JP3889588B2 - 可変容量型斜板式液圧回転機 - Google Patents

可変容量型斜板式液圧回転機 Download PDF

Info

Publication number
JP3889588B2
JP3889588B2 JP2001306626A JP2001306626A JP3889588B2 JP 3889588 B2 JP3889588 B2 JP 3889588B2 JP 2001306626 A JP2001306626 A JP 2001306626A JP 2001306626 A JP2001306626 A JP 2001306626A JP 3889588 B2 JP3889588 B2 JP 3889588B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
swash plate
support surface
support
tilt
casing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001306626A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003113773A (ja
Inventor
剛 小林
祥典 竹内
均 鍵和田
隆志 新留
和朗 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP2001306626A priority Critical patent/JP3889588B2/ja
Publication of JP2003113773A publication Critical patent/JP2003113773A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3889588B2 publication Critical patent/JP3889588B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Reciprocating Pumps (AREA)
  • Hydraulic Motors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に油圧ポンプ、油圧モータ等として好適に用いられる可変容量型斜板式液圧回転機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ショベル等の建設機械に油圧ポンプ、油圧モータ等として用いられる可変容量型斜板式液圧回転機は、中空なケーシングと、該ケーシング内に回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するようにケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、該各ピストンの端部に装着されたシューと、ケーシング内に傾転可能に設けられ表面側に該各シューが摺動する平滑面が形成されると共に裏面側が当接面となった斜板と、斜板の当接面と対面してケーシングに設けられ該斜板を支持する斜板支持面と、斜板の当接面と斜板支持面との間に設けられ該斜板を傾転可能に支持する傾転支持部材と、ケーシングと斜板との間に設けられ該斜板を傾転させる傾転制御ピストンとにより大略構成されている(例えば、特開昭59−79078号公報等)。
【0003】
そして、この可変容量型斜板式液圧回転機は、傾転制御ピストンによって斜板を傾転させることにより、油圧ポンプとして用いる場合には吐出容量を可変とし、油圧モータとして用いる場合にはトルク、回転数を可変とすることができる構成となっている。
【0004】
ここで、上述の従来技術による油圧モータは、図6及び図7に示すように、ケーシング1の斜板支持面1Aが垂直な平面として形成されている。このため、傾転支持部材2を中心として傾転可能となった斜板3は、シリンダブロックに挿嵌された各ピストンの下死点側(ピストンの伸長側)の肉厚が小さく、上死点側(ピストンの縮小側)の肉厚が大きくなった楔状の断面形状を有している。そして、斜板3の表面側は、各ピストンに取付けられたシューが摺接する平滑面3Aとなり、斜板3の裏面側には、平滑面3Aに対して傾斜した第1,第2の当接面3B,3Cが形成されている。
【0005】
そして、斜板3は、各ピストンからの押圧合力Fによって第1の当接面3Bをケーシング1の斜板支持面1Aに当接させた最大傾転位置(図6の位置)と、傾転制御ピストン4に押圧されることにより、各ピストンからの押圧合力Fに抗して第2の当接面3Cをケーシング1の斜板支持面1Aに当接させた最小傾転位置(図7の位置)との間で傾転する構成となっている。
【0006】
ところで、上述の斜板3は、各ピストンの下死点側の肉厚が小さく、各ピストンの上死点側の肉厚が大きくなった楔状に形成されているため、斜板3の平滑面3Aが傾転支持部材2の中心Aから大きく離間している。このため、斜板3が最大傾転位置となったときには、各ピストンから斜板3に作用する押圧合力Fの作用点B1と傾転支持部材2の中心Aとの間の距離がC1となり、斜板3が最小傾転位置となったときには、各ピストンから斜板3に作用する押圧合力Fの作用点B2と傾転支持部材2の中心Aとの間の距離は、上述の距離C1よりも大きな距離C2となってしまう。
