された基体10を有し、該基体10の各スイッチング素子に対応した位置にアクチュエータ部12が配設されている。前記基体10は、一主面が対向端子板80の背面に対向するように配置されており、該一主面は連続した面(面一)とされ、各スイッチング素子(アクチュエータ部)12に対応した位置にそれぞれ空所14を有する。
各アクチュエータ部12上の全面には、薄い絶縁シート(絶縁フイルム)84.が配置され、更に、該絶縁シート84と前記対向端子板80との間には信号端子付きの基板86が配置されている。なお、図53〜図55Bにおいては、図面の複雑化を避けるために一対の電極24a及び24b(上部電極40a及び下部電極40b)の記載を省略してある。
前記信号端子付き基板86は、多数の開口88が形成された絶縁基板90の一方の板面(駆動部82側を臨む板面)に、薄い金属板92が例えば接着剤にて貼り合わされて構成され、この金属板92は、絶縁基板90に形成されている多数の開口88と対応する箇所に前記開口88と開口幅がほぼ同じとされた開口94が多数形成され、更に、これら開口94を閉塞するように極薄の例えばベリリウム銅からなる金属製の板ばね96が設けられている。板ばね96は、中央部分が一方向(対向端子板80を臨む方向)に突出した断面形状を有する。この場合、信号端子付き基板86における絶縁基板90の開口88と金属板92の開口94によって信号端子付き基板86の開口98が構成され、金属板92と板ばね96にて信号端子部が構成される。
また、駆動部82の構成部材である基体10の周囲には、アクチュエータ部本体26の厚みとほぼ同じ高さを有する例えばセラミック部材からなる側壁99が固着されている。
そして、本応用例に係るリレー装置210を作製する場合は、駆動部82上に絶縁シート84を例えば接着剤にて固着する。このとき、絶縁シート84は、基体10の側壁99の上面と、各アクチュエータ部本体26の上面に接着される。その後、絶縁シート84上に信号端子付き基板86を例えば接着剤にて貼り合わせ固着する。この貼り合わせにおいては、信号端子付き基板86の金属板92側の面を絶縁シート84に対向させて貼り合わせる。このとき、板ばね96の突出部分96aが信号端子付き基板86の開口98内を対向端子板80側に進入するかたちとなる。その後、信号端子付き基板86における絶縁基板90上に対向端子板80を例えば接着剤にて貼り合わせ固着する。この段階で、図54に示す本応用例に係るリレー装置210が完成する。
前記板ばね96の開口98内での突出量は以下のようにして設定される。まず、図55Aに示すように、アクチュエータ部本体26における反強誘電体膜22が一方向(アクチュエータ部本体26が対向端子板80を臨む方向)に変位していない状態において、板ばね96における突出部分96aの上端が対向端子板80に接触しない程度とし、図55Bに示すように、前記反強誘電体膜22が一方向に変位(本実施例では5μm程度の変位)した状態において、板ばね96における突出部分96aの上端が対向端子板80に接触する程度とする。
そして、多数のスイッチング素子(アクチュエータ部)12のうち、一部のスイッチング素子12に対応する板ばね96が対向端子板80に接触すると、これら板ばね96と対向端子板80とが電気的に接続され、これら板ばね96と対向端子板80間に信号が流れ、例えばON動作が行われる。
このように、本応用例に係るリレー装置210においては、対向端子板80の背面にある板ばね96の接触の有無により、多数のスイッチング素子12のON/OFF動作を制御することができる。この場合、対向端子板80に対して板ばね96を接触・離隔方向に変位動作させる1つの単位を1スイッチング素子12として考えれば、このスイッチング素子12を例えば1列あるいはマトリクス状に配列し、入力されるスイッチング信号の属性に応じて各スイッチング素子12での変位動作を制御することにより、多数のスイッチング形態の組み合わせを提供することができ、スイッチング動作の多様化を実現させることができる。
また、本応用例に係るリレー装置210は、板ばね96を選択的に変位させるアクチュエータ部本体26の構成として、反強誘電体膜22と、該反強誘電体膜22に形成された一対の電極24a及び24b(上部電極40a及び下部電極40b)とを有するようにしている。この場合、一対の電極24a及び24bに所定の電圧が印加されると、アクチュエータ部本体26に印加電圧に応じた電界が生じ、この発生電界によって反強誘電体膜22が例えば一方向に変位する。この反強誘電体膜22の一方向の変位によって板ばね96が対向端子板80側に変位し、上述したようなスイッチング素子12のON動作を誘起する。
