JP3214055B2 - アクチュエータ用圧電セラミック組成物 - Google Patents
アクチュエータ用圧電セラミック組成物Info
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- JP3214055B2 JP3214055B2 JP11459492A JP11459492A JP3214055B2 JP 3214055 B2 JP3214055 B2 JP 3214055B2 JP 11459492 A JP11459492 A JP 11459492A JP 11459492 A JP11459492 A JP 11459492A JP 3214055 B2 JP3214055 B2 JP 3214055B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明はアクチュエータ用圧電セ
ラミック組成物に係り、特に、圧電歪定数が大きく、且
つキューリ温度が高く、しかも、誘電率が低く、圧電ア
クチュエータ用材料として極めて有用なアクチュエータ
用圧電セラミック組成物に関する。
ラミック組成物に係り、特に、圧電歪定数が大きく、且
つキューリ温度が高く、しかも、誘電率が低く、圧電ア
クチュエータ用材料として極めて有用なアクチュエータ
用圧電セラミック組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】アクチュエータとは、圧電逆効果、即ち
電気的エネルギーから機械的エネルギーへの変換作用を
用い、電圧の印加によりミクロン或いはミクロンアンダ
ーの微少変位を正確に発生させるものであって、ブザー
やポンプ、バルブ等の音響或いは流量の精密コントロー
ル、ＶＴＲヘッドのオートトラッキングやオートフォー
カス、更にはミクロンアンダーの機械的切削バイトの正
確な位置決めや、半導体製造用の微少位置決め装置等へ
の応用開発が、近年急速に進められている。
電気的エネルギーから機械的エネルギーへの変換作用を
用い、電圧の印加によりミクロン或いはミクロンアンダ
ーの微少変位を正確に発生させるものであって、ブザー
やポンプ、バルブ等の音響或いは流量の精密コントロー
ル、ＶＴＲヘッドのオートトラッキングやオートフォー
カス、更にはミクロンアンダーの機械的切削バイトの正
確な位置決めや、半導体製造用の微少位置決め装置等へ
の応用開発が、近年急速に進められている。
【０００３】従来より、アクチュエータ用圧電材料とし
ては、ジルコン酸チタン酸鉛セラミック組成物（ＰＺ
Ｔ）が優れた圧電特性を有するものとして知られてお
り、使用用途に応じて種々の改良がなされている。
ては、ジルコン酸チタン酸鉛セラミック組成物（ＰＺ
Ｔ）が優れた圧電特性を有するものとして知られてお
り、使用用途に応じて種々の改良がなされている。
【０００４】例えば、ジルコン酸チタン酸鉛の一部を、
Ｂｉ3+などの三価イオンで置換する方法、Ｐｂ（Ｎｉ
1/2 Ｗ1/2 ）Ｏ3 , Ｐｂ（Ｃｏ1/3 Ｎｂ2/3 ）Ｏ3 ，Ｐ
ｂ（Ｎｉ1/3 Ｎｂ2/3 ）Ｏ3 などの複合ペロブスカイト
化合物との固溶体を合成する方法などにより、ＰＺＴ系
アクチュエータ用圧電材料の特性の改善がなされてい
る。
Ｂｉ3+などの三価イオンで置換する方法、Ｐｂ（Ｎｉ
1/2 Ｗ1/2 ）Ｏ3 , Ｐｂ（Ｃｏ1/3 Ｎｂ2/3 ）Ｏ3 ，Ｐ
ｂ（Ｎｉ1/3 Ｎｂ2/3 ）Ｏ3 などの複合ペロブスカイト
化合物との固溶体を合成する方法などにより、ＰＺＴ系
アクチュエータ用圧電材料の特性の改善がなされてい
る。
【０００５】ところで、微少変位をミクロン或いはミク
ロンアンダーの精度でコントロールする圧電アクチュエ
ータ素子には、ユニモルフ型、バイモルフ型、積層型の
タイプがあり、且つ、その要求特性としては、高い圧電
歪定数と高いキューリ温度を併せ持つこと、即ち、例え
ば、横モードの圧電歪定数ｄ31及びキューリ温度Ｔｃが
次のような値であることが挙げられる。 （１） ｄ31＞３００×１０-12 ｍ／ｖ，Ｔｃ＞１５０
℃ （２） ｄ31＞２５０×１０-12 ｍ／ｖ，Ｔｃ＞２５０