【0007】
このように、従来技術による油圧モータは、斜板3が楔状に形成されることにより平滑面3Aが傾転支持部材2の中心Aから大きく離間しているため、斜板3が最大傾転位置と最小傾転位置との間で傾転するときに、各ピストンから斜板3に作用する押圧合力Fの作用点と傾転支持部材2の中心Aとの間の距離が大きく変動する。このため、傾転制御ピストン4によって斜板3を最小傾転位置に安定して保持するためには、傾転制御ピストン4の受圧面積を大きくする必要があり、油圧モータ全体が大型化してしまうという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、他の従来技術として、例えば特開平6−213140号公報等には、斜板の平滑面と裏面とを平行とすることにより該斜板を薄肉な平板状に形成し、ケーシングのうち斜板の裏面と対面する部位に互いに異なる傾斜角度をもった第1,第2の支持面を形成し、これら第1,第2の支持面の交点(境目)と斜板の裏面との間に傾転支持部材を嵌合して設ける構成となった可変容量型斜板式液圧回転機が提案されている。
【0009】
そして、上述の他の従来技術においては、斜板を薄肉に形成し、該斜板の平滑面と傾転支持部材の中心との間の距離を小さくすることにより、斜板が最大傾転位置と最小傾転位置との間で傾転するときに、各ピストンから斜板に作用する押圧合力の作用点と傾転支持部材の中心との間の距離が大きく変動するのを抑え、液圧回転機の大型化を伴うことなく、斜板を最大傾転位置と最小傾転位置とに安定して保持することができる。
【0010】
しかし、上述した他の従来技術による可変容量型斜板式液圧回転機は、ケーシングに設けた第1の支持面と第2の支持面との交点(境目)と斜板の裏面との間に、傾転支持部材を嵌合して設ける構成としている。
【0011】
このため、傾転支持部材が嵌合する凹陥穴を、稜線状に突出したケーシングの第1,第2の支持面の交点に形成しなければならず、この凹陥穴の加工が難しく、加工精度が低下してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、斜板を最大傾転位置と最小傾転位置とに安定して保持することができ、かつ加工性を高めることができるようにした可変容量型斜板式液圧回転機を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、中空なケーシングと、該ケーシング内に回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するようにケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、該各ピストンの端部に装着されたシューと、ケーシング内に傾転可能に設けられ表面側に該各シューが摺動する平滑面が形成されると共に裏面側が当接面となった斜板と、斜板の当接面と対面してケーシングに設けられ該斜板を支持する斜板支持面と、斜板の当接面と斜板支持面との間に設けられ該斜板を傾転可能に支持する傾転支持部材と、ケーシングと斜板との間に設けられ該斜板を傾転させる傾転制御ピストンとを備えてなる可変容量型斜板式液圧回転機に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、斜板の当接面は、各ピストンの下死点側に位置し平滑面に対して傾斜した第1の当接面と、各ピストンの上死点側に位置し平滑面に対して傾斜した第2の当接面とにより構成し、斜板支持面は、斜板の第1の当接面が当接する第1の支持面と、斜板の第2の当接面が当接する第2の支持面とにより構成し、傾転支持部材は、斜板支持面の第1,第2の支持面の交点から離間させて第2の支持面側に配設したことにある。
【0015】
このように構成したことにより、傾転制御ピストンの非作動時には、斜板は、各ピストンからの押圧合力によって第1の当接面を斜板支持面の第1の支持面に当接させ、最大傾転位置に安定して保持される。一方、傾転制御ピストンの作動時には、斜板は、各ピストンからの押圧合力に抗して傾転支持部材を中心に傾転し、第2の当接面を斜板支持面の第2の支持面に当接させ、最小傾転位置に安定して保持される。
【0016】
請求項2の発明は、斜板の当接面には、第1,第2の当接面間に位置して平滑面と略平行となった平行面を設ける構成としたことにある。これにより、斜板全体を、略均一な肉厚を有する薄肉状に形成することができ、斜板に対する加工性を高めることができる。
【0017】
請求項3の発明は、斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面とは隙間をもって対面する構成としたことにある。
【0018】
このように構成したことにより、斜板、斜板支持面に対する加工誤差があった場合でも、この加工誤差を斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面との間の隙間によって吸収することができ、斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面とが直接的に当接してしまうのを抑えることができるので、斜板を傾転支持部材を中心として傾転させることができる。