特に、反強誘電体膜22は、上述したように、一日、変位が行われると、電圧無負荷状態にした場合においても、その変位を維持するため、スイッチング動作のために、所要スイッチング素子12について電圧印加を行って、該所要スイッチング素子12のアクチュエータ部本体26を変位させれば、変位が解除されるまでの期間にわたって当該所要スイッチング素子12の一対の電極24a及び24b(上部電極40a及び下部電極40b)への電圧印加を停止しても、その変位が維持されて所要スイッチング素子12のON動作が持続するため、消費電力が大幅に低減され、ランニングコストの低廉化を実現させることができる。
また、スイッチング制御を行と列を特定して行う場合は、該当行に対応するスイッチング素子列に対してのみ電圧印加を行えばよく、他のスイッチング素子列に対する電圧印加を考慮する必要がなくなるため、駆動用の電気配線を行う場合に、1素子ずつ独立に配線する必要がなくなり、電気配線の簡素化を実現することができる。これは、駆動電圧供給系の負荷の低減化につながり、機械的構造及び回路構成の簡略化並びに製造コストの低廉化を図ることができる。
つまり、このリレー装置210は、従来のマグネット方式のリレー装置に比べて1ミリピッチという高集積化が可能であり、かつ制御電圧を常時印加しなくとも接触状態を維持できるため、省電力なリレー装置210となる。
[応用例3]
次に、応用例に係る容量可変コンデンサ220について図56A〜図58を参照しながら説明する。この応用例に係る容量可変コンデンサは、第1の実施の形態に係るセラミック素子100A(特にアナログ変位タイプ)あるいは第2の実施の形態に係るセラミック素子100B(特に第1のアナログ変位タイプ)を容量可変コンデンサに適用したものである。従って、それぞれについて第1応用例に係る容量可変コンデンサ220A及び第2応用例に係る容量可変コンデンサ220Bと記す。また、図1及び図15Aと対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
これらの応用例に係る容量可変コンデンサ220A及び220Bは、コンデンサの容量Cを可変にするための制御電極とコンデンサの両端電極を有して構成されている。そして、コンデンサの容量Cが可変になる原理は、まず、反強誘電体膜22において、相転移領域Ztの誘電率は、相転移されていない領域の誘電率よりも高い。従って、制御電極に印加される電圧を変えて、反強誘電体膜22内に発生する相転移領域Ztの範囲を変えることによって、コンデンサの容量Cを可変にすることができる。
これを知って、まず、前記第1応用例に係る容量可変コンデンサ220Aは、図56Aに示すように、第1の実施の形態に係るセラミック素子100Aを適用したものであり、例えばセラミックスにて構成された基体10の所定箇所にコンデンサ部80が配設されて構成されている。
コンデンサ部80は、図56Aに示すように、前記振動部18と固定部20のほか、該振動部18に形成された反強誘電体膜22と、該反強誘電体膜22の上面に形成された一対の制御電極(一方の制御電極24a及び他方の制御電極24b)と、反強誘電体膜22の上面及び下面にそれぞれ形成されたコンデンサの両端電極(上部電極40aと下部電極40b)とを有して構成されている。
次に、前記第1応用例に係る容量可変コンデンサ220Aの動作原理について図56A〜図57Bを参照しながら説明する。
まず、図56Aに示すように、一方の制御電極24a及び他方の制御電極24bをそれぞれ例えば接地電位として、一対の制御電極24a及び24b間の印加電圧を0とした場合は、コンデンサ部80に電界は生じないため、両端電極40a及び40b間に現れる容量Cは、反強誘電体膜22が本来持っている誘電率によって支配され、初期容量値C0とされる。
次に、前記一対の制御電極24a及び24bに印加される電圧VをV1、V2及びV3というように徐々に電圧値(レベル)を上げていった場合についてみると、まず、図56Bに示すように、印加電圧V=V1(>0V)のとき、即ち、印加電圧Vが前記所定電圧Vdよりも小さい電圧V1のときは、コンデンサ部80に発生する電界が弱いため、反強誘電体膜22には相転移は生じず、このため、両端電極40a及び40b間に現れる容量Cは、反強誘電体膜22が本来持っている誘電率によって支配され、この場合も初期容量値C0とされる。
