JP3891076B2 - 窒化アルミニウムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化アルミニウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム(AlN)は、耐熱性、熱伝導性、電気伝導性などの特性に優れていることから、その使用用途が拡大している。このAlNの使用用途としては、たとえば、高温用容器やIC基板などがある。
【0003】
工業用窒化アルミニウムは、天然には存在しない人造セラミックスであり、主として、アルミナの炭素還元窒化法とアルミニウムの直接窒化法の2つの製造方法を用いて製造されている。
【0004】
1)アルミナの炭素還元窒化法(Al23+3C+N2=2AlN+3CO)アルミナの炭素還元窒化法は、高純度のアルミナを高温(1700〜1900℃)で黒鉛と窒素ガスにより還元するとともに、還元されて生成したアルミニウムを窒素で窒化することによりAlNを製造する製造方法である。
【0005】
しかしながら、この炭素還元窒化法は、反応に長時間を要するため、製造コストが上昇し、他のセラミックス、例えば、炭化珪素(SiC)やアルミナなどより高価格となってしまうという問題があった。
【0006】
2)アルミニウムの直接窒化法(2Al+N2=2AlN)
アルミニウムの直接窒化法は、1862年にBrieglebらが初合成を成功させて以来用いられている方法である。この反応は発熱反応であることから、純アルミニウムを窒素気流中に置くことで、簡単にAlNを製造することができる利点を有している。
【0007】
しかしながら、このアルミニウムの直接窒化法は、アルミニウムの表面が窒化膜で覆われると、窒化膜によりアルミニウムの内部への窒素の供給が遮断されることとなる。窒素の供給が遮断されると、アルミニウムの窒化反応が停止する。このため、アルミニウムの直接窒化法は、100%の窒化物が得られない欠点を有していた。このことから、工業的には、1000〜2000℃に加熱した状態で窒化が行われている。
【0008】
また、アルミニウムの直接窒化法は、反応効率を上昇させるために、窒化と破砕を繰返したり、AlF3、AlNを添加する等の処理を施すことで、反応の完結が図られている。窒化アルミニウム塊はかたいため、破砕にさまざまな工程が必要となり、この結果として製造コストが上昇し、得られるAlNが高価格となるという問題を有していた。
【0009】
アルミニウムと窒化アルミニウムとを原料として直接窒化法により窒化アルミニウムを製造する製造方法としては、たとえば、米国特許;US−5710382号に記載されている。この米国特許に記載の製造方法は、窒化反応を開始する方法として、Igniterで着火する場合と単純に炉で加熱する場合の二種類の加熱方法が示されている。なお、窒化反応における炉内およびワークのピーク温度は、Igniterで着火した場合で1845〜2115℃、炉で加熱した場合で1400〜2225℃と高温になっていた。なお、炉加熱による窒化反応は反応開始温度が1020〜1250℃であり、炉内およびワークのピーク温度が反応開始温度よりかなり高くなっている。このことは、窒化反応が発熱反応であり、窒化反応の反応熱がさらなる窒化反応を進行させるためである。
【0010】
このように従来の直接窒化法による窒化アルミニウムの製造方法においては、炉内およびワークのピーク温度が高温になるため、窒化アルミニウムの結晶成長および焼結が生じ、得られる窒化アルミニウム粒子の粒径が大きくなるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、微細な粒径の窒化アルミニウムの製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者は、窒化反応を抑制する反応抑制ガスを窒化反応の進行時に窒素ガス雰囲気中に含有させることで、微細な粒径の窒化アルミニウム粉末を製造することができることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、アルミニウム粉末を窒素ガス圧が105〜300KPaの窒素ガス雰囲気中に保持し、500〜1000℃で窒化反応を進める窒化アルミニウムの製造方法であって、窒化反応が進行するときに、アルミニウム粉末を収容する反応室内に窒化反応の進行を抑制する反応抑制ガスが供給されることを特徴とする。
【0014】
本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、窒化反応が進行するときに窒素ガス雰囲気中に反応抑制ガスが含まれることとなり、窒化反応の進行が抑制される。発熱反応である窒化反応の進行が抑制されるため、反応熱によるさらなる窒化反応が抑制される。この結果、連鎖的な窒化反応が進行しなくなり、低温で窒化反応を進行させることができる。本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、低温で窒化反応を進行させることができるため、微細な粒径の窒化アルミニウム粉末を製造することができる。また、本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、窒化反応において生じる熱を反応室の外部に放出することでワーク温度の上昇を抑えることができ、微細な窒化アルミニウム粉末を製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(窒化アルミニウムの製造方法)
本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、アルミニウム粉末を窒素ガス圧が105〜300KPaの窒素ガス雰囲気中に保持し、500〜1000℃で窒化反応を進める窒化アルミニウムの製造方法である。
【0022】
すなわち、本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、アルミニウム粉末が所定の窒素ガス圧および加熱温度の雰囲気に保持されることでアルミニウムの窒化反応を進行させる。なお、一般的に、セラミックスの一次粒子径の大きさは反応開始温度で決まるが、その後の反応熱による温度上昇がある場合には結晶粒が焼結・成長し粗大化する。本発明の製造方法は、反応開始温度からのさらなる温度上昇を抑えているので、窒化反応の反応温度により窒化アルミニウム粒子の粒子径を決定できる。窒化反応の反応温度が低いほど、粒子径は小さくなる。反応温度は原料の種類および粒子径に大きく依存する。たとえば、マグネシウムを含むアルミニウム合金では低温(例えば500℃)で反応が始まり、シリコンを含むアルミニウム合金では高温で反応が始まる。また、アルミニウム粉末の粒子径が小さいほど低温で反応が開始する。純アルミニウム粉末では、通常550〜700℃で窒化は開始する。たとえば、粗大粒と一般的に言われている100μm程度の粒子の純アルミニウム粉末は、昇温途中で窒素吸収反応が実施されていれば、750℃程度で窒化反応が開始する。
【0023】
窒素ガス圧が105〜300KPaに保持されることで、窒化反応に十分な量の窒素ガスがアルミニウム粉末に供給されるようになる。すなわち、窒素ガス圧が105KPa未満となると、外部から空気が侵入し、アルミニウム粉末が酸化される危険性がある。また、窒素ガス圧が300KPaを超えると、窒化反応の反応効率の上昇もみられなくなり、製造に要するコストが上昇するようになる。
【0024】
また、窒化反応の温度が500℃未満では窒化反応の開始までに長時間を有するようになり、1000℃を超えると製造される窒化アルミニウム粒子の粒径が過剰に大きくなる。
【0025】
アルミニウム粉末の窒素ガスによる直接窒化法(2Al+N2=2AlN)の生成の自由エネルギー(free energy of Gibbs)は常にマイナスであり、例えば、温度が460℃未満でも長時間保持することで窒化アルミニウムが生成すると思われるが、長時間となることで製造に要するコストが上昇するようになる。また、アルミニウム粉末の窒化反応の反応速度は高温のほうが速いことから、工業的にはもう少し高温である500℃以上で窒化反応を生じさせる。窒化反応の温度を550℃以上とすることがより好ましい。
【0026】
より詳しくは、アルミニウム粉末を520℃の窒素ガス雰囲気中に保持すると、3〜30時間後に窒化反応が開始し、窒化率92%前後で反応が停止することが実験により確認されている。窒化反応の開始までに長時間を有する理由は、アルミニウム表面に形成された酸化被膜が原因である。通常の低温での窒化反応は、反応初期において酸化被膜を窒素で還元することはできないため、時間をかけて窒素がアルミニウム粉末の内部に侵入し、ある時間後に急激に窒化反応が開始され、終了する。このため、通常は、低温での窒化処理では、100%の窒化は困難とされている。
【0027】
また、アルミニウム粉末の直接窒化法においては、窒素ガス雰囲気を低酸素量にすることが重要である。すなわち、アルミニウムは非常に酸化しやすい金属であるためである。このことから、反応室内露点は、−50℃以下であることが望ましい。
【0028】
本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、窒化反応が進行するときに、アルミニウム粉末を収容する反応室内に窒化反応の進行を抑制する反応抑制ガスが供給される。すなわち、反応室内に反応抑制ガスが供給されるため、アルミニウム粉末の窒化反応の連鎖的な進行が抑えられ、低温で窒化反応を進行させるようになる。
【0029】
詳しくは、直接窒化反応は大変な発熱反応であり、理論的には、1Kgのアルミニウムを窒化すると2800Kcalの発熱を生じる。また、1Kgのアルミニウムを窒化するためには、420L程度の窒素ガスが要求される。このため、アルミニウムの一部に窒化反応が始まると、反応熱による連鎖的な窒化反応が進行し、アルミニウムの温度が急激に上昇することとなる。
【0030】
