JPH0624842A - 圧電電歪セラミック材料 - Google Patents

圧電電歪セラミック材料

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JPH0624842A
JPH0624842A JP4200641A JP20064192A JPH0624842A JP H0624842 A JPH0624842 A JP H0624842A JP 4200641 A JP4200641 A JP 4200641A JP 20064192 A JP20064192 A JP 20064192A JP H0624842 A JPH0624842 A JP H0624842A
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JP
Japan
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ceramic material
piezoelectric electrostrictive
electrostrictive ceramic
amount
piezoelectric
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JP4200641A
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English (en)
Inventor
Yuji Isotani
祐二 磯谷
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温のみならず130℃程度の高温でも大き
な歪を与えることができる圧電電歪セラミック材料を提
供する。 【構成】 Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物に、周期表のVI
II族元素、又はNd、La、Ybを除くIIIa族元素を不純物と
してドープしてなる圧電電歪セラミック材料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密工作機器における
位置決め、流量制御バルブ、自動車のブレーキ装置等に
使用するアクチュエータに好適な圧電電歪セラミック材
料に関し、特に、室温でのみならず100℃を超す高温
でも十分に大きな歪量を与える圧電電歪セラミック材料
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】電界を
加えると機械的な歪みを生じる性質を有する物質は、一
般に圧電材料または圧電電歪材料と呼ばれ、電気機械変
換素子として、バイモルフ、圧電着火素子、超音波振動
子、圧電ブザー、セラミックフィルター等に広く利用さ
れている。
【0003】一般に圧電材料に電界をかけるとその結晶
構造が変化し、その結晶変態点において極大の歪量(電
気機械結合定数)を示す。結晶変態点は各圧電材料によ
り異なるので、目的の作動温度に応じ、適当な圧電材料
を選択して用いている。
【0004】このような圧電材料としては、BaTiO3
Pb(Zr,Ti)O3 (一般にPZTと呼ばれる)、LiNbO3
LiTaO3 等が知られている。また上記材料に他の酸化物
等を添加して、圧電材料の各種特性を向上させたものも
用いられている。たとえば、上記のPZT材において、
Zrの一部をNb及びSnで置換したいわゆるPNZST材
(Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系セラミック材であって、たとえ
ば、Pb0.99Nb0.02〔 (Zr0.6 Sn0.4 ) 0.94Ti0.060.98
3 等)が知られている。このようなPNZST材は、
破壊を起こすことなく大きな歪みを生じるので、アクチ
ュエータ材としてたいへん有望である。しかしながら、
PNZST材は大きな電界ヒステリシスを有するために
アクチュエータ材としては実用化されていない。
【0005】PNZST系の圧電電歪セラミック材料に
おいて、大きな歪量を有するとともにヒステリシスを小
さくしたものとして、特開平3−174784号には、
一般式:Pb1-0.5a-cBac Nb a{ (Zr1-b Snb ) 1-y T
iy 1-a 3 (ただし、0.01≦a≦0.03、0.2 ≦b≦0.6 、0.01≦
c、かつ0.04≦(2/3) x+y≦0.075 )により表わされ
る組成を有するものが開示されている。
【0006】上記の圧電電歪材料は大きな歪量を与える
とともに、ヒステリシス/歪が小さく、アクチュエータ
材としての使用が見込まれる。しかしながら、本発明者
の研究によれば、上記の圧電電歪材料は室温においては
大きな歪量を与えることができるが、100℃を超す高
