JP3902619B2 - 光合分波器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信に使用される、光ファイバを用いた光合分波器に関する。
光ファイバを使用した光合分波器は、複数の光を合波又は分波するものであり、合波用に設けられた光合波分波器によって複数の光を合波し、合波された光を光ファイバに伝送することが行なわれている。また、光ファイバを伝送した光を、分波用に設けられた光合分波器によって分波し、分波された光をそれぞれ別の光ファイバに伝送することが行なわれている。
一般的に、光ファイバを使用した光合分波器は、複数の光ファイバと、光を透過及び反射する光フィルタと、レンズを備えて構成されている。1つの光ファイバの端面から出射された光は、発散しないようにレンズにより収束光又は平行光にされて光フィルタに到達し、この光フィルタを透過する透過光と反射する反射光に分けられる。そして、光フィルタで分けられた透過光と反射光はレンズにより収束されて、それぞれ他の光ファイバの端面に入射する。このようにして信号光は分波される。また、これと逆の方向に伝播すれば各光は合波される。
このような光合分波器は、例えば、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送システム等に用いられる。WDM伝送技術は、1本の光ファイバに異なる波長の光信号を複数多重して伝送するため、伝送容量が波長多重分だけ拡大できる。この波長分割多重伝送システムを実現するためには、光合分波器等の光デバイスが必要となる。
しかしながら、上記の光合分波器では、光フィルタで分波された透過光及び反射光をそれぞれに対応した光ファイバに効率よく入射させるには、光学系の調整や光ファイバの光軸を合わせる必要があった。そして、光ファイバや光フィルタ等の部品を支持、固定する筐体が必要となり、光合分波器が大型となってしまい、更に、光合分波器を構成する部品数や光合分波器の組み立ての工程数が多くなるという問題があった。
上記の問題を解決するために、光ファイバの端面に屈折率分布型レンズを装着し、その屈折率分布型レンズの端面で光ファイバフェルールと光フィルタとを一体化することにより、光合分波器の小型化及び組み立ての工程数の削減を行なう方法が知られている(特許文献1)。
また、屈折率分布型光ファイバ(以下、GIファイバと称する。)が先端に装着されたシングルモード光ファイバを誘電体多層膜からなる光フィルタの一方の側に2組配置し、他方の側に1組配置し、各GIファイバの端面を光軸に対して斜めに加工する方法が知られている(特許文献2)。
特開2003−139962号公報(段落[0023]−[0034]、第1図) 特開平11−38262号公報(段落[0013]−[0025]、第1図)
しかしながら、特許文献1に記載されている光合分波器では、屈折率分布型レンズの中心から光ファイバをずらして配置することで、光の透過光と反射光を制御するため、各構成部材(光ファイバおよびそれを支持するフェルール、屈折率分布型レンズ及び光フィルタ)を予め高精度に加工しておく必要があり、更に、これらを正確に構成するための多数の調芯工程が必要で、光合分波器の組み立てに長時間を有するといった問題があった。
また、特許文献2に記載されている光合分波器では、光ファイバへの不要な反射戻り光を十分に抑制することが可能であるが、GIファイバの端面の角度を調整するために、端面を高精度に加工する必要があり、生産性の低下を起こす問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、組み立てが容易で、生産性が高く、安価な部品構成により低価格化が可能な光合分波器を提供することを目的とするものである。
上記目的は、基板と、該基板に形成された溝と、前記基板に形成され、該溝の一方側に前記溝に対して所定の角度をなして形成された直線状の第1の位置決め溝と、前記基板に形成され、前記溝を間にして前記第1の位置決め溝の反対側に、かつ、同一軸上に形成された直線状の第2の位置決め溝と、前記基板に、かつ、前記溝の一方側に形成され、前記溝に近いほど前記第1の位置決め溝との間の距離が短くなるように形成された直線状の第3の位置決め溝と、前記溝内に設けられた、光を合波又は/及び分波する光学素子と、前記第1の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第1のレンズ付き光ファイバと、前記第2の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第2のレンズ付き光ファイバと、前記第3の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第3のレンズ付き光ファイバと、を有することを特徴とする光合分波器によって達成される。
係る光合分波器によると、第1のレンズ付き光ファイバから出射した光は、光学素子に入射し、一部の光は光学素子を透過し、一部の光は光学素子により反射される。光学素子を透過した光は第2のレンズ付き光ファイバに入射し、光学素子により反射された光は第3のレンズ付き光ファイバに入射する。このように、1つの光が2つの光に分けられる。
また、第2のレンズ付き光ファイバから出射した光は、光学素子を透過し、第1のレンズ付き光ファイバに入射する。更に、第3のレンズ付き光ファイバから出射した光は、光学素子により反射されて第1のレンズ付き光ファイバに入射する。このように、2つの光が1つの光となる。
上記本発明の光合分波器であって、前記第1乃至第3のレンズ付き光ファイバの端面は、該端面の法線が前記光学素子と直交するように、前記第1乃至第3のレンズ付き光ファイバの光軸に対して斜めに形成されていることを特徴とする。
係る光合分波器によると、レンズ付き光ファイバから出射した光は、その端面で反射される。しかしながら、端面が光軸に対して斜めに形成されているため、端面で反射される光は、レンズ付き光ファイバの光軸(受光角)に対して斜めに反射されることとなり、レンズ付き光ファイバに結合しにくい構成となっている。
上記本発明の光合分波器であって、前記光学素子は光学素子基板上に薄膜を設けたものであって、前記第1のレンズ付き光ファイバから前記薄膜までの距離をL1、前記薄膜の厚さをL2、前記光学素子基板の厚さをL3、前記光学素子基板から前記第2のレンズ付き光ファイバまでの距離をL4、前記屈折率分布型レンズの軸上屈折率をn0、前記溝内の屈折率をn1、前記薄膜の実効屈折率をn2、前記光学素子基板の屈折率をn3、前記所定の角度をθfとしたときに、前記光学素子基板の厚さL3が、「L3=[(tanθf−tanθ1)(L1+L4)+(tanθf−tanθ2)×L2]/(tanθ3−tanθf)但し、θ1=sin−1{(n0×sinθf)/n1}、θ2=sin−1{(n0×sinθf)/n2}、θ3=sin−1{(n0×sinθf)/n3}」の式を満たすことを特徴とする。
第1又は第2のレンズ付き光ファイバの端面は、光軸に対して所定の角度をなして斜めに傾斜しているため、第1のレンズ付き光ファイバから出射した光は、屈折率がそれぞれ異なる溝部及び光学素子を通過することで、第2のレンズ付き光ファイバに結合する際に光軸ずれが生じてしまう。また、第2のレンズ付き光ファイバから出射し、第1のレンズ付き光ファイバに結合する光についても、同様に光軸ずれが生じてしまう。しかしながら、上記本発明の光合分波器によると、溝内の屈折率と光学素子の屈折率との比率、並びに、光が通過する溝の長さと光学素子の長さとの比率を変えることにより、光軸ずれの補正を行なうことができる。
上記本発明の光合分波器であって、前記第1のレンズ付き光ファイバから射出した光が前記第3のレンズ付き光ファイバに結合するように前記光学素子の傾きを調整する傾き調整用部材をさらに有することを特徴とする。
上記本発明の光合分波器であって、前記傾き調整用部材は、前記溝を跨いで前記光学素子と接触する平板部材を有することを特徴とする。
上記本発明の光合分波器であって、前記平板部材は、前記光学素子との接触領域に接触溝を有していることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器であって、前記溝は、前記光学素子を載置する載置用溝を有することを特徴とする。
上記本発明の光合分波器であって、前記屈折率分布型レンズは、屈折率分布型光ファイバであることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器であって、前記光学素子は、光フィルタ又はミラーであることを特徴とする。
また、上記目的は、基板を削ることにより、2本の直線状の位置決め溝を、それらが所定の角度をなして交差するように前記基板に形成する位置決め溝形成ステップと、前記2本の直線状の位置決め溝が交差している部分に、前記位置決め溝を横断する溝を形成する溝形成ステップと、先端に屈折率分布型レンズが形成されたレンズ付き光ファイバを、該レンズ付き光ファイバの端面が前記溝と面するように、前記位置決め溝に配置する光ファイバ配置ステップと、前記溝内にブロックを配置し、前記レンズ付き光ファイバの先端を該ブロックに突き当てた状態で固定するステップと、接着固定された前記レンズ付き光ファイバの先端を削るステップと、前記レンズ付き光ファイバの間の溝に、光学素子を装着するステップと、を有することを特徴とする光合分波器の製造方法によって達成される。
また、上記目的は、基板を削ることにより、2本の直線状の位置決め溝を、それらが所定の角度をなすように前記基板に形成する位置決め溝形成ステップと、一方の位置決め溝に第1の屈折率分布型レンズの両端に光ファイバが装着されたレンズ付き光ファイバを配置し、他方の位置決め溝に第2の屈折率分布型レンズに光ファイバが装着された別のレンズ付き光ファイバを配置、固定する光ファイバ固定ステップと、前記第1の屈折率分布型レンズの中間部、前記第2の屈折率分布型レンズの先端及び前記基板を削ることにより、前記位置決め溝を横断する溝を形成し、更に、前記溝内に別の溝を形成する溝形成ステップと、前記別の溝に、光学素子を装着するステップと、を有することを特徴とする光合分波器の製造方法によって達成される。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、前記光学素子を装着するステップの後に、前記光学素子を前記溝の幅方向に移動させることにより、所定のレンズ付き光ファイバから出射し、前記光学素子で反射され、別のレンズ付き光ファイバに結合する光の光路を調整するステップを有することを特徴とする。
