JP3482101B2 - 圧電膜型素子 - Google Patents

圧電膜型素子

Info

Publication number
JP3482101B2
JP3482101B2 JP13401397A JP13401397A JP3482101B2 JP 3482101 B2 JP3482101 B2 JP 3482101B2 JP 13401397 A JP13401397 A JP 13401397A JP 13401397 A JP13401397 A JP 13401397A JP 3482101 B2 JP3482101 B2 JP 3482101B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
layer
electrode
type element
ceramic substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13401397A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1126832A (ja
Inventor
幸久 武内
浩二 木村
正郎 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP13401397A priority Critical patent/JP3482101B2/ja
Publication of JPH1126832A publication Critical patent/JPH1126832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3482101B2 publication Critical patent/JP3482101B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電膜型素子の改
良に係り、特に、電気エネルギーを機械エネルギーに変
換、即ち機械的な変位、力あるいは振動に変換したり、
その逆の変換を行なう素子において、その作動特性を向
上せしめ得る構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学や精密加工等の分野におい
て、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する
変位素子や、微小変位を電気的変化として検知する検出
素子が所望されるようになってきている。
【0003】これに応えるものとして、強誘電体等の圧
電材料に電界を加えた時に起こる逆圧電効果に基づくと
ころの変位の発現を利用したアクチュエータやその逆の
現象(圧電効果)を利用したセンサ等に用いられる圧電
/電歪素子の開発が進められている。
【0004】その中で、スピーカ等においては、そのよ
うな圧電/電歪素子構造として、従来から知られている
ユニモルフ型等が好適に採用されている。
【0005】このため、本願出願人にあっても、先に、
特開平3−128681号公報や特開平5−49270
号公報等において、各種の用途に好適に用いられ得る、
セラミック材料製の圧電(/電歪)膜型素子を提案し
た。
【0006】この先に提案の圧電膜型素子は、少なくと
も1つの窓部(空所)を覆蓋するように薄肉のダイヤフ
ラム部が一体に設けられることによって、少なくとも1
つの薄肉の壁部が形成されたセラミック基体を備え、更
に、該セラミック基体のダイヤフラム部の外面上に、下
部電極、圧電層及び上部電極との組合せからなる膜状の
圧電作動層が膜形成法によって一体的に積層形成された
構造を有する。
【0007】この圧電膜型素子は、前記上部電極及び下
部電極間への通電によって、圧電効果(特に、電界誘起
歪み)の横効果、即ち、電界の方向と直交している方向
の歪みを利用した変位、力、振動等を発生させるように
作動されるものである。
【0008】この圧電膜型素子は、小型で安価な、高信
頼性の電気機械変換素子であると共に、低い駆動電圧に
て大変位が得られ、また応答速度が速く、かつ、発生力
も大きいという優れた特徴を有しており、アクチュエー
タ、フィルタ、ディスプレイ、センサ等の構成部材等と
して有用であることが認められている。
【0009】一方、米国特許第2540194号明細書
には、所定厚さを有する長手板状の圧電層の面上に、該
圧電層の幅方向に延びる帯状電極を、前記圧電層の長手
方向に所定間隔を隔ててストライプ状に設けるようにし
た構造の圧電アクチュエータが明示されている。
【0010】このアクチュエータでは、上述のようにス
トライプ状に配された帯状電極に対して交互に異なる電
圧を印加することによって、帯状電極間に所定の電界を
印加させることにより、帯状電極間に存在する圧電層部
分における圧電効果(電界誘起歪み)の縦効果、即ち、
電界の方向と平行している方向の効果を利用して、変
位、力、振動等を発現せしめたり、あるいはその逆の変
換を行わせるようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の圧電素子あるいは圧電膜型素子にあっては、何れ
も、圧電層とその厚み方向の両側に設けた2つの電極と
からなる圧電作動層の圧電効果の横効果(電界の方向と
直交している方向の効果)、或いは圧電層とその一方の
側に設けた帯状電極とからなる圧電作動層における圧電
効果の縦効果(電界の方向と平行している方向の効果)
の何れか一方のみを利用しているに過ぎないものであっ
た。そして、そのような素子の圧電作動層の作動特性を
充分に発揮せしめて向上させることは、素子の小型化の
面からして、また素子機能を高める上において、極めて
有効なことである。
【0012】また、上述の特開平5−49270号公報
の図面(図14)には、セラミック基板上に、帯状電極
及び圧電層を順次一体的に積層形成して、1つの圧電作
動層(駆動部)を構成すると共に、更にその上に、膜状
電極、圧電層及び膜状電極を順次積層形成して、更に他
の1つの圧電作動層(駆動部)を一体的に構成してなる
圧電アクチュエータが明らかにされている。
【0013】しかし、ここではあくまでも、単に2つの
圧電作動層(駆動部)を重ね合わせ、積層一体化させた
構造に過ぎないものであることから、必然的に2つの圧
電層が必要となることは勿論、圧電作動層としての全体
の厚さが著しく厚くなることは避けられない。また、一
方の圧電作動層の作動に際して、他方の圧電作動層の存
在によって、その作動が拘束あるいは阻害されることか
ら、それぞれの圧電作動層の作動特性を充分に発揮させ
ることが困難となる等の問題が内在している。
【0014】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景としてなされたものであって、その解決すべき課題と
するところは、圧電作動層の作動特性を充分に活用する
ことができ、小型化、かつ、低電圧駆動が可能な、高機
能な圧電膜型素子を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る圧電膜型素
子は、セラミック基板と、該セラミック基板の少なくと
も一方の面上の少なくとも一部分に層状に設けられた1
つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一体的に配
された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧電作動層
とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が積層され
ていない構造の圧電膜型素子において、前記第1の電極
は、単一の平膜状の電極層にて形成し、前記第2の電極
を、少なくともその一部を複数の帯状電極にて形成して
構成し、前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構
成された第1の圧電作動手段と、前記第2の電極におけ
る前記複数の帯状電極と前記圧電層とから構成された第
2の圧電作動手段とを有することを特徴とする。
【0016】このような本発明に係る圧電膜型素子にお
いては、前記第1の圧電作動手段によって、圧電効果の
横効果が効果的に発現され、第2の圧電作動手段によっ
て、圧電効果の縦効果が有利に発現される。
【0017】従って、このような素子を例えばアクチュ
エータや振動子等に適用すれば、圧電層を厚み方向にお
いて挟んだ電極(第1の電極及び第2の電極)間への電
界印加による電界誘起歪みの横効果と、そのような圧電
層を面方向において挟んだ複数の帯状電極(第2の電
極)間への電界印加による電界誘起歪みの縦効果とを利
用して、変位や振動を振動板であるセラミック基板に対
して上下両方向に得ることが可能となる。しかも、変位
振幅並びに振動振幅として、縦効果によるものと横効果
によるものとの合成を利用することができ、これによ
り、飛躍的に向上した変位特性並びに振動特性が得られ
る。換言すれば、従来の素子と同等の変位がより低い駆
動電圧にて得られる、ということを意味している。
【0018】従来の圧電膜型素子、即ち、1つの圧電層
にて1つの圧電効果を利用する素子においても、変位並