℃
ロンアンダーの精度でコントロールする圧電アクチュエ
ータ素子には、ユニモルフ型、バイモルフ型、積層型の
タイプがあり、且つ、その要求特性としては、高い圧電
歪定数と高いキューリ温度を併せ持つこと、即ち、例え
ば、横モードの圧電歪定数ｄ31及びキューリ温度Ｔｃが
次のような値であることが挙げられる。 （１） ｄ31＞３００×１０-12 ｍ／ｖ，Ｔｃ＞１５０
℃ （２） ｄ31＞２５０×１０-12 ｍ／ｖ，Ｔｃ＞２５０
℃
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、ｄ31が３００×１０-12 ｍ／ｖを超えるような高い
圧電歪定数を持つ材料は、キューリ温度（Ｔｃ）が１０
０℃近傍に低下してしまい、素子の使用温度の上限が５
０〜６０℃に限定され、実用素子としての応用に制約が
あった。また、誘電率ε33 T/ε0 が５０００を超え、高
周波駆動の際、インピーダンスが低下して発熱し易く、
また、大容量の駆動電源を必要とするといった問題点が
あった。
に、ｄ31が３００×１０-12 ｍ／ｖを超えるような高い
圧電歪定数を持つ材料は、キューリ温度（Ｔｃ）が１０
０℃近傍に低下してしまい、素子の使用温度の上限が５
０〜６０℃に限定され、実用素子としての応用に制約が
あった。また、誘電率ε33 T/ε0 が５０００を超え、高
周波駆動の際、インピーダンスが低下して発熱し易く、
また、大容量の駆動電源を必要とするといった問題点が
あった。
【０００７】逆に、キューリ温度（Ｔｃ）の高い材料
は、圧電歪定数（ｄ31）が低くなってしまい、素子の駆
動に高い電圧を必要とするという問題点があった。
は、圧電歪定数（ｄ31）が低くなってしまい、素子の駆
動に高い電圧を必要とするという問題点があった。
【０００８】このような理由から、前記（１），（２）
に挙げられるような、高い横モードの圧電歪定数
（ｄ31）及び高いキューリ温度（Ｔｃ）を共に有し、且
つ、低い誘電率（例えば、ε33 T/ε0 ＜５０００）を併
せ持つ材料の開発が望まれている。
に挙げられるような、高い横モードの圧電歪定数
（ｄ31）及び高いキューリ温度（Ｔｃ）を共に有し、且
つ、低い誘電率（例えば、ε33 T/ε0 ＜５０００）を併
せ持つ材料の開発が望まれている。
【０００９】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あって、高い電気機械結合係数、高い圧電歪定数、低い
誘電率、高いキューリ温度を合わせ持ち、種々の圧電材
料として極めて有用なアクチュエータ用圧電セラミック
組成物を提供することを目的とする。
あって、高い電気機械結合係数、高い圧電歪定数、低い
誘電率、高いキューリ温度を合わせ持ち、種々の圧電材
料として極めて有用なアクチュエータ用圧電セラミック
組成物を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】請求項（１）のアクチュ
エータ用圧電セラミック組成物は、下記一般式（Ｉ）で
表されるセラミック組成を母組成とし、該母組成に対し
てＦｅ，Ａｌ及びＭｎよりなる群から選ばれる１種又は
２種以上の元素を含有し、その含有量がＦｅ2Ｏ3 又は
Ａｌ2 Ｏ3 に換算して０．３重量％以下、ＭｎＯ2 に換
算して０．２重量％以下であることを特徴とする。 Ｐｂ(1-x-m) Ｌａx Ａm （Ｚｒy Ｔｉ1-y ）1-x/4 Ｏ3 …（Ｉ） （但し、一般式（Ｉ）中、０＜ｘ≦０．０７、０．４０
≦ｙ≦０．６５、０＜ｍ≦０．１５、Ａ＝Ｂａ，Ｃａ及
びＳｒよりなる群から選ばれる１種又は２種以上の元
素） 請求項（２）のアクチュエータ用圧電セラミック組成物
は、一般式（Ｉ）のアクチュエータ用圧電セラミック組
成物を主成分とし、副成分としてＳｂ，Ｎｂ及びＴａよ
りなる群から選ばれる１種又は２種以上の元素を、該主
成分に対して、Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2 Ｏ5 又はＴａ2 Ｏ5
に換算して０〜３重量％含有することを特徴とする。な