温になると歪量が小さくなり、そのためこのような高温
ではアクチュエータ材として使用することが難しい。1
00℃を超す環境で大きな歪量を与えることができれ
ば、圧電電歪材料の利用範囲が大幅に広がる。
【0007】したがって、本発明の目的は、室温のみな
らず130℃程度の高温でも大きな歪を与えることがで
きる圧電電歪セラミック材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべくP
NZST系の圧電電歪材料について鋭意研究の結果、本
発明者は、PNZST材に特定の元素を不純物としてド
ープするか、または、PNZST材におけるペロブスカ
イト型結晶構造中のAサイト又はBサイトに存在する元
素の一部を特定の元素により置換してやれば、130℃
程度でも大きな歪量を保持することができることを発見
し、本発明に想到した。
【0009】すなわち、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物か
らなる本発明の第1の圧電電歪セラミック材料は、周期
表のVIII族元素、又はNd、La、Ybを除くIIIa族元素を不
純物としてドープしてなることを特徴とする。
【0010】また、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物からな
る本発明の第2の圧電電歪セラミック材料は、そのペロ
ブスカイト型結晶構造中のAサイトの元素の一部を、N
d、La、Ybを除くIIIa族元素により置換してなることを
特徴とする。
【0011】さらに、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物から
なる本発明の第3の圧電電歪セラミック材料は、そのペ
ロブスカイト型結晶構造中のBサイトの元素の一部をVI
II族元素により置換してなることを特徴とする。
【0012】本発明を以下詳細に説明する。本発明の圧
電電歪セラミック材料は、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系の酸化
物に対して特定の元素を不純物としてドープしてなる
か、または、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系の酸化物(これはペ
ロブスカイト型結晶構造を有する)のAサイト又はBサ
イトの元素の一部を特定の元素により置換してなる。そ
こで、まず、本発明の圧電電歪セラミック材料のベース
として使用することができるPb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化
物について説明する。
【0013】Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物としては、一
般式: Pb1-0.5a-cBac Nb a{ (Zr1-b Snb ) 1-y Tiy 1-a 3 ・・・(1) (ただし、a≦0.03、0.15≦b≦0.6 、c≦0.12、かつ
y≦0.1 )で表わされるものを用いるのが好ましい。
【0014】Nbの含有量aは0.03以下とするのがよい。
Nbが0.03を超す量であると、電界を除去しても強誘電相
から反強誘電相への相転移が起こらず、不良となる。よ
り好ましいNb含有量aは0.015 〜0.025 である。
【0015】次にSnの含有量bは0.15〜0.6 の範囲とす
るのがよい。これに伴ってZrの含有量(1−b)は0.4
〜0.85の範囲となる。Snの含有量bが0.15未満(Zrが0.
85を超す量)であれば、電界を除去しても強誘電相から
反強誘電相への相転移が起こらず不良となる。またSnの
含有量bが 0.6を超す量(Zrが 0.4未満)であると、高
電界を印加しなければ(反強誘電相から強誘電相への)
相転移を起こさないので好ましくない。より好ましいSn
の含有量bは0.25〜0.45であり、これに伴って好ましい
Zr含有量(1−b)は0.55〜0.75となる。
【0016】Pbの一部をBaによって置換すると、歪量が
大きくなるとともにヒステリシスが小さくなる(ヒステ
リシス/歪みの値が小さくなる)。これは以下の3つの
理由によるものと考えられる。すなわち、 (a) Baによる一部のPbの置換により結晶の格子定数が拡
大し、それに応じて歪量も増大する。特にa軸の格子定
数が4.120 オングストローム以上になると、歪量は3×
10-3以上となる。 (b) Baの導入により非強誘電組成のBaZrO3 が部分的に
形成される。このときBaは圧電電歪材料内にランダムに
入るので、BaZrO3 は圧電電歪材料中に局所的に不均一
に形成される。 (c) 非強誘電組成のBaZrO3 の生成により、反強誘電相
と強誘電相間の相転移が局所的に妨げられる。
【0017】このようにBaZrO3 の形成部位がランダム
