JP7005547B2 - 斜軸式アキシャルピストンポンプ - Google Patents

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本発明は、斜軸式アキシャルピストンポンプに係わり、特にテーパ軸部を備えたピストンの改良に関する。
特許文献1に記載の斜軸式アキシャルピストンポンプは、ケーシング内に回転可能に設けられ、一端側がケーシング外へ延出された駆動シャフト(駆動軸)と、ケーシング内に位置する駆動シャフトの他端側に設けられた駆動ディスク(駆動板)と、シリンダブロックと、シリンダブロックの回転中心軸に沿って形成されたセンタ穴と、一端側が駆動ディスクの回転中心に揺動可能に支持されると共に、他端側がシリンダブロックのセンタ穴に嵌合されて、シリンダブロックの回転中心軸が駆動シャフトに対して傾斜するようにシリンダブロックを支持するセンタシャフトと、シリンダブロックにおけるセンタ穴の周囲に形成され、シリンダブロックにおける周方向に互いに離間してシリンダブロックの軸方向に延在する複数のシリンダ穴と、基端側が駆動ディスクに揺動可能に支持されると共に、先端側が複数のシリンダ穴にそれぞれ挿入される複数のピストン(ピストン部材)と、シリンダブロックの回転に伴いシリンダ穴に対して交互に連通する吸入ポート(低圧ポート)及び吐出ポート(高圧ポート)を有する弁板とを備えている。
各ピストンは、基端側から先端側に向かって径寸法が徐々に拡大するテーパ軸部(ピストン棒部分)と、テーパ軸部の先端側に形成され、シリンダ穴の内面に対して摺動する小球部(接触部分)とを備えている。
また、各ピストンは、小球部に対し先端側に形成されたリング溝を備え、このリング溝にはピストンリング(以降、先端側のピストンリングという)が装着されている。また、各ピストンは、小球部に対し基端側に形成されたリング溝を備え、このリング溝にはピストンリング(以降、基端側のピストンリングという)が装着されている。
特開平05-099129号公報(図2、図3等参照)
特許文献1には明確に記載されていないものの、先端側のピストンリングは、絞り機能を有している。すなわち、シリンダ穴内の作動液体の一部は、先端側のピストンリングと周囲の部材が互いに接触する部分を通過する際に減圧されて、ピストンの小球部に供給される。これにより、ピストンの小球部とシリンダ穴の内面との隙間には、液膜が形成されるようになっている。
また、特許文献1には明確に記載されていないものの、ピストンは、その回転位置に応じてシリンダ穴に対する傾きが変化しており、大きく傾いたときに、小球部だけでなく、テーパ軸部もシリンダ穴の内面と接触する。そして、複数のピストンのうちの、例えば2つのピストンは、それらのテーパ軸部がシリンダ穴の内面と接触することで、駆動ディスクの回転力をシリンダブロックに伝達するようになっている。そのため、ピストンのテーパ軸部がシリンダ穴の内面と接触したときに、ピストンの小球部には回転力の分力が生じる。すなわち、ピストンのテーパ軸部がシリンダ穴の内面と接触したときに、ピストンの小球部で生じる力が大きくなる。
したがって、ピストンの小球部の耐荷重性及び耐焼付性の向上を図るためには、特に、ピストンがシリンダ穴に対し最も大きく傾いたときに着目して、ピストンの小球部とシリンダ穴の内面との隙間における液膜の形成を促進することが好ましい。すなわち、先端側のピストンリングを介しピストンの小球部に供給する液体の量を高めることが好ましい。
なお、仮に、先端側のピストンリングを設けず、基端側のピストンリングのみを設ければ、ピストンの小球部に供給する液体の量を高めることが可能である。しかし、この場合、ピストンの小球部に供給する液体が減圧されないため、ピストンの小球部で生じる液圧荷重の分力が大きくなる。したがって、ピストン部材の小球部の耐荷重性及び耐焼付性の向上を図ることができない。
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピストンの小球部の耐荷重性及び耐焼付性の向上を図ることができる斜軸式アキシャルピストンポンプを提供することにある。