お、以下において、前記母組成及び前記主成分に対する
Ｆｅ，Ａｌ，Ｍｎ，Ｓｂ，Ｎｂ，Ｔａの各Ｆｅ2 Ｏ3 ，
Ａｌ2 Ｏ3 ，ＭｎＯ2 ，Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2Ｏ5 ，Ｔａ2
Ｏ5 換算値を単に、それぞれ、「Ｆｅ2 Ｏ3 添加
量」、「Ａｌ2 Ｏ 3 添加量」、「ＭｎＯ2 添加量」、
「Ｓｂ2 Ｏ5 添加量」、「Ｎｂ2 Ｏ5 添加量」、「Ｔａ
2Ｏ5 添加量」と称す。
エータ用圧電セラミック組成物は、下記一般式（Ｉ）で
表されるセラミック組成を母組成とし、該母組成に対し
てＦｅ，Ａｌ及びＭｎよりなる群から選ばれる１種又は
２種以上の元素を含有し、その含有量がＦｅ2Ｏ3 又は
Ａｌ2 Ｏ3 に換算して０．３重量％以下、ＭｎＯ2 に換
算して０．２重量％以下であることを特徴とする。 Ｐｂ(1-x-m) Ｌａx Ａm （Ｚｒy Ｔｉ1-y ）1-x/4 Ｏ3 …（Ｉ） （但し、一般式（Ｉ）中、０＜ｘ≦０．０７、０．４０
≦ｙ≦０．６５、０＜ｍ≦０．１５、Ａ＝Ｂａ，Ｃａ及
びＳｒよりなる群から選ばれる１種又は２種以上の元
素） 請求項（２）のアクチュエータ用圧電セラミック組成物
は、一般式（Ｉ）のアクチュエータ用圧電セラミック組
成物を主成分とし、副成分としてＳｂ，Ｎｂ及びＴａよ
りなる群から選ばれる１種又は２種以上の元素を、該主
成分に対して、Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2 Ｏ5 又はＴａ2 Ｏ5
に換算して０〜３重量％含有することを特徴とする。な
お、以下において、前記母組成及び前記主成分に対する
Ｆｅ，Ａｌ，Ｍｎ，Ｓｂ，Ｎｂ，Ｔａの各Ｆｅ2 Ｏ3 ，
Ａｌ2 Ｏ3 ，ＭｎＯ2 ，Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2Ｏ5 ，Ｔａ2
Ｏ5 換算値を単に、それぞれ、「Ｆｅ2 Ｏ3 添加
量」、「Ａｌ2 Ｏ 3 添加量」、「ＭｎＯ2 添加量」、
「Ｓｂ2 Ｏ5 添加量」、「Ｎｂ2 Ｏ5 添加量」、「Ｔａ
2Ｏ5 添加量」と称す。
【００１１】即ち、本発明者らは、前記問題点を解決す
るべく、アクチュエータ用圧電セラミック組成物の組成
について詳細に検討した結果、前記一般式（Ｉ）で示さ
れる組成を母組成とし、該母組成に特定量以下のＦｅ，
Ａｌ及び／又はＭｎを含有してなる組成物、若しくは、
この組成物を主成分とし、更に特定量以下のＳｂ，Ｎｂ
及び／又はＴａを含有してなる組成物が、高い電気機械
結合係数、高い圧電歪定数、低い誘電率及び高いキュー
リ温度を合わせ持ったセラミック組成物であることを見
出し、本発明を完成させた。
るべく、アクチュエータ用圧電セラミック組成物の組成
について詳細に検討した結果、前記一般式（Ｉ）で示さ
れる組成を母組成とし、該母組成に特定量以下のＦｅ，
Ａｌ及び／又はＭｎを含有してなる組成物、若しくは、
この組成物を主成分とし、更に特定量以下のＳｂ，Ｎｂ
及び／又はＴａを含有してなる組成物が、高い電気機械
結合係数、高い圧電歪定数、低い誘電率及び高いキュー
リ温度を合わせ持ったセラミック組成物であることを見
出し、本発明を完成させた。
【００１２】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明のセラミック組成物は高い圧電定数と低い誘電率及び
高いキューリ温度を合わせ持つものであるが、特に、上
記一般式（Ｉ）において、０．０３≦ｘ≦０．０６の範
囲のペロブスカイト結晶の相境界（ＭＰＢ＝モロフォト
ロピックフェイズバウンダリー）付近のものは、横モー
ドの圧電歪定数（ｄ31）が３００×１０-12 ｍ／ｖを超
え、誘電率（ε33 T/ε0 ）が５０００未満と低く、且つ
キューリ温度（Ｔｃ）が１５０℃以上と高いため、前述
した問題点を克服するものであって、圧電アクチュエー
タ用材料として、非常に好適なものである。
明のセラミック組成物は高い圧電定数と低い誘電率及び
高いキューリ温度を合わせ持つものであるが、特に、上
記一般式（Ｉ）において、０．０３≦ｘ≦０．０６の範
