JP3900951B2 - 熱分解処理方法及びその施設 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物等を加熱して熱分解処理した場合に発生する熱分解ガスの燃焼処理に係わり、特に熱分解ガスの燃焼処理時に発生する排ガスを熱交換により安全に、冷却し、また得た高温空気を有効利用する熱分解処理方法とその処理施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物などの熱分解処理を行う場合、熱処理によって発生した分解ガスなどは、800℃以上、2秒以上で燃焼処理して排出すること、また、ダイオキシン類の再合成防止を図る趣旨から、排ガス温度を降下するときに600〜300℃の温度域を短時間に冷却通過することが求められている。
【0003】
このことから、一般的には、高温排ガスの冷却手段としては、気体−液体による熱交換により温水として回収する方法(以下、方法1)、排ガスに冷却空気を導入して排ガスを冷却する方法(以下、方法2)、または方法1と方法2を併用する方法(以下、方法3)が採られている。また、排ガスを熱交換器にて高温気体を得、これを熱交換手段に利用する方法(以上、方法4)として特開平10−2528号が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記方法1は、気体−液体による熱交換により排ガスを冷却する場合には副産物として温水が発生する。この場合には、施設の規模、状況により温水の使い道が整わない場合があり、このときには廃棄する必要となるが、そうなると新たな課題を惹起することになる。
【0005】
また、前記方法2は、排ガスに冷却空気を導入しての排ガスを冷却しているが、この場合には、排ガス量が多くなることから、排気ブロア、バクフィルターが大型化する問題がある。
【0006】
前記方法3の場合も、先の方法1及び2の問題と程度の差はあるものの、同様な課題がある。
【0007】
前記方法4の特開平10−2528号は、気体−気体による熱交換を開示しているが、これは冷却した排ガスを得るものではない。
【0008】
さらに、高温排ガスを冷却する場合に、露天腐食現象に注意する必要がある。露天腐食現象とは、燃焼により排ガス中に亜硫酸ガスなどの腐食性成分が含まれる場合に、水分と結合して硫酸などの腐食性物質を生成して金属を腐食する現象である。
【0009】
しかしながら、方法1〜4のいずれも、排ガス冷却時の露点腐食現象については着目されていない。
【0010】
気体−気体熱交換のみにより、850℃付近から150℃付近までに冷却することは可能であるが、排ガスは腐食性成分を含有する場合には、代表的な露点腐食現象である硫黄成分による硫酸生成による腐食現象を惹起する可能性がある。
【0011】
この現象が熱交換器内で生じた場合には、腐食の察知、腐食箇所の発見といった作業が非常に煩雑なものとなる。しかも、腐食を発見した場合には、熱交換器の交換が必要となり、非常に高価なものにつく。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、被処理物の熱分解処理系において、露点腐食を防止する共に、排ガスの冷却を安価に行い、かつ当該処理系から排出されたガスを有効利用して、エネルギー効率を向上させた熱分解処理方法及びその施設の提供、にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、被処理物を加熱して熱分解する熱分解処理方法において、
熱分解により発生した分解ガスを燃焼して発生した燃焼排ガスを、気体−気体による熱交換によって冷却する一次冷却工程と、
前記一次冷却したガスに新鮮な空気を導入することによってさらに冷却する二次冷却工程とを有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱分解処理方法において、
前記一次冷却工程における冷却は、排ガス中の成分による露点腐食を惹起しない約300〜200℃程度のガス温度となるように、燃焼排ガスを冷却処理することを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の熱分解処理方法において、
前記二次冷却工程における冷却は、150℃程度までのガス温度とすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか記載の熱分解処理方法において、前記一次冷却工程における熱交換によって得た熱ガスの少なくとも一部を、被処理物を加熱するための熱風ガスに供したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか記載の熱分解処理方法において、一次冷却工程における熱交換によって得た熱ガスの少なくとも一部を、熱分解残渣の燃焼に供したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、熱分解処理施設であって、
被処理物を熱風ガスにより加熱分解して分解ガスを得る熱分解炉と、
熱分解炉に熱風を送出する熱風炉と、
前記分解ガスが供給され、これを燃焼して燃焼排ガスを得るガス燃焼炉と、
前記燃焼排ガスが供給され、これを気体−気体による熱交換によって冷却する一次冷却手段と、
一次冷却手段にて冷却されたガスが供給され、このガスに新鮮な吸気を供給することにより、該ガスをさらに冷却する二次冷却手段と、
を備えたことを特徴するものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の熱分離処理施設において、
