JP2839253B2 - アクチュエータ用圧電セラミック組成物 - Google Patents
アクチュエータ用圧電セラミック組成物Info
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- JP2839253B2 JP2839253B2 JP62306754A JP30675487A JP2839253B2 JP 2839253 B2 JP2839253 B2 JP 2839253B2 JP 62306754 A JP62306754 A JP 62306754A JP 30675487 A JP30675487 A JP 30675487A JP 2839253 B2 JP2839253 B2 JP 2839253B2
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、アクチュエータ用圧電セラミック組成物に
関するものである。 ここでアクチュエータとは、圧電逆効果、すなわち電
気的エネルギーから機械的エネルギーへの変換作用を用
いたものであり、電圧の印加によりミクロンあるいはミ
クロンアンダーの微少変位を正確に発生させるものであ
って、ブザーやポンプ、バルブ等の音響あるいは流量の
精密コントロール、VThヘッドのオートトラッキングや
オートフォーカス、さらにはミクロンアンダーの機械切
削バイトの正確な位置決めや、半導体製造用の微少位置
決め装置等への応用開発が近年急速に進められている。 (従来の技術およびその問題点) 従来よりアクチュエータ用圧電材料としては、ジルコ
ン酸チタン酸鉛セラミック組成物(PZT)が優れた圧電
特性を有していることが知られており、使用される用途
に応じて種々の改良がなされている。例えばジルコン酸
チタン酸鉛の一部をBa 2+、Sr 2+、Ca 2+などの2価イオン
や、Bi 3+やLa 3+などの三価イオンで置換する方法、Pb(N
i1/2W1/2)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3、Nb2/3)O3な
どの複合ペロブスカイト化合物との固溶体を合成する方
法などによりアクチュエータ用圧電材料の特性の改善が
なされている。微少変位をミクロンあるいはミクロンア
ンダーの精度でコントロールする圧電アクチュエータ素
子にはユニモルフ型、バイモルフ型、積層型のタイプが
あり、特性として高い圧電歪定数(例えば、横モードの
圧電歪定数d31>300×10-12C/N)及び高いキューリ温度
(Tc>150℃)を持つことが要求される。一般に高い圧
電歪定数を持つ材料は、キューリ温度が低下する。例え
ば、従来、横モードの圧電歪定数(d31)が300×10-12C
/Nを超えるような高い圧電歪定数を持つ材料は、キュー
リー温度(Tc)が100℃近傍に低下してしまい、素子の
使用温度の上限が50〜60℃と限定され、実用素子として
の応用に制約があった。又キューリ温度の高い材料は圧
電歪定数が低くなってしまい、素子の駆動に高い電圧を
必要とする問題点があった。この様な理由から横モード
の圧電歪定数(d31)が300×10-12C/Nを超える様な高い
圧電歪定数及び高いキューリ温度(例えばTc>150℃)
を合わせもつ材料の開発が望まれている。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、前記問題点を解決する為、詳細に組成
を検討した結果、一般式Pb(1-x)Lax〔(Zn1/3Nb2/3)Z+{Z
ryTi(1-y)}(1-Z)〕(1-x/4)O3であらわされる圧電セラミ
ック組成物が高い電気機械結合定数、高い圧電歪定数及
び高いキューリ温度を合せもった組成物であることを見
い出し本発明に到達した。 すなわち、本発明の要旨は、実質的に一般式Pb(1-x)L
ax〔(Zn1/3Nb2/3)Z+{ZryTi(1-y)}(1-Z)〕(1-x/4)O3(但
し、0.03≦x≦0.07、0.45≦y≦0.65、0<Z<0.20)
で示される複合ペロブスカイト化合物を主体とするアク
チュエータ用圧電セラミック組成物に存する。 本発明を更に詳細に説明すると本発明のセラミック組
成物は非常に高い圧電歪定数を持ち、上記一般式におい
