JPH11180766A - 圧電磁器組成物 - Google Patents

圧電磁器組成物

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JPH11180766A
JPH11180766A JP9349115A JP34911597A JPH11180766A JP H11180766 A JPH11180766 A JP H11180766A JP 9349115 A JP9349115 A JP 9349115A JP 34911597 A JP34911597 A JP 34911597A JP H11180766 A JPH11180766 A JP H11180766A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉛を含有せず、常温において300pC/N以
上の圧電歪み定数d33を有するとともに、かつ、−30
〜0℃において高い圧電歪み定数d33を有し、さらに−
30℃〜85℃の温度環境下における歪み量の温度依存
性が小さい圧電磁器組成物を提供する。 【解決手段】金属元素として少なくともBa、Ti、Z
rおよびSnを含有し、これらの金属元素の原子比によ
る組成式を、Bax 〔Ti1-y (Zr1-a Snay
3 と表した時、前記x、yおよびaが、0.96≦x
≦1.04、0.01≦y≦0.10、0.05≦a≦
0.75を満足する主成分と、該主成分100重量部に
対してCuをCuO換算で0.05〜2.0重量部含有
してなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電磁器組成物に関
し、特に精密工作機械における位置決め、光学装置の光
路長制御、流量制御用バルブ、超音波モータ、あるいは
自動車のブレーキ装置等のアクチュエータ用として最適
な圧電磁器組成物に関する。
【0002】
【従来技術】圧電材料を利用したアクチュエータは、圧
電現象を介して発生する歪みおよび力を機械的駆動源と
して用いるものであり、精密工作機械における位置決
め、光学装置の光路長制御、流量制御用バルブ、超音波
モータ、あるいは自動車のブレーキ装置等への応用が展
開されている。
【0003】従来、アクチュエータに用いる圧電材料と
しては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も幅広く
利用されているが、最近、鉛系廃棄物が酸性雨等に当た
ると鉛が溶出し、環境に悪影響を与えることが問題とな
っていることから、自重の約60%の割合で鉛を含有す
るPZTの代替として利用できる鉛を含まない圧電材料
が望まれている。
【0004】鉛を含有しないアクチュエータ用の圧電材
料として、BaTiO3 系磁器組成物の利用が考えられ
る。例えば、特開平2−159079号公報では、Ba
TiO3 のBaをSrで一部置換し、強誘電相(正方
晶)と常誘電相(立方晶)との相転移点をBaTiO3
自身の約120℃から使用温度(−30℃〜+70℃)
付近にまで低下させ、実際の使用温度において大きな歪
み量を示すアクチュエータ用の圧電材料を得ている。
【0005】圧電材料に電界を印加するとその結晶構造
が変化するが、その結晶相の相転移点において極大の歪
み変化を与える。上記公報はこれを利用したものであ
る。結晶相の相転移が起こる温度は材料組成により異な
ることから、組成を適切に選択することによって目的と
する使用温度の領域内に相転移点を移動することが可能
であり、これを利用することによって大きな歪み量を示
す圧電材料を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平2−159079号公報に開示された圧電磁器組成
物では、大きな歪み量を付与するために、強誘電相(正
方晶)と常誘電相(立方晶)の相転移点(キュリー点)
を大きく低下させるので、圧電性を示す温度領域が狭く
なってしまうという問題があった。即ち、例えば、この
相転移点を50℃程度まで低下させた場合にはそれ以上
の温度では圧電性を示さないことから、使用できないと
いう問題があった。
【0007】このようなBaTiO3 の相転移点を移動
させる手段として、BaTiO3 のTiをZrで一部置
