JP3886692B2 - 飛び出しキー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は飛び出しキーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キーブレードをグリップ体から使用時にのみ突出させ、不使用時には、グリップ体内に収納可能なキーホルダとしては、例えば、実公平2-21991号公報記載のものが知られている。この従来例において、キーブレードは矩形形状に形成されるグリップ体に対して回転自在に枢支されており、不使用時には、グリップ体の側縁に形成された収納スペースに収納することができ、使用時には、操作ローラを操作して、グリップ体から飛び出させることができる。
【0003】
しかし、上述した従来例において、キーブレードのグリップ体への収納操作は、キーブレードの側縁をグリップ体内部に押し込んで行われるが、やや飛び出した姿勢から完全にグリップ体内の収容姿勢まで納めるためには、爪等でキーブレードを押し込む必要があり、操作性が悪いという問題がある。とりわけ、キーブレード先端に深いキーコード溝が切られている場合には、押し込み代が実質的に確保されないために、押し込むことができないという問題がある。
【0004】
また、上記従来例は、キーブレードを90°回転させて収納姿勢と飛び出し姿勢との間を変更させるものであるから、キーブレードの飛び出し姿勢において、キーブレード基端にグリップ体の長辺部が位置し、キーブレード基端における直交方向の長さが長くなる。この結果、キーシリンダ装置の表面部にグリップ体の回動スペースを広く必要とし、使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
この問題を解決するためには、例えば、実開平6-65580号公報に記載されたように、キーブレードを180°回転させ、飛び出し姿勢におけるキーブレードの中心線上にキーブレードの収容位置を設定してグリップ体の先端部の巾寸法を必要最小限にすることが可能である。しかしこの場合、グリップ体内のほぼ全領域がキーブレードの収納スペースとして利用されるために、例えば、グリップ体内に電波発信装置等を収容する場合には、収容スペースが過小になるという問題がある。また、キーブレードの収納スペースはキーブレードの側縁を押し込んで収納するためには、グリップ体の辺縁に設定する必要があるが、180°回転させてキーブレードを収納する上記従来例においては、グリップ体の一辺部が予め決定されてしまうために、デザインの自由度がほとんどなくなってしまうという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、使い勝手を向上させた飛び出しキーの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、
グリップ体1の先端部にキーブレード2の中心線c2上の一端を回転自在に軸支してなり、
使用状態においてグリップ1体から飛び出したキーブレード2をグリップ体2の側縁に沿ってグリップ体1内部に収納可能で、
前記キーブレード2の回転中心近傍には、キーブレード2の収納操作時にグリップ体1から飛び出して収納操作時の押し込み代を提供する突起3が設けられる飛び出しキーであって、
前記キーブレード2の飛び出し姿勢における中心線c2とグリップ体1の先端部における中心線c1との間には、キーブレード2の収納姿勢から飛び出し姿勢への移動によりグリップ体1の先端部における中心線c1を跨いで突起3を移動させ、収納姿勢においてグリップ体1の側縁から飛び出す突起3を飛び出し姿勢においてグリップ体1内部に収納させるオフセット量δが設定される飛び出しキーを提供することにより達成される。
【0008】
図1に示すように、キーブレード2は中心線c2上の一端がグリップ体1の先端部1aに軸支され、図1(a)に示す、グリップ体1の一側縁に沿う収納姿勢と、図1(c)に示す、グリップ体1からの飛び出し姿勢との間で回転できる。飛び出し姿勢からキーブレード2を収容する際に、キーブレード2の側縁がグリップ体1側縁からやや飛び出した状態において、キーブレード2の突起3はグリップ体1外に突出しており、該突起3をグリップ体1内に押し込むだけでキーブレード2を収納姿勢に収めることができる。この結果、キーブレード2に深いキーコードの切り込みがあったり、あるいはキーブレード2の枢軸位置に誤差があっても、キーブレード2を容易に収納位置に押し込むことができる。