て0.045≦x≦0.07、0.02≦z≦0.12の範囲のペロブス
カイト結晶の相境界(MPB=モロフオトロピック、フェ
イズ、バウンダリー)付近のものは、横モードの圧電歪
定数(d31)が300×10-12C/Nを超え、且つキューリ温度
(Tc)が150℃以上あり、前述した問題点を克服するも
のであって、圧電アクチュエータ用材料として非常に好
適なものである。 中でも組成がx=0.045、y=0.55、z=0.12;x=0.0
6、y=0.57、z=0.02;又はx=0.06、y=0.58、z=
0.02(実施例6、7、8)のものは、横モードの圧電歪
定数(d31)が300×10-12C/Nを超え、かつキューリ温度
が200℃以上あり、圧電アクチュエータ用材料として、
広範囲な温度環境下で使用できる利点を有している。
又、組成がx=0.06、y=0.575、z=0.10;x=0.06、
y=0.58、z=0.10;x=0.07、y=0.61、z=0.06(実
施例12、13、20)のものは横モードの圧電歪定数
(d31)が350×10-12C/Nを超え、かつキューリ温度が15
0℃を超えるものであって圧電アクチュエータ用材料と
して非常に優れたものである。 尚、ここでLa量Xが0.07を超えるものは、Tcが150℃
以下になってしまい、またd31も250×10-12C/N以下と小
さく圧電アクチュエータ用材料としては適さない。Zr量
yが0.45未満のものおよび0.65を超えるものは、ペロブ
スカイト結晶の相境界より大きくZr/Ti組成比がずれる
為d31が低下してしまう。又Zn1/3Nb2/3量Zが0.20以上
のものは、Tcが150℃以下になってしまったり、パイロ
クロア相が焼結体中に混在するようになってしまい、圧
電歪定数が低下し好ましくない。 圧電アクチュエータのように電界によって誘起される
機械的変位を利用する素子には、機械的強度が大きいこ
とが要求されるが、セラミック材料の機械的強度は、セ
ラミックスの焼結性、結晶粒子の大きさに大きく依存す
るため、一般に緻密で微細な結晶粒子を持つセラミック
焼結体ほど機械的強度に優れている。 本発明で得られた焼結体の密度をX線の回折角度から
計算した理論密度と比較検討したところ、すべて理論密
度の97%以上である。 また、得られた焼結体の微細組織を走査型電子顕微鏡
を用いて観察したところ、粒径2〜5μ程度の粒径のそ
ろった結晶粒子よりなりたっており、且つ粒界部には、
偏析等が全く存在せず、均一な微細組織を有している。 このように、本発明のセラミック組成物は、緻密で微
細な構造のセラミック組成物であり、この点からも圧電
アクチュエータのような機械的変位を利用する素子に適
している。 なお、本発明の組成物において、各成分の量的関係、
特にZnとNb及びLaとZn、Nb、Zr、Tiの合計量の関係は、
前記一般式通りであることが勿論望ましいが、結果とし
て得られた複合化合物がペロブスカイト構造を主体と
し、全体として該ペロブスカイト構造の性質が全組成物
を実質的に支配する限り、多少前記一般式からずれる場
合も本発明の範囲に包含されるものと理解されるべきで
ある。 本発明のセラミック組成物は、例えば、粉末原料を所
定の配合組成になるように秤量し、ボールミルなどで12
〜24時間湿式混合した後、850℃〜950℃で1〜2時間仮
焼、得られた仮焼物を再度12〜24時間ボールミル粉砕し
た後、1100℃〜1200℃で1〜16時間焼成することによっ
て得られる。得られた焼成体は、電極を焼きつけた後、
常法により分極処理を行うが、本発明の組成物の場合
は、例えば温度20〜80℃、電界強度1.0〜3.0Kv/mm、時
間3〜20分程度のソフトな分極処理により圧電磁器とす
ることが望ましい。 〔実施例〕 以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り、実施例により何
等制約を受けるものではない。 実施例1〜22、比較例1〜8 PbO、TiO2、ZrO2、La2O3、ZnO、Nb2O5(3N試薬、フル
ウチ化学株式会社製)を第1表に示した組成比となる様
に秤量した後、酸化ジルコニウム製ボールを用いてエタ
ノールとともに24時間ボールミルにて湿式混合した。混
合終了後、乾燥し、成型圧1ton/cm2で1軸プレスした