前記二次冷却手段は、前記一次冷却手段にて冷却処理されたガスが被冷却ガスとして流通する配管に、新鮮な空気を供給するための配管を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の熱分解処理施設において、
熱分解炉で被処理物を熱分解して得た熱分解残渣が供給され、これを燃焼する炭化物燃焼炉を備え、炭化物燃焼炉からの排ガスは、ガス燃焼炉に供給したことを特徴するものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項1から9のいずれか記載の熱分解処理方法及びその施設において、被処理物に有機ハロゲン化合物と反応して無害な塩化物を生成する薬剤を添加混合することを特徴するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
発明者は、鋭意検討した結果、以下のことを見出した。
【0023】
すなわち、廃棄物等を加熱して熱分解処理した場合に発生する熱分解ガスの燃焼処理において、
熱分解処理系からの排ガスを露点腐食現象が生じない程度の温度に冷却する一次冷却と、さらにこのガスを新鮮空気の導入によって冷却する二次冷却と、を組み合わせたハイブリット冷却とすることによって、
熱分解処理系における冷却システムが安価になることを見出し、さらに一次冷却における熱交換によって得た高温ガスを熱分解処理に供することで、熱分解処理におけるエネルギーコストの削減が可能となることを見出した。
【0024】
以下に、本発明の実施形態について述べる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態例の一例である熱分解処理施設の概略構成図であり、図2は、本発明における冷却手段の一実施形態を示した概略構成図である。
【0026】
図1に示されたように、熱分解炉1は、回転キルン方式を採用し、自在に回転する円筒状の回転炉11と、回転炉11の外周にガスダクトを形成し、熱風ガスを導入して回転炉11を外部から加熱する外部加熱手段としての加熱ジャケット12と、回転炉11を両端側で回転自在に支承する支持ローラ14a,14bと、回転炉11を回転駆動する回転駆動源15と、を具備してなる。熱風ガスは、後述の熱風炉2から導入している。尚、本実施形態においては、熱分解炉1を1基配置しているが、被処理物の負荷量、処理形態に応じて適宜複数配置される。
【0027】
回転炉11は、その一端側に被処理物を搬入する図示省略した供給口を、また他端側に図示省略した排出口を設け、炉の内部には、回転炉11の軸線に対して傾斜した図示省略された送り羽根を複数枚具備させている。そして、供給側ダクト10から供給された被処理物を、供給口側から回転炉11に導入し、回転炉11の回転によって、該被処理物を撹拌しながらの排出口側への移送を可能とさせている。また、供給側ダクト10には、被処理物と脱塩素剤とを混合した混合物を投入するためのホッパー設備16が具備される。さらに、回転炉11の排出側には、乾留ガスと熱分解残渣(炭化物)とを分離排出するための排出ジャケット17が具備される。
【0028】
尚、被処理物が有機ハロゲン化合物を含有する場合、熱分解炉1では、加熱により分解析出した有機ハロゲン化合物と接触反応して無害な塩化物を生成する薬剤を、被処理物と共に添加混合して加熱処理している。
【0029】
薬剤は、塩素と接触反応して無害な塩化物に置換生成する薬剤である。例えば、発明者らが先に出願している、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物中の少なくとも1種類を選択または2種類以上を混合したものが有効である。
【0030】
アルカリ金属化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムの、酸化物、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硝酸塩または硫酸塩等が挙げられる。
【0031】
具体的なアルカリ金属化合物の処理剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。尚、炭酸水素ナトリウムは、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと別称される。炭酸ナトリウムは、炭酸ソーダ、ソーダ、ソーダ灰、洗濯ソーダまたは結晶ソーダと別称される。セスキ炭酸ナトリウムは、二炭酸一水素ナトリウム、三二炭酸水素ナトリウムまたはナトリウムセスキカーボネートと別称される。天然ソーダは、トロナと別称される。
【0032】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムの、酸化物、水酸化物、炭酸水素塩または炭酸塩等が挙げられる。
【0033】
具体的なアルカリ金属化合物の処理剤としては、例えば、石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)またはドロマイド(CaCO3・MgCO3)等が挙げられる。
【0034】
熱風炉2は、熱風ガス(温度450〜600℃)を発生させて熱分解炉1に供給する設備であり、熱風を発生させるための燃焼バーナー21を備えている。また、本実施形態において、熱風炉2は、後述の一次冷却手段5から熱ガスを補充導入するための熱ガス導入管53を備えている。熱風炉2にて得た熱ガスは、供給管22を介して、熱分解炉1の加熱ジャケット12内に供給される。このように、熱風炉2から供給された熱風ガスによって、熱分解炉1内部の被処理物は、外部から間接加熱されて乾留処理される。
