JP2012006357A - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、容器、及び、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリスチレン系樹脂非発泡層の平滑性や、優れた強度などに加えて耐熱性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡シートなどを提供すること。
【解決手段】共押出発泡によって製造されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層が所定の状態で積層一体化されてなり、前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、前記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層は、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】共押出発泡によって製造されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層が所定の状態で積層一体化されてなり、前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、前記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層は、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート及びその製造方法に関する。
今日、即席麺の容器が多種多様な形で提供されており、この即席麺を包装し或いは調理するための容器は、輸送中或いは保管中に加えられる衝撃に対する十分な強度と、外観美麗であることが要求され、このような要求を満たすために、即席麺の容器をシート成形する際の原反としては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの一面にポリスチレン系樹脂非発泡シートが積層されてなるものが汎用されている。
そして、即席麺の容器の外面には印刷が施されるが、その印刷要領としては、即席麺の容器の原反の表面に印刷を施したフィルムを積層した上で原反を即席麺の容器に成形する方法の他、原反を即席麺の容器形状に成形した後に即席麺の容器の外面に曲面印刷機を用いて直接、印刷を施す方法が挙げられる。
しかしながら、曲面印刷機を用いて即席麺の容器の外面に印刷を施す場合には、容器の外面の状態によっては、印刷した文字や模様が滲んだり或いは印刷がかすれるといった問題が発生するおそれを有する。
そこで、特許文献1には、押出発泡によって得られた、低発泡シート層と高発泡シート層とが積層されたポリスチレン系樹脂発泡シート層の一面にポリスチレン系樹脂非発泡層を共押出法により積層一体化してなる長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、125℃にて150秒間に亘って加熱すると、ポリスチレン系樹脂非発泡層の表面がその幅方向に−45〜−15%の寸法変化率で収縮し、ポリスチレン系樹脂非発泡層を内側にして幅方向に円弧状に変形するように構成されていることを特徴とする長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートが提案されている。
しかしながら、上記ポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂非発泡層の表面が平滑化されやすく印刷特性に優れているものの、発泡シート層間において層間剥離を生じることがあり、特に、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを容器状に熱成形して用いた場合、容器の開口部には通常、封止用シートが張設されることになるが、この封止用シートを剥離する際の剥離力によって発泡シート層間において層間剥離を生じるといった問題点を有している。
更に、容器は、通常、運搬用の収納箱内に縦横に配列させた状態に収納されて所定場所まで運搬されるが、互いに隣接する容器どうしが運搬中に生じる振動によってその外周縁を擦り合わせて発泡シート層間における層間剥離を生じる場合がある。
ところで、近年、この種の容器などの形成材料として利用されるポリスチレン系樹脂積層発泡シートには、上記のようにポリスチレン系樹脂非発泡層の平滑性や、優れた強度などに加えて耐熱性が求められるようになってきている。
しかし、これらの要望を満足させる具体的な手段は確立されていない。
しかし、これらの要望を満足させる具体的な手段は確立されていない。
本発明は、上記のような要望を満足させうるポリスチレン系樹脂積層発泡シートと、そのようなポリスチレン系樹脂積層発泡シートを用いた容器と、前記ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法とを提供することを課題としている。
上記課題を解決すべく、本発明は、共押出発泡によって製造されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、密度が0.07〜0.17g/cm3のポリスチレン系樹脂低密度発泡層上に、密度が0.18〜0.45g/cm3のポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層がこの順序で積層一体化されてなり、上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径が200〜500μmであると共に、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径が70〜180μmであり、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径と上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径の比(ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径/ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径)が0.33〜0.6であり、前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、前記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層は、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シートと、このようなポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなることを特徴とする容器とを提供する。
また、本発明は、共押出ダイに接続されている第一押出機、第二押出機、及び、第三押出機に、同じか、又は、異なるポリスチレン系樹脂組成物を供給し、前記第三押出機において前記ポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練するとともに、前記第一押出機及び前記第二押出機においては、発泡剤と気泡調整剤との存在下にて前記ポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練し、前記共押出ダイから、上記第一押出機から押出された高発泡層と、上記第二押出機から押出された低発泡層と、上記第三押出機から押出された非発泡層とをこの順番で層状に押出発泡して円筒状発泡体を製造し、この円筒状発泡体を拡径した後にマンドレルに供給して冷却した上で、上記円筒状発泡体をその押出方向に沿って連続的に切断することにより切り開いて、密度が0.07〜0.17g/cm3のポリスチレン系樹脂低密度発泡層上に、密度が0.18〜0.45g/cm3のポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層がこの順序で積層一体化されてなり、上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径が200〜500μmであると共に、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径が70〜180μmであり、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径と上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径の比(ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径/ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径)が0.33〜0.6となるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを作製し、しかも、前記第一押出機、前記第二押出機、及び、前記第三押出機の内の少なくとも1台の押出機には、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を供給して、前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、前記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層を前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成せることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法を提供する。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、上述の如き構成しているので、ポリスチレン系樹脂低密度発泡層とポリスチレン系樹脂高密度発泡層とが強固に熱融着一体化しており、両者間における層間剥離が抑制され得る。
