JP5576093B2 - ポリスチレン系樹脂板状発泡シートとその製造方法及びディスプレイパネル - Google Patents
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Description
その為、メディアと板状発泡シートとを接着剤を使用して接着させる場合、接着不良による浮きが発生したり、ポスターなどのメディアが伸縮することで、板状発泡シートに反りが発生するなどの問題があった。
また接着剤として水性エマルジョン系接着剤を用いた場合には、雨に濡れてメディアが台紙から剥がれてしまうなどの問題があるため、野外向け用のディスプレイパネルには、吸水性のない台紙に疎水性エマルジョン系接着剤を使用してメディアを接着して剥離し難くするなど、目的に応じて構成を変更したメディア接着用のポリスチレン系樹脂板状発泡積層シートが必要であり、高コストになる問題があった。
特に印刷直後に紫外線(UV)や電子線などの電磁波を照射し、被印刷素材に対して瞬時にインクを硬化・定着させる紫外線硬化型インク(以下、UVインクと記す)が実用されている。
このようなUVインクをインクジェット印刷技術を用いてポリスチレン系樹脂板状発泡シート表面に直接印刷すれば、前述したようなメディアの剥がれや反りが無くなり、また台紙にメディアを接着して使用する場合と比べ、低コストでディスプレイパネルを提供することができる。
なお、インクジェット印刷機に使用されるインクとしては、前記UVインクの他に、水性インク、溶剤系の染料系、顔料系インクなどが提供されている。
特許文献1には、環状ダイから筒状に押出されたポリスチレン系樹脂発泡体をピンチロールにて挟圧して該発泡体の内面を融着させて製造された、厚み2〜20mm、見掛け密度0.04〜0.2g/cm3のポリスチレン系樹脂発泡板において、少なくとも片面の表面気泡数が100個/4mm2以上であると共に、算術平均表面粗さ:Raが下記(1)式及び(2)式
MDのRa≦2.5μm・・・(1)
TDのRa≦3.5μm・・・(2)
(但し、MDはポリスチレン系樹脂発泡板の押出方向、TDは押出方向に対して直角なポリスチレン系樹脂発泡板の幅方向である。)を満足することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡板が開示されている。
しかしながら、前記特許文献1に開示された樹脂発泡板は、インクジェット印刷で用いられる各種のインクのうち、UVインクでの直接印刷は可能であるが、他のインク、特に水性インクで直接印刷を行うと、インク付着不良による白とびや色むらなどの印刷不良が発生することがあるため、汎用性に劣るという問題がある。
本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートは、ポリスチレン系樹脂を円筒状に押出発泡させ、押出直後の円筒の外表面を冷却したのち、冷却した円筒を押しつぶし、2層に重ね合わせて融着させる融着法によって製造され、表皮層を備えた、全体の密度が0.05〜0.12g/cm3で厚さ3〜10mmの板状又はシート状のポリスチレン系樹脂板状発泡シートであって、該シート表面の算術平均粗さRaが5〜15μmの範囲内であり、表面から深さ250μmまでの範囲に存在する気泡の押出流れ方向の平均気泡径MD、前記押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TD、厚さ方向の平均気泡径VDが、4<MD/VD<10、3<TD/VD<8 の関係を満たすことを特徴とする。
本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートにおいて、シート表面の算術平均粗さRaを5〜15μmの範囲内とすることで、該シート表面にインクジェット印刷によって直接印刷することができ、さらにUVインクだけでなく、水性インクを用いた場合であってもインクジェット印刷によって直接印刷することができ、使用インクの汎用性を高めることができる。該シート表面の算術平均粗さRaは、6〜12μmの範囲が好ましく、7〜11μmの範囲がさらに好ましい。
表面から深さ250μmまでの範囲に存在する気泡が、MD/VDの値が4〜10の範囲内であり、且つTD/VDの値が3〜8の範囲内である本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートは、従来技術により製造された発泡シート、例えば、後述する比較例3及び4の発泡シートと比べ、表面付近の気泡の厚さ(VD)が小さくなって、より偏平な気泡になっている。
本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートは、表面から深さ250μmまでの範囲に存在する気泡の押出流れ方向の平均気泡径MD、前記押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TD、厚さ方向の平均気泡径VDが、4<MD/VD<10、3<TD/VD<8 の関係を満たすようにし、さらに前述したようにシート表面の算術平均粗さRaを5〜15μmの範囲内としたことで、UVインクだけでなく、水性インクを用いた場合であってもインクジェット印刷によって直接印刷することができ、使用インクの汎用性を高めることができる。
