JP3888944B2 - スチレン系樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熟成期間が短く、発泡シートの原反成形ライフが長く、しかも成形性に優れたスチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂発泡シートは、通常、押出機内でスチレン系樹脂を溶融し、これに発泡剤および気泡調整剤などを添加して押出発泡させる方法などにより製造されている。
スチレン系樹脂発泡シートは、優れた熱成形性を有しており、真空成形のような二次成形により最終製品に成形加工される。そして、得られた成形品は、美粧性、緩衝性に優れており、しかも軽量で製造コストが安いことから、食品容器等に大量に使用されている。
【0003】
発泡シート中の発泡剤は発泡シートから徐々に逸散する。したがって、発泡シートは、安定した二次成形性を得るために、発泡剤の残存量が真空成形のような二次成形に適した値となるまで適当な熟成期間を経た後、トレー等の容器に成形加工される。
発泡シート中の発泡剤の残存量が多過ぎると、成形品の収縮や反りに加えて、表面の荒れなどの成形異常を来たす。逆に、発泡シート中の発泡剤の残存量が少ないと、二次成形時に目的とする厚みを維持できず、成形品の強度不足や賦形性(形の再現性)の低下が生じ易い。
【0004】
そこで、発泡シート中の発泡剤の残存量が適度で二次成形に適した期間、すなわち発泡シートの原反成形ライフを長くするために、発泡剤として使用されるイソブタン(i−ブタン)の比率を上げて、発泡剤の逸散速度を遅くする方法が提案されている(特公平5−42977号公報、特開平7−165969号公報、特開平8−100077号公報および特開平10−60147号公報)。
【0005】
しかしながら、特開平7−165969号公報にも明記されているように、発泡シート中に残存している発泡剤の量が多い間は、発泡剤の可塑化作用により、熱成形して得られる成形品に表面の荒れが発生しやすいため、発泡シート製造後、発泡剤の残存量が適度になるまでの一定期間経過しなければ、最終製品に成形することができない。したがって、i−ブタンの比率を上げる方法では、原反成形ライフが長くなる利点はあるが、その反面、二次成形が可能となるまでの熟成期間が長くなる。
【0006】
そこで、この問題を解決する方法として、発泡シートの厚みと坪量と幅方向の平均気泡径と厚み方向の平均気泡径を特定の範囲となるように、具体的には従来のスチレン系樹脂発泡シートに比べ、幅方向に偏平な気泡形状とすることが提案されている(特開平11−147968号公報)。この方法によれば、発泡剤中のi−ブタンの量が50重量%以下であっても、二次発泡性が良く、原反成形ライフが長くなる。
【0007】
しかしながら、幅方向に偏平な気泡構造を常に安定して作ることは難しく、したがって二次発泡性および成形性の安定した発泡シートを常に安定して作ることが難しいという問題がある。また、この方法で得られた発泡シートを用いると、成形品となっても偏平な気泡構造がそのまま残りやすく、例えば成形品がトレーである場合、腰強度などの強度物性が劣り、実用上で問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、熟成期間が短い上に、原反成形ライフが長く、しかも発泡シートを成形して得られる最終製品も良好な、スチレン系樹脂発泡シートの製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記のような従来技術における問題点を解決すべく鋭意研究した結果、高級脂肪酸アルコール性エステルをスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部配合し、かつ発泡剤の組成をn−ブタン50〜70重量%およびi−ブタン30〜50重量%としたスチレン系樹脂組成物を用いることによって、かかる問題を解決できることを見出した。
さらに、n−ブタン51〜60重量%およびi−ブタン40〜49重量%からなる発泡剤を用いると、より良好な発泡シートが安定して得られることを見出した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、スチレン系樹脂、発泡剤および高級脂肪酸アルコール性エステルを含むスチレン系樹脂組成物を押出機により押出発泡させてスチレン系樹脂発泡シートを得る方法において、発泡剤の組成がn−ブタン50〜70重量%およびi−ブタン30〜50重量%であり、高級脂肪酸アルコール性エステルの添加量がスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部であるスチレン系樹脂組成物を押出機により押出発泡させて、スチレン系樹脂発泡シートを得ることにより行なわれる。
【0011】
