JP2002009359A - 耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子およびその製造方法 - Google Patents
耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子およびその製造方法Info
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Abstract
も、基板の材質劣化を招くことがなく、また圧電/電歪
層の特性を低下させることもない、耐久性に優れた一体
型圧電/電歪膜型素子を提供する。 【解決手段】 完全安定化または部分安定化された酸化
ジルコニウムを主成分とするセラミック基板上に、膜形
成法によって、下部電極、鉛元素を含む組成になる圧電
/電歪層および上部電極からなる圧電/電歪作動部を一
体成形してなる、一体型の圧電・電歪膜型素子におい
て、膜形成後の圧電・電歪層表面における異相発生比率
を 0.1〜30%の範囲に規制する。
Description
ューサおよび各種アクチュエータ等として利用されるユ
ニモルフ型およびバイモルフ型の圧電/電歪膜型素子に
関し、特にその圧電/電歪特性の劣化を招くことなし
に、耐久性の有利な向上を図ろうとするものである。な
お、この発明における素子とは、電気エネルギーを機械
エネルギーすなわち機械的な変位または応力または振動
に変換する素子の他、その逆の変換を行なう素子をも意
味する。また、この発明における素子は、圧電/電歪特
性の他、誘電性も有しているので、膜状のコンデンサ素
子等としても用いることが可能なものである。
機械エネルギーに変換する、すなわち機械的な変位や力
や振動に変換したり、あるいはその逆の変換を行う各種
トランジューサ、さらには各種アクチュエータ、フィル
ター等の周波数領域機能部品、ディスプレイ等の各種表
示デバイス、スピーカー等の発音体、マイクロホンおよ
び超音波センサ等のセンサなど広範な分野において使用
されている。
示すように、振動板として作用するセラミック基板1
と、その上に設けられた、第1の電極膜(下部電極)
2、圧電/電歪層3および第2の電極膜(上部電極)4
からなる膜型の圧電/電歪作動部5から構成されるもの
(特開平3−128681号公報)の他、図1(b) に示すよう
に、セラミック基板1がキャビティを有し、そのキャビ
ティの底部が振動部1aとされ、この振動部1aの外表
面上に圧電/電歪作動部5を一体成形した構造になるも
の(特開平5−49270 号公報)が、知られている。
するセラミック基板としては、一般に酸化イットリウム
にて部分安定化した酸化ジルコニウムを主成分とするも
のが知られている(例えば、特開平5−29675 号公報、
特開平5−97437号公報、特開平5−270912号公報)。
電/電歪デバイスの多様化に伴い、使用環境も多種多様
となってきたが、特に上記したような圧電/電歪膜型素
子の使用環境が、従来に比べて高温・多湿雰囲気である
場合には、基板の材質劣化が新たな問題となってきた。
すなわち、上記した高温、多湿の環境にて使用された場
合、圧電/電歪膜型素子の劣化は、圧電/電歪作動部よ
りも基板の方が先に始まる傾向が見られるようになった
のである。
たもので、たとえ高温・多湿雰囲気下で使用した場合で
あっても、基板の材質劣化を招くことがなく、また圧電
/電歪層の特性を低下させることもない、耐久性に優れ
た一体型圧電/電歪膜型素子を、その有利な製造方法と
共に提案することを目的とする。
経緯について説明する。さて、発明者らは、上記の目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基板の劣化原因
は、その製造過程で基板中に侵入してくる鉛元素にある
ことを突き止めた。すなわち、従来から、基板として
は、酸化ジルコニウムを主体とするセラミックが使用さ
れてきたが、かようなセラミック基板中に鉛元素が侵入
すると、高温・多湿雰囲気下で使用した場合、基板の耐
久性が急激に劣化することが究明されたのである。
元素が侵入する原因について検討したところ、かような
鉛元素は、圧電/電歪層の素材である、圧電/電歪材料
を焼成(熱処理)する段階で基板中に侵入してくること
が判明した。すなわち、圧電/電歪材料としては、一般
的に特性的に優れた含鉛材料(例えばジルコン酸チタン
酸鉛等)が用いられていて、かかる材料の膜形成は、通
常、圧電/電歪層として形成されたのち、焼成によって
一体化される。そして、このような含鉛材料を素材とす
る圧電/電歪層の形成(焼成)に際しては、焼成中に圧
電/電歪材料に含まれる鉛元素が蒸発して、圧電/電歪
層の組成が変化し、その結果、圧電/電歪特性が低下す
ることのないように、鉛濃度の高い条件で雰囲気制御が
行われてきた。
成に際し、その特性低下を招くことのないように、含鉛
材料の蒸発源等の存在下において、鉛濃度が高くなった
雰囲気中で焼成が行われていたが、このような高鉛濃度
雰囲気下で焼成した場合には、雰囲気中の鉛元素が酸化
ジルコニウムを主体とするセラミック基板中に侵入し
て、上記したような基板の材質劣化を招いていたのであ
る。
すべく、数多くの実験と検討を重ねた結果、(1) 圧電/
電歪層が鉛元素を含む組成になるものであっても、焼成
雰囲気は必ずしも高鉛濃度雰囲気とする必要はなく、焼
成中に圧電/電歪層から幾分鉛元素が蒸発しても、圧電
/電歪特性の低下はほとんどない、(2) 圧電/電歪層か