後、900℃で2時間仮焼した。その後得られた仮焼体を
手粉砕した後、再度24時間ボールミル粉砕し焼成用の粉
末とした。得られた焼成用粉末は直径20mmの金型により
1次成型した後、成型圧1ton/cm2でラバープレス法によ
り本成型した。 得られた成型体を高アルミナ質るつぼに入れ、周囲を
鉛雰囲気用の粉末でおおって1200℃で8時間焼成した。 第1図は焼成して得られた実施例13における焼結体の
破断面の組織を走査型電子顕微鏡(×5000)で観察した
粒子構造である。緻密で粒径2〜5μ程度の均一なセラ
ミック焼結体である。 得られた円板状焼結体を厚み1mmに研摩し、両面に銀
ペーストをスクリーン印制して600℃で焼き付け、キュ
ーリー温度評価用のサンプルとした。 円板状焼結体を同様に厚さ1mmに研摩した後、超音波
カッターを用いて長さ12mm、厚さ1mm、幅3mmの形状に打
つ抜いた。その後同様に銀電極を焼きつけ横モートの圧
電歪定数(d31)測定用のサンプルとした。 キューリ温度は、測定周波数100KHzにて誘電率を測定
し求めた。 圧電歪定数d31は打ち抜いた横モード用サンプルをシ
リコンオイルバス中に入れ、70℃にて1.5〜3.0Kv/mmの
電界で分極させ、24時間放置した後、測定温度20℃にて
ベクトルインピーダンスアナライザーを用いて測定し
た。圧電特性及びキューリ温度の測定結果を第1表に示
した。尚、第1表中ε33T/ε0は誘電率、K31は電気機
械結合係数、d31は横モードの圧電歪定数(単位×10-12
C/N)、S11は弾性コンプライアンス(単位×10-11m2/
N)、Tcはキューリー温度を示している。 第2図は、分極処理をほどこしたサンプルに分極方向
と順方向に1.0Kv/mmの電界を印加し、その時の縦方向
(電界方向)に誘起される歪をうず電流式高感度変位セ
ンサー(分解能25Å)を用いて測定したものである。印
加電圧波形は三角波であり、4/100Hz周期でスイープさ
せた。測定サンプルは上記円板状サンプルを上記の条件
で分極処理し、24時間放置後、歪率の測定を行った。 一般に、現在用いられている圧電アクチュエータ材料
の縦方向の歪率は1.0Kv/mmの電界下でおよそ0.1%(10
×10-4)程度であることが知られている。比較例2とし
て示したPLZTは、その一例である。これに対して実施例
7、13の組成の歪率は10×10-4を大きく上まわり、圧電
アクチュエータ用材料として極めて好ましい。 〔発明の効果〕 本発明で得られる圧電セラミック組成物は、高い電気
機械結合係数、高い圧電歪定数(歪率)、高いキューリ
温度を合わせ持ち、かつ焼結性に優れたセラミックス組
成物であるので種々の圧電材料として使用が可能であ
る。 特に圧電歪定数が大きく、大きな電界誘起歪みを示
し、かつキューリ温度が高いので、素子の使用温度範囲
が広く、圧電アクチュエータ用材料として極めて有用で
あり本発明の産業利用上への寄与は極めて大きい。
関するものである。 ここでアクチュエータとは、圧電逆効果、すなわち電
気的エネルギーから機械的エネルギーへの変換作用を用
いたものであり、電圧の印加によりミクロンあるいはミ
クロンアンダーの微少変位を正確に発生させるものであ
って、ブザーやポンプ、バルブ等の音響あるいは流量の
精密コントロール、VThヘッドのオートトラッキングや
オートフォーカス、さらにはミクロンアンダーの機械切
削バイトの正確な位置決めや、半導体製造用の微少位置
決め装置等への応用開発が近年急速に進められている。 (従来の技術およびその問題点) 従来よりアクチュエータ用圧電材料としては、ジルコ
ン酸チタン酸鉛セラミック組成物(PZT)が優れた圧電
特性を有していることが知られており、使用される用途
に応じて種々の改良がなされている。例えばジルコン酸
チタン酸鉛の一部をBa 2+、Sr 2+、Ca 2+などの2価イオン
や、Bi 3+やLa 3+などの三価イオンで置換する方法、Pb(N
i1/2W1/2)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3、Nb2/3)O3な
どの複合ペロブスカイト化合物との固溶体を合成する方
法などによりアクチュエータ用圧電材料の特性の改善が
なされている。微少変位をミクロンあるいはミクロンア
