JP3893159B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは結晶化速度が速く、かつ、強度,伸びが大きい等の靭性に優れ,熱的にも安定なポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
【0002】
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)は、その優れた耐熱性、耐薬品性を生かして電気・電子機器部材、自動車機器部材として注目を集めている。また、射出成形、押出成形等により各種成型部品、フィルム、シート、パイプ、繊維等に成形可能であり、耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用いられている。
【0003】
【従来の技術】
PPSは
−φ−S−
(式中φはフェニレン基を示す。以下、同じ)
を主な構成単位とする重合体であり、その製造方法としては特公昭45−3368号公報、米国特許3793256号公報、特公昭52−12240号公報等に開示されている。しかし、これらの製造方法によるPPSは脆く、成形加工温度(特に金型温度)を高くする必要があることが一般的に知られている。
【0004】
PPSに靭性を付与する方法として、変性ポリオレフィンを添加する方法が特開昭58−154757号公報等に、ポリアミド系エラストマーやポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを添加する方法が特開昭59−113055号公報に開示されている。
【0005】
PPSの加工性を改良する方法として、オリゴマー状エステルを添加する方法が特開昭62−45654号公報に、モノマー性のカルボン酸エステルを添加する方法が特開昭62−230848号公報に、他のチオエーテルを添加する方法が特開昭62−230849号公報に、特定の芳香族リン酸エステルを添加する方法が特開昭62−230850号公報および特開平1−225660号公報に、ポリアルキレングリコールを添加する方法が特開平4−103661号公報、特開平4−103664号公報,特開平5−194848号公報,特開平6−207102号公報開に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、靭性を付与する方法として、変性ポリオレフィンを使用した場合、変性ポリオレフィンを多量に添加することにより靭性の改善が可能となるが、PPSが本来有している耐熱性,耐薬品性,難燃性が消失してしまうため好ましくない。また、熱可塑性エラストマーを添加する方法においては、記載されている熱可塑性エラストマーはPPSとの相溶性に乏しく、靭性改良効果に乏しいばかりでなく、成形品の外観不良を引き起こす等の問題を有している。
【0007】
そして、PPSの加工性を改良する方法については、いずれの方法においても添加物の耐熱性が乏しいため成形加工時に蒸発ガスや分解ガスが発生したり、添加物が低分子量であるため成形品表面に移行し、添加物が金型表面や成形品表面を汚染する等の問題を有するものである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、PPSの耐熱性、耐薬品性、難燃性等の優れた性質に加え、結晶化速度が速く、かつ、靭性にも優れており、さらに熱的特性を改善し、成形加工時の諸問題をも解決したポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、PPSと特定のエステルアミド共重合体よりなる組成物が上記課題を解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は酸素共存下酸素架橋させたポリフェニレンスルフィドであって、10〜50000ポイズの溶融粘度を有し、−φ−S−で示される繰り返し単位70モル%以上を含むポリフェニレンスルフィド80〜98重量%と下記式(I)で示される芳香族オリゴアミド鎖10〜90重量%
−CO−R−NH−CO−R−CO−NH−R−CO− (I)
(式中R、Rは各々炭素数6〜30の二価の芳香族基を示す)
数平均分子量500〜10000のポリアルキレンオキシド鎖90〜10重量%からなる数平均分子量5000〜500000のエステルアミド共重合体2〜20重量%とからなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、以下詳細に説明する。
【0011】
本発明で用いられるPPSについては、溶融粘度が10〜50000ポイズであれば特に制限はなく、特公昭45−3368号公報、米国特許3793256号公報、特公昭52−12240号公報等の公知の方法により得ることがでる。
そして、その構造単位は、結合単位:
−φ−S−
で示される繰り返し単位を70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上を含むものが好ましい。さらに、繰り返し単位としてp−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上含有するPPSは、結晶性が高く、耐熱性にも優れるために特に好適に用いられる。
【0012】
その残りの繰り返し単位としては共重合可能な単位であれば制限はなく、例えば、ジフェニルスルフィドエーテル単位、ジフェニルスルフィドスルホン単位,ジフェニルスルフィドケトン単位、ビフェニルスルフィド単位、ナフタレンスルフィド単位、3官能フェニレンスルフィド単位等が挙げられる。これらの共重合単位は、ブロック共重合されていてもランダム共重合されていてもよい。