らの鉛元素の蒸発量を判断する指標としては、焼成中に
圧電/電歪層の表面に生成する異相の比率が好適であ
る、(3) 焼成条件を調整して、焼成時に生成した異相比
率が面積比率で 0.1〜30%の範囲に制御された一体型の
圧電/電歪膜型素子は、高温・多湿雰囲気下での使用に
際しても基板の材質劣化がなく、かつ圧電/電歪層の特
性低下もないことの知見を得た。この発明は、上記の知
見に立脚するものである。
おりである。1.完全安定化または部分安定化された酸
化ジルコニウムを主成分とするセラミック基板上に、膜
形成法によって、下部電極、鉛元素を含む組成になる圧
電/電歪層および上部電極からなる圧電/電歪作動部を
一体化してなる圧電/電歪膜型素子であって、圧電/電
歪層表面における異相発生比率を 0.1〜30%の範囲に規
制したことを特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/
電歪膜型素子。
薄肉のダイヤフラム部として形成され、そのダイヤフラ
ム部の外表面上に圧電/電歪作動部を一体成形したこと
を特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素
子。
率を1〜10%の範囲に規制したことを特徴とする、耐久
性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子。
基板を構成する結晶の平均粒径が 0.1〜2.0 μm である
ことを特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜
型素子。
層の厚みが 100μm 以下であることを特徴とする、耐久
性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子。
作動部の厚みが 150μm以下であることを特徴とする、
耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子。
みが50μm 以下であることを特徴とする、耐久性に優れ
た一体型圧電/電歪膜型素子。
化ジルコニウムを主成分とするセラミック基板上に、膜
形成法によって、下部電極、鉛元素を含む組成になる圧
電/電歪層および上部電極からなる圧電/電歪作動部を
順次形成し、少なくとも上記圧電/電歪層については焼
成することによって一体型の圧電/電歪膜型素子を製造
するに当たり、上記圧電/電歪層の焼成に際し、焼成雰
囲気中の鉛濃度および/または焼成雰囲気の流量・流速
を調整することによって、圧電/電歪層の表面に生成す
る異相の比率を面積比率で 0.1〜30%の範囲に制御する
ことを特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜
型素子の製造方法。
鉛を含有する蒸発源の組成比率、形態、重量、配置位
置、(2) 焼成炉内ないしは焼成容器内における圧電/電
歪材料の配置位置、(3) 焼成容器の開口量(4) 焼成雰囲
気中の鉛元素を吸収する吸収体の投入のうち少なくとも
いずれか一つの条件を調整することによって雰囲気制御
を行うことを特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/
電歪膜型素子の製造方法。
つつ具体的に説明する。図1(a), (b)に、この発明に従
う圧電/電歪膜型素子(アクチュエータ)を斜視面で、
また図2(a), (b)にはこれらのA−A断面およびB−B
断面を示す。これらの図において、(a) は平板状のセラ
ミック基板の表面に下部電極、圧電/電歪層および上部
電極からなる圧電/電歪作動部を形成した一般的な構造
の圧電/電歪膜型素子であり、一方 (b)はセラミック基
板の外縁部を厚肉とした、いわゆるキャビティ構造にな
るものであり、この構造では厚肉外縁部に挟まれる内側
部(ダイヤフラム部:実質的な振動部)を特に薄肉にで
きる利点がある。
1の電極膜(下部電極)、3は膜状の圧電/電歪層、4
は第2の電極膜(上部電極)であり、これらは膜形成法
によってセラミック基板1上に順次に積層形成(焼成)
され、多層の一体構造として圧電/電歪作動部5を構成
している。また、1a,1bはそれぞれ、キャビティ構
造の場合における振動部および厚肉外縁部、そして6が
キャビティである。なお、第1および第2の電極膜2,
4はそれぞれ、圧電/電歪層3の端部より延び出てリー
ド部2a,4aを形成しており、これらのリード部2
a, 4aを通じて、それぞれの電極膜2,4に電圧印加
が行われるようになっている。
は、焼結した形態とされるが、セラミック基板1の焼結
に際しては、本実施の形態に係る圧電/電歪膜型素子の
圧電/電歪作動部5の形成(焼成)に先立って、予め焼
結して基板を形成する方法、または、基板材料のグリー
ンシートを用い、後述の膜形成により圧電/電歪作動部
5の形成を行ったのちに、同時に焼結する方法を用いる
ことができる。さらに、第1の電極膜2や圧電/電歪層
3の形成を行ったのちに、同時に焼結する方法を用いる
こともできる。この中でも、セラミック基板1を予め焼
結して基板を形成しておく方法が、素子の反りを小さく
することができ、また必要なパターン寸法精度が得られ
ることから、有利に用いられる。また、この方法では、
圧電/電歪層3をセラミック基板1上に積層一体化させ
るために行う焼成において、その温度を、セラミック基
板1の焼結温度よりも低く設定することができる。