に配置されるので、相転移を起こす電界の強さは一定と
はならない。すなわち形成されたBaZrO3 の割合によっ
て相転移を起こす電界の強さが異なり、BaZrO3 の少な
い部分では弱い電界でも相転移を起こすが、BaZrO3
多い部分では、比較的大きな電界を印加しないと相転移
が起きない。したがって圧電電歪セラミック材料全体と
してみると相転移はいわば散漫化され、ある範囲の電界
の強さの中で相転移が連続して起こる。その結果、圧電
電歪セラミック材料の歪量は電界の強さに対してなだら
かに変化する傾向を示し、従来のPNZST材における
ヒステリシスより小さくなる(ヒステリシス曲線がスリ
ム化する)。
【0018】上述したように、Pbの一部をBaで置換する
ことにより圧電電歪セラミック材料のヒステリシス/歪
みは小さくなる。しかしながら、Baの添加は反強誘電相
を不安定にする効果があるので、Baを多く添加すると、
電界を除去しても強誘電相から反強誘電相へ相転移しな
くなる。この理由でBaの添加量cの上限を0.12とするの
が好ましい。
【0019】このPb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物におい
て、Tiの量yを減少させると一般にヒステリシスが小さ
くなる傾向があるが、Tiが存在しないと強誘電相が不安
定となり、高電界をかけないと反強誘電相から強誘電相
へ相転移しなくなる場合が生じる。一方、Tiの量yを多
くすると、それに応じて反強誘電相が不安定となり、電
界を除去しても反強誘電相へ戻らなくなるので、Tiの量
yの上限値を0.1 とするのが好ましい。なお、上述した
組成式からわかるように、Tiの量yの変化に応じて、
(Zr1-b Snb ) の量も変化する。
【0020】なお、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物として
は、上記式(1) で表される酸化物のみならず、実質的に
Nbを含まない酸化物(上記式(1) においてa=0とした
もの)や、実質的にBaを含まない酸化物(上記式(1) に
おいてc=0としたもの)や、実質的にTiを含まない酸
化物(上記(1) 式においてy=0としたもの)を用いる
ことができる。
【0021】本発明の第1の圧電電歪セラミック材料
は、上述したようなPb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物に、周
期表のVIII族元素又はNd、La、Ybを除くIIIa族元素を不
純物としてドープしてなる。好ましい圧電電歪セラミッ
ク材料としては、上記した式(1) の酸化物をベースとし
て、一般式: Pb1-0.5a-cBac Nb a{ (Zr1-b Snb ) 1-y Tiy 1-a x 3 ・・・(2) (ただし、Mは周期表のVIII族元素、又はNd、La、Ybを
除くIIIa族元素であり、a≦0.03、0.15≦b≦0.6 、c
≦0.12、0.01≦x≦0.1 、かつy≦0.1 )により表わす
ことができる。なお、Mが2価(2+)の場合(CoO、
NiO等)には、理論的には上記式(2) の酸素(の組成
比)はO3+x で表され、またMが3価(3+)の場合
(Fe2 3 等)にはO3+(3/2)xで表されるが、Fe等の金
属元素はいろんな価数を取ることができ、セラミックス
の焼成雰囲気、酸素分圧、その他の条件によって(セラ
ミックス中に)酸素イオン欠陥が生じるので、ドープし
た場合の圧電電歪セラミック材料を式(2) で表すことが
できる。
【0022】ドープする元素Mとしては、周期表のVIII
族元素(Fe、Co、Ni等)や、Nd、La、Ybを除くIIIa族元
素(Y、及びNd以外のLa系列元素、例えばプラセオジ
ム、サマリウム等)が挙げられる。VIII族元素の中で
は、特にFeを用いるのが好ましい。Feをドープした場合
には、130℃程度の高温でも十分に大きな歪量を得る
ことができる。また、IIIa族元素としては、特にYを用
いるのが好ましい。
【0023】Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物にドープする
元素Mの量xは、0.01〜0.1 とするのがよい。ドープす
る元素Mの量xが0.01未満であると元素Mをドープした
効果が顕著とならず、100℃を超す高温での歪量が小
さくなる。一方、ドープ量xが0.1 を超すと、絶縁性が
不良となる。
【0024】このように、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物
に上述したような元素をドープすると、ドープした元素
を含む酸化物が圧電電歪セラミック材料の結晶構造中に
ランダムに偏析する。この偏析の生成により、130℃
程度まで温度が上昇しても圧電電歪セラミック材料は大