びに振動振幅を拡大するために、その圧電層の分極方向
と反対方向への電界印加を行なって振動板であるセラミ
ック基板を上下方向に変位させることによって、同様の
動作をさせる試みが行われていたが、分極方向と反対の
方向への電界は、分極反転電界(臨界電界若しくは抗電
界ともいう)に制限されるために、結局、充分な変位や
発生力を得ることが困難であったばかりでなく、分極反
転電界に近い電界が印加されていることから、変位や振
動の安定性にも課題が残る手法であった。
【0019】しかし、本発明に係る圧電膜型素子におい
ては、原理上、上述した分極反転電界には制限されず、
電界印加する電極を選択して通電、作動させるものであ
るから、信頼性が高く、安定した作動が得られることと
なる。
【0020】特に、本発明においては、分極反転電界
(抗電界)が10kV/cm以下である圧電材料にて、
圧電層を形成することが望ましく、そのような圧電材料
からなる圧電層にあっては、分極が電界印加と共に比較
的容易に、かつ、瞬時に行なわれ得るため、本発明の特
徴を効果的に発揮させることが可能となる。更に、圧電
層を形成する圧電材料を選択すれば、素子の使用に先立
つ分極処理を省略することも可能となる。勿論、このよ
うな効果は、例示のアクチュエータや振動子以外に、発
音体、ディスプレイ素子等においても、同様に利用され
得るものである。
【0021】一方、本発明に係る圧電膜型素子の構造を
フィルタ等に適用した場合においても、1つの圧電層を
共用して、電極を選択しさえすれば、励振部と受信部と
を構成することができるため、素子を小型化する上にお
いて、有利な構造となる。また、トランスとしても、同
じように構成して利用することが可能である。
【0022】このように、本発明に係る圧電膜型素子の
構造を採用することによって、従来の素子では利用され
ていない圧電層の特性を巧みに引き出し、従来の同様な
機能を有する素子と比較して、より一層の小型化、低消
費電力化、高機能化が図られ得ることとなる。
【0023】そして、本発明に係る圧電膜型素子の好ま
しい態様の1つによれば、前記セラミック基板を薄肉の
ダイヤフラム部として形成し、前記ダイヤフラム部の外
面上に、前記圧電作動層を一体的に形成する構造が採用
されることとなる。
【0024】また、本発明に係る圧電膜型素子の好まし
い態様の1つによれば、前記セラミック基板に少なくと
も1つの空所を設けて、該空所を外部から仕切る壁部を
与えるセラミック基板の部位を薄肉のダイヤフラム部と
して形成し、前記ダイヤフラム部の外面上に、前記圧電
作動層を一体的に形成する構造が採用されることとな
る。
【0025】これらの好ましい態様の場合、複数の帯状
電極を、その長手方向の両端部において、それぞれ異な
る1つおきの組にて接続することによって、2つの櫛形
電極を構成させるようにしてもよい。また、前記セラミ
ック基板としては、完全安定化もしくは部分安定化され
た酸化ジルコニウムを主成分とする材料から構成するこ
とが好ましい。
【0026】また、前記構成において、相対的に低作動
電圧で大きな変位を得るために、前記圧電層の厚みを1
00μm以下とすることが望ましい。なお、圧電作動層
の厚みとしては150μm以下が好ましい。
【0027】また、前記第2の圧電作動手段を作動させ
る場合において、電極として利用しない下部の導体膜
(第1の電極)近傍の電界を考慮した場合、前記圧電層
の厚みをX、前記複数の帯状電極間の距離をYとしたと
き、0.3≦X/Y≦6を満足することが望ましい。
【0028】また、前記構成において、圧電膜型素子の
高速応答性や大きな変位を得るために、前記ダイヤフラ
ム部の厚みを50μm以下とすることが好ましい。更
に、圧電作動層の作動特性を高め、例えばアクチュエー
タを検出部として、大きな変位や大きな発生力等を得る
ために、前記セラミック基板のうち、少なくとも前記ダ
イヤフラム部を構成する結晶の平均粒子径を0.1〜2
μmとすることが望ましい。
【0029】なお、特に断りのない限り、本発明で使用
する圧電効果には、圧電効果のほか、逆圧電効果、電歪
効果をも含まれるものであり、また、その効果を利用し
た作動手段である圧電作動手段には、電歪作動手段も含
まれることは勿論である。
【0030】
【発明の実施の形態】上述のように、本発明は、セラミ
ック基板上に形成された1つの圧電層と異なる2種の電
極(第1、第2の電極)の組合せにより構成し、前記1
つの圧電層に対する異なる電界により具現されるそれぞ
れの作用あるいは特性の両方を利用し得るようにして、
その作動特性の向上乃至は高機能化を図ったものであ
る。
【0031】以下、本発明に係る圧電膜型素子を例えば
変位素子として適用した実施の形態例(以下、単に本実
施の形態に係る圧電膜型素子と記す)について図1〜図
15を参照しながら説明する。
【0032】本実施の形態に係る圧電膜型素子は、図1
Aに示すように、セラミック基板2を具備する。このセ
ラミック基板2は、その内部に空所4を有し、該空所4
を外部から仕切る壁部を構成するセラミック基板2の薄
肉部位が、振動板として機能する薄肉部2aとされてい
る。この薄肉部2aの外面上には、下部電極6、圧電層
8及び上部電極10が順次一体的に積層形成されて、膜
状の圧電作動層が構成されている。前記下部電極6は単
一の平膜状に形成され、上部電極10は複数の帯状電極
10a、10bにて構成されている。従って、ここで
は、下部電極6が第1の電極に相当し、上部電極10が
第2の電極に相当することとなる。
【0033】本実施の形態に係る圧電膜型素子は、図1
Bに示すように、上部電極10を構成する複数の帯状電
極10a、10bが交互に+極及び−極となるように通
電して、これら複数の帯状電極10a、10b間に所定
の電界を印加すると、圧電効果、ここでは電界誘起歪み
の縦効果によって、薄肉部2aは、一方向(帯状電極1
0a、10bが自由空間を臨む方向:図1B中の矢印参
照)に変位する。この縦効果による変位量と電界との関
係を図2Aに示す。
【0034】一方、図1Cに示すように、上部電極10
(帯状電極10a、10bの全て、もしくはその選択さ
れたもの)を同じ極性とし、該上部電極10と下部電極
6の間に電界を印加すると、圧電効果、ここでは電界誘
起歪みの横効果によって、簿肉部2aは他方向(帯状電
極10a、10bが自由空間を臨む方向の反対方向:図
1C中の矢印参照)に変位する。この変位量と電界との
関係を図2Bに示す。
【0035】このように、図1Cの場合においては、下
部電極6、圧電層8及び上部電極10から第1の圧電作
動手段が構成され、図1Bの場合においては、上部電極
10を構成する複数の帯状電極10a、10bと圧電層
8とから第2の圧電作動手段が構成されることになる。
【0036】従って、上部電極10および下部電極6へ
の通電乃至は電圧印加を所定のタイミングにより制御す
ることによって、1つの圧電層8にて、一方向または他
方向のどちらの方向にも任意に変位や力を発生させるこ
とができる。つまり、図2A及び図2Bに示した変位を
合成した領域において、変位や力等が発現され得ること
になる。これは、従来の圧電膜型素子にはない効果であ
る。
【0037】また、図2Cにおける変位領域aに関し
て、圧電材料を用いる場合、分極作用により残留歪みを
生じることから、スイッチングを行なって、分極方向を
90°回転させることにより、かかる残留歪みを変位と
して利用することが可能となる。このように、1つの圧
電層8における縦効果による変位、力、振動と、横効果
による変位、力、振動の両方を利用することによって、
例えば変位においては、縦効果による変位と横効果によ
る変位を合成したものが得られ、従来の縦効果又は横効
果の何れかのみ利用していたものに比べて、飛躍的な特
性の向上が図られ得ることとなる。また、前記した変位
領域aを、変位状態の維持という観点において利用する
ことによって、本実施の形態に係る圧電膜型素子をメモ
リーとして構成することも可能である。
【0038】次に、本実施の形態に係る圧電膜型素子の
代表的な構造の幾つかの例(実施例)を図3A以降の図
面を参照しながら説明する。なお、それら図3A以降に
示される各種実施例では、それぞれの層の積層構造の理
解を容易にするために、厚さや長さ、幅等が強調して表
現されており、実際の寸法に対応していないことが理解
されるべきである。
【0039】まず、図3Aに示す第1実施例に係る圧電
膜型素子は、所定幅の長手平板状に構成されたセラミッ
ク基板12の一方の面上に、図1Aの例と同様に、単一
の平膜状の下部電極16、同じく単一の平膜状の圧電層
18及び複数の帯状電極20a、20bからなる膜状の
上部電極20が順次一体的に積層形成されて、膜状の圧
電作動層を構成している。
【0040】セラミック基板12は、その内部に空所1
4を有しており、該空所14を外部から仕切る壁部を構
成するセラミック基板12の薄肉部位が、ダイヤフラム
部となる薄肉部12aとして形成され、該薄肉部12a
の外面上に、膜状の圧電作動層が一体的に形成されてい
る。そして、前記圧電作動層は、空所14の両側に位置
するセラミック基板12の厚肉部12b、12bに跨が
るように、下部電極16、圧電層18及び上部電極20
(帯状電極20a、20b)が順次積層されている。
【0041】前記上部電極20を構成する前記複数の帯
状電極20a、20bは、それぞれ、所定の間隔を隔て
てストライプ状に交互に配列されている。また、該上部
電極20の上には、他の圧電層、ひいては他の圧電作動
層は、何等積層されてはいない。
【0042】このように、図3Aに示す第1実施例に係
る圧電膜型素子においては、下部電極16、圧電層18
及び上部電極20とから、圧電効果の横効果を利用する
第1の圧電作動手段が構成され、上部電極20の複数の
帯状電極20a、20bと圧電層18とから、圧電効果
の縦効果を利用する第2の圧電作動手段が構成される。
これによって、1つの圧電層18を利用することによ
り、2つの圧電効果を発揮させることができ、圧電膜型
素子の特性の向上を実現させることができる。
【0043】その他、図3Bに示すように、1枚の板状
のセラミック基板12に前記膜状の圧電作動部を形成す
るようにしてもよい。この場合、前記板状のセラミック
基板12を別体に設けられた支持部材(図示せず)にて
支持することによって、上述したダイヤフラム部と同様
の機能を持たせることができる。
【0044】また、図4A、Bに示す第2実施例に係る
圧電膜型素子は、上部電極20を構成する複数の帯状電
極20a、20bが、その長手方向の両端部において、
それぞれ異なる1つおきの組にて接続され、2つの櫛形
電極を構成しているところに特徴を有している。
【0045】即ち、1つおきに配された帯状電極20a
が長手方向の同じ側の端部において接続されることによ
って櫛形電極が構成され、前記帯状電極20aに対して
交互に配置される帯状電極20bが帯状電極20aとは
異なる側の端部において相互に接続されることによって
他の1つの櫛形電極が構成されている。特に、このよう
な櫛形電極構造を採用することにより、複数の帯状電極
20a群や他の複数の帯状電極20b群への給電が容易
となる等の利点がある。
【0046】更に、図5A、Bに示す第3実施例に係る
圧電膜型素子は、長手薄肉のセラミック基板12上に設
けられた下部電極16を幅方向に対して覆うように圧電
層18が設けられており、更に、圧電層18を幅方向に
対して覆うように上部電極20を構成する帯状電極20
a、20bがそれぞれ設けられているところに特徴があ
る。
【0047】即ち、セラミック基板12の幅方向に対し
て、圧電層18は下部電極16よりも長く、上部電極2
0は圧電層18よりも長くなるように設けられている。
この場合、下部電極16に対する圧電層18や上部電極
20(帯状電極20a、20b)が位置ずれした際にお
いても、これら電極16、20の短絡の回避が図られ得
る。
【0048】本実施の形態に係る圧電膜型素子において
は、上述のようなユニモルフ型構造の素子ばかりでな
く、図6A、Bに示すようなバイモルフ型構造の素子を
構成することも可能である。
【0049】即ち、図6A、Bに示す第4実施例に係る
圧電膜型素子においては、セラミック基板12の一方の
面上に、第1実施例(図3A、B参照)と同様の構造の
下部電極16、圧電層18及び上部電極20(帯状電極
20a、20b)からなる1つの圧電作動層が一体的に
設けられ、セラミック基板12の他方の面上にも、前記
圧電作動層と同様な構造の下部電極116、圧電層11
8及び上部電極120(帯状電極120a、120b)
からなる他の1つの圧電作動層が一体的に設けられてい
る。
【0050】このようなバイモルフ型の圧電膜型素子に
あっては、それぞれの圧電作動層における2つの圧電作
動手段の作動形態が制御され、例えば、変位素子として
使用される場合にあっては、セラミック基板12の両側
の圧電作動層が、何れも同一方向に変位、力あるいは振
動を作用するように制御されることになる。
【0051】また、図7に示す第5実施例に係る圧電膜
型素子は、セラミック基板12がキャビティ構造とされ
ているところに特徴がある。即ち、このセラミック基板
12は、その内部に空所14を有しており、該空所14
を外部から仕切る壁部を構成するセラミック基板12の
薄肉部位が、ダイヤフラム部となる薄肉部12aとして
形成され、該薄肉部12aの外面上に、図3A、Bの例
と同様な膜状の圧電作動層が一体的に形成されている。
そして、前記圧電作動層は、空所14の両側に位置する
セラミック基板12の厚肉部12b、12bに跨がるよ
うに、下部電極16、圧電層18及び上部電極20(帯
状電極20a、20b)が順次積層されて一体化される
ことにより構成され、いわゆる両持梁構造とされてい
る。
【0052】図8に示す第6実施例に係る圧電膜型素子
は、空所14の形成によって、幅方向の中央部に形成さ
れた薄肉部12aと両側部に位置する厚肉部12b、1
2bとからなるキャビティ構造のセラミック基板12が
用いられ、このセラミック基板12の薄肉部12a上
に、2つの圧電作動層が、それぞれの端部が厚肉部12
b上に位置するように一体的に設けられている。
【0053】即ち、各圧電作動層は、セラミック基板1
2の厚肉部12b上から薄肉部12a上に跨がった形態
において、下部電極16、圧電層18及び上部電極20
(帯状電極20a、20b)が順次積層形成されて一体
化されることによって構成されている。
【0054】この第6の実施例に係る圧電膜型素子は、
他の実施例に係る圧電膜型素子とは異なり、上部電極2
0を構成する複数の帯状電極20a、20bが交互に+
極及び−極となるように通電して、これら複数の帯状電
極20a、20b間に所定の電界を印加すると、電界誘
起歪みの縦効果によって、薄肉部12aは、他方向(帯
状電極20a、20bが自由空間を臨む方向の反対方
向)に変位する。
【0055】上部電極20(帯状電極20a、20bの
全て、もしくはその選択されたもの)を同じ極性とし、
該上部電極20と下部電極16の間に電界を印加する
と、電界誘起歪みの横効果によって、薄肉部12aは一
方向(帯状電極20a、20bが自由空間を臨む方向)
に変位する。
【0056】図9及び図10A、Bに示される第7実施
例に係る圧電膜型素子は、図から明らかなように、セラ
ミック基板12の内部に3つの空所14が形成されてお
り、各空所14は、それぞれ連通用開口部22を通じて
外部に連通されるようになっている。また、前記空所1
4にて形成されるセラミック基板12の薄肉部12aの
外面上には、それぞれ図4A、Bに示すような構成の膜
状の圧電作動層が一体的に形成されている。
【0057】即ち、前記圧電作動層は、下部電極16と
圧電層18と上部電極20とが順次積層形成されて一体
的な構造とされ、上部電極20を構成する帯状電極20
a、20bは、それぞれ図4A、Bの例と同様に櫛形電
極として形成されている。
【0058】その他、図11A、Bに示すように、1枚
の板状のセラミック基板12に前記膜状の圧電作動部を
形成するようにしてもよい。この場合、前記板状のセラ
ミック基板12を別体に設けられた支持部材(図示せ
ず)にて支持することによって、上述したダイヤフラム
部と同様の機能を持たせることができる。
【0059】図10A、図11Aでは、圧電作動部が3
つとされているが、目的に応じてもちろん4つ以上とさ
れることもある。
【0060】なお、本実施の形態に係る圧電膜型素子に
おいて、複数の帯状電極20a、20bから構成される
上部電極20は、上述の例では、何れも同様なサイズに
おいてストライプ状に設けられているが、前記帯状電極
20a、20bの幅は、適宜に選択され得るものであ
る。例えば図12A、Bに示すように、帯状電極20
a、20bの幅を交互に変更して、帯状電極20aの幅
よりも帯状電極20bの幅を広くすることも可能であ
り、このような電極構造にすれば、フィルタとしての帯
域や各種トランスデューサーとしての変換量の調整を容
易に行うことが可能となる。
【0061】また、本実施の形態に係る圧電膜型素子
は、図13A、Bに示すように、上部電極20をそれぞ
れ渦巻き状の2つの帯状電極20a、20bにて構成
し、その渦巻きの中心から径方向外方に向かって、一方
の帯状電極20aと他方の帯状電極20bとが交互に位
置するように配置させた構造とすることも可能である。
【0062】また、本実施の形態に係る圧電膜型素子
は、図14A、Bに示すように、上部電極20の所定の
部分を複数の帯状電極20a、20bにて構成し、か
つ、他の部分を単一の平膜状の電極部20cとした構成
を有する膜状の圧電作動層を、セラミックス基板12上
に一体的に設けるようにしてもよい。なお、図14A、
Bに示す例では、帯状電極20a、20bは、それぞれ
櫛形電極として形成されている。そして、このような上
部電極20の構造を採用することにより、例えばアクチ
ュエータや振動子として使用した場合において、電界誘
起歪みの横効果による発生変位や発生力、並びに縦効果
による発生変位や発生力のバランスの調整が容易となる
利点がある。
【0063】このように、本実施の形態に係る圧電膜型
素子は、各種の形態において具体化され得るものであっ
て、上述の例示の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範
囲内において、各種の変形、修正、改良等が加えられ得
るものであり、それらの何れもが、本発明の範疇に属す
るものであることが理解されるべきである。
【0064】例えば、上述の例の具体例では、上部電極
20を構成する複数の帯状電極20a、20b間が空間
とされているが、それら帯状電極20a、20b間を圧
電層18を与える圧電材料にて充填するようにしても何
等差支えなく、また、下部電極16と上部電極20とを
逆の構造とすることも可能である。上部電極20を単一
の平膜状の電極層とし、下部電極16の少なくとも一部
を複数の帯状電極にて形成することも可能である。この
場合、単一の平膜状の電極層からなる上部電極20が第
1の電極に相当し、複数の帯状電極から構成される下部
電極16が第2の電極に相当することになる。
【0065】そして、本実施の形態に係る圧電膜型素子
は、具体的には以下のように作製される。
【0066】まず、本実施の形態に係る圧電膜型素子を
構成するセラミック基板(2、12)を形成する材料と
しては、機械的強度が大きく、後述するように1400
℃程度の熱処理が可能で、また接着剤等を用いることな
く圧電作動層と積層一体化し得る絶縁体もしくは誘電体
であれば採用可能で、それは、酸化物系のセラミック材
料であっても、また非酸化物系のセラミック材料であっ
ても、何等差支えない。
【0067】変位や発生力が大きく、応答速度も速いと
いう優れた作動特性を得るために、上述した条件を有す
る材料の中でも、酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素の
うちの少なくとも何れかを主成分とした材料が、好適に
採用される。特に、酸化アルミニウム及び/又は酸化ジ
ルコニウムを主成分としたセラミック材料の使用が推奨
される。更に、その中でも、特に、酸化イットリウム、
酸化イッテルビウム、酸化セリウム、酸化カルシウム及
び酸化マグネシウムのうち、少なくとも1つの化合物で
完全あるいは部分安定化された酸化ジルコニウムを主成
分とする材料が有利に用いられ得る。なぜなら、薄い基
板厚さにおいても高い機械的強度が得られ、高靭性であ
り、膜形成手法において採用される圧電材料との熱処理
時の応力が小さく、更にその圧電材料との化学的な反応
性が小さいからである。
【0068】更に、酸化ジルコニウムを安定化するため
の上述した化合物の添加量としては、酸化イットリウム
や酸化イッテルビウムでは1モル%〜30モル%、酸化
セリウムでは6モル%〜40モル%、酸化カルシウムや
酸化マグネシウムでは5モル%〜40モル%とすること
が好ましい。その中でも、特に、酸化イットリウムを安
定化剤として用いることが望ましく、その場合の添加量
は1.5モル%以上6モル%以下とすること、更に好ま
しくは、2モル%以上4モル%以下とすることが望まし
い。このような添加範囲で、酸化イットリウムを添加し
た酸化ジルコニウムは、その結晶相が部分安定化される
ため、優れた基板特性を有する基板の実現が可能であ
る。
【0069】更にまた、これら安定化された酸化ジルコ
ニウムに、酸化アルミニウムや酸化チタン、更には粘土
等の焼結助剤を添加してもよい。この場合、焼成した基
板に酸化珪素(SiO2 、SiO)が1%以上含有され
ないように、助剤の組成や添加量を調整することが望ま
しい。なぜなら、過剰の酸化珪素が基板に含有されてい
ると、圧電材料との熱処理時に反応が惹起され易く、組
成の制御が困難となるからである。
【0070】また、前記セラミック基板(2、12)
は、最終的には、焼結した形態とされるが、セラミック
基板(2、12)の焼結に際しては、本実施の形態に係
る圧電膜型素子の圧電作動層の形成に先立って、予め焼
結して基板を形成する方法、または、基板材料のグリー
ンシートを用い、後述の膜形成による圧電作動層の形成
を行なった後に焼結させる方法を用いることができる。
この中でも、セラミック基板(2、12)を予め焼結し
て基板を形成しておく方法が、素子の反りを小さくする
ことができ、また必要なパターン寸法精度が得られるこ
とから、有利に用いられる。
【0071】なお、図1や図3A等に示されるようなキ
ャビティ構造を有するセラミック基板(2、12)は、
金型や超音波加工等の機械加工法を用いて、前記空所
(4、14)を形成するための空孔部を設けたグリーン
シートに、薄肉部(2a、12a)を与える薄いグリー
ンシートを積層、熱圧着させた後、焼成一体化すること
によって作製することが、高い信頼性の点から好適に採
用される。
【0072】更に、セラミック基板(2、12)は、本
実施の形態に係る圧電膜型素子の圧電作動層が形成され
る部位の少なくとも一部が、薄肉部(2a、12a)と
されていることが望ましい。その厚さは、圧電膜型素子
の高速応答性や大きな変位を得るために、一般に50μ
m以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは15
μm以下とすることが望ましい。
【0073】また、前記薄肉部(2a、12a)は、そ
こに設けられる圧電作動層の作動特性を高め、例えばア
クチュエータや検出部として、大きな変位や大きな発生
力等を得るために、一般に、結晶の平均粒子径が0.1
〜2μmとなるように構成されることが望ましく、更に
好ましくは、1μm以下の平均粒子径となるように構成
されていることが望ましい。
【0074】また、図3Bや図4B等に示されるような
1枚の板状のセラミック基板12においても、セラミッ
ク基板12の厚さは、圧電膜型素子の高速応答性や大き
な変位を得るために、一般に50μm以下、好ましくは
30μm以下、更に好ましくは15μm以下とすること
が望ましい。
【0075】また、セラミックス基板12のうち、少な
くとも圧電作動層が形成される部位は、該圧電作動層の
作動特性を高め、例えばアクチュエータや検出部とし
て、大きな変位や大きな発生力等を得るために、一般
に、結晶の平均粒子径が0.1〜2μmとなるように構
成されることが望ましく、更に好ましくは、1μm以下
の平均粒子径となるように構成されていることが望まし
い。
【0076】そして、本実施の形態に係る圧電膜型素子
のように、セラミック基板(2、12)の少なくとも一
方の面上に、所定の下部電極16、圧電層18及び上部
電極20を設けてなる圧電作動層を形成するためには、
各種の膜形成手法が適宜に採用される。例えばスクリー
ン印刷、スプレー、ディッピング、塗布等の厚膜形成手
法や、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、イオ
ンプレーティング、CVD、めっき等の薄膜形成手法が
適宜に選択される。
【0077】特に、圧電層18を形成する場合には、ス
クリーン印刷、スプレー、ディッピング、塗布等による
厚膜形成手法が好適に採用される。これらの厚膜形成手
法によれば、平均粒子径が0.01μm〜5μm、好ま
しくは0.05μm〜3μmの圧電材料のセラミック粒
子を主成分とするペーストやスラリーを用いて、セラミ
ック基板上に膜形成することができ、良好な素子特性が
得られる。
【0078】また、前記膜を所望の形状とするには、ス
クリーン印刷法やフォトリソグラフィ法等を用いてパタ
ーン形成する手法のほか、エキシマ、YAG等のレーザ
ー加工法やスライシング、超音波加工等の機械加工法を
用い、不必要な部分を除去して、パターン形成する等の
手法が採用される。これによって、下部電極16、圧電
層18、上部電極20の所望の形状が実現されることと
なる。
【0079】更に、これらのパターン形成は、後述する
熱処理の前後の何れかにおいて行なわれ得るものである
が、好ましくは熱処理前に行なうことが、パターン形成
の容易さやパターン精度の点から望ましい。
【0080】なお、ここで作製される素子の構造や膜状
の圧電作動層の形状は、何等限定されるものではなく、
用途に応じて如何なる形状でも採用可能であり、例え
ば、三角形、四角形等の多角形、円、楕円、円環等の円
形、櫛状、格子状、又はこれらを組み合わせた特殊形状
であっても何等差支えない。
【0081】また、このようにしてセラミック基板
(2、12)上に、上述の手法で膜形成された各膜
(6、8、10;16、18、20)は、それぞれの膜
の形成の都度、熱処理されて、基板と一体構造となるよ
うにしてもよく、また、全部の膜を形成した後、同時に
熱処理して、各膜が同時に基板に一体的に結合されるよ
うにしてもよい。
【0082】なお、このような膜形成手法により、電極
膜を形成する場合には、一体化するために、必ずしも熱
処理を必要としないことがある。例えば、上部電極膜
(10、20)を形成する前に、下部電極膜(6、1
6)との絶縁性を確実にするため、素子周りに絶縁樹脂
等で絶縁コートを行なう場合があるが、その場合には、
上部電極膜(10、20)の形成には、熱処理を必要と
しない蒸着、スパッタリング、めっき等の方法が採用さ
れる。
【0083】このようにして形成される各膜とセラミッ
ク基板とを一体化するための熱処理温度としては、一般
に900℃〜1400℃程度の温度が採用され、好まし
くは1000℃〜1400℃の範囲内の温度が有利に選
択される。なお、圧電層(8、18)を熱処理する場合
には、高温時に該圧電層の組成が不安定とならないよう
に、圧電材料の蒸発源と共に、雰囲気制御を行ないなが
ら、熱処理することが好ましい。
【0084】また、圧電層(8、18)上に、適当な覆
蓋部材を載置して、その表面が焼成雰囲気に直接に露呈