通常のアルミニウムの温度の上昇は、250〜600℃程度であるが、アルミニウム量や反応炉の構造によっては1000℃以上となる。アルミニウムの温度が上昇すると、窒化アルミニウム粒子の結晶成長が進行するとともに粒子同士の焼結が生じ、窒化アルミニウム粒子が粗大化するため、好ましくない。
【0031】
また、本発明の窒化アルミニウムの製造方法において、窒化されるアルミニウム粉末は、表面に酸化被膜を有していてもよい。すなわち、アルミニウムは大気中においては、大気中に含まれる酸素と反応を生じてその表面に安定な酸化被膜を形成する特性を有するためである。
【0032】
アルミニウム粉末は、450〜600℃の窒素ガス雰囲気中に30〜120分保持されて窒素を吸蔵させる窒素吸蔵処理が施された後に窒化反応を進めることが好ましい。すなわち、窒化反応を進める前にアルミニウム粉末に窒素を吸蔵させることで、その後の窒化反応においてアルミニウム粉末と反応を生じる窒素がアルミニウム粉末の近傍に保持されることとなり、窒化反応において急速な反応を生じても窒化反応に要する窒素の量が不十分となることが抑えられる。
【0033】
この窒素吸蔵処理において、アルミニウム粉末に窒素が吸蔵されるメカニズムについては、明らかではないが、アルミニウム粉末の表面から、欠陥や粒界の界面にそって内部に窒素が侵入し、アルミニウム表面に形成されたアルミナと窒素とが共軛化合物を形成することで窒素がアルミニウム粉末の内部に保持されるものと推測される。
【0034】
窒素吸蔵工程で、アルミニウム粉末は460℃以上の温度からの昇温速度が10℃/分以下の昇温速度で窒化工程の窒化温度まで加熱されることが好ましい。すなわち、10℃/分以下の昇温速度で加熱されることで、アルミニウム粉末が窒素を吸蔵することができる。また、昇温速度が10℃/分を超えると、アルミニウム粉末の窒素の吸蔵が不十分となり、窒化アルミニウムにアルミニウムが残留するようになる。
【0035】
窒素吸蔵工程で、アルミニウム粉末は460℃以上の温度からの昇温速度が1〜6℃/分の昇温速度で窒化工程の窒化温度まで加熱されることが好ましい。
すなわち、昇温速度が小さくなると、窒化温度までの加熱時間が長時間となるため、昇温速度が1〜6℃/分であることが好ましい。
【0036】
窒素吸蔵工程で、アルミニウム粉末は460℃以上の温度から600℃以下の温度で所定時間保持されることが好ましい。460℃以上の温度から600℃以下の温度で所定時間保持されることで、十分な量の窒素をアルミニウム粉末が吸蔵できる。
【0037】
窒素吸蔵工程での所定時間は5〜30分であることが好ましい。すなわち、5〜30分保持されることで、十分な量の窒素をアルミニウム粉末が吸蔵できる。
【0038】
窒素吸蔵工程での所定時間後は、すみやかに10℃/分以上の昇温速度で窒化反応工程の窒化温度に加熱されることが好ましい。すなわち、所定温度に長時間保持することおよびゆっくりした昇温は、ある時急に反応熱を伴う通常の窒化反応が生じるため好ましくない。
【0039】
窒化反応は、窒化反応により生じる熱が反応室を区画する反応炉の炉壁を介して反応炉の外部に放出され、ワーク温度と窒化反応の開始温度との差が100℃以下で進行することが好ましい。窒化反応でのワーク温度と窒化反応の開始温度との差が100℃以下となることで、微細な粒径の窒化アルミニウム粉末を製造することができる。すなわち、窒化反応進行中のワーク温度の上昇が抑えられるため、連鎖的な窒化反応の進行が抑えられることとなり、低温で窒化反応を進行させることができる。また、窒化反応により生じる熱が反応室を区画する反応炉の炉壁を介して外部に放出されることで、ワーク温度の上昇を抑制できる。
【0040】
窒化反応により生じる熱を反応炉の外部に放出する方法としては、反応炉の炉壁を熱伝導性に優れた材質により形成するとともに、反応炉の炉外の温度を炉内の温度より低温とすることで熱を放出できる。このとき、反応炉の炉外の温度を炉内の温度より低温とする方法としては、窒化反応を生じさせる窒化反応の反応温度を制御するヒーターの加熱量の削減や、反応炉の外部にエアーを供給して冷却する方法がある。
【0041】
また、本発明の製造方法において、ワークとは、窒化反応が進行している状態のアルミニウム粉末を示す。すなわち、窒化反応により生成した窒化アルミニウムと窒化反応を生じていないアルミニウムとが混合した状態を示す。
【0042】
窒化反応は、アルミニウム粉末の窒化反応が進行しているときのワークのピーク温度が900℃以下であることがより好ましい。ここで、ピーク温度とは、窒化反応により上昇したワーク温度のもっとも高い温度を示す。ピーク温度が900℃以下となることで、微細な粒径の窒化アルミニウム粉末を製造することができる。ピーク温度が900℃を超えると、結晶成長や焼結により窒化アルミニウム粒子が粗大化する。
【0043】
窒素ガス雰囲気は、反応室に窒素ガスを連続的に供給する窒素供給装置からの窒素ガスと反応室から窒素ガスを逃がす排出装置から排出される窒素ガスとで維持されていることが好ましい。すなわち、窒素供給装置からの窒素ガスと、排出装置から排出される窒素ガスとで、アルミニウム粉末が収納される反応室の窒素ガス圧を維持することができる。
【0044】
詳しくは、アルミニウム粉末の窒化反応は、反応が急激に進行するため、窒化反応が開始すると、反応室内の窒素を消費し、窒素ガス圧が急激に低下するようになる。このため、窒素供給装置と排出装置とで反応室内の窒素ガス圧が維持されることで、反応室内の窒素ガス圧の変化を抑えることができる。
【0045】
また、窒素供給装置からの窒素ガスと、排出装置から排出される窒素ガスとのそれぞれの窒素ガス圧を測定することで、反応室内の窒素ガス圧を決定できるとともに、窒素吸蔵処理におけるアルミニウム粉末の窒素吸蔵量の算出や、窒化反応進行中の窒素ガス圧の低下量の算出を行うことができる。
【0046】
反応室の窒素ガス圧力が低下したときに反応室に反応抑制ガスを供給することが好ましい。反応抑制ガスは窒化反応が始まると反応室内に供給されるガスであり、窒素ガス圧力を測定することで窒化反応の開始を観測することができる。すなわち、窒化反応が始まると、窒素ガス雰囲気を構成する窒素ガスがアルミニウム粉末と反応を生じるため、反応室内の窒素ガス量が減少し、窒素ガス圧が低下するためである。このため、窒素ガス圧力が低下したときに反応室に反応抑制ガスを供給することで、窒化反応の進行を制御できる。
【0047】
反応室内への反応抑制ガスの供給は、反応室内の窒素ガス圧力が低下したときに開始され、反応室内の窒素ガス圧力が回復したときに停止されることが好ましい。すなわち、窒素ガス圧力の回復は、窒化反応における窒素の消費量が減少することにより生じるためであり、窒化反応の終了を示す。
【0048】
ワーク温度が上昇したときに反応室内に反応抑制ガスを供給することが好ましい。反応抑制ガスは窒化反応が始まると反応室内に供給されるガスであり、ワーク温度を測定することで窒化反応の開始を観測することができる。すなわち、窒化反応が始まると、反応熱が生じて、ワーク温度が上昇するためである。
【0049】
反応抑制ガスは、アルゴンガスおよび/またはアンモニアガスであることが好ましい。すなわち、これらのガスは、窒化反応の進行を抑制できるガスである。
【0050】
アルゴンガスは、アルミニウムのプラズマ窒化において、窒素ガスのキャリアガスとして用いられているガスである。プラズマ窒化において、アルゴンガスに5〜20vol%の窒化ガスを混合した混合ガスを用いて窒化が行われる。
【0051】
通常のアルミニウムの直接窒化でアルゴンガスが用いられている実施例は知られていない。また、1992年に研究レポート「表面を酸化したアルミニウム粉を原料とした窒化アルミニウムの製造法」の中で、30〜70vol%のアルゴンガスを添加した窒素ガスにより窒化実験を行った例が報告されている。このレポートにおいては、反応温度は900〜1300℃で、規定量のアルゴンガスを最初から最後まで添加し、反応開始の2時間後と5時間後の窒化率及び反応生成物の粉砕性が調査されている。(伊藤、江波ら、東京理科大、Journal of the Ceramic Society of Japan 100[5] 629−633(1992))
この報告によれば、いずれの温度域、いずれのアルゴン含有量においても窒化反応が生じ、94%の最高窒化率が得られた。この最高窒化率の値は、酸化のためと解釈している。さらに、この報告において、アルゴンガス量が10vol%の混合ガスを用いて97.5%の窒化率を得ている。また、アルゴン含有量によらず、いずれの生成物も粉砕性が高くなったと報告している。
【0052】
これに対し、本発明者らは、600〜750℃の低温域におけるアルゴンガスの添加の効果を調査した。なお、この調査において、アルゴンガスは、全体を100vol%としたときに30vol%以上の割合で、窒化反応の開始時から終了時まで供給された。
【0053】
低温におけるアルゴンガスの添加の効果の調査において、アルゴンガスの含有量を50vol%以上としたところ、窒化反応が開始しなかった。また、純窒素ガスのみで窒化反応が進行しているときに、50vol%以上の割合となるアルゴンガスを添加したところ、窒化反応が停止したことが確認された。
【0054】
また、純窒素ガスのみで窒化反応が進行しているときに、3〜20vol%のアルゴンガスが添加されると、緩慢ながら窒化反応が進行していることが確認された。上記研究レポート(反応温度:900〜1300℃)においてアルゴンガスが30〜70vol%添加された窒素ガスが用いられても何らアルゴンガスの影響が見られず、窒化反応が生じていることに対して、本発明の製造方法における加熱温度域(600〜750℃)では窒化が停止〜緩慢になっている。この差異は温度の違いにもあるが、一方は液相、一方は固相という反応の差によるものと思われる。
【0055】
また、アンモニアガスは、アルミニウムや鋼の窒化時に窒化剤として窒素ガスに少量が添加されているガスである。しかし、アルゴンガスの場合と同様、600〜750℃での反応性を調査したところ、窒化反応が停止したことが確認された。すなわち、窒化反応が進行しているときにアンモニアガスを反応室内に供給することで、一時的に窒化反応を停止させることができる。なお、アンモニアガスにより窒化反応が停止した理由は明らかではないが、実験温度域では原料は固体であり、固相のアルミニウム粉末中にAlH3の化合物が生成し、窒素ガスの侵入を阻害したためと推察される。
