JP4771764B2 - ポリスチレン系樹脂発泡シートとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シートとその製造方法に関し、より詳しくは、軽量で強度の優れた発泡容器が得られるポリスチレン系樹脂発泡シートとその製造方法に関する。
ポリスチレン系樹脂発泡体は、厚さ約3mm以下のシート状のものはポリスチレンペーパー(PSP)と称され、成形が容易であるのに加えて緩衝性や熱遮断性などの特徴を活かしてプリパッケージを中心に弁当箱、丼、カップ及び菓子箱の中仕切り用などに広く活用されている
ポリスチレン系樹脂発泡シートは、ブタンやペンタン等の脂肪族炭化水素、トリクロロモノフルオルメタン及び塩化メチル等のハロゲン化脂肪族炭化水素からなる発泡剤を含浸させた発泡性ポリスチレン系樹脂の粒子を直接押出機でシート状に押出す方法、押出機内で溶融されたポリスチレン系樹脂に前述の発泡剤を圧入しながらシート状に押出す方法により製造されている。
従来からポリスチレン系樹脂発泡成形品を得る方法として、ポリスチレン系樹脂発泡シートを成形機内で加熱し、二次発泡させ軟化状態とし、種々の成形方法により成形し打抜くまたは成形と同時に打抜くことが行われている。また、成形品の必要機能の1つである強度を得るために種々な方法が試みられており、例えば、成形品の厚みを厚くしたり、重量を重くしたり、成形品に複数のリブを設ける等が行われている。
即ち、トレー容器等は内容物を容器内に入れフィルムをラップし、ラップしたままの状態で店頭に並べられる場合が多い。このようなトレー容器の使用方法においては、容器に大きく圧縮力が加わることから、この圧縮力により変形しないために、容器にはこれらの力に充分耐え得る圧縮強度と同時に容易に座屈しない機能を有することが必要とされる。また、ラップしたフィルムが引き伸ばされたままの包装状態を長時間保持できることも必要であり、そのためにも一定時間以上にわたってその圧縮強度に耐え得ることも必要とされる。
近年においてはコストダウンや包装リサイクル法案の対応のため、容器の軽量化が盛んに行われているが、その際に容器強度、特に圧縮強度の低下が懸念されている。
ポリスチレン系樹脂発泡成形品に対してこのような機能を省材料下で付与する一つの方法として、成形品の内側のみを高密度の表皮層とすることが特許文献1にて提案されている。また、このようなポリスチレン系樹脂発泡成形品を良好なものとするために、特許文献2及び特許文献3に示されているような技術も提案されてきている。
実公昭63−6005号公報 特開平9−141772号公報、要約 特開2003−251762号公報、要約
特許文献1にて提案されている技術は、トレーのような容器においては、ラッピング等をした場合に、その内側においては圧縮応力が側壁部と底部との境界部分に生じ、一方外側は引張応力が側壁部から底部にかけて広い範囲に生じることから、成形品の内側のみを高密度の表皮層とすることにより、内面に生じる極部的な圧縮応力に対する耐性を付与しようとするものである。
この特許文献1の上記の提案はポリスチレン系樹脂発泡成形品に対して必要な強度を付与するのに有効なものであるが、この方法は発泡シートの表面にエアーを吹き付けることにより高密度の表皮層の形成を行うようにしているために、成形性等も加味すると、高密度層の厚みはたかだか0.05mm程度が限度であり、この厚みでは必要な圧縮強度を得るには必ずしも十分でない場合があることから、さらにリブを付設することを必要としている。
補強リブを設けると成形性との関係から深い容器の成形ができなくなる場合があると共に、トレー等を成形した場合に、その形状によっては成形品の重ね高さ(容器の輸送のた
め、重ね合わせた時の嵩高さ) を低くすることができず、嵩高になる不都合を伴う。
また、特許文献2には、「従来からの汎用の熱成形機を使用して成形を行った場合でも、加熱ゾーンでのドローダウンの発生を効果的に防止でき、加熱ムラやシートの変色等が防止され、物性、外観に優れた熱成形品を得ることのできる、熱成形用スチレン系樹脂積層発泡シートを提供する」を目的とした「熱成形用スチレン系樹脂積層発泡シート」に関する発明が記載されている。
そして、この特許文献2の「熱成形用スチレン系樹脂積層発泡シート」は、「成形用スチレン系樹脂積層発泡シートは、スチレン系樹脂発泡シートと、ハイインパクトポリスチレン樹脂シートとの積層発泡シートであって、ハイインパクトポリスチレン樹脂シートの加熱収縮荷重の最大値が、少なくともハイインパクトポリスチレン樹脂シートの長手方向において10g/5mm幅以上であり、且つ145℃にて40秒加熱後の積層発泡シートの加熱収縮率が、スチレン系樹脂発泡シート押出方向、幅方向のいずれにおいても0〜25%とした」という構成を有するもので、これによって、「熱成形時のドローダウン発生を大幅に減少でき、ひいては物性、外観ともに優れた熱成形品を得ることができる」といった効果が得られるものと考えられる。
しかしながら、この特許文献2の発明では、「発泡シートの気泡形状」という物理的構造への着目がないため、その圧縮強度において不足する性質のものとなっていると考えられる。