そして、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂非発泡層が、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層上に積層一体化されている。
このポリスチレン系樹脂高密度発泡層がポリスチレン系樹脂低密度発泡層に比べて表面平滑に形成されやすいことからポリスチレン系樹脂非発泡層の表面も平滑に形成され易い。
このポリスチレン系樹脂高密度発泡層がポリスチレン系樹脂低密度発泡層に比べて表面平滑に形成されやすいことからポリスチレン系樹脂非発泡層の表面も平滑に形成され易い。
更に、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層は機械的強度にも優れているので、印刷時に加えられる圧力にも十分に耐えることができ、ポリスチレン系樹脂非発泡層上に美麗に印刷を施すことができる。
しかも、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層がポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している。
このポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効であるとともにポリスチレン系樹脂との混合により、該混合樹脂の靱性を前記ポリスチレン系樹脂単独の場合よりも向上させ得る。
したがって、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、層間剥離が生じにくいのみならず割れ難い点においても優れた強度を示し、しかも、優れた耐熱性を有することとなる。
このポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効であるとともにポリスチレン系樹脂との混合により、該混合樹脂の靱性を前記ポリスチレン系樹脂単独の場合よりも向上させ得る。
したがって、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、層間剥離が生じにくいのみならず割れ難い点においても優れた強度を示し、しかも、優れた耐熱性を有することとなる。
したがって、このポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなる容器は、強度と耐熱性に優れ、外観美麗なものとなる。
以下に、本発明の実施の形態に図を参照しつつ説明する。
なお、以下において、ポリスチレン系樹脂低密度発泡層を単に「低密度発泡層」と、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層を単に「高密度発泡層」ということがある。
また、ポリスチレン系樹脂非発泡層を単に「非発泡層」ということがある。
なお、以下において、ポリスチレン系樹脂低密度発泡層を単に「低密度発泡層」と、ポリスチレン系樹脂高密度発泡層を単に「高密度発泡層」ということがある。
また、ポリスチレン系樹脂非発泡層を単に「非発泡層」ということがある。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、図1にその断面構造を示すように、共押出発泡によって低密度発泡層11、高密度発泡層12、及び、非発泡層2が、この順に積層一体化されたものであり、低密度発泡層11は、その密度が0.07〜0.17g/cm3であり、高密度発泡層12は、その密度が0.18〜0.45g/cm3となる発泡状態であることが重要である。
しかも、低密度発泡層11の平均気泡径が200〜500μmであると共に、高密度発泡層12の平均気泡径が70〜180μmであり、高密度発泡層12の平均気泡径と低密度発泡層11の平均気泡径の比(高密度発泡層の平均気泡径/低密度発泡層の平均気泡径)が0.33〜0.6となることが重要である。
しかも、低密度発泡層11の平均気泡径が200〜500μmであると共に、高密度発泡層12の平均気泡径が70〜180μmであり、高密度発泡層12の平均気泡径と低密度発泡層11の平均気泡径の比(高密度発泡層の平均気泡径/低密度発泡層の平均気泡径)が0.33〜0.6となることが重要である。
また、本発明においては、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAに優れた耐熱性と強度とを付与させうる点において前記低密度発泡層11、前記高密度発泡層12、及び、前記非発泡層2の内の少なくとも一層は、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されていることが重要である。
この前記低密度発泡層11、前記高密度発泡層12、及び、前記非発泡層2は、全て前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物によって形成させ得るもののポリフェニレンエーテル系樹脂は、一般的なポリスチレン系樹脂よりも、通常、高価であるために、特に耐熱性が求められる部分のみを耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させることがコスト面では有利である。
通常、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAで容器を形成させる場合には、前記低密度発泡層11で容器内面が形成されることから少なくとも前記低密度発泡層11を耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させることが好ましい。
なお、その場合には、上記コストメリットの点からは、全くポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させない場合を含め、高密度発泡層12と非発泡層2とを、低密度発泡層11の形成材料よりもポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が低いポリスチレン系樹脂組成物で形成させることが好ましい。
通常、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAで容器を形成させる場合には、前記低密度発泡層11で容器内面が形成されることから少なくとも前記低密度発泡層11を耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させることが好ましい。
なお、その場合には、上記コストメリットの点からは、全くポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させない場合を含め、高密度発泡層12と非発泡層2とを、低密度発泡層11の形成材料よりもポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が低いポリスチレン系樹脂組成物で形成させることが好ましい。
また、即席ヤキソバや即席パスタなどのように箸やフォークでの攪拌が想定され、容器内面に強度と滑性が求められる場合などにおいては、容器内面を非発泡層2とすることがあるが、このような場合においては非発泡層2のみを耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させ、低密度発泡層11と高密度発泡層12とを、非発泡層の形成材料よりもポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が低いポリスチレン系樹脂組成物で形成させることができる。
ここでR1及びR2は、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは重合度を表す正の整数である。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が本実施形態において用いられ得る。
また、重合度nは、通常10〜5000の範囲内である。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が本実施形態において用いられ得る。
また、重合度nは、通常10〜5000の範囲内である。
このようなポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効なものであり、ポリフェニレンエーテル系樹脂を、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有させているのは、上記範囲未満では、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が十分に発揮されないおそれを有し、逆に上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させても、それ以上にポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が発揮されないおそれを有するためである。
