JP3890404B2 - 配位子及びそれを用いた不斉触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配位子及びその配位子を用いた不斉触媒に関し、特に、ケトンのシアノシリル化反応を高エナンチオ選択的に促進する不斉触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
不斉触媒は、触媒自体が光学活性物質を生成する能力を持つ触媒で、エナンチオ区別触媒のことを意味する。不斉触媒を用いて得られる各種生成物を、出発物質等に利用して簡便に種々の生成物を得ることができる。
【0003】
現在では、アルデヒド、イミン、及びケトンなどのカルボニル化合物に対するシアンの不斉触媒の研究が集中的に行われている。化学触媒を用いた例として、アリールメチルケトンについて、最高でも72%程度のエナンチオマー過剰率が得られる触媒が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケトンの実用的な不斉触媒はこれまで報告されていない。また、事実、前述の化学触媒を用いた例においても、エチルケトン(30%)や脂肪族ケトンには適用できないという問題点がある。エチルケトンや脂肪族ケトンを含めケトン全般に作用できる不斉触媒を得ることができれば、医学及び薬学の研究などに大量に要求される4級α-ヒドロキシカルボン酸、4級β-アミノアルコール等の有用物質を大量に、かつ、簡便に合成することが可能となる。それゆえ、ケトンの有効的な触媒的シアノシリル化の開発が長く待ち望まれていた。しかし、このような不斉触媒は、これまで存在しない。
【0005】
そこで、本発明は、広くケトン全般に作用し得る不斉触媒を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明者らは、アルデヒドやイミン等の触媒的不斉シアノシリル化反応等の基礎研究を積み重ねた結果、本発明の化合物を見出すに至った。本発明の配位子は、
【化7】
Figure 0003890404
(但し、[化7]中R1、R2、R3は、芳香族環上の置換基であり、R 4 は、電子吸引基を示す。また、2つのR4によって閉環構造を取り得る。R5は、水素、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、又は電子吸引基を示す。Xは、P又はAsである。nは1〜3である。)で表されることを特徴とする。
【0007】
本発明の配位子は、前記電子吸引基が、−F、−Cl、−Br−CF3、−CCl3、−NO2、−CN−COCH3、−CO2H、−SO2CH3、下記式
【化8】
Figure 0003890404
下記式
【化9】
Figure 0003890404
下記式
【化10】
Figure 0003890404
及び下記式
【化11】
Figure 0003890404
(但し、[化8]中、R6は、芳香族環上の置換基を示す。)からなる群から選択される少なくとも1つからなることを特徴とする。
本発明の不斉触媒は、前記配位子のカテコール部分と金属とが結合していることを特徴とする。
【0008】
本発明の不斉触媒は、金属が、金属錯体として結合していることを特徴とする。
【0009】
本発明の不斉触媒は、金属錯体が、
【化12】
Figure 0003890404
に示す構造からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の不斉触媒の好ましい実施態様としては、金属が、チタン、ジルコニウム、イッテルビウム、アルミニウム、ガリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0011】
本発明の不斉触媒の好ましい実施態様としては、金属が、希土類金属であることを特徴とする。
【0012】
本発明の不斉触媒の好ましい実施態様としては、希土類金属が、La、Ce、Pr、Nd,Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Erからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0013】
本発明のシロキシニトリルの製法としては、上記不斉触媒の存在下、ケトンとシリルシアニドとを反応させて得ることを特徴とする。
【0014】
本発明のシロキシニトリルの製法の好ましい実施態様としては、ケトンが、アセトフェノン、アセトナフトン、プロピオフェノン、インダノン、エノン、シクロヘキシルメチルケトン、n−アルカノン、2−ペプタノンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0015】
本発明のシロキシニトリルの製法の好ましい実施態様としては、シリルシアニドが、トリメチルシリルシアニド、トリエチルシリルシアニド、tブチルジメチルシリルシアニドからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0016】
本発明のシロキシニトリルの製法の好ましい実施態様としては、反応を、配位性溶媒の存在下で行うことを特徴とする。
【0017】
本発明のシロキシニトリルの製法の好ましい実施態様としては、配位性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、エーテルからなる群から選択されることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の配位子は、次式、
【化13】
Figure 0003890404
(但し、[化13]中R1、R2、R3は、芳香族環上の置換基であり、R 4 は、電子吸引基を示す。また、2つのR4によって閉環構造を取り得る。R5は、水素、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基を示す。Xは、P又はAsである。nは1〜3である。)で表される。nは、整数に限定されない。従って、nが異なる複数の配位子を用いて、触媒を同時に行うこともできる。
【0019】
本発明者らは、機能性触媒の概念から新規不斉触媒を開発するための研究過程中、ルイス酸(Al)−ルイス塩基(ホスフィンオキシド)触媒(図2に示す。)がアセトフェノンのシアノシリル化を促進することができることを見出したが、エナンチオマー過剰率が低い(20%)ものであった。より高いエナンチオ選択性を得るために、C3ヒドロキシル基にてカテコール部分を導入することを試みた。C3でのエーテル酸素の配位は、例えば図3のような複合体の形成を可能とする。したがって、カテコールのフェニル基を、触媒のα側(リンと反対側、凹部側)で固定しなければならず、それゆえ、β側、ルイス塩基ホスフィンオキシドと同じ側で、ケトンの結合する位置を規定することを考えた。その結果、創作されたのが上式[化13]で示されるような配位子である。
【0020】
上記式[化13]の骨格となる配位子は、例えば、以下のように合成することができる。合成過程における反応を[化14]に示した。
【化14】
Figure 0003890404
【0021】
アルコール1をナトリウム アルコキシドとした後、アレン−クロム錯体への求核置換反応により、アルコール1の水酸基にカテコール部分を導入した2を得る。出発原料となるアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、糖を原料とするアルコールを挙げることができる。2のアセタールを、DIBAL−Hにより還元し3とした後、アルコールをトシル化し4とする。4とPhPKを反応させ、生じたホスフィンをHOで酸化することで、5とする。5をパラジウム(Pd/C)触媒により還元的に脱ベンジル化し、その後AlCl−EtSHでメチルエーテルを脱保護し、1-Lを得ることができる。
【0022】
このように、配位子1−Lを、[化14]に示すように既知のアルコールから5g程度のスケールで容易に合成することができる。
特に、Rとして、[化2]で示される場合の合成方法について説明すると、以下のようになる。合成過程における反応を[化15]に示した。
【化15】
Figure 0003890404
なお、[化15]中の反応条件及び試薬については、(a) 7, NaH, THF;I2, 84%(b)TBAF, THF, 99%;(c)PDC, MS4A, CH2Cl2、94%;(d) PhMgBr, THF, 95%;(e) PDC, MS 4A, CH2Cl, 88%;(f)TsOH・MeOH, 97%;(g)TsCl, py, 83%;(h)phPK(2.2equiv.), THF;(i)H2O2, MeOH・H2O, 40%(2 Steps);(j)LiI, DMF, 150℃, 80%.である。
【0023】
アルコール6をナトリウム アルコキシドとした後、アレン−クロム錯体への求核置換反応により、アルコール6の水酸基にカテコール部分を導入した8を得る。出発原料となるアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、糖を原料とするアルコールを挙げることができる。TBS基を除去した後、酸化、グリニャール試薬の付加、酸化により9を合成した。9のアセタールを酸により脱保護し一級アルコールを選択的にトシル化し、10とする。10とPhPKを反応させ、生じたホスフィンをHOで酸化し、その後、脱メチル化により2−Lを得ることができる。
【0024】
R1、R2、R3及びRは、芳香族環上の置換基であり、特に限定されるものではない。置換基として、具体的には、アルキル、エーテル、アミン、エステル等を挙げることができる。R1として、ルイス酸性を高めるという観点から、好ましくは、エステル基、R2、R3として、ルイス塩基性を高めるという観点から、好ましくは、エーテル、アミン、アルキル基を挙げることができる。Rとしては、立体的に大きなものという観点から、好ましくは、t‐ブチル基を挙げることができる。
【0025】
R 4 としては、電子吸引基を挙げることができる。より吸引性が高いという観点から、電子吸引基としては、−F、−Cl、−Br−CF3、−CCl3、−NO2、−CN−COCH3、−CO2H、−SO2CH3 ベンゾイル基、及びベンゾイル基類縁体を挙げることができる。ベンゾイル基類縁体としては、例えば、[化2〜5]の置換基が挙げられる。またR4については、2つのR4によって閉環構造を取ることができ、例えば、ベンゼン環を形成させても良い。
【0026】
R5としては、水素、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、又は電子吸引基を挙げることができる。電子吸引基としては、電子吸引基としては、−F、−Cl、−Br−CF3、−CCl3、−NO2、−CN−COCH3、−CO2H、−SO2CH3 ベンゾイル基、及びベンゾイル基類縁体を挙げることができる。
【0027】
本発明の不斉触媒は、[化1]又は[化2]の配位子のカテコール部分に金属が結合する。不斉触媒とは、触媒自体が光学活性物質を生成する能力をもつ触媒で、正しくは、エナンチオ区別触媒のことを意味する。金属は、配位子のカテコール部分のヒドロキシル基にて金属錯体を形成することが可能である。
【0028】
カテコール部分に結合する金属としては、チタン、ジルコニウム、イッテルビウム、アルミニウム、ガリウムからなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。これらの金属を単独で、又は組み合わせて使用することができる。エナンチオ選択性が高いという観点から、金属としては、チタンを挙げることができる。
【0029】
また、カテコール部分に結合する金属としては、希土類金属を挙げることができる。希土類金属としては、例えば、La、Ce、Pr、Nd,Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Erからなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。高いエナンチオ選択性が得られるという観点から、希土類金属としては、好ましくは、Gd、Smを挙げることができる。
【0030】
本発明の不斉触媒としては、金属錯体が、下記式
【化16】
Figure 0003890404
に示す構造からなることができる。
【0031】
チタン、ジルコニウム等の場合、[化16]に示す構造を取り得る。Rとしては、アルコキシド、CN、Cl、F、Br、Iなどを挙げることができる。Rとして、これらアルコキシド、CN、Cl、F、Br、又はIを用いた配位子により、不斉触媒の安定化を図ることができる。なお、イッテルビウム等の場合のように、結合形態から、CNなどの配位子を必要としないものも存在する。
【0032】
本発明の不斉触媒は、ケトンのシアノシリル化反応を触媒することができる。シアノシリル化とは、カルボニル炭素にシアニドが求核付加をし、生じたアルコキシドがシリル基により補足されることをいう。
【0033】
本発明の製法によれば、シロキシニトリルは、上記不斉触媒の存在下、ケトンとシリルシアニドとを反応させて得ることができる。
【0034】
ケトンのシアノシリル化反応によって得られるシロキシニトリルは、4級α−ヒドロキシカルボン酸などの有用物質を、一工程で得ることを可能とする。
【0035】
ここで、本発明の不斉触媒の対象となるケトンは特に限定されない。従って、対象となるケトンとしては、脂肪族ケトン、芳香族ケトンなどを含めケトン全般を挙げることができる。例えば、ケトンとして、アセトフェノン、アセトナフトン、プロピオフェノン、インダノン、エノン、シクロヘキシルメチルケトン、n−アルカノンからなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。n−アルカノンとしては、2−ヘプタノンなどを挙げることができる。
【0036】
シリルシアニドとしては、例えば、トリメチルシリルシアニド(TMSCN)、トリエチルシリルシアニド、t−ブチルジメチルシリルシアニド等を挙げることができる。なお、同様に適用してシロキシニトリルが得られる物質としては、シリルシアニド以外に、HCN、トリメチルすずシアニド等を挙げることができる。
【0037】
また、ケトンのシアノシリル化反応に用いる溶媒は、特に限定されるものではない。溶媒としては、例えば、トルエン、CH2Cl2などの低極性溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、エーテルなどの配位性溶媒を挙げることができる。反応速度を上げ、高エナンチオ選択性を得るという観点から、溶媒としては、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、エーテルなどの配位性溶媒を挙げることができる。
【0038】
シアノシリル化反応の反応温度は、室温でもよく特に限定されないが、高エナンチオ選択性を得るという観点から、−50〜室温℃、好ましくは、−50〜0℃、さらに好ましくは、−50〜−20℃である。下限を−50としたのは、エナンチオ選択性を高めるという理由からであり、上限を室温としたのは、反応速度をあげるという理由からである。
【0039】
また、ケトンの濃度は、目的とする生成物に応じて適宜変更することができ、特に限定されない。ケトンの濃度が高いほど反応速度が高いという傾向がある。
【0040】
【実施例】
ここで、本発明の一実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
【0041】
比較例1
まず、配位子1−Lとして、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4及びR5が共にそれぞれ水素の場合について調べた。
[3−ベンジルオキシ−4−(2−メトキシフェニル)−テトラハイドロ−ピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−8−オールアルコール(以下、1とする)をナトリウム アルコキシドとした後、アレン−クロム錯体への求核置換反応により、アルコールの水酸基にカテコール部分を導入した8−(2−メトキシフェニル)−2−フェニル−ヘキサハイドロ−ピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン(以下、2とする)を得る。2のアセタールを、DIBAL−Hにより還元し[3−ベンジルオキシ−4−(2−メトキシフェニル)−テトラハイドロピラン−2−イル]メタノール(以下、3とする)とした後、アルコールをトシル化しトルエン−4−スルホン酸 3−ベンジルオキシ−4−(2−メトキシフェニル)−テトラハイドロピラン−2−イル−メチルエステル(以下、4とする)とする。4とPhPKを反応させ、生じたホスフィンをHOで酸化することで、3−ベンジルオキシ−2−(ジフェニルホスフィノイルメチル)−4−(2−メトキシフェニル)−テトラハイドロピラン(以下、5とする)とする。5をパラジウム(Pd/C)触媒により還元的に脱ベンジル化し、その後AlCl3−EtSHでメチルエーテルを脱保護し、本発明の配位子1−Lを得ることができる。
【0042】
得られた配位子1-Lの物性値を以下に示す。
融点 219−220℃
H NMR(500MHz、CDCl3)δ1.94(m、1H)、2.14(m、1H)、2.69(ddd、J=9.8、15.0,15.0Hz、1H)、2.84(ddd、J=2.8,9.5、15.3Hz、1H)、3.23(ddd、J=1.9、12.2、12.2Hz、1H)、3.34(dddd、J=2.8,7.0,9.4,9.8Hz、1H)、3.55(ddd、J=5.5、8.9,11.6Hz、1H)、3.73(dd、J=8.9,9.4Hz、1H)、3.90(ddd、J=1.2、5.7、12.2Hz、1H)、6.71(ddd、J=1.9,7.4、7.4Hz、1H)、6.96(m、3H)、7.51(m、6H)、7.75(m、4H)、8.92(s、1H);13C NMR (125MHz、CDCl) δ31.62,37.61(d、J=68Hz)、65.50,74.96、76.11、84.84,117.22、119.14、122.45、125.50、128.90、129.00、129.03、129.13、130.60(d、J=10Hz)、131.11(d、J=9Hz)、132.47、145.89、150.15:31P NMR(202MHz、CDCl3)、δ34.0
IR 3422、1156、1103cm-1
C25H27O5Pとしての分析値:C、67.67;H、6.10%.
実測値:C、67.92;H、5.94%
【0043】
比較例2
次に、配位子2−Lとして、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4については一方がベンゾイル基で他方が水素であり、R5が共にそれぞれ水素の場合について調べた。
[3−ベンジルオキシ−4−(2−メトキシフェニル)−テトラハイドロ−ピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−8−オールアルコール(以下、1とする)をナトリウム アルコキシドとした後、アレン−クロム錯体への求核置換反応により、アルコールの水酸基にカテコール部分を導入したジ‐t‐ブチル‐[4−メトキシ−3−(2−フェニル−ヘキサヒドロ−ピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−8−イロキシ)−ベンジロキシ]−メチル−シラン を得る。TBSを除去した後、酸化、フェニルグリニャール試薬の付加、酸化により[4−メトキシ−3−(2フェニル−ヘキサヒドロ−ピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン8−イロキシ)−フェニル]−フェニル−メタノン([化18]中の9に相当)とする。9のアセタールを脱保護し、一級アルコールを選択的にトシル化し、トルエンスルホン酸4−(5−ベンゾイル−2−メトキシ−フェノキシ−3−ヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イルメチルエステル(10に相当)とする。10とPhPKを反応させ、生じたホスフィンをHOで酸化し、メチルエーテルを脱保護し、配位子2−Lを得ることができる。
【0044】
本発明の配位子2−Lの物性値を以下に示す。
H−NMR(500MHz, CDCl3);δ1.94(m,1H)、2.16(m、1H)、2.72(ddd,J=9.45, 15.0, 15.0Hz, 1H)、2.84(ddd, J=3.35, 9.45、15.3Hz, 1H), 3.23(m、1H), 3.38(ddd, J=3.05, 9.15, 16.5Hz, 1H)、3.60(ddd, J=5.20, 8.90, 11.3Hz, 1H)、3.74(dd, J=8.90, 9.20Hz, 1H)、3.89(m, 1H)、6.98(d, J=8.25Hz, 1H)、7.43−7.80(m, 18H)、9.73(s, 1H):
13C−NMR(125.65MHz, CDCl);δ31.5、36.0(d、J=68.2 Hz)、65.3, 74.7, 75.8, 84.8, 116.5, 123.8, 128.0, 128.7, 128.8, 128.8, 128.9, 129.0, 129.0, 129.6,130.0, 130.5, 130.6、130.8, 130.9, 131.0, 131.2, 131.7, 132.1, 132.3, 138.3、 145.7, 154.8, 195.1:
31P−NMR(202.35MHz, CDCl);δ34.5
旋光度[α] 27+13.2(c=2.34, CHCl
【0045】
実施例1及び比較例3
まず、アセトフェノンにTMS(テトラメチルシラン)CNを添加する触媒についてエナンチオマー選択性を調べた。配位子1−Lとして、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4及びR5が共にそれぞれ水素の場合について調べた。また、配位子3として、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4が共にFであり、R5が共に水素の場合について調べた。不斉触媒のカテコール部分に結合する金属として、Gd(OiPr)3を用いた。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003890404
【0047】
表1中、eeは、エナンチオマー過剰率を示す。各配位子とも高い収率、エナンチオマー過剰率を示した。
【0048】
実施例2〜5及び比較例4〜6
次に、ケトンとして、以下の[化17]を用いて実施例1及び比較例3と同様に試験をした。
【化17】
Figure 0003890404
上記配位子1及び3の他に、配位子2として、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4については一方がベンゾイル基で他方が水素であり、R5が共にそれぞれ水素の場合について調べた。また、配位子4として、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4が共にFであり、R5が共にメチル基の場合について調べた。不斉触媒のカテコール部分に結合する金属として、Sm(OiPr)3を用いた。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003890404
【0050】
表2中、eeは、エナンチオマー過剰率を示す。この結果、各配位子とも高い収率、エナンチオマー過剰率を示した。
【0051】
比較例7〜10
次に、不斉触媒の溶媒に対する影響を調べた。配位子として、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R4及びR5が共にそれぞれ水素の場合(配位子1−L)について調べた。その結果を表3に示す。また、反応を以下の[化18]に示す。
【0052】
【化18】
Figure 0003890404
【0053】
興味深いことに、反応速度とエナンチオ選択性の双方は、CH2Cl又はトルエンなどの低極性溶媒と比較してテトラヒドロフラン(以下、THFという。)などの配位性溶媒において増加した。興味あることに、より濃縮した条件下で使用すると(アセトフェノンの条件で3M)、反応は、−30℃で36時間の間より効率的に行われ、85%の収率と92%eeの生成物を与えた。反応条件を10mol%の Ti(OiPr)及びTHF溶媒中の配位子1−Lを含むとした場合、最も良い結果を得た。
【0054】
【表3】
Figure 0003890404
【0055】
比較例11
不斉触媒の構造を確認するため、NMR解析を行った。Ti(OiPr)及び1−Lの混合物を、トルエン中で75℃にて1時間加熱したとき、2当量のiPrOHの精製をHNMRにおいて観察した。したがって、この段階にて、予備触媒は、チタン イソプロポキシド(1:Mtl=Ti(OiPr)2)を含む。トルエンを蒸発させた後、THF及びTMSCN(Tiに対して2当量)を加えた。その後、TMSOiPrに対応するピーク(0.19、1.21及び4.1ppm)が現われ、チタンシアニドの生成を示した。室温にて1時間後、約70%のチタンがモノシアニドを含むと考えられ、それは、残部のTMSCN(0.44ppm)と発生したTMSOPrの集積率から推測できる。アセトフェノン(Tiに対して10当量)及びTMSCN(Tiに対して15当量)を更に加えることにより反応が始まり、ほとんど完全にモノシアニドに変化する。したがって、不斉触媒は、チタンモノシアノモノイソプロポキシド(1:Mtl=Ti(CN)(OiPr)からなる複合体として存在することが可能である。後述するように、チタンモノシアニドの複合体形成は、1当量のTMSCNを使用してより長い反応時間(10h)によっても行える。
【0056】
この反応の性質についてさらなる識見を得るために、反応速度論的な研究を行い、触媒に対する反応次数を決定した。
【0057】
さらに、TMS13CNを使用した標識試験から、シアニドは、チタンシアニドからではなく、TMSCNから反応したと考えられた。すなわち、Ti(OiPr)4、1-L(1当量)及びTMS12CN(1当量)から12CNを含む活性チタン触媒を調整した(室温で10時間)。TMS12CNの完全な消費をH NMRで確認した後、9a(1当量)とTMS13CN(1当量)を加えた。生成物10aに13CNが77%取込まれていることを、C NMRで確認した。これらの結果は、チタンシアニドは、CN源としてでなくルイス酸としてだけ作用することを示唆した。
【0058】
そして、エナンチオ選択におけるホスフィンオキシドの役割を解明するためにホスフィンオキシドの代わりにジフェニルメチル基を有する触媒をした。その結果、ジフェニルメチル基を有する触媒では、非常にゆっくりと室温にて反応が進行し、2−トリメチルシロキシ−2−フェニルプロパニトリル、及び2−トリメチルシロキシ−2−メチル−4−フェニルブタンニトリルを、双方とも2%のエナンチオマー過剰率にて31%及び33%の収率(80時間)でそれぞれ得た。これらの観点、我々の従来の研究結果とから、チタンとホスフィンオキシドの酸素原子が、それぞれルイス酸、及びルイス塩基としてケトン、及びTMSCNを活性化する、触媒による二重活性機構である事が分かった(図1)。
【0059】
比較例12〜16
次に、配位子として、[化1]中のR1〜R3が何も存在しない状態であり、R5は、共に水素であり、R4の一方が水素であり他方がそれぞれフェニル基、n−C5H11、及び[化3]、[化4]、及び[化5]の場合のエナンチオマー選択性を調べた。結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
Figure 0003890404
【0061】
表4中、R/Sは、生成物の絶対配置を示す。Rが、フェニル基、n−C5H11、及び[化3]、[化4]、及び[化5]のいずれの場合においても、高いエナンチオマー選択性を示した。
【0062】
【発明の効果】
本発明の配位子によれば、不斉触媒の配位子として有効に使用することができるという有利な効果を奏する。
【0063】
また、本発明の不斉触媒によれば、金属とホスフィンオキシドを含む新規多点認識触媒によって、ケトンの高エナンチオ選択的シアノシリル化を達成することができる。生成物(キラルシアノヒドリン)は、不斉4級αヒドロキシカルボニル誘導体、β−アミノアルコールに効果的に変換することができる。これは、不斉4級ヒドロキシカルボニル誘導体中心の構築に対する新規な合成法を与え、4級αヒドロキシカルボニル酸を使用する生化学研究を容易にすることができるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属とホスフィンオキシドを含む本発明の不斉触媒の触媒作用についての一例を示す図である。
【図2】 ホスフィンオキシド触媒を示す図である。
【図3】 アルコールのC3ヒドロキシル基にて、カテコール部分を導入した触媒を示す図である。

Claims (13)

  1. 一般式
    Figure 0003890404
    (但し、[化1]中R1、R2、R3は、芳香族環上の置換基であり、R 4 は、電子吸引基を示す。また、2つのR4によって閉環構造を取り得る。R5は、水素、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、又は電子吸引基を示す。Xは、P又はAsである。nは1〜3である。)で表される配位子。
  2. 前記電子吸引基が、−F、−Cl、−Br−CF3、−CCl3、−NO2、−CN−COCH3、−CO2H、−SO2CH3 下記式、
    Figure 0003890404
    下記式
    Figure 0003890404
    下記式
    Figure 0003890404
    及び下記式
    Figure 0003890404
    (但し、[化2]中、R6は、芳香族環上の置換基を示す。)からなる群から選択される少なくとも1つからなる請求項2記載の配位子。
  3. 請求項1又は2項に記載の前記配位子のカテコール部分に金属が結合している不斉触媒。
  4. 金属が、金属錯体として結合している請求項3記載の不斉触媒。
  5. 金属錯体が、下記式
    Figure 0003890404
    ([化6]中、Mは、金属を示す。R 4 は、電子吸引基を示し、2つの R 4 によって閉環構造を取り得る。Rは、何も存在しない状態であるか、アルコキシド、CN、Cl、F、Br又はIである。)に示す構造からなる請求項3又は4項に記載の不斉触媒。
  6. 金属が、チタン、ジルコニウム、イッテルビウム、アルミニウム、ガリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項3〜5項のいずれか1項に記載の不斉触媒。
  7. 金属が、希土類金属であることを特徴とする請求項3〜5項のいずれか1項に記載の不斉触媒。
  8. 希土類金属が、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Erからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7項に記載の不斉触媒。
  9. 請求項3〜8に記載の不斉触媒の存在下、ケトンと、シリルシアニドとを反応させて得ることを特徴とする、シロキシニトリルの製法。
  10. ケトンが、アセトフェノン、アセトナフトン、プロピオフェノン、インダノン、エノン、シクロヘキシルメチルケトン、n−アルカノン、2−ヘプタノンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項9記載の製法。
  11. シリルシアニドが、トリメチルシリルシアニド、トリエチルシリルシアニド、t-ブチルジメチルシリルシアニドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項9記載の製法。
  12. 反応を、配位性溶媒の存在下で行う請求項9〜11のいずれか1項に記載の製法。
  13. 配位性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、エーテルからなる群から選択されることを特徴とする請求項12記載の製法。
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