さらに、特許文献3に記載された発明は、「容器のリップ強度に優れる発泡容器が得られる、容器成形用スチレン系樹脂積層発泡シートを提供する」を目的としてなされた「ポリスチレン系樹脂積層発泡シート」に関するものである。そして、この「ポリスチレン系樹脂積層発泡シート」は、「最大二次発泡厚みの70%以上の厚みになるように加熱した際の収縮率が、押出方向で−5〜0%・幅方向で0〜5%の範囲であるポリスチレン系樹脂発泡シートの少なくとも片側に、ハイインパクトポリスチレン樹脂を80〜200μの厚みで溶融して積層したこと」をその構成とするものである。
この特許文献3の発明によれば、以上のような構成を有するポリスチレン系樹脂積層発泡シートを用いれば、「リップ強度の優れる発泡容器を得る」ことができるものと考えられる。
しかしながら、この特許文献3の発明でも、「発泡シートの気泡形状」という物理的構造への着目がないため、その圧縮強度において不足する性質のものとなっていると考えられる。
そこで、本発明者等は、熱成形時におけるドローダウンが発生しなくて、しかも圧縮強度においても優れたポリスチレン系樹脂発泡シートを如何に製造するか、について種々検討を重ねてきた結果、この種のポリスチレン系樹脂発泡シート中の「気泡形状」が球形状に近ければ近い程圧縮強度に対して有効であることを見出し、ポリスチレン系樹脂発泡シートの加熱収縮率と残存する発泡剤量に着目して、本発明を完成したのである。
本発明は、従来のポリスチレン系樹脂発泡シート及びその成形品が有する上記のような不都合を解決することを目的としており、より具体的には、発泡シート全体としては、同じ厚さと同じ密度を持つポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて成形した成形品と同様でありながら、より強い強度(特に圧縮強度)を備えた成形品を得ることができ、それにより、省材料かつ低コスト化を可能とすることのできるポリスチレン系樹脂発泡シートとその製造方法を目的としている。
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、
発泡剤として、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサンの脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタンの環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライドのハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物である低沸点の有機化合物を用いて形成され、厚み1.0〜4.0mm、密度0.05〜0.2g/cm3のポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、
該熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シートの140℃における30秒加熱後の加熱収縮率がポリスチレン系樹脂発泡シートの押出方向及び幅方向のいずれにおいても0〜15%での範囲であり、かつ押出方向の加熱収縮率と幅方向の加熱収縮率との比(押出方向の加熱収縮率/幅方向の加熱収縮率)が0.5〜1.5であり、残存する発泡剤量が0.2〜1.0モル/Kgであることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シート」
である。
発泡容器の強度を高めるには、気泡セルの延伸を少なくし、構成する気泡形状を丸くすることで容器の圧縮強度を高めることが出来る。すなわち、気泡が「球」に近いということは、その気泡を形作っている材料の内面面積が最小になっていることを意味しているのであり、この内面に加わる外力は均等に分散されて気泡を潰れにくくしているのである。つまり、本発明に係る発泡シートは、内部の気泡形状が球形状か、これに近いものになっているため、全体としてみれば強度の高いとなっているのである。
発泡シート内部の気泡形状を球形状か、これに近いものにするには、発泡シートの加熱収縮率の低減が有効である。しかし、加熱収縮率の低減は、加熱成形時にシートが自重で垂れ下がる、いわゆるドローダウンを起こしやすい。
ドローダウンは、発泡シートの加熱収縮率が0%以上であれば通常は起こらず、従来のポリスチレン系樹脂発泡シートは、押出方向・幅方向共加熱収縮率がかなり大きく0%以上となるように設計されてきた。
しかしながら、本発明者は、発泡シートの加熱収縮率を必要以上に高くすることを避けることにより強度と成形性を両立させ得ること、また加熱収縮率をそれほど小さくしなくても押出方向と幅方向との加熱収縮バランスがとれてさえいれば、成形性にも悪影響を及ぼさないことを見い出したものである。
すなわち、本発明においては、前記した如く、該熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シートの140℃における30秒加熱後の加熱収縮率がポリスチレン系樹脂発泡シートの押出方向及び幅方向のいずれにおいても0〜15%、更に望ましくは0〜12%でなければならない。それより低くなればドローダウンの懸念が大きくなる。それより高くなれば容器強度が低くなる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡シートは、密度0.05〜0.2g/cm3が
好ましい。密度が、0.05g/cm3未満の場合は、熱成形を行なう際に発泡シートの
伸び不足により得られる容器に成形不良が発生する虞や、得られる容器の剛性が小さくなって容器としての機能が低下する虞がある。一方、該密度が0.2g/cm3を超える場
合は、熱成形によって得られた成形品の断熱性が低下したり、衝撃を受けると割れやすくなったり、経済性が低下する虞がある。より好ましい密度は0.07〜0.12g/cm3である。
またポリスチレン系樹脂発泡シートの厚みは、1.0〜4.0mmが好ましく、1.0mmより薄くなれば加熱し二次発泡してもシートの厚みが薄く容器強度が得難い。4.0mmより厚くなれば二次発泡厚みが厚くなり、金型との擦れが生じ良好な成形品を成形するのが難しい。より好ましい厚みは、1.5〜2.5mmである。
収縮率の測定は、50cm角のシートの4辺を固定し、各辺から50mmの位置に辺と平行に長さ30cmの切り込みをいれ、その固定されたシートをオーブンで加熱後取出し、その切り込み中央における対辺間の長さの変化量を幅方向・押出方向について測定し、加熱前後の長さの比率を計算する。スチレン系樹脂発泡シートにおける加熱収縮率は、負は伸びを正は縮みを表している。ここで用いるオーブンは一般的な空気循環式オーブン、例えばタバイエスペック株式会社製の「PERFECT OVEN PH-200 」(商品名)を使用することができ、通常、シートの表面温度を100から150℃程度まで加熱可能であれば測定に用いることが出来る。
上記発泡シートを構成する基材樹脂であるスチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体又はスチレンを主成分とするスチレン系共重合体、又はこれらの混合物、或いは上記スチレン単独重合体及びスチレン系共重合体の群から選択される1種又は2種以上を主成分とし、これに他の樹脂やゴムを副成分として混合した混合樹脂等が挙げられる。上記スチレン系共重合体としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。また上記副成分として混合される樹脂やゴムとしては、ポリフェニレンオキシド、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレン共重合体ゴム等が挙げられる。
発泡シートの発泡倍率は、基材樹脂、発泡剤の種類、発泡剤の添加量等によって異なるので、発泡剤の種類、基材樹脂の種類に応じて目的とする発泡倍率が得られるように発泡剤の添加量を選択する必要がある。
発泡シートの形成においては、発泡剤とともに気泡調整剤が併用される。該気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。
また、本発明においては、前記した如く、押出方向の加熱収縮率と幅方向の加熱収縮率との比(押出方向の加熱収縮率/幅方向の加熱収縮率)が0.5〜1.5の範囲である。この範囲をはずれる場合は、発泡シートは成形性及び圧縮強度において劣るものとなってしまう。発泡シートの押出方向の加熱収縮率と幅方向の加熱収縮率の値及び両者の比を前記範囲に保持することにより、その熱成形において、ドローダウンの発生が防止され、かつ圧縮強度に優れた成形品を与える発泡シートを得ることができる。
本発明における容器の圧縮強度は、(株)オリエンテック製のオートグラフ「テンシロン万能試験機RTC−1310A」を用いて、容器を短手方向に立てた状態で狭持し、容器の長辺側壁部全長を、幅方向に18mm圧縮し、この時の最大応力強度として測定出来る。圧縮スピードは400mm/minである。
た、本発明に係るポリスチレン系樹脂発泡シートについては、残存する発泡剤量を0.2〜1.0モル/Kgとしたものである。
すなわち、容器強度を高めるには、その発泡シートにおける残存発泡剤量を増やし、発泡体を構成する気泡の内部圧力を上げることも有効である。また発泡剤は残存しやすいイソブタンを使用することも有効である。
残存する発泡剤量を多くすると、発泡シートを構成する気泡の内部圧力があがり、容器の強度向上に有効である。発泡剤量は、多いほど良いが、発泡適性の観点から1.0モル/Kgを越えることは困難である。一方発泡剤量が少なくなれば容器強度が得られないことから、本発明における残存発泡剤量は、0.2〜1.0モル/Kgの範囲にあることが必要であり、望ましくは0.4〜0.8モル/Kgである。
残存発泡剤量は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製)を用い、PEG20Mカラム+DNPカラムを用いて測定した。