換することが考えられる。この方法によるとキュリー点
を大きく低下させることなく、BaTiO3 の−70℃
付近の強誘電相(菱面体晶)と常誘電相(斜方晶)の相
転移点、および、5℃付近の強誘電相(斜方晶)と強誘
電相(正方晶)の相転移点を常温付近まで移動させるこ
とができる。これらの相転移点を使用温度の領域内に移
動させることによって、この温度領域において大きな歪
み量を与えるBaTiO3 系磁器を得ることが可能とな
る。しかしながら、BaTiO3 のTiをZrで一部置
換した組成物では、BaTiO3 と比較して大きな歪み
量が得られるが、特に0℃以下の温度領域における歪み
量の低下が顕著であるので、−30℃〜85℃の使用温
度の領域全般に渡って大きな歪み量を得ることができな
いという問題があった。
【0008】また、アクチュエータの実際の用途におい
ては、低電圧で駆動が可能であるという点から、圧電素
子自身の圧電歪み定数は大きい程良く、また、広範囲な
温度環境下で安定した歪み量が得られるという点から、
歪み量の温度依存性が小さいことが望まれている。例え
ば、積層タイプのアクチュエータに関しては、縦方向の
圧電歪み定数d33は常温において300pC/N以上で
あることが要求されている。また、実際の使用温度(−
30℃〜85℃)の領域全般において歪み量の温度依存
性が小さいことが同時に望まれている。本発明は、環境
に悪影響を与える鉛を含有せず、常温において300p
C/N以上の圧電歪み定数d33を有するとともに、か
つ、−30〜0℃において高い圧電歪み定数d33を有
し、さらに−30℃〜85℃の温度下における歪み量の
温度依存性が小さい圧電磁器組成物を得ることを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に鑑み鋭意研究の結果、BaTiO3 のTiをZrおよ
びSnで一部置換した組成物に対し、CuOを0.05
〜2.0重量部含有させることにより、−30℃〜85
℃における圧電歪み定数d33を大きくすることができる
と同時に、歪み量の温度依存性を小さくできることを見
い出し、本発明に至った。
【0010】即ち、本発明の圧電磁器組成物は、金属元
素として少なくともBa、Ti、ZrおよびSnを含有
し、これらの金属元素の原子比による組成式を、Bax
〔Ti1-y (Zr1-a Sna y 〕O3 と表した時、前
記x、yおよびaが、0.96≦x≦1.04、0.0
1≦y≦0.10、0.05≦a≦0.75を満足する
主成分と、該主成分100重量部に対してCuをCuO
換算で0.05〜2.0重量部含有してなるものであ
る。
【0011】
【作用】本発明の圧電磁器組成物では、BaTiO3
TiをZrおよびSnで一部置換することにより、Ba
TiO3 の強誘電相(正方晶)と常誘電相(立方晶)の
相転移点(キュリー点120℃)を大きく低下させるこ
となく、−70℃付近の強誘電相(菱面体晶)と常誘電
相(斜方晶)の相転移点、および、5℃付近の強誘電相
(斜方晶)と強誘電相(正方晶)の相転移点を−30℃
〜85℃の使用温度の領域内に移動させることができ
る。これによって−30℃〜85℃の使用温度領域内に
おける圧電歪み定数(d33)を向上させることができ
る。
【0012】また、ZrおよびSnを同時に固溶させる
ことにより、上記使用温度の領域、特に−30℃〜0℃
の低温における圧電歪み定数(d33)を向上させること
が可能となる。
【0013】さらに、主成分100重量部に対してCu
をCuO換算で0.05〜2.0重量部含有することに
よって、磁器の圧電特性がさらに向上し、大きな歪み量
が要求されるアクチュエータ用圧電材料として好適なB
aTiO3 系磁器組成物を得ることができる。
【0014】また、BaTiO3 のTiをZr、Snで
一部置換した組成物は、BaTiO3 と比較して高い焼
成温度を要するため、緻密化し難く、大気中で焼成する
場合には還元反応による圧電特性の劣化が生じ、大きな
歪み量を示す磁器を安定して製造することが困難であっ
たが、CuをCuO換算で所定量含有せしめることによ
り、BaTiO3 とほぼ同等あるいはそれ以下の低温で
焼成でき、大気中で焼成した場合でも還元反応が起こり
にくく、圧電特性の劣化を抑制でき、磁器特性のバラツ
キを小さく抑え、磁器を安定して製造することが可能と