上記目的を解決するために、本発明は、ケーシング内に回転可能に設けられ、一端側が前記ケーシング外へ延出された駆動シャフトと、前記ケーシング内に位置する前記駆動シャフトの他端側に設けられた駆動ディスクと、シリンダブロックと、前記シリンダブロックの回転中心軸に沿って形成されたセンタ穴と、一端側が前記駆動ディスクの回転中心に揺動可能に支持されると共に、他端側が前記シリンダブロックの前記センタ穴に嵌合されて、前記シリンダブロックの回転中心軸が前記駆動シャフトに対して傾斜するように前記シリンダブロックを支持するセンタシャフトと、前記シリンダブロックにおける前記センタ穴の周囲に形成され、前記シリンダブロックにおける周方向に互いに離間して前記シリンダブロックの軸方向に延在する複数のシリンダ穴と、基端側が前記駆動ディスクに揺動可能に支持されると共に、先端側が前記複数のシリンダ穴にそれぞれ挿入される複数のピストンと、前記シリンダブロックの回転に伴い前記シリンダ穴に対して交互に連通する吸入ポート及び吐出ポートを有する弁板とを備え、前記複数のピストンの各々は、基端側から先端側に向かって径寸法が徐々に拡大するテーパ軸部と、前記テーパ軸部の先端側に形成され、前記シリンダ穴の内面に対して摺動する小球部と、前記小球部より先端側に形成され、ピストンリングを装着したリング溝とを有し、前記シリンダ穴が前記吸入ポートに連通する吸入行程の一定区間と前記シリンダ穴が前記吐出ポートに連通する吐出行程の一定区間にて、前記ピストンが前記シリンダに対し大きく傾いて前記ピストンの前記テーパ軸部が前記シリンダ穴の内面に接触するように構成された斜軸式アキシャルピストンポンプにおいて、前記複数のピストンの各々は、前記小球部と前記リング溝の間であって前記シリンダ穴の内面との摺動範囲外に形成され、前記ピストンリングの一端面と接触する前記リング溝の一側面を構成する一端面を有する供給流量調整部を更に有し、前記供給流量調整部は、前記ピストンが前記シリンダ穴に対し最も大きく傾いたときに、前記供給流量調整部の前記一端面の外縁が全周に亘って前記ピストンリングの前記一端面の外縁より径方向内側に位置して、前記ピストンリングの前記一端面と前記供給流量調整部の前記一端面との接触範囲における全ての半径方向の幅が前記ピストンリングの前記一端面の半径方向の幅より小さくなるように構成され、前記小球部は、前記ピストンの軸方向断面における表面の輪郭が、所定の曲率を有する曲線であり、かつ前記ピストンの軸方向に垂直な線に対し線対称であり、当該曲線の中心が半径方向外側に突出した形状になるように構成されており、前記供給流量調整部は、前記小球部における当該線対称の範囲の外側に形成されている。
本発明によれば、ピストンの小球部の耐荷重性及び耐焼付性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態における斜軸式アキシャルピストンポンプの構造を表す断面図である。 本発明の一実施形態におけるピストンの構造を表す断面図である。 図1中断面矢視III-IIIによる断面図であり、本発明の一実施形態における複数のピストンの状態を表す。 図3中断面矢視IV-IVによる断面図であり、本発明の一実施形態における吐出行程の接触区間中のピストンの状態を表す。 従来技術におけるピストンの構造を表す部分拡大断面図である。 従来技術における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一側面とピストンリングの一端面との位置関係を表す部分拡大断面図である。 従来技術における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一側面とピストンリングの一端面との接触範囲を表す図である。 本発明の一実施形態におけるピストンの構造を表す部分拡大断面図である。 本発明の一実施形態における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一側面とピストンリングの一端面との位置関係を表す部分拡大断面図である。 本発明の一実施形態における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一側面とピストンリングの一端面との接触範囲を表す図である。 本発明の一変形例におけるピストンの構造を表す部分拡大断面図である。 本発明の他の変形例におけるピストンの構造を表す部分拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態の斜軸式アキシャルピストンポンプを、油圧ショベル等の建設機械に搭載されて固定容量型の油圧ポンプとして使用される場合を例にとり、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態の斜軸式アキシャルピストンポンプの構造について、図1~図3を用いて説明する。図1は、本実施形態における斜軸式アキシャルピストンポンプの構造を表す断面図である。図2は、本実施形態におけるピストンの構造を表す断面図である。図3は、図1中断面矢視III-IIIによる断面図(但し、便宜上、ケーシング及びセンタシャフト等を図示せず)であり、本実施形態における複数のピストンの状態を表す。
