JP3847653B2 - キラルジルコニウム触媒とアンチ選択性非対称アルドール反応方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、新規なキラルジルコニウム触媒とこれを用いたアンチ選択性非対称アルドール反応方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
非対称アルドール反応は、キラルβ−ヒドロキシカルボニル化合物を構築する最も有力な手段の一つである。最近の20年間で、これらキラル化合物を取得するために幾つかのジアステレオ選択性アルドール反応方法が開発され、そしてこれら反応の幾つかは生物学的に重要な化合物の合成に適用されている。さらに、これら反応のうち、触媒的エナンチオ選択性反応、特に、キラルルイス酸によって介在されるシリルエノールエーテルとアルデヒドとの触媒的非対称アルドール反応(Mukaiyama アルドール反応)は最も有力で、かつ効率的な非対称アルドール反応法として確立されてきている。また最近では、Sn、B、Cu、Ti等に基づいて、この反応用の幾つかのキラルルイス酸が開発され、高い反応性と選択性が達成されている。しかしながら、大部分の系では、これらの従来の反応方法は厳密に無水の条件下で行われ、そしてより高い選択性を得るためにはより低い温度が必要であった。さらに、プロピオネート誘導体から誘導されたシリルエノールエーテルの反応では、ほとんどのキラルルイス酸がシン−ジアステレオ選択性を示し、そして高い選択性でアンチ−アルドールアダクトを与える触媒系はほとんどないことが知られている。それ故に、有機合成反応においてはアンチ−選択性の触媒的非対称アルドール反応のための方法を開発することが重要な課題になっている。
【0003】
このような状況において、この出願の発明者らは、ジルコニウムアルコキシドから製造されるキラルジルコニウム錯体とキラル2,2′−ビナフタレン−1,1′−ジオール(BINOL)誘導体がアゾメチン化合物を効果的に活性化して、触媒的非対称マンニッヒタイプの反応や、アザディールス−アルダー反応、ストレッカー反応等が高い選択性で高収量で実施されることを明らかにしてきた。発明者らの研究では、これらのキラルジルコニウム触媒が優れた非対称環境を形成し、これら触媒はアルデヒドを効果的に活性化することが期待された。そこで、発明者らは、新規なキラルジルコニウム錯体を使用することによってMukaiyamaアルドール反応のための新規な触媒系を開発することを目的に研究を進めてきた。
【0004】
この出願の発明は以上のとおりの背景よりなされたものであって、アンチ選択性の非対称アルドール反応を穏和な条件下で効率的に実施することのできる新しい触媒系を提供し、これによる前記アルドール反応を実現することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、ジルコニウムテトラアルコキシドと、次式;
【0006】
【化2】
【0007】
(式中のXは、同一または別異に、水素原子、臭素原子、沃素原子またはパーフルオロアルキル基を示す。)で表わされる化合物、並びに第一級アルコールと水とを含有するキラルジルコニウム触媒であって、当該触媒の存在下、シリルエノールエーテルとアルデヒドとを反応させることを特徴とするアンチ選択性非対称アルドール反応のためのキラルジルコニウム触媒を提供する。
【0008】
また、この出願の発明は、第2には、前記の触媒の存在下に、シリルエノールエーテルとアルデヒドとを反応させることを特徴とするアンチ選択性非対称アルドール反応方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
<キラルジルコニウム触媒>
この出願の発明は、新規なキラルジルコニウム触媒を提供するものであるが、この触媒は、液相にある組成物として構成されることになる。この場合、前記の式で表わされる化合物は、リガンドとしての性格をもつものとして考慮される。
【0010】