【0056】
すなわち、反応室内に供給されるガス量を100vol%としたときに、反応抑制ガスは、1〜50vol%の範囲で反応室内に供給されることが好ましい。
【0057】
本発明の製造方法は、窒化反応の完了直前に、反応室内への反応抑制ガスの供給を停止するとともに、反応温度を30〜120℃上昇させることが好ましい。窒化反応の完了直前に、反応抑制ガスの供給を停止するとともに反応温度を上昇させることで、原料のアルミニウム粉末をすべて窒化することができる。
【0058】
アルミニウム粉末は、非圧縮の集積状態にあることが好ましい。アルミニウム粉末が非圧縮の集積状態にあることで、生成した窒化アルミニウム粒子が隣接する粒子と焼結することが抑えられる。すなわち、アルミニウムから窒化アルミニウムへの変化は、体積膨張をともなう。このため、アルミニウム粉末が圧縮した集積状態にあると、窒化アルミニウム粒子が焼結を生じ、破砕性が低下する。また、非圧縮の集積状態にあることで、窒素吸蔵処理において、窒素を吸蔵することができる。すなわち、アルミニウム粉末が非圧縮の集積状態にあることで、それぞれのアルミニウム粉末粒子が窒素ガスと十分な表面積で接触できるようになり、アルミニウム粉末の窒素の吸蔵が十分に行われるようになる。
【0059】
アルミニウム粉末は、複数部に分割されて反応室内に収容されることが好ましい。アルミニウム粉末が複数部に分割されて反応室内に収容されることで、製造される窒化アルミニウムは、バラツキが抑えられた粒子となる。すなわち、アルミニウム粉末の各部ごとの窒化反応の制御が可能となるためである。
【0060】
詳しくは、多量のアルミニウム粉末が反応室内に非圧縮の集積状態で収容された状態で窒化反応を進行させると、アルミニウム粉末の集積体の内部と表層部の温度に差が生じるようになる。すなわち、集積体の内部での窒化反応の観測および制御が困難となり、得られる窒化アルミニウム粒子のバラツキが大きくなる。これに対し、少量のアルミニウム粉末の状態で反応室内に収容されることで、集積体の内部での窒化反応の観測および制御が容易となるため、得られる窒化アルミニウム粒子のバラツキが抑えられる。
【0061】
アルミニウム粉末が複数部に分割されて反応室内に収容されるときに、分割部数が多くなるほど、製造される窒化アルミニウム粒子のバラツキが抑えられる。
【0062】
アルミニウム粉末を複数部に分割して反応室内に収容する方法は、特に限定されるものではない。たとえば、積層させて反応室内に収容され内部にアルミニウム粉末を収容する複数の反応用トレーをあげることができる。
【0063】
窒化反応はアルミニウム粉末が所定の反応温度に到達してから窒化反応が終了するまでの時間が2〜10時間であることが好ましい。反応時間が2〜10時間となることで、粒子径の小さな窒化アルミニウム粉末を製造することができる。反応終了までの時間が2時間未満では、窒化反応の進行する速度が速くなり、製造される窒化アルミニウム粒子の凝集が生じるようになる。また、反応終了までの時間が10時間を超えると、加熱時間が長時間となり、製造に要するコストが増大する。
【0064】
所定の反応温度に到達したときに反応抑制ガスの供給が開始され、窒化反応の進行を抑制できる所定のガス分圧となるまで反応抑制ガスの供給量を徐々に増加させて、所定のガス分圧が維持された後に、反応抑制ガスのガス分圧を徐々に減少させていき反応抑制ガスの供給を停止することが好ましい。反応抑制ガスの反応室内への供給量を制御することで、窒化反応を制御できる。すなわち、所定の窒化温度に到達した後に、窒化反応が開始されるが、このとき、多量の反応抑制ガスが反応室内に存在すると窒化反応の開始までに時間がかかるようになる。このため、反応抑制ガスのガス分圧を小さくすることで、窒化反応が開始されるようになる。そして、窒化反応が進行すると、連鎖的に進行する窒化反応の進行を抑制するために十分な反応抑制ガスが反応室内に供給される。そして、アルミニウム粉末が十分に窒化したら、反応抑制ガスの供給が徐々に減少して停止される。徐々に反応抑制ガスの供給が減少していくことで、窒化されていないアルミニウムが急激に窒化反応を進行させることを抑えることができる。
【0065】
反応抑制ガスの所定のガス分圧での維持は、アルミニウム粉末の1/2〜3/4が窒化する時間であることが好ましい。アルミニウム粉末の窒化量は、アルミニウム粉末の重量および反応室内の窒素ガス分圧の変化から算出できる。
【0066】
反応抑制ガスの供給が停止した後に、反応室内にさらに窒素ガスを供給することが好ましい。反応抑制ガスの供給が停止した後にさらに窒素ガスを供給することで、窒化されていないアルミニウムを窒化することができる。大部分のアルミニウム粉末が窒化しているため、窒化反応が生じてもアルミニウム量が少ないため、激しい温度上昇を引き起こすほどの連鎖的な窒化反応が進行しなくなっているため、窒化反応を抑制しなくてもよい。
【0067】
本発明の製造方法は、窒化反応が進行するときに反応抑制ガスが供給されるため、窒化反応の進行が抑制される。すなわち、発熱反応である窒化反応の進行が抑制されるため、反応熱によるさらなる窒化反応が抑制される。この結果、連鎖的な窒化反応が進行しなくなり、窒化温度で窒化反応を進行させることができる。本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、低温で窒化を行うことができるため、粒子径が小さな窒化アルミニウム粉末を製造することができる。
【0068】
(窒化アルミニウム)
本発明の窒化アルミニウムは、アルミニウム粉末を窒素ガス圧が105〜300KPaの窒素ガス雰囲気中に保持し、500〜1000℃で窒化反応を進めることで得られた窒化アルミニウムであって、窒化反応が進行するときに、アルミニウム粉末を収容する反応室内に窒化反応の進行を抑制する反応抑制ガスが供給されて製造されたものである。
【0069】
すなわち、本発明の窒化アルミニウムは、窒素ガス雰囲気中でアルミニウム粉末の窒化反応を進めるときに、反応抑制ガスが供給されているため、低温で窒化反応が進行している。なお、一般的に、セラミックスの一次粒子径の大きさは反応開始温度で決まり、本発明の窒化アルミニウムは、窒化反応が開始する温度により窒化アルミニウム粒子の粒径が決定される。すなわち、本発明の窒化アルミニウムは、低温で窒化反応が進行していることから、粒子径が小さな窒化アルミニウムとなっている。
【0070】
窒化反応において、窒素ガス圧が105〜300KPaに保持されることで、窒化反応に十分な量の窒素ガスがアルミニウム粉末に供給されるようになる。すなわち、窒素ガス圧が105KPa未満となると、外部から空気が侵入し、アルミニウム粉末が酸化される危険性がある。また、窒素ガス圧が300KPaを超えると、窒化反応の反応効率の上昇もみられなくなり、製造に要するコストが上昇するようになる。
【0071】
また、窒化反応の温度が500℃未満では窒化反応の開始までに長時間を有するようになり、1000℃を超えると窒化アルミニウム粒子の粒径が大きくなる。
【0072】
アルミニウム粉末の窒素ガスによる直接窒化法(2Al+N2=2AlN)の生成の自由エネルギー(free energy of Gibbs)は常にマイナスであり、例えば、温度が460℃未満でも長時間保持することで窒化アルミニウムが生成すると思われるが、長時間となることで製造に要するコストが上昇するようになる。また、アルミニウム粉末の窒化反応の反応速度は高温のほうが速いため、工業的にはもう少し高温である500℃以上で生じさせる。窒化反応の温度を550℃以上とすることがより好ましい。
【0073】
より詳しくは、アルミニウム粉末を520℃の窒素ガス雰囲気中に保持すると、3〜30時間後に窒化反応が開始し、窒化率92%前後で反応が停止することが実験により確認されている。窒化反応の開始までの長時間は、アルミニウム表面に形成された酸化被膜が原因である。また、通常の低温での窒化反応は、反応初期において酸化被膜を窒素で還元することはできないため、時間をかけて窒素がアルミニウム内部に侵入し、ある時間後急激に窒化反応が始まり、終了する。このため、通常は、低温での窒化処理では、100%の窒化は困難とされている。
【0074】
また、アルミニウム粉末の直接窒化法においては、窒素ガス雰囲気を低酸素量にすることが重要である。すなわち、アルミニウムは非常に酸化しやすい金属であるためである。このことから、反応室内の露点は、−50℃以下であることが望ましい。
【0075】
本発明の窒化アルミニウムは、窒化反応が進行するときに、アルミニウム粉末を収容する反応室内に窒化反応の進行を抑制する反応抑制ガスが供給されて製造されたものである。すなわち、本発明の窒化アルミニウムは、反応室内に反応抑制ガスが供給されて製造されているため、アルミニウム粉末の窒化反応の連鎖的な進行が抑えられ、低温で窒化反応が進行して製造されたものとなっている。
【0076】
詳しくは、直接窒化反応は大変な発熱反応であり、理論的には、1Kgのアルミニウムを窒化すると2800Kcalの発熱を生じる。また、1Kgのアルミニウムを窒化するためには、420L程度の窒素ガスが要求される。このため、アルミニウムの一部に窒化反応が始まると、反応熱による連鎖的な窒化反応が進行し、アルミニウムの温度が急激に上昇することとなる。
【0077】
窒化反応における通常のアルミニウムの温度の上昇は、250〜600℃程度であるが、アルミニウム量や反応炉の構造によっては1000℃以上となる。アルミニウムの温度が上昇すると、窒化アルミニウム粒子の結晶成長が進行するとともに粒子同士の焼結が生じ、窒化アルミニウム粒子が粗大化するため、好ましくない。
【0078】
また、本発明の窒化アルミニウムにおいて、窒化されるアルミニウム粉末は、表面に酸化被膜を有していてもよい。すなわち、アルミニウムは大気中においては、大気中に含まれる酸素と反応を生じてその表面に安定な酸化被膜を形成する特性を有するためである。
【0079】