本実施形態の斜軸式アキシャルピストンポンプは、ケーシング1、駆動シャフト2、駆動ディスク3、シリンダブロック4、センタシャフト5、複数(本実施形態では7つ)のピストン6、及び弁板7を備えている。
ケーシング1は、ケーシング本体8とヘッドケーシング9で構成されており、ヘッドケーシング9には、吸入流路(図示せず)及び吐出流路(図示せず)が形成されている。弁板7は、ヘッドケーシング9の内側に固定されており、前述した吸入流路に連通する吸入ポート10(図3参照)と、前述した吐出流路に連通する吐出ポート11(図3参照)とを有している。
駆動シャフト2は、ケーシング本体8内に複数の軸受12で回転可能に支持されている。駆動シャフト2の一端側(図1の右側)は、ケーシング本体8外へ延出しており、図示しない原動機(詳細には、エンジン又は電動モータ等)に接続されている。ケーシング本体8内に位置する駆動シャフト2の他端側(図1の左側)には、駆動ディスク3が一体的に設けられている。したがって、駆動シャフト2及び駆動ディスク3は、原動機によって回転するようになっている。
駆動ディスク3の回転中心には、半球状の窪み部13が形成され、駆動ディスク3の窪み部13の周囲には、複数(本実施形態では7つ)の半球状の窪み部14が形成されている。複数の窪み部14は、駆動ディスク3の回転中心を中心として所定の半径を有する円周上に配置され、周方向に所定の間隔で互いに離間されている。
シリンダブロック4には、その回転中心軸に沿ってセンタ穴15が形成され、シリンダブロック4におけるセンタ穴15の周囲には、シリンダブロック4の軸方向に延在する複数(本実施形態では7つ)のシリンダ穴16が形成されている。複数のシリンダ穴16は、シリンダブロック4の回転中心を中心として所定の半径を有する円周上に配置され、周方向に所定の間隔で互いに離間されている。
センタシャフト5の一端側(図1の右側)には球形部17が形成されており、この球形部17が駆動ディスク3の窪み部13に嵌合されている。これにより、センタシャフト5の一端側が駆動ディスク3の回転中心に揺動可能に支持されている。センタシャフト5の他端側(図1の左側)は、シリンダブロック4のセンタ穴15に嵌合されている。センタシャフト5の他端側にはバネ収容穴18が形成され、このバネ収容穴18にバネ19が設けられている。バネ19は、弁板7に対してシリンダブロック4が摺動可能なようにシリンダブロック4を押し付けている。したがって、センタシャフト5は、シリンダブロック4の回転中心軸が駆動シャフト2に対して傾斜するように、シリンダブロック4を支持している。
各ピストン6の基端側(図1の右側)には大球部20が形成されており、この大球部20が駆動ディスク3の窪み部14に嵌合されている。これにより、各ピストン6の基端側が駆動ディスク3に揺動可能に支持されている。各ピストン6の先端側(図1の左側)は、各シリンダ穴16に挿入されている。
シリンダブロック4は、上述したセンタシャフト5及びピストン6を介して駆動ディスク3に接続されている。そのため、駆動シャフト2及び駆動ディスク3と共に、シリンダブロック4が回転する。これに伴い、各シリンダ穴16と駆動ディスク3との距離が変化して、各シリンダ穴16内のピストン6が往復するようになっている。
シリンダ穴16内のピストン6が駆動ディスク3側に移動したときに、弁板7の吸入ポート10及びヘッドケーシングの吸入流路を介してシリンダ穴16に油(作動液体)が吸入される(吸入行程)。その後、シリンダ穴16内のピストン6が弁板7側に移動したときに、弁板7の吐出ポート11及びヘッドケーシングの吐出流路を介してシリンダ穴16から圧油が吐出される(吐出行程)。すなわち、吸入ポート10及び吐出ポート11は、シリンダブロック4の回転に伴い、シリンダ穴16に対して交互に連通する。吸入行程では、シリンダ穴16が吸入ポート10に連通し、吐出行程では、シリンダ穴16が吐出ポート11に連通する。
各ピストン6は、基端側から先端側に向かって径寸法が徐々に拡大するテーパ軸部21と、テーパ軸部21の基端側に形成された大球部20と、テーパ軸部21の先端側に形成され、シリンダ穴16の内面に対して摺動する(言い換えれば、シリンダ穴16の内面との摺動範囲に形成された)小球部22とを有している。