ンダーの精度でコントロールする圧電アクチュエータ素
子にはユニモルフ型、バイモルフ型、積層型のタイプが
あり、特性として高い圧電歪定数(例えば、横モードの
圧電歪定数d31>300×10-12C/N)及び高いキューリ温度
(Tc>150℃)を持つことが要求される。一般に高い圧
電歪定数を持つ材料は、キューリ温度が低下する。例え
ば、従来、横モードの圧電歪定数(d31)が300×10-12C
/Nを超えるような高い圧電歪定数を持つ材料は、キュー
リー温度(Tc)が100℃近傍に低下してしまい、素子の
使用温度の上限が50〜60℃と限定され、実用素子として
の応用に制約があった。又キューリ温度の高い材料は圧
電歪定数が低くなってしまい、素子の駆動に高い電圧を
必要とする問題点があった。この様な理由から横モード
の圧電歪定数(d31)が300×10-12C/Nを超える様な高い
圧電歪定数及び高いキューリ温度(例えばTc>150℃)
を合わせもつ材料の開発が望まれている。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、前記問題点を解決する為、詳細に組成
を検討した結果、一般式Pb(1-x)Lax〔(Zn1/3Nb2/3)Z+{Z
ryTi(1-y)}(1-Z)〕(1-x/4)O3であらわされる圧電セラミ
ック組成物が高い電気機械結合定数、高い圧電歪定数及
び高いキューリ温度を合せもった組成物であることを見
い出し本発明に到達した。 すなわち、本発明の要旨は、実質的に一般式Pb(1-x)L
ax〔(Zn1/3Nb2/3)Z+{ZryTi(1-y)}(1-Z)〕(1-x/4)O3(但
し、0.03≦x≦0.07、0.45≦y≦0.65、0<Z<0.20)
で示される複合ペロブスカイト化合物を主体とするアク
チュエータ用圧電セラミック組成物に存する。 本発明を更に詳細に説明すると本発明のセラミック組
成物は非常に高い圧電歪定数を持ち、上記一般式におい
て0.045≦x≦0.07、0.02≦z≦0.12の範囲のペロブス
カイト結晶の相境界(MPB=モロフオトロピック、フェ
イズ、バウンダリー)付近のものは、横モードの圧電歪
定数(d31)が300×10-12C/Nを超え、且つキューリ温度
(Tc)が150℃以上あり、前述した問題点を克服するも
のであって、圧電アクチュエータ用材料として非常に好
適なものである。 中でも組成がx=0.045、y=0.55、z=0.12;x=0.0
6、y=0.57、z=0.02;又はx=0.06、y=0.58、z=
0.02(実施例6、7、8)のものは、横モードの圧電歪
定数(d31)が300×10-12C/Nを超え、かつキューリ温度
が200℃以上あり、圧電アクチュエータ用材料として、
広範囲な温度環境下で使用できる利点を有している。
又、組成がx=0.06、y=0.575、z=0.10;x=0.06、
y=0.58、z=0.10;x=0.07、y=0.61、z=0.06(実
施例12、13、20)のものは横モードの圧電歪定数
(d31)が350×10-12C/Nを超え、かつキューリ温度が15
0℃を超えるものであって圧電アクチュエータ用材料と
して非常に優れたものである。 尚、ここでLa量Xが0.07を超えるものは、Tcが150℃
以下になってしまい、またd31も250×10-12C/N以下と小
さく圧電アクチュエータ用材料としては適さない。Zr量
yが0.45未満のものおよび0.65を超えるものは、ペロブ
スカイト結晶の相境界より大きくZr/Ti組成比がずれる
為d31が低下してしまう。又Zn1/3Nb2/3量Zが0.20以上
のものは、Tcが150℃以下になってしまったり、パイロ
クロア相が焼結体中に混在するようになってしまい、圧
電歪定数が低下し好ましくない。 圧電アクチュエータのように電界によって誘起される
機械的変位を利用する素子には、機械的強度が大きいこ
とが要求されるが、セラミック材料の機械的強度は、セ
ラミックスの焼結性、結晶粒子の大きさに大きく依存す
るため、一般に緻密で微細な結晶粒子を持つセラミック
焼結体ほど機械的強度に優れている。 本発明で得られた焼結体の密度をX線の回折角度から
計算した理論密度と比較検討したところ、すべて理論密
度の97%以上である。 また、得られた焼結体の微細組織を走査型電子顕微鏡