ク基板をキャビティを有した構造とする場合は、振動板
用グリーンシートと金型や超音波加工等の機械加工法を
用いてキャビティに当たる空孔部を設けたグリーンシー
トをそれぞれ第1層、第2層として積層・熱圧着して焼
成する。なお、図1(b) では、2層構造となっている
が、キャビティの振動部とは反対側の開口部を閉塞する
ように第3層、第4層を設けて、基板の剛性を向上させ
たり、裏面配線板として利用する層を同時に積層し、セ
ラミック基板1を形成しても良い。また、この場合、第
3層に当たるグリーンシート上に、厚膜形成手法たとえ
ばスクリーン印刷法により、キャビティに当たる空孔部
を設けた厚膜のパターンを第2層として印刷し、第1層
に当たる振動板用グリーンシートと積層・熱圧着して焼
成した3層構造の基板としても良い。
部5の形成は、スクリーン印刷、スプレー、ディッピン
グ、塗布等の厚膜形成手法や、イオンビーム、スパッタ
リング、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、め
っき等の薄膜形成手法を用いて行う。まず、セラミック
基板1の表面に、第1の電極膜(下部電極)2を上記の
膜形成法によって形成したのち、圧電/電歪層3を同様
にして形成する。
リーン印刷法やディッピング法、塗布法および電気泳動
法等による厚膜形成手法が有利に適合する。これらの手
法は、平均粒径0.01〜5.0 μm 好ましくは0.05〜3.0 μ
m の圧電セラミックの粒子を主成分とするペーストやス
ラリー、またはサスペンションやエマルジョン、ゾル等
を用いて圧電膜を形成するもので、簡便な方法である
が、良好な圧電作動特性が得られるという特徴がある。
また、電気泳動法は、膜を高い密度でかつ高い形状精度
で形成できるだけでなく、技術文献「DENKI KAGAKU 53,
No.1 (1985) P.63〜68、安斎和夫著」に記載されている
ような特徴を有する。従って、要求精度や信頼性等を考
慮して、上掲した手法を適宜、選択使用すれば良い。ま
た、上記の圧電/電歪層3を所望の形状とするには、ス
クリーン印刷法やフォトリソグラフィ法等を用いてパタ
ーン形成する手法のほか、エキシマ、YAG等のレーザ
ー加工法やスライシング、超音波加工等の機械加工法を
用い、不必要な部分を除去して、パターン形成する等の
手法が採用される。
状の圧電/電歪作動部の形状は、何等限定されるもので
はなく、用途に応じて、如何なる形状でも採用可能であ
り、例えば三角形、四角形等の多角形、円、楕円、円環
等の円形、櫛状、格子状またはこれらを組み合わせた特
殊形状であっても、何ら差し支えない。
歪層3を、下部電極2を介してセラミック基板1と一体
化するために焼成(熱処理)が施されるわけであるが、
この発明ではこの焼成工程が特に重要である。すなわ
ち、この発明は、構成元素である鉛元素が含有された圧
電/電歪材料から発生する少なくとも鉛元素を含んだ蒸
気の存在下において、あるいは圧電/電歪層の組成を制
御するための鉛含有材料の蒸発源の存在下において、上
記圧電/電歪層焼成時における雰囲気中の鉛濃度を調整
することによって、圧電/電歪層からの鉛元素の蒸発お
よび基板中への鉛元素の侵入を併せて制御した圧電/電
歪膜型素子を提案するものであり、その指標として、焼
成後の圧電/電歪層表面に発生する異相の比率を用いる
のである。
歪層について、その表面に発生した異相比率と圧電/電
歪特性および耐久性との関係について調べた結果を示
す。なお、圧電/電歪特性は変位特性にて、また耐久性
は基板振動部のクラック発生頻度にて評価した。同図に
示したとおり、良好な圧電/電歪特性および耐久性が併
せて得られた場合の異相発生比率は面積比率で 0.1〜30
%の範囲であり、特にこの比率が1〜10%の場合にとり
わけ優れた結果が得られている。
表面に適正範囲で異相を発生させるためには、焼成雰囲
気中の鉛濃度および/または焼成雰囲気の流量・流速を
的確に調整する必要がある。
りである。1.焼成容器を使用する場合焼成体(圧電/
電歪材)の詰め量や、焼成容器の開口量の制御により、
焼成雰囲気中の鉛濃度や焼成雰囲気の流量・流速の調整
が可能である。
鉛を含有する蒸発源の組成比率、形態(例えば粉末状ま
たはペレット状に成形して使用する)、重量、焼成体と
蒸発源との配置位置等を調整することによって、焼成体
近傍における鉛含有雰囲気の濃度や流量・流速を調整す
ることが可能である。この場合、上記焼成容器を用い
て、蒸発源を焼成容器内に投入し焼成雰囲気の調整を行
うことがより好ましい。蒸発源としては、少なくとも鉛
元素を含んだ蒸気を発生させるものであれば良いが、後
述の圧電/電歪材料やそれらの組み合わせが好ましく、
圧電/電歪層に使用する圧電/電歪材料と全く同じ組成
のものを用いることが更に好ましい。圧電/電歪層と同
一組成の圧電/電歪材料を蒸発源として使用する場合、
セラミック基板上に蒸発源として配置および形状等が調
整されたダミーパターンを形成し、焼成を行っても良い
し、このダミーパターンの形成を圧電/電歪層の形成と
同時に行い、焼成しても良い。この場合、同一セラミッ
ク基板上に形成された圧電/電歪層近傍における焼成雰
囲気の濃度分布を調整するための有効な手段となり得
る。
制御圧電/電歪層の形成されたセラミック基板を複数同
時に一体化焼成する場合、個々の圧電/電歪層から発生
する鉛元素を含んだ蒸気を考慮して、それぞれのセラミ
ック基板の配置を調整することが好ましい。また、セッ
