JP2011105863A - 樹脂発泡シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂成分を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物が押出し機で押出し発泡されて形成された樹脂発泡シートであって、前記ポリプロピレン系樹脂組成物には、含有されるポリマー成分に占める割合が20質量%以上50質量%未満となるように高溶融張力ポリプロピレン樹脂が含有されていることを特徴としている樹脂発泡シートを提供する。
【選択図】 図1
Description
なかでも、ポリプロピレン系樹脂を主成分としたポリプロピレン系樹脂組成物によって形成された樹脂発泡シートは、その主材料となるポリプロピレン系樹脂が、樹脂材料のなかでも比較的安価であることから広く用いられている。
このような樹脂発泡シートは、通常、ポリプロピレン系樹脂組成物を押出し発泡させて連続的に製造されており、前記ポリプロピレン系樹脂組成物が用いられてなる発泡樹脂層単独の樹脂発泡シートや、表面にフィルム層などと呼ばれる非発泡樹脂層を前記発泡樹脂層とともに共押出しした樹脂発泡シートがその目的に応じて使用されており、シート形状のままガラス板の緩衝シートなどに用いられる他、シート成形法によって発泡トレーなどの立体的構造を有する発泡成形品を作製する際の原材料としても用いられている。
このような真空成形や圧空成形においては、樹脂発泡シートの周囲を把持しつつ該樹脂発泡シートに凹凸を形成させることが行われるため樹脂発泡シートが全体的に均質なコンディションになっておらず、例えば、樹脂発泡シートに厚みの不均一などが生じていると、応力によって伸び易い厚みの薄い箇所が優先的に伸展されてしまい、場合によっては、成形品に外観不良が発生したり、成形品に断裂箇所を形成させてしまったりするおそれを有する。
なお、樹脂発泡シートを均質な状態とすることは、成形加工に供される樹脂発泡シートのみならず、単に所定寸法に切断される場合など、樹脂発泡シートがシート形状のままで用いられる場合にも求められる事項である。
この“縞立ち”の現象については、押出し条件などによって表面光沢などの風合いの違いが押出し方向に連続する縞状に見られるもので、この縞模様においては、通常、表面の風合いのみならずシートの厚みや密度(発泡度)などをも相違させている。
この“縞立ち”を防止する方法としては、これまで確立されておらず、主として対症療法的な対策が施されているにすぎない。
例えば、経験に基づいて“縞立ち”の発生し難い押出し条件を選択してポリプロピレン系樹脂組成物の押出し発泡を開始し、仮に、押出された樹脂発泡シートに“縞立ち”が見られた場合には、さらに押出し条件を微調整するなどして“縞立ち”を防止することが行われている。
したがって、押出し条件に余裕が与えられることになり、良質な樹脂発泡シートを簡便に得ることができる。
このことによって、均質な樹脂発泡シートが提供されうることから、真空成形や圧空成形といった一般的なシート成形法によって立体的構造を付与する際に、得られる成形品に外観不良などを生じさせるおそれの低い樹脂発泡シートが提供されうる。
図1に示すように、本実施形態における樹脂発泡シート1は、上面側と下面側とのそれぞれの表面を構成する非発泡樹脂層(表面層11、12)とその間に形成された発泡樹脂層20との3層の積層構造を有している。
すなわち、本実施形態の樹脂発泡シート1は、この発泡樹脂層20を介してその両側に非発泡樹脂層(表面層11、12)を有する状態に形成されている。
本実施形態の樹脂発泡シート1においては、図1正面視上側の表面層11(以下「第一表面層11」ともいう)と、下側の表面層12(以下「第二表面層12」ともいう)とは、必ずしも、その構成を一致させている必要はなく、それぞれの厚みを異ならせていても良い。
また、前記発泡樹脂層20は、ポリプロピレン系樹脂成分を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物が後述する方法で押出し発泡されて形成されたものである。
そして、前記表面層11、12は、それぞれを形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物が後述する方法で前記発泡樹脂層20を形成させるための前記ポリプロピレン系樹脂成分とともに共押出しされて形成されたものである。
また、ポリエチレンブロックなどのオレフィンブロックを分子内に導入させて、オレフィンブロックとポリプロピレンブロックとのブロックコポリマー化によって高い溶融張力が付与されたものもHMS−PPとして用いられ得る。
本明細書において高溶融張力ポリプロピレン樹脂(HMS−PP)とは、メルトマスフローレイト(MFR)が0.5g/10分以上、10g/10分以下で、溶融張力が、5cN以上50cN以下のものを意図している。