【0019】
請求項4の発明は、傾転支持部材は、斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面との間に嵌合して設ける構成としたことにある。
【0020】
このように構成したことにより、傾転支持部材が嵌合する凹陥穴を、平坦な斜板の平行面と、平坦な斜板支持面の第2の支持面とに形成することができ、これら凹陥穴を加工するときの穴位置、形状等の加工精度を高めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る可変容量型斜板式液圧回転機の実施の形態を、油圧モータに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図5を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図中、11は油圧モータの外殻をなす中空なケーシングで、該ケーシング11は、筒部12A及び底部12B等により有底筒状に形成されたケーシング本体12と、該ケーシング本体12の開口端側を施蓋するリアケーシング13とにより大略構成されている。そして、ケーシング本体12の底部12Bには、後述の回転軸14を挿通するための回転軸挿通穴12Cと、後述の傾転制御ピストン32が挿嵌されるシリンダ12Dとが設けられている。
【0023】
14はケーシング11内に回転可能に設けられた回転軸で、該回転軸14の一端側はケーシング本体12の底部12Bに設けられた軸受15によって支持され、他端側はリアケーシング13に設けられた軸受16によって支持されている。
【0024】
17は回転軸14にスプライン結合された状態でケーシング11内に設けられたシリンダブロックで、該シリンダブロック17は、回転軸14と一体的に回転するものである。そして、シリンダブロック17には、周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダ18が回転軸14の周囲に穿設されている。
【0025】
19はリアケーシング13とシリンダブロック17との間に位置してリアケーシング13に固定された切換弁板で、該切換弁板19は、シリンダブロック17の各シリンダ18と間欠的に連通する一対の給排ポートを有し、該給排ポートは、リアケーシング13に形成された給排通路(図示せず)に連通している。
【0026】
20,20,…はシリンダブロック17の各シリンダ18内にそれぞれ摺動可能に挿嵌された複数のピストンで、該各ピストン20は、切換弁板19を通じてシリンダ18内に給排される圧油により、シリンダ18から伸長した下死点位置とシリンダ18内に縮小した上死点位置との間で往復動するものである。
【0027】
21,21,…はシリンダ18から突出した各ピストン20の突出端部に揺動可能に設けられたシューで、該各シュー21は、後述する斜板22の平滑面23上を摺動するものである。
【0028】
22はケーシング本体12の底部12Bとシリンダブロック17との間に位置してケーシング11内に傾転可能に設けられた斜板で、該斜板22は、図2ないし図4に示すように、全体として略均一な厚みを有する薄肉な環状体として形成され、その中央部には回転軸挿通穴22Aが設けられている。
【0029】
ここで、シリンダブロック17側に位置する斜板22の表面側には、各ピストン20のシュー21が摺動する平坦な平滑面23が形成されている。一方、平滑面23の反対側となる斜板22の裏面側は、後述する第1,第2の支持面28,29に当接する当接面となっている。そして、この当接面は、各ピストン20の下死点側(ピストン20の伸長側)に位置し平滑面23に対して角度α1だけ傾斜した第1の当接面24と、各ピストン20の上死点側(ピストン20の縮小側)に位置し平滑面23に対して角度α2だけ傾斜した第2の当接面25と、これら第1,第2の当接面24,25間に位置し、平滑面23と略平行な平行面26とにより構成されている。
【0030】
そして、斜板22の第1の当接面24には、後述の傾転制御ピストン32が当接するピストン当接面24Aが形成され、斜板22の平行面26には、後述の傾転支持部材30が嵌合する半球状の凹陥穴26A,26Aが、回転軸挿通穴22Aを挟んで左,右の両側位置に凹設されている。
【0031】
27は斜板22の当接面と対面してケーシング本体12の底部12B内壁面に設けられた斜板支持面で、該斜板支持面27は、後述する第1の支持面28、第2の支持面29等により構成されている。
【0032】
28は各ピストン20の下死点側(ピストン20の伸長側)に位置する第1の支持面で、該第1の支持面28は、回転軸14の軸中心に対して略直角な平坦面として形成され、斜板22の第1の当接面24が当接するものである。
【0033】
29は各ピストン20の上死点側(ピストン20の縮小側)に位置する第2の支持面で、該第2の支持面29は、第1の支持面28に対し角度βをもってシリンダブロック17側に傾斜した平坦面として形成され、斜板22の第2の当接面25が当接するものである。
【0034】
ここで、図2に示すように、第1の支持面28と第2の支持面29とを延長したときに両者が交差する仮想の交点をPとすると、この交点Pから離間した第2の支持面29側には、後述の傾転支持部材30が嵌合する半球状の凹陥穴29A,29Aが、ケーシング本体12の回転軸挿通穴12Cを挟んで左,右の両側位置に凹設されている。
【0035】
30,30は斜板22の当接面とケーシング本体12の斜板支持面27との間に設けられた2個の傾転支持部材(1個のみ図示)で、該各傾転支持部材30は、例えば鋼球等により構成され、ケーシング本体12に設けた第1,第2の支持面28,29の交点Pから離間した第2の支持面29側に配設されている。
【0036】
そして、各傾転支持部材30は、斜板支持面27の第2の支持面29に設けられた各凹陥穴29Aと、斜板22の平行面26に設けられた各凹陥穴26Aとに嵌合することにより、斜板22をケーシング本体12に対して傾転可能に支持するものである。
【0037】
31は斜板22の平行面26と斜板支持面27の第2の支持面29との間に設けられた隙間で、該隙間31は、例えば0.2mm〜3mm程度の寸法に設定されている。従って、斜板22の平行面26と斜板支持面27の第2の支持面29とは、傾転支持部材30を挟みこんだ状態で、常に隙間31をもって対面する構成となっている。
【0038】
これにより、斜板22の平行面26に凹陥穴26Aを形成するときの加工誤差、斜板支持面27の第2の支持面29に凹陥穴29Aを形成するときの加工誤差等があった場合でも、これら凹陥穴26A,29Aの加工誤差を隙間31によって吸収し、平行面26と第2の支持面29とが直接的に当接してしまうのを防止することにより、斜板22を傾転支持部材30を中心に安定して傾転させることができる構成となっている。
【0039】
32はケーシング本体12のシリンダ12D内に摺動可能に挿嵌された傾転制御ピストンで、該傾転制御ピストン32は、斜板22の第1の当接面24に対向して設けられ、その先端側は第1の当接面24に凹設されたピストン当接面24Aに当接している。そして、傾転制御ピストン32は、油通路33を通じてシリンダ12D内に傾転制御用の圧油が供給されることにより、シリンダ12D内を摺動して斜板22を傾転させるものである。
【0040】
ここで、傾転制御ピストン32がシリンダ12D内に引込んでいるときには、斜板22は、各ピストン20からの押圧合力Fにより、第1の当接面24を斜板支持面27の第1の支持面28に当接させた最大傾転位置(図2の位置)に保持される。
【0041】
一方、シリンダ12D内に圧油が供給され、傾転制御ピストン32がシリンダ12Dから突出したときには、斜板22は、傾転制御ピストン32に押圧されることにより、各ピストン20からの押圧合力Fに抗して傾転し、第2の当接面25をケーシング本体12の第2の支持面29に当接させた最小傾転位置(図3の位置)に保持される構成となっている。
【0042】
本実施の形態による油圧モータは上述の如き構成を有するもので、以下、その作動について説明する。
【0043】
まず、切換弁板19の給排ポートを通じてシリンダブロック17の各シリンダ18内に圧油が供給されることにより、シリンダ18内に挿嵌されたピストン20が斜板22側に伸長する。そして、ピストン20に設けたシュー21が、斜板22の平滑面23を押圧しつつ該平滑面23に沿って周方向に滑動することにより、各ピストン20と共にシリンダブロック17が回転し、このシリンダブロック17の回転を、回転軸14を介して外部に出力することができる。
【0044】
ここで、シリンダ12D内に傾転制御用の圧油が供給されていないときには、斜板22に作用する各ピストン20からの押圧合力Fにより、斜板22は、図2に示すように、第1の当接面24を斜板支持面27の第1の支持面28に当接させた最大傾転位置に保持される。
【0045】
この場合、斜板支持面27を構成する第1の支持面28は、回転軸14の軸中心に対して略直角な平坦面として形成されているので、最大傾転位置となった斜板22の傾転角度(最大傾転角度)θ1は、斜板22の平滑面23に対する第1の当接面24の傾斜角度α1と等しくなり、下記数1として表される。
【0046】
【数1】
θ1=α1
【0047】
このように、斜板22が傾転角度θ1をもった最大傾転位置を保持することにより、各ピストン20のストロークが最大となり、回転軸14は高トルクで低速回転することができる。
【0048】
一方、シリンダ12D内に傾転制御用の圧油が供給され、傾転制御ピストン32がシリンダ12Dから突出したときには、斜板22は、図3に示すように、傾転制御ピストン32に押圧されることにより、各ピストン20からの押圧合力Fに抗して傾転支持部材30を中心に傾転し、第2の当接面25を斜板支持面27の第2の支持面29に当接させた最小傾転位置を保持する。
【0049】
この場合、斜板22の第2の当接面25は平滑面23に対し角度α2だけ傾斜し、斜板支持面27の第2の支持面29は第1の支持面28に対し角度βだけ傾斜しているので、図3に示すように、最小傾転位置となった斜板22の傾転角度(最小傾転角度)θ2は、上述した第2の支持面29の傾斜角度βと第2の当接面25の傾斜角度α2との差となり、下記数2として表される。
【0050】
【数2】
θ2=β−α2
【0051】
このように、斜板22が傾転角度θ2をもった最小傾転位置を保持することにより、各ピストン20のストロークが最小となり、回転軸14は低トルクで高速回転することができる。
【0052】
ここで、本実施の形態では、ケーシング本体12の底部12Bに、回転軸14の軸中心に対して略直角となり斜板22の第1の当接面24が当接する第1の支持面28と、第1の支持面28に対して角度βだけシリンダブロック17側に傾斜し斜板22の第2の当接面25が当接する第2の支持面29とを設ける構成としている。
【0053】
これにより、斜板22を、各ピストン20の上死点側が厚肉となり下死点側が薄肉となった楔状に形成する必要がなく、全体として略均一な厚みを有する薄肉な環状体として形成することができ、斜板22の平滑面23と傾転支持部材30の中心Aとの間の距離を小さく抑えることができる。
【0054】
このため、斜板22が図2に示す最大傾転位置にあるときに、斜板22に対する各ピストン20からの押圧合力Fの作用点D1と、傾転支持部材30の中心Aとの間が距離E1だけ離間するのに対し、斜板22が図3に示す最小傾転位置にあるときに、斜板22に対する各ピストン20からの押圧合力Fの作用点D2と、傾転支持部材30の中心Aとの間は、上述の距離E1よりも僅かに大きな距離E2に抑えることができる。
【0055】
これにより、傾転制御ピストン32によって斜板22を最大傾転位置と最小傾転位置との間で傾転させるときに、斜板22に対する各ピストン20からの押圧合力Fの作用点と、傾転支持部材30の中心Aとの間の距離が大きく変動するのを抑え、斜板22を最大傾転位置と最小傾転位置とに安定して保持することができる。このため、傾転制御ピストン32の押圧力を増大するために該傾転制御ピストン32の受圧面積を大きくする必要がなく、ケーシング本体12を小型化することができるので、油圧モータ全体の小型化を図ることができる。
【0056】
また、傾転支持部材30を、斜板支持面27を構成する第1,第2の支持面28,29の交点Pから離間させて第2の支持面29側に配設する構成としたので、傾転支持部材30が嵌合する半球状の凹陥穴29Aを、平坦な第2の支持面29に形成することができる。これにより、例えば第1,第2の支持面が交差する境目に凹陥穴を加工する場合に比較して、凹陥穴29Aの穴位置、形状等の加工精度を向上することができ、斜板22の傾転動作を安定させることができる。
【0057】
また、斜板22に、平滑面23に対して角度α1だけ傾斜した第1の当接面24と、平滑面23に対して角度α2だけ傾斜した第2の当接面25とを設け、第1の当接面24が斜板支持面27の第1の支持面28に当接することにより、斜板22を最大傾転位置に保持し、第2の当接面25が斜板支持面27の第2の支持面29に当接することにより、斜板22を最小傾転位置に保持する構成としている。このため、第1の当接面24の傾斜角度α1を変化させることにより容易に斜板22の最大傾転位置を変化させることができ、第2の当接面25の傾斜角度α2を変化させることにより容易に斜板22の最小傾転位置を変化させることができる。
【0058】
一方、斜板22の当接面に、第1,第2の当接面24,25間に位置して平滑面23と略平行な平行面26を設けることにより、該斜板22を全体として略均一な厚みを有する薄肉な環状体として形成したので、熱処理等による斜板22の歪みを低減することができる。また、平滑面23の面粗度を向上するために該平滑面23を研削するときの加工性、平行面26に半球状の凹陥穴26Aを形成するときの加工性をも向上することができ、斜板22全体の加工精度を高めることができる。
【0059】
さらに、斜板22の平行面26と斜板支持面27の第2の支持面29とが、傾転支持部材30を挟みこんだ状態で、常に隙間31をもって対面する構成としたので、斜板22の平行面26に凹陥穴26Aを形成するときの加工誤差、斜板支持面27の第2の支持面29に凹陥穴29Aを形成するときの加工誤差等があった場合でも、これら凹陥穴26A,29Aの加工誤差を隙間31によって吸収することができる。これにより、平行面26と第2の支持面29とが直接的に当接して斜板22の傾転中心が変化してしまうのを確実に防止することができ、斜板22を傾転支持部材30を中心に安定して傾転させることができる。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、第1,第2の支持面28,29を有する斜板支持面27を、ケーシング本体12の底部12B内壁面に一体形成した場合を例に挙げている。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばケーシング本体12とは別の部材に第1,第2の支持面を有する斜板支持面を形成し、この斜板支持面が形成された部材を、ケーシング本体12の底部12B内壁面に取付ける構成としてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、斜板22の第1の当接面24と対向する位置に1個の傾転制御ピストン32を設けた場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えば斜板22の第1,第2の当接面24,25と対向する位置にそれぞれ傾転制御ピストンを設ける構成としてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、鋼球等からなる球状の傾転支持部材30を用いた場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えば斜板22(平行面26)の凹陥穴26Aに嵌合する半球面をもった茸状の傾転支持部材を用いてもよく、さらに、例えば斜板に回動可能に嵌合する楕円柱状、長円柱状の嵌合部をもった傾転支持部材を用いてもよい。
【0063】
さらに、上述した実施の形態では、可変容量型斜板式液圧回転機として油圧モータを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば可変容量型斜板式の油圧ポンプにも適用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、斜板の当接面を、各ピストンの下死点側に位置し平滑面に対して傾斜した第1の当接面と、各ピストンの上死点側に位置し平滑面に対して傾斜した第2の当接面とにより構成し、ケーシングに設けた斜板支持面を、斜板の第1の当接面が当接する第1の支持面と、斜板の第2の当接面が当接する第2の支持面とにより構成し、傾転支持部材を、斜板支持面の第1,第2の支持面の交点から離間させて第2の支持面側に配設する構成としている。
【0065】
これにより、斜板を全体として略均一な厚みを有する薄肉状に形成し、該斜板の平滑面と傾転支持部材の中心との間の距離を小さくすることができるので、斜板を最大傾転位置と最小傾転位置との間で傾転させるときに、斜板に対する各ピストンからの押圧合力の作用点と、傾転支持部材の中心との間の距離が大きく変動するのを抑え、斜板を最大傾転位置と最小傾転位置とに安定して保持することができる。
【0066】
このため、例えば傾転制御ピストンの押圧力を増大するために該傾転制御ピストンの受圧面積を大きくしたりする必要がなく、ケーシングを小型化することができるので、回転機全体の小型化を図ることができる。また、傾転支持部材を、斜板支持面を構成する第1,第2の支持面の交点から離間した第2の支持面側に配設したので、例えば傾転支持部材が嵌合する凹陥穴を第1,第2の支持面が交差する境目等に加工する場合に比較して、凹陥穴の穴位置、形状等の加工精度を向上することができ、斜板の傾転動作を安定させることができる。
【0067】
また、請求項2の発明によれば、斜板の当接面に、第1,第2の当接面間に位置して平滑面と略平行となった平行面を設ける構成としたので、斜板全体を、略均一な肉厚を有する薄肉状に形成することができる。これにより、例えば斜板に対する熱処理時における斜板の歪みを低減することができ、また、平滑面の面粗度を向上するために該平滑面を研削するときの加工性、平行面に傾転支持部材が嵌合する凹陥穴を形成するときの加工性等を向上することができる。さらに、第1,第2の当接面の平滑面に対する傾斜角度を変化させることにより、斜板の傾転角度を容易に変更することができ、吐出容量が異なる油圧ポンプ、トルク、回転数が異なる油圧モータを得ることができる。
【0068】
また、請求項3の発明によれば、斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面とは隙間をもって対面する構成としたので、斜板の平行面、斜板支持面の第2の支持面に対する加工誤差があった場合でも、この加工誤差を両者間の隙間によって吸収することができる。これにより、斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面とが直接的に当接して斜板の傾転中心が変化してしまうのを確実に防止することができ、斜板を傾転支持部材を中心に安定して傾転させることができる。
【0069】
さらに、請求項4の発明によれば、傾転支持部材を、斜板の平行面と斜板支持面の第2の支持面との間に嵌合して設ける構成としたので、傾転支持部材が嵌合する凹陥穴を、平坦な斜板の平行面と、平坦な斜板支持面の第2の支持面とに形成することができ、これら凹陥穴を加工するときの穴位置、形状等の加工精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による可変容量型斜板式液圧回転機を示す断面図である。
【図2】図1中の斜板、斜板支持面、傾転支持部材等の要部を、斜板が最大傾転位置となった状態で示す要部拡大断面図である。
【図3】斜板、斜板支持面、傾転支持部材等の要部を、斜板が最小傾転位置となった状態で示す要部拡大断面図である。
【図4】斜板を単体で示す斜視図である。
【図5】ケーシング本体の斜板支持面等を示す斜視図である。
【図6】従来技術による可変容量型斜板式液圧回転機の斜板等を、斜板が最大傾転位置となった状態で示す側面図である。
【図7】従来技術による可変容量型斜板式液圧回転機の斜板等を、斜板が最小傾転位置となった状態で示す側面図である。
【符号の説明】
11 ケーシング
14 回転軸
17 シリンダブロック
18 シリンダ
20 ピストン
21 シュー
22 斜板
23 平滑面
24 第1の当接面
25 第2の当接面
26 平行面
27 斜板支持面
28 第1の支持面
29 第2の支持面
30 傾転支持部材
31 隙間
32 傾転制御ピストン

Claims (4)

  1. 中空なケーシングと、該ケーシング内に回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に伸長する複数のシリンダが形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、該各ピストンの端部に装着されたシューと、前記ケーシング内に傾転可能に設けられ表面側に該各シューが摺動する平滑面が形成されると共に裏面側が当接面となった斜板と、前記斜板の当接面と対面して前記ケーシングに設けられ該斜板を支持する斜板支持面と、前記斜板の当接面と前記斜板支持面との間に設けられ該斜板を傾転可能に支持する傾転支持部材と、前記ケーシングと斜板との間に設けられ該斜板を傾転させる傾転制御ピストンとを備えてなる可変容量型斜板式液圧回転機において、
    前記斜板の当接面は、前記各ピストンの下死点側に位置し前記平滑面に対して傾斜した第1の当接面と、前記各ピストンの上死点側に位置し前記平滑面に対して傾斜した第2の当接面とにより構成し、
    前記斜板支持面は、前記斜板の第1の当接面が当接する第1の支持面と、前記斜板の第2の当接面が当接する第2の支持面とにより構成し、
    前記傾転支持部材は、前記斜板支持面の第1,第2の支持面の交点から離間させて第2の支持面側に配設したことを特徴とする可変容量型斜板式液圧回転機。
  2. 前記斜板の当接面には、前記第1,第2の当接面間に位置して前記平滑面と略平行となった平行面を設ける構成としてなる請求項1に記載の可変容量型斜板式液圧回転機。
  3. 前記斜板の平行面と前記斜板支持面の第2の支持面とは隙間をもって対面する構成としてなる請求項2に記載の可変容量型斜板式液圧回転機。
  4. 前記傾転支持部材は、前記斜板の平行面と前記斜板支持面の第2の支持面との間に嵌合して設ける構成としてなる請求項2または3に記載の可変容量型斜板式液圧回転機。
JP2001306626A 2001-10-02 2001-10-02 可変容量型斜板式液圧回転機 Expired - Lifetime JP3889588B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001306626A JP3889588B2 (ja) 2001-10-02 2001-10-02 可変容量型斜板式液圧回転機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001306626A JP3889588B2 (ja) 2001-10-02 2001-10-02 可変容量型斜板式液圧回転機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003113773A JP2003113773A (ja) 2003-04-18
JP3889588B2 true JP3889588B2 (ja) 2007-03-07

Family

ID=19126232

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001306626A Expired - Lifetime JP3889588B2 (ja) 2001-10-02 2001-10-02 可変容量型斜板式液圧回転機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3889588B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5912475B2 (ja) * 2011-12-09 2016-04-27 ナブテスコ株式会社 斜板式油圧モータ又は斜板式油圧ポンプ
KR101967505B1 (ko) * 2012-12-26 2019-04-09 나부테스코 가부시키가이샤 경사판식 유압 모터 또는 경사판식 유압 펌프

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003113773A (ja) 2003-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2007060822A1 (ja) 斜軸式可変容量型ポンプ・モータ
WO2014102923A1 (ja) 斜板式油圧モータ又は斜板式油圧ポンプ
JP3889588B2 (ja) 可変容量型斜板式液圧回転機
JPH09166074A (ja) 斜板ピストン式可変容量ポンプの斜板潤滑構造
JP3568804B2 (ja) 斜板式圧縮機のピストンの球面加工方法
JP2003113772A (ja) 可変容量型斜板式液圧回転機
JP4434448B2 (ja) 斜板式コンプレッサー用シュー
JP3155858B2 (ja) 斜板式圧縮機
JP2001132613A (ja) 可変容量型斜板式液圧回転機
JP3759771B2 (ja) 斜板式コンプレッサ
CN219366459U (zh) 液压旋转装置
JP2001132401A (ja) 可変容量型斜板式液圧回転機
JP2002048054A (ja) 可変容量型斜板式液圧回転機
JP5912475B2 (ja) 斜板式油圧モータ又は斜板式油圧ポンプ
JPH0447426Y2 (ja)
JP3963064B2 (ja) 圧縮機におけるピストン
JPH0437266Y2 (ja)
JP7005547B2 (ja) 斜軸式アキシャルピストンポンプ
JP2002221151A (ja) 可変容量型斜板式液圧回転機
JP2762623B2 (ja) 可変容量型斜板式圧縮機の斜板構造
JP3316922B2 (ja) 可変容量型圧縮機
JPH0347437B2 (ja)
JP2878133B2 (ja) 可変速モータ
JP2908752B2 (ja) 斜板式可変容量油圧モータ
JP2003120517A (ja) 液圧装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040413

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3889588

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101208

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101208

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111208

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111208

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121208

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121208

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131208

Year of fee payment: 7