係る製造方法によると、光学素子を溝の幅方向に平行に移動して位置合わせを行なうことにより、第1のレンズ付き光ファイバから出射して光学素子により反射され、第3のレンズ付き光ファイバに結合する光の光路を調整することができる。また、第3のレンズ付き光ファイバから出射し、第1のレンズ付き光ファイバに結合する光についても、同様に光軸ずれの調整を行なう。尚、光学素子を溝の幅方向に移動した場合であっても、溝内の屈折率と光学素子の屈折率との比率、並びに、光が通過する溝の長さと光学素子の長さとの比率が変化しないため、第1のレンズ付き光ファイバと第2のレンズ付き光ファイバとの間で光軸ずれは生じない。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、前記溝の内部に充填される物質の屈折率を変えることにより、所定のレンズ付き光ファイバから出射し、別のレンズ付き光ファイバに結合する光の光路を調整するステップを有することを特徴とする。
また、上記目的は、基板上に溝を形成する溝形成ステップと、前記溝に対して所定の角度を有する直線状の第1の位置決め溝と、前記溝を介して前記第1の位置決め溝の同一軸上に位置する直線状の第2の位置決め溝と、前記溝が延伸する方向に平行に見て、前記溝に近づくほど前記第1の位置決め溝との間隙が短くなる直線状の第3の位置決め溝とを前記基板上に形成する位置決め溝形成ステップと、端部に屈折率分布型レンズを有する第1乃至第3のレンズ付き光ファイバを前記屈折率分布型レンズが前記溝に露出するように、前記第1乃至第3の位置決め溝にそれぞれ配置して固定する光ファイバ固定ステップと、前記溝に光学素子を載置する光学素子載置ステップと、前記第1のレンズ付き光ファイバから射出した光が前記第3のレンズ付き光ファイバに結合するように前記光学素子の傾きを調整するステップとを有すること特徴とする光合分波器の製造方法によって達成される。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、平板部材を有する傾き調整用部材を前記溝に被せ、前記平板部材を前記溝中の前記光学素子に接触させながらずらして、前記光学素子を傾けることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、前記溝を横切る方向に前記平板部材をずらして、前記第1及び第3のレンズ付き光ファイバを含む平面に対して前記光学素子を傾けることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、前記平板部材を回転させてずらし、前記第1及び第3のレンズ付き光ファイバを含む平面にほぼ直交する軸回りに前記光学素子を回転させることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、前記屈折率分布型レンズは、屈折率分布光ファイバであることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器の製造方法であって、前記光学素子は光フィルタ又はミラーであることを特徴とする。
上記本発明の光合分波器によれば、基板に位置決め溝を形成することにより、レンズ付き光ファイバを位置及び角度に関して高精度に実装することが可能となる。更に、光学素子の厚さを調整することにより、レンズ付き光ファイバを調芯することなく、同一軸上に配置された2つレンズ付き光ファイバの光軸を高精度に一致させることが可能となるため、光結合の際の損失を小さくすることが可能となる。また、レンズ付き光ファイバの調芯を必要としないため、光合分波器の組み立て時間を短縮することができ、生産性を向上させることが可能となる。
また、上記本発明の光合分波器によれば、レンズ付き光ファイバの端面を光軸に対して斜めに形成することにより、レンズ付き光ファイバから出射した光の端面での反射戻り光を抑制することが可能となり、損失を少なくすることが可能となる。
更に、上記本発明の光合分波器によれば、光学素子基板の厚さが本発明の条件を満たすとき、レンズ付き光ファイバを調芯することなく、同一軸上に配置された2つのレンズ付き光ファイバの光軸を高精度に一致させることが可能となるため、光結合の際の損失を小さくすることが可能となる。すなわち、溝内の屈折率が異なる個々の物質により屈折されて生じた光軸ずれを全体として相殺し、光軸ずれを低減することができる。また、レンズ付き光ファイバの調芯を必要としないため、光合分波器の組み立て時間を短縮することができ、生産性を向上させることが可能となる。
またさらに、上記本発明の光合分波器によれば、傾き調整用部材を用いて光学素子の角度を調整することにより、第1及び第3のレンズ付き光ファイバの光軸と、光学素子からの反射光の光路とのずれを調整できる。これにより、第1のレンズ付き光ファイバから射出されて光学素子で反射した反射光は第3のレンズ付き光ファイバに良好に結合することができる。
また、上記本発明の光合分波器の製造方法によれば、基板に溝を形成するときに、レンズ付き光ファイバの先端部も一緒に加工することにより、少ない工程数で光合分波器を製造することが可能となるので、高効率で端面を加工することができる。また、レンズ付き光ファイバの長さを溝形成時に制御することができるので、再現性の高い光学系を有する光合分波器を製造することができる。
また、上記本発明の光合分波器の製造方法によれば、光学素子の位置を溝の幅方向に沿って移動させることにより、レンズ付き光ファイバの調芯を必要とせず、1回の工程で、光学素子によって反射される光の光路のずれを低減させることが可能となる。その結果、光合分波器の組み立て時間を短縮することが可能となる。
また、上記本発明の光合分波器の製造方法によると、溝内に充填される物質を変えて溝内の屈折率を変えることにより、レンズ付き光ファイバの調芯を必要とせず、光の光路のずれを低減させることが可能となる。その結果、光合分波器の組み立て時間を短縮することが可能となる。
また、上記本発明の光合分波器の製造方法によれば、傾き調整用部材31を用いて光学素子の角度調整ができるので、溝内に光学素子が傾いて配置されたり、第1のレンズ付き光ファイバの光軸の偏心により出射光の出射角の角度ずれが生じたりしても、第1のレンズ付き光ファイバからの出射光の光学素子への入射角を調整できる。これにより、第1のレンズ付き光ファイバから射出されて光学素子で反射した反射光を第3のレンズ付き光ファイバに良好に結合させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る光合分波器及び光合分波器の製造方法について、図1乃至図7を参照しつつ説明する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施形態について図1乃至図5を参照しつつ説明する。
(構成)
本発明の第1の実施形態の光合分波器の構成について図1乃至図4を参照しつつ説明する。図1は、第1の実施形態に係る光合分波器の概略構成を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態の光合分波器に用いられる基板のV字溝を示す基板の断面図である。図3は、第1の実施形態に係る光合分波器の側面図である。図4は、第1の実施形態に係る光合分波器の溝付近を拡大した上面図である。
本実施形態に係る光合分波器1は、図1に示すように、断面がV字型の複数のV字溝4が形成された基板2と、V字溝4に密着して配置されているレンズ付き光ファイバ5、6及び7と、レンズ付き光ファイバ5、6及び7を基板2の上から固定する光ファイバ固定板8と、V字溝4を横断するように形成された溝3とからなる。更に、溝3に設置され、取り外し可能な光学素子基板9bと、光学素子基板9bを固定する光学素子基板固定板10とからなる。
レンズ付き光ファイバ5〜7は、それぞれシングルモード光ファイバ5a、6a及び7aの先端に、分布屈折率型レンズとしてのGIファイバ5b、6b及び7bが融着により固定されている。
また、GIファイバ5b〜7bは、光軸の径方向に屈折率分布を有する屈折率分布型の光ファイバであり、このGIファイバの径方向の屈折率分布は、次の式(1)で表される。
n(r)=n0(1−(A/2)r) ・・・(1)
但し、rを中心軸からの径方向半径、n0を軸上屈折率とする。A1/2は屈折率分布定数であり、屈折率が2乗分布の場合、A1/2=(2Δ)1/2/rとなる。ここで、比屈折率差Δ={n(0)―n(r)}/{2n(0)}となる。
このGIファイバは、シングルモード光ファイバから出射する発散光線束を平行光線束又は収束光線束に変換し、又は光ファイバに入射する平行光線束を収束光線束に変換させる機能を有する。
また、基板2、光ファイバ固定板8及び光学素子基板固定板10はテンパックスガラスからなる。光学素子基板9bの表面(レンズ付き光ファイバ5、7に面する表面)には誘電体多層膜からなる薄膜9a(図示しない)が設けられている。この光学素子基板9bには例えばBK7が用いられている。尚、光学素子基板9bと薄膜9aとをあわせたものが本発明の「光学素子」としての「光フィルタ」9に相当する。
図2に、基板2に形成されたV字溝4の断面形状を示す。同図に示すように、V字溝4の頂点の角度は約60°となっている。このV字溝4にレンズ付き光ファイバ5〜7が密接して配置されており、レンズ付き光ファイバ5〜7を保持するために光ファイバ固定板8(図示しない)がレンズ付き光ファイバ5〜7の上に配置されている。
図3に、光合分波器1の側面図を示す。溝3には光学素子基板9bが設置されており、光学素子基板9bは光学素子基板固定板10によって固定されている。光学素子基板9bの厚さは溝3の幅よりも薄いため、光学素子基板固定板10を溝3の幅方向(図3におけるX方向)に移動させることが可能となっている。
図4は、光合分波器1の溝3付近を拡大した基板の上面図である。同図に示すように、溝3の内部に溝3と平行して光学素子基板9bが設置されている。また、光学素子基板9bの一方の側にレンズ付き光ファイバ5、7が配置され、他方の側にレンズ付き光ファイバ6が配置されている。これらレンズ付き光ファイバ5〜7は、その先端部の位置が溝3の端部の位置と一致するように配置されている。更に、レンズ付き光ファイバ6は、溝3(光学素子基板9b)を間にしてレンズ付き光ファイバ5と同一軸上に設けられおり、レンズ付き光ファイバ7は、溝3(光学素子基板9b)に垂直な方向を対称軸としてレンズ付き光ファイバ5と線対称の位置に設けられている。
また、レンズ付き光ファイバ5〜7は、レンズ付き光ファイバ5〜7の光軸と溝3(光学素子基板9b)に垂直な方向との角度がθとなるように配置されている。更に、レンズ付き光ファイバ5〜7の先端部は、その端面の法線が溝3(光学素子基板9b)と直交するように斜めに形成されている。従って、先端部は、その端面の法線がレンズ付き光ファイバ5〜7の光軸に対して角度θをなして傾斜している。
更に、光学素子基板9bの表面(レンズ付き光ファイバ5、7と面する表面)には、誘電体多層膜からなる薄膜9aが設けられている。尚、薄膜9aは、レンズ付き光ファイバ5、7と面する表面ではなく、その反対側の面(レンズ付き光ファイバ6と面する表面)に設けられていてもよい。
ここで、薄膜9aの膜厚をL2、光学素子基板9bの厚さをL3、レンズ付き光ファイバ5、7から薄膜9aまでの距離をL1、光学素子基板9bからレンズ付き光ファイバ6までの距離をL4とする。従って、溝3の幅はL1+L2+L3+L4となる。また、レンズ付き光ファイバ5、7と薄膜9aとの間に充填されている材料の屈折率をn1、薄膜9aの実効屈折率をn2、光学素子基板9bの屈折率をn3、光学素子基板9bの端部からレンズ付き光ファイバ6との間に充填されている材料の屈折率をn4、レンズ付き光ファイバ5〜7の軸上屈折率をn0とする。尚、本実施形態においては、n1=n4となる。
尚、薄膜9aは、屈折率が異なる誘電体膜が積層されてなる誘電体多層膜であるため、多層膜全体の屈折率を示すものとして、薄膜9aの屈折率を実効屈折率n2とした。
更に、GIファイバ5bから出射した光のビームウエストの位置(スポットサイズが最も小さくなる位置)に薄膜9aが配置されるように、光学素子基板9bを設置する。ここで、GIファイバの端面からビームウエストまでの大気中(屈折率=1)における距離を「d」とする。dはGIファイバの屈折率と長さに依存する。GIファイバの屈折率と長さが同じ場合、各レンズ付き光ファイバは同じ光学特性を有する。そして、大気中(屈折率=1)において、2つの光ファイバ間の光学的距離da(以下、光ファイバ結合間距離と称する。)がda=2×(距離d)の関係を満たすと、一方のレンズ付き光ファイバから出射した光が、他方のレンズ付き光ファイバに入射するときの結合損失が最も小さくなる。
(作用)
以上のような構成をなしている光合分波器1によると、以下のような好適な作用を奏することが可能となる。尚、本実施形態においては、光合分波器1を分波器として使用した場合について説明する。
例えば、レンズ付き光ファイバ5を出射光線束用の光ファイバとし、レンズ付き光ファイバ6を透過光線束用の光ファイバとし、レンズ付き光ファイバ7を反射光線用光ファイバとして使用する。
以上のような構成において、レンズ付き光ファイバ5の端面が斜めに加工されているため、レンズ付き光ファイバ5から出射した出射光は屈折して、誘電体多層膜からなる薄膜9aに入射する。尚、レンズ付き光ファイバ5の端面から出射する際の角度をθ1とし、薄膜9aにはθ1の角度をなして入射する。また、図4に示すように、この間の光路長をd1とし、薄膜9aを伝搬する際の角度をθ2とする。
尚、レンズ付き光ファイバ5の端面が斜めに加工されているため、レンズ付き光ファイバ5の端面で反射された光は、レンズ付き光ファイバ5に戻ることはない。従って、反射戻り光を抑制することが可能となる。
そして、ある波長を有する光は薄膜9aを透過し、別の波長を有する光は薄膜9aによって反射される。透過光の薄膜9a内の光路長をd2とする。薄膜9aを透過した透過光は、更に光学素子基板9bを透過した後、レンズ付き光ファイバ5と同一軸上に配置されているレンズ付き光ファイバ6に入射する。薄膜9aから光学素子基板9bに入射するときは、角度θ2で入射する。また、光学素子基板9b内の光路長をd3とし、光学素子基板9bを伝搬する際の角度をθ3とする。光学素子基板9bからレンズ付き光ファイバ6までの光路長をd4とし、レンズ付き光ファイバ6に入射する際の角度をθ4とする。
このように、レンズ付き光ファイバ5から出射した出射光は薄膜9aで透過光と反射光に分波され、透過光はレンズ付き光ファイバ6に入射し、反射光はレンズ付き光ファイバ7に入射する。このとき、透過光はレンズ付き光ファイバ6の光軸からずれてしまい、反射光はレンズ付き光ファイバ7の光軸からずれてしまい、結合損失が生じてしまう場合がある。
このときの、レンズ付き光ファイバ5とレンズ付き光ファイバ6との間の光学的距離、つまり光ファイバ結合間距離daは、da=d1/n1+d2/n2+d3/n3+d4/n4となる。従って、この光ファイバ結合間距離daがda=2×(距離d)なる関係を満たす場合、結合損失が最も小さくなる。本実施形態においては、レンズ付き光ファイバ5から出射した光のスポットサイズが最も小さくなる位置に薄膜9aを配置している。従って、d1=(距離d)×n1となる位置に薄膜9aが配置されるように、光学素子基板9bを設置した。
そして、光学素子基板9bの厚さL3が以下の式を満たすとき、da=d1/n1+d2/n2+d3/n3+d4/n4=2×(距離d)となり、透過光のレンズ付き光ファイバ6の光軸からのずれを補正することができ、結合損失が最も小さくなる。
条件:
「L3=[(tanθf−tanθ1)(L1+L4)+(tanθf−tanθ2)×L2]/(tanθ3−tanθf)
但し、θ1=sin−1{(n0×sinθf)/n1}、θ2=sin−1{(n0×sinθf)/n2}、θ3=sin−1{(n0×sinθf)/n3}」
L1等の値を任意に決定し、そのとき上記条件を満たすようにL3を選ぶと、光軸からのずれが「0」となる。
ここで、光学素子基板9bの厚さL3の導出方法について説明する。図1に示すように、光合分波器1は基板2平面上にレンズ付き光ファイバ5、6、7を実装するV字溝4が形成されているので、レンズ付き光ファイバ5、6、7の光軸中心は全て同一平面内(Z軸座標が同一)に含まれる。
レンズ付き光ファイバ5、6、7は、シングルモード光ファイバ5a、6a、7a先端部に同一径のGIファイバ5b、6b、7bがそれぞれ配置された構成を有している。シングルモード光ファイバ5a、6a、7a先端部には、屈折率分布型レンズが配置されていればよく、GIファイバ5b、6b、7bに代えて、例えばGRINレンズでもよい。GIファイバ5b、6b、7bの屈折率分布は、軸中心の屈折率が最大となり外側に向かうに従い、屈折率が減少する構成(二乗分布)となっている。レンズ付き光ファイバ5、6、7は、シングルモード光ファイバ5a、6a、7a中心とGIファイバ5b、6b、7b中心がそれぞれ一致して配置されているので、GIファイバ5b、6b、7b入出射端の光軸中心もシングルモード光ファイバ5a、6a、7aの光軸中心と一致する。
レンズ付き光ファイバ5、6、7出射端面は、V字溝4に対して所定の角度を有する溝3側面と同一面となっている。また、溝3側面の深さ方向(Z軸方向)は、V字溝4が形成された基板2平面にほぼ垂直に形成されており、レンズ付き光ファイバ5出射端から溝3の空間に出射する光線の屈折する角度(出射角度)は、V字溝4と溝3とが成す角度及び溝3空間の屈折率により変化する。光合分波器1は製造誤差、加工誤差及び素子実装誤差により、Z軸に対してY軸回りに角度を有する場合があるが、可能な限りY軸回りの当該角度が少ない構成となる工法を採用している。従って、当該光線はレンズ付き光ファイバ5の光軸に対して垂直方向(Z軸方向)にはほとんど屈折せず、光線方向(X軸)に対してY軸方向に屈折することとなる。このため、光合分波器1の構成によれば、屈折した出射光線と、各レンズ付き光ファイバ5、6、7光軸中心は全て同一平面上(2次元)に存在することとなる。
次に、図4を参照しつつ、このような構成の光合分波器1における光学素子基板9bの厚さL3を導出する。レンズ付光ファイバ5の光入出射位置での光軸中心座標を(X、Y)=(0,0)とし、第2のレンズ付光ファイバ6の光入出射位置での光軸中心座標を(X、Y)=(La、Ya)とする。第2のレンズ付光ファイバ6の光入出射位置Yaは、レンズ付き光ファイバ5、6の光軸と溝3(光学素子基板9b)に垂直な方向との角度θfを用いると、tanθf=Ya/Laであるので、
Ya=tanθf×La ・・・(2)
となる。
ここで、レンズ付き光ファイバ5から出射した光線の中心が(X、Y)=(La、Ya)の位置に到達している状態を光軸ずれのない状態と呼ぶ。また、溝3と薄膜9aとの屈折率境界面、薄膜9aと光学素子基板9bとの屈折率境界面及び光学素子基板9bと溝3との屈折率境界面は、レンズ付き光ファイバ5が露出する溝3側面に対して平行とする。光軸ずれのない状態での第2のレンズ付光ファイバ6の光入出射位置Laは、
La=L1+L2+L3+L4 ・・・(3)
となる。式(3)を式(2)に代入すると、
Ya=tanθf(L1+L2+L3+L4)
=(tanθ1×L1)+(tanθ2×L2)+(tanθ3×L3)+(tanθ4×L4) ・・・(4)
となる。
上記条件式の但し書きに記載された、レンズ付き光ファイバ5端面から出射する際の光の角度θ1、薄膜9aを伝搬する際の光の角度θ2、光学素子基板9bを伝搬する際の光の角度θ3及びレンズ付き光ファイバ6に入射する際の光の角度θ4は、スネルの法則より、以下の式(5)〜式(8)のように表すことができる。
θ1=sin−1{(n0×sinθf)/n1} ・・・(5)
θ2=sin−1{(n0×sinθf)/n2} ・・・(6)
θ3=sin−1{(n0×sinθf)/n3} ・・・(7)
θ4=sin−1{(n0×sinθf)/n4} ・・・(8)
また、式(4)は以下のように書き換えることができる。
{tanθf(L1+L2+L3+L4)}−{(tanθ1×L1)+(tanθ2×L2)+(tanθ3×L3)+(tanθ4×L4)}=0 ・・・(9)
式(9)をL1、L2、L3及びL4について整理すると以下のようになる。
(tanθf−tanθ1)L1+(tanθf−tanθ2)L2+(tanθf−tanθ3)L3+(tanθf−tanθ4)L4=0 ・・・(10)
本実施の形態による光合分波器1は光学素子基板9bの厚さL3を調整することにより、光フィルタ9での透過光及び反射光の光路と、レンズ付き光ファイバ5、6、7の光軸とのずれを補正することができる。
ここで、光学素子基板9bの厚さL3を求める。式(10)より、−(tanθf−tanθ3)L3=(tanθf−tanθ1)L1+(tanθf−tanθ2)L2+(tanθf−tanθ4)L4であるので、
L3={(tanθf−tanθ1)L1+(tanθf−tanθ2)L2+(tanθf−tanθ4)L4}/(tanθ3−tanθf) ・・・(11)
となる。
本実施形態の実施例1による光合分波器1及びその製造方法において、後程説明するように、薄膜9aの位置を溝3の幅方向(X軸方向)に移動することにより、反射側(レンズ付き光ファイバ7)の光軸調整を行う場合がある。光フィルタ9をX軸方向に移動して光軸調整することにより、溝3の空間領域の距離L1と距離L4の長さの比率が変わる。光学素子基板9bの厚さL3は予め所定の厚さに加工して用いるために、光フィルタ9を移動して反射光を調整すると、式(11)を満たさないことがある。
そこで、溝3内を同一物質で充填し、レンズ付き光ファイバ5が露出する溝3側面から薄膜9aまでの溝空間領域(距離L1)の屈折率n1と、光学素子基板9bからレンズ付き光ファイバ6が露出する溝3までの溝空間領域(距離L4)の屈折率n4とを同一にする。この場合、距離L1、L4の空間比率が変わっても、距離L1、L4を合わせた領域幅は変わらないので、光フィルタ9をX軸方向に移動しても式(11)を満たすことになる。この場合、n1=n4及びθ1=θ4となる。
そこで、θ1=θ4を式(11)に代入すると、
L3=[(tanθf−tanθ1)(L1+L4)+(tanθf−tanθ2)×L2]/(tanθ3−tanθf)
となり、上記条件式に示す光学素子基板9bの厚さL3を導出することができる。
光合分波器1は、光フィルタ9の薄膜9aの位置を溝3内に高精度に配置するにより、予め距離L1、L4の領域幅をほぼ一定にすることができ、距離L1、L4の各領域が同一物質で充填されていない(屈折率が異なる)場合にも、適用可能である。
また、レンズ付き光ファイバ5からの出射光の反射位置に薄膜9a層があれば、レンズ付き光ファイバ7に光線を結合することができる。このため、光フィルタ9を溝3内に配置する際の薄膜9a及び光学素子基板9bの向きについては、図1及び図4に示すように、レンズ付き光ファイバ5から出射した光線が距離L1の領域を通過して薄膜9aで反射する構成の他に、距離L1の領域及び光学素子基板9bを通過して、薄膜9aで反射する構成(図1及び図4に示す光合分波器1とは、レンズ付き光ファイバ5光入射出端面に対して光フィルタ9の薄膜9aと光学素子基板9bの配置位置が逆向き)であっても、光合分波器1の構成を満たす。
(実施例1)
ここで、一実施例について具体的に説明する。尚、本実施例においては、シングルモード光ファイバ5a〜7aには、クラッド径が125[μm]で、モードフィールド径が約9[μm]の石英系の光ファイバを用いている。そして、外径が125[μm]、コア径が105[μm]、軸上屈折率n0が1.45、比屈折率差Δが0.85%、長さが800[μm]のGIファイバ5b〜7bが、同一の外径を有するシングルモード光ファイバ5a〜7aに設けられたレンズ付き光ファイバ5〜7を用いている。尚、このときの距離dは空気中で約548[μm]となる。
例えば、レンズ付き光ファイバの軸上屈折率をn0=1.45とし、シリコン樹脂を使用することによりn1=n4=1.41とし、光学素子基板9bの屈折率をn3=1.5とし、薄膜9aの実効屈折率をn2=1.6とする。また、L1=758[μm]、L2=10[μm]、L4=94[μm]とする。また、レンズ付き光ファイバ5〜7の端面の角度θ=13.6°とすることにより、レンズ付き光ファイバ5と7との間の角を27.2°とした。また、端面の角度θ=13.6°とすると、シリコン樹脂空間の屈折角度θ1=θ4=13.99°、薄膜9aの屈折角度θ2=12.30°、光学素子基板9bの屈折角度θ3=13.14°となる。
また、薄膜9aには、光の入射角度が約14°のときに、1300〜1500[nm]の波長を有する光を透過し、1540〜1620[nm]の波長を有する光を阻止する特性を有する誘電体多層膜を使用した。
L1等の値を上記のように設定すると、上記L3の式によりL3=700[μm]となる。従って、光学素子基板9bの厚さを約700[μm]とすると、透過光の光軸からのずれはほぼ0[μm]となる。つまり、この状態でレンズ付き光ファイバ6の光軸からのずれがなくなり、レンズ付き光ファイバ6の端面における結合損失を少なくすることが可能となる。
尚、本実施形態においては、波長が1300〜1500[nm]の領域の光は薄膜9aを透過し、更に光学素子基板9bを透過した後、レンズ付き光ファイバ6に入射する。一方、波長が1540〜1620[nm]の領域の光は薄膜9aにより反射され、レンズ付き光ファイバ7に入射する。このようにして、1つの光を複数の光に分波する。
このとき、光学素子基板9bを溝3の幅方向に移動することで、薄膜9aで反射された反射光のうち、レンズ付き光ファイバ7に入射する光の光量を調整することが可能となる。そして、レンズ付き光ファイバ7に入射する反射光の光量が最大になるのは、レンズ付き光ファイバ5から出射した光のビームウエストの位置が、薄膜9aの位置と一致するとともに、レンズ付き光ファイバ5の光軸とレンズ付き光ファイバ7の光軸とが一致するときである。また、GIファイバ5b、7bは、レンズ付き光ファイバ5の光軸とレンズ付き光ファイバ7の光軸とが一致するように薄膜9aの位置を調整したときに、ビームウエストが薄膜9aの位置に来るように設計してある。従って、上記条件を満たすようにL3を選ぶと、薄膜9aの位置を調整するだけで、透過光及び反射光の最適化が可能となる。
(実施例2)
次に、他の実施例について具体的に説明する。本実施例においては、分布屈折率型のレンズとして、GIファイバの代わりに、先端からビームウエストまでの距離が空気中(屈折率=1)において4658[μm]となるロッドレンズを使用した。シングルモード光ファイバ5a〜5cに外径φ1.0[mm]のキャピラリーを接着し、研磨を行い、先端に外径がφ1.0[mm]のロッドレンズを固定して、V字溝4に配置した。このロッドレンズの屈折率分布定数はA1/2=0.596であり、最終的なレンズ長は3[mm]となるように構成した。
そして、レンズ付き光ファイバの軸上屈折率をn0=1.59とし、エポキシ樹脂を使用することによりn1=n4=1.62とし、光学素子基板9bにセラミックスガラス基板を使用することにより屈折率をn3=1.53とし、薄膜9aの実効屈折率をn2=1.6とする。また、L1=7343[μm]、L2=10[μm]、L4=2445[μm]とする。
L1等の値を上記のように設定すると、上記L3の式によりL3=4600[μm]となる。従って、光学素子基板9bの厚さを4600[μm]とすると、透過光の光軸からのずれはほぼ0[μm]となる。つまり、この状態でレンズ付き光ファイバ6の光軸からのずれがなくなり、レンズ付き光ファイバ6の端面における結合損失を少なくすることが可能となる。
尚、この第2の実施例において、光軸からの軸ずれ量は、以下の式(12)で表される。
軸ずれ量≒0.015×ΔL3 ・・・(12)
ここで、ΔL3は、光軸のずれが「0」となるL3からのずれ量である。
以上のように、光学素子基板9bの厚さL3を調整することで、薄膜9aを透過した透過光についてはレンズ付き光ファイバを調芯しなくても、光軸ずれが少ない状態で透過光線束用のレンズ付き光ファイバ6に入射させることが可能となる。一方、薄膜9aによって反射された反射光については、光学素子基板9bを溝3の幅方向(X方向)に移動させることにより、光軸ずれがない少ない状態で反射光線用のレンズ付き光ファイバ7に入射させることが可能となる。従って、L3の厚さと薄膜9aの位置を調整するだけで、透過光及び反射光の最適化が可能となる。
また、本実施形態では光合分波器1を光分波器として用いたが、光合波器として使用することもできる。その場合には、レンズ付き光ファイバ6、7を出射光線束用の光ファイバとして使用する。そして、レンズ付き光ファイバ6から出射した光(波長が1300〜1500nm)は、薄膜9aを透過してレンズ付き光ファイバ5に入射する。一方、レンズ付き光ファイバ7を出射した光(波長が1540〜1620nm)は、薄膜9aで反射されてレンズ付き光ファイバ5に入射する。このようにして、異なる波長を有する2つの光を1つの光に合波する。
尚、本実施形態では、薄膜9aに誘電体多層膜を使用して、多波長の光を分波したが、本発明はそれに限られない。例えば、誘電体多層膜の代わりにミラーやビームスプリッタ等を使用して、1つの光を複数の光に分けてもよい。更に、石英系のシングルモード光ファイバ5a〜7aの代わりに、プラスチック等からなるマルチモード光ファイバを使用してもよい。
(製法)
次に、第1の実施形態に係る光合分波器1の製造方法について、図5を参照しつつ説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の製造方法を示す図である。
まず、図5(a)の上面図に示すように、例えば、幅が約10[mm]、長さが約38[mm]の長方形の基板2を用意する。そして、基板2の中心付近に、長さ約19[mm]にわたって断面がV字型の2本のV字溝4を形成する。これら2本のV字溝4は、約27.2°の角度をなして交わっている。また、V字溝4の深さは約0.18[mm]で、表面における幅は約0.21[mm]で、頂点の角度は約60°となっている。
次に、図5(b)の上面図に示すように、2本のV字溝4が交差している部分を中心として位置合わせを行い、スライサーにより基板2の所望の位置を削ることにより、幅が約1.3[mm]、深さが約0.25[mm]の溝3aを形成する。この工程により、2本のV字溝4は溝3aによって分断され、4本のV字溝4が形成されることとなる。
次に、予めシングルモード光ファイバの先端部にGIファイバを融着して所定の長さに切断加工したレンズ付き光ファイバ5〜7を、図5(c)の上面図に示すように、GIファイバの端面が溝3aに面するようにV字溝4に装着する。