そして、このMFRについては、JIS K7210(1999)のA法に準拠して、試験温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf)にて測定され、“溶融張力”については、具体的には、以下のようにして測定され得る。
すなわち、“溶融張力”については、垂直方向に配された内径15mmのシリンダー内に試料となるポリプロピレン系樹脂を収容させて、230℃の温度で5分間加熱して溶融させた後に、シリンダーの上部からピストンを挿入して、該ピストンで押出し速度が0.0773mm/s(一定)となるようにしてシリンダーの下端に設けたキャピラリー(ダイ径:2.095mm、ダイ長さ:8mm、流入角度:90度(コニカル))から溶融樹脂を紐状に押し出させ、この紐状物を、上記キャピラリーの下方に配置した張力検出プーリーに通過させた後、巻き取りロールを用いて巻き取らせることで測定することができ、巻取り初めの初速を4mm/sとし、その後の加速を12mm/s2として徐々に巻取り速度を速め、張力検出プーリーによって観察される張力が急激に低下した時の巻取り速度を“破断点速度”として決定し、この“破断点速度”が観察されるまでの最大張力を“溶融張力”として測定することができる。
以下において、「ブロックコポリマー」や「ブロックPP」との用語は、特段の記載がない限りにおいて、オレフィンブロックとポリプロピレンブロックとを有するブロックコポリマーの内の溶融張力の値が、前記の値に及ばない(「HMS−PP」に該当しない)ものを意図して用いる。
また、HMS−PPの具体例としては、Basell社から、商品名「Pro−fax F814」として市販されているものが挙げられる。
さらに、日本ポリプロ社から、商品名「FB3312」、「FB5100」、「FB7200」、及び「FB9100」として市販されているものもHMS−PPの具体例として挙げられる。
なかでも、化学架橋によって分子内に自由末端長鎖分岐を形成させたBorealis社の商品名「WB135HMS」などを採用することが発泡樹脂層20を押出し発泡によって形成させる際の発泡度の向上などを容易に図り得る上において好適である。
この発泡のための成分としては、例えば、押出し温度において気体状態となるガス成分や、該ガス成分によって気泡を形成させる際の核となる核剤や、押出し温度において熱分解を生じて気体が発生される熱分解型発泡剤などが挙げられる。
なお、これらのガス成分は単独で使用されても複数併用されてもよい。
この核剤は、例えば、マスターバッチ方式で発泡樹脂層の形成材料に含有させることができ、前記核剤を5質量%以上、50質量%以下の範囲の内のいずれかとなるようにマトリックス樹脂に分散させたマスターバッチを用いることで、核剤をより効果的に使用することができる。
この加熱分解型の発泡剤についても、10質量%以上50質量%以下の範囲の内のいずれかの含有量となるようにマトリックス樹脂に分散させてマスターバッチ化することで、より効果的に使用することができる。
そのため、表面層11、12を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物には、非イオン性帯電防止剤を含有させることが好ましい。
さらに、前記非イオン性帯電防止剤としては、例えば、アミン系帯電防止剤や、アミド系帯電防止剤などの窒素含有型の帯電防止剤が挙げられる。
この非イオン性帯電防止剤は、ポリプロピレン系樹脂組成物に含まれるポリマー成分100質量部に対して、通常、0.5質量部以上5.0質量部以下となる割合でポリプロピレン系樹脂組成物に含有される。
なお、前記アルコール型帯電防止剤において、アルキレンオキシドの重合度は、通常、1以上、300以下(例えば、5以上、200以下)であり、好ましくは10以上、150以下(例えば、10以上、100以下)である。
さらに好ましくは15以上、50以下程度である。
脂肪酸については飽和脂肪酸(例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数6以上、24以下の飽和脂肪酸;オレイン酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。
したがって、表面層11、12を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物には、前記非イオン性帯電防止剤とともに、該非イオン性帯電防止剤のブリードアウトを促進させる成分を含有させることが好ましい。
このエチレン−α−オレフィン共重合体や低密度ポリエチレン樹脂は、表面層11、12を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物に1種単独で含有させても良く、複数種を含有させても良い。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体の1種以上と低密度ポリエチレン樹脂の1種以上とを混合して非イオン性帯電防止剤のブリードアウト促進成分とすることも可能である。