ター(基板の置き台)を用いてセラミック基板を段積み
して焼成を行う場合には、圧電/電歪層表面からセッタ
ーまでの距離を考慮することによって圧電/電歪層近傍
の焼成雰囲気を調整することが好ましい。上記焼成容器
を用いる場合も同様であり、さらに容器内壁との距離も
考慮することによって圧電/電歪層近傍の焼成雰囲気を
調整することが好ましい。
を含んだ蒸気の濃度を希薄にする方法として、鉛元素を
含んだ蒸気を吸収する吸収体を焼成体周辺に配置し蒸気
濃度を調整することも可能である。鉛元素を含んだ蒸気
を吸収するようなものとしては、焼成温度に耐え得るも
ので鉛元素と反応し易いものが好ましく、例えばチタニ
ア、シリカ、マグネシア、ムライトなどが好適に採用さ
れる。
ック基板とを一体化させるための焼成(熱処理)温度
は、これを構成する材料に応じ、雰囲気制御の点も考慮
しながら適宜定められるが、通常は 900〜1400℃、好ま
しくは1000〜1400℃である。
る異相は、圧電/電歪材料を構成する組成において比較
的蒸気圧の高い材料たとえば鉛組成を有するものが蒸発
することによって発生するものと考えられる。また、こ
れらの異相比率は、焼成後の圧電/電歪層を電子顕微鏡
等で観察し、成分の分布をモニタすることでによって、
容易に検出することができる。一般的に、走査型電子顕
微鏡で得られる反射電子像は、その像をなす反射電子の
放出率が原子番号の増加に伴って一様に増加するため、
その像のコントラストから原子番号の大、小が判断でき
(重元素の物質は軽元素の物質よりも相対的に明るく観
察できる)、組成の違いとしてとらえることができる。
また、2次電子像による表面形状の観察を加えて行え
ば、組成の違いを詳細に判断する上で有効な手段となり
得る。従って、焼成により圧電/電歪層の表面に発生し
た異相部の反射電子像は、重元素である鉛元素が欠乏し
た組成となっているため、相対的に暗い像となり、容易
に異相部として判定することができる。
/電歪層3上に第2の電極膜4を、第1の電極膜と同様
にして形成し焼成を行って、圧電/電歪作動部5を完成
させる。以上、第1の電極を形成し焼成を行い、さらに
圧電/電歪層を形成し焼成を行ったのち、第2の電極を
形成・焼成して一体化する場合について説明したが、圧
電/電歪作動部の形成(焼成)方法は、これだけに限る
ものではなく、第1の電極、圧電/電歪層、第2の電極
の各層をそれぞれ形成したのち、一括して焼成を行って
も良いし、第1の電極と圧電/電歪層をそれぞれ形成
し、同時に焼成を行ったのち、第2の電極を形成・焼成
するようにしても良いし、第1の電極を形成・焼成後、
圧電/電歪層と第2の電極をそれぞれ形成し、同時に焼
成を行っても良い。中でも、各層を順次形成・焼成する
場合は、各層それぞれの焼成を順に低い設定温度で行え
るため、より好適といえる。
の好適材質について説明する。第1の電極膜の材料とし
ては、上述した焼成温度程度の酸化雰囲気に耐え得る導
体であれば、特に制限されることはなく、金属単体や合
金であっても、また絶縁性セラミックスと金属や合金と
の混合物であっても、さらには導電性セラミックスであ
っても良い。そして、これらの中でも、白金、パラジウ
ム、ロジウム等の高融点貴金属類または銀−パラジウ
ム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とす
る電極材料が好ましく、とりわけ白金を主成分とする材
料が有利に適合する。さらに、これらの金属単体および
合金に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、酸化セリウムおよび酸化銅等の金属酸化物を添加
することが好ましく、さらには金属単体および合金に対
して、後述するセラミック基板および/または圧電/電
歪材料と同じ材料を分散させたサーメットとすることも
好ましい。特に電極としてサーメットを用いた場合に
は、圧電/電歪素子を作動させたときの、変位動作の経
時的な劣化を効果的に抑制することができ、有利であ
る。
酸化珪素等のガラスを用いると、圧電/電歪層との熱処
理中に反応が生じ易く、素子特性を低下させる原因とな
り易いため、その使用は避けることが望ましい。また、
前記サーメット材料における電極中への添加量について
は、基板材料においては5〜30 vol%程度、圧電材料に
おいては5〜20 vol%程度とすることが好ましい。
料が特に制限されることはなく、第1の電極膜に用いた
のと同様の材料の他、金、クロム、銅等のスパッタ膜、
あるいは金、銀のレジネート印刷膜等を使用することも
できる。
歪材料としては、構成元素として鉛が含有されているも
ので、圧電もしくは電歪効果等の電界誘起歪みを示す材
料であれば、何れの材料であっても用いることができ
る。例えば、結晶質の材料であっても、非晶質の材料で
あっても良く、また誘電体セラミック材料や強誘電体セ
ラミック材料、反強誘電体セラミック材料であっても良
く、さらには分極処理が必要な材料であっても、またそ
れが不必要な材料であっても良い。なお、圧電/電歪層
を構成する圧電/電歪材料は、鉛元素における組成比率
を予め適宜調整し、圧電/電歪層を焼成一体化する際の
焼成雰囲気によって組成制御を併せて行うことで、圧電
/電歪材料が所望の組成となるように、さらには圧電/
電歪層表面の異相発生比率が所望の比率になるように調
整することができる。
ン酸チタン酸鉛(PZT系)を主成分とする材料、チタ
ン酸鉛を主成分とする材料、ジルコン酸鉛を主成分とす