なる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の圧電磁器組成物は、原子
比による組成式を、Bax 〔Ti1-y (Zr1-a
a y 〕O3 と表した時、x、yおよびaが0.96
≦x≦1.04、0.01≦y≦0.10、0.05≦
a≦0.75を満足する主成分と、該主成分100重量
部に対してCuをCuO換算で0.05〜2.0重量部
含有してなるものである。
【0016】BaTiO3 のTiの一部をZrおよびS
nで置換したのは、−30℃〜85℃における圧電歪み
定数(d33)を向上を図るためである。特に、−30℃
〜0℃の低温側における圧電歪み定数(d33)を大きく
向上できる。この場合において、Sn置換量aが0.0
5よりも少ない場合にはその効果が小さく、0.75よ
りも大きい場合においてもその効果が小さくなる。した
がって、Sn置換量aは0.05〜0.75の範囲であ
る。特に、−30℃〜0℃の低温側における圧電歪み定
数(d33)を大きくできるという点から、Sn置換量a
は0.1〜0.40の範囲が望ましい。
【0017】ZrおよびSn置換量yを0.10より多
くすると強誘電相(正方晶)と常誘電相(立方晶)の相
転移点(キュリー温度)がBaTiO3 の約120℃か
ら90℃以下となり、使用温度の上限である85℃にお
いて圧電性が顕著に低下する。一方ZrおよびSn量y
が0.01よりも小さい場合、BaTiO3 自身と比較
し、その圧電特性において顕著な差異が認められない。
したがって、ZrおよびSnの置換量yは0.01〜
0.10であり、特に、キュリー温度が高く耐熱性に優
れるという点から0.01〜0.07であることが望ま
しい。
【0018】また、組成式:Bax 〔Ti1-y (Zr
1-a Sna y 〕O3 において、ペロブスカイト型組成
物のAサイトとBサイトの比(A/B)を示すxを0.
96〜1.04としたのは、xが1.04よりも大きな
場合には焼結性が悪化し、磁器中に異相が顕著に出現
し、圧電特性が低下するからである。またxが0.96
よりも小さい場合には還元反応が起こりやすく、磁器の
圧電特性が低下するからである。xは、特に圧電特性に
優れるという点から0.98〜1.02が望ましい。
【0019】本発明では、Bax 〔Ti1-y (Zr1-a
Sna y 〕O3 (但し、xが0.96〜1.04、y
が0.01〜0.10、aが0.05〜0.75)なる
主成分100重量部に対し、CuをCuO換算で0.0
5〜2.0重量部含有するが、これはCuOを所定量含
有することによって、圧電性が向上し、焼成温度が低下
するからである。ただし、CuがCuO換算で0.05
重量部よりも少ない場合添加効果が殆どなく、圧電歪み
定数(d33)の向上が認められず、一方2.0重量部よ
りも多い場合には、圧電特性が劣化するからである。C
uは、圧電特性を向上させるという観点から、主成分1
00重量部に対してCuO換算で0.1〜1.0重量部
添加することが望ましい。
【0020】本発明の圧電磁器組成物では、特に、原子
比による組成式を、Bax 〔Ti1-y (Zr1-a
a y 〕O3 と表した時、x、yおよびaが、0.9
8≦x≦1.02、0.01≦y≦0.07、0.1≦
a≦0.4を満足する主成分と、該主成分100重量部
に対してCuをCuO換算で0.1〜1.0重量部含有
してなることが望ましい。
【0021】本発明の圧電磁器組成物では、Si、N
b、Ce、Sr、Ca、Al、Na等の不可避不純物が
混入する場合があり、また、プレス成形の金型等から、
Fe、Ni、Cr、Mo、Ni等の金属元素が混入する
場合もある。さらに、温度特性や耐熱性を向上するため
に、Mn、Co、Cr等を添加しても良い。
【0022】本発明の圧電磁器組成物では、Bax 〔T
1-y (Zr1-a Sna y 〕O3で表されるペロブス
カイト型結晶相にCuの大部分が固溶してなる結晶相を
主結晶相とする。また、本発明の圧電磁器組成物の平均
結晶粒径は、圧電特性に優れるという理由から2.5μ
m以上であることが望ましい。
【0023】本発明の圧電磁器組成物は、例えば、次の
ようにして製造することができる。先ず、BaCO3
TiO2 、ZrO2 、SnO2 およびCuOの各粉末を