なお、非イオン性帯電防止剤のブリードアウトを促進させるためには、これらの合計量は、ポリプロピレン系樹脂組成物のポリマー成分において20質量%以上とされることが好ましく、25質量%以上とされることがより好ましい。
また、上限は、通常、40質量%程度であり、好ましくは35質量%とされる。
具体的には、SIIナノテクノロジー社製の示差走査熱量計(DSC)装置「DSC6220型」を用い、測定容器に試料を7mg充てんして、窒素ガス流量30ml/minのもと10℃/minの昇温冷却速度で昇温・冷却しながら、DSC曲線がベースラインから離れた点を結晶化、融解の開始点とし、再びベースラインに戻った点をこれらの終了点として結晶化熱量と融解熱量を測定し、結晶化度を次式により求めることができる。
結晶化度(%)=(結晶化熱量(mJ)/完全結晶の融解熱量(mJ))×100
(ただし、完全結晶融解熱量(理論値)は、285.7mJ/mgとする。)
例えば、耐候剤、老化防止剤を含有させて樹脂発泡シート1や発泡トレーの劣化防止を図ったり、スリップ剤を含有させてすべり性の向上を図ったりすることができる。
あるいは、顔料を含有させて着色による美観の向上を図ったりすることができる。
なお、本実施形態の樹脂発泡シート1においては、第一表面層11と第二表面層12とが、必ずしも、それぞれの厚みを共通させる必要がないのと同様に、第一表面層11と第二表面層12との形成に用いられるポリプロピレン系樹脂組成物の配合内容は異ならせてもよい。
例えば、発泡トレーの外側に相当する側にだけ顔料を含有させて着色を施し、発泡トレーの内側に相当する側は自然色(あるいは白色)とすることもできる。
また、前記非イオン系帯電防止剤なども、発泡トレーの外側に相当する側にだけ含有させて内側に相当する側には含有させないようにすることも可能である。
また、発泡樹脂層20は、通常、0.5mm以上5.0mm以下の範囲の内のいずれかの厚みとなるように形成され、密度(見掛け密度)が0.15g/cm3以上0.6g/cm3以下とされる。
以下に、樹脂発泡シート1の製造方法について、図2、図3を参照しつつより詳しく説明する。
なお、図2は、樹脂発泡シートの製造装置にかかる概略構成図であり、図3は、図2に示されている合流金型(符号XH)の内部の様子を示す断面図である。
また、図4は、ポリプロピレン系樹脂組成物が押出し発泡される様子を示すものであり図2の破線Aによって示される部分の様子を示したものである。
また、これらの押し出し機において溶融混練された樹脂組成物が合流される合流金型XHと、該合流金型XHで合流された樹脂組成物を筒状に吐出するサーキュラーダイCDとが備えられている。
そして、この上流側押し出し機70aの下流側には、ベース樹脂とガス性成分とを含有する発泡性樹脂組成物を溶融混練して合流金型XHに吐出するための押し出し機(以下「下流側押し出し機70b」ともいう)が備えられている。
前記第二の樹脂流路W2は、樹脂流路W1を形成する壁面に開口された円環状のスリットS1から樹脂流路W1に樹脂組成物を流入させ得るように形成されており、前記第三の樹脂流路W3は、前記第一の樹脂流路W1の中心部に開口端を配した管体Pに接続され、第一の樹脂流路W1の中心部に樹脂組成物を流入させ得るように形成されている。
すなわち、本実施形態の合流金型XHは、第一の樹脂流路W1の下流側において、非発泡性樹脂組成物/発泡性樹脂組成物/非発泡性樹脂組成物の3重構造となる円柱状の流れをサーキュラーダイCDに向けて供給しうるように備えられている。
なお、それぞれの樹脂組成物は、予め均質な混合状態とさせておいても、別々にホッパーから投入して押出し機内で混合させるようにしてもよい。
前記サーキュラーダイCDからの共押し出しは、第1押し出し機70における上流側押し出し機70aで溶融混練された発泡性樹脂組成物を下流側押し出し機70bで押し出し発泡に適した温度に調整して合流金型XHへと送り、一方で第2押し出し機80では、非発泡性樹脂組成物を第一、第二表面層11、12の形成に適した温度に調整して合流金型XHへと送って溶融樹脂による積層構造を予め合流金型XH内に形成させることが実施可能ある。
その後、前記発泡体をサーキュラーダイCDの吐出孔よりも径大なるマンドレルMDの外周面に沿わせて周方向に延伸させるとともに冷却し、冷却された発泡体を切断具(図示せず)で上下2分割して帯状の樹脂発泡シート1とし、それぞれロール92に巻き取らせる。
また、前記円筒状の発泡体は、ロール92による引取り力によってマンドレルMDの方向に移動され、該移動に伴って徐々にマンドレルMDの外径に近づくように拡径されることとなる。
すなわち、サーキュラーダイCDとマンドレルMDとの間の発泡体FBは、サーキュラーダイCDの開口を上底とし、該サーキュラーダイCDに向けたマンドレルMDの端面を下底とした円錐台形状を想定するとロール92による引取り力が作用している箇所FT(以下「張力部FT」ともいう)は、前記円錐台形状の側面の傾斜に沿う形でサーキュラーダイCDからマンドレルMDの間を移動することになるが、前記弛み部FEは、その傾斜よりも内側を通ってサーキュラーダイCDからマンドレルMDの間を移動する。
しかもこのような場合には、通常、この発泡体FBには複数の弛み部FEが形成され、サーキュラーダイCD付近は、周方向に弛み部FEと張力部FTとが交互に形成された状態となる。
しかし、この間、弛み部FEが解消されるまでの間に、弛み部FEと張力部FTとに加えられる延伸や、冷却風の当たり方(冷却条件)の違いによってシート厚みや、密度などにおいて違いが生じ、マンドレルMDを通過した後の樹脂発泡シートに、前記弛み部FEと前記張力部FTとの存在を原因とする縞模様が形成される。
したがって、大きな弛みが発泡体FBに発生し難く、発泡体FBに加わる延伸が全体に略均一に作用され、冷却条件も略均一化されるため“縞立ち”が抑制されることとなる。
なお、HMS−PPの含有量が下限値未満となると、良好なる発泡状態とすることが難しくなることについては、先に示した通りである。
また、引き取り速度を上げ過ぎると、発泡体FBに大きな張力を発生させることにもなるため、ポリプロピレン系樹脂組成物におけるHMS−PPの含有量によって“縞立ち”の抑制を図る方が簡便な方法であるとも言える。
なお、この引き取り速度は、作製する樹脂発泡シートの種類や厚みなどにもよるが、通常、2m/分以上10m/分以下とされる。
通常、この比率(d2/d1)は、1.9以上3.2以下とされる。
なお、サーキュラーダイCDのスリットクリアランスについては、通常、0.3mm以上1.5mm以下の範囲内から選択される。
このような観点からも、HMS−PPの含有量によって“縞立ち”の抑制を図る方法は簡便な方法であるとも言える。
なお、発泡剤は、例えば、ブタン(n−ブタン、i−ブタン、あるいは、これらの混合液)を用いるような場合であれば、通常、ポリマー成分100質量部に対する割合が、1質量部以上、6質量部以下とされる。
また、表面層11、12においては、結晶化度が20%以上55%以下のエチレン−α−オレフィン共重合体又は結晶化度が20%以上55%以下の低密度ポリエチレン樹脂が非イオン性帯電防止剤とともに含有されているため該非イオン性帯電防止剤が素早く表面にブリードアウトされ得る。
このことによって、常温に於いて、例えば、表面抵抗率が1×1013Ω/□以下に低下され帯電防止性能が発揮され得る。
したがって、所望の帯電防止性能が発揮されるまでの養生期間等を設けることなく、あるいは、設けるにしても短期間で済むため樹脂発泡シートの在庫期間の短縮を図り得る。
すなわち、成形品の歩留まり向上に有用なものである。
しかも、シート成形法においては、樹脂発泡シートが加熱状態にされているため、帯電防止剤の移動性も高められているため、“縞立ち”によって厚みに変化があると、成形品の表面に帯電防止剤が濃化された箇所と、帯電防止性が失われてしまっている箇所とを形成させるおそれを有する。
すなわち、表面層11、12を成形型に接触させてシート成形法によって成形品を作製する場合に、本実施形態の樹脂発泡シートは、特に好適に用いられ得るものであるといえる。
さらには、複数の発泡樹脂層を共押出しするような場合においても、本実施形態のポリプロピレン系樹脂組成物を利用することで“縞立ち”の抑制効果が発揮されうる。
樹脂発泡シートの作製には、図2に示すような装置構成と同種の設備を用いた。
すなわち、第1押し出し機70より発泡性樹脂組成物が流入される樹脂流路W1の上流側及び下流側の二箇所において第2押し出し機80より分岐管Dを介して非発泡性樹脂組成物が流入されるように、第1、第2押し出し機を合流金型XHに接続させ、該合流金型XHの下流側にサーキュラーダイCDを接続して共押し出しを実施した。
この発泡性樹脂組成物を、下流側の押し出し機に供給し、発泡性樹脂組成物の温度を低下させ、120kg/時間の吐出量で押し出し機先端に接続された合流金型XHに供給した。
そして、Borealis社から商品名「WB135」として市販のHMS−PPを70質量%、日本ポリエチレン社から商品名「KS240T」(結晶化度:26%)として市販のエチレン−α−オレフィン共重合体を30質量%の割合で含むポリマー成分と、これらのポリマー成分の合計量を100質量部とした場合に、2.0質量部となる非イオン性帯電防止剤(花王社製、商品名「TS−2B」)を表面層形成用のポリプロピレン系樹脂組成物を第2押し出し機のホッパーに供給し、200℃の温度で加熱溶融した。
この押出し発泡によって作製された円筒状の発泡体を直径:414mm×長さ:500mmの冷却用マンドレル上に添わせて拡径させるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却し、該マンドレルの周方向に対称となる(180度ひらいた)2点でカッターにより切開して2枚の帯状の樹脂発泡シートを作製した。