【0009】
また、キーブレード2は中心線c2上でグリップ体1に軸支されているために、回転中心をキーブレード2の中心線c2に対してオフセットさせる場合に比してグリップ体1の先端部1aの巾寸法d2をキーブレード2を回転自在に保持するに必要な最小限の寸法に狭くすることができる。この結果、キーシリンダ装置の表面近傍にグリップ体1の回転を許容するための広いスペースが不要となり、使い勝手が向上する。
【0010】
また、キーブレード2を使用している状態において、突起3は図1(c)に示すように、グリップ体1に収容されて外部に露出しないために、キーシリンダ装置の操作中に邪魔にならず、かつ見栄えもよい。
【0011】
さらに、突起3は、キーブレード2の飛び出し姿勢においてグリップ体1に衝接して反対方向への過大回転を防止するためのストッパとしても利用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、飛び出しキーはキーブレード2と、キーブレード2を操作する際の操作頭部を提供するグリップ体1とを有する。図1(a)は飛び出しキーの平面図、図1(b)は側面図、図1(c)は裏面図であり、キーブレード2は、使用に際して、図1(c)に示すように、グリップ体1から飛び出させることができ、不使用時には、図1(a)に示すように、グリップ体1の内部に収納できる。
【0015】
キーブレード2は一端に形成された連結用頭部5においてグリップ体1に軸支され、上記収納姿勢と飛び出し姿勢との間を回転できる。連結用頭部5は回転中心を中心とする円形形状に形成され、グリップ体1との十分な連結強度が確保できる範囲内で可及的に小さく設定される。また、キーブレード2の回転中心は、キーブレード2の中心線c2上に配置され、連結用頭部5には、回転中心から放射方向に突起3が突設される。
【0016】
グリップ体1の内部には、後述する電波発信装置等が収納され、グリップ体1の表面には、電池交換蓋6が、裏面には電波発信装置を制御するためのスイッチプレート7が配置される。また、グリップ体1の先端部1aは、図示しないキーシリンダ装置にキーブレード2を挿入した際に、グリップ体1がキーシリンダ装置の表面周縁の部品に衝接することなくグリップ体1を回転させることができるように、先端方で交差する一対の斜辺4、4’を側縁として先細り形状に形成され、一方の斜辺部4に沿って後述するキーブレード2の収納スペース8が設けられる。
【0017】
キーブレード2の飛び出し姿勢における中心線c1と、該中心線c2方向のグリップ体1の先端部1aの中心線c1、正確には、上記突起3の回転領域における中心線c1との間には適宜のオフセット量δが設定され、キーブレード2が収納姿勢にある際には突起3がグリップ体1側縁から露出し、飛び出し姿勢においてグリップ体1の内部に収容される。図1(a)に示すように、収納姿勢においてキーブレード2は、飛び出し姿勢におけるキーブレード2の中心線c1に対して鋭角に交差する姿勢をとって、一方(収納側辺縁)の斜辺部4に沿って収納される。
【0018】
上記グリップ体1は、図2ないし5に示すように、ベース11の上部開放部を仕切プレート9、およびカバー10により閉塞して形成される。ベース11には、図示しない電波発信装置、およびその周辺回路を実装した実装基板12が固定され、実装基板12上のスイッチ12aを操作するためのスイッチプレート7がベース11の表面に配置される。スイッチプレート7はゴム等の柔軟材で形成され、この実施の形態において、一方がドアロックの施解錠信号発信制御用、他方がトランクロックの施解錠信号発信制御用に使用される。
【0019】
上記ベース11には仕切プレート9とカバー10が積層され、仕切プレート9とカバー10によりキーブレード2の収納スペース8が形成される。仕切プレート9はベース11とカバー10との間に介装され、中央領域へのキーブレード2の進入を規制する隔壁9aを備える。また、隔壁9aは、先端部1aにまで延設され、端部にストッパ壁9bが設けられ、さらに、隔壁9aから内方に延設される中央仕切面9cには実装基板12上に保持される電池13の収容孔9dが開設される。
【0020】