所定の割合で混合し、800〜1150℃で1〜5時間
仮焼した後、粉砕することにより所望の組成の圧電材料
の粉末を得る。この粉末に有機バインダーを混合し、金
型プレス、静水圧プレス等により所望の形状に成形した
後、大気中等の酸化性雰囲気において1150〜128
0℃で1〜3時間焼成することにより磁器を得る。これ
を必要に応じて所望の厚さに加工して使用する。
【0024】尚、CuOは調合時だけでなく、仮焼後・
粉砕前に添加しても同様な結果が得られるが、この場合
は1重量部以下のCuOを添加することが望ましい。こ
れよりも多いと磁器中に顕著に異相が生じ易く、これに
より圧電特性が低下するからである。
【0025】また、CuはCuO換算で所定量含有する
ものであるが、CuO粉末のみならず、Cu粉末、その
他のCuを含む化合物粉末であっても良い。
【0026】さらに、BaCO3 、TiO2 、Zr
2 、SnO2 およびCuO粉末は、それぞれの金属元
素を含有する酸化物、炭酸塩、酢酸塩等の無機化合物、
もしくは有機金属等の有機化合物のいずれであっても、
焼成により酸化物となるものであれば良い。
【0027】
【実施例】出発原料として、BaCO3 、TiO2 、Z
rO2 、SnO2 粉末を用いて、焼結体組成が、原子比
による組成式:Bax 〔Ti1-y (Zr1-a
a y 〕O3 におけるx、yおよびaが表1、2に示
す値となるように秤量し、この主成分100重量部に対
して表1、2に示す値となるようにCuO粉末を添加し
た。この混合物をZrO2 ボールを用いたボールミルで
12時間湿式混合した。
【0028】次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、
大気中1100℃で3時間仮焼し、該仮焼物を再び上記
ボールミルで粉砕した。その後、この粉砕物にバインダ
ー(PVA)を混合して造粒した。得られた粉末を1.
5t/cm2 の圧力で直径5mm、厚さ15mmの寸法
からなる円柱にプレス成形した。これらの成形体をMg
Oからなる板に並べ、大気中1150〜1450℃で2
時間焼成した。
【0029】得られた圧電磁器に銀電極を焼き付け、8
0℃のシリコンオイル中で3kV/mmの直流電界を印
加して分極処理した。そして共振法により常温(25
℃)での圧電歪み定数(d33)を求めた。
【0030】また、上記圧電磁器の比誘電率を温度の関
数としてプロットすることにより強誘電相(正方晶)と
常誘電相(立方晶)の相転移点の温度(キュリー温度)
を求めた。これらの結果を表1、2に記載した。
【0031】また、表2の試料No.25〜32につい
て、共振法により−30℃、85℃での圧電歪み定数
(d33)を求め、常温(25℃)での圧電歪み定数(d
33)と合わせて記載した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】これらの表1、2から、上記組成式中のx
が0.95の場合や1.05の場合には圧電歪み定数
(d33)が300pC/Nよりも低下することがわか
る。また、yが0の場合には圧電歪み定数(d33)が3
00pC/Nよりも低下し、0.12の場合にはキュリ
ー温度が82℃に低下し、85℃での使用温度では脱分
極を起こし、使用できないことがわかる。
【0035】さらに、aが0、0.02や0.80の場
合には、表2に示すように、−30℃での圧電歪み定数
(d33)が200pC/Nよりも低下し、−30〜0℃
において圧電歪み定数d33が低く、−30℃〜85℃の
温度環境下における歪み量の温度依存性が大きいことが
わかる。
【0036】また、主成分100重量部に対してCuO
が0.05重量部よりも少ない場合は、圧電歪み定数
(d33)の顕著な向上が認められず、300pC/Nよ
りも低い値となっている。また、2.0重量部よりも多
い場合にも、圧電歪み定数d33が300pC/Nよりも
低下することがわかる。
【0037】これに対して、本発明の試料では、常温に
おいて300pC/N以上の圧電歪み定数d33を有する
とともに、かつ、−30℃において200pC/Nより
高い圧電歪み定数d33を有し、−30℃〜85℃の温度
環境下における歪み量の温度依存性が小さいことがわか
る。また、図1に示すように、CuOの添加量が増加す
る程、焼成温度(理論密度の95%になる温度を焼成温
度とする)が低下し、低温焼成が可能となることがわか
る。
【0038】また、ZrおよびSn量yが0.01〜
0.10の範囲にある試料9〜12では、何れの試料も
90℃を越えるキュリー温度を示し、300pC/N以
上の圧電歪み定数(d33)を有しているのがわかる。
【0039】CuO添加量と圧電歪み定数(d33)との
関係を図2に示した。CuO添加量が0.05〜2.0
重量部の場合、常温(25℃)の圧電歪み定数(d33
が300pC/N以上であることがわかる。CuO添加
量が0.05重量部よりも少ない場合、圧電歪み定数
(d33)が向上する効果が小さく、一方、2.0重量部
よりも多い場合には、圧電歪み定数(d33)が低下する
のがわかる。
【0040】さらに、基本組成:Ba〔Ti0.95(Zr
0.8 Sn0.2 0.05〕O3 100重量部に対し0.2重
量部のCuOを添加した本発明の試料No.29、Ba
(Ti0.95Zr0.05)O3 100重量部に対して0.2
重量部のCuOを添加した比較例の試料No.25、およ
びBa(Ti0.95Zr0.05)O3 からなる比較例の試料
No.24の圧電歪み定数(d33)と温度との関係を図3
示す。
【0041】この図3より、本発明の試料No.29は、
CuOを添加しないNo.24と比較し、使用温度(−3
0〜85℃)における圧電歪定数(d33)が著しく向上
していることが判る。しかも、試料No.29ではZrの
一部をSnで置換しているので、Snを含有しない試料
No.25と比較し、低温側(−30〜0℃)における圧
電歪定数(d33)の低下が小さく、−30〜85℃の領
域全体における圧電歪定数(d33)の温度依存性が小さ
くなっていることが判る。
【0042】尚、試料No.24および25の圧電歪定数
(d33)において、0℃および50℃の付近に極大が認
められるが、これはTiの一部をZrおよびSnで置換
することにより、BaTiO3 の約−70℃に観測され
る強誘電相(菱面体晶)と強誘電相(斜方晶)の相転移
点と、約5℃に観測される強誘電相(斜方晶)と強誘電
相(正方晶)の相転移点が、それぞれ使用温度内の0℃
と50℃に移動し、これらの相転移点において歪み量が
極大を示すためである。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の圧電磁器組成物
では、BaTiO3 のTiをZrおよびSnで一部置換
することによって、−70℃付近の強誘電相(菱面体
晶)と常誘電相(斜方晶)の相転移点、および5℃付近
の強誘電相(斜方晶)と強誘電相(正方晶)の相転移点
を使用温度内に移動させ、使用温度(−30℃〜85
℃)の領域、特に−30℃〜0℃の低温側における圧電
歪み定数(d33)を大きくできる。これにより、使用温
度の領域全般における歪み量の温度依存性を小さくでき
る。また、主成分100重量部に対してCuをCuO換
算で0.05〜2.0重量部含有することによって、低
温焼成できるとともに磁器の圧電歪み定数(d33)がさ
らに向上し、アクチュエータの用途に好適な圧電磁器組
成物を得ることができる。また、鉛を含有していないの
で環境への悪影響が少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼成温度とCuO添加量との関係を示す図であ
る。
【図2】圧電歪み定数(d33)とCuO添加量との関係
を示す図である。
【図3】圧電歪み定数(d33)と温度との関係を示す図
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素として少なくともBa、Ti、Z
    rおよびSnを含有し、これらの金属元素の原子比によ
    る組成式を、 Bax 〔Ti1-y (Zr1-a Sna y 〕O3 と表した時、前記x、yおよびaが 0.96≦x≦1.04 0.01≦y≦0.10 0.05≦a≦0.75 を満足する主成分と、該主成分100重量部に対してC
    uをCuO換算で0.05〜2.0重量部含有してなる
    ことを特徴とする圧電磁器組成物。
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