窒化アルミニウムは、粒子径が1μm以下であり、かつ比表面積が2.5m2/g以上であることが好ましい。窒化アルミニウムの粒子径が1μm以下であり、かつ比表面積が2.5m2/g以上であることで、粒径の小さな窒化アルミニウム粉末となる。
【0080】
アルミニウム粉末は、450〜600℃の窒素ガス雰囲気中に30〜120分保持されて窒素を吸蔵させる窒素吸蔵処理が施された後に窒化反応が進められたものであることが好ましい。すなわち、窒化反応を進める前にアルミニウム粉末に窒素を吸蔵させることで、窒化反応においてアルミニウム粉末と反応を生じる窒素がアルミニウム粉末の近傍に保持されることとなり、窒化反応において急速な反応を生じても窒化反応に要する窒素の量が不十分となることが抑えられる。
【0081】
この窒素吸蔵処理において、アルミニウム粉末に窒素が吸蔵されるメカニズムについては、明らかではないが、アルミニウム表面から、欠陥や粒界の界面にそってアルミニウムの内部に窒素が侵入し、アルミニウム表面に形成されたアルミナと窒素とが共軛化合物を形成することで窒素がアルミニウム粉末の内部に保持されるものと推測される。
【0082】
窒化反応は、窒化反応により生じる熱が反応室を区画する反応炉の炉壁を介して反応炉の外部に放出され、ワーク温度と窒化反応の開始温度との差が100℃以下で進行したものであることが好ましい。窒化反応でのワーク温度と窒化反応の開始温度との差が100℃以下となることで、微細な粒径の窒化アルミニウム粉末を製造することができる。すなわち、窒化反応進行中のワーク温度の上昇が抑えられるため、連鎖的な窒化反応の進行が抑えられることとなり、低温で窒化反応を進行させることができる。また、窒化反応により生じる熱が反応室を区画する反応炉の炉壁を介して外部に放出されることで、ワーク温度の上昇を抑制できる。
【0083】
窒化反応により生じる熱を反応炉の外部に放出する方法としては、反応炉の炉壁を熱伝導性に優れた材質により形成するとともに、反応炉の炉外の温度を炉内の温度より低温とすることで熱を放出できる。このとき、反応炉の炉外の温度を炉内の温度より低温とする方法としては、窒化反応を生じさせる窒化反応の反応温度を制御するヒーターの加熱量の削減や、反応炉の外部にエアーを供給して冷却する方法がある。
【0084】
また、本発明の窒化アルミニウムにおいて、ワークとは、窒化反応が進行している状態のアルミニウム粉末を示す。すなわち、窒化反応により生成した窒化アルミニウムと窒化反応を生じていないアルミニウムとが混合した状態を示す。
【0085】
窒化反応は、アルミニウム粉末の窒化反応が進行しているときのワークのピーク温度が900℃以下であることが好ましい。ここで、ピーク温度とは、窒化反応により上昇したワーク温度のもっとも高い温度を示す。ピーク温度が900℃以下となることで、微細な粒径の窒化アルミニウム粉末となる。ピーク温度が900℃を超えると、結晶成長や焼結により窒化アルミニウム粒子が粗大化する。
【0086】
窒素ガス雰囲気は、反応室に窒素ガスを連続的に供給する窒素供給装置からの窒素ガスと反応室から窒素ガスを逃がす排出装置から排出される窒素ガスとで維持されたものであることが好ましい。すなわち、窒素供給装置からの窒素ガスと、排出装置から排出される窒素ガスとで、アルミニウム粉末が収納される反応室の窒素ガス圧を維持することができる。
【0087】
詳しくは、アルミニウム粉末の窒化反応は、反応が急激に進行するため、窒化反応が開始すると、反応室内の窒素を消費し、窒素ガス圧が急激に低下するようになる。このため、窒素供給装置と排出装置とで反応室内の窒素ガス圧が維持されることで、反応室内の窒素ガス圧の変化を抑えることができる。
【0088】
また、窒素供給装置からの窒素ガスと、排出装置から排出される窒素ガスとのそれぞれの窒素ガス圧を測定することで、反応室内の窒素ガス圧を決定できるとともに、窒素吸蔵処理におけるアルミニウム粉末の窒素吸蔵量の算出や、窒化反応進行中の窒素ガス圧の低下量の算出を行うことができる。
【0089】
反応室の窒素ガス圧力が低下したときに反応室に反応抑制ガスを供給されたものであることが好ましい。反応抑制ガスは窒化反応が始まると反応室内に供給されるガスであり、窒素ガス圧を測定することで窒化反応の開始を観測することができる。すなわち、窒化反応が始まると、窒素ガス雰囲気を構成する窒素ガスがアルミニウム粉末と反応を生じるため、反応室内の窒素ガス量が減少し、窒素ガス圧が低下するためである。このため、窒素ガス圧力が低下したときに反応室に反応抑制ガスを供給することで、窒化反応の進行を制御できる。
【0090】
ここで、反応室内への反応抑制ガスの供給は、反応室内のガス圧が低下したときに開始され、反応室内のガス圧が回復したときに停止されることが好ましい。すなわち、窒素ガス圧の回復は、窒化反応における窒素の消費量が減少することにより生じるためであり、窒化反応の終了を示す。
【0091】
ワーク温度が上昇したときに反応室内に反応抑制ガスを供給されたものであることが好ましい。反応抑制ガスは窒化反応が始まると反応室内に供給されるガスであり、ワーク温度を測定することで窒化反応の開始を観測することができる。すなわち、窒化反応が始まると、反応熱が生じて、ワーク温度が上昇するためである。
【0092】
反応抑制ガスは、アルゴンガスおよび/またはアンモニアガスであることが好ましい。これらのガスは、窒化反応の進行を抑制できるガスである。
【0093】
アルゴンガスは、アルミニウムのプラズマ窒化において、窒素ガスのキャリアガスとして用いられているガスである。プラズマ窒化において、アルゴンガスに5〜20vol%の窒化ガスを混合した混合ガスを用いて窒化が行われる。
【0094】
通常のアルミニウムの直接窒化でアルゴンガスが用いられている実施例は知られていない。また、1992年に研究レポート「表面を酸化したアルミニウム粉を原料とした窒化アルミニウムの製造法」の中で、30〜70vol%のアルゴンガスを添加した窒素ガスにより窒化実験を行った例が報告されている。このレポートにおいては、反応温度は900〜1300℃で、規定量のアルゴンガスを最初から最後まで添加し、反応開始の2時間後と5時間後の窒化率及び反応生成物の粉砕性が調査されている。(伊藤、江波ら、東京理科大、Journal of the Ceramic Society of Japan 100[5] 629−633(1992))
この報告によれば、いずれの温度域、いずれのアルゴン含有量においても窒化反応が生じ、94%の最高窒化率が得られた。この最高窒化率の値は、酸化のためと解釈している。さらに、この報告において、アルゴンガス量が10vol%の混合ガスを用いて97.5%の窒化率を得ている。また、アルゴン含有量によらず、いずれの生成物も粉砕性が高くなったと報告している。
【0095】
これに対し、本発明者らは、600〜750℃の低温域におけるアルゴンガスの添加の効果を調査した。なお、この調査において、アルゴンガスは、全体を100vol%としたときに30vol%以上の割合で、窒化反応の開始時から終了時まで供給された。
【0096】
低温におけるアルゴンガスの添加の効果の調査において、アルゴンガスの含有量を50vol%以上としたところ、窒化反応が開始しなかった。また、純窒素ガスのみで窒化反応が進行しているときに、50vol%以上の割合となるアルゴンガスを添加したところ、窒化反応が停止したことが確認された。
【0097】
また、純窒素ガスのみで窒化反応が進行しているときに、3〜20vol%のアルゴンガスが添加されると、緩慢ながら窒化反応が進行していることが確認された。上記研究レポート(反応温度:900〜1300℃)においてはアルゴンガスが30〜70vol%添加された窒素ガスが用いられても何らアルゴンガスの影響が見られず、窒化反応が生じていることに対して、本発明の窒化アルミニウムにおける加熱温度域(600〜750℃)では窒化が停止〜緩慢になっている。この差異は温度の違いにもあるが、一方は液相、一方は固相という反応の差によるものと思われる。
【0098】
また、アンモニアガスは、アルミニウムや鋼の窒化時に窒化剤として窒素ガスに少量が添加されているガスである。しかし、アルゴンガスの場合と同様、600〜750℃での反応性を調査したところ、窒化反応が停止したことが確認された。すなわち、窒化反応が進行しているときにアンモニアガスを反応室内に供給することで、一時的に窒化反応を停止させることができる。なお、アンモニアガスにより窒化反応が停止した理由は明らかではないが、実験温度域では原料は固体であり、固相のアルミニウム粉末中にAlH3の化合物が生成し、窒素ガスの侵入を阻害したためと推察される。
【0099】
すなわち、反応室内に供給されるガス量を100vol%としたときに、反応抑制ガスは、1〜50vol%の範囲で反応室内に供給されることが好ましい。
【0100】
本発明の窒化アルミニウムは、窒化反応の完了直前に、反応室内への反応抑制ガスの供給を停止するとともに、反応温度を30〜120℃上昇させることが好ましい。窒化反応の完了直前に、反応抑制ガスの供給を停止するとともに反応温度を上昇させることで、原料のアルミニウム粉末がすべて窒化される。
【0101】
アルミニウム粉末は、非圧縮の集積状態にあることが好ましい。アルミニウム粉末が非圧縮の集積状態にあることで、窒化アルミニウム粒子が隣接する粒子と焼結することが抑えられる。すなわち、アルミニウムから窒化アルミニウムへの窒化は、体積膨張をともなう。このため、アルミニウム粉末が圧縮した集積状態にあると、窒化アルミニウム粒子が焼結を生じ、破砕性が低下する。また、非圧縮の集積状態にあることで、窒素吸蔵処理において、窒素を吸蔵することができる。すなわち、アルミニウム粉末が非圧縮の集積状態にあることで、それぞれのアルミニウム粉末粒子が窒素ガスと十分な表面積で接触できるようになり、アルミニウム粉末の窒素の吸蔵が十分に行われるようになる。
【0102】
アルミニウム粉末は、複数部に分割されて反応室内に収容されることが好ましい。アルミニウム粉末が複数部に分割されて反応室内に収容されることで、窒化アルミニウムは、バラツキが抑えられた粒子となる。すなわち、アルミニウム粉末の各部ごとの窒化反応の制御が可能となるためである。