きな歪量を与えることができるようになると思われる。
【0025】上述した本発明の第1の圧電電歪セラミッ
ク材料の作製は、以下のようにして行うことができる。
たとえば、上記した式(1) の組成のPb−Nb−Zr−Sn−Ti
系酸化物をベースとし、これにFeをドープする場合、ま
ず、式(1) の組成に合うように各種酸化物を混合し、こ
れを所定の温度で仮焼成する。次に、仮焼成して得られ
たものに、ドープする金属、又はその酸化物を式(2) に
おける組成比に合うように加え、均一に混合し、再び
(加圧)焼成して目的の圧電電歪セラミック材料を得
る。
【0026】次に本発明の第2の圧電電歪セラミック材
料について説明する。Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物はペ
ロブスカイト型結晶構造をとるが、このペロブスカイト
型結晶は一般にABO3 の組成式で表すことができる。
ここで、A及びBは結晶中の金属元素を表し、Oは酸素
原子を表す。すなわち、ペロブスカイト型結晶構造にお
いてはAサイトとBサイトの二つのサイトに金属元素が
入る。たとえば、圧電電歪セラミック材料用の酸化物と
して、上記した式(1) のものを例にとると、Pb及びBaが
ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占め、Bサイト
にはNb、Zr、Sn、及びTiが入る。
【0027】本発明の第2の圧電電歪セラミック材料
は、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物のペロブスカイト型結
晶構造中のAサイトの元素の一部を、Nd、La、Ybを除く
IIIa族元素により置換してなる。したがって、上記した
式(1) により表される酸化物をベースとする場合には、
Aサイトを占めるPb及び/又はBaの一部を、Nd、La、Yb
を除くIIIa族元素により置換したものとなる。
【0028】第2の圧電電歪セラミック材料の好ましい
例としては、一般式: Pb1-0.5a-1.5x-c x Bac Nb a{ (Zr1-b Snb ) 1-y Tiy 1-a 3 ・・(3) (ただし、MはNd、La、Ybを除くIIIa族元素であり、a
≦0.03、0.15≦b≦0.6、c≦0.12、0.01≦x≦0.1 、
かつy≦0.1 である)により表わされるものが挙げられ
る。上記式(3) で表される圧電電歪セラミック材料は上
記式(1) の酸化物をベースにしている。すなわち、式
(1) に示す酸化物のAサイトに存在するPbの一部をMに
より置換してなる。したがって、先に示した第1の圧電
電歪セラミック材料と異なる点は、その製造において、
添加する元素M(実際には元素Mの酸化物)の量xに応
じて、式(1) で表される組成(ベースとなる酸化物の組
成)からPbの量(実際にはPbの酸化物の量)を減じてい
る。
【0029】Ndを除くIIIa族元素Mとしては、Y、Nd以
外のランタニド元素が挙げられるが、特にY、プラセオ
ジム、サマリウムを用いるのが好ましい。
【0030】Ndを除くIIIa族元素MによるAサイトの元
素の置換量xは、0.01〜0.1 とするのがよい。置換量x
が0.01を下回ると、室温及び130℃程度の高温におけ
る歪量が小さくなる。一方、置換量xが0.1 を超すと、
絶縁不良となる。
【0031】ペロブスカイト型結晶構造の酸化物中にお
いて、金属元素がAサイトを占めるかまたはBサイトを
占めるかは、その金属のイオン半径の大小によって決ま
る。イオン半径が比較的大きい(具体的には、0.9オ
ングストローム程度以上)場合には、その元素はAサイ
トを占める。一方、イオン半径が0.9オングストロー
ムより小さい場合にはBサイトを占めるようになる。た
とえばYについて考えると、Yのイオン半径は0.9オ
ングストローム以上となるので(Y3+のイオン半径は約
0.92オングストローム)、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸
化物にYを導入すると、YはAサイトを占める。
【0032】結晶中のAサイトの元素の一部をYが置換
し、結晶構造中にランダムにYが配置されると、そもそ
も2価の元素が入るべきAサイトに3価のY(Y3+)が
入るために、結晶中にはランダムに陽イオン欠陥が生じ
ることになる。このような欠陥の存在が圧電電歪セラミ
ック材料の特性向上(常温及び高温における歪量の増
大)に寄与するものと考えられる。
【0033】第2の圧電電歪セラミック材料は、たとえ
ば式(3) に示すような組成範囲になるように出発原料と
なる各種酸化物を混合し、加圧焼成することにより行う
ことができる。
【0034】最後に本発明の第3の圧電電歪セラミック
材料について説明する。本発明の第3の圧電電歪セラミ