本発明で発泡剤として用いられるものは、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物等の低沸点の有機化合物である。この発泡剤の内、ブタンが特に有効であり、特にイソブタン比率の高いブタンは、押出時にシート中に多く残り、かつ発泡シートの保存中にも逸散しにくく、発泡シート中の残存発泡剤を高く保つ上で望ましい。
従って、この請求項1に係るポリスチレン系樹脂発泡シートによれば、発泡シート全体としては、同じ厚さと同じ密度を持つポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて成形した成形品と同様でありながら、より強い強度(特に圧縮強度)を備えた成形品を得ることができ、それにより、省材料かつ低コスト化を可能とすることができるのであり、圧縮強度がより強くなっているのである。
さらに、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、
「残存する発泡剤がイソブタンを40%以上含有すること」
としたものである。
本発明に係るポリスチレン系樹脂発泡シートには発泡剤が使用されることは当然であるが、この発泡剤の内、ブタンが特に有効である。特に、イソブタン比率の高いブタンは、押出時にシート中に多く残り、かつ発泡シートの保存中にも逸散しにくく、発泡シート中の残存発泡剤を高く保つ上で望ましいため、このイソブタン比率は40%以上である必要がある。
従って、この請求項2の発明においては、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、押出時にシート中に残存発泡剤を多くし、かつ発泡シートの保存中にも発泡剤が逸散しにくく、発泡シート中の残存発泡剤を高く保つのである。
本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡シートは、スチレン系樹脂をタルク等の造核剤とともに押出機内にて混合・溶融後発泡剤を圧入し、発泡適性温度に冷却しサーキュラーダイを通して押出発泡させてシート化させたものであり、サーキュラーダイのリップ間隙や、ダイスからの樹脂の吐出速度及びサーキュラーダイと押出シートのブローアップ比(具体的には、円柱状の冷却装置の直径に対するダイの放出口の直径を適宜定めることによって調整される)等の調整で、発泡シートの延伸度を調整することによって加熱収縮率を設定出来る。
つまり、本発明の発泡シートの加熱収縮率は,押出機における環状ダイの樹脂出口の口径d1と,発泡シート巾を固定化する冷却マンドレルの口径d2の比率を目的の加熱収縮率に合わせて設定することによって得られる。
通常冷却マンドレル口径は,発泡シートの目標とする巾によって決定されるので,環状ダイの樹脂出口の口径d1と,発泡シート巾を固定化する冷却マンドレルの口径d2の比率の変更によって加熱収縮率の変更が可能となる。
要するに、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートは、ポリスチレン系樹脂の押出発泡時の環状ダイの樹脂出口の口径d1と,発泡シート巾を固定化する冷却マンドレルの口径d2の比率d2/d1を3.5〜4.5に設定することによって得ることができる。
比率d2/d1が3.5より小さいと得られる発泡シートの加熱収縮率が小さくなりすぎ、また4.5より大きいと逆に得られる発泡シートの加熱収縮率が大きくなりすぎ、何れの場合も発泡シートは成形性及び圧縮強度において劣るものとなってしまう。
上記発泡シートを構成する基材樹脂であるスチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体又はスチレンを主成分とするスチレン系共重合体、又はこれらの混合物、或いは上記スチレン単独重合体及びスチレン系共重合体の群から選択される1種又は2種以上を主成分とし、これに他の樹脂やゴムを副成分として混合した混合樹脂等が挙げられる。上記スチレン系共重合体としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。また上記副成分として混合される樹脂やゴムとしては、ポリフェニレンオキシド、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレン共重合体ゴム等が挙げられることは前述した通りである。
以上、詳述した通り、本発明においては、上述した通り、
発泡剤として、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサンの脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタンの環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライドのハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物である低沸点の有機化合物を用いて形成され、厚み1.0〜4.0mm、密度0.05〜0.2g/cm3のポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、
該熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シートの140℃における30秒加熱後の加熱収縮率がポリスチレン系樹脂発泡シートの押出方向及び幅方向のいずれにおいても0〜15%での範囲であり、かつ押出方向の加熱収縮率と幅方向の加熱収縮率との比(押出方向の加熱収縮率/幅方向の加熱収縮率)が0.5〜1.5であり、残存する発泡剤量が0.2〜1.0モル/Kgであること」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、発泡シート全体としては、同じ厚さと同じ密度を持つポリスチレン系樹脂発泡シートを用いて成形した成形品と同様でありながら、より強い強度(特に圧縮強度)を備えた成形品を得ることができ、それにより、省材料かつ低コスト化を可能とすることのできるのであり、圧縮強度がより強くなっているポリスチレン系樹脂発泡シートを提供することができるのである。
すなわち、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂発泡シートの収縮率・残留揮発分をコントロールすることにより、圧縮強度に優れる発泡容器が成形できるのである。
次に、本発明を実施例、比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
スチレン系樹脂100重量部に対して,タルク1重量部をスクリュー口径65mmの押出機に投入し加熱溶融した。次いで,表1及び2に示すイソブタン比率のブタンを発泡剤として,全樹脂に対する発泡剤含有量が4重量部となるように押出機内の上記溶融スチレン樹脂中に圧入した。
次いで,上記押出機に接続されたスクリュー口径90mmの押出機で,上記溶融樹脂を160℃まで冷却した後,環状ダイの樹脂出口から冷却マンドレルへチューブ状に押出発泡させた。このとき,上記環状ダイとマンドレルにおける口径比は,表1及び2に示す値であった。
次に,上記押出発泡させた環状の熱可塑性樹脂発泡シート1は内外のエアーリングにより冷却した。その後,該熱可塑性樹脂発泡シートを切り開いた。この際、ダイスクリアランス・樹脂吐出速度により加熱収縮率を調整し、発泡剤圧入量及び樹脂冷却温度により残存発泡剤量を調整して表1及び2に示すスチレン系樹脂発泡シートを得た。
得られた発泡シートの両面を加熱炉内で表面温度300℃の遠赤外線パネルヒーターから20cmの距離で9.0秒間加熱した後、真空成形機により成形し、外形寸法が長さ200mm、幅150mm、深さ25mm、底面厚み4.0mm、側壁厚み2.7mmのトレーを得た。
得られた容器の圧縮強度を表1及び2にまとめた。
Figure 0004771764
Figure 0004771764
比較例1及び2
実施例と同様にして、上記表1及び2にまとめるポリスチレン系樹脂発泡シート、成形容器を得た。
以上の通りであるから、本発明に係るポリスチレン系樹脂発泡シートは、強度に優れた容器を成形することができるから、この種の容器を大量に使用する食品流通分野での食品等の包装作業性を向上させ、労力やコストの低減を図る可能性が高まるものである。

Claims (2)

  1. 発泡剤として、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサンの脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタンの環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライドのハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物である低沸点の有機化合物を用いて形成され、厚み1.0〜4.0mm、密度0.05〜0.2g/cm3のポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、
    該熱成形用ポリスチレン系樹脂発泡シートの140℃における30秒加熱後の加熱収縮率がポリスチレン系樹脂発泡シートの押出方向及び幅方向のいずれにおいても0〜15%での範囲であり、かつ押出方向の加熱収縮率と幅方向の加熱収縮率との比(押出方向の加熱収縮率/幅方向の加熱収縮率)が0.5〜1.5であり、残存する発泡剤量が0.2〜1.0モル/Kgであることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シート。
  2. 残存する発泡剤がイソブタンを40%以上含有することを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
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