図57Aに示すように、印加電圧Vが前記所定電圧Vdを越えた段階から、一対の制御電極24a及び24b間の距離が最も短い領域や一対の制御電極24a及び24bに最も近い領域が相転移させるのに十分な電界強度を有することとなって、これらの領域において相転移が生じ(相転移領域Ztの発生)、その相転移に伴って反強誘電体膜22の誘電率が高くなり、両端電極40a及び40b間に現れる容量Cは、前記初期容量値C0よりも高い容量値C1となる。
図57Bに示すように、前記印加電圧Vが更に上昇することに伴って、相転移させるのに十分な電界強度の領域が徐々に広がり、一対の制御電極24a及び24b間の距離が長い領域や一対の制御電極24a及び24bから遠い領域においても相転移が生じることになる(相転移領域Ztの拡大)。この場合、相転移領域Ztの拡大に応じて反強誘電体膜22の誘電率が更に高くなり、両端電極40a及び40b間に現れる容量Cは、前記印加電圧V2時の容量値C1よりも更に高い容量値C2となる。
このように、第1の実施の形態に係るセラミック素子100A(特にアナログ変位タイプ)のものを利用することにより、一対の制御電極24a及び24bへの印加電圧Vの上昇に応じて両端電極40a及び40bに現れる容量Cがアナログ的に変化する容量可変コンデンサを簡単に構成することができる。しかも、薄膜タイプにて構成することができるため、可変コンデンサが組み込まれたパラメトリック増幅器や周波数自動制御回路(AFC)並びに各種通信機器等の小型化を促進させることができる。
次に、第2応用例に係る容量可変コンデンサ220Bについて図58を参照しながら説明する。なお、図56Aと対応するものについては同符号を付してその重複説明を省略する。
この第2応用例に係る容量可変コンデンサ220Bは、図58に示すように、前記第1応用例に係る容量可変コンデンサ220Aとほぼ同じ構成を有するが、反強誘電体膜22の膜厚分布に20%以上のばらつきを有し、かつ、反強誘電体膜22の上面に形成された一対の電極24a及び24bがコンデンサの両端電極とされ、反強誘電体膜22の上面及び下面に形成された上部電極40a及び下部電極40bが一対の制御電極(上部制御電極及び下部制御電極)とされている点で異なる。
この場合も、前記第1応用例に係る容量可変コンデンサ220Aと同様に、上部制御電極40a及び下部電極40b間に印加される電圧Vの上昇に応じて反強誘電体膜22上に形成された両端電極24a及び24bに現れる容量Cがアナログ的に変化する容量可変コンデンサを簡単に構成することができる。
上述した例では、第1〜第3の実施の形態に係るセラミック素子100A〜100Cを表示装置200、リレー装置210及び容量可変コンデンサ(220A,220B)に適用した例を示したが、その他、フィルター、超音波センサや角速度センサや加速度センサや衝撃センサ等の各種センサ、マイクロフォン、発音体(スピーカー等)、ディスクリミネータ、動力用や通信用の振動子や発振子や共振子にも適用させることができ、サーボ変位素子、パルス駆動モータ、超音波モータ、圧電ファン等に用いられるアクチュエータ等にも適用させることができる。
なお、本発明に係るセラミック素子の種々の実施の形態例並びに該セラミック素子を表示装置、リレー装置及び容量可変コンデンサに適用した場合の応用例を具体的に説明してきたが、本発明は、前記実施の形態例並びに応用例に係る表示装置、リレー装置及び容量可変コンデンサに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々なる変更、修正、改良等を加えうるものである。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明に係るセラミック素子によれば、反強誘電体膜と該反強誘電体膜に形成された少なくとも一対の電極とを有するアクチュエータ部本体と、前記アクチュエータ部本体を支持する振動部と、前記振動部を振動可能に支持する固定部とを有し、かつ、分極後の前記反強誘電体膜において、前記電極に印加される電圧に応じて、その平均誘電率がアナログ的に増加する領域を有することを特徴としている。
このため、印加電圧に応じて機械的変位量がアナログ的に変化し、更に駆動電圧の印加終了後における電圧無負荷状態において、駆動電圧印加時と同等の変位量を維持することができるという効果が達成される。
