JP5485048B2 - ポリスチレン系樹脂積層発泡板とその製造方法およびディスプレイパネル - Google Patents
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Description
特許文献1には、気泡が破壊される温度以下でかつ菊模様が発生する温度以上の温度で、少なくともイソブタンを含む発泡剤を含有する合成樹脂をサーキュラーダイより管状シートとして押出し、押出し直後にその外表面を気体で冷却することによりシート外表面からの揮発分及び発泡ガスの逸散が抑制された状態の該管状シートをピンチロールで挟圧して内面を融着せしめて2枚合わせの発泡合成樹脂シートを得る厚物発泡合成樹脂シートの製造方法であって、押し出された該管状シートを発泡終了時近傍点においてその断面形状が長径/短径=1.1〜3.0である楕円形状となるように、かつ、挟圧後の密度が0.2g/cc〜0.04g/ccであり、残ガスのうちイソブタンが0.5質量%〜8質量%含まれるように制御しつつピンチロールで挟圧することを特徴とする厚物発泡合成樹脂シートの製造方法、並びに該製造方法により得られ、少なくともイソブタンを含む発泡剤を含有する管状シートを挟圧し内面を融着せしめてなる2枚合わせの厚物発泡合成樹脂シートであって、密度が0.2g/cc〜0.04g/ccであり、残ガスのうちイソブタンが0.5質量%〜8質量%含まれることを特徴とする厚物発泡合成樹脂シートが開示されている。
MDのRa≦2.5μm・・・(1)
TDのRa≦3.5μm・・・(2)
(但し、MDはポリスチレン系樹脂発泡板の押出方向、TDは押出方向に対して直角なポリスチレン系樹脂発泡板の幅方向である。)を満足することを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡板が開示されている。
特許文献1、特許文献2および特許文献5に記載された従来技術では、低密度の発泡板を得るためには、多量の揮発性発泡剤が必要であり、また、その揮発性発泡剤は製造後、時間と共にある程度までは、徐々に減少していくことから、得られた発泡板の寸法や物性が変化してしまう問題があった。また、発泡板の印刷性を向上させるために、表面の密度を高めることを試みると、さらに多量の揮発性発泡剤が必要となるため、寸法変化や強度面で課題を有していた。また、製法上、気泡が偏平になり発泡板の厚み方向の強度を高めることが困難であった。
また、これらの発泡板の残存ガスを少なくするために、加熱処理を施すと、押出発泡成形時の残存応力の緩和によって変形し、所定の寸法に調整するためにカット加工などで寸法を調整する必要がある。
更に、これらの発泡板の表面平滑性と剛性を向上させるために、熱可塑性樹脂フィルムを積層する方法が考えられるが、平滑性を挙げるために延伸フィルムを積層すると、その延伸緩和力により変形したり、また、溶融した熱可塑性樹脂フィルムをこれら発泡板に積層すると、その熱量により表面が侵されたり、発泡したりして、逆に平滑性が損なわれるなどの問題がある。
[ポリスチレン系樹脂積層発泡板]
図1は、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡板の実施形態を示す図である。このポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、複数枚(図1の例示では2枚)のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bが積層されてなり、これらのポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2b同士は融着接合され、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚み方向の中央1/3部分の気泡は、MD/VDおよびTD/VD(ただし、MDは発泡シート押出流れ方向の平均気泡径であり、TDは発泡シート押出流れ方向と直交する幅方向の平均気泡径であり、VDは発泡シート厚み方向の平均気泡径である)の値が0.6〜1.4の範囲であることを特徴としている。特に、このポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの融着接合部3近傍の気泡が潰れておらず、略球状を保っていることを特徴としている。
該非発泡樹脂層4a,4bは、ポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された構成とすることが好ましい。前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、塩化ビニリデン系樹脂フィルム、ポリアクリル酸エステル系樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどの透明な樹脂フィルムが挙げられ、その中でもポリスチレン系樹脂フィルムが好ましい。