通常、JIS K7206(B法、50℃/h)に基づいて測定される汎用のポリスチレン系樹脂(GPPS)のビカット軟化温度は、102℃程度であるが、上記のようなポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させることにより、ビカット軟化温度を110〜155℃の範囲に向上させることができ、該ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだポリスチレン系樹脂組成物を使用することで、得られるポリスチレン系樹脂発泡シートや該ポリスチレン系樹脂発泡シートを2次加工した発泡成形品の耐熱性向上を図り得る。
一般にポリスチレン系樹脂組成物が用いられてなる製品に耐熱性が求められる場合には、スチレンホモポリマーよりもビカット軟化温度の高いスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリパラメチルスチレン樹脂などのコポリマーをその形成材料に採用することが行われている。
一方で、上記のようにポリフェニレンエーテル系樹脂をブレンドする方法は、単に発泡成形品に耐熱性を付与することができるばかりでなく、優れた靱性を付与することができる点においても優れている。
一方で、上記のようにポリフェニレンエーテル系樹脂をブレンドする方法は、単に発泡成形品に耐熱性を付与することができるばかりでなく、優れた靱性を付与することができる点においても優れている。
したがって、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだポリスチレン系樹脂組成物を使用して発泡トレーなどを形成させた場合には、急激な変形が加えられても割れたりすることのない発泡トレーを形成させ得る。
ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、特有の臭いを有していることから、特に臭気を嫌う用途などにおいては消臭のための成分を含有させることが好ましい。
この消臭成分としては、ゼオライト系やリン酸ジルコニウム系の無機物粒子が挙げられる。
なかでも、消臭効果の点においては、リン酸ジルコニウム系の成分を採用することが好ましい。
この消臭成分としては、ゼオライト系やリン酸ジルコニウム系の無機物粒子が挙げられる。
なかでも、消臭効果の点においては、リン酸ジルコニウム系の成分を採用することが好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートAの低密度発泡層11及び高密度発泡層12を構成するポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体などが挙げられる。
又、上記ポリスチレン系樹脂としては、上記スチレン系単量体を50質量%以上含有する、上記スチレン系単量体と、このスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートなどが挙げられる。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートAは、非発泡層2を共押出法によって高密度発泡層12上に積層一体化させているが、共押出ダイから共押出する際、非発泡層2は、高密度発泡層12及び低密度発泡層11よりも高い加熱温度とし、樹脂粘度を低下させ、高密度発泡層12の樹脂粘度に近づけた上で共押出ダイから押出す必要がある。
しかしながら、共押出する際の樹脂温度を非発泡層2に合わせた温度とすると、低密度発泡層11及び高密度発泡層12を構成するポリスチレン系樹脂の樹脂粘度が低くなり過ぎて破泡するなどの問題が発生する一方、共押出する際の樹脂温度を低密度発泡層11及び高密度発泡層12に合わせた温度とすると、非発泡層2を構成するポリスチレン系樹脂の樹脂粘度が高くなり過ぎて、非発泡層2の押出安定性が低下する。
そこで、共押出によって、高密度発泡層12上に非発泡層2を積層一体化させるにあたり、高密度発泡層12を、発泡剤量が少ない分だけ低密度発泡層11よりも可塑化が小さいものとし、低密度発泡層11よりも高い温度にて共押出させるようにし、且つ、発泡剤が含有されている分だけ、非発泡層2よりも低い温度にて共押出することが好ましい。
つまり、高密度発泡層12が有する共押出に適した温度を、低密度発泡層11が有する共押出に適した温度と、非発泡層2が有する共押出に適した温度との間となるように調整することが好ましい。
このように構成することによって、低密度発泡層11と非発泡層2との間における共押出に適した温度差を、高密度発泡層12によって緩和し、各層のそれぞれが共押出に適した温度にて共押出されたものであって、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAにおける高密度発泡層12及び低密度発泡層11は連続気泡率が低くて機械的強度に優れ、特に高密度発泡層12はその表面平滑性に優れたものとなる。
そして、上記表面平滑性に優れた高密度発泡層12上に積層一体化されている非発泡層2も表面平滑性に優れていると共に、上述のように高密度発泡層12は機械的強度が強いため、非発泡層2上に安定的に印刷処理を施すことができる。
ここで、高密度発泡層12の密度は、小さいと、高密度発泡層の連続気泡率が高くなり機械的強度が低下する結果、非発泡層上への印刷特性が低下する虞れがある一方、大きいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの目付を同じにしようとした場合に、高密度発泡層の厚みが薄くなり、非発泡層の表面平滑性が低下し、或いは、共押出時における高密度発泡層と低密度発泡層との間の温度差が大きくなり、高密度発泡層と低密度発泡層の界面付近における低密度発泡層側の気泡が連続気泡化してしまい、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度が低下するので、0.18〜0.45g/cm3に限定される。
なお、高密度発泡層12の密度は、0.19〜0.41g/cm3とすることが好ましい。
なお、高密度発泡層12の密度は、0.19〜0.41g/cm3とすることが好ましい。
又、低密度発泡層11の密度は、小さいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度が低下する虞れがある一方、大きいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの目付を同じにしようとした場合に、低密度発泡層の厚みが薄くなり、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度及び断熱性が低下する虞れがあるので、0.07〜0.17g/cm3に限定される。
なお、低密度発泡層11の密度は、0.08〜0.15g/cm3とすることが好ましい。
なお、低密度発泡層11の密度は、0.08〜0.15g/cm3とすることが好ましい。
更に、低密度発泡層11の密度と高密度発泡層12の密度の比(低密度発泡層11の密度/高密度発泡層12の密度)は、小さいと、低密度発泡層及び高密度発泡層の平均気泡径を調整しても、低密度発泡層と高密度発泡層との層間剥離が生じることがある一方、大きいと、単層の場合に比較して、印刷性及び機械的強度を改善する効果が少ないことがあるので、0.30〜0.7が好ましく、0.31〜0.55がより好ましく、0.32〜0.50が特に好ましい。
なお、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおける低密度発泡層11及び高密度発泡層12の密度は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを、各層に分離して、質量を計測して求めることができるが、製造条件からも算定が可能であり、下記の要領で算出することができる。
まず、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAの目付W(g/cm2 )を測定し、非発泡層2の押出量E0(kg/時間)、低密度発泡層11の押出量E1(kg/時間)及び高密度発泡層12の押出量E2(kg/時間)から下記式に基づいて、低密度発泡層11の目付W1及び高密度発泡層12の目付W2を算出する。
低密度発泡層11の目付W1(g/cm2)=W×E1/(E0+E1+E2)
高密度発泡層12の目付W2(g/cm2)=W×E2/(E0+E1+E2)
まず、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAの目付W(g/cm2 )を測定し、非発泡層2の押出量E0(kg/時間)、低密度発泡層11の押出量E1(kg/時間)及び高密度発泡層12の押出量E2(kg/時間)から下記式に基づいて、低密度発泡層11の目付W1及び高密度発泡層12の目付W2を算出する。
低密度発泡層11の目付W1(g/cm2)=W×E1/(E0+E1+E2)
高密度発泡層12の目付W2(g/cm2)=W×E2/(E0+E1+E2)
次に、低密度発泡層11の厚みT1(cm)及び高密度発泡層12の厚みT2(cm)を測定し、下記式に基づいて、低密度発泡層の密度D1及び高密度発泡層の密度D2を算出することができる。
低密度発泡層の密度D1(g/cm3)=W1/T1
高密度発泡層の密度D2(g/cm3)=W2/T2
低密度発泡層の密度D1(g/cm3)=W1/T1
高密度発泡層の密度D2(g/cm3)=W2/T2
