JP3118936B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Info

Publication number
JP3118936B2
JP3118936B2 JP2902392A JP2902392A JP3118936B2 JP 3118936 B2 JP3118936 B2 JP 3118936B2 JP 2902392 A JP2902392 A JP 2902392A JP 2902392 A JP2902392 A JP 2902392A JP 3118936 B2 JP3118936 B2 JP 3118936B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pps
weight
polyphenylene sulfide
carbon atoms
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2902392A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05194848A (ja
Inventor
洋 井上
利一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2902392A priority Critical patent/JP3118936B2/ja
Publication of JPH05194848A publication Critical patent/JPH05194848A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3118936B2 publication Critical patent/JP3118936B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリフェニレンスルフィ
ド樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは靭性
に優れ、かつ耐熱性に優れたポリフェニレンスルフィド
樹脂組成物に関するものである。
【0002】ポリフェニレンスルフィドは、その優れた
耐熱性,耐薬品性を生かして電気・電子機器部材,自動
車機器部材として注目を集めている。また、射出成形,
押出成形等により各種成型部品,フィルム,シート,繊
維等に成形可能であり、耐熱性,耐薬品性の要求される
分野に幅広く用いられている。
【0003】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドは
【0004】
【化3】 を主な構成単位とする重合体であり、その製造方法とし
ては特公昭45−3368号公報等に開示されている様
にジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを極性非
プロトン溶媒中で加熱,反応させる方法が知られてい
る。
【0005】しかしながら、この様な方法で製造された
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)は、分
子量が低くそのままでは射出成形等に使用不可能であっ
た。そこでこれらの問題点を解決するため、空気中でP
PSを酸化硬化させ、分子量を高める方法が米国特許3
793256号公報等に開示されている。しかしながら
この方法では、酸素による過度の酸化架橋反応のためか
得られたPPSは著しく着色し、ガラス繊維等の繊維補
強剤で強化しても脆い成形品しか得られない等の問題点
を有していた。
【0006】また、重合反応により直鎖状に高分子量化
する方法が特公昭52−12240号公報等に開示され
ている。これらの方法によって得られたPPSは、特公
昭45−3368号公報によって得られたPPSに比べ
ると多少靭性が改善されてはいるものの、まだ十分に満
足するレベルには達していない。
【0007】一方、PPSにエラストマーを添加するこ
とにより靭性を付与する方法が特開昭58−15475
7号公報等に開示されている。これらの方法によればエ
ラストマーを多量に添加することにより靭性の改善が可
能となるが、PPSが本来有している耐熱性,耐薬品
性,難燃性が消失してしまうため好ましくない。
【0008】先に我々は、特定のPPSにエポキシ基,
酸無水物基,カルボキシル基から選ばれた少なくとも1
つの官能基を有するポリアルキレングリコール(以下P
AGと略す)を配合することにより靭性に優れたPPS
組成物が得られることを見い出した(特願平2−219
054号参照)。
【0009】しかしながら、このPPS組成物は熱安定
性が十分ではなく、さらに上記PPS組成物に特定のフ
ェノール系安定剤を添加することにより熱安定性は改善
される(特願平2−221088号参照)ものの熱老化
特性に関しては十分満足できるレベルには達していな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定のPP
Sに両末端アミノ基変性の特定のPAGを配合したPP
S組成物およびこのPPS組成物に特定のフェノール系
安定剤を配合したPPS組成物に関してであり、これら
組成物はPPSの耐熱性,耐薬品性,難燃性等の優れた
性質に加え靭性にも優れており、さらに従来のPPS/
PAG組成物の欠点であった熱老化特性も改善されたも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、重合後
の溶融粘度が300ポイズ以上であるポリフェニレンス
ルフィド70〜99重量%と下記式(I)で示されるポ
リアルキレングリコール1〜30重量%
【0012】
【化4】 (式中Rはn=1のときR″−NHであり、n≧2の
とき炭素数1〜6のアルキル基であり、R′は炭素数2
〜6のアルキレン基、R″は炭素数1〜6のアルキレン
基であり、mは15〜50000、nは1〜10のそれ
ぞれ整数を表わす)からなるポリフェニレンスルフィド
樹脂組成物、および前記ポリフェニレンスルフィド樹脂
組成物100重量部に対し、5%重量減少温度が300
℃以上であるフェノール系安定剤0.01〜5重量部を
加えてなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関す
るものであり、以下詳細に説明する。
【0013】本発明で用いられるPPSは、重合後の溶
融粘度が300ポイズ以上であれば特に制限はなく、特
公昭45−3368号公報等の公知の方法により得るこ
とができ、結合単位:
【0014】
【化5】 で示される繰り返し単位を70モル%以上、より好まし
くは90モル%以上を含むものが好ましい。さらに、繰
り返し単位としてp−フェニレンスルフィド単位を70
モル%以上含有するPPSが特に好適に用いられる。そ
の残りの繰り返し単位としては共重合可能な単位であれ
ば制限はなく、例えば、o−フェニレンスルフィド単
位,m−フェニレンスルフィド単位,ジフェニルスルフ
ィドエーテル単位,ジフェニルスルフィドスルホン単
位,ジフェニルスルフィドケトン単位,ビフェニルスル
フィド単位,ナフタレンスルフィド単位,3官能フェニ
レンスルフィド単位等が挙げられる。これらの共重合体
は、ブロック共重合されていてもランダム共重合されて
いてもよい。
【0015】好ましいPPSの具体例としては、ポリ
(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレン
スルフィド)−ポリ(m−フェニレンスルフィド)ブロ
ック共重合体、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポ
リスルホンブロック共重合体、ポリ(p−フェニレンス
ルフィド)−ポリフェニレンスルフィドスルホン共重合
体が挙げられる。
【0016】ここで、本発明において用いられるPPS
の溶融粘度は、高化式フローテスター(ダイス;内径
0.5mm,長さ2.0mm,荷重10kg)を用い、
300℃で測定した値である。また、本発明で用いらて
いる『重合後の溶融粘度』とは、アルカリ金属硫化物と
ジハロ芳香族化合物をアミド溶媒中で反応させPPSを
製造する際に、重合終了後単離したPPSを高化式フロ
ーテスターを用い、上記方法により測定し求めた溶融粘
度を指すものである。この重合後の溶融粘度が300ポ
イズ以上、好ましくは500ポイズ以上であることが靭
性に優れた組成物を得るためには必要である。
【0017】さらに、PPSは直鎖状のものであって
も、酸素共存下酸素架橋させたものであっても、また不
活性ガス雰囲気下、加熱処理を施したものであってもか
まわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもか
まわない。
【0018】また、上記PPSは、脱イオン処理(酸洗
浄や熱水洗浄等)を行うことによりナトリウムイオンを
低減させたものであってもよい。
【0019】一方、本発明のPPS組成物の靭性をより
高めるためには、PPSの分子鎖中または分子鎖末端に
カルボキシル基,酸無水物基から選ばれる少なくとも1
つの官能基を導入することが好ましい。このような官能
基導入PPSの製造方法としては、特開昭57−900
18号公報,特開昭61−7249号公報,特公表平3
−502474号公報等に記載されている方法が好適に
用いられる。官能基導入量は、フェニレンスルフィド単
位当り0.1〜5モル%、好ましくは0.2〜3モル%
である。官能基導入量が0.1モル%に満たない場合に
は、強度,伸びが大きな、靭性に優れた組成物が得られ
にくい。逆に導入量が5モル%を超えるとPPS自体の
熱安定性が悪くなるばかりでなく、組成物の溶融粘度が
著しく増加するため好ましくない。
【0020】本発明で用いられるPAGは式(I)で示
されるPAGであり、好ましくは式中のRが炭素数1〜
6のアルキル基、R′が炭素数2〜4のアルキレン基、
R″が炭素数1〜6のアルキレン基、mが30〜250
00、nが1〜5であり、分子鎖末端にアミノ基が導入
されたPAGである。この分子鎖末端にアミノ基が導入
されたPAGは、未変性PAGや分子鎖末端にエポキシ
基やカルボキシル基が導入されたPAGに比べ耐熱性に
優れており、このアミノ基変性PAGをPPSに配合す
ることにより耐熱性,耐熱老化性に優れたPPS組成物
が得られる。
【0021】ここで、式(I)中のmはPAGセグメン
トの重合度を示すもので、mが15より小さいと耐熱性
に乏しくなり、成形加工時、ガスを多量に発生するばか
りでなく、靭性に優れた組成物が得がたいため好ましく
ない。一方、mが50000より大きくなるとPAGと
PPSの相溶性が低下し、強度が低下してしまうため好
ましくない。