本実施形態のポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、厚み方向の中央1/3部分に融着接合部を有しており、前記MD/VDおよびTD/VDの値が0.6〜1.4の範囲になっていることによって、融着接合部3近傍の気泡が潰れて非発泡樹脂層となったり、気泡が変形することが少なくなり、厚みが厚く、軽量で、表面平滑性に優れると共に、圧縮強度などの機械強度が高く剛性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡板1を提供することができる。前記MD/VDおよびTD/VDの値が0.6〜1.4の範囲から外れると、強度が弱くなったり、そりが発生したりする恐れがある。
本実施形態のポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、厚み方向の外面側1/3部分に融着接合部を有しておらず、前記md/vdおよびtd/vdの値が0.6〜3.5の範囲になっていることによって、外力に対する変形が少なく、表面平滑性に優れたポリスチレン系樹脂積層発泡板1を提供することができる。前記md/vdおよびtd/vdの値が0.6〜3.5の範囲から外れると製造後の変形が大きくなったり、たわみやすい発泡板となる恐れがある。
なお、本発明において前記MD,TD,VDのぞれぞれの平均気泡径、md、td、vdのそれぞれの平均気泡径とは、下記の測定方法によって得られた値を言うこととする。
複数枚のポリスチレン系樹脂発泡シートが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡板であって、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚み方向の中央1/3部分にある気泡の、押出流れ方向の平均気泡径MD、前記押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TD、厚さ方向の平均気泡径VDを、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して下記のように測定した。
(1)まず、得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板1をMD方向(押出流れ方向)、TD方向(押出流れ方向と垂直方向)及びVD方向(厚さ方向)に沿って切断し、それぞれの切断面を、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製のS−3000N)で例えば倍率50倍に拡大して撮影する。
押出流れ方向の平均気泡径MDは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚み方向の中央1/3部分の位置にMD方向に直線を引き、一直線上(長さ50mm)にあるそれぞれの気泡数を求め、その平均値を平均気泡数として、下記式により算出した。但し直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数を0.5個として数えた。なお、気泡膜中に存在する気泡の長径が0.05mm以下の微細気泡は気泡数に数えないこととした。
平均気泡径MD(μm)=50(mm)/(平均気泡数×写真の倍率)×1000
(2)押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径TDは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚み方向の中央1/3部分の位置にTD方向に直線を引き、一直線上(長さ50mm)にあるそれぞれの気泡数を求め、その平均値を平均気泡数として、下記式により算出した。但し直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数を0.5個として数えた。なお、気泡膜中に存在する気泡の長径が0.05mm以下の微細気泡は気泡数に数えないこととした。
平均気泡径TD(μm)=50(mm)/(平均気泡数×写真の倍率)×1000
(3)厚さ方向の平均気泡径VDは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚み方向の中央1/3部分の位置にVD方向に直線を引き、一直線上(長さLmm)にある気泡数を求め、その平均値を平均気泡数として、下記式により算出した。但し直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合は気泡数を0.5個として数えた。なお、気泡膜中に存在する気泡の長径が0.05mm以下の微細気泡は気泡数に数えないこととした。
平均気泡径VD(μm)=L(mm)/(平均気泡数×写真の倍率)×1000
また、複数枚のポリスチレン系樹脂発泡シートが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡板であって、最外層に接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚み方向の外面側1/3 部分にある気泡の、押出流れ方向の平均気泡径md、前記押出流れ方向と垂直方向の平均気泡径td、厚さ方向の平均気泡径vdを、上記測定方法に準じて測定した。
また、発泡シート2枚を積層した積層発泡板の場合は、最外層(1枚目)の発泡シートの外面から、もう一方の最外層(2枚目)の発泡シートの外面までの距離(厚み方向)を、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚みとした。そして、その厚みを3等分することで、外面側1/3部分、中央1/3部分とした。