を用いて観察したところ、粒径2〜5μ程度の粒径のそ
ろった結晶粒子よりなりたっており、且つ粒界部には、
偏析等が全く存在せず、均一な微細組織を有している。 このように、本発明のセラミック組成物は、緻密で微
細な構造のセラミック組成物であり、この点からも圧電
アクチュエータのような機械的変位を利用する素子に適
している。 なお、本発明の組成物において、各成分の量的関係、
特にZnとNb及びLaとZn、Nb、Zr、Tiの合計量の関係は、
前記一般式通りであることが勿論望ましいが、結果とし
て得られた複合化合物がペロブスカイト構造を主体と
し、全体として該ペロブスカイト構造の性質が全組成物
を実質的に支配する限り、多少前記一般式からずれる場
合も本発明の範囲に包含されるものと理解されるべきで
ある。 本発明のセラミック組成物は、例えば、粉末原料を所
定の配合組成になるように秤量し、ボールミルなどで12
〜24時間湿式混合した後、850℃〜950℃で1〜2時間仮
焼、得られた仮焼物を再度12〜24時間ボールミル粉砕し
た後、1100℃〜1200℃で1〜16時間焼成することによっ
て得られる。得られた焼成体は、電極を焼きつけた後、
常法により分極処理を行うが、本発明の組成物の場合
は、例えば温度20〜80℃、電界強度1.0〜3.0Kv/mm、時
間3〜20分程度のソフトな分極処理により圧電磁器とす
ることが望ましい。 〔実施例〕 以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り、実施例により何
等制約を受けるものではない。 実施例1〜22、比較例1〜8 PbO、TiO2、ZrO2、La2O3、ZnO、Nb2O5(3N試薬、フル
ウチ化学株式会社製)を第1表に示した組成比となる様
に秤量した後、酸化ジルコニウム製ボールを用いてエタ
ノールとともに24時間ボールミルにて湿式混合した。混
合終了後、乾燥し、成型圧1ton/cm2で1軸プレスした
後、900℃で2時間仮焼した。その後得られた仮焼体を
手粉砕した後、再度24時間ボールミル粉砕し焼成用の粉
末とした。得られた焼成用粉末は直径20mmの金型により
1次成型した後、成型圧1ton/cm2でラバープレス法によ
り本成型した。 得られた成型体を高アルミナ質るつぼに入れ、周囲を
鉛雰囲気用の粉末でおおって1200℃で8時間焼成した。 第1図は焼成して得られた実施例13における焼結体の
破断面の組織を走査型電子顕微鏡(×5000)で観察した
粒子構造である。緻密で粒径2〜5μ程度の均一なセラ
ミック焼結体である。 得られた円板状焼結体を厚み1mmに研摩し、両面に銀
ペーストをスクリーン印制して600℃で焼き付け、キュ
ーリー温度評価用のサンプルとした。 円板状焼結体を同様に厚さ1mmに研摩した後、超音波
カッターを用いて長さ12mm、厚さ1mm、幅3mmの形状に打
つ抜いた。その後同様に銀電極を焼きつけ横モートの圧
電歪定数(d31)測定用のサンプルとした。 キューリ温度は、測定周波数100KHzにて誘電率を測定
し求めた。 圧電歪定数d31は打ち抜いた横モード用サンプルをシ
リコンオイルバス中に入れ、70℃にて1.5〜3.0Kv/mmの
電界で分極させ、24時間放置した後、測定温度20℃にて
ベクトルインピーダンスアナライザーを用いて測定し
た。圧電特性及びキューリ温度の測定結果を第1表に示
した。尚、第1表中ε33T/ε0は誘電率、K31は電気機
械結合係数、d31は横モードの圧電歪定数(単位×10-12
C/N)、S11は弾性コンプライアンス(単位×10-11m2/
N)、Tcはキューリー温度を示している。 第2図は、分極処理をほどこしたサンプルに分極方向
と順方向に1.0Kv/mmの電界を印加し、その時の縦方向
(電界方向)に誘起される歪をうず電流式高感度変位セ
ンサー(分解能25Å)を用いて測定したものである。印
加電圧波形は三角波であり、4/100Hz周期でスイープさ
せた。測定サンプルは上記円板状サンプルを上記の条件
で分極処理し、24時間放置後、歪率の測定を行った。 一般に、現在用いられている圧電アクチュエータ材料
の縦方向の歪率は1.0Kv/mmの電界下でおよそ0.1%(10
×10-4)程度であることが知られている。比較例2とし