【0103】
詳しくは、多量のアルミニウム粉末が反応室内に非圧縮の集積状態で収容された状態で窒化反応を進行させると、アルミニウム粉末の集積体の内部と表層部の温度に差が生じるようになる。すなわち、集積体の内部での窒化反応の観測および制御が困難となり、窒化アルミニウム粒子のバラツキが大きくなる。これに対し、少量のアルミニウム粉末の状態で反応室内に収容されることで、集積体の内部での窒化反応の観測および制御が容易となるため、窒化アルミニウム粒子のバラツキが抑えられる。
【0104】
アルミニウム粉末を複数部に分割して反応室内に収容する方法は、特に限定されるものではない。たとえば、積層させて反応室内に収容され内部にアルミニウム粉末を収容する複数の反応用トレーをあげることができる。
【0105】
アルミニウム粉末が複数部に分割されて反応室内に収容されるときに、分割部数が多くなるほど、窒化アルミニウム粒子のバラツキが抑えられる。
【0106】
窒化反応はアルミニウム粉末を窒素ガス雰囲気中に保持した状態で所定の反応温度まで昇温させて開始され、窒化反応の所定の反応温度に到達してから窒化反応が終了するまでの時間が2〜10時間であることが好ましい。反応時間が2〜10時間となることで、粒子径の小さな窒化アルミニウム粉末を製造することができる。反応終了までの時間が2時間未満ではアルミニウム粉末が窒化する窒化反応の発熱量が大きく、製造される窒化アルミニウム粒子の凝集が生じるようになる。また、反応終了までの時間が10時間を超えると、加熱時間が長時間となり、製造に要するコストが増大する。
【0107】
所定の反応温度に到達したときに反応抑制ガスの供給が開始され、窒化反応の進行を抑制できる所定のガス分圧となるまで反応抑制ガスの供給量を徐々に増加させて、所定のガス分圧が維持された後に、反応抑制ガスのガス分圧を徐々に減少させていき反応抑制ガスの供給を停止することが好ましい。反応抑制ガスの反応室内への供給量を制御することで、窒化反応を制御できる。すなわち、所定の窒化温度に到達した後に、窒化反応が開始されるが、このとき、多量の反応抑制ガスが反応室内に存在すると窒化反応の開始までに時間がかかるようになる。このため、反応抑制ガスのガス分圧を小さくすることで、窒化反応が開始されるようになる。そして、窒化反応が進行すると、連鎖的に進行する窒化反応の進行を抑制するために十分な反応抑制ガスが反応室内に供給される。そして、アルミニウム粉末が十分に窒化したら、反応抑制ガスの供給が徐々に減少して停止される。徐々に反応抑制ガスの供給が減少していくことで、窒化されていないアルミニウムが急激に窒化反応を進行させることを抑えることができる。
【0108】
反応抑制ガスの所定のガス分圧での維持は、アルミニウム粉末の1/2〜3/4が窒化する時間であることが好ましい。アルミニウム粉末の窒化量は、アルミニウム粉末の重量および反応室内の窒素ガス分圧の変化から算出できる。
【0109】
反応抑制ガスの供給が停止した後に、反応室内にさらに窒素ガスを供給することが好ましい。反応抑制ガスの供給が停止した後にさらに窒素ガスを供給することで、窒化されていないアルミニウムを窒化することができる。大部分のアルミニウム粉末が窒化しているため、窒化反応が生じてもアルミニウム量が少ないため、激しい温度上昇を引き起こすほどの連鎖的な窒化反応が進行しなくなっているため、窒化反応を抑制しなくてもよい。
【0110】
本発明の窒化アルミニウムは、窒化反応が進行するときに反応抑制ガスが供給されているため、低温で窒化反応が進行している。この結果、本発明の窒化アルミニウムは、粒子径が小さな窒化アルミニウムとなっている。
【0133】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0134】
本発明の実施例として、窒化炉を作製し、この窒化炉を用いてアルミニウム粉末の窒化を行った。作製された窒化炉は、図1に示したバッチ式窒化炉2である。
【0135】
(窒化炉)
窒化炉2は、箱型の炉殻10と、炉殻10内に保持される内部にリブ補強を有する耐熱マッフル11と、炉殻10内に耐熱マッフル11の外周面に対向してもうけられたヒーター12と、を有する電気炉である。
【0136】
耐熱マッフル11は、真空ポンプ14により真空引きした場合には0.1KPa以下に保持できるタイトな炉体構造を有する。また、耐熱マッフル11は、中央部でアルミニウム粉末を保持する反応用トレーを上段、中段、下段の三段で保持できるように内部にラックが形成されている。
【0137】
窒化炉2は、炉殻10の内周面と耐熱マッフル11の表面との間には約70mmのすき間により形成された空隙がありこの空隙に空気を供給するエアー供給装置15と、空隙内の空気を排出するエアー排出装置16と、がもうけられている。なお、エアー供給装置15は、工場エアー(圧:0.6MPa)を炉殻10と耐熱マッフル11との空隙内に供給することができる。
【0138】
また、窒化炉2は、ガス供給装置3により、耐熱マッフル11内に窒素ガスおよびアルゴンガスを供給することができる。
【0139】
ガス供給装置3は、窒素ガスボンベ31と、アルゴンガスボンベ35と、一方の端部がガスボンベ31、35に接続され他方の端部が耐熱マッフル11の炉壁に対向して開口した管路30と、管路30のガスボンベ31、35との接続部にもうけられたバルブ32、36と、管路30中にもうけられ管路30中を通過するガス流量を測定するマスフロメーター(山武製)33、37と、を有する。このマスフロメーター33、37により、ガス供給装置3から耐熱マッフル11内へ2〜50L/分の範囲で供給ガス流量を適宜選択することができる。
【0140】
さらに、窒化炉2は、耐熱マッフル11内のガスを排出する排出装置4を有する。この排出装置4は、一方が耐熱マッフル11内に開口し他方が窒化炉2の外部に開口した管路41と、管路41中にもうけられ管路41内を通過するガス量を調節する排出バルブ42と、を有する。
【0141】
また、窒化炉2は、耐熱マッフル11内のガス圧力を測定する圧力計51(CKD製、0〜200KPa、接点数:4)がもうけられている。
【0142】
さらに、窒化炉2には、熱電対52がもうけられている。熱電対52は、耐熱マッフル11の底面の炉壁の内部と外部に各1箇所、耐熱マッフル11の内部の上面に1箇所、耐熱マッフル11内に保持されるアルミニウム粉末中に1箇所、の4箇所の温度を測定する。
【0143】
窒化炉2は、さらに、エアー供給装置15、エアー排出装置16、圧力計51、熱電対52、バルブ32、36、42が電気的に接続された演算装置55を有する。この演算装置は、圧力計51、熱電対52などの装置により測定されたデータから耐熱マッフル11内の環境を算出し、所望の設定条件との誤差から、バルブ22、26、42の開放量を決定するとともに、各バルブ32、36、42の開閉を行うことができる。また、演算装置55は、エアー供給装置15およびエアー排出装置16を作動させ、耐熱マッフル11を所望の温度に維持することができる。さらに、演算装置は、図示されない出力装置に、測定データを表示させることができる。
【0145】
また、窒化炉2により窒化されるアルミニウム粉末は、図1にその構成が示された反応用トレー17(内容積;6L)内に収容された状態で、耐熱マッフル11内に納められた。ここで、アルミニウム粉末の量により、反応用トレー17は、1〜3段で積層した状態で用いられた。
【0154】
(実施例1)
実施例1は、窒化炉2を用いて、平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製、純度99.7%)の窒化を行い、窒化アルミニウムを製造した。
【0155】
まず、原料のアルミニウム粉末500gと平均粒径が1.6μmの窒化アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製)500gとをハンドミキサーにより十分に混合した。原料の混合割合を表1に示した。
【0156】
【表1】
Figure 0003891076
【0157】
その後、この原料混合粉末を反応用トレー17内に収容し、この反応用トレー17を耐熱マッフル11内の下段に配置した。この反応用トレー17は、1段で用いられた。なお、原料混合粉末は、反応用トレー17内に収容された状態では、圧縮されていない。
【0158】
その後、ガス供給装置2および排出装置4のバルブ42を開放して、耐熱マッフル11内に窒素ガスを10L/分の流量で供給し続けた。窒化炉2の耐熱マッフル11の炉内圧力は115〜125KPaに保持された。このため、炉内の露点は、450℃時点で−50℃以下となった。露点の観測は、排出装置4の管路41中にもうけられた露点計45を用いて行われた。
【0159】
耐熱マッフル11内に窒素ガスが10L/分で供給された状態で、窒化炉2のヒーター12に通電し、7℃/分の昇温速度で炉内温度を460℃に昇温させた後に、この温度で30分間保持した。
【0160】
つづいて、5℃/分の昇温速度で炉内温度を630℃に昇温させ、表2に示された処理条件で窒化反応を進行させた。
【0161】
【表2】
Figure 0003891076
【0162】
設定温度に到達後のガス量、電気供給量とその結果として得られる炉内・ワーク温度、耐熱マッフル11の炉壁の内部と外部との温度差について説明する。耐熱マッフル11内温度が630℃に到達したら、この温度を保持するとともにガス供給装置3のバルブ36を開放し、アルゴンガスを3L/分の流量で耐熱マッフル11内に供給した。
【0163】
途中、熱電対52により測定された温度とガス圧力から観測される窒化反応の反応が鈍くなったら、バルブ36を閉じてアルゴンガスの供給を減少または停止するとともに、バルブ32をさらに開放して、窒素ガス流量を13L/分に増加することで、窒化反応を進行させた。
【0164】
その後、窒化反応が進行したところで、バルブ36を開放してアルゴンガスを再度1.5L/分の流量で耐熱マッフル11内に供給した。
【0165】
耐熱マッフル11内のガス圧力が戻ってきたら、バルブ36を閉じるとともに、バルブ32を開いて、窒素ガス流量を15L/分に増加させた。この状態で20分間保持したところ、ガス圧力の低下および温度上昇は見られず、窒化反応の終了を確認した。反応時間は3時間ちょうどであった。