更に、低密度発泡層11及び高密度発泡層12の合計厚みは、薄いと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形して得られる成形品の機械的強度が低下することがある一方、厚いと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの成形性が低下することがあるので、1.0〜3mmが好ましく、1.5〜3mmがより好ましく、1.8〜2.8mmが特に好ましい。
又、ポリスチレン系樹脂発泡シート層1の高密度発泡層12の厚みは、薄いと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートのポリスチレン系樹脂非発泡層の表面平滑性が低下することがあるので、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.2〜0.5mmが特に好ましい。
更に、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAにおける高密度発泡層12の厚みと低密度発泡層11の厚みの比(高密度発泡層12の厚み/低密度発泡層11の厚み)は、小さいと、高密度発泡層上に非発泡層を積層一体化させた場合に非発泡層の表面平滑性が低下し、或いは、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度が低下することがある一方、大きいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの断熱性及び成形性が低下することがあるので、0.08〜0.2が好ましい。
そして、低密度発泡層11の平均気泡径は、小さいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度や熱成形性が低下する一方、大きいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの熱成形性が低下し、或いは、得られる熱成形品の外観が低下するので、200〜500μmに限定され、250〜400μmが好ましく、250〜350μmがより好ましい。
又、高密度発泡層12の平均気泡径は、小さいと、非発泡層を積層一体化させようとした場合に、高密度発泡層の表面付近の気泡が破壊され、非発泡層と高密度発泡層との間の熱融着強度が低下し、或いは、高密度発泡層の連続気泡率が高くなって機械的強度が低下する虞れがある一方、大きいと、高密度発泡層上に非発泡層を積層一体化させた場合に非発泡層の表面性が低下して、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの印刷特性が低下するので、70〜180μmに限定され、70〜150μmが好ましい。
そして、高密度発泡層12の平均気泡径と低密度発泡層11の平均気泡径との比(高密度発泡層12の平均気泡径/低密度発泡層11の平均気泡径)は、0.33〜0.6に限定され、0.35〜0.55が好ましい。
これは、高密度発泡層12の平均気泡径と低密度発泡層11の平均気泡径との比(高密度発泡層12の平均気泡径/低密度発泡層11の平均気泡径)が小さい場合、作用は明確に解明されていないが、押出発泡にあたって、径の小さな気泡の形成が先に完了し、その後遅れて径の大きな気泡の形成が完了する。ここで、低密度発泡層11と高密度発泡層12との界面において、高密度発泡層12に形成された径の小さな気泡の気泡膜が、その後に形成される低密度発泡層11の気泡によって引き伸ばされてしまい、高密度発泡層12の気泡が破壊され、その結果、低密度発泡層11と高密度発泡層12との間の界面における接触状態が悪化し、低密度発泡層11と高密度発泡層12との界面における熱融着性が低下するためと推測される。
一方、高密度発泡層12の平均気泡径と低密度発泡層11の平均気泡径との比(高密度発泡層12の平均気泡径/低密度発泡層11の平均気泡径)が大きいと、高密度発泡層の気泡が大きくなり過ぎて、高密度発泡層上に積層一体化させている非発泡層の表面性が低下してポリスチレン系樹脂積層発泡シートの印刷性が低下し、或いは、低密度発泡層の機械的強度が低下して、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度が低下するためである。
ここで、本発明において、低密度発泡層11及び高密度発泡層12の平均気泡径は、下記の要領で測定されたものをいう。即ち、低密度発泡層11及び高密度発泡層12の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定された平均弦長に基づいて算出されたものをいう。具体的には、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAの低密度発泡層11又は高密度発泡層12を、平均気泡径を測定したい方向に沿った面で切断し、その切断面のうちの外周部を除いた中央部分を任意に4箇所、走査型電子顕微鏡を用いて17〜20倍(場合によっては200倍)拡大して電子顕微鏡写真を撮影する。
次に、撮影した各写真に写真上長さ60mmの直線を、平均気泡径を測定したい方向に描き、この直線上にある気泡数から、気泡の平均弦長tを下記式1に基づいて算出する。直線は写真毎に6本づつ描き、直線ごとに平均弦長tを算出し、写真毎に平均弦長tの相加平均を算出し、この相加平均値を気泡の平均弦長tとする。直線上に長さ60mmの直線を描けない場合には、長さ20mm或いは30mmの直線を写真上に描き、この直線上にある気泡数を測定し、長さ60mmの直線上にある気泡数に比例換算する。なお、気泡の数を数えるにあたって、直線上に一部でも位置している気泡や、形状が不明瞭で特定できない気泡についても測定対象とし、一つとして数えた。
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)・・・式1
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)・・・式1
そして、下記式2により気泡径Dを算出し、各写真の気泡径Dの相加平均を低密度発泡層11又は高密度発泡層12の所望方向の平均気泡径とする。
気泡径D=平均弦長t/0.616・・・式2
気泡径D=平均弦長t/0.616・・・式2
なお、低密度発泡層11又は高密度発泡層12の平均気泡径は、上述の要領で、MDの平均気泡径、押出方向(MD)に直交し且つポリスチレン系樹脂積層発泡シートの表面に沿った方向(TD)の平均気泡径、及び、MD及びTDに直交する方向(VD)の平均気泡径をそれぞれ測定し、MD、TD及びVDの平均気泡径を相加平均することによって算出することができる。
そして、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートA全体、即ち、低密度発泡層11、高密度発泡層12及び非発泡層2を合わせた全体の連続気泡率は、大きいと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度や熱成形性が低下することがあるので、20%未満が好ましい。
なお、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートA全体の連続気泡率は、ASTM D−2856−87に準拠して1−1/2−1気圧法にて測定されたものをいう。具体的には、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートAを一辺25mmの平面正方形状に切断し、この切断片を厚み方向に複数枚重ね合わせて厚みが約25mmの試験片を作製する。この要領で5個の試験片を作製し、各試験片の連続気泡率を空気比較式比重計(東京サイエンス社製 商品名「1000型」)を用いて、1−1/2−1気圧法により測定し、その相加平均値をポリスチレン系樹脂積層発泡シート全体の連続気泡率とする。
そして、図1に示したように、高密度発泡層12上にはポリスチレン系樹脂非発泡層2が積層一体化されている。このポリスチレン系樹脂非発泡層を構成するポリスチレン系樹脂としては、上述のポリスチレン系樹脂の他に、上記ポリスチレン系樹脂にゴム成分が加えられて耐衝撃性が改善された耐衝撃性ポリスチレン系樹脂や、ポリスチレン系樹脂に、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体などのポリスチレン系エラストマーを添加してなる混合樹脂であってもよい。
更に、上記ポリスチレン系樹脂非発泡層2の厚みは、薄いと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度が低下することがある一方、厚いと、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの成形性が低下することがあるので、60〜200μmが好ましく、100〜160μmがより好ましい。
更に、上記ポリスチレン系樹脂積層発泡シートのポリスチレン系樹脂非発泡層2上には、表面に印刷が施されたポリスチレン系樹脂シートを印刷層として積層一体化してもよい。なお、この印刷層をポリスチレン系樹脂非発泡層2上に積層一体化する方法としては汎用の方法が用いられる。又、印刷層を構成するポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン系樹脂非発泡層を構成するポリスチレン系樹脂と同様であるので、その説明を省略する。
次に、上記ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法について説明する。先ず、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造するためには、図2、図3に示したように、合流ダイ61及びこの合流ダイ61に接続する環状ダイ62からなる共押出ダイ6と、第一〜第三押出機3〜5とを用意し、上記三機の押出機3〜5の全てを同一の上記共押出ダイ6の合流ダイ61に接続する。