る材料、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)を主成分
とする材料、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)を主成分
とする材料、マグネシウムタングステン酸鉛を主成分と
する材料、マンガンニオブ酸鉛を主成分とする材料、ア
ンチモン錫酸鉛を主成分とする材料、亜鉛ニオブ酸鉛を
主成分とする材料、マグネシウムタンタル酸鉛を主成分
とする材料、ニッケルタンタル酸鉛を主成分とする材料
およびこれらの複合材料等を挙げることができる。
ウム、ニオブ、亜鉛、セリウム、カドミウム、クロム、
コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、
タングステン、ニッケル、マンガン、リチウム、ストロ
ンチウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマスおよび
スズ等の酸化物やそれらの他の化合物を添加物として含
有させても良く、例えばPZT系を主成分とする材料
に、ランタンの酸化物等を加えてPLZT系とした材料
も使用可能である。なお、酸化珪素等のガラスの添加
は、圧電/電歪材料との反応を生じ易く、所定の材料組
成の維持が困難となるため、避けた方が好ましい。
も、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン酸鉛およびチタ
ン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、ニッケルニ
オブ酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン酸鉛およ
びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、ニッ
ケルタンタル酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン
酸鉛およびチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材
料あるいはマグネシウムタンタル酸鉛、マグネシウムニ
オブ酸鉛、ジルコン酸鉛およびチタン酸鉛とからなる成
分を主成分とする材料を用いることが好ましい。さら
に、その中でも、特にマグネシウムニオブ酸鉛、ジルコ
ン酸鉛およびチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする
材料が好適に用いられる。というのは、この材料は、高
い圧電定数を有するだけでなく、熱処理中における基板
材料との反応が特に少ないからである。
成分の組成によって圧電/電歪特性が変化するが、この
発明の圧電/電歪素子で好適に採用されるマグネシウム
ニオブ酸鉛−ジルコン酸鉛−チタン酸鉛の3成分系材料
では、擬立方晶−正方晶−菱面体晶の相境界付近の組成
が好ましく、特にマグネシウムニオブ酸鉛:15〜50モル
%、ジルコン酸鉛:10〜45モル%、チタン酸鉛:30〜45
モル%の組成が、高い圧電定数と電気機械結合係数を有
することから、有利に採用される。
しては、機械的強度が大きく、前述した1400℃程度の熱
処理が可能で、しかも接着剤等を用いることなしに圧電
/電歪作動部と積層一体化することができ、さらには変
位や発生力が大きく、応答速度も速いという優れた作動
特性を得る上で、酸化ジルコニウムを主成分とするセラ
ミック材料が有利に適合する。特に、酸化イットリウ
ム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、酸化カルシウ
ムおよび酸化マグネシウムのうち、少なくとも1つの化
合物で完全または部分安定化された酸化ジルコニウムを
主成分とする材料が好適である。というのは、この材料
は、薄い基板厚さにおいても、高い機械的強度が得ら
れ、高靱性であり、膜形成手法において採用される圧電
材料との熱処理時の応力が小さく、またその圧電材料と
の化学的な反応性が小さいからである。
めの上述した化合物の添加量としては、酸化イットリウ
ムや酸化イッテルビウムでは1〜30モル%、酸化セリウ
ムでは6〜40モル%、酸化カルシウムや酸化マグネシウ
ムでは5〜40モル%程度とすることが好ましい。その中
でも、特に酸化イットリウムを安定化剤として用いるこ
とが望ましく、その場合の添加量は圧電/電歪層の焼成
によって基板中の鉛の侵入が発生する状態においても優
れた耐久性を確保する観点から2モル%以上、構造的に
優れた強度を得る観点から8モル%以下とすることが好
ましく、このような添加範囲で、酸化イットリウムを添
加した酸化ジルコニウムはその結晶相が部分安定化され
るため、優れた基板特性を有する基板の実現が可能であ
る。
の焼成を行う際に含有鉛雰囲気濃度が的確に調整されて
いる場合、具体的には圧電/電歪層表面における異相発
生比率が面積比率で 0.1〜30%の範囲を満たして行われ
た場合には、酸化イットリウムの添加が2〜8モル%の
範囲でその添加量を増加することにより、圧電/電歪膜
型素子の耐久性を一層向上させることができる。一方、
圧電/電歪層表面における異相発生比率が面積比率で
0.1%未満であるような状況下においては、酸化イット
リウムの添加量を2〜8モル%の範囲で調整しても、十
分な耐久性は得られない。またさらに、これら安定化さ