なお、この実施の形態において、仕切プレート9は、実装基板12上に保持される電池13の位置決めを兼ねるために、ベース11の上方開放面全面を覆う形状に形成されているが、中央仕切面9cを取り除き、キーブレード2の収納スペース8を除く全領域を他部品の収容スペースとして利用することもできる。
【0021】
上記キーブレード2を軸支するために、ベース11の先端部1aには、中心にインサートナット14aが埋め込まれた支柱14が立設され、グリップ体1の外殻を構成するカバー10はインサートナット14aにねじ込まれるネジ15により固定される。カバー10の固定は、ネジ15を利用する以外に、カバー10とベース11に相互に弾性的に係合可能な爪と係合部を設けておく等、適宜手段によることができる。
【0022】
支柱14には頂部にブレード連結ボス16aが突設されたロータ16が回転自在に外嵌され、図5に示すように、キーブレード2の連結用頭部5に設けられた連結孔5aをブレード連結ボス16aに嵌合させることにより、キーブレード2とロータ16が回転方向に結合される。また、ロータ16の周縁にはトーションスプリング17が巻装され、ロータ16、すなわち、キーブレード2を飛び出し姿勢側に付勢する。
【0023】
上記トーションスプリング17の反力に抗してキーブレード2を収納姿勢に維持するために、ベース11にはストッパ機構18が設けられる。ストッパ機構18は、図3に示すように、上記ロータ16の側壁に設けられたストッパ溝19に係脱するレバー20と、レバー20の係脱操作を行うためにベース11表面に露出する押しボタン21からなる。ストッパ溝19は、ロータ16の側壁に2カ所設けられ、一方が、飛び出し姿勢にある際に、他方が収納姿勢にある際にレバー20が係合してキーブレード2の両姿勢を維持する。
【0024】
レバー20は図3(a)に示すように、一端に上記ロータ16のストッパ溝19に係脱する係合部20aを、他端に被操作部20bを備え、図3(b)に示すように、中心部に設けられる回転軸20cがベース11、および仕切プレート9の軸受け11a、9eに回転自在に支承されて回転自在に保持される。レバー20の側方には、圧縮スプリング22が配置され、該レバー20をストッパ溝19との係合方向に付勢する。
【0025】
上記レバー20の被操作部20bは、図3(c)に示すように、表面側に形成される傾斜面20dを備え、該傾斜面20dを直下に位置する押しボタン21により図3(c)において矢印で示すように押し付けると、傾斜面20dに発生する分力によりレバー20が図3(a)におけるa3方向に回転し、係合部20aのストッパ溝19からの係合が解除される。押しボタン21の傾斜面20dとの当接部は、球面として操作性を良好にするのが望ましい。
【0026】
したがってこの実施の形態において、キーブレード2を使用しないときは、図5(a)に示すように、キーブレード2をグリップ体1内部に収納しておくことができる。この状態から押しボタン21を押し下げると、レバー20が回転してトーションスプリング17の復元力によりキーブレード2が飛び出し姿勢まで回転する。飛び出し姿勢での停止時に、突起3がストッパ壁9bに衝接して衝撃力を吸収するために、長期の使用によっても容易に故障することがない。また、飛び出し姿勢においては、ロータ16のストッパ溝19にレバー20が係合しているために、妄りにキーブレード2が収納姿勢側に回転することがなく、使い勝手が向上する。
【0027】
キーブレード2の収納操作は、キーブレード2を収納姿勢側に回転することにより行われる。キーブレード2が飛び出し姿勢で維持され、かつ、必要時には収納姿勢側に回転操作できるように、少なくとも、キーブレード2の飛び出し姿勢において、ストッパ溝19とレバー20の係合部20aとは、ロータ16に所定の回転操作力が加わった場合にレバー20に係合解除方向の分力が発生する傾斜面20dを介して接触する。キーブレード2の収納姿勢側への回転操作終期において、突起3はグリップ体1から飛び出しているために、キーブレード2の自由端部に押し込み代がない場合であっても、図5(a)において矢印で示すように、突起3を押し込むことによってキーブレード2を確実に収納姿勢まで移動させることができる。また、キーブレード2の側縁のみを押し込み代としてキーブレード2を収納姿勢に移動させる場合には、グリップ体1の側縁と最後に押し込まれるキーブレード2の側縁とは同一面に設定する必要があるが、突起3による押し込み操作が可能なこの実施の形態においては、図5(a)に示すように、キーブレード2の側縁とグリップ体1の側縁との間に適宜の間隙dを設定し、グリップ体1の側縁よりも内側に位置するように収納姿勢を設定できるために、各部に寸法誤差等が生じても、キーブレード2がグリップ体1からはみ出すことがない。
【0028】
また、グリップ体1の先端部1aの側縁は前方で交差する一対の斜辺部4、4’により形成され、キーブレード2の収納スペース8は一方の斜辺部4に沿って形成されるために、グリップ体1を飛び出し姿勢におけるキーブレード2の中心線c2に対してほぼ線対称形状な造形にすることが可能になり、デザインの自由度が高くなる上に、見栄えも向上する。
【0029】
図6に本発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態は飛び出し姿勢にあるキーブレード2の中心線c2をグリップ体1の先端部1aの中心線c1に接近、あるいは一致させるために有効な変形を示し、キーブレード2の中心線c2はキーブレード2の回転中心2aに対して上記オフセット量δを解消する方向に偏位量δ’だけ偏位した位置に配置される。キーブレード2の中心線c2をグリップ体1の先端部1aの中心線c1に接近、あるいは一致させることにより、キーブレード2はグリップ体1の先端部1aの中心線c1、あるいはその近傍から飛び出す状態となり、さらに、キーブレード2を突出させた際に飛び出しキー全体の造形をキーブレード2の中心線c2に対してほぼ対称形状にすることが可能になり、見栄えを向上させることができる。また、キーブレード2をキーシリンダ装置に挿入して回転させる際のグリップ体1の先端部1aが掃き出す面積が上述した実施の形態に比して小さくなるために、キーシリンダ装置の表面部に要するグリップ体1の回動スペースが小さくなり、使い勝手が向上する。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、キーブレードの収納操作性が向上し、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【図2】図1の2A-2A線断面図である。
【図3】ベースを示す平面図である。
【図4】図3に仕切プレートを固定した状態を示す平面図である。
【図5】図4にキーブレードを固定した状態を示す平面図で、(a)はキーブレードが収納姿勢にある状態を示す図、(b)は飛び出し姿勢にある状態を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を示す図で、(a)は図5(a)に対応する図、(b)は図5(b)に対応する図である。
【符号の説明】
1 グリップ体
c1 中心線
2 キーブレード
c2 中心線
3 突起
4 斜辺部
Claims (3)
- グリップ体の先端部にキーブレードの中心線上の一端を回転自在に軸支してなり、
使用状態においてグリップ体から飛び出したキーブレードをグリップ体の側縁に沿ってグリップ体内部に収納可能で、
前記キーブレードの回転中心近傍には、キーブレードの収納操作時にグリップ体から飛び出して収納操作時の押し込み代を提供する突起が設けられる飛び出しキーであって、
前記キーブレードの飛び出し姿勢における中心線とグリップ体の先端部における中心線との間には、キーブレードの収納姿勢から飛び出し姿勢への移動によりグリップ体の先端部における中心線を跨いで突起を移動させ、収納姿勢においてグリップ体の側縁から飛び出す突起を飛び出し姿勢においてグリップ体内部に収納させるオフセット量が設定される飛び出しキー。 - 前記突起はキーブレードの飛び出し姿勢においてグリップ体に衝接して反対方向への過大回転を防止する請求項1記載の飛び出しキー。
- 前記キーブレードの飛び出し姿勢における中心線とグリップ体の先端部における中心線との間に代えて、キーブレードの飛び出し姿勢における中心線とキーブレードの回転中心との間にオフセット量を設定し、かつ、キーブレードの飛び出し姿勢における中心線をグリップ体の先端部の中心線に接近、あるいは一致させて形成される請求項1または2記載の飛び出しキー。
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