そして、第一押出機3及び第二押出機4にポリスチレン系樹脂、発泡剤及び気泡調整剤を供給して溶融混練する一方、第三押出機5にポリスチレン系樹脂を供給して、気泡調整剤の不存在下であって発泡しない程度の発泡剤の存在下、又は、発泡剤の不存在下にて、溶融混練する。なお、ポリスチレン系樹脂に対する発泡剤の量は、第一押出機3の方が第二押出機4よりも多くなるように、即ち、第一押出機3の方が第二押出機4よりも高発泡に押出発泡されるように調整する必要がある。
このとき、いずれか一つ、又は、二つ、又は三つの押出機全てにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する耐熱性ポリスチレン系樹脂を供給して、低密度発泡層11、高密度発泡層12、及び、非発泡層2の内の少なくとも一層を前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成せることが重要である。
このとき、いずれか一つ、又は、二つ、又は三つの押出機全てにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有する耐熱性ポリスチレン系樹脂を供給して、低密度発泡層11、高密度発泡層12、及び、非発泡層2の内の少なくとも一層を前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成せることが重要である。
ここで、第三押出機5にポリスチレン系樹脂に加えて、発泡しない程度の量の発泡剤を供給することが好ましい。但し、発泡剤を第三押出機5に供給する場合には気泡調整剤は供給しないことが好ましい。具体的には、第三押出機5に供給する発泡剤の量としては、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して2質量部以下が好ましく、この程度の発泡剤量では気泡調整剤の不存在下では発泡しない。第三押出機5に供給する発泡剤は、ポリスチレン系樹脂の発泡を目的としているものではなく、ポリスチレン系樹脂を可塑化し、押出時の樹脂温度の低下を図り、高密度発泡層12の押出発泡温度に出来るだけ近づけて高密度発泡層12の連続気泡率の上昇を防止するためである。
なお、上記発泡剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
そして、第一押出機3及び第二押出機4に供給する発泡剤の量は、少ないと、発泡しないことがある一方、多いと、破泡を生じる虞れがあるので、ポリスチレン系樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂が含有される場合にはポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の合計)100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。
又、上記気泡調整剤としては、特に限定されず、例えば、タルク、シリカなどの無機粉末;多価カルボン酸などの酸性塩;多価カルボン酸と、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応性混合物などが挙げられ、無機粉末が好ましく、タルクがより好ましい。
そして、第一押出機3に供給する気泡調整剤の量は、少ないと、得られるポリスチレン系樹脂低密度発泡層の気泡径を小さくすることができないことがある一方、多いと、気泡膜が破れて、得られるポリスチレン系樹脂低密度発泡層の連続気泡率が高くなることがあるので、ポリスチレン系樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂が含有される場合にはポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の合計)100質量部に対して0.03〜4質量部が好ましい。
又、第二押出機4に供給する気泡調整剤の量は、少ないと、得られるポリスチレン系樹脂高密度発泡層の気泡径を小さくすることができないことがある一方、多いと、気泡膜が破れて、得られるポリスチレン系樹脂高密度発泡層の連続気泡率が高くなることがあるので、ポリスチレン系樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂が含有される場合にはポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の合計)100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましい。
次に、第一押出機3から高発泡性ポリスチレン系樹脂を、第二押出機4から低発泡性ポリスチレン系樹脂を、第三押出機5から非発泡ポリスチレン系樹脂を、共押出ダイ6の合流ダイ61内に押出して、これらポリスチレン系樹脂を合流ダイ61内にて合流させ、断面円形状の高発泡性ポリスチレン系樹脂層の外周面に低発泡性ポリスチレン系樹脂層及びポリスチレン系樹脂非発泡被覆層がこの順序で層状に積層された断面円形状の発泡性積層体とする。
そして、この発泡性積層体を共押出ダイ6の環状ダイ62に供給して、発泡性積層体を円筒状とし、この円筒状の発泡性積層体を環状ダイ62の先端開口部から押出発泡させ、高発泡性ポリスチレン系樹脂を押出発泡させて得られた発泡層を高発泡層とし、低発泡性ポリスチレン系樹脂を押出発泡させて得られた発泡層を低発泡層として、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層、低発泡層及び高発泡層が外側から内側に向かって層状に積層一体化された円筒状発泡体を製造する。
この際、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層は、発泡剤が含有されておらず、或いは、発泡剤が含有されていても発泡しない程度の量であって気泡調整剤も含有されておらず、発泡剤による可塑化が無いか或いは小さい一方、低発泡層及び高発泡層は、発泡剤の含有によって可塑化されており、しかも、高発泡層の方が低発泡層よりも可塑化度合いが大きい。
従って、低発泡層及び高発泡層は、共押出時の樹脂温度をポリスチレン系樹脂非発泡被覆層と同温度とすると、発泡剤によって可塑化されている分だけ溶融粘度が低くなり過ぎて破泡を生じる虞れがあるので、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層よりも低い温度に設定する必要がある。
そこで、低発泡層及び高発泡層を共押出ダイから押出す際の樹脂温度をポリスチレン系樹脂非発泡被覆層の樹脂温度よりも低い温度に設定すると共に、低発泡層を共押出ダイから押出す際の樹脂温度を高発泡層の場合に比して高い温度に設定し、低発泡層の樹脂温度をポリスチレン系樹脂非発泡被覆層の樹脂温度に近づけ、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層と高発泡層との間における共押出ダイから押出す際の樹脂温度の差を、低発泡層の存在によって緩和すると共に、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層と高発泡層との間における共押出ダイから押出す際の溶融粘度の差も低発泡層の存在によって緩和している。
よって、発泡性積層体を共押出ダイから押出発泡させる際の条件に幅を持たせることができ、発泡性積層体を共押出ダイから安定的に押出発泡させて円筒状発泡体を得ることができると共に、この円筒状発泡体は、高発泡層、低発泡層及びポリスチレン系樹脂非発泡被覆層がこの順序で内側から外側に向かって美麗な状態に積層一体化されており、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層はその表面平滑性に優れている。
そして、高発泡層及び低発泡層は共にそれぞれの発泡に適した樹脂温度にて押出発泡されるので、高発泡層及び低発泡層には共押出発泡時に不必要な歪みは殆ど発生しておらず、この高発泡層及び低発泡層を展開して得られる低密度発泡層11及び高密度発泡層12は、その歪みが少なくて柔軟性に富んでおり、優れた成形性を有している。
更に、第一押出機3からのポリスチレン系樹脂(高発泡層)を共押出ダイから押出す際の樹脂温度は、第二押出機4からのポリスチレン系樹脂(低発泡層)を共押出ダイから押出す際の樹脂温度よりも低くなるように調整されているが、第一押出機3からのポリスチレン系樹脂(高発泡層)を共押出ダイから押出す際の樹脂温度と、第二押出機4からのポリスチレン系樹脂(低発泡層)を共押出ダイから押出す際の樹脂温度との差は、大きいと、得られる低密度発泡層の連続気泡率が高くなり、低密度発泡層と高密度発泡層との間の熱融着による一体性が低下し、両者間において層間剥離が生じ易くなるので、「低発泡層」と「高発泡層」とのいずれか一方のみを前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させる場合であっても、40℃未満とすることが好ましく、両者とも耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させる場合、あるいは、両方とも耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を用いない場合であれば23℃未満が好ましく、5〜20℃がより好ましい。
そして、第二押出機4からのポリスチレン系樹脂(低発泡層)を共押出ダイから押出す際の樹脂温度は、高いと、高密度発泡層の連続気泡率が高くなって、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの機械的強度が低下して印刷特性が低下する虞れがあるので、例えば、耐熱性ポリスチレンを用いる場合においても195℃未満とすることが好ましく、165〜185℃とすることがより好ましい。
そして、共押出ダイ6の環状ダイ62の先端開口部から発泡性積層体を押出発泡させて得られた円筒状発泡体の外周面に冷却風を吹き付けて円筒状発泡体を冷却して、該円筒状発泡体の内側の低発泡層が必要以上に発泡するのを防止すると共に、低密度発泡層の連続気泡率が20%未満となるように調整してもよい。なお、円筒状発泡体の内面にも冷却風を吹き付けてもよい。
円筒状発泡体の外周面に吹き付ける冷却風の風量は、少ないと、低発泡層の冷却が不充分となって、得られる高密度発泡層の密度が低くなり、或いは、得られる高密度発泡層の連続気泡率が高くなることがあるので、円筒状発泡体の外周面1m2当たり0.1m3以上が好ましく、1m2当たり0.2〜0.8m3がより好ましい。
又、円筒状発泡体の外周面に吹き付ける冷却風の温度は、低いと、低発泡層が過度に冷却されて、低発泡層の発泡が阻害される虞れがある一方、高いと、低発泡層の冷却が不充分となり、得られる高密度発泡層の密度が低くなり、或いは、得られる高密度発泡層の連続気泡率が高くなることがあるので、10〜70℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
次に、上記円筒状発泡体を徐々に拡径させた上で冷却マンドレル7に供給して円筒状発泡体を冷却した後、上記円筒状発泡体をその押出方向に内外周面間に亘って連続的に切断して切り開き、高発泡層を切り開いてなる低密度発泡層11上に、低発泡層を切り開いてなる高密度発泡層12と、ポリスチレン系樹脂非発泡被覆層を切り開いてなるポリスチレン系樹脂非発泡層とがこの順序で互いに直接、熱融着によって積層一体化してなる長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造し、この長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは巻取り軸に連続的に巻き取られる。
そして、上記ポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、プラグアシスト真空成型などの汎用の熱成形方法によって、インスタント麺などの包装容器などの所望の熱成形品に成形することができる。ポリスチレン系樹脂積層発泡シートからインスタント麺の包装容器を熱成形した場合、包装容器の上端開口部にはフランジ部が形成されており、このフランジ部を利用して包装容器の開口部が封止用シートによって閉止されている。
この包装容器の開口部から封止用シートを除去して包装容器の開口部を開放させる場合には、封止用シートを包装容器のフランジ部から剥離、除去させるが、包装容器を形成しているポリスチレン系樹脂積層発泡シートの低密度発泡層11と高密度発泡層12とは強固に熱融着一体化していることから、封止用シートの剥離力によって低密度発泡層11と高密度発泡層12とが両者間において層間剥離するようなことはない。
又、包装容器は、運搬用の収納箱内に縦横に配列させた状態に収納されて所定場所まで運搬されるが、互いに隣接する容器同士が運搬中に生じる振動によって擦れ合うものの、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの低密度発泡層11と高密度発泡層12とは強固に熱融着一体化していることから、包装容器同士の摩擦力によって低密度発泡層11と高密度発泡層12とが両者間において層間剥離するようなことはない。
さらに、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなる容器は、低密度発泡層11、高密度発泡層12、及び、非発泡層2のいずれかが耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されており、優れた耐熱性を示すとともに、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加による靱性向上効果が発揮された高強度なものである。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
第一押出機3として、口径が115mmの第一段目の単軸押出機と、この第一段目の単軸押出機に接続された口径が150mmの第二段目の単軸押出機とからなるタンデム型押出機を用意した。又、第二押出機4として口径が90mmの単軸押出機を用意する一方、第三押出機5として口径が115mmの単軸押出機を用意した。更に、共押出ダイ6として、合流ダイ61と、この合流ダイ61に接続される環状ダイ62とからなるものを用意し、この共押出ダイ6の合流ダイ61に第一〜第三押出機3〜5の全てを接続した。
(実施例1)
第一押出機3として、口径が115mmの第一段目の単軸押出機と、この第一段目の単軸押出機に接続された口径が150mmの第二段目の単軸押出機とからなるタンデム型押出機を用意した。又、第二押出機4として口径が90mmの単軸押出機を用意する一方、第三押出機5として口径が115mmの単軸押出機を用意した。更に、共押出ダイ6として、合流ダイ61と、この合流ダイ61に接続される環状ダイ62とからなるものを用意し、この共押出ダイ6の合流ダイ61に第一〜第三押出機3〜5の全てを接続した。
そして、上記第一押出機3における第一段目の単軸押出機に、ポリスチレン系樹脂(DIC社製GPPS(スチレンホモポリマー)、商品名「XC−515」)70質量%、及び、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とポリスチレン系樹脂(PS)との混合樹脂(サビック社製、商品名「ノリルEFN4230」、PPE/PS=70/30)30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)1.5質量部を供給して樹脂温度270℃にて溶融混練した後、第一段目の単軸押出機に発泡剤としてブタン(ノルマルブタン:65質量%、イソブタン:35質量%)3.0質量部を圧入した上でこの耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練して高発泡性ポリスチレンとし、次に、第一段目の単軸押出機で溶融混練された高発泡性ポリスチレンを連続的に第二段目の単軸押出機に供給して溶融混練しながら樹脂温度178℃まで冷却した。
更に、上記第二押出機4に、ポリスチレン系樹脂(DIC社製GPPS(スチレンホモポリマー)、商品名「XC−515」)70質量%、及び、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とポリスチレン系樹脂(PS)との混合樹脂(サビック社製、商品名「ノリルEFN4230」、PPE/PS=70/30)30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)2.0質量部を供給して樹脂温度270℃にて溶融混練した後、第一段目の単軸押出機に発泡剤としてブタン(ノルマルブタン:65質量%、イソブタン:35質量%)3.0質量部を圧入した上でこの耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練して低発泡性ポリスチレンとし、次に、第一段目の単軸押出機で溶融混練された高発泡性ポリスチレンを連続的に第二段目の単軸押出機に供給して溶融混練しながら樹脂温度192℃まで冷却した。
又、上記第三押出機5に、耐衝撃性ポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「HIPS,E641」、メルトフローレイト:3.6g/10分)を供給して樹脂温度220℃にて溶融混練した上で、耐衝撃性ポリスチレン100質量部に対してブタン1.0質量部を第三押出機5に圧入して更に溶融混練した後に樹脂温度181℃まで冷却した。
そして、第一押出機3から共押出ダイに高発泡性ポリスチレンを、第二押出機4から低発泡性ポリスチレンを、第三押出機5から耐衝撃性ポリスチレンをそれぞれ、第一〜第三押出機3〜5を接続させている共押出ダイ6の合流ダイ61内に押出して、これらの樹脂を合流ダイ61内にて合流させ、断面円形状の高発泡性ポリスチレン層の外周面に低発泡性ポリスチレン層及び耐衝撃性ポリスチレン被覆層がこの順序で積層してなる発泡性積層体とし、この発泡性積層体を共押出ダイ6の環状ダイ62に連続的に供給して円筒状に形成し、環状ダイ62の先端開口部から円筒状の発泡性積層体を押出発泡させ、高発泡性ポリスチレンを押出発泡させて得られた発泡層を高発泡層とし、低発泡性ポリスチレンを押出発泡させて得られた発泡層を低発泡層として、耐衝撃性ポリスチレン非発泡被覆層(非発泡層)、低発泡層及び高発泡層が外側から内側に向かって層状に積層された円筒状発泡体を製造した。なお、第一押出機3からの押出量は130kg/時間、第二押出機4からの押出量は43kg/時間、第三押出機5からの押出量は87kg/時間であった。又、共押出ダイ6の環状ダイ62は、その内側ダイ621の先端面621a直径が215mmで且つ開口部のクリアランスが0.76mmであった。
次に、上記円筒状発泡体をその外周面に1m2当たり0.48m3/分の風量で、内周面に1m2当たり0.21m3の風量で40℃の冷却風を吹き付けながら徐々に拡径させた後に、一定径を有する円柱状の冷却マンドレル7(直径:670mm)に連続的に供給して円筒状発泡体を冷却し、しかる後、上記円筒状発泡体をその押出方向に内外周面間に亘って連続的に切断して切り開き、高発泡層を切り開いてなる低密度発泡層11上に、低発泡層を切り開いてなる高密度発泡層12、及び、耐衝撃性ポリスチレン非発泡被覆層を切り開いてなる耐衝撃性ポリスチレン非発泡層2がこの順序で熱融着によって積層一体化してなる長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートAを製造し、この長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートAを巻取り軸に連続的に巻き取った。
次に、押出してから1カ月経過後に長尺状のポリスチレン系樹脂積層発泡シートAを巻き出し、プラグアシスト真空成形によって碗形状の成形品を熱成形した。なお、成形品は、その開口部の内径が13.5cm、外径が14.5cm、深さが7.5cmであり、耐衝撃性ポリスチレン非発泡層2が外側となっていた。
(実施例2)
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに1.1質量部供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに1.1質量部供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
(比較例1)
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第二押出機4に3.4質量部の代わりに5.0質量部供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第二押出機4に3.4質量部の代わりに5.0質量部供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
(比較例2)
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに0.65質量部供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに0.65質量部供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
(比較例3)
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに1.1質量部供給したこと、ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第二押出機に3.4質量部の代わりに2.5質量部を供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに1.1質量部供給したこと、ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第二押出機に3.4質量部の代わりに2.5質量部を供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
(比較例4)
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに2.5質量部供給したこと、ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第二押出機に3.4質量部の代わりに5.0質量部を供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第一押出機3に1.5質量部の代わりに2.5質量部供給したこと、ポリスチレンに気泡調整剤として粒径が5〜15μmのタルク及び分散剤が添加されてなるマスターバッチ(キハラ化成社製 商品名「SMA−01」、タルク:約40質量%)を第二押出機に3.4質量部の代わりに5.0質量部を供給したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び碗形状の成形品を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡シートの低密度発泡層及び高密度発泡層において、厚み、目付、密度及び平均気泡径を先述の方法で測定し、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの耐衝撃性ポリスチレン非発泡層の厚みを測定し、更に、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの連続気泡率、剥離性、印刷特性及び成形性を下記の要領で測定し、その結果を表1、2に示した。なお、表1において、平均気泡径比は、高密度発泡層の平均気泡径と低密度発泡層の平均気泡径の比(高密度発泡層の平均気泡径/低密度発泡層の平均気泡径)を意味する。
(剥離性)
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの任意の箇所において、押出方向(MD)の寸法が50mm、幅方向(TD)の全長に亘って、耐衝撃性ポリスチレンシート層2のみを高密度発泡層12から剥離させた際に、耐衝撃性ポリスチレンシート層2のみが剥離できた場合を「○」、低密度発泡層11と高密度発泡層12との間に一部でも層間剥離が生じた場合を「×」として評価した。
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの任意の箇所において、押出方向(MD)の寸法が50mm、幅方向(TD)の全長に亘って、耐衝撃性ポリスチレンシート層2のみを高密度発泡層12から剥離させた際に、耐衝撃性ポリスチレンシート層2のみが剥離できた場合を「○」、低密度発泡層11と高密度発泡層12との間に一部でも層間剥離が生じた場合を「×」として評価した。
(印刷特性)
碗形状の成形品の外周面に曲面印刷機を用いて印刷を施した。この印刷を目視観察し、かすれていない場合を「○」、かすれている場合を「×」とした。
碗形状の成形品の外周面に曲面印刷機を用いて印刷を施した。この印刷を目視観察し、かすれていない場合を「○」、かすれている場合を「×」とした。
(成形性)
得られた碗状の成形品を目視観察して、成形品に破れ、亀裂及び透孔が全く生じていなかった場合を「○」、成形品に破れ、亀裂又は透孔の何れかが存在していた場合を「×」とした。
得られた碗状の成形品を目視観察して、成形品に破れ、亀裂及び透孔が全く生じていなかった場合を「○」、成形品に破れ、亀裂又は透孔の何れかが存在していた場合を「×」とした。
(参考例)
以下に、樹脂成分がスチレン系樹脂単体のポリスチレン系樹脂組成物で作製したポリスチレン系樹脂発泡シートと、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させたポリスチレン系樹脂組成物で作製したポリスチレン系樹脂発泡シートとにおいて割れ難さを評価した事例を示す。
以下に、樹脂成分がスチレン系樹脂単体のポリスチレン系樹脂組成物で作製したポリスチレン系樹脂発泡シートと、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させたポリスチレン系樹脂組成物で作製したポリスチレン系樹脂発泡シートとにおいて割れ難さを評価した事例を示す。
(シート1)
ポリスチレン系樹脂(DIC社製GPPS(スチレンホモポリマー)、商品名「XC−515」)70質量%、及び、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とポリスチレン系樹脂(PS)との混合樹脂(サビック社製、商品名「ノリルEFN4230」、PPE/PS=70/30)30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、消臭成分として東亜合成社製のリン酸ジルコニウム系消臭剤(商品名「ケスモンNS−10」)を0.5質量部含有する樹脂組成物を押出し発泡して、厚み2.0mm、目付け(坪量)180g/m2の発泡シートを作製した。
ポリスチレン系樹脂(DIC社製GPPS(スチレンホモポリマー)、商品名「XC−515」)70質量%、及び、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とポリスチレン系樹脂(PS)との混合樹脂(サビック社製、商品名「ノリルEFN4230」、PPE/PS=70/30)30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、消臭成分として東亜合成社製のリン酸ジルコニウム系消臭剤(商品名「ケスモンNS−10」)を0.5質量部含有する樹脂組成物を押出し発泡して、厚み2.0mm、目付け(坪量)180g/m2の発泡シートを作製した。
(シート2)
GPPS、PPE、及び、消臭成分を含む樹脂組成物に代えてアクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合体(耐熱性ポリスチレン)を押出し発泡してシート1と同じ厚みで同じ目付けのポリスチレン系樹脂発泡シート(シート2)を作製した。
GPPS、PPE、及び、消臭成分を含む樹脂組成物に代えてアクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合体(耐熱性ポリスチレン)を押出し発泡してシート1と同じ厚みで同じ目付けのポリスチレン系樹脂発泡シート(シート2)を作製した。
(シート3)
GPPS、PPE、及び、消臭成分を含む樹脂組成物に代えてGPPSのみを押出し発泡してシート1と同じ厚みで同じ目付けのポリスチレン系樹脂発泡シート(シート3)を作製した。
GPPS、PPE、及び、消臭成分を含む樹脂組成物に代えてGPPSのみを押出し発泡してシート1と同じ厚みで同じ目付けのポリスチレン系樹脂発泡シート(シート3)を作製した。
(耐熱性評価:示差走査熱量測定)
上記シートから6.5±0.5mgのサンプルを採取し、JIS K7121に基づいて示差走査熱量測定を実施した(使用装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、示差走査熱量計装置、型名「DSC6220」)。
その結果、シート1、シート2のサンプルにおいては、JIS K7121 9.3(1)に記載の「中間点ガラス転移温度(Tmg)」が120℃付近に観察され、シート3のサンプルでは、106℃に観察された。
上記シートから6.5±0.5mgのサンプルを採取し、JIS K7121に基づいて示差走査熱量測定を実施した(使用装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、示差走査熱量計装置、型名「DSC6220」)。
その結果、シート1、シート2のサンプルにおいては、JIS K7121 9.3(1)に記載の「中間点ガラス転移温度(Tmg)」が120℃付近に観察され、シート3のサンプルでは、106℃に観察された。
(靱性評価:ダイナタップ衝撃試験)
上記シート1〜3から、100×100mmのテストピースを採取して、該テストピースに対して、ASTM D3763に基づくダイナタップ衝撃試験を実施した(使用装置:General Research Corp.社製、ダイナタップ衝撃試験装置、型名「GRC8250」)。
その結果、シート2のテストピースについては、最大点変位3.2mm、最大荷重29Nという結果となり、シート3のテストピースについては、最大点変位4.0mm、最大荷重36Nという結果となった。
一方でシート1のテストピースについては、最大点変位4.4mm、最大荷重42Nという結果となった。
このことからもシート1は、PPE系樹脂が含有されることによって変位と荷重が大きな割れ難い状態となっていることがわかる。
上記シート1〜3から、100×100mmのテストピースを採取して、該テストピースに対して、ASTM D3763に基づくダイナタップ衝撃試験を実施した(使用装置:General Research Corp.社製、ダイナタップ衝撃試験装置、型名「GRC8250」)。
その結果、シート2のテストピースについては、最大点変位3.2mm、最大荷重29Nという結果となり、シート3のテストピースについては、最大点変位4.0mm、最大荷重36Nという結果となった。
一方でシート1のテストピースについては、最大点変位4.4mm、最大荷重42Nという結果となった。
このことからもシート1は、PPE系樹脂が含有されることによって変位と荷重が大きな割れ難い状態となっていることがわかる。
1:ポリスチレン系樹脂発泡シート層、11:高密度発泡層、12:低密度発泡層、2:ポリスチレン系樹脂非発泡層、3:第一押出機、4:第二押出機、5:第三押出機、6:共押出ダイ、61:合流ダイ、62:環状ダイ、7:マンドレル、A:ポリスチレン系樹脂積層発泡シート
Claims (6)
- 共押出発泡によって製造されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートであって、
密度が0.07〜0.17g/cm3のポリスチレン系樹脂低密度発泡層上に、密度が0.18〜0.45g/cm3のポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層がこの順序で積層一体化されてなり、上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径が200〜500μmであると共に、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径が70〜180μmであり、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径と上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径の比(ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径/ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径)が0.33〜0.6であり、前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、前記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層は、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。 - 前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層が、前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成されている請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- ポリスチレン系樹脂積層発泡シート全体の連続気泡率が20%未満である請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなることを特徴とする容器。
- 共押出ダイに接続されている第一押出機、第二押出機、及び、第三押出機に、同じか、又は、異なるポリスチレン系樹脂組成物を供給し、前記第三押出機において前記ポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練するとともに、前記第一押出機及び前記第二押出機においては、発泡剤と気泡調整剤との存在下にて前記ポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練し、前記共押出ダイから、上記第一押出機から押出された高発泡層と、上記第二押出機から押出された低発泡層と、上記第三押出機から押出された非発泡層とをこの順番で層状に押出発泡して円筒状発泡体を製造し、この円筒状発泡体を拡径した後にマンドレルに供給して冷却した上で、上記円筒状発泡体をその押出方向に沿って連続的に切断することにより切り開いて、密度が0.07〜0.17g/cm3のポリスチレン系樹脂低密度発泡層上に、密度が0.18〜0.45g/cm3のポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、ポリスチレン系樹脂非発泡層がこの順序で積層一体化されてなり、上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径が200〜500μmであると共に、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径が70〜180μmであり、上記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径と上記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径の比(ポリスチレン系樹脂高密度発泡層の平均気泡径/ポリスチレン系樹脂低密度発泡層の平均気泡径)が0.33〜0.6となるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを作製し、しかも、前記第一押出機、前記第二押出機、及び、前記第三押出機の内の少なくとも1台の押出機には、ポリスチレン系樹脂とともにポリフェニレンエーテル系樹脂を含有し、しかも、前記ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下となる割合で前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を供給して、前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層、前記ポリスチレン系樹脂高密度発泡層、及び、前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の内の少なくとも一層を前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成せることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
- 前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を前記第一押出機に供給して、少なくとも前記ポリスチレン系樹脂低密度発泡層を前記耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物で形成させる請求項5に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
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2010
- 2010-06-28 JP JP2010146868A patent/JP2012006357A/ja active Pending
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