ック材料は、Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物のペロブスカ
イト型結晶構造中のBサイトの元素の一部を、VIII族元
素により置換してなる。ここで、VIII族元素としては、
特に、Fe、Co、Niを用いるのがよい。
【0035】上記のVIII族元素のうち、Co、Ni等の2価
が安定な元素については、一般式: Pb1-0.5a+x-c Ba c Nb a{ (Zr1-b Snb ) 1-y Tiy 1-a-X x 3 ・・(4) (ただし、MはCo、Ni等の2価が安定な元素であり、a
≦0.03、0.15≦b≦0.6、c≦0.12、0.01≦x≦0.1 、
かつy≦0.1 である)で表される組成とするのがよい。
【0036】また、Bサイトの元素の一部を置換する元
素として、3価が安定なFe等の元素を用いる場合には、
一般式: Pb1-0.5a+0.5x-c Ba c Nb a { (Zr1-b Snb ) 1-y Tiy 1-a-X x 3 ・(5) (ただし、MはFe等の3価が安定な元素であり、a≦0.
03、0.15≦b≦0.6 、c≦0.12、0.01≦x≦0.1 、かつ
y≦0.1 である)で表される組成とするのがよい。
【0037】Co2+、Ni2+のイオン半径はそれぞれ約0.72
オングストローム及び0.69オングストロームであり、ま
た、3価のFeイオン(Fe3+)のイオン半径は約0.64オン
グストロームであるので、これらの元素はペロブスカイ
ト型結晶構造のBサイトを占める。すなわち、Fe、Co、
NiはPb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物のBサイトの元素を置
換することになる。このように、そもそも4価の元素が
入るべきBサイトに、2価のイオン(Co2+、Ni2+等)ま
たは3価のイオン(Fe3+)が入るために、結晶中にはラ
ンダムに酸素イオン欠陥が生じる。このような欠陥の存
在が圧電電歪セラミック材料の特性向上(常温及び高温
における歪量の増大)に寄与するものと考えられる。
【0038】上述した第3の圧電電歪セラミック材料に
おいては、ベースとなる酸化物のBサイトの元素(たと
えばZr、Sn、Tiであり、これらは4価のイオンとなる)
を、価数の小さな元素(Fe、Co、Ni)で置換している
が、これは半導体の分野で言うところのアクセプタを結
晶構造中に導入したことになる。本発明者の研究によれ
ば、Bサイトの元素をアクセプタにより置換した場合に
は良好な歪量が得られるが、一方、Bサイトの元素をド
ナー(置き換えられる4価の元素より大きな価数を有す
る元素であって、たとえばV(V5+)、Ta(Ta5+)、W
(W6+)等)によって置換すると、得られる圧電電歪セ
ラミック材料の歪量は小さくなる。
【0039】VIII族元素MによるBサイトの元素の置換
量xは、上記式(4) 及び(5) のいずれにおいても0.01〜
0.1 とするのがよい。置換量xが0.01を下回ると、室温
及び130℃程度の高温における歪量が小さくなる。一
方、置換量xが0.1 を超すと、絶縁不良となる。
【0040】本発明の第3の圧電電歪セラミック材料の
製造方法は、上述した第2の圧電電歪セラミック材料の
場合と同様に行うことができる。
【0041】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。実施例1 出発原料としてPbO、BaCO3 、Nb2 5 、ZrO2 、SnO
2 、TiO2 を用い、これらの原料粉末を下記組成: Pb0.96Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.975 Ti0.025 0.983 となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した。
【0042】得られた混合物を850 〜950 ℃で10時間予
備焼成し、仮焼結体を得た。この仮焼結体に、組成式が
下記の式: Pb0.96Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.975 Ti0.025 0.98Fe0.023 となるようにFe2 3 を加えて、再びボールミルで24時
間混合した。
【0043】得られた混合物を1000kg/cm2 の圧力で金
型成形し、1300℃で2時間焼結し、厚さ0.3 mmの焼結体
を得た。この焼結体の両面に金からなる電極板を形成し
た。電極間に電圧を印加し、−40℃から140℃での
歪量を測定した。結果を図1に示す。また、図2には、
23℃、80℃及び120℃における電界−歪曲線を示
す。
【0044】比較例1 Fe2 3 を加えない以外は、実施例1と同様にして圧電
電歪セラミック材料を作成した。
【0045】得られた圧電電歪セラミック材料につい
