JP3886680B2 - 噴霧容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は噴霧容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
噴霧容器として、ノズル孔内に噴出液体を高速回転させる、所謂スピン機構を設けて、ノズル孔から高速回転しながら噴出した液体が外気に触れ、霧化する様設けたものが知られている。
【0003】
これらは、容器体内収納液体の物性、例えば粘度が高い、等によりその霧化が困難となる場合があった。そこで、この様な点を考慮して、ノズル孔から高速噴出する空気で液体を吸い上げ、空気と共に霧として噴出させることができる手動噴霧器が提案されている(特願平9−233366号)。
【0004】
この噴霧器は、上部の大径の空気シリンダの下部に小径の液体シリンダを垂設して容器体内へ垂下させるシリンダ部材と、液体シリンダ内から起立するステム上部に押し下げヘッドを嵌着させるとともに、ステム中間部を空気シリンダ内へ嵌合させた大径筒状ピストン中心部に貫設し、且つ、押し下げヘッドの上部内に射出管を横設して上方付勢状態で上下動可能に設けた作動部材とを備え、射出管内を通って射出管前方へ穿設されたノズル孔と空気シリンダ内とを連通する空気射出路と、射出管外面に沿ってノズル孔とステム内とを連通する液体流出路とを設けて、作動部材の押し下げ時に、空気シリンダ内空気が空気噴出路を通りノズル孔から噴出することで、液体流出路内が負圧化し、該負圧化で容器体内液体が噴出空気と混合して噴霧可能としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した噴霧容器は、噴出空気圧を高めることで、霧化し難い液体であっても容易に且つ確実に霧化させることができる優れたものである。しかしながら、空気シリンダの下部に液体シリンダを垂設して容器体内へ垂下させているため、容器体の高さに制限が加えられる。近年のこの種噴霧容器に収納する液の種類は年々多様化し、液を収納する容器体の形態も種々の形態を要求されている。
【0006】
本発明はこの様な点を考慮してなされたもので、胴部の形状,大きさ等にできるだけ制限のない容器体を使用でき、汎用性に優れた噴霧容器を提案することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、大径の空気シリンダ2と、小径の液体シリンダ3と、押し下げヘッド16上部内に射出管22を横設して上方付勢状態で上下動可能に設けた作動部材Aとを備え、射出管前方に穿設されたノズル孔23と空気シリンダ2内とを射出管22内を介して連通する空気噴出路aを設けるとともに、ノズル孔23と液体シリンダ3内とを射出管外周部を介して連通する液体流出路bを設け、作動部材の押し下げ時に、空気噴出路aを通りノズル孔23から噴出する空気により液体流出路b内が負圧化し、該負圧化で容器体内液体が吸い上げられ、噴出空気と混合して噴霧される如く構成した噴霧容器に於いて、上記空気シリンダ2が、容器体内に垂下した有底筒状をなすとともに、外周上部に小径筒状ピストン6を突周設してなる連結筒5を、底壁2a中央に下端を開口して立設してなる空気シリンダ2であり、上記連結筒5は、空気シリンダ2の底壁 2a と一体に立設した外筒 5a と、外筒 5a 内に嵌着するとともに、別部材として構成した内筒 5b とで構成しており、内筒 5b を外筒 5a 上方に若干突出して構成し、この突出部分外面に小径筒状ピストン6を突周設し、上記作動部材Aを、空気シリンダ内へ嵌合させた大径筒状ピストン14の中心部にステム15の中間部を貫設するとともに、ステム15の上部に押し下げヘッド16を嵌着し、且つ、ステム内下部を液体シリンダ3に構成して小径筒状ピストン6を嵌合させた作動部材として構成した。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
本発明の噴霧容器1は、大径の空気シリンダ2と、小径の液体シリンダ3と、作動部材Aとを備えている。
【0010】
空気シリンダ2は、容器体4内に垂下した有底筒状をなすとともに、底壁2a中央に下端を開口して立設した連結筒5外周上部に小径筒状ピストン6を突周設して構成している。図示例では、容器体4の口頚部7外面へ嵌合させた周壁8上端に、内向きフランジ状頂壁9を付設した装着筒10により容器体4に装着しており、装着筒10の頂壁内周部から上下に係止筒11を延設している。
【0011】
空気シリンダ2の上端からは、装着筒頂壁に嵌着固定され、口頚部上端面と頂壁9との間で挟持された外向きフランジを突設している。また、連結筒5は、空気シリンダ2の底壁2aと一体に立設した外筒5aと、該外筒内に嵌着するとともに、別部材として構成した内筒5bとで構成しており、内筒5bを外筒5a上方に若干突出して構成し、この突出部分外面に小径筒状ピストン6を突周設している。また、連結筒5に上端を連通する嵌合筒12を底壁2a下面より垂設し、該嵌合筒12に上端を嵌着した吸い上げパイプ13を容器体内底部まで垂下している。
【0012】
作動部材Aは、空気シリンダ2内へ嵌合させた大径筒状ピストン14の中心部にステム15の中間部を貫設するとともに、ステムの上部に押し下げヘッド16を嵌着し、且つ、ステム内下部を液体シリンダ3に構成して小径筒状ピストン6を嵌合させている。
【0013】
図示例では、下部の液体シリンダ3内周下端部に小径筒状ピストン6を嵌合させたステム15の上部外面へ、頂板17外周から垂下する二重筒状の周壁18を嵌合固着させて押し下げヘッド16を固定し、また、空気シリンダ2内へ嵌合させた大径筒状ピストン14の中央部に基筒部14a を貫設して、該基筒部14a の上部は押し下げヘッド16の周壁18下部内面へ水密に、かつ小ストローク上下動可能に嵌合させる。
【0014】
また、ステム15を空気シリンダ2内に設けたコイルスプリング19で上方付勢させ、該上方付勢により、上記係止筒11下端面を大径筒状ピストン14のフランジ状壁14b 上面へ、また、基筒部14a の下端面をステム15の中間部外面へ付設した受座20の上面へ、それぞれ圧接させている。この基筒部14a 下端面と受座20上面とで空気吐出弁21を形成している。この様なコイルスプリング19の構成により、一般的に金属製の多いコイルスプリングが液に接触せず、錆等の発生を極力防止できるものである。
【0015】
また、押し下げヘッド16上部内には射出管22を横設しており、この射出管前方に穿設されたノズル孔23と空気シリンダ2内とを射出管22内を介して連通する空気噴出路aを設けるとともに、ノズル孔23と液体シリンダ3内とを射出管外周部を介して連通する液体流出路bを設け、作動部材の押し下げ時に、空気噴出路aを通りノズル孔23から噴出する空気により液体流出路b内が負圧化し、該負圧化で容器体内液体が吸い上げられ、噴出空気と混合して噴霧される如く構成している。
【0016】
上記射出管22は種々の形態を採用できる。図示例では、押し下げヘッド16上部前面よりヘッド内後方へ延設した横筒部24内に、射出管22を前方より挿入嵌合させる如く構成している。
【0017】
横筒部24は、その底面部やや後方にステム15内と連通する透孔25を穿設し、また、その後方の底面部後端部にも透孔26を穿設し、該透孔26を介してヘッド周壁とステム15外面との間に形成した、空気噴出路aの一部を構成する縦長の隙間27と連通させている。また、横筒部24の先端部には中央にノズル孔23付きの嵌合板部材28を抜け出し不能に嵌着させており、この嵌合板部材28の裏面中央部はテーパ部を介してすり鉢状に凹設している。
【0018】
射出管22は、前後端を開口した横長の筒状をなし、内部先端部の内径を小径に構成するとともに、前面周縁部をテーパ状に形成しこのテーパ状部分に放射状に複数のリブ29を突設している。そして、横筒部24内に挿入してその外周後端部を横筒部24内周囲に密嵌させるとともに、外周後端部以外の周囲に隙間30をあけ、また、各リブを嵌合板部材28のテーパ部に当接して先端部を固定し、射出管22前方の嵌合板部材28との間に小空隙部31を設けている。
【0019】
従って、上記空気噴出路aは、基筒部14a の下端内面から、ステム15外面と基筒部内面との間、及び隙間27、更に射出管22内、小空隙部31を通ってノズル孔23と連通する如く構成しており、また、液体流出路bは、ステム15内から横筒部24に穿設した透孔25を通り、更に隙間30、各リブ29の間、小空隙部31を通ってノズル孔23と連通する如く構成している。
【0020】
また、図示例の噴霧容器は、ステム15内に液止め弁32を設けており、その下部には、ステム15と一体動するポペット33を設けている。このポペット33は、ステム15内の液体シリンダ3上端部に、上部外面より放射状に複数突設した係止片34を嵌着固定して液体シリンダ3内に垂下させ、下端のテーパ筒状に広がる係止部35外面を、連結筒5内周上端の小径部分に密嵌している。このポペット33を設けることにより、不使用時に容器が倒れることがあっても液漏れを防止できる如く構成している。
【0021】
大径筒状ピストン14の基筒部14a と、外周筒状部14c との間のフランジ状壁14b は、図示例において、その径方向中間部を起立筒部とし、且つ基筒部14a に接するフランジ状壁部分に複数の外気吸い込み弁孔36を穿設し、また、基筒部14a の下部外面に合成樹脂製筒部37を気密に嵌着させるとともに、該筒部の下部外面から上外方へ外向きフランジ状弾性薄板38を突出して、該弾性薄板の外周縁を、上記外気吸い込み弁孔36よりも外方のフランジ状壁14b 下面へ圧接させて、これらで外気吸い込み弁39を形成している。
【0022】
上記噴霧容器を使用する場合について説明すると、図1が示す状態からキャップ40を外し数回作動部材Aを上下動させることで液体シリンダ内に液体が入る。該状態から作動部材Aを押し下げすると、まず大径筒状ピストン14に対してステム15が押し下げヘッド16とともに下降して空気吐出弁21が開き、次いで押し下げヘッド16の周壁下端が大径筒状ピストン14のフランジ状壁上面に接して、空気吐出弁21を開いたままで該大径筒状ピストンもステム15とともに下降する。このとき外気吸い込み弁39は閉塞しているから、空気シリンダ2内の空気は空気噴出路a及び小空隙部31を通ってノズル孔23から噴出する。更に小空隙部31の外周部はベルヌーイの定理により負圧化するから、該小空隙部に連通する液体流出路b内も負圧化することとなり、よって小径筒状ピストン6により加圧され、液止め弁32を開いて流出した液は液体流出路bを介して小空隙部31内へ吸い出され、該小空隙部内へ吸い出された液体は上記噴出空気と混合してノズル孔23から霧となって噴出する。この際液の粘度が高く液止め弁32を開いた液の流出が円滑に行えない場合でも、液体流出路bの負圧化により確実に吸いだされる。
【0023】
押し下げヘッド16を放すと空気噴出は停止するため、小空隙部31内の負圧状態が解消し、すると液止め弁32は閉塞する。また大径筒状ピストン14に先だってステム15が上昇することで空気吐出弁21が閉じ、次いで大径筒状ピストン14も受座20で、引き上げられるため、空気シリンダ2内が負圧化し、よって外気吸い込み弁39が開いて外気を空気シリンダ内へ吸入する。
【0024】
尚、図示例では、ステム内面上端に嵌合させた嵌合筒の内面より、液止め弁のボール移動量を規制するリブ41を突設している。また、上記各部材は合成樹脂等により形成すると良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明の噴霧容器は、既述構成としたことにより、必要に応じて丈の短い容器体も使用でき、容器体の大きさに制限が少なく、極めて汎用性に富んだ噴霧容器となる。また、霧化し難い液体であっても噴出空気圧を高めることで容易かつ確実に霧化させることができることは従来通りである。
また、液用シリンダと小径筒状ピストンとの摺動位置が従来品と比較して高い位置となったことで、作動部材の上下動の際の横ぶれが少なくなり、各ピストンとシリンダとのより良好なシール性を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す要部切欠き側面図である。
【符号の説明】
2…空気シリンダ,2a…空気シリンダ底壁,3…液体シリンダ,
5…連結筒,6…小径筒状ピストン,14…大径筒状ピストン,
15…ステム,16…押し下げヘッド,22…射出管,23…ノズル孔,
A…作動部材,a…空気噴出路,b…液体流出路

Claims (1)

  1. 大径の空気シリンダ2と、小径の液体シリンダ3と、押し下げヘッド16上部内に射出管22を横設して上方付勢状態で上下動可能に設けた作動部材Aとを備え、射出管前方に穿設されたノズル孔23と空気シリンダ2内とを射出管22内を介して連通する空気噴出路aを設けるとともに、ノズル孔23と液体シリンダ3内とを射出管外周部を介して連通する液体流出路bを設け、作動部材の押し下げ時に、空気噴出路aを通りノズル孔23から噴出する空気により液体流出路b内が負圧化し、該負圧化で容器体内液体が吸い上げられ、噴出空気と混合して噴霧される如く構成した噴霧容器に於いて、上記空気シリンダ2が、容器体内に垂下した有底筒状をなすとともに、外周上部に小径筒状ピストン6を突周設してなる連結筒5を、底壁2a中央に下端を開口して立設してなる空気シリンダ2であり、上記連結筒5は、空気シリンダ2の底壁 2a と一体に立設した外筒 5a と、外筒 5a 内に嵌着するとともに、別部材として構成した内筒 5b とで構成しており、内筒 5b を外筒 5a 上方に若干突出して構成し、この突出部分外面に小径筒状ピストン6を突周設し、上記作動部材Aを、空気シリンダ内へ嵌合させた大径筒状ピストン14の中心部にステム15の中間部を貫設するとともに、ステム15の上部に押し下げヘッド16を嵌着し、且つ、ステム内下部を液体シリンダ3に構成して小径筒状ピストン6を嵌合させた作動部材として構成したことを特徴とする噴霧容器。
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