この出願の発明者による研究の初期段階では、たとえば、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド(Zr(OtBu)4)等のジルコニウムテトラアルコキシドと(R)−3,3′−ジヨード−1,1′−ビナフタレン−2,2′−ジオール((R)−3,3′−I2BINOL)および第一級アルコールから製造されたジルコニウム錯体は、シリルエノールエーテルとアルデヒドとのアルドール反応用の優れたルイス酸触媒であることが示され、ほとんどの場合に、所望のアンチ−アルドールアダクトが穏和な条件下で高収量、高いジアステレオ及びエナンチオ選択性で得られたが、脂肪族アルデヒドとの反応での収量は他のアルデヒドとの反応の収量より低いことが見いだされ、加えて、これら反応の中には再現できないものがあることも明らかになった。そこで、発明者は反応条件を注意深く再検討し、そして最終的に、この触媒系には少量の水が必須であることを見いだした。たとえば表1に例示したように、3−フェニルプロピオンアルデヒドと、フェニルプロピオネートから誘導されたケテンシリルアセタール(2d)との反応では、少量の水を添加することによって収量と選択性が改善された。反応基質に対して、5〜20mol%の水を添加すると最良の結果が得られた。
【0011】
【表1】
【0012】
たとえばこのような結果から、この出願の発明の触媒においては、水の添加量は、一般的には、反応基質に対して、2〜30mol%の範囲とすることが、より好ましくは5〜20mol%の範囲とすることが考慮される。
【0013】
この発明の触媒系では少量の水が重要な役割を果たすことが示唆されたので、ベンズアルデヒドとS−エチルエタンチオエートから誘導されたシリルエノールエーテル(2a)とのモデルアルドール反応におけるアルコールの効果を検討した(表2)。水の効果はこれらの基質中で重要であり、そして水無しでは46%の収量と4%のeeしか得られないことが明らかになった(表2、エントリー1)。水の存在下では、エタノール、プロパノール及びブタノールのような直鎖第一級アルコールを使用する反応によって高収量と高いエナンチオ選択性が得られた(エントリー2〜4)。イソプロパノールやtert−ブタノールのような第二級及び第三級アルコールでは収量と選択性が低下した(エントリー8及び9)。フェノールの場合もまた、より低い収量と低い選択性であった(エントリー10)。反応基質に対して、80〜120mol%のプロパノールを使用したとき、最良の収量とエナンチオ選択性が得られた(エントリー12〜14)。
【0014】
【表2】
【0015】
たとえば以上とおりの検討から、この出願の発明の触媒においては、第一級アルコールの存在が欠かせないものであることがわかる。その添加量については、一般的には、反応基質に対して、20〜200mol%が目安とされ、より好ましくは50〜120mol%、さらに反応基質の種類によっては80〜120mol%の割合とすることが考慮される。
【0016】
第一級アルコールの種類については脂肪族、脂環脂肪族、芳香脂肪族のうちの各種のものでよく、これらはフッ素原子等のハロゲン原子や、他の置換基を適宜に有していてもよい。
【0017】
触媒には、ジルコニウムテトラアルコキシドが用いられるが、この場合のアルコキシド基としては、直鎖あるいは分枝鎖状のアルキル基あるいは脂環式基等をもつものでよく、なかでも、tert−Bu基等の分枝鎖状のアルキル基を持つアルコキシドが好適なものとして例示される。これらのジルコニウムテトラアルコキシドとしては、一般的には、反応基質に対して、1〜100mol%の範囲での使用が考慮され、より好ましくは、5〜50mol%の範囲が実際的に考慮される。
【0018】
一方、前記のリガンド化合物については、同様に1〜100mol%の範囲での使用が、より好ましくは5〜60mol%の範囲での使用が考慮される。
【0019】
触媒は、ジルコニウムテトラアルコキシドとリガンド化合物、そして第一級アルコールと水とを混合することによって調製される。この調製は、溶媒の存在下で、合成反応系において行ってもよい。溶媒としては、たとえばトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族(脂環族)炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル系溶媒等が好ましいものとして例示される。
<キラル触媒の構造>
キラルジルコニウム触媒の構造について、NMR実験の知見を次に説明する。この触媒はトルエン−d8中で1当量のジルコニウムテトラプロポキシド−プロパノールコンプレックス(Zr(OPr)4−PrOH)、1当量の3,3′−I2BINOL及び1当量のH2Oから製造された。1H及び13C−NMRは室温で測定し、そして明確かつ単純なシグナルが観察された(図1)。この触媒は過剰のプロパノールの存在下に室温で安定であり、そして1日後でも殆ど同じスペクトルが得られることが明らかになった。13C−NMRスペクトルでは、遊離BINOLに相当するシグナル以外に、ナフチル環に相当する新しい2種類のシグナルとプロポキシド基に相当する2種類のシグナルが観察された。これら2種類のシャープなシグナルの存在によって、この触媒は二量体構造を形成していることが強く示唆された。また、1H−NMRスペクトルで、3.8、4.0、4.8及び5.2ppmで酸素原子と直接結合しているプロポキシドプロトンの特徴的なシグナルも観察された。プロトンシグナルを統合すると、この触媒中に2種類のプロポキシド部分が存在することが示唆された。
【0020】
この触媒系における少量の水の役割もNMR分析で明らかにされた。PrOHと水の不存在下では、Zr(OtBu)4と3,3′−I2BINOLを組み合わせることによって明確な13C−NMRスペクトルが得られた(図2、a)。この系にPrOHを加えたとき、かなり複雑なシグナルが観察された(図2、b)。他方、Zr(OtBu)4、3,3′−I2BINOL及びPrOHからなる触媒系に水を加えたとき、再度明確なシグナルが現れた(図2、c)。これらの結果から、この触媒系における水の役割は触媒構造を規則正しくすることであると推定される。すなわち、水を加えることによってオリゴマー構造から所望の二量体構造が形成される。この推定は次の試験によっても支持された:すなわち、水の存在下でZr(OtBu)4、3,3′−I2BINOL及びPrOHから触媒を製造し、そしてこの触媒を使用して分子篩4Aの存在下でアルドール反応を行ったところ、所望のアルドールアダクトが高い選択性で得られた。この結果もまた、水がアルドール反応に影響を与えるのではなく触媒の形成に影響を与えることを示している。
【0021】
この触媒の二量体構造を考慮して、発明者は非対称アルドール反応における非直線的効果の可能性を検討した。ベンズアルデヒドとS−エチルエタンチオエートから誘導されたシリルエノールエーテル(2a)との反応をモデルとして選択し、そして3,3′−I2BINOLからより低いエナンチオマー過剰で製造されたキラルZr触媒を使用した。図3で示されているように、かなりのレベルのプラスの非直線的効果が見いだされた。他方、それぞれ(R)−3,3′−I2BINOL及び(S)−3,3′−I2BINOLからキラルZr触媒を製造した後、これらを組み合せ、そしてジルコニウム触媒のeeと生成物のee間の相関関係を検討した。この場合には、これらの間に直線的な相関関係が見られた(図4)。これらの結果もまた、この触媒の二量体構造を支持しており、そしてこれらの実験に基づいて、この触媒構造は図5に示されているとおりであると推定された。
<非対称アルドール反応方法>
すでに表1および表2にも一例を示したが、この出願の発明における典型的な反応操作について、表2に示したベンズアルデヒドとシリルエノールエーテル2aとの反応として説明すると、(R)−3,3′−ジヨード−1,1′−ビナフタレン−2,2′−ジオール(0.048mmol)のトルエン(1.0ml)中懸濁物に、トルエン(1.0ml)中のZr(OtBu)4(0.040mmol)を室温で加え、そしてこの溶液を30分間攪拌した。次に、トルエン(0.5ml)中のプロパノール(0.32mmol)及びH2O(0.080mmol)を加え、そして全体を室温で3時間攪拌した。0℃で冷却した後、トルエン(0.75ml)中のベンズアルデヒド(0.40mmol)及びトルエン(0.75ml)中のシリルエノールエーテル2a(0.48mmol)を連続して加えた。この混合物を18時間攪拌し、そして飽和NaHCO3水を加えて反応を停止させた。ジクロロメタンを加えた後、有機層を分離し、そして水性層をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を合わせ、そして無水Na2SO4で乾燥した。ろ過しそして減圧下で濃縮した後、残渣はTHF−1NHCl(20:1)を使用して0℃で1時間処理した。次に、この溶液を飽和NaHCO3水で塩基性とし、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、そして無水Na2SO4で乾燥した。ろ過しそして減圧下で濃縮した後、粗製生成物を分離用薄層クロマトグラフィー(ベンゼン−酢酸エチル=20:1)で精製して所望のアルドールアダクトを得た。光学的純度はキラルカラムを使用してHPLC分析で測定した。幾つかの化合物では、ヒドロキシ基のアセチル化又はベンゾイル化の後に光学的純度を測定した。
【0022】
そこで、以上のとおりの典型例を基にしてこの出願の発明の非対称アルドール反応方法について説明する。
【0023】
まず、反応基質としてのアルデヒドとして各種のものを用いた。その反応の結果を表3に例示した。
【0024】
メチルイソブチレートから誘導されたケテンシリルアセタール(2b)も良好に作用した。アルデヒドに関しては、芳香族及びα,β−不飽和アルデヒドは優れた収量と選択性を与えたが、脂肪族アルデヒドは高い収量を示したが選択性は幾らか低かった。水を含有する新規な触媒系を使用することによって収量とエナンチオ選択性が改善されたことが注目される。
【0025】
【表3】
【0026】
次に、この発明のキラルジルコニウム触媒を使用してジアステレオ選択的アルドール反応を行った。表4に例示したように、まず、メチルプロピオネートから誘導されたケテンシリルアセタール(2c)をベンズアルデヒドとの反応で使用し、第一級アルコールとしてエタノールを使用したとき、反応は順調に進行して所望のアンチ−アルドールアダクトが高収量、高いジアステレオ及びエナンチオ選択性で得られた。フェニルプロピオネートから誘導されたケテンシリルアセタール(2d)を使用すると、選択性はさらに改善された。また、アニスアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド及び3−フェニルプロピオンアルデヒド等のような他のアルデヒドを用いた。これら全ての場合において反応は順調に進行し、所望のアンチ−アルドールアダクトが高収量、高いジアステレオ及びエナンチオ選択性で得られた。
【0027】
【表4】
【0028】
これらの反応で観察された高いアンチ−選択性は注目すべきであるが、シリルエノレートの幾何学効果を検討することによって選択性に関する更に重要な情報が明らかになった。すなわち、メチルプロピオネートから誘導された(E)−及び(Z)−シリルエノレートをベンズアルデヒドとの反応で使用したとき、次式に示したように、両方の場合において高いアンチ−選択性が得られ、そしてこれらの選択性がシリルエノレートの幾何学と無関係であることが確認された。
【0029】
【化3】
【0030】
次に、アルデヒド構造の効果に関する検討を行った。Zr(OtBu)4、(R)−3,3′−I2BINOL、プロパノール及び水からなるキラルジルコニウム触媒を使用して他の脂肪族アルデヒドの反応を検討した。表5に例示したとおり、ヘキサンアルデヒドやブタンアルデヒドのような直鎖脂肪族アルデヒドを使用した場合には、反応は高い選択性で進行した。分岐アルデヒドも順調に反応して、所望のアンチ−アダクトが良好な収量、高いジアステレオ及びエナンチオ選択性で得られた。
【0031】
【表5】
【0032】
<触媒活性の改善>
更に有効な触媒系を創製するために、触媒活性の改善について検討した。まず、(R)−3,3′−I2BINOLの6,6′位におけるより強力な電子求引性基の効果を、電子求引性基として臭素、ヨード及びペンタフルオロエチル基を導入することにより検討した。これらのBINOL誘導体は文献未知の化合物であったので、次式に従って(R)−3,3′−ジヨード−6,6′−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジオール((R)−3,3′−I2−6,6′−(C2F6)2BINOL)の合成を開始した。
【0033】
【化4】
【0034】
すなわち、(R)−6,6′−Br2BINOLをそのメトキシメチル(MOM)エーテルに変換し、そしてI2を使用して6,6′位の臭素基を先ずヨード基に変換し、そしてその後DMF中のCuC2F6を使用してペンタフルオロエチル基に変換して、(R)−2,2′−ビス(メトキシメチロキシ)−6,6′−ビス(ペンタフルオロエチル)−1,1′−ビナフチルを得た。3,3′位のリチオ化及びヨード化並びにMOM基の脱保護後に、(R)−3,3′−I2−(C2F6)2BINOLが無職の針状物として単離された。
【0035】
他方(R)−6,6′−ジプロモ−3,3′ジヨード−1,1′−ビナフチール−2、2′−ジオール((R)−6,6′−Br2−3,3′−I2BINOL)及び(R)−3,3′,6,6′−テトラコード−1,1′−ビナフチル6−2,2′−ジオール((R)−3,3′,6,6′−I4BINOLは次式に従って合成した。まず、(R)−6,6′−Br2BINOLをそのメトキシメチル(MOM)エーテルに変換し、6,6′位のプロモ基をリチオ化してトリメチルシリル化し、そしてその後3,3位をリチオ化してヨード化した。最後に、臭素又は一塩化ヨウ素(ICI)で処理して、それぞれ(R)−3,3′−I2−6,6′−Br2BINOL又は(R)−3,3′,6,6′−I4BINOLを得た。
【0036】
【化5】
【0037】
次にベンズアルデヒドと、S−エチルプロパンチオエートから誘導されたシリルエノールエーテル(2e)とのアルドール反応で、新規なBINOL誘導体から製造されたジルコニウムコンプレックスの触媒活性を評価した。3,3′−I2BINOLから製造された触媒と比較して6,6′−ジ置換−3,3−I2BIONLから製造された新規な触媒はより高い活性を示し、そして反応ははるかにより速く進行した。特に、6,6′位のヨード及びペンタフルオロエチル基はより良好な結果を示し、高いジアステレオ及びエナンチオ選択性で所望のアンチ−アダクトを高収量で与えた(表6)。この新しい触媒系は脂肪族アルデヒドの反応に成功裏に適用された。ヘキサンアルデヒドと、フェニルプロピオネート(2d)及びS−エチルプロパンチオエート(2e)から誘導されたシリルエノールエーテルとの反応では、(R)−3,3′,6,6′−I4BINOLを使用したとき最良の結果が得られた(表7)。
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
もちろん、この出願の発明は、以上の例によって限定されることはない。アルドール反応の基質化合物であるアルデヒド、そしてシリルエノールエーテルは各種のものであってよく、その際の反応温度、反応時間、溶媒の使用、反応基質の使用割合等の条件が適宜に定められてよいことは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、新規なキラルジルコニウム触媒が提供され、また、これを使用して、穏和な条件下に所望のアダクトが高収量、高いジアステレオ及びエナンチオ選択性で得られるアンチ−選択性の非対称アルドール反応方法が提供される。第一級アルコールは触媒サイクルで重要な役割を果たし、一方水は触媒形成に影響を与えることが明らかにされるとともに、より強力な電子求引性基で置換されたBINOLを使用することによって活性の高い触媒が製造された。NMR研究によって、この触媒は、トルエン中で堅固に二量体構造を形成することが明らかにされた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジルコニウム錯体触媒の1Hおよび13CのNMRスペクトルを例示した図である。
【図2】触媒における水の作用を例示したNMRスペクトルを例示した図である。
【図3】低いeeを有する(R)−3,3′−I2BINOLから製造された触媒を使用するアルドール反応における生成物のeeと(R)−3,3′−I2BINOLのee間の相関関係を例示した図である。
【図4】(R)−触媒と(S)−触媒を混合して製造された触媒を使用するアルドール反応おける生成物のee間の相関関係を例示した図である。
【図5】推定される触媒の構造を示した図である。
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