されないようにして焼成する方法を採用することも推奨
される。この場合、覆蓋部材としては、基板と同様な材
料系のもの(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニ
ウム、または酸化マグネシウムを主成分とする材料)が
用いられることとなる。更に、焼成の際に使用される焼
き台(セッター)に関しても、圧電層の焼成雰囲気に影
響を及ぼさないように、例えば前記覆蓋部材と同様に、
酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、または酸化マグ
ネシウムを主成分とする材料からなるものを採用するこ
とが好ましい。
【0085】ところで、上述の圧電作動層を構成する下
部電極膜(6、16)の材料としては、前記熱処理温度
並びに焼成温度程度の高温の酸化雰囲気に耐えられ得る
導体であれば、特に規制されるものではなく、例えば金
属単体であっても、合金であってもよく、また絶縁性セ
ラミックスと金属や合金との混合物であっても、更には
導電性セラミックスであっても何等差支えない。
【0086】より好ましくは、白金、パラジウム、ロジ
ウム等の高融点貴金属類、或いは銀−パラジウム、銀−
白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とする電極材
料、白金とセラミック基板材料とのサーメット材料、白
金と圧電材料とのサーメット材料、白金と基板材料と圧
電材料とのサーメット材料が好適に用いられ、そのなか
でも、更に好ましくは、白金を主成分とする材料が望ま
しい。
【0087】また、電極に添加する材料として酸化珪素
等のガラスを用いると、圧電層(8、18)との熱処理
中に反応が生じ易く、素子特性を低下させる原因となり
易いため、その使用を避けることが望ましい。なお、電
極中に添加せしめる基板材料としては5〜30体積%程
度、圧電材料としては5〜20体積%程度であることが
好ましい。
【0088】一方、上部電極(10、20)の形成材料
に関しては、特に制限されるものではなく、上述のよう
な電極材料のほか、金、クロム、銅等のスパッタ膜、あ
るいは金、銀のレジネート印刷膜であっても何等差支え
ない。
【0089】そして、このような導体材料を用いて形成
される電極膜は、一般に、20μm以下、好ましくは5
μm以下とされることとなるが、特に、上部電極膜(1
0、20)にあっては、有利には1μm以下、好ましく
は0.5μm以下の厚さにおいて形成されることとな
る。
【0090】本実施の形態に係る圧電膜型素子は、上述
のようにして形成される下部電極(6、16)、圧電層
(8、18)、及び上部電極(10、20)からなる膜
状の圧電作動層において、これら下部電極(6、16)
及び上部電極(10、20)の何れか一方の少なくとも
一部を、複数の帯状電極にて構成して、ストライプ状と
するものである。
【0091】このような帯状電極(例示の具体例では、
10a、10b;20a、20b)間の距離は適宜に選
定され、一義的に決定することは困難であるが、一般に
100μm以下、好ましくは50μm以下とされ、特に
20μm以下とされるのが、低電圧で大変位を得る上に
おいて有効である。
【0092】また、これら帯状電極(10a、10b;
20a、20b)のピッチは、相対的に低電圧で大変位
を得るために、200μm以下とするのが望ましく、特
に好ましくは100μm以下であり、その中でも、40
μm以下が更に望ましい。
【0093】また、本発明に係る圧電膜型素子の圧電作
動層を構成する圧電層(8、18)の圧電材料として
は、圧電効果、なかでも電界誘起歪みを示す材料であれ
ば、何れの材料であっても採用され得る。例えば、結晶
質の材料であっても、非晶質の材料であってもよく、ま
た半導体材料であっても、誘電体セラミック材料や強誘
電体セラミック材料であっても何等差支えなく、更には
分極処理が必要な材料であっても、またそれが不必要な
材料であってもよい。特に、本実施の形態にあっては、
分極処理が必要でない圧電材料が有利に用いられ、分極
処理が必要な材料においては、その分極反転電界(抗電
界)が10kV/cm以下である圧電材料が有利に用い
らる。これにより、圧電膜型素子の特性が効果的に引き
出され得ることになる。
【0094】具体的には、本発明に用いられる圧電材料
としては、好ましくは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT
系)を主成分とする材料、チタン酸鉛を主成分とする材
料、ジルコン酸鉛を主成分とする材料、更にはマグネシ
ウムニオブ酸鉛(PMN系)を主成分とする材料、ニッ
ケルニオブ酸鉛(PNN系)を主成分とする材料、マグ
ネシウムタングステン酸鉛を主成分とする材料、マンガ
ンニオブ酸鉛を主成分とする材料、アンチモン錫酸鉛を
主成分とする材料、亜鉛ニオブ酸鉛を主成分とする材
料、マグネシウムタンタル酸鉛を主成分とする材料、ニ
ッケルタンタル酸鉛を主成分とする材料、更には、これ
らの複合材料等を挙げることができる。
【0095】なお、上述した材料に、ランタン、バリウ
ム、ニオブ、亜鉛、セリウム、カドミウム、クロム、コ
バルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、タ
ングステン、ニッケル、マンガン、リチウム、ストロン
チウム、マグネシウム、カルシウム、ビスマス等の酸化
物やそれらの他の化合物を添加物として含有せしめても
何等差支えなく、例えばPZT系を主成分とする材料
に、ランタンの酸化物等を加えてPLZT系とした材料
も使用可能である。
【0096】また、これら圧電材料の中で、上記した抗
電界が10kV/cm以下のものとしては、PZT系、
PMN系、チタン酸鉛とPMNの混合系、PLZT系、
PZT系を主成分とする材料にバリウムを加えたPBZ
T系、PZTを基本とする3成分系(マグネシウムニオ
ブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主
成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛とチタン酸鉛とジ
ルコン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料等)等が
成分調整されて用いられることになる。
【0097】更に、それらの中でも、PMN系、PMN
混合系、PLZT系、PBZT系は、電歪材料として、
特に分極処理を行なうことなく使用できるものである。
【0098】そして、これらの圧電材料のなかでも、マ
グネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とか
らなる成分を主成分とする材料、若しくはニッケルニオ
ブ酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタ
ン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、若しくはニ
ッケルタンタル酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛とジルコ
ン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材
料、もしくはマグネシウムタンタル酸鉛とマグネシウム
ニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分
を主成分とする材料が好ましい。
【0099】更に、その中でも、特に、マグネシウムニ
オブ酸鉛、ジルコン酸鉛およびチタン酸鉛とからなる成
分を主成分とする材料が有利に用いられる。なぜなら、
上述の材料は、高い圧電定数を有するだけでなく、熱処
理中における基板材料との反応が特に少ないからであ
る。
【0100】つまり、例えば図5A、Bに示すような圧
電層18の張出部とセラミック基板12との結合状態を
圧電作動層に必要とされる性能に影響を与えない程度に
低く抑えることができるほか、成分の偏析が惹起され難
く、組成を保つための処理が好適に行なわれ易く、目的
とする組成及び結晶構造が得られ易いからである。従っ
て、前記材料は、スクリーン印刷、スプレー、ディッピ
ング、塗布等の厚膜形成手法で、圧電層を形成する場合
の材料として推奨される。
【0101】なお、多成分系圧電材料の場合、成分の組
成によって圧電特性が変化するが、本実施の形態に係る
圧電膜型素子で好適に採用されるマグネシウムニオブ酸
鉛−ジルコン酸鉛−チタン酸鉛の3成分系材料では、擬
立方晶−正方晶−菱面体晶の相境界付近の組成が好まし
く、特にマグネシウムニオブ酸鉛:15モル%〜50モ
ル%、ジルコン酸鉛:10モル%〜45モル%、チタン
酸鉛:30モル%〜45モル%の組成が、高い圧電定数
と電気機械結合係数を有することから、有利に採用され
る。
【0102】また、このような圧電材料を用いて形成さ
れる圧電層(8、18)の厚さとしては、相対的に低作
動電圧で大きな変位等を得るために、一般に100μm
以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは3μm
〜40μm程度とされることが望ましい。更に、前記圧
電層(8、18)に加えて、下部電極(6、16)及び
上部電極(10、20)を含んで構成される膜状の圧電
作動層の厚さとしては、一般に150μm以下、好まし
くは50μm以下とされることが望ましい。
【0103】また、より効果的には、第2の圧電作動手
段を作動させる場合における、電極として利用しない下
部の導体膜(下部電極)(6、16)近傍の電界を考慮
して、帯状の上部電極間の距離Y(図1A参照)と、前
記した圧電層(8、18)の厚さX(図1A参照)との
割合を適度に調節することが望ましく、好ましくは上部
帯状電極間の距離Yと圧電層の厚みXとの割合X/Yが
次の範囲となるように構成されることが望ましい。
【0104】0.3≦X/Y≦6 また、各圧電作動手段に印加する電圧信号も前記圧電層
18の厚み並びに電極間距離に応じて適宜調節して駆動
することが望ましい。
【0105】前記実施の形態に係る圧電膜型素子(キャ
ビティ構造のセラミック基板を用いたもの)において
は、膜状の圧電作動部は、その一部がセラミック基板1
2の厚肉部に一部かかった形状を有するが、その他、例
えば図15に代表的に示すように、前記膜状の圧電作動
部を薄肉部12aのみに形成するようにしてもよい。
【0106】上述のようにして得られる本実施の形態に
係る圧電膜型素子は、電気エネルギーを機械エネルギー
に変換する、即ち機械的な変位や力や振動に変換した
り、あるいはその逆の変換を行なう各種トランスデュー
サー、更には、各種アクチュエータ、周波数領域機能部
品(フィルタ)、各種表示デバイス(ディスプレイ)、
トランス、マイクロホン、発音体(スピーカー等)、通
信用や動力用の振動子や共振子や発信子、ディスクリミ
ネーター、超音波センサや加速度センサや角速度センサ
や衝撃センサ等の各種センサ、ジャイロ、更には内野健
二著(日本工業技術センター編)「圧電/電歪アクチュ
エータ 基礎から応用まで」(森北出版)に記載のサー
ボ変位素子、パルス駆動モータ、超音波モータ、圧電フ
ァン、圧電リレー等に用いられるユニモルフ型素子並び
にバイモルフ型素子に適用され得るものであり、好適に
は各種アクチュエータ、振動子、発音体、表示デバイス
等に有利に採用される。
【0107】また、本実施の形態に係る圧電膜型素子
は、圧電特性(電歪特性をも含む)のほか、誘電性をも
有しているところから、膜状のコンデンサ素子としても
利用でき、強誘電性をも有する材料を圧電材料として用
いれば、電子放出素子としての利用も可能である。
【0108】以上の説明から明らかなように、本発明に
よれば、1つの圧電層を利用して、第1の圧電作動手段
と第2の圧電作動手段が構成され、それら2つの圧電作
動手段の作動を併せた形態において、圧電膜型素子の全
体の作動が発揮されることから、圧電効果が充分に活用
され、従来の1つの圧電作動手段を用いる場合に比べ
て、圧電膜型素子の素子特性は著しく向上する。その結
果、小型化の可能で、また低電圧駆動が可能な、高機能
な圧電膜型素子が実現され得る。
【0109】特に、本発明に係る圧電膜型素子を、アク
チュエータや振動子等の変位素子として用いることによ
って、圧電効果、なかでも電界誘起歪みの横効果と縦効
果とを利用して、その変位振幅あるいは振動振幅や力を
著しく増大させることが可能となり、飛躍的に向上した
変位特性あるいは振動特性や力特性を実現させることが
できる。
【0110】以上、本実施の形態に係る圧電膜型素子を
幾つかの実施例に基づいて具体的に説明してきたが、本
発明は、上述の実施例に限定されて解釈されるべきもの
では決してなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおい
て、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改
良等を加え得るものであることが、理解されるべきであ
る。
【0111】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る圧電
膜型素子は、第1の電極、第2の電極および圧電層とか
ら第1の圧電作動手段を構成する一方、前記第2の電極
と前記圧電層とから第2の圧電作動手段を構成して、つ
まり、1つの圧電層を利用して2つの圧電作動手段が構
成される素子構造をとることにより、圧電作動部の作動
特性を充分に活用することができ、よって、小型化さ
れ、低電圧駆動が可能な、高機能な圧電膜型素子を提供
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1Aは、本発明に係る圧電膜型素子を変位素
子として適用した場合の実施の形態例(実施の形態に係
る圧電膜型素子と記す)を示す断面略図であり、図1B
は、本実施の形態に係る圧電膜型素子の第2の圧電作動
手段を作動させた状態を示す断面略図であり、図1C
は、本実施の形態に係る圧電膜型素子の第1の圧電作動
手段を作動させた状態を示す断面略図である。
【図2】図2Aは、本実施の形態に係る圧電膜型素子の
第2の圧電作動手段を作動させた状態における変位と電
界の関係を示すグラフであり、図2Bは、本実施の形態
に係る圧電膜型素子の第1の圧電作動手段を作動させた
状態における変位と電界の関係を示すグラフであり、図
2Cは、本実施の形態に係る圧電膜型素子の第1の圧電
作動手段と第2の圧電作動手段の両方を作動させた状態
における変位と電界の関係を示すグラフである。
【図3】図3Aは、第1実施例に係る圧電膜型素子(キ
ャビティ構造のセラミック基板を用いたもの)を示す部
分斜視図であり、図3Bは、第1実施例に係る圧電膜型
素子(1枚の板状のセラミック基板を用いたもの)を示
す部分斜視図である。
【図4】図4Aは、第2実施例に係る圧電膜型素子(キ
ャビティ構造のセラミック基板を用いたもの)を示す部
分斜視図であり、図4Bは、第2実施例に係る圧電膜型
素子(1枚の板状のセラミック基板を用いたもの)を示
す部分斜視図である。
【図5】図5Aは、第3実施例に係る圧電膜型素子(キ
ャビティ構造のセラミック基板を用いたもの)を示す部
分斜視図であり、図5Bは、第3実施例に係る圧電膜型
素子(1枚の板状のセラミック基板を用いたもの)を示
す部分斜視図である。
【図6】図6Aは、第4実施例に係る圧電膜型素子(キ
ャビティ構造のセラミック基板を用いたバイモルフ型構
造の素子)を示す部分斜視図であり、図6Bは、第4実
施例に係る圧電膜型素子(1枚の板状のセラミック基板
を用いたバイモルフ型構造の素子)を示す部分斜視図で
ある。
【図7】第5実施例に係る圧電膜型素子(キャビティ構
造のセラミック基板を用いたもの)を示す部分斜視図で
ある。
【図8】第6実施例に係る圧電膜型素子(キャビティ構
造のセラミック基板を用いたもの)を示す部分斜視図で
ある。
【図9】第7実施例に係る圧電膜型素子を示す斜視図で
ある。
【図10】図10Aは、図9に示される圧電膜型素子
(3つの空所を有するセラミック基板を用いたもの)の
A−A断面説明図であり、図10Bは、図9に示される
圧電膜型素子(3つの空所を有するセラミック基板を用
いたもの)のB−B断面説明図である。
【図11】図11Aは、図9に示される圧電膜型素子
(1枚の板状のセラミック基板を用いたもの)のA−A
断面説明図であり、図11Bは、図9に示される圧電膜
型素子(1枚の板状のセラミック基板を用いたもの)の
B−B断面説明図である。
【図12】図12Aは、本実施の形態に係る圧電膜型素
子(キャビティ構造のセラミック基板を用いたもの)の
他の例を示す部分斜視図であり、図12Bは、本実施の
形態に係る圧電膜型素子(1枚の板状のセラミック基板
を用いたもの)の他の例を示す部分斜視図である。
【図13】図13Aは、本実施の形態に係る圧電膜型素
子(キャビティ構造のセラミック基板を用いたもの)の
更に異なる一例を示す斜視図であり、図13Bは、本実
施の形態に係る圧電膜型素子(1枚の板状のセラミック
基板を用いたもの)の更に異なる一例を示す斜視図であ
る。
【図14】図14Aは、本実施の形態に係る圧電膜型素
子(キャビティ構造のセラミック基板を用いたもの)の
更に異なる他の例を示す部分斜視図であり、図14B
は、本実施の形態に係る圧電膜型素子(1枚の板状のセ
ラミック基板を用いたもの)の更に異なる他の例を示す
部分斜視図である。
【図15】本実施の形態に係る圧電膜型素子の変形例、
特に、薄肉部のみに膜状の圧電作動部を形成した例を示
す断面図である。
【符号の説明】
2、12…セラミック基板 2a、12a…薄
肉部 4、14…空所 6、16、116
…下部電極 8、18、118…圧電層 10、20、12
0…上部電極 10a、10b、20a、20b、120a、120b
…帯状電極 12b…厚肉部 20c…電極部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02N 2/00 H01L 41/18 101D 41/22 Z (56)参考文献 特開 平8−153915(JP,A) 特開 平3−128681(JP,A) 特開 平6−204580(JP,A) 特開 平5−49270(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/09

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック基板と、該セラミック基板の少
    なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設けら
    れた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一体
    的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧電
    作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が積
    層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記圧電層は、10kV/cm以下の抗電界を有する圧
    電材料にて形成され 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第2の圧電作動手段とを有す ること
    を特徴とする圧電膜型素子。
  2. 【請求項2】セラミック基板と、該セラミック基板の少
    なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設けら
    れた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一体
    的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧電
    作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が積
    層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第2の圧電作動手段とを有し、 前記セラミック基板が薄肉のダイヤフラム部として形成
    され、該ダイヤフラム部の外面上に、前記圧電作動層が
    一体的に形成されていることを特徴とする圧電膜型素
    子。
  3. 【請求項3】請求項記載の圧電膜型素子において、 前記セラミック基板を構成する結晶の平均粒子径が0.
    1〜2μmであることを特徴とする圧電膜型素子。
  4. 【請求項4】セラミック基板と、該セラミック基板の少
    なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設けら
    れた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一体
    的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧電
    作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が積
    層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第2の圧電作動手段とを有し、 前記セラミック基板は、少なくとも1つの空所を有し、 前記空所を外部から仕切る壁部を与えるセラミック基板
    部位が、薄肉のダイヤフラム部として形成され、 前記ダイヤフラム部の外面上に、前記圧電作動層が一体
    的に形成されていることを特徴とする圧電膜型素子。
  5. 【請求項5】請求項記載の圧電膜型素子において、 前記セラミック基板のうち、少なくとも前記ダイヤフラ
    ム部を構成する結晶の平均粒子径が0.1〜2μmであ
    ることを特徴とする圧電膜型素子。
  6. 【請求項6】請求項のいずれか1項に記載の圧電
    膜型素子において、 前記ダイヤフラム部は、その厚みが50μm以下である
    ことを特徴とする圧電膜型素子。
  7. 【請求項7】請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電
    膜型素子において、 前記複数の帯状電極は、その長手方向の両端部において
    それぞれ異なる1つおきの組にて接続されて2つの櫛形
    電極を構成していることを特徴とする圧電膜型素子。
  8. 【請求項8】請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電
    膜型素子において、 前記セラミック基板は、完全安定化もしくは部分安定化
    された酸化ジルコニウムを主成分とする材料から構成さ
    れていることを特徴とする圧電膜型素子。
  9. 【請求項9】請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電
    膜型素子において、 前記圧電層は、その厚みが100μm以下であることを
    特徴とする圧電膜型素子。
  10. 【請求項10】請求項1〜のいずれか1項に記載の圧
    電膜型素子において、 前記圧電作動層は、その厚みが150μm以下であるこ
    とを特徴とする圧電膜型素子。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれか1項に記載の
    圧電膜型素子において、 前記圧電層の厚みをX、前記複数の帯状電極間の距離を
    Yとしたとき、 0.3≦X/Y≦6 を満足することを特徴とする圧電膜型素子。
  12. 【請求項12】セラミック基板と、該セラミック基板の
    少なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設け
    られた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一
    体的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧
    電作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が
    積層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第 2の圧電作動手段とを有し、 前記セラミック基板は、完全安定化もしくは部分安定化
    された酸化ジルコニウムを主成分とする材料から構成さ
    れていることを特徴とする圧電膜型素子。
  13. 【請求項13】セラミック基板と、該セラミック基板の
    少なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設け
    られた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一
    体的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧
    電作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が
    積層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第2の圧電作動手段とを有し、 前記圧電層は、その厚みが100μm以下であることを
    特徴とする圧電膜型素子。
  14. 【請求項14】セラミック基板と、該セラミック基板の
    少なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設け
    られた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一
    体的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧
    電作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が
    積層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第2の圧電作動手段とを有し、 前記圧電作動層は、その厚みが150μm以下であるこ
    とを特徴とする圧電膜型素子。
  15. 【請求項15】セラミック基板と、該セラミック基板の
    少なくとも一方の面上の少なくとも一部分に層状に設け
    られた1つの圧電層と、該圧電層の厚み方向の両側に一
    体的に配された第1及び第2の電極とからなる膜状の圧
    電作動層とを有し、該圧電作動層上に他の圧電作動層が
    積層されていない構造の圧電膜型素子において、 前記第1の電極は、単一の平膜状の電極層にて形成さ
    れ、 前記第2の電極は、少なくともその一部が複数の帯状電
    極にて形成され、 前記第1及び第2の電極と前記圧電層とから構成された
    第1の圧電作動手段と、 前記第2の電極における前記複数の帯状電極と前記圧電
    層とから構成された第2の圧電作動手段とを有し、 前記圧電層の厚みをX、前記複数の帯状電極間の距離を
    Yとしたとき、 0.3≦X/Y≦6 を満足することを特徴とする圧電膜型素子。
JP13401397A 1996-05-27 1997-05-23 圧電膜型素子 Expired - Fee Related JP3482101B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13401397A JP3482101B2 (ja) 1996-05-27 1997-05-23 圧電膜型素子

