JP3890515B2 - 耐震型柱・梁接合構造 - Google Patents

耐震型柱・梁接合構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐震型柱・梁接合構造に関し、特に、塑性変形点を梁母材に設定し梁端仕口部の耐力を塑性変形点における母材耐力と同一にすることで塑性変形能力を大きくさせて耐震性の向上を図り、併せて接合構造の簡素化、溶接の合理化及び鉄骨重量の削減をも達成する耐震型柱・梁接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄骨造建物においては、地震時に柱・梁接合部に最も大きな応力を生じる。このため、梁端部のフランジ溶接部とその周辺に変形が集中する結果、フランジ溶接部とその周辺での破壊が多くなっている。
このような破壊を回避するために、フランジ幅を拡大したり厚さを増すことなどによって、梁断面を大きくする工法が採用されることもある。しかし、このように断面積を変えたとしても、地震時の応力は依然としてフランジ溶接部とその周辺に集中することに変わりがなく、結果的に梁のコスト高を招いていた。
【0003】
梁部材の高い塑性変形性能を得るためには、塑性変形領域が梁材軸方向に充分に拡がる必要がある。このためには、仕口部の降伏以後の耐力上昇率が大きくなければならないが、以下のような場合には、耐力上昇率を見込めないばかりでなく、早期に脆性破壊を生じてしまう可能性が高い。
(1)歪が著しく集中する箇所が存在する場合。
(2)梁ウエブからの曲げモーメント伝達がほとんど期待できない場合。
(3)梁全体の曲げ性能に占めるフランジの負担割合が小さい場合。
(4)梁フランジ材の降伏比が高い場合や、破壊靭性値が低い場合。
(5)溶接施工が適切でない場合。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
脆性的な破壊を回避して高い塑性変形性能を得るためには、大地震時に塑性化する領域を従来の接合部よりも拡がるように、梁材に強度ギャップを設け、梁フランジ部分だけで柱への応力伝達ができるように、梁フランジのボリュームを増大させることで、各部に生じる歪量を小さくして、破壊発生時期を遅らせるようにし、梁フランジの完全溶込み溶接部の応力を低減させる必要がある。
本発明は、上記の要求を達成して、建物の耐震性能の向上を図ることを課題にしており、加えて接合構造の簡素化、溶接の合理化及び鉄骨重量の削減を図る耐震型柱・梁接合構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による耐震型柱・梁接合構造は、H型断面部材で構成された梁のフランジの端面を耐震型柱に溶接接合した耐震型柱・梁接合構造において、前記梁の梁端仕口部から前記梁の長手方向に前記梁の梁せいの1/2以上離隔させて塑性変形点を設定し、前記梁端仕口部における耐力が、前記塑性変形点における梁断面が降伏した時に前記梁端仕口部に生じる曲げモーメントと同一であって、地震荷重が加えられた場合に少なくとも前記梁端仕口部と前記塑性変形点における梁断面とが降伏するように、前記フランジの幅を拡大したことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明による耐震型柱・梁接合構造は、前記塑性変形点から前記梁端仕口部に至るまで、各断面の耐力が、前記塑性変形点における梁断面が降伏した時に各断面に生じる曲げモーメントと同一となるように、前記フランジの幅を拡大したことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項1又は2に記載の耐震型柱・梁接合構造において、梁端部のフランジ幅を両側で異ならして拡大させることを特徴としている。
【0008】
請求項4の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項1又は2に記載の耐震型柱・梁接合構造において、梁端部のフランジ幅を片側のみ拡大させることを特徴としている。
【0009】
請求項5の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項4に記載の耐震型柱・梁接合構造において、梁端部の幅を拡大させないフランジと平行に、幅を拡大させた片側のフランジのモーメントを補完する補助フランジを設けることを特徴としている。
【0010】
請求項6の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項1〜4のいずれかに記載の耐震型柱・梁接合構造において、フランジ幅の拡大を補強板の溶接付けで行うことを特徴としている。
【0011】
請求項7の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項6に記載の耐震型柱・梁接合構造において、母材と同一の材質で補強板を構成することを特徴としている。
【0012】
請求項8の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項6又は7に記載の耐震型柱・梁接合構造において、幅を拡大した補強板の母材側に傾斜を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項9の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項1〜6のいずれかに記載の耐震型柱・梁接合構造において、幅を拡大した上下のフランジ間にウエブのみに付設したフランジの局部座屈止めを設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項10の発明による耐震型柱・梁接合構造の施工方法は、補強板の傾斜に合わせたフラックスタブを設置して溶接することを特徴としている。
【0015】
請求項11の発明による耐震型柱・梁接合構造の施工方法に用いるフラックスタブは、補強板の傾斜に合わせた菱形構造を特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による耐震型柱・梁接合構造を説明するための斜視図である。
図において、1はCFTの柱であり、2は大梁である。柱1には、ダイヤフラム3とシャープレート4が敷設してある。大梁2はフランジ5を有するロール材のH形鋼であり、その母材に設定した塑性変形点6の位置から端部7まで、フランジ5に補強板8を溶接接合しており、本実施の形態では補強板8を矩形状に形成している。
【0017】
母材に設定した塑性変形点6における耐力と梁端仕口部の耐力とを同一に設定するために、補強板の長さと幅は以下のように設定される。
▲1▼補強板の板厚は、フランジ厚と同厚とし、長さは梁せいの1/2以上にする。
1/2・d≦Lj (2)
Lj:補強板の設置長さ
d:梁せい
梁ウエブの曲げ歪分布性状を有限要素法で解析すると、柱表面から梁せいの1/2以上離れるとウエブの曲げ歪分布が、平面保持を仮定して定まる分布形状にほぼ一致することから上記の選択をしている。
【0018】
▲2▼ 補強板の幅Brは、柱が閉鎖断面で幅厚比(径厚比)が大きい場合やウエブがボルト接合となるノンブラケットの場合に曲げモーメントの伝達が期待できないことから、梁ウエブを無視して補強板を含む梁フランジ部のみが有効とし、使用材料の各部位の降伏応力度が同一と仮定して、次式から算定している。
Mc=Me* (3)
Mcは、梁端仕口部の全塑性モーメント、Me*は、仕口部に要求される耐力
Mc=B・tf・d′・σy+2・Br・tf・d′・σy
d′:梁フランジの重心間距離
σy:降伏点
Me*=Me・L/(L−Lj) (4)
Me:補強板取付端部の梁の全塑性モーメント
L:反曲点までの梁長さ
【0019】
補強板8の取り付けは、随時行うことができるもので特別の制限はないものの、溶接による熱応力等を加味した製品精度の観点からは、管理の行き届いた工場等での溶接加工が推奨される。
溶接方法としては、突合せ溶接、部分溶け込み溶接等が用いられるが、突合せ溶接は熱容量が大きく、鋼材を変質させて硬くなり割れやすくなるので、後述の端部フランジの溶接も含めて部分溶込み溶接の採用が望ましい。
【0020】
梁端仕口部の耐力は、母材に設定した塑性変形点6における耐力を設定してから、上記のようにこれと同一の値に設定して、梁材に強度ギャップを設けているので、梁端仕口部は塑性変形領域の拡大を図っていることになる。
梁端仕口部と塑性変形点を設定した大梁の母材部分とは、同一状態で塑性変形領域を形成することになり、梁端仕口部と補強板の取付端部とがほぼ同時に降伏するようになり、柱への応力伝達が補強板を含むフランジ部分だけで可能になる。
【0021】
従って、地震力等が建物に加えられた時には、柱・梁の塑性変形性能を向上させて梁端仕口部近傍での破壊が回避され高い塑性変形性能が期待できるから、耐震対策として有効に作用する。
さらに、梁材は、補強板の取付端部に生じる応力に対して設計できるので、従来の梁断面より小さい断面を用いることができるので、コストダウンに貢献できる。
【0022】
図2は、補強板をテーパー状に形成する実施の形態を示している。
図示の補強板9は、大梁2の母材に設定した塑性変形点6における耐力と梁端仕口部の耐力を同一に設定するのに、塑性変形点6から梁端仕口部7までの荷重応力に対する耐力が均一になるようにしている。このため、水平荷重によって各部に作用するモーメント分布に対応させ、フランジ5の形状を三角状の補強板9を溶接接合することで、梁端部7に向かって暫時拡大させてテーパー状にしている。