上述した通り、シリンダブロック4の回転中心軸は、駆動シャフト2及び駆動ディスク3に対し傾斜している。そのため、ピストン6の回転位置に応じて、ピストン6の基端側と先端側で角速度差が生じる。ピストン6のテーパ軸部21は、この角速度差に対応するための遊びの部分である。ピストン6は、その回転位置に応じてシリンダ穴16に対する傾きが変化し、大きく傾いたときに、小球部22だけでなく、テーパ軸部21もシリンダ穴16の内面と接触する。そして、7つのピストン6のうちの、2つのピストン6は、それらのテーパ軸部21がシリンダ穴16の内面(詳細には、駆動ディスク3側の開口の縁部)と接触することで、駆動ディスク3の回転力をシリンダブロック4に伝達するようになっている。
シリンダ穴16に対するピストン6の傾きが小さくて、ピストン6のテーパ軸部21がシリンダ穴16の内面に接触しないときのピストン6の回転位置の範囲を、「非接触区間」と称し、シリンダ穴16に対するピストン6の傾きが大きくて、ピストン6のテーパ軸部21がシリンダ穴16の内面に接触するときのピストン6の回転位置の範囲を、「接触区間」と称す。図3で示すように、ピストン6は、吸入行程の非接触区間から吸入行程の接触区間に移行し、その後、吸入行程の非接触区間に移行する。また、ピストン6は、吐出行程の非接触区間から吐出行程の接触区間に移行し、その後、吐出行程の非接触区間に移行する。
なお、ピストン6が弁板7に最も近づくときのピストン6の回転位置を0度(上死点)とし、ピストン6が弁板7から最も離れるときのピストン6の回転位置を180度(下死点)とすれば、吸入行程の接触区間は、例えば40度~70度の範囲である。吐出行程の接触区間は、例えば220度~250度の範囲である。
各ピストン6は、小球部22より先端側に形成されたリング溝23を更に有し、リング溝23にはピストンリング24が装着されている。ピストンリング24は、図示しないものの、周方向の一部が切断されており、弾性変形してピストン6のリング溝23に着脱可能となっている。
ピストンリング24は、絞り機能を有している。シリンダ穴16内の圧油の作用により、ピストンリング24の外周面が全周に亘ってシリンダ穴16の内面と接触すると共に、ピストンリング24の一端面25が全周に亘ってリング溝23の一側面と接触する(後述の図4等参照)。そして、シリンダ穴16内の圧油の一部は、前述した接触部分を通過する際に減圧されて、ピストン6の小球部22に供給される。これにより、ピストン6の小球部22とシリンダ穴16の内面との隙間には、油膜(液膜)が形成されるようになっている。
ピストン6の軸方向断面における小球部22の表面の輪郭は、所定の曲率を有する曲線であり、且つ、ピストン6の軸方向に垂直な線M1に対し線対称であって、その中心が半径方向外側に突出した形状である(後述の図8等参照)。また、ピストン6の軸方向断面におけるピストンリング24の外周面の輪郭は、所定の曲率を有する曲線であり、且つ、ピストン6の軸方向に垂直な線M2に対し線対称であって、その中心が半径方向外側に突出した形状である(後述の図8等参照)。
次に、本実施形態のピストン6の小球部22で生じる力について、図4を用いて説明する。図4は、図3中断面矢視IV-IVによる断面図であり、本実施形態における吐出行程の接触区間中のピストンの状態を表す。
本実施形態のピストン6の小球部22で生じる力は、3つある。1つ目は、ピストン6に作用する遠心力(詳細には、シリンダブロック4の半径方向の外側へ向いた力)の分力F1である。
2つ目は、吐出行程にて、シリンダ穴16内の圧油の一部がピストンリング24を介し減圧されてピストン6の小球部22に供給されており、その油圧荷重によって生じる力である。詳しく説明すると、ピストン6の傾斜方向の一方側(図4の下側)では、シリンダ穴16の内面に対してピストン6の小球部22が接触しておらず、シリンダ穴16の内面とピストン6との隙間が大きく、この隙間の油圧が作用するピストン6の範囲が大きくなる。ピストン6の傾斜方向の反対側(図4の上側)では、シリンダ穴16の内面に対してピストン6の小球部22が接触しており、シリンダ穴16の内面とピストン6の小球部22との隙間が小さく、この隙間の油圧が作用するピストン6の範囲が小さくなる。そのため、ピストン6の傾斜方向の一方側からの油圧荷重と反対側からの油圧荷重との差分である力(以降、油圧荷重の分力F2という)が生じる。
3つ目は、ピストン6のテーパ軸部21とシリンダ穴16の内面との接触時にピストン6のテーパ軸部21に作用する回転力Faに対し、ピストン6の小球部で生じる分力F3である。なお、前述した回転力Faは、ピストン6の小球部で生じる分力F3とピストン6の大球部20で生じる分力Fbに分配される。そのため、シリンダ穴16と駆動ディスク3の間の距離Lが大きくなるほど、回転力Faに対する分力F3の割合が大きく、回転力Faに対する分力Fbの割合が小さくなる。
吸入行程の非接触区間中のピストン6の小球部22で生じる力は、遠心力の分力F1のみである。吐出行程の非接触区間中のピストン6の小球部22で生じる力は、遠心力の分力F1と油圧荷重の分力F2である。吸入行程の接触区間中のピストン6の小球部22で生じる力は、遠心力の分力F1と回転力の分力F3である。吐出行程の接触区間中のピストン6の小球部22で生じる力は、遠心力の分力F1と油圧荷重の分力F2と回転力の分力F3である(図4参照)。なお、吐出行程の接触区間では、吐出行程の非接触区間と比べ、ピストン6の傾きが大きいため、ピストン6の傾斜方向の一方側からの油圧荷重と反対側からの油圧荷重との差分が大きい。すなわち、吐出行程の接触区間中のピストン6の小球部22で生じる油圧荷重の分力F2は、吐出行程の非接触区間中のピストン6の小球部22で生じる油圧荷重の分力F2より大きい。また、吐出行程の接触区間中のピストン6の小球部22で生じる回転力の分力F3は、吸入行程の接触区間中のピストン6の小球部22で生じる回転力の分力F3より大きい。
したがって、吐出行程の接触区間中のピストン6の小球部22で生じる力が最も大きい。そのため、ピストン6の小球部22の耐焼付性及び耐荷重性を高めるためには、吐出行程の接触区間に着目して、ピストン6の小球部22とシリンダ穴16の内面との隙間における油膜の形成を促進することが好ましい。別の言い方をすれば、ピストン6がシリンダ穴16に対し最も大きく傾いたときに着目して、ピストン6の小球部22とシリンダ穴16の内面との隙間における油膜の形成を促進することが好ましい。具体的には、ピストンリング24を介しピストン6の小球部22に供給する油の量を高めることが好ましい。そのため、本実施形態のピストン6は、小球部22とリング溝23の間であってシリンダ穴16の内面との摺動範囲外(本実施形態では、小球部22の線対称範囲の外側)に形成された供給流量調整部26を更に有している。
次に、従来技術のピストンと比較しながら、本実施形態のピストンの構造及び作用効果を説明する。
図5は、従来技術におけるピストンの構造を表す部分拡大断面図であり、図2のA部に対応する。図6は、従来技術における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一側面とピストンリングの一端面との位置関係を表す部分拡大断面図であり、図4のB部に対応する。図7は、従来技術における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一端面とピストンリングの一端面との接触範囲を表す図である。
従来技術のピストン100は、小球部22とリング溝23の間に供給流量調整部26を備えていない。すなわち、小球部22の一端面101が、ピストンリング24の一端面25と接触するリング溝23の一側面を構成している。そして、図5で示すように、ピストン100がシリンダ穴16に対し傾いていないときに、小球部22の一端面101の外縁が全周に亘ってピストンリング24の一端面25の外縁と同じ径方向位置となる。
ピストン100がシリンダ穴16に対し最も大きく傾いたときに、ピストン100の傾斜方向の一方側では、小球部22の一端面101の外縁がピストンリング24の一端面25の外縁より径方向内側に位置し、且つピストンリング24の一端面25の内縁より径方向外側に位置する(上述の図4参照)。しかし、図6で示すように、ピストン100の傾斜方向の反対側では、小球部22の一端面101の外縁がピストンリング24の一端面25の外縁より径方向外側に位置する。
そのため、図7で示す接触範囲S1(図中ハッチングで示す範囲)にて、ピストンリング24の一端面25と小球部22の一端面101が接触する。詳しく説明すると、ピストン100の傾斜方向の一方側(図7の下側)における接触範囲S1の半径方向の幅は、ピストンリング24の一端面25の半径方向の幅より小さい。一方、ピストン100の傾斜方向の反対側(図7の側)における接触範囲S1の半径方向の幅は、ピストンリング24の一端面25の半径方向の幅と同じになる。