本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートにおいて、前記MD/VDの値は4〜8の範囲が好ましく、4〜6の範囲がさらに好ましい。また、前記TD/VDの値は3〜6の範囲が好ましく、3〜5の範囲が更に好ましい。
前記MD及びTDが180〜350μmの範囲内であれば、シート表面の算術平均粗さRaを5〜15μmの範囲内とし易くなり、UVインクだけでなく、水性インクを用いた場合であってもインクジェット印刷によって直接印刷することができ、使用インクの汎用性を高めることができる。
一方、Z平均分子量が50万未満であると、低密度のシートの曲げ強度が劣り、軽量で強度に優れたポリスチレン系樹脂板状発泡シートが得られ難くなる。またポリスチレン樹脂を押出発泡する際の伸びが悪くなり、4<MD/VD<10、3<TD/VD<8の関係を満たすポリスチレン系樹脂板状発泡シートの製造が難しくなる。
また、原料となるポリスチレン系樹脂として、Z平均分子量が50万以上であるポリスチレン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に係るポリスチレン系樹脂板状発泡シートは、前述した通り、ポリスチレン系樹脂を円筒状に押出発泡させ、押出直後の円筒の外表面を冷却したのち、冷却した円筒を押しつぶし、2層に重ね合わせて融着させる融着法によって製造される。
本発明の製造方法では、前記融着法によって本発明に係るポリスチレン系樹脂板状発泡シートを効率よく製造するため、原料のポリスチレン系樹脂として、200℃における溶融張力が7〜25cNの範囲内であり、且つメルトフローレート(以下、MFRと記す)が1〜4の範囲内であるポリスチレン系樹脂を用いている。
原料のポリスチレン系樹脂の200℃における溶融張力が7cN未満である場合には、溶融張力が小さすぎるため、発泡適性温度での樹脂の伸び量が大きくなりすぎる。このため、表面付近の気泡の平均気泡径(MD,TD,VD)が前記の関係を満たさず、且つ算術平均粗さRaが前記範囲から外れる結果、本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートが得られなくなるおそれがある。
また、原料のポリスチレン系樹脂の200℃における溶融張力が25cNを超える場合には、溶融張力が大きすぎるため、発泡適性温度での樹脂の伸び量が不十分となって、表面付近の気泡の平均気泡径(MD,TD,VD)が前記の関係を満たさず、且つ算術平均粗さRaが前記範囲から外れる結果、本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートが得られなくなるおそれがある。また融着法では、押出発泡した円筒を、ピンチロールを通して押しつぶすまでの間で、空気を注入して風船のように膨らませることで、ポリスチレン系樹脂板状発泡シートの幅を調整しているが、溶融張力が過剰に大きい場合は、この工程で十分な幅を出しにくいという問題もある。
なお、原料のポリスチレン系樹脂の200℃における溶融張力は、9〜24cNの範囲が好ましく、10〜18cNの範囲がより好ましい。
MFRが1未満では、発泡適性温度での樹脂の伸びが不足するおそれがある。またMFRが4を超える場合には、発泡体の溶融張力が低下するため、発泡適性温度での樹脂の伸び量が大きくなりすぎる。その結果、表面付近の気泡の平均気泡径(MD,TD,VD)が前記の関係を満たさず、且つ算術平均粗さRaが前記範囲から外れる結果、本発明のポリスチレン系樹脂板状発泡シートが得られなくなるおそれがある。
また、このようなポリスチレン系樹脂を用いることで、押出時の発泡性が安定して厚みが得やすく、外観美麗なシートが得やすくなる。
本発明の製造方法において、融着法の条件は従来同様でよい。
ただし、融着法では通常、押出直後の円筒の外表面にエアを吹き付けて冷却しているが、本発明の製造方法では、30〜40℃のエアを、外表面1m2あたり0.01〜0.08m3の風量で吹き付ける必要がある。冷却エアの風量が0.01m3/m2未満では冷却が不十分となり、冷却によって生成する表皮層の厚みが小さく、強度が低くなりすぎるため、ピンチロールを通して押しつぶす際などに傷がつきやすくなり、商品価値が低下する。
なお、冷却エアの風量は0.02〜0.07m3/m2の範囲が好ましく、0.03〜0.06m3/m2の範囲がより好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂を押出発泡させるための発泡剤としては、種々の揮発性発泡剤や分解型発泡剤が挙げられる。
このうち揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素や、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素などの1種または2種以上が挙げられ、とくにブタンが好適に使用される。ブタンとしてはノルマルブタン、もしくはイソブタンをそれぞれ単独で使用してもよいし、ノルマルブタンとイソブタンとを任意の割合で併用してもよい。
また場合によっては、二酸化炭素、窒素、水なども適宜用いることができる。これらの発泡剤は単独で使用できる他、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡核剤としては、例えばタルクやステアリン酸カルシウム等が挙げられる。発泡核剤は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部の割合で添加される。
ポリスチレン系樹脂には、発泡剤、発泡核剤以外の種々の添加剤を添加してもよい。ポリスチレン系樹脂に添加することのできるその他の添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。添加剤の配合割合は適宜、設定される。
本発明のディスプレイパネルは、前述した製造方法により製造された本発明に係るポリスチレン系樹脂板状発泡シートを必要に応じて所望の寸法に裁断し、パネル本体とし、該パネル本体の一方又は両方の表面に直接印刷を施してなるものである。前記パネル本体の寸法や印刷する文字や画像については制限されない。
また、インクジェット印刷に用いるインクとしては、UVインク、水性インクの両方を用いることができる。これらのインクは、市販されている各種インクジェット印刷用インクの中から適宜選択して使用することができる。また、インクジェット印刷機は、使用するインクの硬化特性に応じて、印刷直後に紫外線を照射するためのUV光源や乾燥のためのヒータやドライヤー等の機能を付設してあることが好ましい。
(ポリスチレン系樹脂板状発泡シートの製造方法)
押出機として内径115mm押出機と150mm押出機が連結された押出機を用い、ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G9305」)(200℃での溶融張力11cN、MFR1.5)100質量部に対し、タルク(キハラ化成社製)0.13質量部、タルクMB(キハラ化成社製、商品名「MO−60」)0.45質量部、ステアリン酸カルシウム(品川化工社製、商品名「SAK−CS−P」)0.09質量部添加した配合原料を供給し、押出機内にて最高温度230℃で溶融、混練した後、発泡ガスとしてブタン(イソ/ノルマル=50/50%)を3.9質量部添加し、樹脂と混合した。その後発泡に適した樹脂温度165℃まで冷却した。
さらに押出機の先端部に設けられた口径180φでスリットクリアランス0.95mmに設定されたサーキュラーダイより溶融樹脂を押出して発泡させ、押出された円筒状の発泡体の外面に冷却エア吹き付け、ワニ口ロールで上下より圧着して2層を融着させながら冷却し、ポリスチレン系樹脂板状発泡シートを得た。
得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートについて、<厚み測定>、<密度測定>、<表面気泡径測定>、<算術平均粗さRa測定>及び<分子量測定>を、下記の測定法によって行った。
得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートの厚みを、厚み測定器SM−12(TECLOCK社製)を用いて測定した。
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートの密度(g/cm3)は、その質量と体積とを測定して、質量(g)÷体積(cm3)により求めた。
得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートの表面から厚さ方向250μm迄の範囲にある気泡の、押出流れ方向の平均気泡径MD、前記押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TD、厚さ方向の平均気泡径VDを、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して下記のように測定した。
まず、得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートをMD方向(押出流れ方向)、TD方向(押出流れ方向と垂直方向)及びVD方向(厚さ方向)に沿って切断し、それぞれの切断面を、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製のS−3000N)で例えば倍率50倍に拡大して撮影する。
押出流れ方向の平均気泡径MDは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、発泡シート表面から深さ(厚さ方向)100μm、175μm、250μmの位置にそれぞれMD方向に直線を引き、一直線上(長さ50mm)にあるそれぞれの気泡数を求め、その平均値を平均気泡数として、下記式により算出した。但し直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数を0.5個として数えた。
平均気泡径MD(μm)=50(mm)/(平均気泡数×写真の倍率)×1000
押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TDは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、発泡シート表面から深さ(厚さ方向)100μm、175μm、250μmの位置にそれぞれTD方向に直線を引き、一直線上(長さ50mm)にあるそれぞれの気泡数を求め、その平均値を平均気泡数として、下記式により算出した。但し直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数を0.5個として数えた。
平均気泡径TD(μm)=50(mm)/(平均気泡数×写真の倍率)×1000
厚さ方向の平均気泡径VDは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、発泡シート表面から深さ(厚さ方向)250μmの位置までVD方向に直線を引き、一直線上(長さLmm)にある気泡数を求め、計測は4ヶ所とし、その平均値を平均気泡数として、下記式により算出した。但し直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数を0.5個として数えた。
平均気泡径VD(μm)=L(mm)/(平均気泡数×写真の倍率)×1000
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートに直接印刷を行う場合、発泡シートの表面から深さ250μmまでの範囲に存在する気泡の形状が印刷性に影響を与えるので、気泡径の計測範囲を発泡シートの表面から深さ250μmまでの範囲とした。
得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートの表面の算術平均粗さ測定は、JIS B0601に準拠して測定した。
測定装置は、キーエンス社製のダブルスキャン高精度レーザー測定器LT−9500,LT−9010M及びコムス社製の非接触輪郭形状粗さ測定システムMAP−2SDを用いて、測定範囲18000μm、測定ピッチ5μm、測定速度1000μm/秒で測定し、発泡シート表面のMD方向、TD方向にそれぞれ3箇所について算術平均粗さRaの測定を行い、それらの平均を測定値(単位はμm)とした。
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂の分子量は次のようにして測定する。
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートの試料約4mgをTHF4mlに溶解し、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過後、東ソー社製 HLC−8320GPC(RI検出器内臓)を用いてポリスチレン換算分子量としての数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)を測定した。その測定条件は以下のようにした。
・カラム:東ソー社製 TOSOH TSKgel SuperMultiporeHZ−H(φ4.6×150mm)2本
・ガードカラム:東ソー社製 TOSOH TSKguardSuperMP(HZ)−H(φ4.6×20mm)1本
・カラム温度:40℃
・移動相:THF
・移動相流量:0.2ml/min
・ポンプ温度:40℃
・検出器温度:40℃
・検出器:RI
・注入量:20μl
・検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製(Shodex)分子量Mwが5,620,000と3,120,000と1,250,000と442,000と131,000と54,000と20,000と7,590と3,450と1,320
得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートを用い、富士フィルムグラフィクスシステムズ社製のジェットプリンター(商品名:「ラクセルジェットUV350GTW」)を用いて、予めデータとして取り込まれたサンプル画像の直接印刷を行い、目視で印刷性を評価した。
UVインクとしては、富士フィルムセリコール社製の商品名:「New UVインクジェットインク」を用いて評価した。水性インクとして日本セオ社製の商品名:「OCE CS」を用いた。水性インクについては乾燥のため、熱風吹きつけ乾燥を行った。
印刷性の評価は、下記の基準により評価した。
910mm×1820mmのポリスチレン系樹脂板状発泡シート10枚に、UVインク、水性インクでの直接印刷を行った。
印刷評価については下記のような基準で評価した。
良好(○):10枚中10枚とも白とびまたは色むらが殆ど見られない。
不良(×):10枚中1〜2枚に白とびまたは色むらが所々見られる。
印刷不適(××):10枚中3枚以上に白とびまたは色むらが所々見られる。
ポリスチレン樹脂として、東洋スチレン社製、商品名「HRM−48」(200℃での溶融張力16cN、MFR2.3)を用い、発泡ガスとしてブタン(イソ/ノルマル=50/50%)を3.2質量部添加したこと、冷却エアの風量を0.05m3/m2にしたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂板状発泡シートを作製し、更に該発泡シート表面に直接印刷を行った。
ポリスチレン樹脂100質量部に対して、タルク(キハラ化成社製)0.07質量部、タルクMB(キハラ化成社製、商品名:「MO−60」)0.15質量部、ステアリン酸カルシウム(品川化工社製、商品名:「SAK−CS−P」)0.09質量部を添加した配合原料を用いたこと、発泡ガスとしてブタン(イソ/ノルマル=50/50%)を4.1質量部添加したこと、冷却エアの風量を0.02m3/m2にしたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂板状発泡シートを作製し、更に該発泡シート表面に直接印刷を行った。
ポリスチレン樹脂100質量部に対して、タルク(キハラ化成社製)0.13質量部、タルクMB(キハラ化成社製、商品名:「MO−60」)0.55質量部、ステアリン酸カルシウム(品川化工社製、商品名:「SAK−CS−P」)0.09質量部を添加した配合原料を用いたこと、発泡ガスとしてブタン(イソ/ノルマル=50/50%)を3.6質量部添加したこと、冷却エアの風量を0.06m3/m2にしたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂板状発泡シートを作製し、更に該発泡シート表面に直接印刷を行った。
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートとして、市販のジェイエスピー社製、商品名「ミラボードS−#500」を使用した。実施例1と同様に該ボードに対して各測定を行った。また、該ボードについて実施例1と同様に直接印刷を行って印刷性評価を行った。
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートとして、市販のジェイエスピー社製、商品名「ミラボードUV−EX」を使用した。実施例1と同様に該ボードに対して各測定を行った。また、該ボードについて実施例1と同様に直接印刷を行って印刷性評価を行った。
図1に実施例1で作製したポリスチレン系樹脂板状発泡シートの断面の電子顕微鏡画像を示す。
図2に図1の要部拡大図を示す。
図3に実施例1で作製したポリスチレン系樹脂板状発泡シートの表面の電子顕微鏡画像を示す。
図4に実施例2で作製したポリスチレン系樹脂板状発泡シートの電子顕微鏡画像を示す。
図5に比較例4で用いた市販品ボードの断面の電子顕微鏡画像を示す。
図1〜図4に示すように、本発明に係るポリスチレン系樹脂板状発泡シートの気泡状態は、図5に示す市販品ボードの気泡状態と比べ、特にシート表面付近の気泡が偏平に(厚みが少ない)なっていることがわかる。
実施例1〜2で得られたポリスチレン系樹脂板状発泡シートについて、インクジェット印刷による印刷性を評価した結果、水性インク、UVインクともに印刷性は良好(○)であった。
このように、本発明における算術平均粗さRaの上限を超えていた比較例1のポリスチレン系樹脂板状発泡シートは、インクジェット印刷による印刷性を評価した結果、水性インク、UVインクともに悪く、印刷不適となった。
このように、本発明における算術平均粗さRaの下限値未満であった比較例2のポリスチレン系樹脂板状発泡シートは、インクジェット印刷による印刷性を評価した結果、UVインクについては良好な印刷性を示したが、水性インクについては白とびまたは色むらが見られ、不良であった。
このように、本発明における平均気泡径の関係式4<MD/VD<10、3<TD/VD<8の関係を満たしていない比較例3の市販品は、インクジェット印刷による印刷性を評価した結果、UVインク、水性インクともに、白とびまたは色むらが見られ、不良であった。
このように本発明における平均気泡径の関係式を満たしておらず、算術平均粗さRaが下限値未満であった比較例4の市販品は、インクジェット印刷による印刷性を評価した結果、UVインクについては良好な印刷性を示したが、水性インクについては白とびまたは色むらが見られ、不良であった。
Claims (5)
- 原料のポリスチレン系樹脂を円筒状に押出発泡させ、押出直後の円筒の外表面を冷却したのち、冷却した円筒を押しつぶし、2層に重ね合わせて融着させる融着法によって製造され、表皮層を備えた、全体の密度が0.05〜0.12g/cm3で厚さ3〜10mmの板状又はシート状のポリスチレン系樹脂板状発泡シートであって、
ポリスチレン系樹脂板状発泡シートを構成するポリスチレン系樹脂は、Z平均分子量が50万以上であり、
該シート表面の算術平均粗さRaが5〜15μmの範囲内であり、表面から深さ250μmまでの範囲に存在する気泡の押出流れ方向の平均気泡径MD、前記押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TD、厚さ方向の平均気泡径VDが、
4<MD/VD<10、3<TD/VD<8
の関係を満たすことを特徴とするポリスチレン系樹脂板状発泡シート。 - 前記平均気泡径MD及びTDが180〜350μmの範囲内である請求項1に記載のポリスチレン系樹脂板状発泡シート。
- 請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂板状発泡シートの表面に直接印刷されたディスプレイパネル。
- 少なくとも印刷面上に熱可塑性樹脂フィルムが積層された請求項3に記載のディスプレイパネル。
- 請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂板状発泡シートを得る製造方法であって、
前記原料のポリスチレン系樹脂は、Z平均分子量が50万以上であり、200℃における溶融張力が7〜25cNの範囲内であり、MFRが1〜4の範囲内であり、押出直後の円筒の外表面に風量0.03〜0.08m3/m2、温度30〜40℃のエアを吹き付けることによって、前記本発明に係るポリスチレン系樹脂板状発泡シートを得ることを特徴とするポリスチレン系樹脂板状発泡シートの製造方法。
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