【0035】
炭化物燃焼炉3は、熱分解炉1から供給された残渣(炭化物)を燃焼させて灰化させるための設備である。当該残渣は、熱分解炉1の排出ジャケット17からパイプコンベアなどの搬送手段を介して導入している。尚、炭化物燃焼炉3は、目的に応じて、炭化物中の揮発成分を一層除去して固定炭粉の多い炭化物を得るとか、賦活処理によって活性炭を得るために利用できる。
【0036】
炭化物燃焼炉3は、前記加熱処理物が供給される図示省略した回転炉を備え、この回転炉は筒状の鋼材からなり、その筒状の鋼材の内部にはキャスタブル材による耐火・耐熱層(図示省略)が設けられている。
【0037】
回転炉は、軸方向の両側が回転ローラで支持され、駆動源により回転される。当該回転炉は、進行方向に2〜3度傾斜して構成され、自然搬送が可能となるようにしている。また、回転炉の内部には、図示しないが軸方向に延び且つ半径方向に突出した回転搬送手段を備えている。そして、回転炉の上流側、すなわち、被燃焼処理物投入側には、箱状の投入ジャケットが具備され、炭化物の搬送手段(スクリュー、スパイラル)と、炭化物を着火燃焼する燃焼バーナー31とが具備されている。また、回転炉の下流側、すなわち、灰化物排出側には、内部にキャスタブル材による耐火・耐熱層を装着した箱状の排出ジャケットが具備される。排出ジャケットから排出された灰化物は、図示省略した灰回収箱にて回収される。尚、排出ジャケットからの排ガスは、ガス燃焼炉4に供される。
【0038】
ガス燃焼炉4は、熱分解炉1で発生した乾留ガスを燃焼処理する。ここでは、乾留ガスを乾留ガス導管40からエゼクタ41を介して導入している。このとき、ガス燃焼炉4には、加熱ジャケット12からの排熱風ガスが、循環ブロア43とエゼクタブロア44等の移送手段によって、エゼクタ41を介し導入される。尚、乾留ガス導管40は熱ガスによって保温され、浮遊物が導管内壁に付着するのを防いでいる。
【0039】
ガス燃焼炉4は、導入したガスを燃焼するガス燃焼室を備える。ガス燃焼室においては、乾留ガスさらには炭化物燃焼炉3で発生した排ガスを導入して燃焼バーナー42によって混合燃焼する。尚、乾留ガスが充分発生している場合には、燃焼バーナー42による燃焼は、燃料の供給を絞ることにより適宜制限される。
【0040】
一次冷却手段5は、ガス燃焼炉の排ガスを気体−気体熱交換方式によって冷却処理する。一次冷却手段5は、冷却媒体が供給される胴体51内に、被冷却ガスであるガス燃焼炉4からの排ガスが流通する熱伝導管52を備えて構成される。尚、図示省略されているが、一次冷却手段5には、所定温度の熱ガスを得るための温度測定手段が付帯される。
【0041】
一次冷却手段5は、冷却媒体に系外から導入された空気を利用している。そして、前記温度測定手段によって被冷却ガスの温度を監視しながら、ガス温度が露点腐食を惹起しない程度(約300〜200℃程度)となるように、冷却媒体(空気)の供給量を調整する。そして、この冷却媒体から熱交換によって得た熱ガスを、ガス導入管53を介して、熱風炉2に供給している((A)ライン)。ここで、熱風炉2を介さずに、供給管54を介して、直接、熱分解炉1に供給してもよい((B)ライン)。また、ガス導入管55を介して、炭化物燃焼炉3に供給してもよい((C)ライン)。
【0042】
尚、ガス燃焼炉4の排ガスを一次冷却手段5に供給する連絡路には、ガス温度調整用の空気を導入するための供給路を具備するとよい。ガス燃焼炉4での燃焼ガス温度が約900〜1000℃以上となった場合には、冷却手段に損傷を及ぼす恐れがあるので、ここでは冷却空気を導入することにより排ガス温度を所定の値までに(例えば約850℃)下げている。
【0043】
二次冷却手段6は、冷却媒体を直接被冷却ガスに供給する方式を採用する。二次冷却手段6は、図2に示したように、一次冷却手段5とバグフィルタ7とを連絡する経路60に設置され、一次冷却手段5にて冷却処理されたガスが被冷却ガスとして流通する配管61に、冷却媒体を供給するための配管62を備えて成る。
【0044】
配管61は、フランジ接続によって経路60に設けられる。また、冷却媒体には、系外から導入した新鮮な空気を利用している。新鮮な空気とは、少なくとも硫黄成分を含んでいない空気を意味する。さらに、冷却媒体の供給量を任意に調整させることを可能とするために、配管62には、開度調整が自在な可動板63が設置される。尚、可動板63の代わりに、開度調整が自在なバルブ手段を設置してもよい。
【0045】
また、当該熱分解処理施設は、二次冷却手段6にて冷却処理されたガスを、所定温度(150℃程度)に冷却処理した後、バグフィルタ7、ブロア8及び煙突9を介して、系外に排出している。ここで、排出ガスの温度を150℃程度としたのは、ガス中に硫黄成分が含まれていると、ガス温度が150℃以下(約120〜100℃程度)になると結露し硫酸となり、これが配管を腐食させる(露点腐食)可能性があるからである。
【0046】
本発明の熱分解処理施設の動作例について概説する。
【0047】
先ず、分解炉1では、被処理物(被処理物の大きさは、例えば10〜20mm角アンダーに予め破砕処理される)と添加混合した薬剤(例えば、炭酸水素ナトリウム 添加量 10重量%)とが投入され、例えば300〜500℃の雰囲気及び一定の滞留時間(例えば約30分間)のもとで、乾留処理される。このとき、被処理物に含有する塩素などの有機ハロゲン化合物が被処理物から分解析出する。また、析出した塩素成分は添加混合している脱塩素剤と接触反応して無害な塩化物(無機の塩化物)に置換生成する。