本発明で用いられるスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えばポリスチレン、ポリ−p−メチルスチレン等のスチレン系単独重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等のスチレン系共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンオキシドとの混合物等が挙げられる。
これらのスチレン系樹脂のメルトマスフローレート(JIS K 7210)は、特に限定されないが、例えば0.1〜20g/10分程度のものが好ましい。
【0012】
本発明の製造方法で用いられる発泡剤は、n−ブタン50〜70重量%およびi−ブタン30〜50重量%からなり、好ましくはn−ブタン51〜60重量%およびi−ブタン40〜49重量%からなり、さらに好ましくはn−ブタン52〜55重量%およびi−ブタン45〜48重量%からなる。
発泡剤中のi−ブタンの割合が50重量%を超えると、発泡シート中に残存する発泡剤の量が多過ぎるため、熟成期間が短いうちに成形すると、成形不良を引き起こしやすい。また、発泡剤中のi−ブタンの割合が30重量%より少ないと、成形ライフが短くなり、好ましくない。
スチレン系樹脂に配合される発泡剤の量は、特に限定されないが、通常、スチレン系樹脂100重量部に対して、1〜6重量部程度が適当であり、より好ましくは1.5〜5重量部程度である。
【0013】
i−ブタンは、n−ブタンに比べてスチレン系樹脂からの逸散速度が遅いため、長期間経過後もスチレン系樹脂発泡シート内の残存量が多く、原反成形ライフを長くする効果を有する反面、押出発泡してから経日が浅い間は発泡シート内に多量のi−ブタンが残存しているため、残存i−ブタンによる発泡シートの可塑化効果が大き過ぎて成形不良を生じやすい。また、i−ブタンはn−ブタンに比べて沸点がかなり低いため、押出発泡成形時に金型内で内部発泡が発生しやすく、発泡シートの表面状態を悪化させるという問題がある。
【0014】
一方、n−ブタンはi−ブタンに比べて、押出発泡してから短期間の熟成でも成形可能であるとともに、沸点が高く金型内で内部発泡が発生し難いため、押出発泡成形性に優れた発泡剤であるものの、i−ブタンに比べてスチレン系樹脂からの逸散速度が速いため原反成形ライフが短くなる。
本発明の製造方法では上記のように発泡剤中のi−ブタンの割合を減らしても、原反成形ライフを短くしないで、熟成期間を短縮できる。その理由は定かでないが、高級脂肪酸アルコール性エステルがスチレン系樹脂発泡シートに均一に分散されることにより、トレー等に成形する際に発泡シートを加熱すると、高級脂肪酸アルコール性エステルが可塑剤として働き、セル膜の粘度が低下して二次発泡性が向上すること、あるいは高級脂肪酸アルコール性エステルがブタンの逸散を抑制することと関連があるものと思われる。
なお、原反成形ライフ、熟成期間および押出発泡成形性に悪影響を与えない範囲で、上記の組成からなる発泡剤に加えて、炭酸ガス、窒素、ペンタン、ジメチルエーテルなど、通常の発泡剤を用いてもよい。
【0015】
本発明の製造方法では、スチレン系樹脂発泡シートの原反成形ライフおよび発泡シート製造時の安全性を向上させる目的で、ポリスチレン系樹脂組成物に高級脂肪酸アルコール性エステルが配合される。
高級脂肪酸アルコール性エステルとは、高級脂肪酸と多価アルコールにより形成されるエステルを意味し、そのエステル1分子中に遊離の水酸基を1個以上含むものをいう。そして、分子中にエーテル結合を有しないものが特に好ましい。
【0016】
高級脂肪酸アルコール性エステルにおける高級脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等の、飽和もしくは不飽和の、炭素数が10〜30の1価の高級脂肪酸、またはこれらの高級脂肪酸が混在する牛脂肪酸、糠油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。
また、これらの高級脂肪酸と化学結合してアルコール性エステルを形成するアルコールとしては、例えばグリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット、ソルビタン、マンニット、マンニタン、ジペンタエリスリット、ジグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。
【0017】