【0013】
好ましいPPSの具体例としては、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポリ(m−フェニレンスルフィド)ブロック共重合体、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポリフェニレンスルフィドスルホン共重合体が挙げられる。
【0014】
また、本発明において用いられるPPSは、高化式フローテスター(ダイス;内径0.5mm,長さ2.0mm、荷重10kg)を用い、300℃で測定した溶融粘度が10〜50000ポイズのものである。溶融粘度が10ポイズ未満の場合は、溶融粘度が低すぎて通常PPSで適用される溶融成形法を用いることができない。また、溶融粘度が50000ポイズを越える場合においては、溶融粘度が高すぎ溶融成形が困難となり好ましくない。そして、良好な成形性を示す50〜30000ポイズの範囲がより好ましい。。
【0015】
さらに、PPSは酸素共存下酸素架橋させたものである
【0016】
また、上記PPSは、脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄等)を行うことによりナトリウムイオンを低減させたものであってもよい。
【0017】
本発明で用いられるエステルアミド共重合体は、式(I)で示される芳香族オリゴアミド鎖からなるハードセグメントとポリアルキレンオキシド鎖よりなるソフトセグメントとからなる共重合体であり、本共重合体は特開平6−207007号公報に詳細に記載されており、熱可塑性エラストマーとしての挙動を示すものである。以下に、PPSに添加しPPSの諸特性を向上させるのに特に有効なエステルアミド共重合体に関し詳細に記載する。
【0018】
本発明で用いられるエステルアミド共重合体のハードセグメントは、式(I)で示される芳香族オリゴアミド鎖であり、R1、R2はエステルアミド共重合体に耐熱性を付与するために各々炭素数6〜30の二価の芳香族基を示すものである。そして、エステルアミド共重合体の耐熱性と成形加工性のバランスが優れるためにR1,R2がp−二置換ベンゼン残基であるものが特に好ましく用いられる。
【0019】
一方、ソフトセグメントは、数平均分子量が500〜10000のポリアルキレンオキシド鎖であり、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体、ポリプロピレンオキシドのエチレンオキシド付加重合体等のポリアルキレンオキシド鎖があげられるが、PPSの成形加工条件に耐え得る熱安定性を考慮すると、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体をポリアルキレンオキシド鎖として用いることが好ましい。また、数平均分子量が500未満又は10000を越えるのポリアルキレンオキシド鎖を用いた場合、得られるエステルアミド共重合体のエラストマーとしての特性が低下し好ましくない。
【0020】
また、本発明において用いられるエステルアミド共重合体においては、エステルアミド共重合体の製造時により一層の高分子量化を達成するために、エステルアミド共重合体のエラストマーとしての特性を阻害しない範囲で必要に応じて鎖延長剤としてジカルボン酸単位を導入することが可能である。必要に応じて添加される鎖延長剤であるジカルボン酸単位としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸単位が用いられる。
【0021】
このエステルアミド共重合体の製造方法は、とくに限定されるわけではないが、例えば前記芳香族オリゴアミド鎖の前駆体である芳香族オリゴエステルアミドアルキルエステルおよびポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび必要に応じてジカルボン酸ジエステルとを溶融反応により製造する方法(特開平6−207007号公報)や、溶融反応によりポリ(アルキレンオキシド)グリコールの末端を芳香族アミノカルボン酸化合物で置換した後、これを有機溶媒中で芳香族ジカルボン酸ジクロリドと反応させることにより製造する方法(特願平5−2056号公報)、もしくは、芳香族オリゴエステルアミドアルキルエステルとポリ(アルキレンオキシド)グリコールとを特定の溶媒中で反応させ、プレポリマーを得た後、溶媒を除去し溶融反応により製造する方法(特願平5−66716号公報)等が挙げられる。
【0022】
本発明で用いられるエステルアミド共重合体の添加量は、得られた組成物がより靭性、耐熱性、耐薬品性、難燃性等に優れるためにPPSとエステルアミド共重合体の組成物に対して2〜20重量%である
【0023】
本発明のPPS/エステルアミド共重合体組成物の製造方法としては、溶液ブレンドや溶融ブレンド等の通常用いられている方法が利用できるが、バッチ式の溶融混練装置や1軸又は2軸の押出機等により溶融ブレンドする方法が好ましい。そして、PPS/エステルアミド共重合体組成物の製造条件としては、混練温度290〜340℃、剪断速度10〜500sec-1で3〜10分間混練することが好ましく、このような条件を設定することによりPPSとエステルアミド共重合体の相溶性を高め、PPS/エステルアミド共重合体組成物に良好な性質を付与することができる。
【0024】
以上の様にして得られたPPS/エステルアミド共重合体組成物は、PPS本来の優れた耐熱性,耐薬品性,難燃性を保持した上に、伸び等の靭性を大幅に改善することができる。また上記組成物は、結晶化速度が従来のPPSに比べ著しく速いため、低温金型を用いても射出成形によって十分に結晶化し、耐熱性に優れた成形品を得ることができ、さらに従来のPPS/ポリアルキレングリコール組成物の欠点であった成形加工時の諸問題をも解決したものである。
【0025】
また、本発明のPPS/エステルアミド共重合体組成物の熱安定性をさらに改善するため、特開平4−103664号公報に記載されているような特定のフェノール系安定剤や特開平6−207102号公報に記載されているような特定の芳香族アミン化合物のほかに、リン酸,亜リン酸,次亜リン酸誘導体,フェニルホスフィン酸,ポリホスホネート,ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト,ジアルキルビスフェノールAジフォスファイト等のリン化合物、チオエーテル系,ジチオ酸酸塩系,メルカプトベンズイミダゾール系,チオカルバニリド系,チオジプロピオン酸エステルなどのイオウ含有化合物又はスズマレート,ジブチルスズモノオキシドなどのスズ系化合物などをPPS組成物100重量部に対して0.01〜5重量部用いることができる。
【0026】
さらに、本発明のPPS組成物は、必要に応じてガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等のセラミック繊維,アラミド繊維,全芳香族ポリエステル繊維,金属繊維,チタン酸カリウムウィスカー等の補強用充填剤、炭酸カルシウム,マイカ,タルク,シリカ,硫酸バリウム,硫酸バリウム,カオリン,クレー,パイロフェライト,ベントナイト,セリサイト,ゼオライト,ネフェリンシナイト,アタパルジャイト,ウォラストナイト,PMF,フェライト,ケイ酸カルシウム,炭酸マグネシウム,ドロマイト,三酸化アンチモン,酸化亜鉛,酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化鉄,二硫化モリブデン,黒鉛,石こう,ガラスビーズ,ガラスパウダー,ガラスバルーン,石英,石英ガラス等の無機充てん剤又は有機、無機顔料を配合することも可能である。
【0027】
また、ワックス等の離型剤、シラン系,チタネート系のカップリング剤、滑剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤又は難燃助剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0028】
さらに必要に応じて、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリスチレン、ポリブテン、ポリα−メチルスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイロン12,ナイロン11,ナイロン46等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリアリレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂などの単独重合体、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体の一種以上を混合して使用することもできる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0030】
合成例1
攪拌機、脱水塔およびジャケットを装備する内容積530lの反応器にN−メチルピロリドン110lおよび硫化ナトリウム(純度:Na2S 60.2重量%)61.1kgを仕込み、撹拌下ジャケットにより加熱し、内温が約200℃に達するまで脱水塔を通じて脱水を行った。この際、13.5lの主として水からなる留出液を留去した。次いで、p−ジクロロベンゼン68.0kgとN−メチルピロリドン48lを添加し、2時間かけて225℃まで昇温し、225℃にて2時間反応させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃で3時間反応させた。この時、圧力は10.5kg/cm2まで上昇した。
【0031】
反応終了後、反応混合液を攪拌機,ジャケットおよび減圧ラインを装備する溶媒回収器に移した。この際、N−メチルピロリドン30lを追加した。続いて、減圧下で加熱して、主としてN−メチルピロリドンからなる留出液200lを留去した。続いて、水200lを添加して水スラリーとし、80℃で15分間加熱撹拌した後、遠心分離してポリマーを回収した。
【0032】
さらに、ポリマーを溶媒回収器に戻し、水200lを添加し、180℃で30分間加熱撹拌を行い、冷却後、遠心分離機でポリマー粉末を回収した。尚、この操作を2回繰り返した。
【0033】
得られたポリマーをジャケット付きリボンブレンダーに移し乾燥を行った。このPPSを一部サンプリングし、溶融粘度を高化式フローテスター(ダイス;直径0.5mm,長さ2.0mm)を用いて300℃、10kg荷重で測定したところ、820ポイズであった。サンプリング終了後、攪拌下空気を400l/時間の流量で流しながら265℃に昇温し、5時間硬化処理を行った。硬化終了後の溶融粘度は4300ポイズであった。
【0034】
合成例2
(芳香族オリゴエステルアミドアルキルエステルの合成)
窒素導入管と攪拌翼を備えた10lのセパラブルフラスコを完全に乾燥し、窒素置換した後、アミノ安息香酸ブチル(以下BABと略す)996.5g(5モル)と脱水したN−メチルピロリドン(以下NMPと略す)2lを仕込んだ。NMPにBABを溶解させ、氷冷(0〜5℃)した。次いで、NMP2lにテレフタル酸ジクロライド(以下TPCと略す)406.0g(2モル)を溶解させた溶液を加えた。0〜5℃で6時間,室温で一昼夜反応させた後、メタノールに沈殿させ、アセトンで洗浄し、NMP/トルエンで再結晶し、融点を305℃に持つオリゴエステルアミドブチルエステル785.1g(収率76%)を得た。
【0035】
(エステルアミド共重合体の合成)
窒素導入管、温度センサー、攪拌装置、蒸留装置およびジャケット式加熱装置を備えた10l容量のオートクレーブに数平均分子量1031のポリテトラメチレングリコール299.35g、芳香族オリゴエステルアミドブチルエステル150g、フェノール系酸化防止剤(チバガイギー製、商品名Irganox1010)1.0gを仕込んだ後、100℃で減圧乾燥を行った。次にオートクレーブにテトラブチルチタネート1.404g、NMP150mlを仕込み、190℃で3.5時間反応させた後、減圧度を徐々に上げ、1時間かけて250℃まで昇温した。その後250℃、1mmHgの減圧下で4時間反応させたところ、高粘度の淡黄色のポリマーが生成した。これを窒素下で取り出したところ、398g(収率98%)のエラストマー状ポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は、GPC測定によりポリスチレン換算で52000であった。このエステルアミド共重合体を以下TPEA−1と略す。
【0036】
合成例3
数平均分子量1031のポリテトラメチレングリコールに代えて数平均分子量2014のポリテトラメチレングリコール604.4gを用い、添加するNMPの量を290mlとした以外は合成例2と同様の操作を行い、676.3g(収率94%)のエラストマー状ポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は、GPC測定によりポリスチレン換算で51000であった。このエステルアミド共重合体を以下TPEA−2と略す。
【0037】
実施例1〜4
合成例で得たPPSとTPEA−1およびTPEA−2から選ばれたエステルアミド共重合体の一種類を表1に示す組成で均一にブレンドした後、ラボミキサー(東洋精機製、商品名ラボプラストミル)を用いて300℃で10分間溶融混練した。混練後のサンプルを粉砕した後、小型射出成形機(松下電器製、商品名パナジェクション)を使用してシリンダー温度300℃、金型温度90℃の成形条件下射出成形を行い試験片を作成し、ASTM D638に従い引張強度、伸びを測定した。さらに、上述の混練後のサンプル10mgをAl製DSCサンプル容器に入れて密封し、320℃で5分間加熱溶融させた後、急冷させた非晶サンプルを用い、DSC(セイコー電子製)にて10℃/分の昇温速度で昇温することにより、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表1にまとめて示す。
【0038】
比較例1
合成例1で得られたPPSのみを実施例と同様の操作で混練し、同様の評価を行った。ただし、試験片の作成時金型温度90℃では、流動不良により成形不可能であったので金型温度を120℃とした。結果を表1に示すが、エステルアミド共重合体を添加しないと実施例に比べ伸びが小さく、結晶化速度も遅いことがわかる。
【0039】
比較例2、3
合成例で得られたPPSとPBTをハードセグメント、ポリテトラメチレングリコールをソフトセグメントとするポリエステルエラストマー(東洋紡製,商品名ペルプレン P−70B)とを表1に示す組成で均一にブレンドした後、実施例と同様の操作で混練し、同様の評価を行った。ただし、試験片の作成時金型温度90℃では、流動不良により成形不可能であったので金型温度を120℃とした。結果を表1に示すが、公知のポリエステルエラストマーであるペルプレンはPPSとの相溶性に劣り、実施例に比べ伸びの改善効果が小さく、結晶化速度も遅いものであった。
【0040】
【表1】
Figure 0003893159
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のPPS組成物は、従来のPPSの欠点であった脆さ及び結晶化速度の遅さを改善するとともに熱的にも安定化されているため、従来のPPS/PAG組成物の有していた成形加工時の諸問題をも解決しており、電気・電子部品や自動車部品として用いるのに極めて有用である。

Claims (1)

  1. 酸素共存下酸素架橋させたポリフェニレンスルフィドであって、10〜50000ポイズの溶融粘度を有し、−φ−S−(式中φはフェニレン基を示す。)で示される繰り返し単位70モル%以上を含むポリフェニレンスルフィド80〜98重量%と下記式(I)で示される芳香族オリゴアミド鎖10〜90重量%、
    −CO−R−NH−CO−R−CO−NH−R−CO− (I)
    (式中R、Rは各々炭素数6〜30の二価の芳香族基を示す)
    数平均分子量500〜10000のポリアルキレンオキシド鎖90〜10重量%からなる数平均分子量5000〜500000のエステルアミド共重合体2〜20重量%とからなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
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