そして、図5(d)の断面図に示すような断面形状がL字型のL字型基板11(2つの平面部材が直交してなる基板)を用意し、図5(e)の断面図に示すように、L字型基板11の先端部11aが溝3aに当てはるように、レンズ付き光ファイバ5〜7の上にL字型基板11を押し当てる。その状態でレンズ付き光ファイバ5〜7の先端をL字型基板11の先端部11aの側面に突き当てる(図5(e)において矢印の方向にレンズ付き光ファイバ5〜7を押す)。その結果、レンズ付き光ファイバ5〜7の先端と溝3aの端部との位置が一致する。その後、レンズ付き光ファイバ5〜7やL字型基板11等を接着固定する。このように、L字型基板11をレンズ付き光ファイバ5〜7の上から押し付けることにより、レンズ付き光ファイバ5〜7を固定する。尚、L字型基板11が本発明の「ブロック」に相当する。
また、上記の位置合わせ及び接着工程は、図5(i)に示すように、溝3aにスペーサ等の部材12を挿入し、レンズ付き光ファイバ5〜7の先端をスペーサ等の部材12に突き当て、ガラス等の平板を上から押し当てて装着することも可能である。尚、スペーサ等の部材12の材質は特に限定されないが、平板と一緒に部材12を装着する場合は、基板2と同じ材質か加工性のよいものが好ましい。また、位置を合わせ、接着した後に、スペーサ等の部材12を取り外すことができれば、加工性がよいものである必要はない。
更に、図5(j)に示すように、楔形の板13を溝3aに挿入し、レンズ付き光ファイバ5〜7の先端を板13に突き当てて位置合わせをしてもよい。
次に、図5(f)の上面図に示すように、溝3aが形成されている部分の基板2をスライサーにより更に削り、幅が約1.7[mm]の溝3を形成する。この工程により、L字型基板11の先端部11a及びレンズ付き光ファイバ5〜7の先端も一緒に削られ、レンズ付き光ファイバ5〜7は溝3に対して斜めに配置されているため、その端面は溝3に沿って斜めに削られる。
そして、図5(g)の平面図に示すように、幅が約10[mm]で、中心に幅が約0.72[mm]で、深さが約0.65[mm]の溝10aが形成された光学素子基板固定板10(寸法:2×2×厚さ0.7mm)を用意する。そして、図5(h)の断面図に示すように、誘電体多層膜からなる薄膜9aが表面に設けられた光学素子基板9bを、光学素子基板固定板10の溝10aに、薄膜9aの面が光学素子基板固定板10に対して垂直になるように装着し、固定する。
そして、基板2に形成された溝3に光学素子基板9bを挿入し、本実施形態の光合分波器1を作製する。光学素子基板9bの厚さよりも溝3の幅を大きくすることで、光学素子基板9bを溝3の幅方向に自由に動かすことが可能となる。
そして、薄膜9aと光学素子基板9bとからなる光フィルタ9を溝3の幅方向に移動させることにより、例えば、レンズ付き光ファイバ5から出射し、光フィルタ9で反射され、レンズ付き光ファイバ7に入射する光の光路を調整し、光軸ずれが少ない位置で光フィルタ9を固定する。
以上のように、基板に光フィルタを配置するための溝を形成するときに、レンズ付き光ファイバの先端部も一緒に加工することにより、少ない工程数で光合分波器を製造することができるため、高効率で端面の加工処理を行うことが可能となる。また、レンズ付き光ファイバの長さを溝形成時に制御することができるので、再現性の高い光学系を有する光合分波器を製造することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
(構成)
本発明の第2の実施形態の光合分波器の構成について図6を参照しつつ説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る光合分波器の概略構成を示す斜視図である。
同図に示すように、第2の実施形態に係る光合分波器20は、第1の実施形態に係る光合分波器1とほぼ同じ構成をなしているが、光学素子基板及びその光学素子基板を装着する溝の構成が異なる点が特徴である。以下、光学素子基板及び光学素子基板を装着する溝の構成について詳細に説明する。尚、その他の構成については、上述した光合分波器1の構成と同じであるため説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態に係る光合分波器20には溝3の代わりに溝23が形成されている。溝23は、所定の幅及び深さを有する溝23aと、その溝23a内に形成された溝23bとからなる。そして、溝23bに、表面に薄膜9aが形成された光学素子基板9bが装着、固定されている。
以上のような構成をなしている光合分波器20によっても、前述の第1の実施形態と同様の作用を奏することが可能となる。つまり、光学素子基板9bの厚さが上述した式L3の関係を満たす場合に、レンズ付き光ファイバ6に入射する透過光のレンズ付き光ファイバ6の光軸からのずれを少なくすることが可能となる。
また、光学素子基板9bの厚さL3を調整するとともに、溝23bの形成位置を調整して光学素子基板9bの配置位置を調整することにより、レンズ付き光ファイバ7に入射する反射光の光軸からのずれを少なくすることが可能となる。
更に、光学素子基板9bの配置位置を調整する代わりに、溝23に充填される物質の屈折率を変えることにより、光軸ずれの調整をすることも可能である。具体的には、屈折率のことなる物質を予め複数用意しておき、溝23に充填する物質を変えることにより、溝23内の屈折率を変えて、光軸ずれの調整をする。
また、本実施形態の光合分波器20においても、第1の実施形態と同様に、ミラーやビームスプリッタ等を用いて光を分けることができる。更に、光合波器としても使用してもよい。
(製法)
次に、第2の実施形態に係る光合分波器20の製造方法について、図7を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る光合分波器の製造方法を示す図である。
まず、図7(a)の上面図に示すように、基板2を用意し、基板2に断面形状がV字型の2本のV字溝4を形成する。このV字溝4は、第1の実施形態と同様に例えば、約27.2°の角度をなして交わっている。尚、本実施形態においては、2本のV字溝4が完全に交差するようにV字溝4を形成しているが、本願発明はそれに限られない。一方のV字溝4に対して、他方のV字溝4が所定の角度、本実施形態においては約27.2°の角度をなして傾斜するようにV字溝4を形成すればよく、完全に交差させる必要はない。
次に、図7(b)の上面図に示すように、GIファイバ21の両端にシングルモード光ファイバ5a及び6aを融着したレンズ付き光ファイバを1本のV字溝4に配置し、シングルモード光ファイバ7aの一端にGIファイバ7bを融着したレンズ付き光ファイバをもう1本のV字溝4に配置する。このとき、シングルモード光ファイバ5aとGIファイバ21との接続箇所の位置と、シングルモード光ファイバ7aとGIファイバ7bとの接続箇所の位置とが一致するように、各レンズ付き光ファイバを配置する。そして、接着剤を用いて、押え板(図示しない)を上から押し付けて、各レンズ付き光ファイバを基板2に固定する。
次に、図7(c)の上面図に示すように、スライサーにより基板2を削り、溝23aを形成する。このとき、GIファイバ21の中間部とGIファイバ7bの先端とを同時に削ることにより、レンズ付き光ファイバ5〜7を形成する。また、各レンズ付き光ファイバのGIファイバの長さが等しくなるように加工する。このように溝23aを形成することにより、レンズ付き光ファイバ5〜7の先端と溝23aの端部の位置が一致し、更に、レンズ付き光ファイバ5〜7の端面は斜めに形成される。
次に、図7(d)の上面図に示すように、溝23aの一部分を、溝23aに沿ってスライサーで更に削ることにより溝23bを形成する。この溝23bは光学素子基板9bを配置する溝であるため、光学素子基板9bを配置すべき位置に対応して溝23bを形成する。そして、図8(e)の上面図に示すように、溝23bに薄膜9aが表面に形成された光学素子基板9bを装着し、固定することで本実施形態に係る光合分波器20を作製する。
以上のように、基板に光学素子基板を配置するための溝を形成するときに、レンズ付き光ファイバの先端も一緒に加工することにより、少ない工程数で光合分波器を製造することができるため、高効率で端面の加工処理を行うことが可能となる。また、レンズ付き光ファイバの長さを溝形成時に制御することができるので、再現性の高い光学系を有する光合分波器を製造することができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態による光合分波器及びその製造方法について、図8乃至図13を用いて説明する。本実施の形態による光合分波器30は、光フィルタ9を基板2に固着する前に、光フィルタ9の光入射面の角度調整を容易に行えるようにした点に特徴を有している。これにより、光合分波器30はレンズ付き光ファイバ5から射出して光フィルタ9で反射した光をレンズ付き光ファイバ7に良好に結合させることができる。
本実施の形態による光合分波器30の概略構成を図8及び図9を用いて説明する。図8は、光合分波器30の概略構成を示す斜視図である。図8では、光合分波器30の構成の理解を容易にするため、傾き調整用部材31を光ファイバ固定板8から取り外した状態を示している。また、図8では、光フィルタ9近傍の一部を透過せずに示している。図8に示すXYZ座標系は、光フィルタ9の光の透過方向にX軸をとり、X軸に直交して光の透過方向を横切る方向にY軸をとり、X軸及びY軸の各々に直交してレンズ付き光ファイバ5、6、7を含む平面に直交する方向にZ軸をとっている。図9(a)は、図8の図中に示すZ軸方向に見た光合分波器30の光フィルタ9近傍を示している。図9(b)は、図8の図中に示すY軸方向に見た光合分波器30の光フィルタ9近傍を示している。
図8及び図9に示すように、本実施の形態による光合分波器30は、上記第2の実施の形態による光合分波器20と同様に、図中Y軸方向に基板2のほぼ中央部を横切って形成された溝33aを有している。溝33aは、溝33aの底面に形成されて光フィルタ9を載置する載置用溝33bを有している。載置用溝33bは溝33aと同方向に形成されている。載置用溝33bの幅(図中X軸方向の長さ)は、載置用溝33bに載置した光フィルタ9の角度調整ができるように、光フィルタ9の厚さより若干長く形成されている。
また、光合分波器30は、上記第1の実施の形態による光合分波器1の光学素子基板固定板10に代えて、傾き調整用部材31を有している。傾き調整用部材31は、例えばテンパックスガラスで薄板直方体形状に形成されている。傾き調整用部材31は光フィルタ9に接触する平板部材31aを有している。平板部材31aは光フィルタ9との接触領域に、図においてY軸方向に延伸して形成された接触溝31bを有している。接触溝31bの幅(図中X軸方向の長さ)は光フィルタ9の厚さより若干長く形成されている。傾き調整用部材31を溝33aを跨いで載置した際に、光フィルタ9上面と接触溝31b底面とが接触するように、接触溝31bは所定の深さ(図中Z軸方向の長さ)に形成されている(図9(b)参照)。
図9(a)及び図9(b)に示すように、光フィルタ9はレンズ付き光ファイバ6の光入射出端面が露出する溝33a側面に所定の屈折率を有する紫外線硬化性の樹脂41で固定されている。傾き調整用部材31は熱硬化性の樹脂43で光ファイバ固定板8に固着されている。傾き調整用部材31を光ファイバ固定板8に固着すると、光フィルタ9は接触溝31bと載置用溝33bとで溝33a内に確実に固定される。レンズ付き光ファイバ5の光入射出端面が露出する溝33aの側面と光フィルタ9との間には、所定の屈折率を有する熱硬化性の樹脂45(例えば、シリコンゲル)が充填されている。
光合分波器30も、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。光学素子基板9bの厚さL3が上記の条件式を満たせば、レンズ付き光ファイバ5から射出して光フィルタ9を透過しレンズ付き光ファイバ6に入射する透過光の光路はレンズ付き光ファイバ5、6の光軸からのずれが殆どなくなる。
また、光学素子基板9bの厚さL3を調整するとともに、溝33bの形成位置を調整して光フィルタ9の配置位置を調整することにより、レンズ付き光ファイバ5から射出して光フィルタ9で反射しレンズ付き光ファイバ7に入射する反射光の光路はレンズ付き光ファイバ5、7の光軸からのずれが殆どなくなる。
さらに、光フィルタ9の配置位置を調整する代わりに、溝33a、33bに充填される樹脂41、45の屈折率を変えることにより、レンズ付き光ファイバ5、6の光軸と、光フィルタ9からの透過光の光路とのずれや、レンズ付き光ファイバ5、7の光軸と、光フィルタ9からの反射光の光路とのずれの調整をすることも可能である。
またさらに、本実施の形態による光合分波器30は光フィルタ9の光入射面の角度を調整することにより、レンズ付き光ファイバ5から射出して光フィルタ9で反射された反射光をレンズ付き光ファイバ7に良好に結合させることができる。次に、図10及び図11を用いて、レンズ付光ファイバ5から射出した光がレンズ付光ファイバ7に結合するように光フィルタ9の傾きを調整する方法について説明する。図10及び図11は、図8に示すY軸方向に見た光合分波器30の光フィルタ9近傍を示している。
レンズ付き光ファイバ5(図10では不図示)から射出した出射光が光フィルタ9にY軸方向に見たときに垂直に入射すると、光フィルタ9からの透過光はレンズ付き光ファイバ6に良好に結合し、反射光はレンズ付き光ファイバ7に良好に結合する。ところが、図10(a)に示すように、例えば、光フィルタ9が傾いて載置用溝33bに載置されていると、当該出射光は光フィルタ9の光入射面にY軸方向に見たときに垂直に入射しない。このため、図中実線で示す透過光はレンズ付き光ファイバ6の光軸からずれてしまい、図中破線で示す反射光はレンズ付き光ファイバ7の光軸からずれてしまう。
レンズ付き光ファイバ6の光軸と、光フィルタ9からの透過光の光路とのずれ量は、レンズ付き光ファイバ5からの出射光と光フィルタ9の光入射面との角度ずれ及び位置ずれで決まる。特に、角度ずれは位置ずれと比較して透過光の光路のずれに大きく作用する。透過光の当該角度ずれは、レンズ付き光ファイバ5からの出射光の光入射面への入射角の設計値からのずれである。このため、レンズ付き光ファイバ6の光軸と、光フィルタ9からの透過光の光路とのずれ量は比較的小さく、透過光は光ファイバ6に結合できる。
レンズ付き光ファイバ7の光軸と、光フィルタ9からの反射光の光路とのずれ量も、レンズ付き光ファイバ5からの出射光と光フィルタ9の光入射面との角度ずれ及び位置ずれで決まる。反射光の当該角度ずれは、レンズ付き光ファイバ5からの出射光の光入射面への入射角の設計値からのずれの2倍となる。このため、反射光は光ファイバ7に結合し難くなる。以下、光フィルタ9の傾きを調整することにより、反射光の光路と光軸とのずれを調整する方法について説明する。
まず、図10(a)に示すように、光学素子基板9bと、レンズ付き光ファイバ6の光入射出端面が露出する溝33a側面との間に樹脂41を充填する。次に、光フィルタ9上面の少なくとも一部が平板部材31aの接触溝31bの底面に接触するように、光ファイバ固定板8上に傾き調整用部材31を配置する。次に、レンズ付き光ファイバ5に光を入射する。次に、図10(b)に示すように、レンズ付き光ファイバ5から射出され光フィルタ9で反射した反射光の光量をシングルモード光ファイバ7a他端部(不図示)で測定しながら、傾き調整用部材31の平板部材31aを図中X軸の正(+)方向(図中右方向)にずらす。
光フィルタ9上面の角部は接触溝31b底面に接触している。このため、平板部材31aを図中X軸の正方向にずらすと、光フィルタ9上面の角部と接触溝31b底面との摩擦力により、光フィルタ9は薄膜9aの形成面側で載置用溝33bと接触している角部を支点として、図中Y軸に関し時計回りに回転する。これにより、光フィルタ9の光入射面の角度はレンズ付き光ファイバ5、7を含む平面に対して調整される。
このように、傾き調整用部材31の平板部材31aをずらして、光フィルタ9の光入射面の角度を調整すると、レンズ付き光ファイバ5、7の光軸と、光フィルタ9からの反射光の光路とのずれ量は変化する。従って、シングルモード光ファイバ7a他端部から射出される反射光の光量も変化する。光フィルタ9の光入射面が、Y軸方向に見たときにレンズ付き光ファイバ5の光軸と直交すると、出射光は当該光入射面に垂直に入射する。このため、レンズ付き光ファイバ7の光軸と、光フィルタ9からの反射光とのずれ量は最小になるので、シングルモード光ファイバ7a他端部から射出される反射光の光量は最大となる。これにより、光フィルタ9の角度が最適な状態に調整されたことがわかる。次に、この状態で紫外線を照射して樹脂41を硬化する。こうして、光フィルタ9の光入射面はレンズ付き光ファイバ5、7を含む平面に対して最適な角度で固定される。
図11は、レンズ付き光ファイバ5(図11では不図示)の光出射角の角度ずれによって、光フィルタ9からの反射光の光路がレンズ付き光ファイバ5、7の光軸からずれた場合の当該ずれの調整方法を示している。一般に、レンズ付き光ファイバはシングルモード光ファイバとGIファイバとを融着接続して形成されている。このため、シングルモード光ファイバの光軸とGIファイバの光軸に偏心が生じる場合がある。この場合、レンズ付き光ファイバから射出される光は設計値と異なる出射角で射出される。
レンズ付き光ファイバ5に光軸の偏心が生じると、図11(a)に示すように、レンズつき光ファイバ5からの出射光は、Y軸方向に見たときに、光フィルタ9の光入射面に垂直に入射しない。このため、図中実線で示す透過光はレンズ付き光ファイバ5、6の光軸からずれてしまい、図中破線で示す反射光はレンズ付き光ファイバ5、7の光軸からずれてしまう。上述したように、レンズ付き光ファイバ6の光軸と、光フィルタ9からの透過光の光路とのずれ量は、レンズ付き光ファイバ5からの出射光と光フィルタ9の光入射面との角度ずれ及び位置ずれで決まる。透過光の当該角度ずれは、レンズ付き光ファイバ5からの出射光の光入射面への入射角の設計値からのずれである。このため、レンズ付き光ファイバ6の光軸と、光フィルタ9からの透過光の光路とのずれ量は比較的小さく、透過光は光ファイバ6に結合できる。
光フィルタ9からの反射光の光路と、レンズ付き光ファイバ7の光軸とのずれ量も、レンズ付き光ファイバ5からの出射光と光フィルタ9の光入射面との角度ずれ及び位置ずれで決まる。反射光の当該角度ずれは、レンズ付き光ファイバ5からの出射光の光入射面への入射角の設計値からのずれの2倍となる。このため、反射光は光ファイバ7に結合し難くなる。以下、上記と同様の光フィルタ9の角度調整方法による反射光の光路と光軸とのずれを調整する方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、光学素子基板9bと、レンズ付き光ファイバ6の光入射出端面が露出する溝33a側面との間に樹脂41を充填する。次に、光フィルタ9上面が平板部材31aの接触溝31b底面に接触するように光ファイバ固定板8上に傾き調整用部材31を配置する。次に、レンズ付き光ファイバ5に光を入射する。次に、図11(b)に示すように、レンズ付き光ファイバ5から射出され光フィルタ9で反射した反射光の光量をシングルモード光ファイバ7a他端部(不図示)で測定しながら、傾き調整用部材31の平板部材31aを図中X軸の負(−)方向(図中左方向)にずらす。
光フィルタ9上面は接触溝31b底面に接触している。このため、平板部材31aを図中X軸の負方向にずらすと、光フィルタ9上面と接触溝31b底面との摩擦力により、光フィルタ9は、薄膜9aの形成面側で載置用溝33bと接触している角部を支点として、図中Y軸に関し反時計回りに回転する。これにより、光フィルタ9の光入射面の角度はレンズ付き光ファイバ5、7を含む平面に対して調整される。
このように、傾き調整用部材31の平板部材31aをずらして、光フィルタ9の光入射面の角度を調整すると、出射光が光フィルタ9にほぼ垂直に入射され、シングルモード光ファイバ7a他端部から射出される反射光の光量が最大となる。これにより、光フィルタ9の角度が最適な状態に調整されたことがわかる。次いで、この状態で紫外線を照射して樹脂41を硬化する。こうして、光フィルタ9の光入射面はレンズ付き光ファイバ5、7を含む平面に対して最適な角度で固定される。
次に、図12を用いて光フィルタ9の配置やレンズ付き光ファイバ5からの出射光の出射角度がZ軸回りに傾いた場合の光フィルタ9の光入射面の角度調整について説明する。図12は、図8に示すZ軸方向に見た光合分波器30の光フィルタ9近傍を示している。例えば、レンズ付き光ファイバ5の光軸の偏心により、出射光の出射角度が設計値に対してZ軸回りにずれると、光フィルタ9の反射光はレンズ付き光ファイバ7に結合し難くなる。この場合、図12に示すように、傾き調整用部材31の平板部材31aをZ軸回りに回転させてずらすことにより、光フィルタ9の光入射面の角度を調整することができる。
例えば、図9(a)の状態から、平板部材31aをZ軸に関し反時計回りに回転させてずらすと、接触溝31bの一方の側面(図中左側の側面)が光フィルタ9の薄膜9aの図中下側の角部に接触し、接触溝31bの他方の側面(図中右側の側面)が光学素子基板9bの図中上側の角部に接触する。平板部材31aをさらに同方向に回転させてずらすと、薄膜9aの角部は接触溝31bの一方の側面からX軸の正方向に力を受け、光学素子基板9bの角部は接触溝31bの他方の側面からX軸のマイナス方向に力を受ける。薄膜9aの角部の受ける力と光学素子基板9bの角部の受ける力は、ほぼ同一で且つ反対方向である。
従って、図12に示すように、光フィルタ9のほぼ中心部を回転軸として、光フィルタ9はZ軸に関し反時計回りに回転する。これにより、レンズ付光ファイバ5からの出射光は、Z軸方向に見たときに所定の角度で光フィルタ9に入射して、光フィルタ9からの図中に破線で示す反射光はレンズ付き光ファイバ7に結合できる。このように、光フィルタ9の光入射面の角度調整ができるので、光フィルタ9からの反射光をレンズ付き光ファイバ7に良好に結合させることができる。
傾き調整用部材31はY軸回り及びZ軸回りに同時に光フィルタ9の傾きを調整することももちろんできる。
以上説明したように、接触溝31bが形成された平板部材31aを有する傾き調整用部材31を用いて光フィルタ9の角度を調整することにより、光フィルタ9からの反射光の光路と、レンズ付き光ファイバ5、7の光軸とのずれが調整され、当該反射光はレンズ付き光ファイバ7に良好に結合することができる。
次に、本実施の形態による光合分波器の製造方法について図13を用いて説明する。図13は、図8に示すY軸方向に見た光合分波器30の光フィルタ9近傍の製造工程を示している。
まず、図5(a)乃至図5(f)を用いて説明した上記第1の実施の形態による光合分波器1の製造工程や図7(a)乃至図7(c)を用いて説明した上記第2の実施の形態による光合分波器20の製造工程と同様の方法により、レンズ付き光フィルタ5、6、7を基板2に固定して溝33aを形成する。
次に、図13(a)に示すように、溝33a内に載置用溝33bを形成する。載置用溝33bの幅は光フィルタ9の厚さより若干長く形成される。次いで、薄膜9aが形成されていない光学素子基板9b表面をレンズ付光ファイバ6側に対向させて光フィルタ9を載置用溝33bに載置する。次いで、レンズ付き光ファイバ6の光入射出端面が露出する溝33a側面と光学素子基板9bとの間に紫外線硬化性の樹脂41を充填する。光フィルタ9は樹脂41の表面張力により溝33a側面に保持される。
次に、図13(b)に示すように、傾き調整用部材31を溝33aに被せ、溝33aから突出する光フィルタ9上面の少なくとも一部が接触溝31b底面に接触するように平板部材31aを光ファイバ固定板8上に配置する。次いで、レンズ付き光ファイバ5(図13では不図示)に光を入射する。次いで、レンズ付き光ファイバ5から射出され光フィルタ9で反射した反射光の光量をシングルモード光ファイバ7a他端部(不図示)で測定しながら、平板部材31aを光ファイバ固定板8上でずらす。平板部材31aは溝33aを横切る方向に光フィルタ9に接触させてずらしたり、レンズ付き光ファイバ5、7を含む平面にほぼ直交する軸回りに、光フィルタ9に接触させて回転させてずらしたりする。
これにより、光フィルタ9の角度は調整される。例えば、レンズ付き光ファイバ5の偏心により出射光の出射角が設計値からずれていても、光フィルタ9の光入射面の角度を補正して、出射光を当該光入射面に垂直に入射させることができる。次いで、反射光の光量が最大となった状態で、樹脂41に紫外線を照射して樹脂41を硬化させる。これにより、光フィルタ9は最適な角度で溝33a内に固定される。
次に、図13(c)に示すように、平板部材31aと光ファイバ固定板8との間隙に熱硬化性の樹脂43を流し込む。樹脂43は毛細管現象により、当該間隙全面に広がる。次いで、傾き調整用部材31や光ファイバ固定板8と共に樹脂43を加熱して樹脂43を硬化する。これにより、傾き調整用部材31は光ファイバ固定板8に固着される。また、光フィルタ9は最適な角度を保持したまま接触溝31bと載置用溝33bとの間に確実に固着される。次いで、薄膜9aとレンズ付き光ファイバ7端面との間に、所定の屈折率を有する樹脂45を充填して加熱し、樹脂45をゲル状にする。こうして、光合分波器30は完成する。
以上説明したように、本実施の形態による光合分波器の製造方法によれば、光フィルタ9を溝33aに固定する前に、傾き調整用部材31を用いて光フィルタ9の角度調整ができるので、載置用溝33b内に光フィルタ9が傾いて配置されたり、レンズ付き光ファイバ5の光軸の偏心により出射光の出射角度ずれが生じたりしても、レンズ付き光ファイバ5から射出されて光フィルタ9で反射した反射光をレンズ付き光ファイバ7に良好に結合させることができる。
このように、本実施の形態によれば、レンズ付き光ファイバ7に光フィルタ9からの反射光が良好に結合する、高性能な光合分波器30を安定に製造できるので、光合分波器30の製造歩留まりが向上し、光合分波器30の低価格化を図ることができる。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記第3の実施の形態による光合分波器30は光学素子として、光フィルタ9を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、ミラーやビームスプリッタ等を用いても光を分岐することができ、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記第3の実施の形態による光合分波器30は、レンズ付き光ファイバ5光入射出端面に光フィルタ9の薄膜9aが対向配置され、レンズ付き光ファイバ5から出射した光線が距離L1の領域を通過して薄膜9aで反射する構成であるが、本発明はこれに限られない。例えば、光フィルタ9が溝33a内で配置される向きは、図9における配置向きに対して逆向きでもよい。つまり、レンズ付き光ファイバ5光入射出端面に光学素子基板9bが対向配置され、レンズ付き光ファイバ6光入射出端面に薄膜9aが対向配置されていてもよい。レンズ付き光ファイバ5からの出射光の反射位置に薄膜9a層があれば、レンズ付き光ファイバ5から出射した光線が距離L1の領域及び光学素子基板9bを通過して薄膜9aで反射する構成であっても上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記第3の実施の形態による光合分波器30は、載置用溝33bを有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、光合分波器30は載置用溝33bを有していなくてもよい。溝33aに光フィルタ9を配置して樹脂41を充填すると、光フィルタ9は樹脂41の表面張力で溝33a側面に保持される。これにより、光フィルタ9は溝33a内で倒れ難くなる。従って、光フィルタ9の角度を調整することができ、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記第3の実施の形態による光合分波器30は、底面と両側面とがほぼ直交する載置用溝33bを有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、載置用溝33bの底面と両側面との交差部が丸みを帯びた形状に形成されていてもよい。この場合、光フィルタ9の角部と載置用溝33bの当該交差部とは線で接触する。このため、光フィルタ9は載置用溝33b内で動き易くなるため、光フィルタ9の角度をより高精度に調整できる。
また、上記第3の実施の形態による光合分波器30は、接触溝31bが形成された平板部材31aを備えた傾き調整用部材31を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、平板部材31aが光フィルタ9上面に接触できれば、傾き調整用部材31は接触溝31bが形成されていなくてもよい。この場合も、平板部材31aを溝33aを横切る方向にずらしたり、回転させてずらしたりすると、光フィルタ9上面と平板部材31aとの接触面での摩擦力により、光フィルタ9の角度調整ができるので、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記第3の実施の形態による光合分波器30は、薄板直方体形状に形成された傾き調整用部材31を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、光フィルタ9上面と接触する接触面を有していれば、傾き調整用部材31は薄板直方体形状に形成されていなくてもよい。この場合も、当該接触面での摩擦力により、光フィルタ9の角度調整ができるので、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る光合分波器に用いられる基板の溝の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の光ファイバ及び光フィルタの配置を示す上面図である。 本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の製造方法を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る光合分波器の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る光合分波器の製造方法を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る光合分波器の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る光合分波器の光フィルタ近傍の概略構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る光合分波器の光フィルタの角度調整方法を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る光合分波器の光フィルタの角度調整方法を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る光合分波器の光フィルタの角度調整方法を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る光合分波器の製造方法を示す図である。