図8は、本実施形態におけるピストンの構造を表す部分拡大断面図であり、図2のA部に対応する。図9は、本実施形態における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一側面とピストンリングの一端面との位置関係を表す部分拡大断面図であり、図4のB部に対応する。図10は、本実施形態における吐出行程の接触区間中のピストンのリング溝の一端面とピストンリングの一端面との接触範囲を表す図である。
本実施形態のピストン6は、小球部22とリング溝23の間に供給流量調整部26を備えている。すなわち、供給流量調整部26の一端面27が、ピストンリング24の一端面25と接触するリング溝23の一側面を構成している。供給流量調整部26は、小球部22に連続するものの、ピストン6の先端側に向かうに従って径寸法が徐々に小さくなるように構成されている。本実施形態では、ピストン6の軸方向断面における供給流量調整部26の表面の輪郭は、ピストン6の軸方向断面における小球部22の表面の輪郭と同じ曲率を有する曲線である。そして、図8で示すように、ピストン6がシリンダ穴16に対し傾いていないときに、供給流量調整部26の一端面27が全周に亘ってピストンリング24の一端面25の外縁より径方向内側に位置し、且つピストンリング24の一端面25の内縁より径方向外側に位置する。
また、ピストン6がシリンダ穴16に対し最も大きく傾いたときも、供給流量調整部26の一端面27の外縁が全周に亘ってピストンリング24の一端面25の外縁より径方向内側に位置し、且つピストンリング24の一端面25の内縁より径方向外側に位置する。すなわち、従来技術とは異なり、図9で示すように、ピストン6の傾斜方向の反対側では、供給流量調整部26の一端面27の外縁がピストンリング24の一端面25の外縁より径方向内側に位置し、且つピストンリング24の一端面25の内縁より径方向外側に位置する。
そのため、図10で示す接触範囲S2(図中ハッチングで示す範囲)にて、ピストンリング24の一端面25と供給流量調整部26の一端面27が接触する。詳しく説明すると、ピストンリング24の一端面25と供給流量調整部26の一端面27との接触範囲S2における全ての半径方向の幅が、ピストンリング24の一端面25の半径方向の幅より小さくなる。別の言い方をすれば、接触範囲S2の各半径方向の幅が、対応する従来技術の接触範囲S1の各半径方向の幅より小さくなる。
そのため、本実施形態では、従来技術と比べ、ピストン6の小球部22に供給する油の量を高めることができる。これにより、ピストン6の小球部22とシリンダ穴16の内面との隙間における油膜の形成を促進することができ、特に、ピストン6の小球部22のうちのピストン6の傾斜方向の反対側(言い換えれば、シリンダ穴16と接触する部分)における油膜の圧力を高めることができる。また、供給流量調整部26があることで、受圧面積を大きくすることができる。したがって、ピストン6の小球部22の耐荷重性及び耐焼付性の向上を図ることができる。
なお、上記一実施形態において、ピストン6の軸方向断面における供給流量調整部26の表面の輪郭は、ピストン6の軸方向断面における小球部22の表面の輪郭と同じ曲率を有する曲線である場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。例えば図11で示す変形例のように、ピストン6の軸方向断面における供給流量調整部26Aの表面の輪郭は、ピストン6の軸方向断面における小球部22の表面の輪郭と異なる曲率を有する曲線であってもよい。また、例えば図12で示す変形例のように、ピストン6の軸方向断面における供給流量調整部26Bの表面の輪郭は、直線であってもよい。これらの変形においても、上記同様の効果を得ることができる。
また、上記一実施形態等において、ピストンリング24は、ピストン6の小球部22より先端側だけに設けられた場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、ピストンリング24は、ピストン6の小球部22より先端側だけでなく、基端側にも設けられてもよい。
また、上記一実施形態等において、斜軸式アキシャルピストンポンプは、7つのピストン6を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば5つ又は9つのピストン6を備えてもよい。