て、実施例1と同様にして電圧を印加し、その歪量を測
定した。結果を図1に示す。
【0046】図1からわかるように、実施例1の圧電電
歪セラミック材料は、比較例1の圧電電歪セラミック材
料に比べて、室温〜140℃の間でより大きな歪量を与
える。
【0047】また、図2からわかるように、Feをドープ
した実施例1の圧電電歪セラミック材料では、80℃及
び120℃における歪量のほうが、室温(23℃)にお
ける歪量よりも大きく、かつヒステリシスが小さく(ヒ
ステリシス曲線がスリム化)なっている。
【0048】実施例2 出発原料としてPbO 、BaCO3 、Nb2 5 、ZrO2 、SnO
2 、TiO2 、及びY23 を用い、これらの原料粉末を
下記組成: Pb0.945 Ba0.030.01Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.96Ti0.040.983 となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した。
【0049】得られた混合物を850 〜950 ℃で10時間予
備焼成し、再びボールミルで24時間混合した。得られた
混合物を1000kg/cm2 の圧力で金型成形し、1300℃で2
時間焼結し、厚さ0.3 mmの焼結体を得た。この焼結体の
両面に金からなる電極板を形成した。
【0050】電極間に電圧を印加し、室温から100℃
の温度範囲での歪量を測定した。結果を図3に示す。
【0051】比較例2、3 Yを含まない圧電電歪セラミック材料を、実施例2と同
様にして作成した。なお、圧電電歪セラミック材料の組
成は、下記式: Pb0.96Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.97Ti0.030.983 (比較例2) となるようにした。
【0052】また、Y2 3 の代わりに、Ndの酸化物を
用い、下記式: Pb0.945 Ba0.03Nd0.01Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.96Ti0.040.983 の圧電電歪セラミック材料(比較例3)を作成した。
【0053】得られた圧電電歪セラミック材料につい
て、実施例2と同様にして電圧を印加し、その歪量を測
定した。結果を図3に合わせて示す。
【0054】実施例3、4 出発原料としてPbO、BaCO3 、Nb2 5 、ZrO2 、SnO
2 、TiO2 と、CoO、又はNiOを用い、これらの原料粉
末を下記組成: 実施例3: Pb0.97Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.97Ti0.030.97Co0.013 実施例4: Pb0.97Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.97Ti0.030.97Ni0.013 となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した。
【0055】得られた混合物を850 〜950 ℃で10時間予
備焼成し、再びボールミルで24時間混合した。得られた
混合物を1000kg/cm2 の圧力で金型成形し、1300℃で2
時間焼結し、厚さ0.3 mmの焼結体を得た。この焼結体の
両面に金からなる電極板を形成した。
【0056】電極間に電圧を印加し、室温から100℃
の温度範囲での歪量を測定した。結果を図4に示す。な
お、図4には、参考のために、上述した比較例2の歪量
の測定結果を合わせて示す。
【0057】実施例5及び比較例4、5 出発原料としてPbO 、BaCO3 、Nb2 5 、ZrO2 、SnO
2 、TiO2 と、Fe2 3 、Cr2 3 又はMnの酸化物を用
い、実施例3と同様にして、下記組成: 実施例5: Pb0.965 Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.975 Ti0.025 0.97Fe0.013 比較例4: Pb0.965 Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.97Ti0.030.97Cr0.013 比較例5: Pb0.965 Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.975 Ti0.025 0.97Mn0.013 を有するセラミック材料を作成した。
【0058】得られた圧電電歪セラミック材料につい
て、実施例3と同様にして電圧を印加し、その歪量を測
定した。比較例5については電圧を印加しても歪が生じ
なかった。実施例5及び比較例4の圧電電歪セラミック
材料における試験結果を図5に示す。