そして、高級脂肪酸アルコール性エステルの具体例としては、ラウリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリットモノカプレート、ペンタエリスリットモノオレエート、ペンタエリスリットモノラウレート、ジペンタエリスリットジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキ糠油脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、マンニタンモノオレエート、マンニタンモノラウレート等が挙げられる。これらの高級脂肪酸アルコール性エステルのうち、特に好ましいのは、ステアリン酸モノグリセライドである。
高級脂肪酸アルコール性エステルの配合割合は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部が適当であり、好ましくは0.02〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.03〜0.3重量部である。
【0018】
本発明によれば、高級脂肪酸アルコール性エステルを使用することにより、高価なi−ブタンの配合割合を減らしても、原反成形ライフを向上させることができる。
高級脂肪酸アルコール性エステルの配合割合が0.01重量部より少ないと、原反成形ライフの向上効果が得られない。逆に、その配合割合が1重量部を超えると、発泡シートの気泡が大きくなる上、スチレン系樹脂溶融物に対する可塑効果が大きくなり、成形品の外観不良、そり、収縮などの成形不良を生じやすい。
【0019】
スチレン系樹脂はプラスチック類の中でも帯電性が非常に大きく、押出発泡成形時には、多くの静電気が樹脂発泡シートから発生する。例えば、発泡シートが冷却用マンドレルと接触するとき、発泡シートが引き取りロールで引き取られるとき、あるいは発泡シートが巻取機で巻き取られ発泡シート同士が接触するときなどに、大量の静電気が発生する。
一方、発泡剤として広く用いられているブタンは可燃性であるため、発泡シートの製造過程で静電気が発生すると、ブタンが発火するおそれがあり、最悪の場合にはブタンの発火が発泡シートに引火し、工場火災を引き起こすおそれがある。
【0020】
本発明の製造方法で用いられる高級脂肪酸アルコール性エステルは、押出発泡成形時、発泡シートの運搬時、あるいは最終製品への成形時などに、発泡シートから発生する静電気を著しく抑える効果がある。したがって、押出発泡成形すべきスチレン系樹脂組成物に高級脂肪酸アルコール性エステルを配合することにより、静電気に起因する発火の危険性を著しく低下させることができる。
【0021】
高級脂肪酸アルコール性エステルの添加方法としては、幾つかの方法がある。
すなわち、ポリスチレン系樹脂と高級脂肪酸アルコール性エステルとを、タンブラー等の混合機で混合し、押出機のホッパーに投入する方法、高級脂肪酸アルコール性エステルを加熱などにより液体の状態にし、液状の高級脂肪酸アルコール性エステルを注入ポンプを用いて押出機内へ圧入する方法、あるいはポリスチレン系樹脂と高級脂肪酸アルコール性エステルのマスターバッチを予め調製し、このマスターバッチを押出機のホッパーに投入する方法などがある。
これらの方法のうち、高級脂肪酸アルコール性エステルの分散性に優れている点で、マスターバッチによる方法が特に好ましい。
【0022】
また、本発明の製造方法では、スチレン系樹脂に気泡調整剤として、例えばタルク、炭酸マグネシウム、パーライト、炭酸カルシウム、クレー、バーミキュライト等の無機系の気泡調整剤や、アゾジカルボンアミド、トリヒドラジノトリアジン、ベンゼンスルホニルセミカルバジド、ポリ四フッ化エチレン樹脂粉末、クエン酸等の有機系気泡調整剤を添加してもよい。これらの気泡調整剤の中でも、特にタルクまたはポリ四フッ化エチレン樹脂粉末を少量添加すると、微細な気泡を有する発泡シートが得られやすい。
【0023】
本発明の製造方法は、スチレン系樹脂100重量部、発泡剤および高級脂肪酸アルコール性エステル0.01〜1重量部を含む樹脂組成物を押出機において溶融混合した後、押出機先端に取り付けられたサーキュラ金型から溶融混合物を低圧帯域に筒状発泡体として押し出し、該筒状発泡体の内側と外側を空気で冷却した後、該筒状発泡体を冷却マンドレルでさらに冷却しつつ、カッターで切り開いてシート状とした後、該発泡シートを巻取機でロール状に巻き取ることにより行われる。
【0024】
この方法では、まずスチレン系樹脂を押出機に入れて、押出機の中でスチレン系樹脂を溶融する。押出機としては、スチレン系樹脂と高級脂肪酸アルコール性エステルとを混合・溶融し、発泡剤を均一に含ませた後、溶融混合物を発泡適性温度に冷却して押し出すことができるものであれば、どのような形式のものでも用いることができる。具体的には、例えば単軸押出機、二軸押出機、これらの押出機を連結したタンデム型押出機のいずれも用いることができるが、スチレン系樹脂と高級脂肪酸アルコール性エステルと発泡剤とを十分に混合することを主目的とした押出機と、発泡剤を含んだ溶融樹脂を発泡適性温度まで冷却することを主目的とした押出機とを連結したタンデム型押出機を使用するのが特に好ましい。