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13204596 1996-05-27
JP8-132045 1996-05-27
JP11959897 1997-05-09
JP9-119598 1997-05-09
JP13401397A JP3482101B2 (ja) 1996-05-27 1997-05-23 圧電膜型素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1126832A JPH1126832A (ja) 1999-01-29
JP3482101B2 true JP3482101B2 (ja) 2003-12-22

Family

ID=27313861

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13401397A Expired - Fee Related JP3482101B2 (ja) 1996-05-27 1997-05-23 圧電膜型素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3482101B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4257406B2 (ja) * 2002-11-27 2009-04-22 独立行政法人産業技術総合研究所 アクチュエータおよびセンサー
JP2006310746A (ja) 2005-03-30 2006-11-09 Seiko Epson Corp 圧電素子並びに圧電素子を用いた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP4997439B2 (ja) * 2006-02-10 2012-08-08 独立行政法人産業技術総合研究所 圧電素子及びmemsデバイスの製造方法
US7992445B2 (en) 2006-10-02 2011-08-09 Panasonic Electric Works Co., Ltd. Pressure sensor
JP4946763B2 (ja) * 2007-10-01 2012-06-06 ブラザー工業株式会社 屈曲検出装置
WO2011089803A1 (ja) * 2010-01-20 2011-07-28 株式会社村田製作所 圧電発電素子、圧電発電装置及び圧電発電素子の製造方法
JP5326143B2 (ja) * 2010-03-26 2013-10-30 独立行政法人産業技術総合研究所 圧電アクチュエータおよびその製造方法
US9028051B2 (en) 2011-04-05 2015-05-12 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Shear mode physical deformation of piezoelectric mechanism
JP5799640B2 (ja) * 2011-07-29 2015-10-28 株式会社村田製作所 電歪センサ
WO2014141925A1 (ja) * 2013-03-15 2014-09-18 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッドおよびその製造方法と、インクジェットプリンタ
JP6413461B2 (ja) * 2014-08-13 2018-10-31 セイコーエプソン株式会社 圧電駆動装置及びその駆動方法、ロボット及びその駆動方法
CN107670183B (zh) * 2017-11-08 2024-02-20 深圳市普罗医学股份有限公司 一种自聚焦超声换能器

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2842448B2 (ja) * 1989-07-11 1999-01-06 日本碍子株式会社 圧電/電歪膜型アクチュエータ
JP2693291B2 (ja) * 1990-07-26 1997-12-24 日本碍子株式会社 圧電/電歪アクチュエータ
JP3120260B2 (ja) * 1992-12-26 2000-12-25 日本碍子株式会社 圧電/電歪膜型素子
JPH08153915A (ja) * 1994-11-30 1996-06-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd 複合圧電基板とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1126832A (ja) 1999-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5852337A (en) Piezoelectric film-type element
JP3521499B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP2842448B2 (ja) 圧電/電歪膜型アクチュエータ
US6703257B2 (en) Piezoelectric/electrostrictive film type elements and process for producing the same
US7336020B2 (en) Piezoelectric/electrostrictive device and method of manufacturing same
JP3162584B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子及びその製造方法
JP3120260B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP3320596B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子及びその製造方法
JPH08181360A (ja) 圧電/電歪膜型素子及びその製造方法
JPH0412678A (ja) 圧電/電歪膜型アクチュエータの製造方法
JP2693291B2 (ja) 圧電/電歪アクチュエータ
JP3482101B2 (ja) 圧電膜型素子
JP4015820B2 (ja) 配線基板及びその製造方法
JP3126212B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP3009945B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP3999473B2 (ja) 耐久性に優れた一体型圧電/電歪膜型素子およびその製造方法
JPH0851241A (ja) 圧電/電歪膜型素子及びその製造方法
JP3283386B2 (ja) 圧電膜型素子及びその処理方法並びにその駆動方法
JP2004186436A (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP3272004B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP4756013B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP2004140397A (ja) 圧電/電歪膜型素子
JP4562756B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP4842523B2 (ja) 配線基板
US20050035688A1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device and method of manufacturing same

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071010

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081010

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081010

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091010

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101010

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101010

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111010

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121010

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121010

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131010

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees