JPH0347437B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は容量可変型の斜板ポンプ、モータ等の
斜板型液圧回転機の改良に関するものである。

斜板型液圧回転機として、例えば第１図ないし
第３図に示したような液圧ポンプが知られてい
る。

同図において、１は液圧ポンプの本体ケーシン
グ、２は該本体ケーシング１内に設けられた回転
軸で、該回転軸２は軸受３，４により本体ケーシ
ング１に支持されている。５は円環状の弁板で、
該弁板５はピン（図示せず）等を介して本体ケー
シング１に固定され、該弁板５には本体ケーシン
グ１に設けた吸排通路６，７と連通する眉形の液
通路８，９が穿設され、該各液通路８，９の端部
には第３図に示すように逃げ溝８Ａ，９Ａが穿設
されている。

１０はシリンダブロツクで、該シリンダブロツ
ク１０の一端面は弁板５に摺動可能に密着してお
り、その中央部を回転軸２が貫通している。シリ
ンダブロツク１０はその内周面と回転軸２の外周
面との間に設けたスプライン、キー等の連結部材
１１により回転軸２に連結されている。シリンダ
ブロツク１０にはその周方向において等間隔に、
かつ軸方向に複数のシリンダ１２，１２，…が穿
設されており、また該各シリンダ１２には長円状
のポート１３が設けられ、該各ポート１３はシリ
ンダブロツク１０が回転することにより弁板５に
設けた液通路８，９と間欠的に連通する。一方、
各シリンダ内にはピストン１４が往復動可能に設
けられ、該ピストン１４の先端球部１４Ａは球面
形状をなし、該先端球部１４Ａはシユー１５に嵌
合しており、これによりピストン１４はシユー１
５に揺動可能に支持されている。

１６は半円筒状の斜板で、該斜板１６はシリン
ダブロツク１０に対して傾斜角αをもつて傾斜し
た状態で対面しており、その表面側の平面１６Ａ
にはシユー１５が当接している。そして、シュー
１５は斜板１６に設けたＬ字状シユー押え板１
７、リング状シユー押え板１８に案内されて斜板
１６の平面１６Ａ上を摺動する。一方、斜板１６
には左右一対の凸円筒面状摺接面１６Ｂが形成さ
れ、該凸円筒面状摺接面１６Ｂは本体ケーシング
１に形成した凹円筒面状摺接面１９内に嵌合して
いる。

図中、２０は斜板１６に取付けられた操作部材
で、該操作部材２０を適宜動かすことにより斜板
１６の傾斜角αを変更することができる。

従来方式の斜板型液圧ポンプは前述の構成を有
するもので、吸排通路６，７のうち、通路６を吸
入側通路とし、通路７を吐出側通路とし、ポンプ
として使用した場合の作動について説明する。エ
ンジン等の駆動機構（図示せず）を使用して回転
軸２を回転させると、連結部材１１を介してシリ
ンダブロツク１０も同時に回転する。該シリンダ
ブロツク１０の回転により、シリンダ１２内に設
けたピストン１４の先端球部１４Ａに嵌合したシ
ユー１５はシユー押え板１７、リング状シユー押
え板１８に沿つて案内されるので、該シユー１５
は斜板１６の平面１６Ａ上を摺駆する。斜板１６
は傾斜して設けられているので、ピストン１４は
シリンダブロツク１０の回転中にシリンダ１２内
を往復動する。そして、ピストン１４がシリンダ
１２内を弁板５に最も近接する上死点位置から該
弁板５から最も難問する下死点位置まで伸長する
吸込み行程ではポート１３は吸入側通路６と連通
し、シリンダ１２内に流体を吸入し、また、ピス
トン１４がシリンダ１２内を下死点位置から上死
点位置に進入する吐出行程では吐出側の通路７と
連通し、ピストン１４で加圧された流体が吐出さ
れる。そして、このとき、ポート１３は逃け溝８
Ａ，９Ａを経た後に低圧側液通路８または高圧側
液通路９に連通するため、シリンダ１２内の圧力
は徐々に変化し、急激なる圧力変化は緩和され
る。

一方、ポンプの容量を変化させるには斜板１６
に取付けられた操作部材２０を第２図中矢示Ａ，
A′方向に操作し、斜板１６をケーシング１の凹
円筒面状摺接面１９に沿つて傾転させ、該斜板１
６の傾斜角αを変更させ、シリンダ１２の内容積
を変更することによつて行なわれる。

ところで、このように構成された従来技術によ
る液圧回転機において、第３図に示すようにポー
ト１３の両端間の難間角度が回転軸２の軸線Ｂ−
Ｂを中心として角度βとし、また、第２図中上方
のピストン１４が最大伸長した下死点位置P1か
ら高圧側液通路９端部までの難間角度をθとした
とき、前記両角度β，θはθ＞β／２なる関係に
ある。こうすることにより、ピストン１４が下死
点位置Ｐにあるときにはポート１３は未だ高圧側
液通路９に連通せず、シリンダブロツク１０がさ
らに角度（θ−β／２）だけ余分に回転した後
に、該ポート１３が高圧側液通路９に連通するこ
とにより、シリンダ１２内を前記角度（θ−β／
２）間において予圧縮するようになつている。

しかしながら、このように構成された従来技術
による斜板型液圧回転機において、斜板１６は回
転軸２の軸線Ｂ−Ｂと各ピストン１４の先端球部
１４Ａの中心を含む平面Ｃ−Ｃの交点Ｏを含み、
前記軸線Ｂ−Ｂに垂直な軸線Ｄ−Ｄを中心軸とす
る円筒体の一部で構成され、該斜板１６の凹円筒
面状摺接面１９は該円筒体の外周面となつてい
る。

このため、ポンプの容量を変化させるべく操作
部材２０を第２図中矢示ＡまたはA′方向に操作
すると、斜板１６は軸線Ｄ−Ｄを中心としてこの
方向に回転する。この結果、任意の傾転角度にお
ける下死点Ｐでのシリンダ１２内の容積が変化す
るにも拘わらず、第３図中の角度θは変化しな
い。従つて、斜板１６の傾転角度によつては、予
圧縮過剰となつたり、逆に予圧縮不足を招き、脈
動や騒音を増大させるという欠点がある。

本発明は前記従来技術の欠点に鑑みてなされた
もので、ポンプの容量を変化させるべく斜板を傾
転させる場合には、それに合わせてシリンダ内で
の作動油の予圧縮の程度を自在に調節しうるよう
にすることにより、脈動を低減し、騒音の発生を
防止できるようにした斜板型液圧回転機を提供す
ることを目的とするものである。

前記目的を達成するため、本発明が採用する構
成は、軸線方向に回転軸を回転可能に支持してい
るケーシングと、該ケーシングの軸方向一側に設
けられ、一対の眉形液通路が穿設された弁板と、
該弁板と対向して前記ケーシングの軸方向他側に
設けられた斜板と、前記ケーシング内に前記回転
軸と一体的に取付けられ、軸方向の一側面が前記
弁板と摺接しつつ回転するシリンダブロツクと、
該シリンダの周方向に等間隔で軸方向に穿設され
た複数のシリンダと、軸方向の一側が該各シリン
ダ内に往復可能に挿入された複数本のピストン
と、該各ピストンの軸方向他側にそれぞれ揺動自
在に設けられ、前記斜板上を摺動する複数のシユ
ーとを備え、該各シユーが斜板上を摺動しつつ前
記シリンダブロツクが回転する間に、前記各ピス
トンが弁板に最も近接する上死点位置と該弁板か
ら最も離間する下死点位置との間で復往動するよ
うにした斜板型液圧回転機において、前記ケーシ
ングの軸方向他側には凹球面状摺接面を形成し、
前記斜板は一側面を前記各シユーが摺動する平面
に形成すると共に他側面を前記凹球面状摺接面を
摺動、かつ揺動する凸球面状摺接面に形成し、前
記凹球面状摺接面に対して斜板の凸球面状摺接面
を揺動させることにより、前記各ピストンの下死
点位置と前記一対の液通路との間の離間角度を可
変に設定する構成としたことを特徴とするもので
ある。

このように構成することにより、ポンプ容量、
モータの回転数等を可変とすべく、斜板を任意の
方向に揺動させるとき、ピストンの下死点位置に
弁板と穿設した一対の液通路との間の難間角度を
可変に設定しうるから、シリンダ内での予圧縮角
度を調整することが可能となる。

以下、本発明の実施例を第４図ないし第８図に
基づき説明する。なお、従来技術と同一構成要素
には同一符号を付して説明を省略するものとす
る。

然るに、２１はケーシング１に形成された凹球
面状摺接面で、該摺接面２１は回転軸２の軸線Ｂ
−Ｂと、各ピストン１４の先端球部１４Ａの中心
を含む平面Ｃ−Ｃの交点Ｏを中心とした凹球面と
して形成されている。

２２は本実施例に用いる斜板で、該斜板２２は
前記点Ｏを中心とした球面体の一部として形成さ
れ、該斜板２２の表面側にはシユー１５が摺接す
る平面２３が形成され、その裏面側には前記凹球
面状摺接面２１上を摺動する凸球面状摺接面２４
が形成されている。２５は回転軸２が貫通する貫
通穴である。

本発明に係る斜板型液圧回転機はこのように構
成されるが、次にその作用について説明する。

而して、斜板２２を傾転させた後、回転軸２を
回転させるとシリンダブロツク１０が回転し、こ
れに伴ないピストン１４がシリンダ１２内を往復
動し、吸込行程ではポート１３は低圧側液通路８
および吸入側通路６と連通して、シリンダ１２内
に流体を吸入し、また吐出行程ではポート１３は
高圧側液通路９および吐出側通路７と連通し、ピ
ストン１４で加圧された液体を吐出するようにな
つている点については従来技術のものと格別差異
はない。

然るに、まず、ポンプの容量を変化させるべく
シリンダ１２内の容積を変化させようとする。

この場合には、第５図に示すように斜板２２を
点Ｏを通り回転軸２の軸線Ｂ−Ｂに対して該軸線
Ｂ−Ｂと直交する軸線Ｄ−Ｄを軸として角度γだ
け傾転させることにより、下死点Ｐにおけるシリ
ンダ１２の内容積を増加させる。このときには、
従来技術と同様にシリンダ１２内は角度（θ−
β／２）間において予圧縮された後、高圧側液通
路９に連通する。

次に、斜板２２を点Ｏを通り回転軸２の軸線Ｂ
−Ｂと直交する軸線Ｄ−Ｄと角度δ（第４図参照）
だけ異なる軸線Ｅ−Ｅを中心として傾転させる場
合の作動について述べる。

この場合には、第６図に示す如く斜板２２を角
度γで傾転させ、しかも第７図に示すように点Ｏ
を通り、斜板２２を軸線Ｄ−Ｄと角度δをもつて
回動させることになる。すると、ピストン１３の
下死点位置Ｐは第７図に示すように回転軸２の軸
線Ｂ−Ｂに対し角度〔＝ｆ（γ，δ）〕だけ低
圧側液通路８側へずれることになる。このため、
第８図に示すように下死点位置Ｐと高圧側液通路
９との間の難間角度θ′は前記角度だけ従来技術
のものよりも拡がる。この結果、シリンダ１２の
予圧縮区間が角度（θ′−β／２）に拡がることに
なり、シリンダ１２内はこの区間で充分に予圧縮
された後に高圧側液通路９に連通することがで
き、高圧側液通路９内での脈動や騒音の発生を防
止できる。

かくして、本発明においては、回転角度δを適
宜選択することにより、最適な予圧縮角度を設定
することができ、このため、傾転角度γを大きく
設定し、ポンプ容量を増大させても脈動が少な
く、低騒音な液圧回転機とすることができる。

なお、前述の各実施例では本発明の斜板型液圧
回転機をポンプとして用いる場合について説明し
たがモータ等他の回転機として使用することもで
きるのは勿論である。また、前記実施例ではポン
プ容量を変化させるのに斜板２２を傾転操作と回
動操作の２段階で操作することにより行なつた
が、該斜板２２は予じめ所望の回動角度位置にセ
ツトしておき、傾転操作のみによりポンプ容量を
変化させてもよく、さらに、前記傾転操作と回動
操作とを同時に行なうことによりポンプ容量を変
化させるようにしてもよい。

本発明に係る斜板型液圧回転機は以上詳細に説
明した如くであつて、斜板を回転軸の軸線と直交
しない適宜の回転軸を中心として回転させること
により、シリンダ内の予圧縮角度を変化させるこ
とができるから、容量を増大させても脈動が少な
く低騒音な液圧回転機とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来技術による斜板型液
圧回転機に係り、第１図はその縦断面図、第２図
は第１図の−矢示方向断面図、第３図は動作
を説明するための第１図の−矢示方向断面
図、第４図ないし第８図は本発明による斜板型液
圧回転機に係り、第４図はその縦断面図、第５図
は斜板を傾転させた場合の動作説明図、第６図は
斜板を傾転させ、かつ回動させた場合の動作説明
図、第７図は第６図の平面図、第８図は動作を説
明するための第３図と同様の断面図である。 １…ケーシング、２…回転軸、１０…シリンダ
ブロツク、１２…シリンダ、１４…ピストン、２
１…凹球面状摺接面、２２…斜板、２３…平面、
２４…凸球面状摺接面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軸線方向に回転軸を回転可能に支持している
   ケーシングと、該ケーシングの軸方向一側に設け
   られ、一対の眉形液通路が穿設された弁板と、該
   弁板と対向して前記ケーシングの軸方向他側に設
   けられた斜板と、前記ケーシング内に前記回転軸
   と一体的に取付けられ、軸方向の一側面が前記弁
   板と摺接しつつ回転するシリンダブロツクと、該
   シリンダの周方向に等間隔で軸方向に穿設された
   複数のシリンダと、軸方向の一側が該各シリンダ
   内に往復動可能に挿入された複数本のピストン
   と、該各ピストンの軸方向他側にそれぞれ揺動自
   在に設けられ、前記斜板上を摺動する複数のシユ
   ーとを備え、該各シユーが斜板上を摺動しつつ前
   記シリンダブロツクが回転する間に、前記各ピス
   トンが弁板に最も近接する上死点位置と該弁板か
   ら最も離間する下死点位置との間で復往動するよ
   うにした斜板型液圧回転機において、前記ケーシ
   ングの軸方向他側には凹球面状摺接面を形成し、
   前記斜板は一側面を前記各シユーが摺動する平面
   に形成すると共に他側面を前記凹球面状摺接面を
   摺動、かつ揺動する凸球面状摺接面に形成し、前
   記凹球面状摺接面に対して斜板の凸球面状摺接面
   を揺動させることにより、前記各ピストンの下死
   点位置と前記一対の液通路との間の離間角度を可
   変に設定する構成としたことを特徴とする斜板型
   液圧回転機。