【0025】
スチレン系樹脂と高級脂肪酸アルコール性エステルと発泡剤とを十分に混合することを主目的とした押出機としては、混合・混練性に優れた二軸押出機、あるいは発泡剤の注入部付近にダルメージまたはピンのような高混練部分を有するスクリューをもった単軸押出機が好ましい。
発泡剤を含んだ溶融樹脂を発泡適性温度まで冷却することを主目的とした押出機としては、溶融樹脂組成物の温度上昇を防ぐために、スクリューを低回転で回しても、発泡剤を含んだ溶融樹脂を均一に発泡適性温度まで冷却することができるスクリュー、例えばダルメージ部を有するスクリュー、あるいはスクリューフライトの一部を切り欠いた構造を有する単軸押出機が好適である。
【0026】
発泡剤を含んだ溶融樹脂は発泡適性温度、すなわち約130〜170℃に冷却後、サーキュラ金型に送られる。サーキュラ金型としては、従来からスチレン系樹脂発泡シートの製造に使われているサーキュラ金型をそのまま使用することができるが、より良好な発泡シートを製造するためには、サーキュラ金型口金部分における開口面積/サーキュラ金型口金出口部分における剪断速度の比(mm2・sec)が0.02から0.11、好ましくは0.03から0.1のサーキュラ金型を使用するのが好ましい。この比が0.02より小さいと剪断速度に比べて、サーキュラ金型口金部分の開口面積が小さすぎるため、メルトフラクチャーが発生しやすく、発泡シートの外観上好ましくない。また、この比が0.11より大きいと、剪断速度に比べて、サーキュラ金型口金部分の開口面積が大きすぎるため、内部発泡が発生しやすく、発泡シートの外観上好ましくない。
【0027】
ここでいう剪断速度は、次に示す二重管での計算式((株)工業調査会刊「現場で活かす押出マニュアル」初版73ページ)により算出する。
剪断速度=4×Q/[π(r2 2−r1 2)(r2+r1)]
ここで、Qは体積押出量(cm3/sec)であり、Qを質量押出量(g/sec)から算出する場合は、スチレン系樹脂の密度は0.8g/cm3を用いる。r1(cm)は内口金外径の1/2であり、r2(cm)は外口金内径の1/2である。
サーキュラ金型から押し出された直後の筒状発泡体の内側と外側に気体を吹き付けて冷却すると、筒状発泡体の内外両面にスキン層が形成され、得られる発泡シートの外観が一層優れたものとなる。
サーキュラ金型から押出された筒状発泡体は、その後、冷却マンドレルで十分に冷却されたあと、発泡シートの一部がカッターにより切り開かれて、発泡シートとなる。
発泡シートは巻取機により巻き取られて、ロール状の発泡シートとなる。
本発明では、押出発泡成形性、二次成形性に影響のない範囲で、発泡シートの目的に応じて、通常の顔料、劣化防止剤、難燃剤等を添加することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を、実施例および比較例により説明する。
実施例1
東洋スチレン株式会社製のスチレン樹脂(HRM−26)100重量部に対して、気泡調整剤としてタルク1.0重量部、ステアリン酸モノグリセライドのマスターバッチ(スチレン系樹脂(HRM−26)/ステアリン酸モノグリセライド(全モノグリセライド含量95%以上)=8/2(重量比))0.5重量部(スチレン系樹脂100重量部に対して約0.1重量部に相当)をタンブラーにて混合した混合物を一段目の押出機(口径50mm単軸押出機)に投入した。投入された樹脂混合物は170〜220℃に加熱された押出機で溶融混練されるとともに一段目押出機の途中からn−ブタン2.2重量部、i−ブタン2.0重量部を圧入した。全発泡剤中のn−ブタンの比率は52重量%であり、i−ブタンは48重量%であった。
【0029】
溶融樹脂と発泡剤とステアリン酸モノグリセライドは発泡剤注入部付近にピンをもったスクリューでさらに溶融混練された後、接続管を通って二段目押出機(口径65mm単軸押出機)に送られた。発泡剤を含んだ溶融樹脂はスクリューフライトの一部分が切り欠かれたスクリューで150℃(樹脂温度)まで冷却された後、口径60mm、口金間隙0.5mmのサーキュラ金型により円筒状に、押出量30kg/hで押し出された。このときのサーキュラ金型口金部分の剪断速度は1.3×103sec-1、開口面積は93.4mm2で開口面積/剪断速度は0.07mm2・secであった。
【0030】
筒状の発泡体はその内側と外側を30℃のエアーを吹き付けて冷却しつつ、30℃の冷却水で内部が冷却されたマンドレル(外形205mm)で冷却された後、カッターで切り開いてシート状の発泡体とした後、巻取機によりロール状に巻き取った。金型出口から巻取機で巻き取られたロールまでの帯電量を春日電気社製デジタル静電電位測定器(KSD−0103)で測定した結果、最大静電気量は5kVと非常に低かった。
得られた発泡シートは、坪量200g/m2、厚み2.2mmであった。
【0031】
実施例2