囲のペロブスカイト結晶の相境界（ＭＰＢ＝モロフォト
ロピックフェイズバウンダリー）付近のものは、横モー
ドの圧電歪定数（ｄ31）が３００×１０-12 ｍ／ｖを超
え、誘電率（ε33 T/ε0 ）が５０００未満と低く、且つ
キューリ温度（Ｔｃ）が１５０℃以上と高いため、前述
した問題点を克服するものであって、圧電アクチュエー
タ用材料として、非常に好適なものである。
【００１３】とりわけ、前記一般式（Ｉ）において、次
の〜の組成のものは、横モードの圧電歪定数
（ｄ31）が３５０×１０-12 ｍ／ｖを超え、且つ、キュ
ーリ温度（Ｔｃ）が２００℃以上であり、その上、誘電
率（ε33 T/ε0 ）も５０００未満と低く、圧電アクチュ
エータ用材料として優れたものである。
の〜の組成のものは、横モードの圧電歪定数
（ｄ31）が３５０×１０-12 ｍ／ｖを超え、且つ、キュ
ーリ温度（Ｔｃ）が２００℃以上であり、その上、誘電
率（ε33 T/ε0 ）も５０００未満と低く、圧電アクチュ
エータ用材料として優れたものである。
【００１４】 x=0.06,y=0.58,A=Ba,m=0.01,Fe2O3 添
加量=0.15 重量％,Sb2O5 添加量=0.20 重量％（後掲の
実施例４） x=0.06,y=0.58,A=Ba,m=0.01,Fe2O3 添加量=0.10 重
量％,Nb2O5 添加量=0.20 重量％（後掲の実施例５） x=0.06,y=0.58,A=Ba,m=0.01,Fe2O3 添加量=0.10 重
量％,Ta2O5 添加量=0.20 重量％（後掲の実施例６） x=0.05,y=0.565,A=Ba,m=0.01,Fe2O3添加量=0.05 重
量％,Sb2O5 添加量=0.9重量％（後掲の実施例７） x=0.05,y=0.57,A=Ca,m=0.01,Fe2O3 添加量=0.05 重
量％,Sb2O5 添加量=0.60 重量％（後掲の実施例８） x=0.035,y=0.57,A=Sr,m=0.08,Fe2O3添加量=0.10 重
量％,Nb2O5 添加量=0.10 重量％（後掲の実施例１２） また、次のものは、横モードの圧電歪定数（ｄ31）が
２５０×１０-12 ｍ／ｖを超え、且つ、キューリ温度が
２５０℃を超えるものであって、高い温度環境下で使用
できる高変位材料として、非常に優れた材料である。 x=0.02,y=0.525,A=Ba,m=0.01,Fe2O3添加量=0.1重量
％,Sb2O5 添加量=2.0重量％（後掲の実施例１５） 尚、ここでＬａ量ｘが７ｍｏｌ％を超えるものは、キュ
ーリ温度（Ｔｃ）が１５０℃を下回るため、圧電アクチ
ュエータ用材料としては適さない（後掲の比較例２，
３，４）。また、Ｂａ，Ｃａ及び／又はＳｒ量ｍが１５
ｍｏｌ％を超えるものは、キューリ温度（Ｔｃ）が１５
０℃を下回るため、圧電アクチュエータ用材料としては
適さない（後掲の比較例５，６，７）。また、Ｚｒ量ｙ
が４０ｍｏｌ％より少ないもの及び６５ｍｏｌ％を超え
るものは、ペロブスカイト結晶の相境界より大きくＺｒ
／Ｔｉ組成比がずれるため、横モードの圧電歪定数（ｄ
31）が低下してしまうので除外される。
加量=0.15 重量％,Sb2O5 添加量=0.20 重量％（後掲の
実施例４） x=0.06,y=0.58,A=Ba,m=0.01,Fe2O3 添加量=0.10 重
量％,Nb2O5 添加量=0.20 重量％（後掲の実施例５） x=0.06,y=0.58,A=Ba,m=0.01,Fe2O3 添加量=0.10 重
量％,Ta2O5 添加量=0.20 重量％（後掲の実施例６） x=0.05,y=0.565,A=Ba,m=0.01,Fe2O3添加量=0.05 重
量％,Sb2O5 添加量=0.9重量％（後掲の実施例７） x=0.05,y=0.57,A=Ca,m=0.01,Fe2O3 添加量=0.05 重
量％,Sb2O5 添加量=0.60 重量％（後掲の実施例８） x=0.035,y=0.57,A=Sr,m=0.08,Fe2O3添加量=0.10 重
量％,Nb2O5 添加量=0.10 重量％（後掲の実施例１２） また、次のものは、横モードの圧電歪定数（ｄ31）が