【0048】
さらに、他の分解析出したガス成分は、乾留ガス導入経路40を介してガス燃焼炉4における燃焼処理に供され、一定の雰囲気及び滞留時間のもとで(例えば、約850℃の雰囲気で、2秒以上の滞留時間)、無害化処理される。また、熱分解炉1における熱分解処理により発生した分解ガス(乾留ガス)も、熱風ガスの一部と新鮮な空気と共に、乾留ガス導入管40を介して、ガス燃焼炉4に導入され、燃焼処理される。
【0049】
一方、熱分解炉1での熱分解処理により発生した残渣は、炭化物燃焼炉3に供給され600〜1000℃の雰囲気で加熱処理されて灰化され、このとき発生した燃焼排ガスはガス燃焼炉4における燃焼処理に供される。
【0050】
ガス燃焼炉4にて発生したガスは、被冷却ガスとして、一次冷却手段5に供給される。当該ガスは、空気を冷却媒体する気体−気体の熱交換によって、気体温度例えば850℃から300℃程度までに冷却処理される。これにより、露点腐食現象を生じさせることなく、排ガスを第二冷却手段6に移行させることができる。また、この熱交換によって得た熱ガスは、(A)ラインまたは(B)ラインさらには(C)ラインを介して、熱風炉2または熱分解炉1さらには炭化物燃焼炉3に供され、熱源及び熱媒体として利用される。
【0051】
尚、この冷却過程において、被冷却ガスの温度域が600〜300℃となった場合、該ガス中にダイオキシン類構成元素(例えば、酸素や塩素成分さらには炭化水素)が存在していると、ダイオキシン類の再合成(デノボ生成)を引き起こす恐れがある(通説では、500〜300℃が再合成温度域)。当該熱分解処理施設では、被処理物が有機ハロゲン化合物を含む場合、被処理物に、これと接触反応して無害な塩化物を生成する薬剤を添加混合することで、ダイオキシン類の構成元素の塩素成分を除去しているので、ダイオキシン類の生成及びデノボ生成現象は生じない。
【0052】
次いで、一次冷却手段5から排出されたガスは、二次冷却手段6において、バクフィルターの耐熱温度を考慮しながら、新鮮な空気によって例えば300℃から200℃以下(150℃以上)の温度に降下され、その後、バグフィルタ6にて浄化された後、系外に排出される。
【0053】
二次冷却手段6の新鮮空気導入部は、前述のように、簡単な配管構成となっているので、万が一配管部に露点腐食現象が発生しても、この腐食現象の早期発見が可能で、また簡単な交換作業で対応ができる。
【0054】
このように、当該熱分解処理施設は、一次、二次のハイブリッド冷却方式によって露点腐食を防止する共に低廉な排ガスの冷却が可能で、また、熱交換により得た高温ガスは熱分解処理に供することができるので、熱分解処理系におけるエネルギーコストが削減され、エネルギー的により効率な被処理物の熱分解処理ができる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は以下の効果を奏する。
【0056】
排出する高温排ガスを気体−気体の熱交換により、排ガス中の腐食性成分の凝結による腐食現象を惹起しない十分な温度まで冷却し、次いで、排出のために新鮮な空気を導入して二次冷却しているので、露天腐食現象を生じさせることなく、熱交換器の耐食性を維持させることができる。
【0057】
また、新鮮な空気を導入する二次冷却過程において、露天腐食現象が発生しても、この部分は単なる配管であるので、腐食の発見が容易であり、かつ簡単な交換作業で対応が可能となることから、保守管理の観点からも有効となる。
【0058】
さらに、熱交換により得た高温ガスは熱分解処理に供することができるので、熱分解処理系におけるエネルギーコストが削減される。
【0059】
よって、本発明によれば、被処理物の熱分解処理系において、露点腐食を防止する共に、排ガスの冷却を安価に行い、かつ当該処理系から排出されたガスを有効利用して、エネルギー効率を向上させる安価な排ガス冷却システムを備えた熱分解処理方法とその施設を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である熱分解処理施設の概略図。
【図2】本発明における冷却手段の一実施形態を示した概略構成図。
【符号の説明】
1…熱分解炉,11…回転炉,12…加熱ジャケット
2…熱風炉
3…炭化物燃焼炉
4…ガス燃焼炉
5…一次冷却手段、51…胴体、52…熱伝導管
6…二次冷却手段、61,62…配管、63…可動板
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物等を加熱して熱分解処理した場合に発生する熱分解ガスの燃焼処理に係わり、特に熱分解ガスの燃焼処理時に発生する排ガスを熱交換により安全に、冷却し、また得た高温空気を有効利用する熱分解処理方法とその処理施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物などの熱分解処理を行う場合、熱処理によって発生した分解ガスなどは、800℃以上、2秒以上で燃焼処理して排出すること、また、ダイオキシン類の再合成防止を図る趣旨から、排ガス温度を降下するときに600〜300℃の温度域を短時間に冷却通過することが求められている。
【0003】