これにより、印加電圧に対応して変位量の大小を精密に制御可能であって、かつ、微細な素子においても、圧電/電歪膜型素子を上回る大きな変位発生力を得ることが可能となり、様々なアプリケーション(表示装置やフィルタ等)を構成した場合に、駆動用の電気配線を簡素化でき、製造コストの低廉化を有効に図ることができる。

Claims (25)

  1. 少なくとも1つの空所によって薄肉とされた振動部と、該振動部を振動可能に支持する固定部とを一体に有する基体と、
    前記振動部上に形成された反強誘電体膜と、該反強誘電体膜に形成された少なくとも一対の電極とを有するアクチュエータ部本体とを有し、
    前記一対の電極は、前記反強誘電体膜の一主面に形成され、
    前記反強誘電体膜が分極された状態で、前記一対の電極に印加される電圧に応じて一方向への変位が連続的に増大する部分を有し、
    前記一対の電極への印加電圧によって発生する前記反強誘電体膜中の電界の強さが前記反強誘電体膜中の位置に応じて異なることを特徴とするセラミック素子。
  2. 請求項記載のセラミック素子において、
    前記一対の電極における電極間距離が大きい領域と小さい領域とを有することを特徴とするセラミック素子。
  3. 請求項1又は2記載のセラミック素子において、
    分極後の前記反強誘電体膜は、前記一対の電極に印加される電圧に応じて、その平均誘電率が連続的に増加する領域を有することを特徴とするセラミック素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記反強誘電体膜の組成が、Agを酸化銀換算で1〜10重量%含有する組成であることを特徴とするセラミック素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記反強誘電体膜の平均膜厚をt、電極間のピッチをpとしたとき、
    p/t≦2.5
    を満足することを特徴とするセラミック素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記振動部の厚みが前記反強誘電体膜の厚みよりも薄く、
    少なくとも前記振動部と前記反強誘電体膜は、前記振動部上に前記反強誘電体膜を形成した後、焼成することにより一体化され、
    前記振動部直下の前記空所の深さが10μm以下であることを特徴とするセラミック素子。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    少なくとも前記振動部が、部分安定化ジルコニアを含むセラミック材料で構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記反強誘電体膜の成分に錫を含有し、
    前記振動部は、アルミナを0.1〜5モル%含有する部分安定化ジルコニアを含むセラミック材料で構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  9. 少なくとも1つの空所によって薄肉とされた振動部と、該振動部を振動可能に支持する固定部とを一体に有する基体と、
    前記振動部上に形成された反強誘電体膜と、該反強誘電体膜に形成された少なくとも一対の電極とを有するアクチュエータ部本体とを有し、
    前記一対の電極のうち、一方の電極が前記反強誘電体膜の一主面に形成され、他方の電極が前記反強誘電体膜の他主面に形成され、
    前記反強誘電体膜が分極された状態で、前記一対の電極に印加される電圧に応じて一方向への変位が連続的に増大する部分を有し、
    前記一対の電極への印加電圧によって発生する前記反強誘電体膜中の電界の強さが前記反強誘電体膜中の位置に応じて異なることを特徴とするセラミック素子。
  10. 請求項記載のセラミック素子において、
    前記一対の電極における電極間距離が大きい領域と小さい領域とを有することを特徴とするセラミック素子。
  11. 請求項9又は10記載のセラミック素子において、
    分極後の前記反強誘電体膜は、前記一対の電極に印加される電圧に応じて、その平均誘電率が連続的に増加する領域を有することを特徴とするセラミック素子。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記反強誘電体膜が組成が、Agを酸化銀換算で1〜10重量%含有する組成であることを特徴とするセラミック素子。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記一方の電極の面積をA、前記他方の電極の面積をBとしたとき、