２５０×１０-12 ｍ／ｖを超え、且つ、キューリ温度が
２５０℃を超えるものであって、高い温度環境下で使用
できる高変位材料として、非常に優れた材料である。 x=0.02,y=0.525,A=Ba,m=0.01,Fe2O3添加量=0.1重量
％,Sb2O5 添加量=2.0重量％（後掲の実施例１５） 尚、ここでＬａ量ｘが７ｍｏｌ％を超えるものは、キュ
ーリ温度（Ｔｃ）が１５０℃を下回るため、圧電アクチ
ュエータ用材料としては適さない（後掲の比較例２，
３，４）。また、Ｂａ，Ｃａ及び／又はＳｒ量ｍが１５
ｍｏｌ％を超えるものは、キューリ温度（Ｔｃ）が１５
０℃を下回るため、圧電アクチュエータ用材料としては
適さない（後掲の比較例５，６，７）。また、Ｚｒ量ｙ
が４０ｍｏｌ％より少ないもの及び６５ｍｏｌ％を超え
るものは、ペロブスカイト結晶の相境界より大きくＺｒ
／Ｔｉ組成比がずれるため、横モードの圧電歪定数（ｄ
31）が低下してしまうので除外される。
【００１５】更に、前記一般式（Ｉ）で表される母組成
に対するＦｅ2 Ｏ3 あるいはＡｌ2Ｏ3 添加量が０．３
重量％を超えるもの（後掲の比較例８，９）は、横モー
ドの圧電歪定数（ｄ31）が、Ｆｅ，Ａｌを含まないもの
（後掲の参考例１）より小さく、Ｆｅ，Ａｌ添加の効果
がない。従って、Ｆｅ2 Ｏ3 あるいはＡｌ2 Ｏ3 添加量
は０．３重量％以下とする。
に対するＦｅ2 Ｏ3 あるいはＡｌ2Ｏ3 添加量が０．３
重量％を超えるもの（後掲の比較例８，９）は、横モー
ドの圧電歪定数（ｄ31）が、Ｆｅ，Ａｌを含まないもの
（後掲の参考例１）より小さく、Ｆｅ，Ａｌ添加の効果
がない。従って、Ｆｅ2 Ｏ3 あるいはＡｌ2 Ｏ3 添加量
は０．３重量％以下とする。
【００１６】また、前記一般式（Ｉ）で表される母組成
に対するＭｎＯ2添加量が０．２重量％を超えるもの
（後掲の比較例１０）は、横モードの圧電歪定数
（ｄ31）が、Ｍｎを含まないもの（後掲の参考例１）よ
り小さく、Ｍｎ添加の効果がない。従って、ＭｎＯ2 添
加量は０．２重量％以下とする。
に対するＭｎＯ2添加量が０．２重量％を超えるもの
（後掲の比較例１０）は、横モードの圧電歪定数
（ｄ31）が、Ｍｎを含まないもの（後掲の参考例１）よ
り小さく、Ｍｎ添加の効果がない。従って、ＭｎＯ2 添
加量は０．２重量％以下とする。
【００１７】更に、主成分に対するＳｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2
Ｏ5 及びＴａ2 Ｏ5 から選ばれる１種以上の添加量が
３．０重量％を超えるもの（後掲の比較例１１，１２，
１３）は、焼結体中にパイロクロア相が混在し、圧電歪
定数が低下するため適さない。本発明のセラミック組成
物は、例えば、各構成元素の酸化物原料を所定の配合組
成になるように秤量し、ボールミル等で湿式混合仮焼し
た後、粉砕し、得られた粉末を１１００℃〜１３００℃
で焼結することによって得ることができる。なお、後述
の実施例では、Ｓｂ源としてＳｂ2 Ｏ5 を用いている
が、Ｓｂ2 Ｏ3 を用いても良いことは言うまでもない。
また、Ｍｎ原としてＭｎＯ2 を用いているが、ＭｎＯを
用いても良いことは言うまでもない。
Ｏ5 及びＴａ2 Ｏ5 から選ばれる１種以上の添加量が
３．０重量％を超えるもの（後掲の比較例１１，１２，
１３）は、焼結体中にパイロクロア相が混在し、圧電歪
定数が低下するため適さない。本発明のセラミック組成
物は、例えば、各構成元素の酸化物原料を所定の配合組
成になるように秤量し、ボールミル等で湿式混合仮焼し
た後、粉砕し、得られた粉末を１１００℃〜１３００℃
で焼結することによって得ることができる。なお、後述
の実施例では、Ｓｂ源としてＳｂ2 Ｏ5 を用いている
が、Ｓｂ2 Ｏ3 を用いても良いことは言うまでもない。
また、Ｍｎ原としてＭｎＯ2 を用いているが、ＭｎＯを
用いても良いことは言うまでもない。
【００１８】
【実施例】以下に実施例、参考例及び比較例を挙げて、
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