【0059】比較例6〜8 出発原料としてPbO 、BaCO3 、Nb2 5 、ZrO2 、SnO
2 、TiO2 と、V2 5 、Ta2 5 、又はWO3 を用
い、実施例3と同様にして、下記組成: 比較例6: Pb0.955 Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.97Ti0.030.970.013 比較例7: Pb0.955 Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.975 Ti0.025 0.97Ta0.013 比較例8: Pb0.95Ba0.03Nb0.02{ (Zr0.7 Sn0.3 ) 0.975 Ti0.025 0.970.013 を有するセラミック材料を作成した。
【0060】得られた圧電電歪セラミック材料につい
て、実施例3と同様にして電圧を印加し、その歪量を測
定した。結果を図6に示す。なお、図6には、参考のた
めに、上述した比較例2の結果を合わせて示す。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の圧電電歪
セラミック材料は室温から130℃程度までの温度範囲
において大きな歪量を与える。また、特に、上述した実
施例1の圧電電歪セラミック材料では、高温になるとそ
のステリシス曲線の幅が小さくなる。
【0062】本発明による圧電電歪材料は、大きな変位
量を必要とする各種のアクチュエータ用材料として好適
であり、高温の環境でも良好に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1の圧電電歪セラミック材
料の歪量と温度との関係を示すグラフである。
【図2】実施例1の圧電電歪セラミック材料に電界を印
加した時の電界−歪曲線を示すグラフである。
【図3】実施例2及び比較例2、3の圧電電歪セラミッ
ク材料の歪量と温度との関係を示すグラフである。
【図4】実施例3及び4の圧電電歪セラミック材料に電
界を印加した時の歪量と温度との関係を示すグラフであ
る。
【図5】実施例5及び比較例4の圧電電歪セラミック材
料に電界を印加した時の歪量と温度との関係を示すグラ
フである。
【図6】比較例6〜8の圧電電歪セラミック材料に電界
を印加した時の歪量と温度との関係を示すグラフであ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物からなる圧
    電電歪セラミック材料において、周期表のVIII族元素、
    又はNd、La、Ybを除くIIIa族元素を不純物としてドープ
    してなることを特徴とする圧電電歪セラミック材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の圧電電歪セラミック材
    料において、前記圧電電歪セラミック材料が、下記一般
    式: Pb1-0.5a-cBac Nb a{ (Zr1-b Snb ) 1-y Tiy 1-a
    x 3 (ただし、Mは周期表のVIII族元素、又はNd、La、Ybを
    除くIIIa族元素であり、a≦0.03、0.15≦b≦0.6 、c
    ≦0.12、0.01≦x≦0.1 、かつy≦0.1 )により表わさ
    れる組成を有することを特徴とする圧電電歪セラミック
    材料。
  3. 【請求項3】 Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物からなり、
    ペロブスカイト型結晶構造を有する圧電電歪セラミック
    材料において、前記ペロブスカイト型結晶構造における
    Aサイトの元素の一部を、Nd、La、Ybを除くIIIa族元素
    により置換してなることを特徴とする圧電電歪セラミッ
    ク材料。
  4. 【請求項4】 Pb−Nb−Zr−Sn−Ti系酸化物からなり、
    ペロブスカイト型結晶構造を有する圧電電歪セラミック
    材料において、前記ペロブスカイト型結晶構造における
    Bサイトの元素の一部をVIII族元素により置換してなる
    ことを特徴とする圧電電歪セラミック材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6998763B2 (en) 2001-08-31 2006-02-14 Ngk Insulators, Ltd. Ceramic device
JP3904240B2 (ja) * 1996-11-29 2007-04-11 日本碍子株式会社 セラミック素子
JP2010023524A (ja) * 1999-02-01 2010-02-04 Xaar Technology Ltd 小滴堆積装置

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