    A/B≧2又はA/B≦0.5
    を満足することを特徴とするセラミック素子。
  14. 請求項9〜13のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記振動部の厚みが前記反強誘電体の厚みよりも薄く、
    少なくとも前記振動部と前記反強誘電体膜は、前記振動部上に前記反強誘電体膜を形成した後、焼成することにより一体化され、
    前記振動部直下の前記空所の深さが10μm以下であることを特徴とするセラミック素子。
  15. 請求項14のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    少なくとも前記振動部が、部分安定化ジルコニアを含むセラミック材料で構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  16. 請求項9〜14のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記反強誘電体膜の成分に錫を含有し、
    前記振動部は、酸化チタンを0.1〜10モル%含有する部分安定化ジルコニアを含むセラミック材料で構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  17. 請求項121314又は16記載のセラミック素子において、
    前記電極間に挟まれた領域の膜厚分布に20%以上のばらつきがあることを特徴とするセラミック素子。
  18. 少なくとも1つの空所によって薄肉とされた振動部と、該振動部を振動可能に支持する固定部とを一体に有する基体と、
    前記振動部上に形成された反強誘電体膜と、該反強誘電体膜に形成された少なくとも一対の電極とを有するアクチュエータ部本体とを有し、
    前記一対の電極は、前記反強誘電体膜の一主面に形成され、
    前記振動部と前記反強誘電体膜との間に中間層を有することを特徴とするセラミック素子。
  19. 請求項18記載のセラミック素子において、
    前記中間層は、Pt又はPdの金属、あるいは両者の合金であることを特徴とするセラミック素子。
  20. 請求項18又は19記載のセラミック素子において、
    前記中間層の厚みが1μm以上、10μm以下であることを特徴とするセラミック素子。
  21. 請求項20記載のセラミック素子において、
    前記中間層の厚みが2μm以上、6μm以下であることを特徴とするセラミック素子。
  22. 請求項1〜21のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記反強誘電体膜の組成が、下記の組成であることを特徴とするセラミック素子。
    Pb0.99Nb0.02{[ZrxSn1-x1-yTiy0.983
    但し、0.5<x<0.6,0.05<y<0.063,0.01<Nb<0.03
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記基体の前記振動部及び前記固定部は、セラミックグリーンシート又はセラミックグリーンテープを積層し、一体焼成して構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  24. 請求項1〜23のいずれか1項に記載のセラミック素子において、
    前記基体は、少なくとも、窓部が設けられたスペーサプレートと該スペーサプレートの一方の側に重ね合わされて前記窓部を覆蓋する閉塞プレートとが積層され、一体焼成されて構成されていることを特徴とするセラミック素子。
  25. 請求項24記載のセラミック素子において、
    前記基体は、前記スペーサプレートの他方の側に重ね合わされて前記窓部を覆蓋し、かつ前記窓部に対応する位置に1つ以上の貫通孔を有する少なくとも1層のベースプレートが積層され、前記スペーサプレート及び前記閉塞プレートと共に一体焼成されて構成されていることを特徴とするセラミック素子。
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