て示したPLZTは、その一例である。これに対して実施例
7、13の組成の歪率は10×10-4を大きく上まわり、圧電
アクチュエータ用材料として極めて好ましい。 〔発明の効果〕 本発明で得られる圧電セラミック組成物は、高い電気
機械結合係数、高い圧電歪定数(歪率)、高いキューリ
温度を合わせ持ち、かつ焼結性に優れたセラミックス組
成物であるので種々の圧電材料として使用が可能であ
る。 特に圧電歪定数が大きく、大きな電界誘起歪みを示
し、かつキューリ温度が高いので、素子の使用温度範囲
が広く、圧電アクチュエータ用材料として極めて有用で
あり本発明の産業利用上への寄与は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のアクチュエータ用圧電セラミック組成
物の破断面の組織を走査型電子顕微鏡(×5000)で示し
た粒子構造である。 第2図は、分極処理をほどこしたアクチュエータ用圧電
セラミック組成物に分極処理方向と順方向に1.0Kv/mmの
電界を印加させた時、縦方向(電界方向)に誘起させる
歪率を示したグラフである。
物の破断面の組織を走査型電子顕微鏡(×5000)で示し
た粒子構造である。 第2図は、分極処理をほどこしたアクチュエータ用圧電
セラミック組成物に分極処理方向と順方向に1.0Kv/mmの
電界を印加させた時、縦方向(電界方向)に誘起させる
歪率を示したグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 千田 幸雄
神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地
三菱化成工業株式会社総合研究所内
(72)発明者 小栗 康生
神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地
三菱化成工業株式会社総合研究所内
(72)発明者 井上 祥子
神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地
三菱化成工業株式会社総合研究所内
(56)参考文献 特公 昭47−33720(JP,B1)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.実質的に、一般式 Pb(1-x)Lax〔(Zn1/3Nb2/3)z+{ZryTi(1-y)}(1-Z)〕
(1-x/4)O3 (但し、0.03≦x≦0.07、0.45≦y≦0.65、0<z<0.
20)で示される複合ペロブスカイト化合物を主体とする
アクチュエータ用圧電セラミック組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62306754A JP2839253B2 (ja) | 1987-12-03 | 1987-12-03 | アクチュエータ用圧電セラミック組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62306754A JP2839253B2 (ja) | 1987-12-03 | 1987-12-03 | アクチュエータ用圧電セラミック組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01148750A JPH01148750A (ja) | 1989-06-12 |
JP2839253B2 true JP2839253B2 (ja) | 1998-12-16 |
Family
ID=17960909
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62306754A Expired - Fee Related JP2839253B2 (ja) | 1987-12-03 | 1987-12-03 | アクチュエータ用圧電セラミック組成物 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2839253B2 (ja) |
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1987
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