このことから、一般的には、高温排ガスの冷却手段としては、気体−液体による熱交換により温水として回収する方法(以下、方法1)、排ガスに冷却空気を導入して排ガスを冷却する方法(以下、方法2)、または方法1と方法2を併用する方法(以下、方法3)が採られている。また、排ガスを熱交換器にて高温気体を得、これを熱交換手段に利用する方法(以上、方法4)として特開平10−2528号が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記方法1は、気体−液体による熱交換により排ガスを冷却する場合には副産物として温水が発生する。この場合には、施設の規模、状況により温水の使い道が整わない場合があり、このときには廃棄する必要となるが、そうなると新たな課題を惹起することになる。
【0005】
また、前記方法2は、排ガスに冷却空気を導入しての排ガスを冷却しているが、この場合には、排ガス量が多くなることから、排気ブロア、バクフィルターが大型化する問題がある。
【0006】
前記方法3の場合も、先の方法1及び2の問題と程度の差はあるものの、同様な課題がある。
【0007】
前記方法4の特開平10−2528号は、気体−気体による熱交換を開示しているが、これは冷却した排ガスを得るものではない。
【0008】
さらに、高温排ガスを冷却する場合に、露天腐食現象に注意する必要がある。露天腐食現象とは、燃焼により排ガス中に亜硫酸ガスなどの腐食性成分が含まれる場合に、水分と結合して硫酸などの腐食性物質を生成して金属を腐食する現象である。
【0009】
しかしながら、方法1〜4のいずれも、排ガス冷却時の露点腐食現象については着目されていない。
【0010】
気体−気体熱交換のみにより、850℃付近から150℃付近までに冷却することは可能であるが、排ガスは腐食性成分を含有する場合には、代表的な露点腐食現象である硫黄成分による硫酸生成による腐食現象を惹起する可能性がある。
【0011】
この現象が熱交換器内で生じた場合には、腐食の察知、腐食箇所の発見といった作業が非常に煩雑なものとなる。しかも、腐食を発見した場合には、熱交換器の交換が必要となり、非常に高価なものにつく。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、被処理物の熱分解処理系において、露点腐食を防止する共に、排ガスの冷却を安価に行い、かつ当該処理系から排出されたガスを有効利用して、エネルギー効率を向上させた熱分解処理方法及びその施設の提供、にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、被処理物を加熱して熱分解する熱分解処理方法において、
熱分解により発生した分解ガスを燃焼して発生した燃焼排ガスを、気体−気体による熱交換によって冷却する一次冷却工程と、
前記一次冷却したガスに新鮮な空気を導入することによってさらに冷却する二次冷却工程とを有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱分解処理方法において、
前記一次冷却工程における冷却は、排ガス中の成分による露点腐食を惹起しない約300〜200℃程度のガス温度となるように、燃焼排ガスを冷却処理することを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の熱分解処理方法において、
前記二次冷却工程における冷却は、150℃程度までのガス温度とすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか記載の熱分解処理方法において、前記一次冷却工程における熱交換によって得た熱ガスの少なくとも一部を、被処理物を加熱するための熱風ガスに供したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか記載の熱分解処理方法において、一次冷却工程における熱交換によって得た熱ガスの少なくとも一部を、熱分解残渣の燃焼に供したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、熱分解処理施設であって、
被処理物を熱風ガスにより加熱分解して分解ガスを得る熱分解炉と、
熱分解炉に熱風を送出する熱風炉と、
前記分解ガスが供給され、これを燃焼して燃焼排ガスを得るガス燃焼炉と、
前記燃焼排ガスが供給され、これを気体−気体による熱交換によって冷却する一次冷却手段と、
一次冷却手段にて冷却されたガスが供給され、このガスに新鮮な吸気を供給することにより、該ガスをさらに冷却する二次冷却手段と、
を備えたことを特徴するものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の熱分離処理施設において、
前記二次冷却手段は、前記一次冷却手段にて冷却処理されたガスが被冷却ガスとして流通する配管に、新鮮な空気を供給するための配管を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の熱分解処理施設において、
熱分解炉で被処理物を熱分解して得た熱分解残渣が供給され、これを燃焼する炭化物燃焼炉を備え、炭化物燃焼炉からの排ガスは、ガス燃焼炉に供給したことを特徴するものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項1から9のいずれか記載の熱分解処理方法及びその施設において、被処理物に有機ハロゲン化合物と反応して無害な塩化物を生成する薬剤を添加混合することを特徴するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
発明者は、鋭意検討した結果、以下のことを見出した。
【0023】
すなわち、廃棄物等を加熱して熱分解処理した場合に発生する熱分解ガスの燃焼処理において、