従って、補強板の形状を要求される耐力の最小値を保証するものに限定できるので、使用する部材の数量を削減させることが可能になり、コストダウンの点で有利である。
【0023】
図3、4は、本発明の他の実施形態を説明するための斜視図である。
図3は、補強板の形状をフランジへの取付側によって異にしている例である。
本実施の形態は、建物の側柱10に偏心して取りつける梁11等に本発明を適用した例であり、フランジ12に溶接する一方の補強板13の幅は大きくし、他方の補強板14の幅を小さくして、総体として要求される補強板の幅を確保している。
これによって、目的とする塑性変形性能の向上を確保しながら、周辺の状況に合わせて他の構造物と梁との間隙を調整することが可能になり、設計上の自由度を拡大している。
【0024】
図4は、補強板をフランジの片側にのみ取り付ける例である。
本実施の形態は、上記図3に示した例の極端な場合であるが、建物の側柱10に偏心して取りつける梁15のフランジ16の一方にのみ補強板17を取り付けて、同様の効果を期待することが可能であるから、補強板を無くすることで施工上のコストダウンを図ることができる。
又、側柱の外方に取り付けられるPC盤等の外装材に対して、取り付けのための間隔を狭めることが可能になっていることから、接合部分の耐力の向上を図れるものであり、梁端仕口部での塑性変形性能の向上と相俟って建物全体の耐震性をさらに向上させることができる。
【0025】
図5に示す形態は、フランジを補強する他の実施の形態を示す斜視図である。
上記実施の形態では、梁の母材部分に塑性変形点6を設定し梁端仕口部の耐力はモーメント勾配に従って母材部分の値より高いものにするために、梁端仕口部におけるフランジ幅を拡大してフランジの断面積を拡大するように補強してきた。
【0026】
本実施の形態例では、補強板をフランジの片側にのみ取り付ける場合の補強版を取付けていない側の梁端部の断面積を実質的に拡大させる手段を示している。
即ち、補強板を取付けていない側のフランジ5と平行に、補助フランジ18を設けてフランジを2重にすることで断面積の拡大を図るものであり、補助フランジ18は、柱側に新規に設けたダイヤフラム19と溶接接合ができるようにしている。
そして、梁母材の降伏耐力の設定や補助フランジ18の幅と取り付け長さについては、上記した算出式に従って反対側のフランジに取付けている補強板8を加味して総合的に設定されることになる。
【0027】
図6に示す各形態は、矩形状の補強板において、溶込み不足やアンダーカットの発生を防止し、熱応力を分散させるために塑性変形点側の端部を加工する実施の形態を示す平面図である。
図6(a)に示す例は、補強板8を溶接接合した後に、ガス切断によって端部30を30〜45度の角度に切除して切欠面31を形成するものである。
加工前の補強板8は、塑性変形点側の端部34を仮想線で図示する形状に加工しており、溶接時には端部34に通常のフラックスタブ33を当接して切欠面端部までの溶接32を充分に溶込ますようにしている。これによって、溶接32の熱応力が補強板全体に分散されて均一な品質を確保することができる。
溶接接合後は、ガス切断によって図示のような切欠面31を形成する。図6(a)では切欠面31の形状を直線面として表示しているが、同面はこの形状に限定されるものでなく、所定の曲率を持った切欠き形状であっても良い。
【0028】
図6(b)の例は、溶接端部を図示の形状に加工して溶接の品質向上を図っている。
本実施の形態例では、図6(a)と同様に行う溶接32が完了した後のフラックスタブを取り外してから、さらに追加の加工を実施することで図6(a)と異にしている。追加の加工は、切欠面31の形成に加えてフランジ5に接している溶接端部をグラインダー等で円形35に加工するものであり、溶接端部34に集中する応力を分散させるのに効果的である。
【0029】
図7の例は、上記2例と異なって溶接効率の向上を図る溶接方法に関するものである。
本実施の形態では、補強板の形状が図6の実施の形態例で示したものと異ならして、補強板8の切欠面31をフランジに溶接する以前に切削加工することで、予め台形状にしている。
フランジと補強板との溶接32の端部部分には、図示のように菱形状に形成したフラックスタブ36を切欠面31に沿わせて配置して置き、溶接完了後は溶接端部37を図6(b)の例よりも短くして切欠面31と同形状に止めるようにしている。
【0030】
溶接時の熱応力は、溶接端37の部分を含めて補強板の形状に沿わした状態で万遍に分散され、溶接後にフラッグスタブ36を除去しても、溶接端37は溶け込みを充分に行った平滑な状態に整形され、溶接の品質が確保されている。
又、溶接を完了した後に、グラインダーによって補強板の端部と溶接端部とを削り取る作業を必要としないで切欠面31と同形状に形成されることから、作業効率の大幅な向上が達成される。
【0031】
以上の各形態によって、溶接時の熱応力は、補強板全体とフランジに分布されるので、柱・梁接合部は均一な品質を確保することができ、梁に応力が加えられた時に、これらの加工成形によって溶接端のフランジ5に亀裂の生じないことが実験によって確認されている。
【0032】
図8は、本発明による耐震型柱・梁接合構造の梁に付設したフランジ補強板を説明するための斜視図である。
上述のように、本発明による耐震型柱・梁接合構造は梁母材に塑性変形点6を設定するものであるから、梁端仕口部よりも補強板を取付けた部分のフランジ5に応力が分散されることになる。
そこで、補強板を取付けた部分の梁母材にフランジの座屈を押さえるためのフランジ補強板41を付設しておくと効果的である。
【0033】
フランジ補強板41の付設は、梁のウエブ部分42にフランジ補強板41を溶接43によって取り付けるもので、上下のフランジ5とは溶接接合していない。
従って、梁自体の剛性には全く影響がない状態でフランジ5と補強板8との座屈時の変形のみを押さえているから、本発明による耐震型柱・梁接合構造のメリットをさらに向上させることになる。
【0034】
以上のように、本発明は、梁材に強度ギャップを設け、梁フランジ部分だけで柱への応力伝達ができるようにしているから、地震力等が建物に加えられた時には、梁端仕口部と塑性変形点を設定した大梁の母材部分とが、同一状態で塑性変形領域を形成することになって、梁端仕口部は塑性変形領域の拡大を図ることになり、柱・梁の塑性変形性能を向上させている。
【0035】
又、矩形状補強板の塑性変形点側の端部を菱形のフラックスタブを用いて加工することで、溶接時の熱応力を補強板全体とフランジに分散させて、柱・梁接合部は均一な品質を確保すると同時に、作業効率の向上を図ることができる。
【0036】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による耐震型柱・梁接合構造は、基本的に、H形断面部材で構成される梁において、塑性変形点を梁母材に設定し梁端仕口部の耐力を塑性変形点における母材耐力と同一にする耐震型柱・梁接合構造であって、梁せいの1/2以上の長さで、塑性変形点の母材耐力とフランジ幅を拡大する長さとで設定される幅にフランジを拡大することを発明の趣旨にしているものであるから、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない長さにおいて種々の変形が可能であることは当然のことである。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明による耐震型柱・梁接合構造は、前記梁の梁端仕口部から前記梁の長手方向に前記梁の梁せいの1/2以上離隔させて塑性変形点を設定し、前記梁端仕口部における耐力が、前記塑性変形点における梁断面が降伏した時に前記梁端仕口部に生じる曲げモーメントと同一であって、地震荷重が加えられた場合に少なくとも前記梁端仕口部と前記塑性変形点における梁断面とが降伏するように、前記フランジの幅を拡大したので、柱・梁接合部での応力の集中が回避され、加えられる応力の状況に合わせて塑性変形性能を大きくさせて耐震性の向上を図れると共に、鉄骨製作コストの低減を図ることができ、大梁部材の鉄骨数量の低減とシャープレート・ボルト数量の低減が図れる効果を奏する。
【0038】
請求項2の発明による耐震型柱・梁接合構造は、塑性変形点から梁端仕口部に至るまで、各断面の耐力が、前記塑性変形点における梁断面が降伏した時に各断面に生じる曲げモーメントと同一となるように、フランジの幅を拡大したことを特徴とし、補強板の形状を要求される塑性変形耐力の最小値を保証するものに限定できるので、上記効果に加えて使用する部材の数量を削減させることが可能になり、コストダウンを図れる効果を奏する。
【0039】
請求項3の発明による耐震型柱・梁接合構造は、梁端部のフランジ幅を両側で異ならして拡大させることを特徴としているので、上記効果に加えて、塑性変形性能の向上を確保しながら、周辺の状況に合わせて他の構造物と梁との間隙を調整することが可能であり、設計上の自由度を拡大できる効果を奏している。
【0040】
請求項4の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項3で示した発明の究極例に相当し、梁端部のフランジ幅を片側のみ拡大させることを特徴としているので、上記した効果をさらに高めることが出来る。
【0041】
請求項5の発明による耐震型柱・梁接合構造は、請求項4に記載の発明において、梁端部の幅を拡大させないフランジと平行に、幅を拡大させた片側のフランジの耐力を補完する補助フランジを設けることを特徴としているので、総体としてフランジ断面の拡大を図れるものであるから、片側のフランジ幅に制限が必要になった場合等に有効な効果を奏している。
【0042】
請求項6〜8の発明による耐震型柱・梁接合構造は、フランジ幅の拡大を母材と同一の材質で補強板の溶接付けで行い、補強板の母材側に傾斜を設けることで応力の集中を避けることを特徴としているので、梁端部を容易に加工できる効果を奏している。
【0043】
請求項9の発明による耐震型柱・梁接合構造は、幅を拡大した上下のフランジ間にウエブのみに付設したフランジの局部座屈止めを設けたことを特徴としているので、仕口部からの応力の分散が成されてもフランジ部の座屈を防止して当初の効果を発揮させることが出来る。
【0044】
請求項10、11の発明による耐震型柱・梁接合構造の施工方法は、補強板の傾斜に合わせた菱形構造のフラックスタブを設置して溶接することを特徴としているので、補強板の加工作業や溶接作業の簡潔化及び溶接後の加工を省略することでコストダウンの向上を図れる効果を奏している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐震型柱・梁接合構造を基本的に示す斜視図
【図2】本発明の耐震型柱・梁接合構造で、フランジをテーパー状にした斜視図
【図3】本発明の耐震型柱・梁接合構造で、両側のフランジ幅を異にした斜視図
【図4】本発明の耐震型柱・梁接合構造で、片側のフランジのみを拡大した斜視図
【図5】フランジを拡大していない片側に補助フランジを配置した斜視図
【図6】矩形状補強板の溶接接合図
【図7】フランジ補強板を適用した梁の断面図
【図8】本発明の耐震型柱・梁接合構造を施工する方法の説明図
【符号の説明】
1 柱、 2 大梁、 3 ダイヤフラム、 4 シャープレート、
5 フランジ、 6 塑性変形点、 7 端部、 8 補強板、
9 テーパー状の補強板、 10 側柱、 11 梁、 12 フランジ、
13 補強板、 14 補強板、 15 梁、 16 フランジ、
17 補強板、 18 補助フランジ、 19 ダイヤフラム、
30 端部、 31 切欠面、 32 溶接、 33 フラックスタブ、
34 溶接端部、 36 菱形のフラックスタブ、 37 溶接端部、
41 フランジ補強板、 42 ウエブ、 43 溶接、

Claims (11)

  1. H型断面部材で構成された梁のフランジの端面を耐震型柱に溶接接合した耐震型柱・梁接合構造において、
    前記梁の梁端仕口部から前記梁の長手方向に前記梁の梁せいの1/2以上離隔させて塑性変形点を設定し、前記梁端仕口部における耐力が、前記塑性変形点における梁断面が降伏した時に前記梁端仕口部に生じる曲げモーメントと同一であって、地震荷重が加えられた場合に少なくとも前記梁端仕口部と前記塑性変形点における梁断面とが降伏するように、前記フランジの幅を拡大したことを特徴とする耐震型柱・梁接合構造。
  2. 前記塑性変形点から前記梁端仕口部に至るまで、各断面の耐力が、前記塑性変形点における梁断面が降伏した時に各断面に生じる曲げモーメントと同一となるように、前記フランジの幅を拡大したことを特徴とする請求項1に記載の耐震型柱・梁接合構造。
  3. 梁端部のフランジ幅を両側で異ならして拡大させることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震型柱・梁接合構造。
  4. 梁端部のフランジ幅を片側のみ拡大させることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震型柱・梁接合構造。
  5. 梁端部の幅を拡大させないフランジと平行に、幅を拡大させた片側のフランジの耐力を補完する補助フランジを設けることを特徴とする請求項4に記載の耐震型柱・梁接合構造。
  6. フランジ幅の拡大を補強板の溶接付けで行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐震型柱・梁接合構造。
  7. 母材と同一の材質で補強板を構成することを特徴とする請求項6に記載の耐震型柱・梁接合構造。
  8. 幅を拡大した補強板の母材側に傾斜を設けたことを特徴とする請求項6又は7に記載の耐震型柱・梁接合構造。
  9. 幅を拡大した上下のフランジ間にウエブのみに付設したフランジの局部座屈止めを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐震型柱・梁接合構造。
  10. 補強板の傾斜に合わせたフラックスタブを設置して溶接することを特徴とする請求項8に記載の耐震型柱・梁接合構造の施工方法。
  11. 補強板の傾斜に合わせた菱形構造を特徴とする請求項10に記載の耐震型柱・梁接合構造の施工方法に用いるフラックスタブ。
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