具体的には、一辺が10cmの平面正方形状の試験片を温度22℃、湿度60%の雰囲気下に24時間放置した後、温度22℃、湿度60%の環境下、試験装置(アドバンテスト社製、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試験片に、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500Vの電圧を印加して1分経過後の抵抗値を測定し、次式により算出した。
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs
ただし、
ρs:表面抵抗率(Ω/□)
D:表面の環状電極の内径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、7cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、5cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
また、この樹脂発泡シートには、目立った“縞立ち”は観測されなかった。
そして、シート成形法によって発泡トレーを作製したが、外観は美麗で機械的強度も優れたものであった。
表面層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物における日本ポリエチレン社製のエチレン−α−オレフィン共重合体(KS240T)に代えて、日本ポリエチレン社より商品名「LD400」として市販の結晶化度50%の低密度ポリエチレン(PE)樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例2の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、5.0×1012Ω/□の表面抵抗率を有していることがわかった。
また、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
表面層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物における日本ポリエチレン社製のエチレン−α−オレフィン共重合体(KS240T)に代えて、日本ポリエチレン社より商品名「LF441B」として市販の結晶化度53%の低密度ポリエチレン(PE)樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例3の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、6.5×1012Ω/□の表面抵抗率を有していることがわかった。
また、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
表面層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物における日本ポリエチレン社製のエチレン−α−オレフィン共重合体(KS240T)に代えて、住友化学工業社より商品名「エリクセン VL−100」として市販の結晶化度36%の超低密度ポリエチレン(PE)樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例4の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、4.0×1012Ω/□の表面抵抗率を有していることがわかった。
また、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
発泡樹脂層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物におけるHMS−PP(WB135)の割合を39質量%に代えて25質量%とし、代わりに、ブロックPP(BC6C)の割合を55質量%に代えて69質量%とした以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例5の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、3.5×1012Ω/□の表面抵抗率を有していることがわかった。
また、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
表面層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリマー成分をHMS−PP(WB135)100質量%とした以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例6の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、4.5×1013Ω/□の表面抵抗率を示した。
また、樹脂発泡シート自体には、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