また、発泡シート3枚を積層した積層発泡板の場合は、最外層(1枚目)の発泡シートの外面から、2枚目と3枚目の発泡シートの間の融着接合部までの距離(厚み方向)を5ヶ所測定しその平均距離を、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚みとした。そして、その厚みを3等分することで、外面側1/3部分、中央1/3部分とした。
さらに、発泡シート4枚以上を積層した積層発泡板の場合は、発泡シート3枚を積層した場合に準ずるが、例えば、最外層(1枚目)の発泡シートと2枚目の発泡シートの間の融着接合部から、3枚目と4枚目の発泡シートの間の融着接合部までの距離(厚み方向)を5ヶ所測定しその平均距離を、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの厚みとする場合がある。そして、その厚みを3等分することで、外面側1/3部分、中央1/3部分とした。
また、非発泡樹脂層4a,4bの厚みは50〜200μmの範囲であることが好ましく、80〜150μmの範囲であることがより好ましい。
密度が0.04〜0.15g/cm3の範囲であれば、軽量で、機械強度に優れ、表面平滑性の良好なポリスチレン系樹脂積層発泡板1が得られる。密度が0.04g/cm3の未満であると、十分な機械強度が得られなくなり、0.15g/cm3を超えると、質量が増加し、大型パネルでは取り扱いが難しくなる。密度は0.05〜0.12g/cm3の範囲がより好ましく、0.06〜0.10g/cm3の範囲が更に好ましい。
前記MD,TDおよびVDが10〜500μmの範囲であれば、密度が0.04〜0.15g/cm3の範囲であって、軽量で、機械強度に優れ、表面平滑性の良好なポリスチレン系樹脂積層発泡板1が得られる。前記MD,TDおよびVDが10μm未満であると発泡体自体を得る事が困難となり、500μmを超えると表面状態が粗く、平滑性に劣るものとなる。
前記md,tdおよびvdが0.03〜0.3mmの範囲であれば、表面平滑性の良好なポリスチレン系樹脂積層発泡板1が得られる。前記md,tdおよびvdが0.03mm未満であると表面が柔らかくなり、ディスプレイ用途などに使用する場合、ポスターなどの紙が貼りにくくなる恐れがあり、0.3mmを超えると表面平滑性が悪くなる恐れがある。
前記揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素や、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素などの1種または2種以上が挙げられ、特にブタンが好適に使用される。ブタンとしてはノルマルブタン、もしくはイソブタンをそれぞれ単独で使用してもよいし、ノルマルブタンとイソブタンとを任意の割合で併用してもよい。
なお、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡板は、図1に示した本実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更や修正が可能である。
例えば、前記ポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bを融着接合して構成したが、積層するポリスチレン系樹脂発泡シートの枚数は本例示に限らず、3枚以上としてもよい。積層する複数枚のポリスチレン系樹脂発泡シートは、2枚以上であり、好ましくは3枚以上、より好ましくは3〜5枚の範囲である。2枚以上積層することでポリスチレン系樹脂積層発泡板の厚みが厚くなり発泡板としての強度が増すので、ポスターを貼り合わせたりするディスプレイ基材、打ち抜きや切削加工後に所定形状にして構造部材として使用する軽量工業材料、住宅用建材などとして利用できる。3枚以上積層することによって、特に強度を必要とする軽量工業材料、住宅用建材の用途として好適となる。
また、前記ポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、接合した2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの両方の外面側に非発泡樹脂層4a,4bを積層しているが、非発泡樹脂層を積層しなくてもよいし、いずれか一方の外面側のみに非発泡樹脂層を積層した構成とすることもできる。
更に、非発泡樹脂層4a,4bの外面側(非発泡樹脂層を積層しない場合にはポリスチレン系樹脂発泡シート2a,2bの外面側)には、印刷を施すための紙や樹脂フィルムを接着するための接着剤層を積層してもよい。
図2は、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡板の製造方法の一例を説明する概略構成図である。なお、本例では、2枚の非発泡樹脂層付きポリスチレン系樹脂発泡シート5a,5bを融着接合し、図1に示す前記ポリスチレン系樹脂積層発泡板1を製造する方法について説明する。
本製造方法では、まず、ポリスチレン系樹脂発泡シート5a、5bを原反ロール6a,6bに、シート送り出し可能にセットする。