熱分解処理系からの排ガスを露点腐食現象が生じない程度の温度に冷却する一次冷却と、さらにこのガスを新鮮空気の導入によって冷却する二次冷却と、を組み合わせたハイブリット冷却とすることによって、
熱分解処理系における冷却システムが安価になることを見出し、さらに一次冷却における熱交換によって得た高温ガスを熱分解処理に供することで、熱分解処理におけるエネルギーコストの削減が可能となることを見出した。
【0024】
以下に、本発明の実施形態について述べる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態例の一例である熱分解処理施設の概略構成図であり、図2は、本発明における冷却手段の一実施形態を示した概略構成図である。
【0026】
図1に示されたように、熱分解炉1は、回転キルン方式を採用し、自在に回転する円筒状の回転炉11と、回転炉11の外周にガスダクトを形成し、熱風ガスを導入して回転炉11を外部から加熱する外部加熱手段としての加熱ジャケット12と、回転炉11を両端側で回転自在に支承する支持ローラ14a,14bと、回転炉11を回転駆動する回転駆動源15と、を具備してなる。熱風ガスは、後述の熱風炉2から導入している。尚、本実施形態においては、熱分解炉1を1基配置しているが、被処理物の負荷量、処理形態に応じて適宜複数配置される。
【0027】
回転炉11は、その一端側に被処理物を搬入する図示省略した供給口を、また他端側に図示省略した排出口を設け、炉の内部には、回転炉11の軸線に対して傾斜した図示省略された送り羽根を複数枚具備させている。そして、供給側ダクト10から供給された被処理物を、供給口側から回転炉11に導入し、回転炉11の回転によって、該被処理物を撹拌しながらの排出口側への移送を可能とさせている。また、供給側ダクト10には、被処理物と脱塩素剤とを混合した混合物を投入するためのホッパー設備16が具備される。さらに、回転炉11の排出側には、乾留ガスと熱分解残渣(炭化物)とを分離排出するための排出ジャケット17が具備される。
【0028】
尚、被処理物が有機ハロゲン化合物を含有する場合、熱分解炉1では、加熱により分解析出した有機ハロゲン化合物と接触反応して無害な塩化物を生成する薬剤を、被処理物と共に添加混合して加熱処理している。
【0029】
薬剤は、塩素と接触反応して無害な塩化物に置換生成する薬剤である。例えば、発明者らが先に出願している、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物中の少なくとも1種類を選択または2種類以上を混合したものが有効である。
【0030】
アルカリ金属化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムの、酸化物、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硝酸塩または硫酸塩等が挙げられる。
【0031】
具体的なアルカリ金属化合物の処理剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。尚、炭酸水素ナトリウムは、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと別称される。炭酸ナトリウムは、炭酸ソーダ、ソーダ、ソーダ灰、洗濯ソーダまたは結晶ソーダと別称される。セスキ炭酸ナトリウムは、二炭酸一水素ナトリウム、三二炭酸水素ナトリウムまたはナトリウムセスキカーボネートと別称される。天然ソーダは、トロナと別称される。
【0032】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムの、酸化物、水酸化物、炭酸水素塩または炭酸塩等が挙げられる。
【0033】
具体的なアルカリ金属化合物の処理剤としては、例えば、石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)またはドロマイド(CaCO3・MgCO3)等が挙げられる。
【0034】
熱風炉2は、熱風ガス(温度450〜600℃)を発生させて熱分解炉1に供給する設備であり、熱風を発生させるための燃焼バーナー21を備えている。また、本実施形態において、熱風炉2は、後述の一次冷却手段5から熱ガスを補充導入するための熱ガス導入管53を備えている。熱風炉2にて得た熱ガスは、供給管22を介して、熱分解炉1の加熱ジャケット12内に供給される。このように、熱風炉2から供給された熱風ガスによって、熱分解炉1内部の被処理物は、外部から間接加熱されて乾留処理される。
【0035】
炭化物燃焼炉3は、熱分解炉1から供給された残渣(炭化物)を燃焼させて灰化させるための設備である。当該残渣は、熱分解炉1の排出ジャケット17からパイプコンベアなどの搬送手段を介して導入している。尚、炭化物燃焼炉3は、目的に応じて、炭化物中の揮発成分を一層除去して固定炭粉の多い炭化物を得るとか、賦活処理によって活性炭を得るために利用できる。
【0036】
炭化物燃焼炉3は、前記加熱処理物が供給される図示省略した回転炉を備え、この回転炉は筒状の鋼材からなり、その筒状の鋼材の内部にはキャスタブル材による耐火・耐熱層(図示省略)が設けられている。
【0037】
回転炉は、軸方向の両側が回転ローラで支持され、駆動源により回転される。当該回転炉は、進行方向に2〜3度傾斜して構成され、自然搬送が可能となるようにしている。また、回転炉の内部には、図示しないが軸方向に延び且つ半径方向に突出した回転搬送手段を備えている。そして、回転炉の上流側、すなわち、被燃焼処理物投入側には、箱状の投入ジャケットが具備され、炭化物の搬送手段(スクリュー、スパイラル)と、炭化物を着火燃焼する燃焼バーナー31とが具備されている。また、回転炉の下流側、すなわち、灰化物排出側には、内部にキャスタブル材による耐火・耐熱層を装着した箱状の排出ジャケットが具備される。排出ジャケットから排出された灰化物は、図示省略した灰回収箱にて回収される。尚、排出ジャケットからの排ガスは、ガス燃焼炉4に供される。