表面層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物に非イオン性帯電防止剤を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例7の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、6.5×1015Ω/□の表面抵抗率を示した。
また、樹脂発泡シート自体には、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
表面層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物に非イオン性帯電防止剤を含有させなかったこと以外は、実施例5と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この実施例8の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、6.5×1015Ω/□の表面抵抗率を示した。
また、樹脂発泡シート自体には、目立った“縞立ち”は観測されず、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、外観が美麗で機械的強度に優れたものであった。
発泡樹脂層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物におけるHMS−PP(WB135)の割合を39質量%に代えて18質量%とし、代わりに、ブロックPP(BC6C)の割合を55質量%に代えて76質量%とした以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この比較例1の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、3.5×1012Ω/□の表面抵抗率を有していることがわかった。
しかし、樹脂発泡シートは、十分な厚みとなるように発泡されておらず、目立った“縞立ち”は観測されなかったものの当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーは、機械的強度が各実施例の場合に比べて劣るものであった。
発泡樹脂層を形成させるためのポリプロピレン系樹脂組成物におけるHMS−PP(WB135)の割合を39質量%に代えて50質量%とし、代わりに、ブロックPP(BC6C)の割合を55質量%に代えて44質量%とした以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを製造し、発泡トレーを作製した。
この比較例2の樹脂発泡シートは、実施例1と同様に表面抵抗率を測定したところ、3.5×1012Ω/□の表面抵抗率を有していることがわかった。
しかし、樹脂発泡シートは、“縞立ち”が目立ち、当該樹脂発泡シートによって形成された発泡トレーには、穴あき不良が見られ、良好なる外観の発泡トレーを得ることが困難であった。
11: 第一表面層(非発泡樹脂層)
12: 第二表面層(非発泡樹脂層)
20: 発泡樹脂層
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂成分を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物が押出し機で押出し発泡されて形成された樹脂発泡シートであって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物には、含有されるポリマー成分に占める割合が20質量%以上50質量%未満となるように高溶融張力ポリプロピレン樹脂が含有されていることを特徴とする樹脂発泡シート。 - 前記高溶融張力ポリプロピレン樹脂が、化学架橋によって形成された自由末端長鎖分岐を有している請求項1記載の樹脂発泡シート。
- 表面に非発泡樹脂層を備え、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の押出し発泡によって形成された発泡樹脂層と前記非発泡樹脂層とが積層された積層構造を有しており、非イオン性帯電防止剤を含有するポリプロピレン系樹脂組成物によって前記非発泡樹脂層が形成されている請求項1又は2記載の樹脂発泡シート。
- 前記非発泡樹脂層を形成しているポリプロピレン系樹脂組成物には、結晶化度が20%以上55%以下のエチレン−α−オレフィン共重合体又は結晶化度が20%以上55%以下の低密度ポリエチレン樹脂がさらに含有されている請求項3記載の樹脂発泡シート。
- 加熱された状態で成形加工が施され、しかも、前記非発泡樹脂層を成形型に接触させて前記成形加工が施される用途に用いられる請求項3又は4記載の樹脂発泡シート。
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