JP3903638B2 - パタン形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置等の微細加工に用いられるパタン形成方法に係り、特にX線、電子線等の電離放射線のパタン露光によりパタン潜像形成部に酸を生成せしめ、この酸を触媒とする反応によって、照射部と未照射部のアルカリ水溶液に対する溶解性を変化させ、アルカリ水溶液を現像液とする現像工程によりパタンを現出させるパタン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路については高集積化に伴う微細化が進み、使用されるレジストにも高い解像性や感度、良好なパタン形状が要求されるようになってきた。このようなレジストとして、露光により生成した酸の触媒作用により、現像液に対する溶解性を変化させる反応を起こす化学増幅系レジストが注目され、多数の化学増幅系レジスト組成物が提案されている。ポジ型レジストとしては、米国特許第3779778号公報、特開昭59−45439号公報に記載の組成物が知られている。これらの従来例の記載によれば、溶解性を変化させる媒体として、たとえば、酸触媒により脱保護(分離)する保護基(アセタール、t−ブトキシカルボニル基等)を含む化合物または重合体が開示されている。このような媒体を含むレジストは、現像によって、露光部が溶け、未露光部が残り、ポジ型のパタンを現出させることができる。
【0003】
この反応機構においては、酸前駆体から発生する酸の分子サイズおよび酸前駆体のアルカリ現像液に対する溶解阻害効果が感度、解像度を決める要素になっており、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸を酸の種類に持つオニウム塩、アルキルスルホン酸とピロガロールとのエステル、N−ヒドロキシイミドのトリフルオロメタンスルホン酸等が広く用いられている。
【0004】
最近では、半導体集積回路の最小寸法がクォーターミクロン以下となり、集積回路製造の歩留まりを向上させる上で、寸法精度の高いレジストパタンを得ることが重要な課題となっている。現在用いられている化学増幅系ポジ型レジストは、主にアルカリ可溶性高分子からなっている。これらの高分子は様々な分子量を有する分子によって構成されている。分子量の異なる高分子は、現像液に対する溶解性が異なるため、現像後のレジストパタンのエッジに凹凸(ラフネス)形状を生じさせ、これが寸法精度低下の原因になることがわかってきた。これを回避するパタン形成材料として特開平6−266099号公報に記載のように、アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分散度(Mw/Mn)を制御する方法が知られている。これにより、レジストパタンのラフネスをある程度改善することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の分子量特性を制御したアルカリ可溶性樹脂を含むレジストは、アルカリ可溶性の高い低分子量成分の含有量が著しく制限されるために、樹脂全体の溶解速度が低下し、その結果レジスト感度を著しく低下させるという重大な欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、高感度で高解像度のレジストパタンを形成できるパタン形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、レジストパタンのラフネス制御とレジスト感度の向上の両方を満たす新しいパタン形成材料として、アルカリ可溶性のバインダ樹脂とある特定の構造を有するビニルエーテル基を含有する化合物とを酸触媒下で反応させ、バインダ樹脂のカルボキシル基またはフェノール性水酸基とビニルエーテル基との付加によって生じる架橋構造の樹脂に着目した。
【0008】
この架橋構造の形成によって、バインダ樹脂は分子量が増加し、アルカリ水溶液に対する溶解性が低い樹脂に変性される。この樹脂を用いたレジストは、放射線照射で発生する酸の触媒反応によって架橋構造が切断されるため、元のバインダ樹脂を容易に現出させることが可能である。
【0009】
したがって、本発明によれば、従来のレジストのマトリックス樹脂として使用できなかった、アルカリ可溶性に優れた低分子量の樹脂および単分散の樹脂をバインダ樹脂として使用できるため、露光部の溶解性の向上と共に露光部で現出する分子サイズの均一化が得られるという新規な機能を有するポジ型パタン形成材料となることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は(a)カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を含有するバインダ樹脂を1分子中に少なくとも2個以上のビニルエーテル基を含有する化合物と酸触媒付加反応させて得られる樹脂、(b)放射線照射により酸を生じる化合物を少なくとも含むことを特徴とするパタン形成材料およびこの組成を用いたパタン形成方法により達成される。
【0011】
本発明に用いられるカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を含有するバインダ樹脂としては、たとえばフェノール性水酸基を1個以上有するフェノール類にアルデヒド類を用いて重縮合させたノボラック樹脂が挙げられる。すなわち、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールなどのフェノール性水酸基を1個以上有するフェノール類、レゾルシノール、カテコールなどのフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール類、フロログルシン、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン等のフェノール性水酸基を3個以上有するフェノール類が挙げられる。これらのフェノール類は、それぞれ1種類単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
さらに上記のノボラック樹脂は、分別沈殿処理、たとえば、樹脂を良溶媒、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等に溶解し、次いでヘキサン、クロロベンゼン、キシレン、トルエン、ジエチルエーテルなどの貧溶媒に注ぎ込むことによって、低分子量が除かれた樹脂を析出し、得られた析出物をさらに分別処理することにより、所望の分子量、重量平均分子量(Mw)に対する数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn、以下多分散度という)のものを得ることができる。
【0013】
また、ビニルフェノール系重合体、ハロゲン化ビニルフェノール重合体、カルボキシル基含有重合体等のアルカリ可溶性樹脂も用いることができる。
【0014】
上記ビニルフェノール系重合体としては、ビニルフェノールの単独重合体およびビニルフェノールと共重合可能な成分との共重合体が好適である。共重合可能な成分としては、たとえばアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、スチレン誘導体、無水マレイン酸、マレイン酸イミド誘導体、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0015】
上記ハロゲン化ビニルフェノール重合体の例としては、4−ビニル−2−クロロフェノール、4−ビニル−2,6−ジクロロフェノール、4−ビニル−2−ブロモフェノール、4−ビニル−2,6−ジブロモフェノール等のビニルフェノール類を単独または2種類以上組み合わせた重合体が挙げられる。
【0016】
上記カルボキシル基含有重合体としては、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体の単独重合体、2種類以上のカルボキシル基含有単量体による共重合体、または、カルボキシル基含有単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体が好ましい。
【0017】
上記の方法で得られたアルカリ可溶性バインダ樹脂は、重量平均分子量(Mw)が2000〜20000、重量平均分子量(Mw)に対する数平均分子量(Mn)の比(多分散度)が、1.0〜2.0の範囲、好ましくは、1.0〜1.5の範囲がよい。重量平均分子量が2000未満では、現像特性、塗膜の均一性に難点があり、また、重量平均分子量が20000を超えると、解像性が著しく低下する。さらに、多分散度が2.0を超えると、ビニルエーテル基を含有する化合物による架橋化度にばらつきを生じ、本発明の効果が得られない。
【0018】
本発明においてアルカリ可溶性のバインダ樹脂としては特定のポリヒドロキシ化合物を用いることができる。すなわち、ベンゼン環を3つ以上、水酸基を3つ以上有し、かつ1つのベンゼン環に有する水酸基が2つ以下の構造を有するものが好ましい。
【0019】
上記構造の化合物として、たとえば、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α'−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス〔6−〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール〕、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4,4',4'',4'''−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、4,4',4'',4'''−(1,2−エタンジイリデン)テトラキス〔2−メチルフェノール〕、4,6−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ベンゼンジオ−ル、2,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−メチルフェノール、4,4',4'',4'''−(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、C−ウンデシルカリックス〔4〕レゾルシンアレーン、メチルカリックス〔4〕レゾルシンアレーン、および上記フェノール類にヒドロキシベンジル、ヒドロキシアルキルベンジル、ジヒドロキシベンジル、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アシル、アシロキシ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン化アシル、カルボキシル、アルコール、ハロゲン化アルキル等から選ばれる少なくとも1種類の置換基を有する化合物が挙げられる。
【0020】
本発明に用いられるビニルエーテル基を含有する化合物としては、1分子中に少なくとも2個以上のビニルエーテル基を含有する化合物が好ましい。たとえば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノンなどのフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール類、フロログルシン、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン等のフェノール性水酸基を3個以上有するフェノール類、ビスフェノール類、トリスフェノール類、三核体のフェノール類、テトラキスフェノール類のヒドロキシル基の水素原子の一部または全部をエチルビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、ビニルエーテル基から選ばれる少なくとも1種類で置換された化合物が好ましい。
【0021】
さらにシクロアルカン類、ビフェニル類、ナフタレン類、およびアントラセン類でヒドロキシル基またはグリコロイル基を2個以上有する化合物のヒドロキシル基の水素原子の一部または全部をエチルビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、ビニルエーテル基から選ばれる少なくとも1種類で置換された化合物も用いることができる。
【0022】
本発明のビニルエーテル基を含有する化合物の含有量は、アルカリ可溶性バインダ樹脂100重量部に対して、10重量部以上〜100重量部以下であることが望ましい。含有量がこの範囲にあると、放射線に対して十分な感度、ラフネスを抑制した良好なパタン形状を与えることができる。含有量が10重量部より少ないと、本発明の効果が得られず、含有量が100重量部より多いと、感度の低下につながり好ましくない。
【0023】
本発明のレジスト組成物には、たとえば、ストリエーション(塗布ムラ)を防いだり、現像性をよくしたりするための界面活性剤、樹脂の溶解速度を調整するためのビスフェノール類、トリスフェノールアルカン類、三核体のフェノール類、テトラキスフェノール類等の低分子フェノール化合物、酸触媒により脱保護(分離)する保護基(アセタール基、ケタール基、t−ブトキシカルボニル基等)を含む化合物または重合体、レジスト溶液の保存安定剤、酸触媒の非露光部への拡散を抑制するための塩基性化合物、オニウムハライド等のイオン解離性化合物、テトラエチレングリコール等の保湿剤を必要に応じて配合することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の具体的な実施例および比較例について説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲内の好適な特定の条件の下における単なる例示にすぎず、本発明がこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0025】
(ビニルエーテル合成例1)
ビニルエーテル基を含有する化合物の合成例を以下にあげる。ジメチルスルホキシド50ml中にトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン:2.5gを溶解する。これに水素化ナトリウム(50%固形油中)1.8gに10mlのヘキサンを加えて分散媒を溶かし去ったものを注ぎ、25℃で1時間攪拌しながら反応させた。さらに、この反応液に2−クロロエチルビニルエーテル10gを滴下し、70℃で12時間反応させた。反応混合液は水1000ml中に滴下して、生成物を析出させる。生成物を含む水溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテル200mlを加えて抽出した。エーテル溶液は、2NのNaOH水溶液50mlを加えて洗浄し、中性になるまで水洗する。水洗したエーテル溶液は、減圧下濃縮して、生成物を得た。この生成物は、赤外吸収スペクトルおよびNMRスペクトル分析より、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンが有する3つの水酸基の水素原子のすべてがエチルビニルエーテル基で置換していることを確認した。
【0026】
(ビニルエーテル合成例2)
上述のビニルエーテル合成例1のトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンの代わりにフロログルシンを用いて同様の結果を得た。
【0027】
(ビニルエーテル合成例3)
上述のビニルエーテル合成例1のトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンの代わりにビス(p−ヒドロキシフェニル)メタンを用いて同様の結果を得た。
【0028】
(ビニルエーテル合成例4)
上述のビニルエーテル合成例1の2−クロロエチルビニルエーテルの代わりにビニルクロライドを用いて同様の結果を得た。
【0029】
(樹脂合成例1)
アルカリ可溶性バインダ樹脂とビニルエーテル基を含有する化合物とを酸触媒付加反応させて得られる樹脂の合成例を以下にあげる。
【0030】
α,α,α'−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンの4−ヒドロキシベンジル基ヘキサ置換体(4−ヒドロキシベンジル基の4−ヒドロキシフェニル基に置換する位置は2および6位)(分子量:1060)(水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液に対する溶解速度:3μm/秒):2.0gとビニルエーテル合成例1の化合物:1.0gを1,4−ジオキサン50mlに溶解する。これに、ピリジニウムp−トルエンスルホネート:0.01gを加え、25℃で6時間反応させた。その後反応液は、減圧下濃縮して、白色固体を得た。この固体を酢酸エチルに溶解し、分液ロートに移して、2NのNaOH50mlを加えて洗浄し、中性になるまで水洗する。水洗した酢酸エチル溶液は、減圧下濃縮し、ヘキサン中に固体を析出させる。濾過後、真空乾燥して生成物を得た。
【0031】
この生成物は、GPC(示差屈折率検出器使用)により、重量平均分子量(Mw):5100、多分散度:2.5の樹脂であることを確認した。また、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液に対する樹脂の溶解速度は、0.1nm/秒と小さいことが分かった。
【0032】
(樹脂合成例2)
上述の樹脂合成例1のビニルエーテル化合物(ビニルエーテル合成例1):1.0gの代わりに同ビニルエーテル化合物:0.6gを用いて同様の結果を得た。
【0033】
(樹脂合成例3)
上述の樹脂合成例1のビニルエーテル化合物の代わりに1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを用いて同様の結果を得た。
【0034】
(樹脂合成例4)
上述の樹脂合成例1のビニルエーテル化合物の代わりにビニルエーテル合成例2のビニルエーテル化合物を用いて同様の結果を得た。
【0035】
(樹脂合成例5)
上述の樹脂合成例1のビニルエーテル化合物の代わりにビニルエーテル合成例3のビニルエーテル化合物を用いて同様の結果を得た。
【0036】
(樹脂合成例6)
上述の樹脂合成例1のα,α,α'−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンの4−ヒドロキシベンジル基ヘキサ置換体の代わりにポリ(メタクリル酸)(Mw:7000、多分散度:1.07)を用いて同様の結果を得た。
【0037】
(樹脂合成例7)
上述の樹脂合成例1のα,α,α'−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンの4−ヒドロキシベンジル基ヘキサ置換体の代わりにメチルカリックス〔4〕レゾルシンアレーンを用いて同様の結果を得た。
【0038】
(実施例1)
樹脂合成例1の樹脂:100重量部、酸前駆体として、ピロガロールとエタンスルホン酸の三置換体エステル:4重量部を2−ヘプタノンに溶解して、固形分濃度15重量%の溶液を調合した。この溶液を孔径0.2μmのテフロンメンブレムフィルタを用いて濾過し、レジスト溶液を得た。
【0039】
シリコンウェハ上に上述のレジスト液を滴下し、回転塗布後100℃、5分間熱処理して0.35μmの厚さのレジスト膜を得た。この基板に電子線描画装置(電子線の加速電圧は30kV)で、照射量を段階的に変化させて電子線照射後、100℃、2分間熱処理してレジスト膜の潜像部分のアルカリ水溶液に対する溶解性を増加させる反応を促進した。
【0040】
上述の熱処理後、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38重量%を含む水溶液を現像液に用いて30秒間浸漬し、照射部の残留膜厚を測定した。この残留膜厚と電子線照射量の関係から電子線感度特性を求めた。本発明の感度曲線は、7.0μC/cm2の高感度で膜減りもなく、高コントラストを得た(図1)。
【0041】
本発明のレジスト溶液を塗布した基板に電子線描画装置(電子線の加速電圧は50kV)を用いて、11.0μC/cm2の照射量で0.2μmのラインアンドスペースパタンを描画した。100℃、2分間熱処理して潜像部分のアルカリ水溶液に対する溶解性を増加させる反応を促進した。上述の熱処理の後、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38重量%を含む水溶液を現像液に用いて50秒間浸漬し、レジストパタンを得た。本発明のレジストパタンは断面形状が矩形で、パタンエッッジの凹凸が10nm以下と小さいことが分かった。
【0042】
(実施例2)
樹脂合成例1の樹脂の代わりに樹脂合成例3を用いた以外は、実施例1の方法に従った。本実施例においても、上記実施例1と同様の結果を得た。
【0043】
(実施例3)
樹脂合成例1の樹脂の代わりに樹脂合成例4を用いた以外は、実施例1の方法に従った。本実施例においても、上記実施例1と同様の結果を得た。
【0044】
(実施例4)
樹脂合成例1の樹脂の代わりに樹脂合成例5を用いた以外は、実施例1の方法に従った。本実施例においても、上記実施例1と同様の結果を得た。
【0045】
(実施例5)
樹脂合成例1の樹脂の代わりに樹脂合成例6を用いた以外は、実施例1の方法に従った。本実施例においても、上記実施例1と同様の結果を得た。
【0046】
(実施例6)
樹脂合成例1の樹脂の代わりに樹脂合成例7を用いた以外は、実施例1の方法に従った。本実施例においても、上記実施例1と同様の結果を得た。
【0047】
(比較例1):従来例
実施例1において合成例5の樹脂:100重量部の代わりに、m、p−クレゾールノボラック樹脂(Mw:7700、多分散度:4.9)(水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液に対する溶解速度:22nm/秒):85重量部、エトキシエチル基を酸分解性基に持つポリ(p−ビニルフェノール)(エトキシエチル基の導入率80%):15重量部を用いた以外は、実施例1の方法に従って行った。その結果、上記レジストは、3.0μC/cm2の電子線感度を示したが、電子線描画装置によって形成した0.2μmパタンの凹凸が20nm以上と大きいことが分かった。
【0048】
(実施例7)
電子線描画技術(電子線の加速電圧は50kV)を用いてフォトマスクを加工するプロセスに、実施例1のレジスト組成物を適用した実施例を以下に示す。
【0049】
まず、石英基板上にクロム膜と酸化クロム膜の2層構造の遮光膜を付けたフォトマスク用ブランクス(HOYA(株)製)に上述のレジストを滴下、回転塗布後100℃、7分間熱処理して、0.3μmの厚さのレジスト膜を得た。この基板に電子線描画装置(電子線の加速電圧は50kV)を用いて、0.25μmのラインアンドスペースパタンを11.0μC/cm2の照射量で描画した後、100℃、5分間熱処理して潜像部分のアルカリ水溶液に対する溶解性を増加させる反応を促進した。
【0050】
上記の熱処理の後、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38重量%を含む水溶液を現像液に用いて50秒間浸漬し、レジストパタンを得た。本発明のレジストパタンは、断面形状が矩形で、設計寸法通りの0.5μmの線幅であった。次に現像パタンをマスクとして、CH2Cl2とO2の混合ガスで反応性イオンエッチングにより、クロム2層膜のドライエッチングを行った。酢酸メチルセロソルブでレジストを除去し、電子顕微鏡でクロム膜のエッチング形状を確認したところ、垂直な断面形状のパタンが確認された。
【0051】
上記実施例では、潜像形成に電子線を用いた例を示したが、酸前駆体は電子線以外の活性放射線の照射によっても電子線照射と同様に酸を生成するため、本発明において電子線以外にX線などの活性放射線を用いて潜像形成を行っても、上記実施例と同様の結果を得ることができた。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、その他の活性放射線に対して高感度で高解像度に優れたレジストパタンを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるレジストの電子線感度特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1…実施例1のパタン形成材料の感度特性曲線。

Claims (1)

  1. (a)カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を含有し、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.0であるバインダ樹脂を、1分子中に少なくとも2個以上のビニルエーテル基を含有する化合物と酸触媒付加反応させて得られる樹脂と、(b)放射線照射により酸を生じる化合物とを含むレジスト液を基板に塗布し、塗膜を形成する工程と、放射線を用いて前記塗膜に所定のパタン潜像を形成する工程と、アルカリ水溶液を現像液としてパタンを現出させる現像工程とを有するパタン形成方法において、
    上記成分(a)のバインダ樹脂が、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α ' −トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、2,2 ' −メチレンビス〔6−〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール〕、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4,4 ' ,4 '' ,4 ''' −(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、4,4 ' ,4 '' ,4 ''' −(1,2−エタンジイリデン)テトラキス〔2−メチルフェノール〕、4,6−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ベンゼンジオ−ル、2,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−メチルフェノール、4,4 ' ,4 '' ,4 ''' −(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、C−ウンデシルカリックス〔4〕レゾルシンアレーン、メチルカリックス〔4〕レゾルシンアレーン、および上記フェノール類にヒドロキシベンジル、ヒドロキシアルキルベンジル、ジヒドロキシベンジル、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アシル、アシロキシ、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン化アシル、カルボキシル、アルコール、ハロゲン化アルキル等から選ばれる少なくとも1種類の置換基を有するポリヒドロキシ化合物であることを特徴とするパタン形成方法。
JP10371299A 1999-04-12 1999-04-12 パタン形成方法 Expired - Fee Related JP3903638B2 (ja)

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