【0022】上記PAGの若干の例としてはポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、グリセリン,ペンタエリスリトー
ル,ソルビトール等の多価アルコールとアルキレンオキ
シドとの付加重合体等が挙げられる。
【0023】本発明で好ましく用いられるPAGの具体
例としては分子量が1000〜4000000であり、
末端にアミノ基を含有するポリエチレングリコールやポ
リテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0024】本発明で用いられるPAGの添加量は、P
PSとPAGの組成物に対して1〜30重量%、好まし
くは2〜20重量%が良好な結果を与える。
【0025】添加量が1重量%未満では靭性の改良効果
が十分でなく、逆に30重量%を超えるとPPS本来の
耐熱性,耐薬品性,難燃性等の優れた性質が消失してし
まうため好ましくない。
【0026】本発明で用いられるフェノール系安定剤
は、空気中、10℃/分の昇温速度で熱天秤により測定
した5%重量減少温度が300℃以上のものである。こ
のような安定剤としては、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼンや特開昭62−45658
号公報に例示されているような次式
【0027】
【化6】 (式中Rは炭素数4〜8の第3級アルキル基、R
炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を示し、
およびRは各々独立して水素または炭素数1〜5
のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R,R
,R,R,R10は各々独立して水素または炭
素数1〜5のアルキル基を示し、nは2以上で平均して
75以下である)で示されるフェノール系安定剤が挙げ
られる。
【0028】アルキル基としては、例えばメチル,エチ
ル,プロピル,イソプロピル,ブチル,アミル,ペンチ
ル,ヘキシル,ヘプチル,オクチル,ノニル,デシル,
ウンデシル,ドデシル,トリデシル,テトラデシル等が
挙げられ、アルコキシ基は、これらのアルキル基からの
アルコキシ基およびアラルキルオキシ基が挙げられる。
【0029】その具体例としては、次式、アデカ・アー
ガス化学(株)製Sample「AO−220」
【0030】
【化7】 (重量平均分子量:1600〜2100)が挙げられ
る。
【0031】他の例としては、1,3,5−トリス
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジメチ
ル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス
[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙
げられる。
【0032】これらのフェノール系安定剤は耐熱性に優
れるため、PPS/PAG組成物を加工する高温条件下
においても安定で揮発,分解する量が少ないため、上記
組成物の耐熱性を改善し熱老化特性の向上に寄与してい
るものと考えられる。
【0033】これらフェノール系安定剤の前記PPS/
PAG組成物に対する添加量は、PPS/PAG組成物
100重量部に対し通常0.01〜5重量部であり、好
ましくは0.05〜3重量部である。添加量が0.01
重量部未満の場合には、溶融時の安定化が十分でないこ
とがあり、一方、5重量部を越える場合には、機械的特
性や成形性が悪化することがある。また、安定化効果を
一層高めるために通常安定剤として公知であるチオエー
テル系の抗酸化剤や有機ホスファイト化合物、ヒンダー
ドアミン系安定剤を添加することもできる。
【0034】以上の様にして得られたPPS組成物は、
PPS本来の優れた耐熱性,耐薬品性,難燃性を保持し
た上に、伸び等の靭性を大幅に改善し、さらに熱老化特
性についても優れた性質を示すものである。
【0035】また本発明のPPS組成物に必要に応じて
ガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等のセラミック繊
維,アラミド繊維,全芳香族ポリエステル繊維,金属繊
維,チタン酸カリウムウィスカー等の補強用充填剤や炭
酸カルシウム,マイカ,タルク,シリカ,硫酸バリウ
ム,硫酸カルシウム,カオリン,クレー,パイロフェラ
イト,ベントナイト,セリサイト,ゼオライト,ネフェ
リンシナイト,アタパルジャイト,ウォラストナイト,
PMF,フェライト,ケイ酸カルシウム,炭酸マグネシ
ウム,ドロマイト,三酸化アンチモン,酸化亜鉛,酸化
チタン,酸化マグネシウム,酸化鉄,二硫化モリブデ
ン,黒鉛,石こう,ガラスビーズ,ガラスパウダー,ガ
ラスバルーン,石英,石英ガラス等の無機充てん剤およ
び有機,無機顔料を配合することも可能である。
【0036】また、ワックス等の離型剤、シラン系,チ
タネート系のカップリング剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候
性安定剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃
剤、難燃助剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0037】さらに必要に応じて、ポリエチレン、ポリ
ブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ
スチレン、ポリブテン、ポリα−メチルスチレン、ポリ
酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリ
ル、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイ
ロン12,ナイロン11,ナイロン46等のポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフ
タレート,ポリアリレート等のポリエステル、ポリウレ
タン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、
ポリアリルスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホ
ン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケ
トン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ
素樹脂などの単独重合体、ランダムまたはブロック,グ
ラフト共重合体の一種以上を混合して使用することもで
きる。
【0038】
【実施例】以下本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0039】参考例 本発明の実施例および比較例で使用したPPSの製造方
法を以下に示す。
【0040】参考例I 攪拌機,脱水塔およびジャケットを装備する内容積53
0lの反応器にN−メチルピロリドン110lおよび硫
化ナトリウム(純度:NaS 60.2重量%)6
1.1kgを仕込み、撹拌下ジャケットにより加熱し、
内温が約200℃に達するまで脱水塔を通じて脱水を行
った。この際、13.5lの主として水からなる留出液
を留去した。次いで、p−ジクロロベンゼン68.0k
gとN−メチルピロリドン48lを添加し、2時間かけ
て225℃まで昇温し、225℃にて2時間反応させた
後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃で
3時間反応させた。この時、圧力は10.5kg/cm
まで上昇した。
【0041】反応終了後、反応混合液を攪拌機,ジャケ
ットおよび減圧ラインを装備する溶媒回収器に移した。
この際、N−メチルピロリドン30lを追加した。続い
て、減圧下で加熱して、主としてN−メチルピロリドン
からなる留出液200lを留去した。続いて、水200
lを添加して水スラリーとし、80℃で15分間加熱撹
拌した後、遠心分離してポリマーを回収した。
【0042】さらに、ポリマーを溶媒回収器に戻し、水
200lを添加し、180℃で30分間加熱撹拌を行
い、冷却後、遠心分離機でポリマー粉末を回収した。
尚、この操作を2回繰り返した。
【0043】得られたポリマーをジャケット付きリボン
ブレンダーに移し乾燥を行った。このPPSを一部サン
プリングし、溶融粘度を高化式フローテスター(ダイ
ス;直径0.5mm,長さ2.0mm)を用いて300
℃,10kg荷重で測定したところ、820ポイズであ
った。サンプリング終了後、攪拌下空気を400l/時
間の流量で流しながら265℃に昇温し15時間硬化処
理を行った。硬化終了後の溶融粘度は16000ポイズ
であった。この様にして製造したPPSを以下PPS−
Iと略す。
【0044】参考例II 参考例Iにおけるp−ジクロロベンゼン68.0kgの
代わりにp−ジクロロベンゼン67.3kgと2,4−
ジクロロ安息香酸880gおよび水酸化ナトリウム18
5gを添加したほかは参考例Iと同様の操作を行った。
得られたポリマーの溶融粘度は620ポイズであり、2
55℃で10時間硬化処理した後の溶融粘度は2300
0ポイズであった。この様にして製造したカルボキシル
基含有PPSを以下PPS−IIと略す。
【0045】参考例III 特公表平3−502474号公報に従い、酸無水物基を
導入したPPSの製造法について記載する。参考例Iで
得られたPPS−I1.5kgと4,4′−ビス[4−
(3,4−ジカルボキシベンゾイル)フタルイミドフェ
ニル]ジスルフィド30gを均一にブレンドした後、押
出機により300℃で混練,押出ししてペレットを調製
した。
【0046】このサンプルをFT−IRにより分析した
ところ、酸無水物基の導入が確認された。以下このサン
プルをPPS−IIIと略す。
【0047】参考例IV 参考例Iにおけるp−ジクロロベンゼン68.0kgの
代わりにp−ジクロロベンゼン70.8kgを添加した
ほかは参考例Iと同様の操作を行った。得られたポリマ
ーの溶融粘度は230ポイズであり、265℃で24時
間硬化処理した後の溶融粘度は8000ポイズであっ
た。この様にして製造したPPSを以下PPS−IVと
略す。
【0048】実施例1〜7 参考例I〜IIIで得たPPS−I〜IIIと両末端ア
ミン変性ポリエチレングリコール(川研ファインケミカ
ル製 PEOアミン 6000),両末端アミン変性
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学製 PTG
DA−9)およびフェノール系安定剤(アデカ・アー
ガス化学製 MARK AO−330,AO−220)
とを表1に示す組成で均一にブレンドした後、押出機に
より300℃にて混練,押出ししてペレットを製造し
た。
【0049】このペレットを用い、射出成形機にてシリ
ンダー温度330℃,金型温度140℃で試験片を作成
し、ASTM D638に従い引張強度および伸びを測
定した。また、上記の試験片を160℃に設定したオー
ブン中に放置し、500時間経過後取り出し、引張強度
を測定して放置前の引張強度に対する保持率を求めて熱
老化特性の目安とした。結果を表1にまとめて示す。
【0050】比較例1 参考例Iで得たPPS−Iのみを実施例と同様の操作で
混練,ペレット化し、射出成形を行って試験片を作成し
た。得られた試験片を用いて引張強度,伸びを測定した
ところ、それぞれ820kg/cm,16.9%であ
った。
【0051】この様にPAGを添加しないと熱老化特性
には優れるものの実施例に比べ伸びが小さくなることが
わかる。
【0052】比較例2 参考例IVで得たPPS−IVと両末端アミン変性ポリ
エチレングリコール(PEOアミン 6000)とを
配合し、実施例と同様の操作で混練,ペレット化,射出
成形を行い、得られた試験片を用いて物性測定を行っ
た。
【0053】結果を表1に示すが、重合後溶融粘度が3
00ポイズ未満のPPSを用いると実施例に比べ伸びに
劣るものしか得られないことがわかる。
【0054】比較例3 参考例Iで得られたPPS−Iと熱安定性に劣るPAG
(PEG DGE,両末端エポキシ変性ポリエチレング
リコール)とを配合し、実施例と同様の操作で混練,ペ
レット化,射出成形を行い、得られた試験片を用いて物
性測定を行った。
【0055】結果を表1に示すが、熱安定性に乏しいP
AGを用いると熱老化特性が実施例に比べ劣っているこ
とがわかる。
【0056】比較例4 参考例Iで得られたPPS−Iと熱安定性に劣るPAG
(PEG DGE,両末端エポキシ変性ポリエチレング
リコール)およびフェノール系安定剤(AO−330)
とを配合し、実施例と同様の操作で混練,ペレット化,
射出成形を行い、得られた試験片を用いて物性測定を行
った。
【0057】結果を表1に示すが、熱安定性に乏しいP
AGを用いるとフェノール系安定剤を用いても熱老化特
性が実施例に比べ改善されないことがわかる。
【0058】比較例5 参考例Iで得たPPS−Iと両末端アミン変性ポリエチ
レングリコール(PEOアミン 6000)と5%重
量減少温度が150℃と耐熱性に劣るフェノール系安定
剤(SUMILIZER BHT、住友化学製)とを配
合し、実施例と同様の操作で混練,ペレット化,射出成
形を行い、得られた試験片を用いて物性測定を行った。
【0059】結果を表1に示すが、熱安定性に乏しいフ
ェノール系安定剤では、実施例5,6に比べ熱老化特性
の改善効果が乏しく、特異的な熱老化特性の改善を達成
するためには、アミン変性PAGと熱安定性に優れたフ
ェノール系安定剤の併用が必須である。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、特定の
PPSと特定のPAGからなる組成物および特定のPP
Sと特定のPAGと特定のフェノール系安定剤からなる
組成物は、従来のPPSの欠点であった脆さを改善する
とともに熱老化特性にも優れているので、電気・電子部
品や自動車部品として用いるのに極めて有用である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合後の溶融粘度が300ポイズ以上であ
    るポリフェニレンスルフィド70〜99重量%と下記式
    (I)で示されるポリアルキレングリコール1〜30重
    量% 【化1】 (式中Rはn=1のときR″−NHであり、n≧2の
    とき炭素数1〜6のアルキル基であり、R′は炭素数2
    〜6のアルキレン基、R″は炭素数1〜6のアルキレン
    基であり、mは15〜50000、nは1〜10のそれ
    ぞれ整数を表わす)からなるポリフェニレンスルフィド
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリフェニレンスルフィドがカルボキシル
    基,酸無水物基から選ばれる少なくとも1つの官能基を
    有することを特徴とする特許請求の範囲請求項1に記載
    のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】重合後の溶融粘度が300ポイズ以上であ
    るポリフェニレンスルフィド70〜99重量%と下記式
    (I)で示されるポリアルキレングリコール1〜30重
    量% 【化2】 (式中Rはn=1のときR″−NHであり、n≧2の
    とき炭素数1〜6のアルキル基であり、R′は炭素数2
    〜6のアルキレン基、R″は炭素数1〜6のアルキレン
    基であり、mは15〜50000、nは1〜10のそれ
    ぞれ整数を表わす)からなるポリフェニレンスルフィド
    樹脂組成物100重量部に対し、5%重量減少温度が3
    00℃以上であるフェノール系安定剤0.01〜5重量
    部を加えてなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
JP2902392A 1992-01-21 1992-01-21 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3118936B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2902392A JP3118936B2 (ja) 1992-01-21 1992-01-21 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2902392A JP3118936B2 (ja) 1992-01-21 1992-01-21 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05194848A JPH05194848A (ja) 1993-08-03
JP3118936B2 true JP3118936B2 (ja) 2000-12-18

Family

ID=12264824

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2902392A Expired - Fee Related JP3118936B2 (ja) 1992-01-21 1992-01-21 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3118936B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05194848A (ja) 1993-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5786422A (en) Polyphenylene sulfide resin composition
JPH03234766A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
EP0431954B1 (en) Polyarylene sulphide resin composition and process for producing the same
JP3118936B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3019107B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2757339B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
KR101032588B1 (ko) 수지 조성물
JP3109215B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2004331825A (ja) 耐熱性樹脂複合材料
JP3147463B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3034570B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JPH04211926A (ja) 耐熱性樹脂成形品の製造方法
JPH08134352A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3034569B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3109223B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3034572B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3109201B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3030464B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JPH06207102A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3034573B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2975406B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2782751B2 (ja) アロイ樹脂組成物
JP3216241B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3112083B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3079923B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081013

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081013

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091013

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees