JP3887897B2 - 主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置 - Google Patents

主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、クレーン車、例えばオールテレンクレーン車等の作業用車両においては、主として、通常走行時に使用される主運転席と、クレーン作業等の作業時に使用される補助運転席とを備えたものが多く、上記主運転席を有する主運転室及び補助運転席を有する補助運転室内には、通常、操舵用のステアリングホイール、ブレーキ制御用のブレーキペダル、エンジン制御用のアクセルペダル等が夫々設けられており、一例として、実開昭64−32275号公開公報に、この種車両の操舵装置が開示されている。
【0003】
上記主運転席及び補助運転席を有する車両の操舵装置においては、上記公開公報に記載されている操舵装置と同様に、主運転席側には、ステアリングホイールと操舵車輪即ち前輪の操舵機構との間に、機械的なリンク機構を含む油圧式パワーステアリング装置を設けると共に、補助運転席側には、ステアリングホイールの操舵回転方向及び回転角に応じた作動圧油を操舵車輪、通常は前輪の操舵用油圧応動装置に供給し操舵するようにした所謂全油圧式操舵装置を設けたものが多い。
【0004】
また、上記従来の車両では、前輪及び後輪が何れも操舵可能に構成され、上記主運転席及び補助運転席から操舵車輪としての前輪及び後輪を夫々操舵し得るように構成されているので、構造極めて複雑であり、かつ車両の製造コスト及びメンテナンスコストが著しく高くなることを免れない。そこで、例えば、空港で駐機している航空機に対し給水し或いは使用済の汚水を搬出等の作業を行なう作業車の場合、通常のトラック等と同様に、前輪のみを操舵車輪とし、同前輪を車両前部に設けられた主運転席及び車両後部に設けられた補助運転席の双方から随時操向操作し得るように構成して、車両の構造を簡素化し製造コスト及びメンテナンスコストを低減すると共に、重量の軽減を図ることが望ましい。
【0005】
しかしながら上記空港用作業車の場合、上記操舵車輪即ち前輪に近い車体前部に配置された主運転席と、前輪から遠く離れた車体後部に配置されている補助運転席とでは、操舵感覚が可成異なるため、運転者が主運転席から補助運転席に移って操舵を行なうとき、操舵量が大き過ぎると、予期しない車両の回頭運動、即ち車両の前輪側が予想以上に大きく変位する回頭運動が生起する可能性があり、車両周辺に存在する他の器物や人員との不測の接触を防止するために高度の操舵技量と慎重な操作とが必要となる不具合がある。
特に、補助運転席からの操舵制御系統に、構造簡単で安価な全油圧式の操舵装置が採用されている場合、同操舵装置の性質上、上記のような過大操舵が行なわれ易い傾向がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の主運転席及び補助運転席を有する車両における操舵装置の欠点を改善するために創案されたもので、主運転席から補助運転席に移動して操舵を行なう際に、補助運転席での操舵時の最大舵角を、主運転席での操舵時の最大舵角より小さく設定することによって、上述した車両の不測の過大な回頭運動に起因する車両周辺の器物や人員との接触を効果的に防止することができるようにした操舵装置を提供することを、主たる目的とするものである。
【0007】
また本発明は、通常のトラック等と同様に前輪を操舵車輪とし、同前輪を主運転席及び補助運転席の任意の一方から操舵し得る構成を備え、かつ補助運転席での操舵時の最大舵角を小さく設定することによって、構造簡単で製造コストが安く、かつ軽量であり、さらに、補助運転席での操舵が容易で車両の安全な回頭運動を確保することができる操舵装置を提供することを、他の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、車両に設けられた主運転席及び補助運転席の任意の一方で行なわれる操向操作によって操舵される操舵車輪と、同操舵車輪が上記補助運転席における操向操作によって操舵される状態であることを検出する運転状態検出手段と、上記操舵車輪の最大舵角を変更し得るように設けられた最大舵角可変手段と、上記運転状態検出手段により補助運転席で操向操作が行なわれる状態が検出されたときに、上記操舵車輪を直進状態に復帰させた後、最大舵角を上記主運転席で操向操作が行なわれるときの最大舵角より小さく設定するように上記最大舵角可変手段の作動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置を提案するものである。
【0009】
上記構成により、運転者が主運転席を離れ補助運転席に移動して操舵を開始しようとする際に、その状態が運転状態検出手段により検知されると、上記制御手段により最大舵角可変手段が作動されて主運転席で操舵が行なわれる場合の最大舵角より十分小さい最大舵角に設定されるので、補助運転席からの操舵に基づく車両の回頭変位が緩和される。
【0010】
本発明においては、上記操舵車輪が車両の前輪であって後輪は操舵されない車輪であり、且つ上記主運転席が車両の前部に設けられると共に、補助運転席が車両の後部に設けられることが好ましい。
この構成により、使用頻度が高い主運転席での操舵系統の構成及び操舵性能を、通常の車両と略同等のものとすることができると共に、車両構造の簡素化及び重量の軽減を図ることができ、さらに主運転席と補助運転席との間に作動機器及び設備を配設する十分なスペースが用意される。
【0011】
また、本発明において、上記最大舵角可変手段が、上記操舵車輪を支持するナックルに設けられたストッパ部材と、キングピンを介して上記ナックルを操向可能に枢支する前車軸に設けられ上記ストッパ部材に当接することによって上記主運転席での操舵時における最大舵角を設定するストッパ受部と、上記ストッパ部材及びストッパ受部間に挿入されることによって上記補助運転席での操舵時における最大舵角を設定する出没自在のスペーサ部材とから構成されることが好ましい。
この構成により、主運転席での操舵時における操舵車輪の最大舵角を設定するために設けられている既存のストッパ部材及びストッパ受部を活用し、同ストッパ部材及びストッパ受部間にスペース部材を挿入することによって補助運転席での操舵時における最大舵角を小さく設定することができるので、構造簡単な最大舵角可変手段が得られる。
【0012】
さらに、本発明において、上記運転状態検出手段が、上記補助運転席に設けられ同補助運転席側からの操舵が可能な状態と同補助運転席側からの操舵が不能な状態とに選択的に切換えられるスイッチ装置であることが好ましい。
この構成によれば、補助運転席での操舵を可能とするため同補助運転席に通常設けられている既存の切換えスイッチ装置を上記運転状態検出手段として活用するので、構造が簡単になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好ましい実施形態を図1ないし図8を参照して説明する。
先ず、図1は空港において駐機している航空機の下側に進入し、飲料水や雑用水等を航空機に補給し、或いは汚水等を搬出する作業車の概略側面図であって、車台フレーム10の前端部分に主運転室12が設けられ、同主運転室12内には、運転者が着座して運転操作を行なう主運転席14及び運転者によって操作されるステアリングホイール16、アクセルペダル18、図示しない常用ブレーキ用のペダル、パーキングブレーキ作動用のブレーキレバー、トランスミッション制御用の変速操作レバー、その他運転上必要な諸装置、並びに給水及び排水ポンプ等作業機に必要な種々の制御部材又は装置が設けられている。上記主運転室12は、例えば航空機に到着するまでの通常走行時には、平行リンク機構20を含む昇降機構により、図中に2点鎖線で示されている高位置に保持されて良好な運転視界を得ることができ、また航空機の下方に進入し又はそこから退出する場合は、図中に実線で示した低位置に保持される。
【0014】
一方、車台フレーム10の後端には、エンジン22が装架され、同エンジン22の出力はトランスミッション24及びプロペラシャフト26を介して後車軸28に伝達される。同後車軸28は、その車幅方向の両端付近をメインリーフスプリング30及びペルパリーフスプリング32を介して車台フレーム10に支持されると共に、後輪34を駆動する。同後輪34は、通常のトラック等の後輪と同様に操舵されない車輪である。
上記エンジン22は、その整備、点検等に際して、図中に2点鎖線で示されているチルトアップ位置まで廻動させることができるエンジンフード36によって覆われ、同エンジンフード36には、例えば航空機の汚水搬出及び雑用水の補給作業が終了し同航空機の下側から後進し退去する場合等、必要に応じ車両をその後部から運転できるようにした補助運転席38が設けられている。
【0015】
上記補助運転席38は、図示の場合、運転者が立ったままの姿勢で車両後方を向いて運転操作を行なうように設けられており、従って、ここでの運転席なる語は、座席を意味するものではなく、運転者が運転時に位置する空間を意味するものである。しかしながら、必要に応じ運転者が着座することができる簡易な丸椅子のような座席を設けても良く、また、勿論エンジンフード36とは別体の補助運転室を設け、その中に補助運転席38をしつらえても良い。
上記補助運転席38には、ステアリングホイール40及びアクセルペダル42、並びに、図示を省略されているブレーキペダルその他車両の運転上必要な諸装置が設けられている。
【0016】
なお、上記主運転室12に隣接する車台フレーム10の前端付近に、車幅方向に延在する前車軸44が配置され、同前車軸44は、その車幅方向両端付近を、メインリーフスプリング46及びヘルパーリーフスプリング48を介して車台フレーム10に支持されている。前車軸44には、後に詳述するように操舵車輪としての前輪50が取付けられている。また、上記主運転室12とエンジンフード36との間の車台フレーム10上に、図示を省略されている給水タンク及び昇降式作業台等が配置されている。
【0017】
上記作業車の操舵装置の概略構成が図2の斜視図に示されている。前車軸44の車幅方向両端に、キングピンを介してナックル52が、同キングピンの軸線の周りに自在に廻動し得るように支持され、同ナックル52のスピンドル部に、上記前輪50が装着されるホイールハブ54及びブレーキドラム56が回転自在に支持されている。左右の前輪50を支持するナックル52の何れか一方、図示の場合、右方のナックル52に第1のナックルアーム58が取付けられ、同ナックルアーム58の先端自由端部に第1のドラッグリンク60の後端が枢着されている。
【0018】
上記第1ドラッグリンク60の前端は、前輪即ち操舵車輪50の第1の油圧操舵装置を構成するパワーステアリングブースタ62の出力部材を形成するピットマンアーム64の自由端部に枢着されている。また、上記左右のナックル52には、タイロッドアーム66が夫々突設され(図2では右方のナックルのタイロッドアーム66のみが図示されている)、左右のタイロッドアーム66の自由端部には、操舵時に左右の前輪50の舵角を実質的に等しくするためのタイロッド68の両端が枢着されている。
上記パワーステアリングブースタ62は、図示の場合、自体周知のインテグラル型パワーステアリングブースタが示されているが、セミインテグラル型及びリンケージ型パワーステアリング装置を用いることもできる。
【0019】
上記主運転席14に着座した運転者によって操作されるステアリングホイール16に連結されたステアリングシャフト70には、自在接手72を介して入出力の方向を変換するベベルギヤボックス74が連結されている。同ベベルギヤボックス74の横方向出力端には、前後端に自在接手76及び78を備えたユニバーサルシャフト80が接続され、同ユニバーサルシャフト80の後方自在接手78は、上記パワーステアリングブースタ62の入力端に連結されている。
【0020】
上記左右の前輪50を支持するナックル52の他方、図示の場合、左側のナックル52に第2のナックルアーム82が取付けられ、同ナックルアーム82の先端自由端部に第2のドラッグリンク84の後端が枢着されている。同第2ドラッグリンク84の前端は、前輪即ち操舵車輪50の第2の油圧操舵装置を構成する油圧式ギヤボックス86の出力部材を形成する第2のピットマンアーム88の自由端部に枢着されている。
【0021】
上記油圧式ギヤボックス86は、図3に概念的に示されているように、自体周知のインテグラルパワーステアリング装置からコントロールバルブ部分を除き油圧応動装置部分だけを残したものに相当する構成を備えており、一例として図示の場合、シリンダ90と、同シリンダ90内に摺動自在に嵌装されその外周に噛合歯を設けたパワーピストン92と、同パワーピストン92の外周の噛合歯に噛合するセクタギヤを有し同パワーピストン92の変位によって回転されるセクタシャフト94とを備え、同セクタシャフト94には出力部材を構成する上記第2ピットマンアーム88が固着されている。
【0022】
さらに,上記第2ピットマンアーム88には、図4の部分的側面図に良く示されているように、その長さを調整し得るように構成されたセンサ作動ロッド96の一端がボールジョイント98を介して枢着され、同センサ作動ロッド96の他端は、車台フレーム10のサイドレール10′に固着された舵角センサ100の入力レバー102にボールジョイント104を介して枢着されている。
【0023】
上記舵角センサ100は、ピットマンアーム88に上記センサ作動ロッド96を介して連動する入力レバー102の廻動変位によって、同ピットマンアーム88、従って操舵車輪としての前輪50が、左舵、右舵又は中立の何れの状態にあるかを検知するもので、図3に概念的に示されているように、上記ピットマンアーム88が左舵方向に廻動したときに閉成されるスイッチ100Lと、同ピットマンアーム88が右舵方向に廻動したときに閉成されるスイッチ100Rとを備え、これらのスイッチ100L及び100Rは、ピットマンアーム88が中立位置にあるときは、何れも開路するように構成されている。なお、図3では便宜的に各スイッチ100L及び100Rの作動ロッドが、直接ピットマンアーム88と協働するように画かれているが、実際には、上述したように、舵角センサ100の入力レバー102と協働する。
【0024】
また、前記補助運転席38に設けられたステアリングホイール40のステアリングシャフト106には、自体公知の全油圧型ステアリングユニット108が連結され、同ステアリングユニット108は後述するように、上記第2油圧操舵装置を構成する油圧式ギヤボックス86に接続されてその作動を制御する。
上記パワーステアリングブースタ62及び全油圧型ステアリングユニット108の油圧供給管路110a及び112aは、第1の電磁作動の油圧切換弁114を介して択一的に油圧ポンプ又は圧油源116に接続される。同油圧ポンプ116は、車両のエンジン22によって駆動され又は適宜の電源、例えば車載バッテリ118(図3参照)により給電される電動モータによって駆動され、オイルタンク120内に貯溜された作動油を加圧して吐出管路122を介し上記第1の油圧切換弁114に供給する。
【0025】
上記パワーステアリングブースタ62の戻り管路110bは、第1のコネクタ124を介してオイルタンク120に接続されている。また、上記全油圧型ステアリングユニット108の左舵出力管路112Lは第2の電磁作動の油圧切換弁126に接続され、同油圧切換弁126の作動により上記油圧式ギヤボックス86の右舵入力管路128R又は第2のコネクタ130を介し上記オイルタンク120に連通される。さらに上記全油圧型ステアリングユニット108の右舵出力管路112Rは、第3の電磁作動の油圧切換弁132に接続され、同油圧切換弁132の作動により上記油圧式ギヤボックス86の左舵入力管路128L又は上記第2コネクタ130を介しオイルタンク120に連通される。
【0026】
さらに、上記第1油圧切換弁114と油圧式ギヤボックス86との間に、第4の電磁作動の油圧切換弁134が配設され、同油圧切換弁134は、後に詳細に説明するように、車両の運転者が主運転席14から離席したのち、補助運転席38で操舵を行なうに先立ち、前記舵角センサ100と協働して上記油圧式ギヤボックス86を中立位置に強制的に駆動し、操舵車輪としての前輪50を中立即ち直進状態に復帰させるように作動する。
【0027】
次に、図3の油圧回路(実線で示す)及び電気回路(点線で示す)図において、136は車両のトランスミッション24がニュートラルに操作されたときに閉成され、その他の前進及び後進変速段に操作されたときに開路されるトランスミッションスイッチ、138は主運転席14の周辺に配置されたパーキングブレーキレバーが操作されてパーキングブレーキが作動状態のときに閉成されると共にパーキングブレーキが解除されているときに開路されるパーキングブレーキスイッチ、140は上記主運転席14に運転者が着座するときに開路されると共に、運転者が主運転席から離席したときに閉成されるシートスイッチであり、これらのスイッチ136ないし140は、上記第1油圧切換弁114及び上記舵角センサ100内のスイッチ100L,100Rを含む第4油圧切換弁134の付勢回路(以下、場合により第1付勢回路という)の電源118側に直列に介装されている。
【0028】
また、車両の補助運転席38には、同運転席に移動した運転者が、押しボタン142aをスプリング142bに抗して押圧しているときだけ閉成され、同運転者が押しボタン142aを押圧することをやめたとき、即ち操作力が除かれたときに、上記スプリング142bにより自動的に開路される手動のスイッチ装置142が設けられ、同スイッチ装置142は、上記第1、第2及び第3油圧切換弁114,126及び132の付勢回路(以下場合により第2付勢回路という)内に介装されている。さらに、スイッチ装置142は、その閉路によって前輪50が補助運転席38のステアリングホイール40を操向操作することによって操舵可能な状態であることを示す運転状態検出手段を構成している。なお、図3において符号Sは車両のキースイッチを示す。
【0029】
次に、図5ないし図7に良く示されているように、上記ナックル52は前輪50を図示しないベアリング装置を介して回転自在に支持するスピンドル部52aと、略平らな板状の基部52bと、同基部52bの上下両端部に夫々車幅方向内方に向って突設され、キングピン146の上下両端部を相対回転可能に支持する上下のキングピン支持腕52cとを備え、上記キングピン146は前車軸44の車幅方向の端部に支持されている。
【0030】
また、ナックル52の基部50bには、車幅方向内方に向って延びた調整ボルト148が螺合されてストッパ部材を構成している。また、前車軸44のキングピン146より車幅方向内方部分に、上記ストッパ部材148と協働する隆起部150が設けられ、同隆起部150はストッパ受部を構成している。
【0031】
上記ナックル52がキングピン146の軸線O−Oの回りに廻動して、上記ストッパ部材即ち調整ボルト148の頭部頂面が上記ストッパ受部150に当接することによって、ナックル52、従って同ナックル52に支持された前輪50の最大舵角が設定される。同最大舵角は、調整ボルト148の螺合深さを調整して所要の舵角に調定されたのち、ロックナット152を締付けて同ボルト148を固定することによって設定される。
【0032】
図5ないし図7は、左方の前輪50の取付部分を示し、上記ストッパ部材148とストッパ受部150の協働により、左方前輪50の左舵方向の最大舵角が設定され、左方前輪50の左舵最大舵角が設定されると、前記タイロッドアーム66及びタイロッド68を介して右方前輪50の左舵方向の最大舵角が実質的に同一舵角に設定される。
図示はされていないが、右方の前輪50のナックル52にも、上記と同様のストッパ部材148が設けられ、また右方のナックル52をキングピン146を介して枢支する前車軸44の右端部分には上記と同様のストッパ受部150が設けられており、右方ナックル52のストッパ部材148とストッパ受部150との協働によって、右方の前輪50の右舵方向の最大舵角が設定される。右方の前輪50の右舵最大舵角が設定されることによって、タイロッドアーム66及びタイロッド68を介して左方前輪50の右舵方向の最大舵角が実質的に同一舵角に設定される。
【0033】
図6及び図7に良く示されているように、上記調整ボルト148を固定するロックナット152を利用してナックル52の基部52bにブラケット154の一端が固着され、同ブラケット154の他端にエアシリンダ装置156が取付けられている。同エアシリンダ装置156のピストン軸158の先端自由端部にスペーサ部材160が装着されており、エアシリンダ装置156とそのピストン軸158に装着されたスペーサ部材160とによって、左舵用の最大舵角可変手段が構成されている。なお、右方前輪50側にも上記と実質的に同一のエアシリンダ装置156及びスペーサ部材160とからなる右舵用の最大舵角可変手段が配設されている。
【0034】
図6及び図7に実線で示されているように、上記ピストン軸158がシリンダ内に縮入している第1位置では、上記スペーサ部材160がストッパ部材148とストッパ受部150との間に挿入されず、従って左右の前輪50は、通常の大きい最大舵角で操舵される。また、上記ピストン軸158がシリンダから伸出した第2位置では、図6に一点鎖線で示されているように、スペーサ部材160がストッパ部材148即ち調整ボルトの頭部に接する位置に変位する。
【0035】
この結果、図5の部分的断面図に示されているように、ナックル52がキングピン146の回りに廻動したとき、ストッパ受部150にスペーサ部材160が当接し、換言すればストッパ部材148とストッパ受部150との間にスペーサ部材160が挿入された形となるので、ナックル52、従って前輪50の最大舵角がスペーサ部材160の厚さ分だけ小さく設定されることとなる。
【0036】
上記左右の前輪50を支持する左右のナックル52に夫々設けられた上記シリンダ装置156の制御装置又は制御手段は図8の概略構成図に示すとおりである。同図中、符号162は第1の電磁切換弁、164は第2の電磁切換弁、166はコネクタ、168は圧縮空気タンク又は圧縮空気源、170はソレノイド170aと同ソレノイドにより開閉されるリレースイッチ170bとを備えたリレー装置、172及び174はコネクタである。なお、図6及び図7において符号176は前輪50に設けられたドラムブレーキのバックプレートである。
【0037】
上記操舵装置の作動態様を、主として図3の油圧回路及び電気回路図及び図8の空気回路及び電気回路図を参照して説明する。
先ず、作業車の運転者が主運転席14に着座して運転している場合、トランスミッション24が前進又は後進の何れかの変速段に選択されているので、トランスミッションスイッチ136は開路し、またパーキングブレーキは作動していないのでパーキングブレーキスイッチ138は開路し、さらに主運転席14に運転者が着座しているのでシートスイッチ140も開路している。従って、第1油圧切換弁114及び舵角センサ100のスイッチ100L,100R、並びに第4油圧切換弁134を含む第1付勢回路は電源118から遮断されている。また、補助運転席38のスイッチ装置142は勿論操作されず開路しているので、第1油圧切換弁114、第2油圧切換弁126及び第3油圧切換弁132を含む第2付勢回路も電源118から遮断されている。
【0038】
このとき、3位置式の第1油圧切換弁114は中立位置114Nにあり、2位置式の第2及び第3油圧切換弁126及び132は夫々休止位置126N及び132Nにある。また、全油圧型ステアリングユニット108は図示の中立又は休止位置にある。
従って、油圧ポンプ116から吐出管路122に供給された作動圧油は、中立位置114Nにある第1油圧切換弁114を経てパワーステアリングブースタ62の油圧供給管路110aに供給され、運転者がステアリングホイール16を左又は右方向に廻動させることによって、第1ピットマンアーム64が左舵又は右舵方向に廻動し、第1ドラッグリンク60及び第1ナックルアーム58並びにタイロッド68を介して、左右の前輪50がステアリングホイール16の操作方向及び操作量に応じて左舵又は右舵方向に所要の舵角で操舵される。パワーステアリングブースタ62の戻り作動圧油は、戻り管路110b及び第1コネクタ124を経てオイルタンク120に流れる。
【0039】
上記前輪50の左舵又は右舵操舵に伴ない油圧式ギヤボックス86の第2ピットマンアーム88が、第2ナックルアーム82及び第2ドラッグリング84を介して従動回転することとなるが、上記ギヤボックス86のシリンダ90の右舵圧力室90Rが、右舵入力管路128Rから休止位置126Nにある第2油圧切換弁126及び中立位置134Nにある第4油圧切換弁134を経て第2コネクタ130及び第1コネクタ124を通りオイルタンク120に連通すると共に、上記シリンダ90の左舵圧力室90Lが、左舵入力管路128Lから休止位置132Nにある第3油圧切換弁132及び中立位置134Nにある第4油圧切換弁134を経て第2コネクタ130及び第1コネクタ124を通りオイルタンク120に連通し大気に開放されている。従って、上記第2ピットマンアーム88の従動回転は小さな抵抗で円滑に行なわれる。
【0040】
一方、上記主運転席14のステアリングホイール16を操作して操舵が行なわれているときは、補助運転席38のスイッチ装置142が操作されず開路しているので、図8に示した制御装置又は手段に含まれているリレー装置170のソレノイド170aが消勢されており、常閉のリレースイッチ170bが閉路している。従って、第1電磁切換弁162が付勢されると共に、第2電磁切換弁164が消勢されている。
【0041】
上記第1電磁切換弁162の付勢により、圧縮空気源168内の圧縮空気が、第1電磁切換弁162を通りコネクタ172を経て左右のナックル52に夫々設けられたエアシリンダ装置156のピストン上側の圧力室に供給されると共に、各エアシリンダ装置156のピストン下側の圧力室はコネクタ174及び第2電磁切換弁164を経て大気に連通される。このため左右のエアシリンダ装置156のピストン軸158が夫々シリンダ内に縮入し、スペーサ部材160は図6及び図7に実線で示されている休止又は不作動位置にあるので、左右の前輪50は通常の大きい最大舵角内で操舵される。
【0042】
上記のように、主運転席14のステアリングホイール16を操作して操舵を行ない、かつアクセルペダル18その他の走行制御装置を操作して駐機している航空機の下側に作業車を進入させ、所要の作業が終了したのち、航空機の下側から退去することとなるが、この際、航空機の周辺には、点検、整備等のための作業者が頻繁に往来するので、運転者が主運転席14に着座したままで後方を視認しながら後進し退去することは、安全上問題がある。そこで、作業車の後進退去時に、運転者が補助運転席38に移動し、後進方向を向いてステアリングホイール40を操作して操舵を行ない、かつアクセルペダル42等の走行制御装置を操作して、航空機から十分離れた安全な地点まで作業車を移動させ、その後、再び主運転席14に移って通常の運転を行なうことが安全上有利である。
【0043】
運転者が主運転席14から補助運転席38に移動する場合、主運転室に設けられているトランスミッション24の変速操作レバーはニュートラルに操作され、かつパーキングブレーキが作動されるので、トランスミッションスイッチ136が閉成されると共に、パーキングブレーキスイッチ138が閉成される。また、その後運転者が補助運転席38に移動するために、主運転席14から離席することによって、シートスイッチ140が閉成され、第1付勢回路が電源118に接続される。
【0044】
第1付勢回路が電源118に接続されることによって、第1油圧切換弁114が、復帰作動位置114Aに切換えられる。また、このとき前輪50が右舵操舵されていると、舵角センサ100の右舵スイッチ100Rを介して、第4油圧切換弁134が右舵位置134Rに切換えられる。この結果、油圧ポンプ116から吐出された作動圧油が、復帰作動位置114Aに切換えられている第1油圧切換弁114から右舵位置134Rに切換えられている第4油圧切換弁134を通り第2油圧切換弁134に供給され、さらに未だスイッチ装置142が操作されていないため休止位置132Nにある第2油圧切換弁132を経て油圧式ギヤボックス86のシリンダ90の左舵圧力室90Lに供給される。一方、シリンダ90の右舵圧力室90Rは、休止位置126Nにある第1油圧切換弁126から上記第4油圧切換弁134の右舵位置134Rにおける戻り通路を経て第2及び第1コネクタ130及び124を介しオイルタンク120に連通される。
【0045】
シリンダ90の左舵圧力室90Lに作動圧油が供給されることによって、パワーピストン92が右動し、第2ピットマンアーム88が中立位置に復帰して、前輪50が中立即ち直進状態に自動的に強制駆動される。同ピットマンアーム88が中立位置に復帰すると、舵角センサ100の右舵スイッチ100Rが開成される。右舵スイッチ100Rの開路により、第4油圧切換弁134が消勢されて再び中立位置134Nに切換えられるので、上記左舵圧力室90Lへの作動圧油の供給が遮断され、第2ピットマンアーム88に従って前輪50が中立位置に保持される。
【0046】
運転者が主運転席14を離席したとき、前輪50が左舵操舵されているときは、舵角センサ100の左舵スイッチ100Lが閉成されているので、第1油圧切換弁114が復帰作動位置114Aに切換えられると共に、第4油圧切換弁134が左舵位置134Lに切換えられる。この結果、シリンダ90の右舵圧力室90Rに行動圧油が供給され、パワーピストン92が左動して第2ピットマンアーム88が上記と同様に中立位置に強制的に駆動され、前輪50が直進状態となる。
第2ピットマンアーム88が中立位置に復帰することによって、上記左舵スイッチ100Lが開路され、第4油圧切換弁134が上記と同様に中立位置134Nに復帰する。なお、作業車が航空機の下方に進入し、所要の作業が終わったとき、前輪50が偶々中立位置にあるときは、上記中立復帰作動は勿論行なわれない。
【0047】
上述したように、前輪50が中立状態に復帰したのち、補助運転席38に移動した運転者は、前記スイッチ装置142の押しボタン142aを押し続け、パーキングブレーキを解除すると共に、トランスミッションの変速操作レバーを後進位置に操作する。上記パーキングブレーキの解除及びトランスミッション24の後進位置へのシフト操作は、手動でも良く、また上記スイッチ装置142の押しボタン142aを押すことによって、自動的に行なうこともできる。
上記パーキングブレーキの解除によりパーキングブレーキスイッチ138が開路し、またトランスミッション24が後進位置に操作されることによってトランスミッションスイッチ136が開路されるので、第1付勢回路が消勢されると共に、上記スイッチ装置142の押しボタン142aが押圧されているので同スイッチ装置が閉成されて第2付勢回路が電源118に接続される。また、スイッチ装置142の閉成によって図8におけるリレー装置170のソレノイド170aが付勢されると共に第2電磁切換弁164が付勢される。
【0048】
一方、上記ソレノイド170aの付勢により、リレースイッチ170bが開路されて第1電磁切換弁162が消勢される。従って、圧縮空気源168内の圧縮空気が第2電磁切換弁164を通りコネクタ174を経て左右のナックル52に設けられたエアシリンダ装置156のピストン下側の圧力室に夫々供給されると共に、各エアシリンダ装置156のピストン上側の圧力室がコネクタ172から第1電磁切換弁162を経て夫々大気に連通される。この結果、左右のエアシリンダ装置156のピストン軸158がシリンダ外に伸出し、スペーサ部材160が図6に一点鎖線で示されているようにストッパ部材148を構成する調整ボルトの頭部に接する作動位置に変位し、既に説明したように前輪50の最大舵角が、通常時より十分小さい舵角に設定される。
このとき、左右の前輪50が上述したように中立位置に強制的に復帰されているので、上記スペーサ部材160の作動位置への変位が妨げられることはない。
【0049】
第2付勢回路が電源118に接続されることによって、第1油圧切換弁114が後部運転位置114Bに切換えられると共に、第2及び第3油圧切換弁126及び132が夫々後部運転位置126B及び132Bに切換えられる。
上記第1油圧切換弁114の後部運転位置114Bへの切り換えによって、油圧ポンプ116から吐出された作動圧油は、吐出管路122から供給管路112aを通って全油圧型ステアリングユニット108のコントロールバルブ144に供給される。
【0050】
補助運転席38のステアリングホイール40が操作されず中立位置にあるときは、コントロールバルブ144が中立位置144Nに保持されているので、左舵及び右舵出力管112L及び112Rの何れにも作動圧油が供給されず、供給管路112aに供給された作動圧油は、戻り管路112bから第1コネクタ124を経てオイルタンク120に還流し、油圧式ギヤボックス86は図示の中立位置に保持されている。
【0051】
次に、上記スイッチ装置142の押しボタン142aを押したままステアリングホイール40を操舵のため右方に廻動させると、コントロールバルブ144が切換位置144Rに切り換えられてステアリングホイールの廻動角に応じた油量の作動圧油がメータリングギヤ144aにより調量されて右舵出力管路112Rに吐出され、後部運転位置132Bに切り換えられている第3油圧切換弁132から油圧式ギヤボックス86の左舵圧力室90Lに供給される。一方、同油圧ギヤボックス86の右舵圧力室90Rは、後部運転位置126Bに切り換えられている第2油圧切換弁126からコントロールバルブ144の切換位置144Rにおける弁ポートを通り、戻り管路112bから第1コネクタ124を経てオイルタンク120に流出する。
【0052】
この結果、パワーピストン92が図3において右方に移動し、セクタシャフト94が左舵方向に回転し、第2ピットマンアーム88、第2ドラッグリンク84、第2ナックルアーム82及びナックル52を介して操舵車輪即ち前輪50が前進方向に関して左舵操舵される。図1に示されているように、ステアリングホイール40を操作する運転者は、車両の後方を向いて運転しており、車両は後進しているので、前輪50を左舵操舵することによって、車両は右方に旋回し、結果的に右舵操舵が行なわれることとなる。
【0053】
同様に、上記スイッチ装置142の押しボタン142aを押したままステアリングホイール40を左方に操舵廻動させると、コントロールバルブ144が切換位置144Lに切り換えられてステアリングホイールの廻動角に応じた油量の作動圧油が、メータリングギヤ144aにより調量されて左舵出力管路112Lに吐出され、後部運転位置126Bに切り換えられている第2油圧切換弁126から油圧式ギヤボックス86の右舵圧力室90Rに供給される。一方、同油圧式ギヤボックス86の左舵圧力室90Lは、後部運転位置132Bに切り換えられている第3油圧切換弁132からコントロールバルブ144の切換位置144Lにおける弁ポートを通り、戻り管路112bから第1コネクタ124を経てオイルタンク120に流出する。
【0054】
この結果、パワーピストン92が図3において左方に変位し、セクタシャフト94が右舵方向に回転し、第2ピットマンアーム88、第2ドラッグリンク84、第2ナックルアーム82及びナックル52を介して前輪50が前進方向に関して右舵操舵される。車両は後進しているので、上記前輪50の右舵操舵により車両は左方に旋回し、結果的に左舵操舵が行なわれることとなる。
上記右舵及び左舵操舵の何れの場合でも、上述したようにスイッチ装置142の閉成即ち運転状態検出手段により補助運転席38で操舵が行なわれる状態が検出されることによって、最大舵角可変手段が作動して最大舵角が通常運転時の最大舵角より十分小さい舵角に設定されるので、急激な回頭変位、換言すれば後進走行に当って前輪50側が大きな旋回変位を起すことがないので、作業車周辺の器物や作業者等との接触を効果的に防止することができる利点がある。また、上記補助運転席38で操舵が開始される際に、前述したように前輪50が中立位置に強制的に復帰されていて、中立位置から操舵が開始されることも、安全性の一層の向上に有益である。
【0055】
上述したように、補助運転席38での操舵及び運転操作により、作業車が駐機している航空機から十分な距離離れた地点に達したときに停止させ、トランスミッションをニュートラルにシフトすると共に、パーキングブレーキを作動させたのち、上記スイッチ装置142の押しボタン142aから手を離すと、スプリング142bにより同スイッチ装置142が開路する。その後、運転者は前方の主運転席14に戻り、前述した通常の運転操作を行なうこととなる。
【0056】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で上記実施形態に種々の変更、修正を加え実施することができる。例えば、運転者が主運転席14から補助運転席38に移動して、同補助運転席38で操舵を開始する以前に、前輪50を強制的に中立位置に復帰させる装置が設けられているが、この強制的中立復帰装置又は手段を省いて、図3に示した電気回路のうち上記第1付勢回路を省くと共に油圧回路を簡素化することができる。この場合、運転者が主運転席14を離れ補助運転席38に移動する以前に、ステアリングホイール16を操作して必ず前輪50を手動で中立位置に復帰させ、又は上記最大舵角可変手段を構成するスペーサ部材160がストッパ部材148とストッパ受部150との間に挿入されることが妨げられない十分小さい舵角まで戻すことを運転マニュアル等により励行するか、又は上記スペーサ部材160が進入し得ない大きな舵角の場合ブザー等の警報装置を作動させて、舵角を中立又はそれに近い小さい舵角に戻すことを促すようにすれば良い。
【0057】
また、上記最大舵角可変手段に含まれるスペーサ部材160及びエアシリンダ装置156は、配置スペースの関係からナックル52に設けられることが好ましいが、スペース的に可能な場合、他の車両構成部材、例えば前車軸44側に配置しても良い。さらに、スペーサ部材160を出没自在に駆動するアクチュエータとして、上記エアシリンダ装置156に代え油圧シリンダ装置や電磁的アクチュエータ等を採用することができる。なおまた、上記実施形態では、複動型のエアシリンダ装置156が用いられているが、ピストン軸158のシリンダ内への縮入又はシリンダ外への伸出の何れか一方を、同シリンダ内に収容されたリターンスプリングによって行ない、圧縮空気回路の簡素化を図っても良い。さらに、本発明は、例示した空港用作業車以外の主運転席と補助運転席とを有する種々の車両に広く適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係る主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置は、車両に設けられた主運転席及び補助運転席の任意の一方で行なわれる操向操作によって操舵される操舵車輪と、同操舵車輪が上記補助運転席における操向操作によって操舵される状態であることを検出する運転状態検出手段と、上記操舵車輪の最大舵角を変更し得るように設けられた最大舵角可変手段と、上記運転状態検出手段により補助運転席で操向操作が行なわれる状態が検出されたときに、上記操舵車輪を直進状態に復帰させた後、最大舵角を上記主運転席で操向操作が行なわれるときの最大舵角より小さく設定するように上記最大舵角可変手段の作動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とし、運転者が主運転席から補助運転席に移動して同補助運転席から操舵を行なう際の最大舵角を小さく設定することにより、車両の過大な回頭変位を防止することができるので、車両周辺の器物や作業者との接触を効果的に防止し、安全性を向上し得る利点がある。
【0059】
本発明において、上記操舵車輪が車両の前輪であって後輪は操舵されない車輪であり、且つ上記主運転席が車両の前部に設けられると共に、補助運転席が車両の後部に設けられることにより、使用頻度が高い主運転での操舵装置の構成及び操舵性能を、通常の車両と略同等にすることができ、また主運転席と補助運転席との間に、タンクや作業機器及び作業用設備のための十分なスペースを確保しながら、補助運転席での操舵を容易かつ安全に行ない得る利点がある。
また、本発明において、上記最大操角可変手段が、上記操舵車軸を支持するナックルに設けられたストッパ部材と、キングピンを介して上記ナックルを操向可能に枢支する前車軸に設けられ上記ストッパ部材に当接することによって上記主運転席での操舵時における最大舵角を設定するストッパ受部と、上記ストッパ部材及びストッパ受部間に挿入されることによって上記補助運転席での操舵時における最大舵角を設定する出没自在のスペーサ部材とから構成されていることにより、上記最大舵角可変手段の配置が容易で、かつ既存のナックル及び前車軸に大きな構造変更を施す必要がないので、製造コストが安い利点がある。
さらに、本発明において、上記運転状態検出手段が、上記補助運転席に設けられ同補助運転席側からの操舵が可能な状態と同補助運転席側からの操舵が不能な状態とに選択的に切換えられるスイッチ装置であることが好ましく、この構成により補助運転席での操舵に際して操作されるように設けられている通常のスイッチ装置を利用することができるので、構造簡単で安価な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る操舵装置を適用した空港用作業車の概略側面図である。
【図2】図1に示した作業車の操舵装置全体を抽出して示した概略斜視図である。
【図3】図2に示した操舵装置全体の油圧回路及び電気回路図である。
【図4】図1に示した作業車の前輪の舵角センサ取付部分を示した部分的側面図である。
【図5】図1に示した作業車における前輪の最大舵角可変手段を示す要部断面図(図6のV−V線に沿う断面)である。
【図6】図5に示した最大舵角可変手段を含む前輪支持部分を示す正面図である。
【図7】図5におけるナックルを車体内方から外側に向って視た側面図である。
【図8】図5ないし図7に示した最大舵角可変手段の制御手段を示した概略構成図である。
【符号の説明】
10…車台フレーム、12…主運転室、14…主運転席、16…ステアリングホイール、18…アクセルペダル、22…エンジン、24…トランスミッション、26…プロペラシャフト、28…後車軸、34…後輪、36…エンジンフード、38…補助運転席、40…ステアリングホイール、42…アクセルペダル、50…前輪(操舵車輪)、52…ナックル、58…第1ナックルアーム、60…第1ドラッグリンク、62…パワーステアリングブースタ、64…第1ピットマンアーム、68…タイロッド、70…ステアリングシャフト、74…ベベルギヤボックス、80…ユニバーサルシャフト、82…第2ナックルアーム、84…第2ドラッグリンク、86…油圧式ギヤボックス、88…第2ピットマンアーム、90…シリンダ、92…パワーピストン、96…センサ作動ロッド、100…舵角センサ、108…全油圧型ステアリングユニット、114…第1油圧切換弁、116…油圧ポンプ又は油圧源、118…電源、120…オイルタンク、126…第2油圧切換弁、132…第3油圧切換弁、134…第4油圧切換弁、136…トランスミッションスイッチ、138…パーキングブレーキスイッチ、140…シートスイッチ、142…スイッチ装置、144…コントロールバルブ、146…キングピン、148…調整ボルト(ストッパ部材)、150…ストッパ受部、156…エアシリンダ装置、160…スペーサ部材。

Claims (4)

  1. 車両に設けられた主運転席及び補助運転席の任意の一方で行なわれる操向操作によって操舵される操舵車輪と、同操舵車輪が上記補助運転席における操向操作によって操舵される状態であることを検出する運転状態検出手段と、上記操舵車輪の最大舵角を変更し得るように設けられた最大舵角可変手段と、上記運転状態検出手段により補助運転席で操向操作が行なわれる状態が検出されたときに、上記操舵車輪を直進状態に復帰させた後、最大舵角を上記主運転席で操向操作が行なわれるときの最大舵角より小さく設定するように上記最大舵角可変手段の作動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置。
  2. 上記操舵車輪が車両の前輪であって後輪は操舵されない車輪であり、且つ上記主運転席が車両の前部に設けられると共に、補助運転席が車両の後部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置。
  3. 上記最大舵角可変手段が、上記操舵車輪を支持するナックルに設けられたストッパ部材と、キングピンを介して上記ナックルを操向可能に枢支する前車軸に設けられ上記ストッパ部材に当接することによって上記主運転席での操舵時における最大舵角を設定するストッパ受部と、上記ストッパ部材及びストッパ受部間に挿入されることによって上記補助運転席での操舵時における最大舵角を設定する出没自在のスペーサ部材とから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置。
  4. 上記運転状態検出手段が、上記補助運転席に設けられ同補助運転席側からの操舵が可能な状態と同補助運転席側からの操舵が不能な状態とに選択的に切換えられるスイッチ装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の主運転席と補助運転席とを有する車両の操舵装置。
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