また、上記一実施形態等において、斜軸式アキシャルピストンポンプは、固定容量型の油圧ポンプとして使用される(言い換えれば、作動液体として油を用いる)場合を例にとって説明したが、これに限られない。斜軸式アキシャルピストンポンプは、作動液体として油以外のものを用いてもよい。また、斜軸式アキシャルピストンポンプは、可変容量型であってもよい。
1 ケーシング
2 駆動シャフト
3 駆動ディスク
4 シリンダブロック
5 センタシャフト
6 ピストン
7 弁板
10 吸入ポート
11 吐出ポート
16 シリンダ穴
21 テーパ軸部
22 小球部
23 リング溝
24 ピストンリング
25 ピストンリングの一端面
26,26A,26B 供給流量調整部
27 供給流量調整部の一端面

Claims (4)

  1. ケーシング内に回転可能に設けられ、一端側が前記ケーシング外へ延出された駆動シャフトと、
    前記ケーシング内に位置する前記駆動シャフトの他端側に設けられた駆動ディスクと、
    シリンダブロックと、
    前記シリンダブロックの回転中心軸に沿って形成されたセンタ穴と、
    一端側が前記駆動ディスクの回転中心に揺動可能に支持されると共に、他端側が前記シリンダブロックの前記センタ穴に嵌合されて、前記シリンダブロックの回転中心軸が前記駆動シャフトに対して傾斜するように前記シリンダブロックを支持するセンタシャフトと、
    前記シリンダブロックにおける前記センタ穴の周囲に形成され、前記シリンダブロックにおける周方向に互いに離間して前記シリンダブロックの軸方向に延在する複数のシリンダ穴と、
    基端側が前記駆動ディスクに揺動可能に支持されると共に、先端側が前記複数のシリンダ穴にそれぞれ挿入される複数のピストンと、
    前記シリンダブロックの回転に伴い前記シリンダ穴に対して交互に連通する吸入ポート及び吐出ポートを有する弁板とを備え、
    前記複数のピストンの各々は、
    基端側から先端側に向かって径寸法が徐々に拡大するテーパ軸部と、
    前記テーパ軸部の先端側に形成され、前記シリンダ穴の内面に対して摺動する小球部と、
    前記小球部より先端側に形成され、ピストンリングを装着したリング溝とを有し、
    前記シリンダ穴が前記吸入ポートに連通する吸入行程の一定区間と前記シリンダ穴が前記吐出ポートに連通する吐出行程の一定区間にて、前記ピストンが前記シリンダに対し大きく傾いて前記ピストンの前記テーパ軸部が前記シリンダ穴の内面に接触するように構成された斜軸式アキシャルピストンポンプにおいて、
    前記複数のピストンの各々は、
    前記小球部と前記リング溝の間であって前記シリンダ穴の内面との摺動範囲外に形成され、前記ピストンリングの一端面と接触する前記リング溝の一側面を構成する一端面を有する供給流量調整部を更に有し、
    前記供給流量調整部は、前記ピストンが前記シリンダ穴に対し最も大きく傾いたときに、前記供給流量調整部の前記一端面の外縁が全周に亘って前記ピストンリングの前記一端面の外縁より径方向内側に位置して、前記ピストンリングの前記一端面と前記供給流量調整部の前記一端面との接触範囲における全ての半径方向の幅が前記ピストンリングの前記一端面の半径方向の幅より小さくなるように構成され
    前記小球部は、前記ピストンの軸方向断面における表面の輪郭が、所定の曲率を有する曲線であり、かつ前記ピストンの軸方向に垂直な線に対し線対称であり、当該曲線の中心が半径方向外側に突出した形状になるように構成されており、
    前記供給流量調整部は、前記小球部における当該線対称の範囲の外側に形成されていることを特徴とする斜軸式アキシャルピストンポンプ。
  2. 請求項1に記載の斜軸式アキシャルピストンポンプにおいて、
    前記ピストンの軸方向断面における前記供給流量調整部の表面の輪郭は、前記ピストンの軸方向断面における前記小球部の表面の輪郭と同じ曲率を有する曲線であることを特徴とする斜軸式アキシャルピストンポンプ。
  3. 請求項1に記載の斜軸式アキシャルピストンポンプにおいて、
    前記ピストンの軸方向断面における前記供給流量調整部の表面の輪郭は、前記ピストンの軸方向断面における前記小球部の表面の輪郭と異なる曲率を有する曲線であることを特徴とする斜軸式アキシャルピストンポンプ。
  4. 請求項1に記載の斜軸式アキシャルピストンポンプにおいて、
    前記ピストンの軸方向断面における前記供給流量調整部の表面の輪郭は、直線であることを特徴とする斜軸式アキシャルピストンポンプ。
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