【0166】
なお、窒化反応進行中は、温度ヒーター12への電力供給量を36〜50%に調節することで、反応温度の制御が行われた。また、耐熱マッフル11の炉壁の内外における温度差は20〜30℃であった。
【0167】
その後、冷却を行い、反応用トレー17内の窒化アルミニウム粉末を回収した。
【0168】
ここで、窒化反応時の状態および窒化炉2の操業状態を表3に示した。
【0169】
【表3】
Figure 0003891076
【0170】
以上の手段により試料1の窒化アルミニウムは製造された。
【0171】
(評価)
実施例1の窒化アルミニウムは、回収量が1260gであり、原料として500gの窒化アルミニウム粉末が用いられていることから、生成された窒化アルミニウムは760gである。この窒化アルミニウムは、500gのアルミニウム粉末が100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0172】
すなわち、アルミニウム(Al)を窒素(N)と反応させて窒化アルミニウム(AlN)を生成すると、理論的には、重量が1.52倍(=(27+14)/27)となる。実施例1におけるアルミニウム粉末量は500gであり、500×1.52=760であるためである。
【0173】
さらに、実施例1の窒化アルミニウム粉末の分析を行ったところ、窒素含有量が34.1%、酸素含有量が0.68%であった。すなわち、製造された窒化アルミニウム粉末は、分析結果からも、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。
【0174】
実施例1の窒化アルミニウムの比表面積を測定したところ、3.1m2/gと高い値を示した。
【0175】
実施例1の窒化アルミニウムの分析結果を表4に示した。
【0176】
【表4】
Figure 0003891076
【0177】
また、実施例1の窒化アルミニウム粉末のSEM写真を撮影し、図2に示した。ここで、図2(a)は6000倍の倍率で、図2(b)は4000倍の倍率で撮影された窒化アルミニウム粉末の写真である。なお、図2に示された写真は、製造された窒化アルミニウムを乳鉢で破砕した後に撮影した写真である。この破砕は、簡単に行うことができた。
【0178】
図2に示されたように、実施例1の窒化アルミニウム粉末は、粒子径がほぼ1μm以下であることが確認された。すなわち、実施例1の窒化アルミニウム粉末は、従来の窒化アルミニウムの製造方法ではその製造が困難であった微細な粉末となっていることがわかる。なお、図4中において、若干粗めの粒子が観察されるが、この粒子は、原料として用いられた窒化アルミニウム粒子である。また、図2中に大きな粒子が見られるが、この粒子は、一次粒子が凝縮した二次粒子である。この二次粒子は、破砕処理を行うことで、容易に微細な窒化アルミニウム粉末とすることができる。
【0179】
以上のことから、実施例1の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。
【0180】
実施例1において、30μmの粒径のアルミニウム粉末から1μmの粒径の窒化アルミニウム一次粒子が得られるとともに、表面積の増加が確認された。また、アルミニウムから窒化アルミニウムへの反応は、16%の体積膨張をともなうことが知られている。すなわち、実施例1において、窒化反応が低温で進行することにより、焼結が生じなくとも、反応によるアルミニウムの体積膨張により、隣接した粒子同士が密着を生じたことを示している。
【0181】
(実施例2)
実施例2は、窒化炉2を用いて、シュレッダー・アルミ箔が混在した平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製、純度99.7%)の窒化を行い、窒化アルミニウムを製造した。
【0182】
実施例2は、粒径が30μmのアルミニウム粉末粒子より粗大なシュレッダー・アルミ箔を含有することで、窒化されるアルミニウム原料同士の間に多数のすき間が形成されている。多数のすき間が存在した状態で窒化反応を進めると、体積膨張を生じても、このすき間により密着を生じないと考えて窒化反応を行った例である。
【0183】
シュレッダー・アルミ箔は、厚さ20〜30μmのアルミ箔を引きちぎって形成され、見かけ比重が0.7〜0.8、アルミニウム純度が99.7%であった。なお、このシュレッダー・アルミ箔は、アルミ箔が引きちぎられて形成されたことから、箔ごとの形状が一定ではない。
【0184】
窒化アルミニウムの製造は、まず、表1に示された原料を秤量し、ハンドミキサーにより十分に混合した。詳しくは、アルミニウム原料は、アルミニウム粉末300g、シュレッダー・アルミ箔200gおよび平均粒径が1.6μmの窒化アルミニウム粉末500gとからなる。
【0185】
つづいて、実施例1と同様にアルミニウム原料を反応用トレー17に収納し、窒化炉2を用いて、窒素吸蔵処理を施した後に、窒化反応を進行させた。また、窒化反応の開始が確認されたら、アルゴンガスの供給が開始された。窒化炉2の設定条件は表2に示されたとおりである。
【0186】
なお、実施例2においては、アルミニウム原料中に粗大なシュレッダー・アルミ箔が含まれることから、640℃で2時間の保持を行なった後に、750℃で1時間の保持を行った。この加熱は、シュレッダー・アルミ箔を完全に窒化させるために行われた。
【0187】
また、実施例2において、ヒーター12の供給電気量は、演算装置55を用いて自動で行った。また、実施例2において、750℃で窒化反応を進行させているときに、窒化反応が激しくなったため、耐熱マッフル11内にアルゴンガスを3L/分の流量でおよそ15分供給した。
【0188】
ここで、窒化反応時の反応条件を表3にあわせて示した。
【0189】
(評価)
実施例2において、回収された窒化アルミニウム粉末は1260gであり、生成された窒化アルミニウム粉末は760gであった。窒化反応の試験結果および分析結果を表4にあわせて示した。ここで、回収された窒化アルミニウム粉末には、シュレッダー箔としての形状が残留していなく、ぼそぼそとした状態の粉末となっていた。
【0190】
すなわち、実施例2の窒化アルミニウムは、生成された窒化アルミニウムが760gであり、重量変化から、500gのアルミニウム粉末が100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0191】
実施例2の窒化アルミニウムは、窒素含有量が34.0%、酸素含有量が0.73%であった。すなわち、窒素含有量が34.0%と高い値であり、実施例2の窒化アルミニウム粉末は、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。さらに、実施例2の窒化アルミニウム粉末の粒子径を測定したところ、実施例1の窒化アルミニウム粉末と同様に1μm以下であった。
【0192】
また、実施例2の窒化アルミニウムの比表面積を測定したところ、2.8m2/gと高い値を示した。
【0193】
実施例2の窒化アルミニウムの分析結果を表4にあわせて示した。
【0194】
以上のことから、実施例2の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。
【0195】
(実施例3)
実施例3は、窒化炉2を用いて、シュレッダー・アルミ箔が混在した平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製、純度99.7%)の窒化を行い、窒化アルミニウムを製造した。
【0196】
実施例3は、シュレッダー・アルミ箔量を300g、平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末量を700gとし、窒化反応における設定温度を630℃とした以外は実施例2と同様の設定条件で窒化が行われた。
【0197】
実施例3において、窒化されるアルミニウム量が実施例2と比較して2倍になっているため、窒化反応時の総発熱量も2倍となっている。すなわち、実施例3は、増加した反応熱を粗大なシュレッダー・アルミ箔の窒化反応を進行させることを目的としている。
【0198】
アルミニウム原料および窒化反応における詳しい条件は、表1〜3にあわせて示した。なお、実施例3においても、実施例1と同様にアルミニウム原料を反応用トレー17に収納し、窒化炉2を用いて、窒素吸蔵処理を施した後に、窒化反応を進行させた。また、窒化反応の開始が確認されたら、アルゴンガスの供給が開始された。窒化炉2の設定条件は表2に示されたとおりである。
【0199】
実施例3における窒化反応の反応時間は、3時間30分であった。
【0200】
(評価)
実施例3において、回収された窒化アルミニウム粉末は2010gであり、生成された窒化アルミニウム粉末は1510gであった。窒化反応の試験結果および分析結果を表4にあわせて示した。また、回収された窒化アルミニウム中にシュレッダー箔は、その形状が残留していなく、窒化アルミニウム粒子となっていた。
【0201】
実施例3の窒化アルミニウムは、生成された窒化アルミニウムが1510gであり、重量変化から、1000gのアルミニウム粉末がほぼ100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0202】
実施例3の窒化アルミニウムは、窒素含有量が33.7%、酸素含有量が0.85%であった。すなわち、窒素含有量が33.7%と高い値であり、実施例3の窒化アルミニウム粉末は、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。
【0203】
さらに、実施例3の窒化アルミニウム粉末の結晶子サイズをX線回折による半価幅から求めたところ、1266Å、1103Åであった(2カ所測定)。
【0204】
実施例3の窒化アルミニウムの分析結果を表4にあわせて示した。
【0205】