【0038】
ガス燃焼炉4は、熱分解炉1で発生した乾留ガスを燃焼処理する。ここでは、乾留ガスを乾留ガス導管40からエゼクタ41を介して導入している。このとき、ガス燃焼炉4には、加熱ジャケット12からの排熱風ガスが、循環ブロア43とエゼクタブロア44等の移送手段によって、エゼクタ41を介し導入される。尚、乾留ガス導管40は熱ガスによって保温され、浮遊物が導管内壁に付着するのを防いでいる。
【0039】
ガス燃焼炉4は、導入したガスを燃焼するガス燃焼室を備える。ガス燃焼室においては、乾留ガスさらには炭化物燃焼炉3で発生した排ガスを導入して燃焼バーナー42によって混合燃焼する。尚、乾留ガスが充分発生している場合には、燃焼バーナー42による燃焼は、燃料の供給を絞ることにより適宜制限される。
【0040】
一次冷却手段5は、ガス燃焼炉の排ガスを気体−気体熱交換方式によって冷却処理する。一次冷却手段5は、冷却媒体が供給される胴体51内に、被冷却ガスであるガス燃焼炉4からの排ガスが流通する熱伝導管52を備えて構成される。尚、図示省略されているが、一次冷却手段5には、所定温度の熱ガスを得るための温度測定手段が付帯される。
【0041】
一次冷却手段5は、冷却媒体に系外から導入された空気を利用している。そして、前記温度測定手段によって被冷却ガスの温度を監視しながら、ガス温度が露点腐食を惹起しない程度(約300〜200℃程度)となるように、冷却媒体(空気)の供給量を調整する。そして、この冷却媒体から熱交換によって得た熱ガスを、ガス導入管53を介して、熱風炉2に供給している((A)ライン)。ここで、熱風炉2を介さずに、供給管54を介して、直接、熱分解炉1に供給してもよい((B)ライン)。また、ガス導入管55を介して、炭化物燃焼炉3に供給してもよい((C)ライン)。
【0042】
尚、ガス燃焼炉4の排ガスを一次冷却手段5に供給する連絡路には、ガス温度調整用の空気を導入するための供給路を具備するとよい。ガス燃焼炉4での燃焼ガス温度が約900〜1000℃以上となった場合には、冷却手段に損傷を及ぼす恐れがあるので、ここでは冷却空気を導入することにより排ガス温度を所定の値までに(例えば約850℃)下げている。
【0043】
二次冷却手段6は、冷却媒体を直接被冷却ガスに供給する方式を採用する。二次冷却手段6は、図2に示したように、一次冷却手段5とバグフィルタ7とを連絡する経路60に設置され、一次冷却手段5にて冷却処理されたガスが被冷却ガスとして流通する配管61に、冷却媒体を供給するための配管62を備えて成る。
【0044】
配管61は、フランジ接続によって経路60に設けられる。また、冷却媒体には、系外から導入した新鮮な空気を利用している。新鮮な空気とは、少なくとも硫黄成分を含んでいない空気を意味する。さらに、冷却媒体の供給量を任意に調整させることを可能とするために、配管62には、開度調整が自在な可動板63が設置される。尚、可動板63の代わりに、開度調整が自在なバルブ手段を設置してもよい。
【0045】
また、当該熱分解処理施設は、二次冷却手段6にて冷却処理されたガスを、所定温度(150℃程度)に冷却処理した後、バグフィルタ7、ブロア8及び煙突9を介して、系外に排出している。ここで、排出ガスの温度を150℃程度としたのは、ガス中に硫黄成分が含まれていると、ガス温度が150℃以下(約120〜100℃程度)になると結露し硫酸となり、これが配管を腐食させる(露点腐食)可能性があるからである。
【0046】
本発明の熱分解処理施設の動作例について概説する。
【0047】
先ず、分解炉1では、被処理物(被処理物の大きさは、例えば10〜20mm角アンダーに予め破砕処理される)と添加混合した薬剤(例えば、炭酸水素ナトリウム 添加量 10重量%)とが投入され、例えば300〜500℃の雰囲気及び一定の滞留時間(例えば約30分間)のもとで、乾留処理される。このとき、被処理物に含有する塩素などの有機ハロゲン化合物が被処理物から分解析出する。また、析出した塩素成分は添加混合している脱塩素剤と接触反応して無害な塩化物(無機の塩化物)に置換生成する。
【0048】
さらに、他の分解析出したガス成分は、乾留ガス導入経路40を介してガス燃焼炉4における燃焼処理に供され、一定の雰囲気及び滞留時間のもとで(例えば、約850℃の雰囲気で、2秒以上の滞留時間)、無害化処理される。また、熱分解炉1における熱分解処理により発生した分解ガス(乾留ガス)も、熱風ガスの一部と新鮮な空気と共に、乾留ガス導入管40を介して、ガス燃焼炉4に導入され、燃焼処理される。
【0049】
一方、熱分解炉1での熱分解処理により発生した残渣は、炭化物燃焼炉3に供給され600〜1000℃の雰囲気で加熱処理されて灰化され、このとき発生した燃焼排ガスはガス燃焼炉4における燃焼処理に供される。
【0050】
ガス燃焼炉4にて発生したガスは、被冷却ガスとして、一次冷却手段5に供給される。当該ガスは、空気を冷却媒体する気体−気体の熱交換によって、気体温度例えば850℃から300℃程度までに冷却処理される。これにより、露点腐食現象を生じさせることなく、排ガスを第二冷却手段6に移行させることができる。また、この熱交換によって得た熱ガスは、(A)ラインまたは(B)ラインさらには(C)ラインを介して、熱風炉2または熱分解炉1さらには炭化物燃焼炉3に供され、熱源及び熱媒体として利用される。
【0051】
尚、この冷却過程において、被冷却ガスの温度域が600〜300℃となった場合、該ガス中にダイオキシン類構成元素(例えば、酸素や塩素成分さらには炭化水素)が存在していると、ダイオキシン類の再合成(デノボ生成)を引き起こす恐れがある(通説では、500〜300℃が再合成温度域)。当該熱分解処理施設では、被処理物が有機ハロゲン化合物を含む場合、被処理物に、これと接触反応して無害な塩化物を生成する薬剤を添加混合することで、ダイオキシン類の構成元素の塩素成分を除去しているので、ダイオキシン類の生成及びデノボ生成現象は生じない。
【0052】
次いで、一次冷却手段5から排出されたガスは、二次冷却手段6において、バクフィルターの耐熱温度を考慮しながら、新鮮な空気によって例えば300℃から200℃以下(150℃以上)の温度に降下され、その後、バグフィルタ6にて浄化された後、系外に排出される。
【0053】
二次冷却手段6の新鮮空気導入部は、前述のように、簡単な配管構成となっているので、万が一配管部に露点腐食現象が発生しても、この腐食現象の早期発見が可能で、また簡単な交換作業で対応ができる。
【0054】
このように、当該熱分解処理施設は、一次、二次のハイブリッド冷却方式によって露点腐食を防止する共に低廉な排ガスの冷却が可能で、また、熱交換により得た高温ガスは熱分解処理に供することができるので、熱分解処理系におけるエネルギーコストが削減され、エネルギー的により効率な被処理物の熱分解処理ができる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は以下の効果を奏する。
【0056】
排出する高温排ガスを気体−気体の熱交換により、排ガス中の腐食性成分の凝結による腐食現象を惹起しない十分な温度まで冷却し、次いで、排出のために新鮮な空気を導入して二次冷却しているので、露天腐食現象を生じさせることなく、熱交換器の耐食性を維持させることができる。
【0057】
また、新鮮な空気を導入する二次冷却過程において、露天腐食現象が発生しても、この部分は単なる配管であるので、腐食の発見が容易であり、かつ簡単な交換作業で対応が可能となることから、保守管理の観点からも有効となる。
【0058】
さらに、熱交換により得た高温ガスは熱分解処理に供することができるので、熱分解処理系におけるエネルギーコストが削減される。
【0059】
よって、本発明によれば、被処理物の熱分解処理系において、露点腐食を防止する共に、排ガスの冷却を安価に行い、かつ当該処理系から排出されたガスを有効利用して、エネルギー効率を向上させる安価な排ガス冷却システムを備えた熱分解処理方法とその施設を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である熱分解処理施設の概略図。
【図2】本発明における冷却手段の一実施形態を示した概略構成図。
【符号の説明】
1…熱分解炉,11…回転炉,12…加熱ジャケット
2…熱風炉
3…炭化物燃焼炉
4…ガス燃焼炉
5…一次冷却手段、51…胴体、52…熱伝導管
6…二次冷却手段、61,62…配管、63…可動板
Claims (9)
- 被処理物を加熱して熱分解する熱分解処理方法において、
熱分解により発生した分解ガスを燃焼して発生した燃焼排ガスを、気体−気体による熱交換によって冷却する一次冷却工程と、
前記一次冷却したガスに新鮮な空気を導入することによってさらに冷却する二次冷却工程とを有すること
を特徴とする熱分解処理方法。 - 前記一次冷却工程における冷却は、排ガス中の成分による露点腐食を惹起しない約300〜200℃程度のガス温度となるように、燃焼排ガスを冷却処理すること
を特徴とする請求項1記載の熱分解処理方法。 - 前記二次冷却工程における冷却は、150℃程度までのガス温度とすること
を特徴とする請求項1または2記載の熱分解処理方法。 - 前記一次冷却工程における熱交換によって得た熱ガスの少なくとも一部を、被処理物を加熱するための熱風ガスに供したこと
を特徴とする請求項1から3のいずれか記載の熱分解処理方法。 - 一次冷却工程における熱交換によって得た熱ガスの少なくとも一部を、熱分解残渣の燃焼に供したこと
を特徴とする請求項1から4のいずれか記載の熱分解処理方法。 - 被処理物を熱風ガスにより加熱分解して分解ガスを得る熱分解炉と、
熱分解炉に熱風を送出する熱風炉と、
前記分解ガスが供給され、これを燃焼して燃焼排ガスを得るガス燃焼炉と、
前記燃焼排ガスが供給され、これを気体−気体による熱交換によって冷却する一次冷却手段と、
一次冷却手段にて冷却されたガスが供給され、このガスに新鮮な吸気を供給することにより、該ガスをさらに冷却する二次冷却手段と、を備えたこと
を特徴する熱分解処理施設。 - 前記二次冷却手段は、前記一次冷却手段にて冷却処理されたガスが被冷却ガスとして流通する配管に、新鮮な空気を供給するための配管を備えたこと
を特徴とする請求項6記載の熱分離処理施設。 - 熱分解炉で被処理物を熱分解して得た熱分解残渣が供給され、これを燃焼する炭化物燃焼炉を備え、
炭化物燃焼炉からの排ガスは、ガス燃焼炉に供給したこと
を特徴する請求項6または7記載の熱分解処理施設。 - 被処理物に有機ハロゲン化合物と反応して無害な塩化物を生成する薬剤を添加混合すること
を特徴する請求項1から8のいずれか記載の熱分解処理方法及びその施設。
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