超えない限り、以下の実施例により限定されるものでは
ない。
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
超えない限り、以下の実施例により限定されるものでは
ない。
【００１９】実施例１〜１５、参考例１及び比較例１〜
１３ 純度９９．９％以上の高純度酸化物原料のＰｂＯ，Ｌａ
2 Ｏ3，ＴｉＯ2 ，ＺｒＯ2 ，Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2 Ｏ
5 ，Ｔａ2 Ｏ5 ，Ｆｅ2 Ｏ3 ，Ａｌ2 Ｏ3 ，ＭｎＯ2 、
並びに、ＢａＣＯ3 ，ＣａＣＯ3 又はＳｒＣＯ3 を所定
の量比に秤量後、ボールミルを用いて２４時間湿式混合
を行った。混合物を乾燥、成型処理後、９００℃で２時
間仮焼し、その後、乳鉢で粉砕した後、ボールミルで再
度２４時間湿式粉砕した。得られた粉体をラバープレス
法により静水圧成型した後、鉛雰囲気中で１２００℃で
焼成した。その後、得られた焼結体をスライシングマシ
ンを用いて、円盤状及び棒状に加工した後、Ａｇペース
トをスクリーン印刷し、５５０℃で電極焼付けを行っ
た。分極処理は、温度８０〜１１０℃のシリコンオイル
中で電界強度２．０〜３．０ｋＶ／ｍｍ、時間５〜２０
分で行い、１日経過した後でベクトルインピーダンスア
ナライザーを用いて共振−反共振法により、１ｋＨｚで
の誘電率（ε33 T/ε0 ）、１ｋＨｚでの誘電損失（ｔａ
ｎδ）、横モードの電気機械結合係数（Ｋ31）、横モー
ドの圧電歪定数（ｄ31）の圧電諸物性を測定した。ま
た、比誘電率の温度特性を測定し、比誘電率の極大よ
り、キューリ温度（Ｔｃ）を求めた。結果を表１，表２
に示す。
１３ 純度９９．９％以上の高純度酸化物原料のＰｂＯ，Ｌａ
2 Ｏ3，ＴｉＯ2 ，ＺｒＯ2 ，Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2 Ｏ
5 ，Ｔａ2 Ｏ5 ，Ｆｅ2 Ｏ3 ，Ａｌ2 Ｏ3 ，ＭｎＯ2 、
並びに、ＢａＣＯ3 ，ＣａＣＯ3 又はＳｒＣＯ3 を所定
の量比に秤量後、ボールミルを用いて２４時間湿式混合
を行った。混合物を乾燥、成型処理後、９００℃で２時
間仮焼し、その後、乳鉢で粉砕した後、ボールミルで再
度２４時間湿式粉砕した。得られた粉体をラバープレス
法により静水圧成型した後、鉛雰囲気中で１２００℃で
焼成した。その後、得られた焼結体をスライシングマシ
ンを用いて、円盤状及び棒状に加工した後、Ａｇペース
トをスクリーン印刷し、５５０℃で電極焼付けを行っ
た。分極処理は、温度８０〜１１０℃のシリコンオイル
中で電界強度２．０〜３．０ｋＶ／ｍｍ、時間５〜２０
分で行い、１日経過した後でベクトルインピーダンスア
ナライザーを用いて共振−反共振法により、１ｋＨｚで
の誘電率（ε33 T/ε0 ）、１ｋＨｚでの誘電損失（ｔａ
ｎδ）、横モードの電気機械結合係数（Ｋ31）、横モー
ドの圧電歪定数（ｄ31）の圧電諸物性を測定した。ま
た、比誘電率の温度特性を測定し、比誘電率の極大よ
り、キューリ温度（Ｔｃ）を求めた。結果を表１，表２
に示す。
【００２０】
【表１】
【００２１】
【表２】
【００２２】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のアクチュエ
ータ用圧電セラミック組成物は、高い電気機械結合係
数、高い圧電歪定数、低い誘電率、高いキューリ温度を
合わせ持つことから、種々の圧電材料として有効に使用
することが可能である。特に、本発明のアクチュエータ
用圧電セラミック組成物は、圧電歪定数が大きく、且つ
キューリ温度が高いので、素子の使用温度範囲が広く、
圧電アクチュエータ用材料として、極めて有用であり、
その産業利用上の寄与は極めて大きい。
ータ用圧電セラミック組成物は、高い電気機械結合係
数、高い圧電歪定数、低い誘電率、高いキューリ温度を
合わせ持つことから、種々の圧電材料として有効に使用
することが可能である。特に、本発明のアクチュエータ
用圧電セラミック組成物は、圧電歪定数が大きく、且つ
キューリ温度が高いので、素子の使用温度範囲が広く、