以上のことから、実施例3の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。
【0206】
(実施例4)
実施例4は、窒化炉2を用いて、3段で積層した反応用トレーの上段と下段とに平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製、純度99.7%)の窒化を行い、窒化アルミニウムを製造した。
【0207】
詳しくは、まず、原料のアルミニウム粉末1000gと自家製の窒化アルミニウム粉末1000gとをハンドミキサーにより十分に混合した。なお、自家製の窒化アルミニウム粉末は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウムを製造し、粉砕した後にふるい分け(500メッシュアンダー)して製造された。
【0208】
十分に混合した原料混合粉末を1000gづつに分配し、それぞれを別の二つの反応用トレーに収容した。原料混合粉末が収容された二つの反応用トレー17は、耐熱マッフル11の上段および下段に配置された。本実施例の目的は、窒化炉2のヒーター12が上下二段で別々に制御できる場合を想定して行われた。
【0209】
なお、実施例4においても、実施例1と同様に、窒素吸蔵処理を施した後に、窒化反応を進行させた。また、窒化反応の開始が確認されたら、アルゴンガスの供給が開始された。
【0210】
窒化反応における反応条件は、表3にあわせて示した。
【0211】
実施例4での窒化反応においては、設定反応温度(630℃)に到達の4分後、耐熱マッフル11の内部圧力のわずかな減少(132.9KPaから131.0KPa)を感知したため、電気供給量が30%に減少された。なお、このときのアルゴンガス量は1.5L/分であった。このときの発熱は下段の反応用トレーにおいてのみで観察された。電力供給量が減少したことにより、上段の反応用トレー内の温度は580〜590℃に低下した。このため、反応開始から1.5時間後にヒーター12への電気供給量を60%に上昇させたところ、上段の反応用トレー内の温度が640℃で窒化反応が開始された。
【0212】
窒化反応において、熱電対52により測定された耐熱マッフル11の底面の内部と外部との温度差は、5〜80℃であった。
【0213】
実施例4の窒化反応の反応時間は、3時間20分であった。
【0214】
(評価)
実施例4において、回収された窒化アルミニウム粉末は上段が1260g下段が1260gの合計で2520gであり、生成された窒化アルミニウム粉末は上段が760g下段が760gの合計1520gであった。窒化反応の試験結果および分析結果を表4にあわせて示した。
【0215】
実施例4の窒化アルミニウムは、生成された窒化アルミニウムが合計で1520gであり、重量変化から、1000gのアルミニウム粉末がほぼ100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0216】
実施例4の窒化アルミニウム粉末の分析結果は、窒素含有量が34.1%、酸素含有量が0.74%であった。すなわち、窒素含有量が34.1%と高い値であり、実施例4の窒化アルミニウム粉末は、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。
【0217】
さらに、実施例4の窒化アルミニウム粉末の結晶子サイズをX線回折による半価幅から求めたところ、1224Å、1234Åであった(2カ所測定)。
【0218】
実施例4の窒化アルミニウムの分析結果を表4にあわせて示した。
【0219】
以上のことから、実施例4の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。また、窒化反応が進行したときに、反応用トレー17の上段と下段とで発熱開始に差が生じたことから、同一炉内で窒化反応をずらすことができることを見出した。本実施例において、原料のアルミニウム粉末は500g+500gで合計が1000gであるので反応熱の吸収は比較的容易であるが、各段ごとのアルミニウム粉末量が増大した場合、各段ごとに時間をずらして反応できるメリットは大きい。たとえば、窒化炉のヒーターがそれぞれが独立して制御できる上中下の三段であるような場合において、各反応用トレーにおける反応をずらすことができ、一つの炉におけるアルミニウム処理量が増大する。
【0220】
(実施例5)
実施例5は、窒化炉2を用いて、3段に積層した反応用トレーの中段にもアルミニウム粉末を配置して、窒化を行った以外は、実施例4と同様に窒化アルミニウムを製造した。
【0221】
詳しくは、まず、平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製、純度99.7%)1200gと自家製の窒化アルミニウム粉末1800gとをハンドミキサーにより十分に混合した。なお、自家製の窒化アルミニウム粉末は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウムを製造し、粉砕した後にふるい分け(500メッシュアンダー)して製造された。
【0222】
十分に混合した原料混合粉末を1000gづつに3つに分配し、それぞれを別の反応用トレーに収容した。原料混合粉末が収容された三つの反応用トレー17を耐熱マッフル11の上段、中段、下段の三段のそれぞれに収容し、窒化反応を進行させた。なお、詳しい条件は、表2〜3に示されたとおりである。
【0223】
本実施例は、実施例4とは異なり、三段の反応用トレー17のそれぞれにワークがありかつ反応設定温度を10℃程度高くしたことで、上段側ほど反応開始が遅れるが、三段のワークとも発熱を生じた。三段の反応用トレーにおいて発生したすべての熱は、反応用トレーおよび反応用トレーが載置された耐熱マッフル11の炉壁を介して耐熱マッフル11の外部に放熱された。このため、耐熱マッフル11の炉壁の内部と外部との温度差が60〜90℃の状態が1.5時間継続した。すなわち、窒化炉2の炉内のワーク温度が630〜650℃に対して、耐熱マッフル11の外部の温度は550〜590℃を示した。
【0224】
窒化反応において、耐熱マッフル11の底面内部と外部との温度差は、5〜90℃であった。
【0225】
実施例5の窒化反応の反応時間は、3時間40分であった。
【0226】
(評価)
実施例5において、回収された窒化アルミニウム粉末は上段が1210g、中段が1210g、下段が1210gの合計で3630gであり、生成された窒化アルミニウム粉末は上段が610g、中段が610g、下段が610gの合計1830gであり、上中下段のそれぞれの反応用トレーにおいて製造された窒化アルミニウム粉末の窒化率に差はなかった。窒化反応の試験結果および分析結果を表4にあわせて示した。
【0227】
実施例5の窒化アルミニウムは、生成された窒化アルミニウムが合計で1830gであり、重量変化から、1200gのアルミニウム粉末がほぼ100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0228】
実施例5の窒化アルミニウム粉末の分析結果は、窒素含有量が34.0%、酸素含有量が9.20%であった。すなわち、窒素含有量が34.0%と高い値であり、実施例5の窒化アルミニウム粉末は、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。
【0229】
さらに、実施例5の窒化アルミニウム粉末の結晶子サイズをX線回折による半価幅から求めたところ、1665Å、1779Åであった(2カ所測定)。
【0230】
実施例5の窒化アルミニウムの分析結果を表4にあわせて示した。
【0231】
さらに、実施例5の窒化アルミニウム粉末のSEM写真を撮影し、図3に示した。ここで、図3(a)は2800倍の倍率で、図3(b)は4000倍の倍率で撮影された窒化アルミニウム粉末の写真である。なお、図3に示された写真は、製造された窒化アルミニウムを乳鉢で破砕した後に撮影した写真である。この破砕は、簡単に行うことができた。
【0232】
図3に示されたように、実施例5の窒化アルミニウム粉末は、粒子径がほぼ1μm以下であることが確認された。すなわち、実施例5の窒化アルミニウム粉末は、従来の窒化アルミニウムの製造方法ではその製造が困難であった微細な粉末となっていることがわかる。
【0233】
以上のことから、実施例5の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。
【0234】
(実施例6)
実施例6は、窒化炉2を用いて、平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製AHL2504、純度99.95%)の窒化を行い、窒化アルミニウムを製造した。
【0235】
まず、原料のアルミニウム粉末1000gと平均粒径が1.6μmの窒化アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製UF)1500gとをV型ブレンダーにより十分に混合した。原料の混合割合を表1に示した。
【0236】
その後、この原料混合粉末を反応用トレー17内に収容し、この反応用トレー17を耐熱マッフル11内の下段に配置した。この反応用トレー17は、1段で用いられた。なお、原料混合粉末は、反応用トレー17内に収容された状態では、圧縮されていない。
【0237】
その後、ガス供給装置3および排出装置4のバルブ32、42を開放して、耐熱マッフル11内に窒素ガスを8L/分の流量で供給し続けた。窒化炉2の耐熱マッフル11の炉内圧力は120〜150KPaに保持された。炉内の露点は、450℃時点で−50℃以下となった。露点の観測は、露点計45を用いて行われた。
【0238】
耐熱マッフル11内に窒素ガスが8L/分で供給された状態で、窒化炉2のヒーター12に通電し、7℃/分の昇温速度で炉内温度を460℃に昇温させた後に、この温度で30分間保持した。
【0239】
つづいて、4℃/分の昇温速度で炉内温度を670℃に昇温させ、表2に示された処理条件で窒化反応を進行させた。
【0240】