ステアリン酸モノグリセライドのマスターバッチ(スチレン系樹脂(HRM−26)/ステアリン酸モノグリセライド=8/2(重量比))を1.5重量部(スチレン系樹脂100重量部に対して約0.3重量部に相当)使用した以外は、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。金型出口から巻取機で巻き取られたロールまでの最大静電気量を測定した結果、最大帯電量は3kVと非常に低かった。
得られた発泡シートは、坪量200g/m2、厚み2.2mmであった。
【0032】
比較例1
n−ブタンの注入量を1.7重量%、i−ブタン2.5重量%とした以外は、実施例2と同様にして発泡シートを製造した。このときの全発泡剤中n−ブタンの比率は40重量%でi−ブタンは60重量%であった。金型出口から巻取機で巻き取られたロールまでの最大静電気量を測定した結果、最大帯電量は3kVであった。
得られた発泡シートは、坪量200g/m2、厚み2.2mmであった。
【0033】
比較例2
ステアリン酸モノグリセライドを使用しない以外は、実施例1と同様にして発泡シートを製造した。金型出口から巻取機で巻き取られたロールまでの帯電量を測定した結果、最大静電気量は26kVと非常に高く、発火の可能性が非常に高い状況での押出発泡成形であった。
得られた発泡シートは、坪量200g/m2、厚み2.2mmであった。
【0034】
[二次発泡倍率]
上記の実施例および比較例で得られた発泡シートを、押出発泡後14日経過した時に、幅10cm×長さ10cm角の試料に作成して、その厚み、幅および長さを測定した。次いで、その試料を125℃のオーブン中で150秒間加熱して発泡させたときの厚み、幅および長さを測定し、加熱前と加熱後の体積の比を二次発泡倍率とした。さらに、40日経過した時にも、同様の方法で二次発泡倍率を測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
[二次発泡時の発泡シート表面状態]
発泡シートの製造から14日経過後および40日経過後のそれぞれの発泡シートを上記の方法で二次発泡させた後、各発泡シートの表面を観察した。表面が荒れていないものを○、表面が荒れているものを×として評価した。その結果を表1に示す。
【0036】
[トレーの成形性]
発泡シート製造後14日および40日経過した時に、発泡シートのトレー成形性を評価した。成形は10.5cm×20.5cm、深さ2.5cmのトレー用金型が装着された熱成形機で行った、得られたトレーから成形性(トレーのコーナー部が型通りに鮮明に出ているかどうか)およびトレーの外観を観察した。成形性が良好なものを○、成形性が不良なものを×として評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003888944
【0038】
上記の表1から明らかなように、比較例1ではi−ブタンの配合割合が高いため、熟成期間が14日では短か過ぎ、比較例2では高級脂肪酸アルコール性エステルとしてのステアリン酸モノグリセライドが配合されていないため、i−ブタンの配合割合が低過ぎて、原反成形ライフが短かくなっていることを示している。
【0039】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、スチレン系樹脂100重量部に対して高級脂肪酸アルコール性エステルを0.01〜1重量部配合することにより、発泡剤中のi−ブタンの割合を減らしても、原反成形ライフの短縮化を伴わないで、熟成期間を短くすることができる。
また、高級脂肪酸アルコール性エステルの配合により、発泡剤中のi−ブタンの割合を減らすことができ、したがってスチレン系樹脂発泡シートの製造コストを低減することができる。

Claims (3)

  1. スチレン系樹脂、発泡剤および高級脂肪酸アルコール性エステルを含むスチレン系樹脂組成物を押出機により押出発泡させてスチレン系樹脂発泡シートを得る方法において、発泡剤がn−ブタン50〜70重量%およびi−ブタン30〜50重量%からなり、高級脂肪酸アルコール性エステルの添加量がスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  2. 発泡剤の組成が、n−ブタン51〜60重量%およびi−ブタン40〜49重量%である請求項1に記載のスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  3. 高級脂肪酸アルコール性エステルが、その1分子中に遊離の水酸基を1個以上有し、かつエーテル結合を有しない請求項1または2に記載のスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
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