符号の説明
1、20、30 光合分波器
2 基板
3、23、33a 溝
4 V字溝
5、6、7 レンズ付き光ファイバ
8 光ファイバ固定板
9 光フィルタ
9a 薄膜
9b 光学素子基板
10 光学素子基板固定板
31 傾き調整用部材
31a 平板部材
31b 接触溝
33b 載置用溝

Claims (19)

  1. 基板と、
    該基板に形成された溝と、
    前記基板に形成され、該溝の一方側に前記溝に対して所定の角度をなして形成された直線状の第1の位置決め溝と、
    前記基板に形成され、前記溝を間にして前記第1の位置決め溝の反対側に、かつ、同一軸上に形成された直線状の第2の位置決め溝と、
    前記基板に、かつ、前記溝の一方側に形成され、前記溝に近いほど前記第1の位置決め溝との間の距離が短くなるように形成された直線状の第3の位置決め溝と、
    前記溝内に設けられた、光を合波又は/及び分波する光学素子と、
    前記第1の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第1のレンズ付き光ファイバと、
    前記第2の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第2のレンズ付き光ファイバと、
    前記第3の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第3のレンズ付き光ファイバと、
    前記第1のレンズ付き光ファイバから射出した光が前記第3のレンズ付き光ファイバに結合するように前記光学素子の傾きを調整する傾き調整用部材と
    を有することを特徴とする光合分波器。
  2. 請求項1記載の光合分波器であって、
    前記第1乃至第3のレンズ付き光ファイバの端面は、該端面の法線が前記光学素子と直交するように、前記第1乃至第3のレンズ付き光ファイバの光軸に対して斜めに形成されていることを特徴とする光合分波器。
  3. 基板と、
    該基板に形成された溝と、
    前記基板に形成され、該溝の一方側に前記溝に対して所定の角度をなして形成された直線状の第1の位置決め溝と、
    前記基板に形成され、前記溝を間にして前記第1の位置決め溝の反対側に、かつ、同一軸上に形成された直線状の第2の位置決め溝と、
    前記基板に、かつ、前記溝の一方側に形成され、前記溝に近いほど前記第1の位置決め溝との間の距離が短くなるように形成された直線状の第3の位置決め溝と、
    前記溝内に設けられた、光を合波又は/及び分波する光学素子と、
    前記第1の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第1のレンズ付き光ファイバと、
    前記第2の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第2のレンズ付き光ファイバと、
    前記第3の位置決め溝に設置され、先端に屈折率分布型レンズが装着され、端面が前記溝に面している第3のレンズ付き光ファイバとを有し、
    前記光学素子は光学素子基板上に薄膜を設けたものであって、前記第1のレンズ付き光ファイバから前記薄膜までの距離をL1、前記薄膜の厚さをL2、前記光学素子基板の厚さをL3、前記光学素子基板から前記第2のレンズ付き光ファイバまでの距離をL4、前記屈折率分布型レンズの軸上屈折率をn0、前記溝内の屈折率をn1、前記薄膜の実効屈折率をn2、前記光学素子基板の屈折率をn3、前記所定の角度をθfとしたときに、前記光学素子基板の厚さL3が、
    「L3=[(tanθf−tanθ1)(L1+L4)+(tanθf−tanθ2)×L2]/(tanθ3−tanθf)
    但し、θ1=sin−1{(n0×sinθf)/n1}、θ2=sin−1{(n0×sinθf)/n2}、θ3=sin−1{(n0×sinθf)/n3}」
    の式を満たすことを特徴とする光合分波器。
  4. 請求項3記載の光合分波器であって、
    前記第1乃至第3のレンズ付き光ファイバの端面は、該端面の法線が前記光学素子と直交するように、前記第1乃至第3のレンズ付き光ファイバの光軸に対して斜めに形成されていることを特徴とする光合分波器。
  5. 請求項1又は2に記載の光合分波器であって、
    前記傾き調整用部材は、前記溝を跨いで前記光学素子と接触する平板部材を有することを特徴とする光合分波器。
  6. 請求項5記載の光合分波器であって、
    前記平板部材は、前記光学素子との接触領域に接触溝を有していることを特徴とする光合分波器。
  7. 請求項乃至6のいずれか1項に記載の光合分波器であって、
    前記溝は、前記光学素子を載置する載置用溝を有することを特徴とする光合分波器。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光合分波器であって、
    前記屈折率分布型レンズは、屈折率分布型光ファイバであることを特徴とする光合分波器。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光合分波器であって、
    前記光学素子は、光フィルタ又はミラーであることを特徴とする光合分波器。
  10. 基板を削ることにより、2本の直線状の位置決め溝を、それらが所定の角度をなして交差するように前記基板に形成する位置決め溝形成ステップと、
    前記2本の直線状の位置決め溝が交差している部分に、前記位置決め溝を横断する溝を形成する溝形成ステップと、
    先端に屈折率分布型レンズが形成されたレンズ付き光ファイバを、該レンズ付き光ファイバの端面が前記溝と面するように、前記位置決め溝に配置する光ファイバ配置ステップと、
    前記溝内にブロックを配置し、前記レンズ付き光ファイバの先端を該ブロックに突き当てた状態で固定するステップと、
    接着固定された前記レンズ付き光ファイバの先端を削るステップと、
    前記レンズ付き光ファイバの間の溝に、光学素子を装着するステップと、
    を有することを特徴とする光合分波器の製造方法。
  11. 基板を削ることにより、2本の直線状の位置決め溝を、それらが所定の角度をなすように前記基板に形成する位置決め溝形成ステップと、
    一方の位置決め溝に第1の屈折率分布型レンズの両端に光ファイバが装着されたレンズ付き光ファイバを配置し、他方の位置決め溝に第2の屈折率分布型レンズに光ファイバが装着された別のレンズ付き光ファイバを配置、固定する光ファイバ固定ステップと、
    前記第1の屈折率分布型レンズの中間部、前記第2の屈折率分布型レンズの先端及び前記基板を削ることにより、前記位置決め溝を横断する溝を形成し、更に、前記別のレンズ付き光ファイバに入射する光の光軸からのずれが少なくなるように前記溝内に別の溝を形成する溝形成ステップと、
    前記別の溝に、光学素子を装着するステップと、
    を有することを特徴とする光合分波器の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の光合分波器の製造方法であって、
    前記光学素子を装着するステップの後に、
    前記光学素子を前記溝の幅方向に移動させることにより、所定のレンズ付き光ファイバから出射し、前記光学素子で反射され、別のレンズ付き光ファイバに結合する光の光路を調整するステップを有することを特徴とする光合分波器の製造方法。
  13. 請求項10又は11に記載の光合分波器の製造方法であって、
    前記溝の内部に充填される物質の屈折率を変えることにより、所定のレンズ付き光ファイバから出射し、別のレンズ付き光ファイバに結合する光の光路を調整するステップを有することを特徴とする光合分波器の製造方法。
  14. 基板上に溝を形成する溝形成ステップと、
    前記溝に対して所定の角度を有する直線状の第1の位置決め溝と、前記溝を介して前記第1の位置決め溝の同一軸上に位置する直線状の第2の位置決め溝と、前記溝が延伸する方向に平行に見て、前記溝に近づくほど前記第1の位置決め溝との間隙が短くなる直線状の第3の位置決め溝とを前記基板上に形成する位置決め溝形成ステップと、
    端部に屈折率分布型レンズを有する第1乃至第3のレンズ付き光ファイバを前記屈折率分布型レンズが前記溝に露出するように、前記第1乃至第3の位置決め溝にそれぞれ配置して固定する光ファイバ固定ステップと、
    前記溝に光学素子を載置する光学素子載置ステップと、
    前記第1のレンズ付き光ファイバから射出した光が前記第3のレンズ付き光ファイバに結合するように前記光学素子の傾きを調整するステップと
    を有すること特徴とする光合分波器の製造方法。
  15. 請求項14記載の光合分波器の製造方法であって、
    平板部材を有する傾き調整用部材を前記溝に被せ、前記平板部材を前記溝中の前記光学素子に接触させながらずらして、前記光学素子を傾けること
    を特徴とする光合分波器の製造方法。
  16. 請求項15記載の光合分波器の製造方法であって、
    前記溝を横切る方向に前記平板部材をずらして、前記第1及び第3のレンズ付き光ファイバを含む平面に対して前記光学素子を傾けることを特徴とする光合分波器の製造方法。
  17. 請求項15又は16に記載の光合分波器の製造方法であって、
    前記平板部材を回転させてずらし、前記第1及び第3のレンズ付き光ファイバを含む平面にほぼ直交する軸回りに前記光学素子を回転させることを特徴とする光合分波器の製造方法。
  18. 請求項10乃至17のいずれか1項に記載の光合分波器の製造方法であって、
    前記屈折率分布型レンズは、屈折率分布光ファイバであることを特徴とする光合分波器の製造方法。
  19. 請求項10乃至18のいずれか1項に記載の光合分波器の製造方法であって、
    前記光学素子は、光フィルタ又はミラーであることを特徴とする光合分波器の製造方法。
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