設定温度に到達後のガス量、電気供給量とその結果として得られる炉内・ワーク温度、耐熱マッフル11の炉壁の内部と外部との温度差について説明する。耐熱マッフル11内温度が670℃に到達し、反応が開始した(内部の圧力が低下した)時点で、ガス供給装置3のバルブ36を開放し、アルゴンガスを2〜6L/分の流量で耐熱マッフル11内に供給した。
【0241】
途中、熱電対52により測定された温度とガス圧力から観測される窒化反応の反応が鈍くなったら、バルブ36を閉じてアルゴンガスの供給を減少または停止するとともに、バルブ32をさらに開放して、窒素ガス流量を12L/分に増加することで、窒化反応を進行させた。
【0242】
この状態で20分間保持したところ、ガス圧力の低下および温度上昇は見られず、窒化反応の終了を確認した。反応時間は約2時間であった。
【0243】
なお、窒化反応進行中は、温度ヒーター12への電力供給量を10〜55%に調節することで、反応温度の制御が行われた。また、耐熱マッフル11の炉壁にエア供給装置15よりエアーを供給し、炉壁52の温度を500〜550℃に保持した。反応開始より終了までのワーク温度は675〜723℃であった。
また、耐熱マッフル11の炉壁の内外の温度差は5〜50℃であった。
【0244】
その後、冷却を行い、反応用トレー17内の窒化アルミニウム粉末を回収した。
【0245】
以上の手段により実施例6の窒化アルミニウムは製造された。
【0246】
(評価)
実施例6の窒化アルミニウムは、回収量が3010gであり、原料として1000gの窒化アルミニウム粉末が用いられていることから、生成された窒化アルミニウムは1510gである。この窒化アルミニウムは、1000gのアルミニウム粉末が100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0247】
さらに、実施例1の窒化アルミニウム粉末の分析を行ったところ、窒素含有量が33.9%、酸素含有量が0.75%であった。すなわち、製造された窒化アルミニウム粉末は、分析結果からも、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。
【0248】
実施例6の窒化アルミニウムの比表面積を測定したところ、3.2m3/gと高い値を示した。
【0249】
実施例6の窒化アルミニウムの分析結果を表4にあわせて示した。
【0250】
以上のことから、実施例6の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。
【0251】
(実施例7)
実施例7は、窒化炉2を用いて、3段で積層した反応用トレーの上段と下段とに平均粒径が30μmの高純度アルミニウム粉末(東洋アルミニウム(株)製AHL2504、純度99.95%)の窒化を行い、窒化アルミニウムを製造した。
【0252】
詳しくは、まず、原料のアルミニウム粉末2000gと自家製の窒化アルミニウム粉末3000gとをV型ブレンダーにより十分に混合した。なお、自家製の窒化アルミニウム粉末は、実施例1と同様の方法を用いて窒化アルミニウムを製造し、粉砕した後にふるい分け(500メッシュアンダー)して製造された。
【0253】
十分に混合した原料混合粉末を2500gづつに分配し、それぞれを別の二つの反応用トレーに収容した。原料混合粉末が収容された二つの反応用トレーは、耐熱マッフル11の上段および下段に配置された。本実施例の目的は、窒化炉2のヒーター12が上下二段で別々に制御でして行われた。
【0254】
その後、実施例7においても、実施例6と同様に、窒素吸蔵処理を施した後に、窒化反応を進行させた。また、窒化反応の開始が確認されたら、アルゴンガスの供給が開始された。
【0255】
窒化反応における反応条件は、表3にあわせて示した。
【0256】
(評価)
実施例7の窒化アルミニウムは、回収量が6020gであり、原料として3000gの窒化アルミニウム粉末が用いられていることから、生成された窒化アルミニウムは3020gである。この窒化アルミニウムは、2000gのアルミニウム粉末が100%の窒化率で窒化していることを示す。
【0257】
さらに、実施例7の窒化アルミニウム粉末の分析を行ったところ、窒素含有量が34.2%、酸素含有量が0.64%であった。すなわち、製造された窒化アルミニウム粉末は、分析結果からも、ほぼ100%の窒化率であることがわかった。
【0258】
実施例7の窒化アルミニウムの比表面積を測定したところ、4.5m3/gと高い値を示した。
【0259】
実施例7の窒化アルミニウムの分析結果を表4にあわせて示した。
【0260】
以上のことから、実施例7の窒化アルミニウムは、ほぼ100%の窒化率であり、かつ粒径が1μm以下の微細な粒径の窒化アルミニウム粒子であることがわかる。
【0261】
実施例1〜7から、本発明の製造方法を用いると、窒化反応を低温で進行させることができ、粒径の小さな窒化アルミニウム粉末を製造できた。
【0262】
さらに、実施例1〜7においてほぼ100%の窒化アルミニウムが製造できていることから、本発明の反応用トレーを用いても窒化アルミニウムに不純物が混入しない。すなわち、取り扱いの容易な本発明の反応用トレーを用いることで、窒化アルミニウムの製造に要するコストを低減できる。
【0263】
【発明の効果】
本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、窒化反応が進行するときに反応抑制ガスが供給されるため、窒化反応の進行が抑制される。すなわち、発熱反応である窒化反応の進行が抑制されるため、反応熱によるさらなる窒化反応が抑制される。また、窒化反応で生じる熱を反応室の外部に放出することで、ワークの温度の上昇を抑えることができる。この結果、連鎖的な窒化反応が進行しなくなり、窒化温度で窒化反応を進行させることができる。本発明の窒化アルミニウムの製造方法は、低温で窒化を行うことができるため、粒子径が小さな窒化アルミニウム粉末を製造することができる。さらに、粒子径が小さな窒化アルミニウム粉末は、基板材料として焼成する焼成温度を低くすることができ、良質の基板として活躍が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の窒化炉の構成を示した図である。
【図2】 実施例1の窒化アルミニウム粉末のSEM写真である。
【図3】 実施例5の窒化アルミニウム粉末のSEM写真である。
【符号の説明】
…窒化炉 10…炉殻
11…耐熱マッフル 12…ヒーター
14…真空ポンプ
15…エアー供給装置 16…エアー排出装置
17…反応用トレー 171…底板
172…筒体 173…蓋体
174…切り欠き
3…ガス供給装置 30…管路
31…窒素ガスボンベ 35…アルゴンガスボンベ
32、36…バルブ 33、37…マスフローメーター
4…排出装置 41…管路
42…排出バルブ 45…露点計
51…圧力計 52…熱電対
55…演算装置

Claims (11)

  1. アルミニウム粉末を窒素ガス圧が105〜300KPaの窒素ガス雰囲気中に保持し、500〜1000℃で窒化反応を進行させる窒化アルミニウムの製造方法であって、
    該窒化反応が進行するときに、該アルミニウム粉末を収容した反応室内に窒化反応の進行を抑制する反応抑制ガスが供給されることを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法。
  2. 前記アルミニウム粉末は、450〜600℃の窒素ガス雰囲気中に30〜120分保持されて窒素を吸蔵させる窒素吸蔵処理が施された後に前記窒化反応が進められる請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  3. 前記窒化反応は、該窒化反応により生じる熱が前記反応室を区画する反応炉の炉壁を介して該反応炉の外部に放出され、ワーク温度と前記窒化反応の開始温度との差が100℃以下で進行する請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  4. 前記窒素ガス雰囲気は、前記反応室に窒素ガスを連続的に供給する窒素供給装置からの窒素ガスと該反応室から窒素ガスを逃がす排出装置から排出される窒素ガスとで維持されている請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  5. 前記反応室の窒素ガス圧力が低下したときに該反応室に前記反応抑制ガスを供給する請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  6. 前記ワーク温度が上昇したときに前記反応室内に前記反応抑制ガスを供給する請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  7. 前記反応抑制ガスは、アルゴンガスおよび/またはアンモニアガスである請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  8. 前記反応室内のガス量を100vol%としたときに、前記反応抑制ガスは、1〜50vol%の範囲で該反応室内に供給される請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  9. 前記窒化反応は前記アルミニウム粉末が所定の反応温度に到達してから該窒化反応が終了するまでの時間が2〜10時間である請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  10. 前記所定の反応温度に到達したときに前記反応抑制ガスの供給が開始され、前記窒化反応の進行を抑制できる所定のガス分圧となるまで該反応抑制ガスの供給量を徐々に増加させて、該所定のガス分圧が維持された後に、該反応抑制ガスのガス分圧を徐々に減少させていき該反応抑制ガスの供給を停止する請求項9記載の窒化アルミニウムの製造方法。
  11. 前記反応抑制ガスの供給が停止した後に、前記反応室内にさらに窒素ガスを供給する請求項10記載の窒化アルミニウムの製造方法。
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