れた酸化ジルコニウムに、酸化アルミニウムや酸化チタ
ン、さらには粘土等の焼結助剤を添加しても良い。この
場合、焼成した基板に酸化珪素(SiO2,SiO)が1%以
上含有されないように、助剤の組成や添加量を調整する
ことが望ましい。というのは、過剰の酸化珪素が基板中
に含有されていると、圧電材料との熱処理時に反応が惹
起され易く、組成の制御が困難となるからである。
作動部を構成する各層の好適厚みについて説明する。セ
ラミック基板セラミック基板は、本実施の形態に係る圧
電/電歪膜型素子の圧電/電歪作動部が形成される部位
の少なくとも一部が、薄肉部とされていることが望まし
い。その厚さは、膜型素子の高速応答性や大きな変位を
得るために、一般に50μm 以下、好ましくは30μm 以
下、さらに好ましくは15μm 以下とすることが望まし
い。
圧電/電歪作動部の作動特性を高め、例えばアクチュエ
ータや検出部として、大きな変位や大きな発生力等を得
るために、一般に結晶の平均粒径が 0.1〜2.0 μm とな
るように構成することが望ましく、より好ましくは 0.1
μm 以上、1.0 μm 以下の平均粒径とすることが望まし
い。さらに、図1(a) に示されるような1枚の板状のセ
ラミック基板においても、セラミック基板の厚さは、膜
型素子の高速応答性や大きな変位を得るために、一般に
50μm 以下、好ましくは30μm 以下、さらに好ましくは
15μm 以下とすることが望ましい。またさらに、セラミ
ック基板のうち、少なくとも圧電/電歪作動部が形成さ
れる部位は、この圧電/電歪作動部の作動特性を高め、
例えばアクチュエータや検出部として、大きな変位や大
きな発生力等を得るために、一般に結晶の平均粒径が
0.1〜2.0 μm となるように構成することが望ましく、
より好ましくは 1.0μm 以下の平均粒径とすることが望
ましい。
る電極膜は、一般に20μm 以下、好ましくは5μm 以下
とされるが、特に上部電極膜にあっては好ましくは1μ
m 以下、より好ましくは 0.5μm 以下の厚さで形成する
ことが望ましい。
いて形成される圧電/電歪層の厚さとしては、相対的に
低作動電圧で大きな変位等を得るために、一般に 100μ
m 以下、好ましくは50μm 以下、さらに好ましくは3〜
40μm 程度とすることが望ましい。さらに、上記の圧電
/電歪層に加えて、下部電極および上部電極で構成され
る圧電/電歪作動部全体の厚さとしては、一般に 150μ
m 以下、好ましくは50μm以下とすることが望ましい。
(b)に示した圧電/電歪膜型素子について説明したが、
この発明はこれだけに限るものではなく、以下に説明す
るような構造の圧電/電歪膜型素子にも好適に適用する
ことができる。すなわち、図4に示される素子は、セラ
ミック基板1の薄肉部の表裏面に、圧電/電歪作動部5
がそれぞれ設けられたバイモルフ型の圧電/電歪膜型素
子の例である。
電/電歪作動部5をセラミック基板1上に設けた別例で
あって、これら複数の圧電/電歪作動部5は、併設形態
としてセラミック基板1上に設けられている。中でも図
5〜図7に示した例は、複数の圧電/電歪作動部5をセ
ラミック基板1上に併設形態として設けており、特に図
5および図6に示した素子においては、これら複数の圧
電/電歪作動部5の間に位置するセラミック基板1に、
スリット7が入れられて、それぞれの圧電/電歪作動部
5が互いに独立した形態とされている。また、図7の素
子においては、セラミック基板1に長手の矩形孔8が所
定ピッチで設けられ、梯子状のセラミック基板1とされ
ており、そして、この梯子状のセラミック基板1の矩形
孔8,8に挟まれた接続部2a上に圧電/電歪作動部5
がそれぞれ形成されている。なお、図5において、9
は、圧電/電歪層3の背部で、第1の電極膜2と第2の
電極膜4とを電気的に絶縁する絶縁膜である。また、図
8に示される素子の例においては、1枚の大きなセラミ
ック基板1上に、複数の圧電/電歪作動部5が所定ピッ
チにて一体的に併設された構造において設けられてい
る。
る素子において、そのセラミック基板1の形状および圧
電/電歪作動部5の配設形態を変更した例である。すな
わち、基板裏面形態を示す同図(a) から明らかなよう
に、厚肉のセラミック基板1の裏面に、所定の大きさの
キャビティ6が所定ピッチで千鳥状に設けられており、
もってこのキャビティ6の底部によって与えられる振動
部1aが千鳥状に配置された基板構成となっている。そ
して、このセラミック基板1の表面には、同図(b) に示
されるように、前記振動部1a上に位置するように、圧
電/電歪作動部5が一体的に形成されて、千鳥状に配置
せしめられている。
おいては、何れも、アクチュエータとして機能させるべ
く、その圧電/電歪作動部を構成する二つの電極膜の間
に、従来と同様にして通電が行なわれ、それによって圧
電/電歪層に電界が作用せしめられると、そのような電
界に基づくところの圧電/電歪層の電界誘起歪が誘起さ
れ、もってセラミック基板の板面に垂直な方向の屈曲変
位ないしは力を発生させるのである。
続形態については特に制限はなく、図10〜図12に示すよ
うな従来から公知の形態いずれもが使用できる。ここ
に、図10は、スルーホール10からの配線を下部電極2に
接続した場合(下部電極パターンの図示は省略)、図11
は、その別例、そして図12は、逆にスルーホール10から
の配線を上部電極4に接続した場合(下部電極パターン
の図示は省略)である。なお、図10(b) 中、番号11は窓
部、12はスペーサ層、13は振動部を形成する薄板層、そ
して14が補強用基板として機能する他、配線用基板とし
ても機能するベース層であり、このベース層14には貫通
孔が形成されている。
各加圧室に対応して圧電/電歪作動部を設けた圧電/電
歪膜型アクチュエータの例であり、(a) は分解図、(b)
は断面図である。この例は、複数の窓部11が列状に並べ
て設けられたスペーサ層12と、振動部を形成する薄板層
13と、ベース層14を積層し、一体焼成して、窓部11にて
加圧室を形成してなるセラミック基体15と、薄板層13の
外面上の各加圧室に対応する位置に圧電/電歪作動部5
が一体的に形成されている。
を一組の電極19a,19bと20とで狭持した圧電素子21
a,21bを有する可撓板22により構成され、外部から作
用する加速度に対応して生じる可撓板22の撓みに応じて
圧電体18から発生する電荷により、加速度の方向および
大きさを三次元的に検知する加速度センサ素子である。
この例では、可撓板22の上部からみた投影面における、
重錘16および/または支台17の上部から、可撓板22の可
撓部分22aに連続的に載架するように圧電素子21を配設
する仕組みになっている。そして、この加速度センサ素
子は、重錘16、支台17および可撓板22の断層形状のグリ
ーンシートを積層し、圧着して積層体とし、この積層体
を一体焼成して焼成体としたのち、厚膜法により圧電素
子21a,21bを形成し、焼成することによって製造され
る。
/電歪膜型変位素子を示したもので、図中、番号23は可
動部、24は固定部、そして25が端子電極である。
電/電歪膜型素子の用途について説明する。この発明の
圧電/電歪素子は、電気エネルギーを機械エネルギーに
変換する、すなわち機械的な変位や力や振動に変換した
り、あるいはその逆の変換を行う各種トランスデューサ
ー、さらには各種アクチュエータ、フィルタ等の周波数
領域機能部品、ディスプレイ等の各種表示デバイス、ト
ランス、マイクロホン、スピーカー等の発音体、通信用
や動力用の振動子、共振子または発信子、ハードディス
ク等の磁気ヘッド位置決め素子、光シャッター、ディス
クリミネーター、超音波センサ、加速度センサ、角速度
センサ、衝撃センサ、質量センサ等の各種センサ、ジャ
イロ、さらには内野研二著(日本工業技術センター編)
「圧電/電歪アクチュエータ 基礎から応用まで」に記
載のようなサーボ変位素子、パルス駆動モータ、超音波
モータ、圧電ファン、圧電リレー等に用いられるユニモ
ルフ型素子並びにバイモルフ型素子に適用され得るもの
であり、好適には各種アクチュエータ、振動子、発音
体、表示デバイス等に有利に採用される。また発明の圧
電/電歪素子は、圧電/電歪特性の他、誘電性をも有し
ているところから、膜状のコンデンサ素子としても利用
できる。
た酸化ジルコニウムで構成し、振動板用グリーンシート
(基体用および表面層用)と1mm×1mmのキャビティを
形成すべく、貫通孔を設けた支持部材用グリーンシート
とを積層・熱圧着し、1500℃で焼成したのち、基板上に
スクリーン印刷にて圧電/電歪作動部を形成した。この
際、第1の電極膜(下部電極)および第2の電極膜(上
部電極)の材質はそれぞれ白金および金とした。また、
焼成はそれぞれ1300℃および 600℃で行い、各電極膜の
厚さはそれぞれ 3.0μm および 0.5μm とした。また、
圧電/電歪層の材質は、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛およ
びマグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする
材料とした。なお、圧電/電歪層とセラミック基板の振
動部の各厚みについては、次の2種類の組み合わせとし
た。 (1) 圧電/電歪層厚み:10μm 、基板振動部厚み:6μm (2) 圧電/電歪層厚み:30μm 、基板振動部厚み:15μm
は、150 mm×150 mm×100 mmの焼成用のセラミック容器
を用い、その容器を覆う蓋材とその容器との隙間を0〜
0.5 mmまでとし、焼成容器の開口量を制御した。また、
蒸発源として、圧電/電歪材料と同一の材料を焼成容器
内に投入し、投入量を0〜50gとした。なお、焼成温度
は1250℃とした。表1,2に、焼成後の圧電/電歪層表
面における異相発生比率と耐久性との関係について調べ
た結果を、また表3,4には同じく異相発生比率と絶縁
特性との関係について調べた結果を、それぞれ示す。
95℃, 湿度:95%の雰囲気下で 100〜500 時間使用した
場合における、初期変位量との相対変化率および基板サ
イズ□40mmの反り変化量で判断するものとし、次の基準
で評価した。 ・特性(初期変位量との相対変化率) ◎:10%未満 ○:10%以上、15%未満 △:15%以上、30%未満 ×:30%以上 ・反り(基板サイズ□40mmの反り変化量) ◎:15μm 未満 ○:15μm 以上、30μm 未満 △:30μm 以上、50μm 未満 ×:50μm 以上 また、絶縁特性については、2 kV/mmおよび5 kV/mmで
それぞれ電圧印加した場合の絶縁破壊発生数で判断する
ものとし、次の基準で評価した。 ・絶縁特性(絶縁破壊不良素子発生数) ◎:0素子/1000素子 ○:1〜10素子/1000素子 △:11〜100 素子/1000素子
表面における異相発生比率と耐久性との間には強い相関
があり、異相発生比率を 0.1%以上とすれば良好な耐久
性が得られ、特に該比率を1%以上とすることにより、
極めて優れた耐久性が得られている。また、表3,4に
示したとおり、異相発生比率と絶縁特性との間にも強い
相関があり、異相発生比率を30%以下とすることによっ
て良好な絶縁特性が得られ、特に該比率が10%以下であ
れば圧電/電歪層の表面付近のみに異相が存在し、優れ
た絶縁特性が得られている。なお、従来法に従う焼成
は、焼成時に圧電/電歪層からの鉛の蒸発を極力阻止す
る条件下で行っていたため、焼成後における異相発生比
率はほぼ0であり、従って圧電/電歪特性や絶縁特性の
面では問題なかったものの、耐久性の著しい劣化を余儀
なくされていたのである。
焼成後の圧電/電歪層の表面を観察した際の反射電子像
を示すが、同図に示したとおり、異相部は相対的に暗い
像となっていて、容易に識別することができる。なお、
この場合の異相発生率は5%である。
多湿雰囲気下での使用に際しても、耐久性に優れ、かつ
圧電/電歪特性にも優れた圧電/電歪膜型素子を安定し
て得ることができる。
圧電/電歪膜型素子の斜視図(a) およびキャビティ構造
の圧電/電歪膜型素子の斜視図 (b)である。
型素子のA−A断面図およびB−B断面図である。
との関係を示したグラフである。
示す斜視図である。
示す斜視図である。
示す斜視図である。
示す斜視図である。
示す斜視図である。
変形例の素子裏面を示す斜視図、 (b)はその表面を示す
斜視図である。
た図である。
を示した図である。
を示した図である。
ュエータを示した図である。
した図である。
子を示した図である。
電歪層表面の反射電子像写真である。
縁部、 2 第1の電極膜(下部電極)、 3 圧電/
電歪層、 4 第2の電極膜(上部電極)、5 圧電/
電歪作動部、 6 キャビティ、 7 スリット、 8
矩形孔、9 絶縁膜、 10 スルーホール、 11 窓
部、 12 スペーサ層、 13 薄板層、 14 ベース
層、 15 セラミック基体、 16 重錘、 17 支台、
18圧電体、 19 電極、 20 電極、 21 圧電素
子、 22 可撓板、 23 可動部、 25 固定部、 25
端子電極
Claims (9)
- 【請求項1】 完全安定化または部分安定化された酸化
ジルコニウムを主成分とするセラミック基板上に、膜形
成法によって、下部電極、鉛元素を含む組成になる圧電
/電歪層および上部電極からなる圧電/電歪作動部を一
体化してなる圧電/電歪膜型素子であって、 圧電/電歪層表面における異相発生比率を 0.1〜30%の
範囲に規制したことを特徴とする、耐久性に優れた一体
型圧電/電歪膜型素子。 - 【請求項2】 請求項1において、セラミック基板が、
薄肉のダイヤフラム部として形成され、そのダイヤフラ
ム部の外表面上に圧電/電歪作動部を一体成形したこと
を特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素
子。 - 【請求項3】 請求項1または2において、異相発生比
率を1〜10%の範囲に規制したことを特徴とする、耐久
性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子。 - 【請求項4】 請求項1または2において、セラミック
基板を構成する結晶の平均粒径が 0.1〜2.0 μm である
ことを特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜
型素子。 - 【請求項5】 請求項1または2において、圧電/電歪
層の厚みが 100μm 以下であることを特徴とする、耐久
性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子。 - 【請求項6】 請求項1または2において、圧電/電歪
作動部の厚みが 150μm以下であることを特徴とする、
耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子。 - 【請求項7】 請求項2において、ダイヤフラム部の厚
みが50μm 以下であることを特徴とする、耐久性に優れ
た一体型圧電/電歪膜型素子。 - 【請求項8】 完全安定化または部分安定化された酸化
ジルコニウムを主成分とするセラミック基板上に、膜形
成法によって、下部電極、鉛元素を含む組成になる圧電
/電歪層および上部電極からなる圧電/電歪作動部を順
次形成し、少なくとも上記圧電/電歪層については焼成
することによって一体型の圧電/電歪膜型素子を製造す
るに当たり、 上記圧電/電歪層の焼成に際し、焼成雰囲気中の鉛濃度
および/または焼成雰囲気の流量・流速を調整すること
によって、圧電/電歪層の表面に生成する異相の比率を
面積比率で 0.1〜30%の範囲に制御することを特徴とす
る、耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子の製造方
法。 - 【請求項9】 請求項8において、(1) 構成元素として
鉛を含有する蒸発源の組成比率、形態、重量、配置位
置、(2) 焼成炉内ないしは焼成容器内における圧電/電
歪材料の配置位置、(3) 焼成容器の開口量(4) 焼成雰囲
気中の鉛元素を吸収する吸収体の投入のうち少なくとも
いずれか一つの条件を調整することによって雰囲気制御
を行うことを特徴とする、耐久性に優れた一体型圧電/
電歪膜型素子の製造方法。
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