(1)非発泡樹脂層4a,4bとなる樹脂を押出機に投入し、溶融した非発泡樹脂層形成用の樹脂を押出機先端に取り付けたTダイからポリスチレン系樹脂発泡シート上に押し出す方法、
(2)2つの押出機を備えた共押出装置を用い、一方の押出機で前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの発泡押し出しを行うと共に、他方の押出機から非発泡樹脂層形成用の樹脂を共押出しする方法、
(3)非発泡樹脂層4a,4bとなる樹脂フィルムを接着剤を用いてポリスチレン系樹脂発泡シートの片面に接着する方法、
などが挙げられる。非発泡樹脂層4a,4bとしてポリスチレン系樹脂を用いる場合には、接着剤を用いずにポリスチレン系樹脂発泡シートの片面に非発泡樹脂層4a,4bを形成する前記(1)または(2)の方法が好ましい。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板1は、裁断工程に送られ、カッター10等の切断手段によって所望の寸法に裁断され、ディスプレイパネル用のパネル本体11等に用いられる。
本発明のディスプレイパネルは、前述した製造方法により製造された本発明に係るポリスチレン系樹脂積層発泡板1を必要に応じて所望の寸法に裁断し、パネル本体11とし、該パネル本体の一方又は両方の表面に直接印刷を施し、或いは印刷済みの紙や樹脂フィルム等を接着してなるものである。前記パネル本体11の寸法や印刷する文字や画像については制限されない。
また、インクジェット印刷に用いるインクとしては、UVインク、水性インクの両方を用いることができる。これらのインクは、市販されている各種インクジェット印刷用インクの中から適宜選択して使用することができる。また、インクジェット印刷機は、使用するインクの硬化特性に応じて、印刷直後に紫外線を照射するためのUV光源や乾燥のためのヒータやドライヤー等の機能を付設してあることが好ましい。
押出機として内径115mm押出機と180mm押出機が連結された押出機を用い、ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G0002」)100質量部に対し、発泡核剤としてタルクを40質量%含んだポリスチレンベースのマスターバッチを1.1質量部混合し、これを押出機に投入し、溶融混練しつつ、発泡剤としてブタン(イソ/ノルマル=50/50%)を3.1質量部添加し、樹脂と混合し、発泡適正温度域まで冷却した。さらに、押出機先端に取り付けた、口径180φでスリットクリアランス0.5mmに設定されたサーキュラーダイより溶融樹脂を大気下へ押出して発泡した。押出された円筒状の発泡体の両表面をエアーにて冷却しつつ、ダイに近接配置した冷却マンドレルに接触させて冷却した後、水平方向2点でカッターにより切り開き、巻き取り器にてロール状に巻き取ることで、2枚の発泡シートロールを得た。
得られた発泡シートロールを所定の熟成期間をおいた後、発泡シートの表面上に、Tダイを備えた押出機にポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製の耐衝撃性ポリスチレン樹脂、商品名「E641N」)を投入し、次いで発泡シートの片面に厚み140μmの非発泡フィルムを溶融押出して積層した。得られた非発泡樹脂層付きの発泡シートは、厚み2.3mm、密度0.17g/cm3。
ここで得られた非発泡樹脂層付きの発泡シートロールを2つ使用し、2枚の発泡シートの積層させる発泡層面をヒータにより加熱し、二次発泡させつつ、挟圧ロールにて発泡層面同士を熱融着させて接合し、両面にポリスチレンの非発泡樹脂層を有するポリスチレン系樹脂積層発泡板を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板は、厚み7mm、密度0.11g/cm3(発泡層のみの密度は0.07g/cm3)であった。
このポリスチレン系樹脂積層発泡板の算術平均粗さRaは、MD方向が0.31μm、TD方向が0.33μmであった。
また、厚み方向の中央1/3部分に存在する平均気泡径は、MD方向が0.22mm、TD方向が0.34mm、VD方向が0.28mmであり、MD/VDの値は0.8、TD/VDの値は1.2であった。
また、厚み方向の外面側1/3部分に存在する平均気泡径は、md方向が0.21mm、td方向が0.33mm、vd方向が0.19mmであり、md/vdの値は1.1、td/vdの値は1.7であった。
圧縮強度は、試験片を2枚重ねて試験厚み14mmで測定し、0.44MPaであった。
得られたポリスチレン系樹脂発泡シートおよびポリスチレン系樹脂積層発泡板の厚みを、厚み測定器SM−12(TECLOCK社製)を用いて測定した。
得られたポリスチレン系樹脂発泡シートおよびポリスチレン系樹脂積層発泡板の密度(g/cm3)は、その質量と体積とを測定して、質量(g)÷体積(cm3)により求めた。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板の表面の算術平均粗さ測定は、JIS B0601に準拠して測定した。