圧電アクチュエータ用材料として、極めて有用であり、
その産業利用上の寄与は極めて大きい。
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭53−19798（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C04B 35/42 - 35/49 ＣＡＯＬＤ（ＳＴＮ) ＲＥＧＩＳＴＲＹ（ＳＴＮ)
Claims (2)
- 【請求項１】 下記一般式（Ｉ） Ｐｂ(1-x-m) Ｌａx Ａm （Ｚｒy Ｔｉ1-y ）1-x/4 Ｏ3 …（Ｉ） （但し、一般式（Ｉ）中、０＜ｘ≦０．０７、０．４０
≦ｙ≦０．６５、０＜ｍ≦０．１５、Ａ＝Ｂａ，Ｃａ及
びＳｒよりなる群から選ばれる１種又は２種以上の元
素）で表されるセラミック組成を母組成とし、該母組成
に対してＦｅ，Ａｌ及びＭｎよりなる群から選ばれる１
種又は２種以上の元素を含有し、その含有量がＦｅ2Ｏ3
又はＡｌ2 Ｏ3 に換算して０．３重量％以下、ＭｎＯ2
に換算して０．２重量％以下であるアクチュエータ用
圧電セラミック組成物。 - 【請求項２】 特許請求の範囲第１項に記載のセラミッ
ク組成物を主成分とし、副成分としてＳｂ，Ｎｂ及びＴ
ａよりなる群から選ばれる１種又は２種以上の元素を、
該主成分に対して、Ｓｂ2 Ｏ5 ，Ｎｂ2 Ｏ5 又はＴａ2
Ｏ5 に換算して０〜３重量％含有するアクチュエータ用
圧電セラミック組成物。
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|---|---|---|---|
| JP11459492A JP3214055B2 (ja) | 1991-06-26 | 1992-05-07 | アクチュエータ用圧電セラミック組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3-154407 | 1991-06-26 | ||
| JP15440791 | 1991-06-26 | ||
| JP11459492A JP3214055B2 (ja) | 1991-06-26 | 1992-05-07 | アクチュエータ用圧電セラミック組成物 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05163063A JPH05163063A (ja) | 1993-06-29 |
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Family
ID=26453324
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11459492A Expired - Fee Related JP3214055B2 (ja) | 1991-06-26 | 1992-05-07 | アクチュエータ用圧電セラミック組成物 |
Country Status (1)
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|---|---|
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|---|---|---|---|---|
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| JP3119138B2 (ja) * | 1995-10-06 | 2000-12-18 | 株式会社村田製作所 | 圧電磁器及びその製造方法 |
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-
1992
- 1992-05-07 JP JP11459492A patent/JP3214055B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
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