測定装置は、キーエンス社製のダブルスキャン高精度レーザー測定器LT−9500,LT−9010M及びコムス社製の非接触輪郭形状粗さ測定システムMAP−2SDを用いて、測定範囲18000μm、測定ピッチ5μm、測定速度1000μm/秒で測定し、積層発泡板表面のMD方向、TD方向にそれぞれ3箇所について算術平均粗さRaの測定を行い、それらの平均を測定値(単位はμm)とした。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板の圧縮強度の測定は、JIS K6767に準拠して測定した。
測定装置は、オリエンテック社製テンシロン万能試験機 UCT−10Tを用いて、試験速度は、5mm/minにて測定した。試験片は、得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板から50mm×50mmの切片を切り出し、切片の厚みが10mm未満の場合は、それを10mm以上となるように重ね、それを試験厚みとした。10mmを超える場合は、そのまま試験片とし測定した。圧縮強度は、試験片厚みに対し、25%圧縮したときの応力値とし、測定を3回実施し、その平均値を圧縮強度とした。
押出機として内径115mm押出機と180mm押出機が連結された押出機を用い、ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G0002」)100質量部に対し、発泡核剤としてタルクを40質量%含んだポリスチレンベースのマスターバッチを1.1質量部混合し、これを押出機に投入し、溶融混練しつつ、発泡剤としてブタン(イソ/ノルマル=50/50%)を3.4質量部添加し、樹脂と混合し、発泡適正温度域まで冷却した。さらに、押出機先端に取り付けた、口径180φでスリットクリアランス0.5mmに設定されたサーキュラーダイより溶融樹脂を大気下へ押出して発泡した。押出された円筒状の発泡体の両表面をエアーにて冷却しつつ、ダイに近接配置した冷却マンドレルに接触させて冷却した後、水平方向2点でカッターにより切り開き、巻き取り器にてロール状に巻き取ることで、2枚の発泡シートロールを得た。
ここで得られた発泡シートロールを2つ使用し、2枚の発泡シートの積層させる発泡層面をヒータにより加熱し、二次発泡させつつ、挟圧ロールにて発泡層面同士を熱融着させて接合し、ポリスチレン系樹脂積層発泡板を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板は、厚み7mm、密度0.07g/cm3であった。
このポリスチレン系樹脂積層発泡板の算術平均粗さRaは、MD方向が2.33μm、TD方向が2.89μmであった。
また、厚み方向の中央1/3部分に存在する平均気泡径は、MD方向が0.22mm、TD方向が0.34mm、VD方向が0.28mmであり、MD/VDの値は0.8、TD/VDの値は1.2であった。
また、厚み方向の外面側1/3部分に存在する平均気泡径は、md方向が0.19mm、td方向が0.29mm、vd方向が0.16mmであり、md/vdの値は1.2、td/vdの値は1.8であった。
圧縮強度は、試験片を2枚重ねて試験厚み14mmで測定し、0.41MPaであった。
発泡シートロールを4つ使用し、4枚の発泡シートの積層させる発泡層面をヒータにより加熱し、二次発泡させつつ、挟圧ロールにて発泡層面同士を熱融着させて接合した以外は実施例2と同様にして、ポリスチレン系樹脂積層発泡板を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板は、厚み14mm、密度0.07g/cm3であった。
このポリスチレン系樹脂積層発泡板の算術平均粗さRaは、MD方向が2.33μm、TD方向が2.89μmであった。
また、厚み方向の中央1/3部分に存在する平均気泡径は、MD方向が0.22mm、TD方向が0.34mm、VD方向が0.28mmであり、MD/VDの値は0.8、TD/VDの値は1.2であった。なお、上記平均気泡径は、4枚の発泡シートを積相させたことによる融着接合部3箇所の平均値である。
また、最外層に接合された2枚の発泡シートの厚み方向の外面側1/3部分に存在する平均気泡径は、md方向が0.19mm、td方向が0.29mm、vd方向が0.16mmであり、md/vdの値は1.2、td/vdの値は1.8であった。
圧縮強度は、試験片1枚を用い試験厚み14mmで測定し、0.41MPaであった。
押出機として内径115mm押出機と150mm押出機が連結された押出機を用い、ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G9305」(200℃での溶融張力11cN、MFR1.5))100質量部に対し、タルク(キハラ化成社製)0.13質量部、タルクMB(キハラ化成社製、商品名:「MO−60」)0.45質量部、ステアリン酸カルシウム(品川化工社製、商品名:「SAK−CS−P」)0.09質量部を添加した配合原料を供給し、押出機内にて最高温度230℃で溶融、混練した後、発泡剤としてブタン(イソ/ノルマル=65/35%)を3.8質量部添加し、樹脂と混合した。その後発泡に適した樹脂温度165℃まで冷却した。
さらに押出機の先端部に設けられた口径180mmφでスリットクリアランス1.2mmに設定されたサーキュラーダイより溶融樹脂を押出して発泡させ、押し出された円筒状の発泡体の外面に冷却エアーを吹き付け、ワニ口ロールで上下より圧着して2層を融着させながら冷却し、ポリスチレン系樹脂積層発泡板を得た。
得られたポリスチレン系樹脂積層発泡板は、厚み7mm、密度0.07g/cm3であった。
このポリスチレン系樹脂積層発泡板の算術平均粗さRaは、MD方向が5.8μm、TD方向が9.4μmであった。
また、厚み方向の中央1/3部分に存在する平均気泡径は、MD方向が0.45mm、TD方向が0.48mm、VD方向が0.28mmであり、MD/VDの値は1.9、TD/VDの値は2.0であった。
また、厚み方向の外面側1/3部分に存在する平均気泡径は、md方向が0.43mm、td方向が0.49mm、vd方向が0.23mmであり、md/vdの値は1.9、td/vdの値は2.1であった。
図3に実施例1で作製したポリスチレン系樹脂積層発泡板のMD断面の電子顕微鏡画像を示す。
図4に実施例1で作製したポリスチレン系樹脂積層発泡板のTD断面の電子顕微鏡画像を示す。
図5に比較例1で作製したポリスチレン系樹脂積層発泡板のMD断面の電子顕微鏡画像を示す。
図6に比較例1で作製したポリスチレン系樹脂積層発泡板のTD断面の電子顕微鏡画像を示す。
また、図示はしないが、実施例2、実施例3で作製したポリスチレン系樹脂積層発泡板のMD断面、TD断面の融着接合部近傍の気泡状態および外面側近傍の気泡状態は、実施例1で作製したポリスチレン系樹脂積層発泡板のMD断面、TD断面の融着接合部近傍の気泡状態および外面側近傍の気泡状態とほとんど同じであった。
また前記測定結果を比較すると、実施例のポリスチレン系樹脂積層発泡板は、比較例のものと比べ、表面平滑性に優れており、圧縮強度が高く剛性に優れていた。
2a,2b ポリスチレン系樹脂発泡シート
3 融着接合部
4a,4b 非発泡樹脂層
5a,5b ポリスチレン系樹脂発泡シート
6a,6b 原反ロール
7 ローラ
8a,8b ヒータ
9a,9b 熱ロール
10 カッター
11 パネル本体
Claims (7)
- 複数枚のポリスチレン系樹脂発泡シートが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡板であって、
前記ポリスチレン系樹脂発泡シート同士は融着接合され、接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シートの厚み方向の中央1/3部分に前記の接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シート同士の融着接合部を有し、
前記中央1/3部分の気泡は、MD/VDおよびTD/VD(ただし、MDは発泡シート押出流れ方向の平均気泡径であり、TDは発泡シート押出流れ方向と直交する幅方向の平均気泡径であり、VDは発泡シート厚み方向の平均気泡径である)の値が0.6〜1.3の範囲であり、
最外層に接合された2枚のポリスチレン系樹脂発泡シートの厚み方向の外面側1/3部分の気泡は、md/vdおよびtd/vd(ただし、mdは発泡シート押出流れ方向の平均気泡径であり、tdは発泡シート押出流れ方向と直交する幅方向の平均気泡径であり、vdは発泡シート厚み方向の平均気泡径である)の値が0.6〜3.5の範囲であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡板。 - ポリスチレン系樹脂積層発泡板の密度が0.04〜0.15g/cm3の範囲であり、かつ前記MD,TDおよびVDが10〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡板。
- ポリスチレン系樹脂積層発泡板の表裏いずれか一方または両方の面に非発泡樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡板。
- 前記非発泡樹脂層の算術平均表面粗さRaが2μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡板。
- 樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂と発泡剤とを溶融混練して押出発泡させて得られた複数枚のポリスチレン系樹脂発泡シートを積層してポリスチレン系樹脂積層発泡板を得る方法であって、
前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面を加熱して表面層を溶融発泡させながら複数枚重ね合わせて押圧し、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡板を得ることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡板の製造方法。 - 最外層のポリスチレン系樹脂発泡シートの外面側に非発泡樹脂層を積層する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡板の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡板の一方または両方の面に印刷を施してなるディスプレイパネル。
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