JP3885617B2 - 結像レンズ装置及び撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像する結像レンズ装置、並びにそのような結像レンズ装置で結像された被写体の像を固体撮像素子で受像することによって、被写体の像を撮像する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鏡筒本体に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像する結像レンズ装置がある。また、このような結像レンズ装置で結像された被写体の像をCCD(charge-coupled device)等の固体撮像素子で受像し、この固体撮像素子が受像した光を光電変換して電気信号として出力し、被写体の像に対応したデジタル画像データを生成する、いわゆるデジタルスチルカメラ等の撮像装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したデジタルスチルカメラ等の撮像装置では、携帯の利便性や使い勝手の良さを向上させるため、装置全体の小型化が積極的に進められている。中でも、上述した結像レンズ装置を構成する鏡筒本体に固体撮像素子等を取り付けることによって、撮像装置の小型パッケージ化が行われている。
【0004】
また、鏡筒本体には、図25に示すように、上述した一部のレンズを光軸方向に変位駆動するためのレンズ駆動機構200が取り付けられている。このレンズ駆動機構200は、レンズの外周部を保持するレンズ支持枠をラックを介して光軸方向に変位させるガイドスクリュー軸201と、このガイドスクリュー軸201を回転駆動するステッピングモータ202とを有している。ガイドスクリュー軸201は、ステッピングモータ202の駆動軸と一体に形成されており、一端と他端との間がブラケット203により支持されている。このブラケット203は、両端部が同一方向に折り曲げられた平板部材からなり、一端203aにガイドスクリュー軸201を貫通させた状態でステッピングモータ202が固定され、他端203bに設けられた軸受204にガイドスクリュー軸201の先端が軸支されることによって、このガイドスクリュー軸201を軸周りに回転可能に支持している。また、このブラケット203の一端203aと他端203bとの間には、ネジ205を貫通させる複数の貫通孔206と、鏡筒本体にネジ止めされる際の位置決めや回転止めを行う位置決め孔207や回転防止孔208が形成されている。そして、ブラケット203は、位置決め孔207や回転防止孔208に鏡筒本体に突設されたボスが係合された状態で、貫通孔206を通してネジ205が鏡筒本体に設けられたネジ孔に螺合されることによって、鏡筒本体に固定される。
【0005】
また、鏡筒本体には、図26に示すように、複数のレンズの間に配置された絞りの開口を調節するための絞り調節機構300が取り付けられている。この絞り調節機構300は、駆動モータ301の駆動により絞り302の開口302aを調節するものであり、駆動モータ301を保持する保持部材303と絞り302とが一体に形成されてなる。また、この保持部材303には、ネジ304を貫通させる貫通孔305と、鏡筒本体にネジ止めされる際の位置決めを行う位置決め突部306とが形成された固定片307が突出して設けられている。そして、この固定片307は、位置決め突部306が鏡筒本体に設けられた位置決め穴に係合された状態で、貫通孔305を通してネジ304が鏡筒本体に設けられたネジ孔に螺合されることによって、鏡筒本体に固定される。
【0006】
しかしながら、従来、このようなレンズ駆動機構200や絞り調節機構300は、鏡筒本体にそれぞれ個別に取り付けられるため、組立工数がかかると共に、鏡筒本体に対する固定箇所が多くなることによって、様々な問題を生じさせてしまう。例えば、鏡筒本体に対する固定箇所が多くなると、ネジ止めによる鏡筒本体の変形が大きくなる。この場合、鏡筒本体に光軸を一致させた状態で配置される複数のレンズの光学特性が劣化してしまう。また、このような鏡筒本体の変形を防ぐためには、鏡筒本体を肉厚にして固定箇所の強度を確保する必要がある。しかしながら、鏡筒本体の固定箇所を増やしたり、鏡筒本体を肉厚にすることは、上述した装置全体の小型化を図る上で大変不利となってしまう。
【0007】
また、上述したレンズ駆動機構200では、図27A及び図27Bに示すように、鏡筒本体の内部で一部のレンズを光軸方向に変位駆動するのに必要なメカストロークを保証するために、このメカストローク以上に鏡筒本体に固定されるブラケット203の位置精度を考慮した駆動ストロークを確保する必要がある。
【0008】
具体的に、従来のレンズ駆動機構200では、図27Aに示すように、ブラケット203と鏡筒本体との間でガタが生じやすく、このブラケット203の加工精度を向上させることも非常に困難なことから、鏡筒本体に対する組付誤差を考慮して、保証するメカストロークよりも駆動ストロークを大きく確保する必要がある。この場合、レンズ駆動機構200を小型化することが非常に困難となってしまう。一方、上述した固体撮像素子の高画素化や高画質化に対応するためには、図27Bに示すように、鏡筒本体に対するレンズ駆動機構200の位置精度を向上させ、駆動ストロークを従来よりも小さくすることによって、レンズを高分解能で変位させる必要がある。
【0009】
このように、従来では、鏡筒本体に対するレンズ駆動機構200や絞り調節機構300の固定箇所が多くなると共に、レンズ駆動機構200による駆動ストロークが大きくなるために、装置全体を小型化することが非常に困難であるといった問題があった。
【0010】
また、上述した鏡筒本体に対する固定箇所では、例えば図28に示すように、鏡筒本体401に対して上述したブラケット203や保持部材303を構成する板金402がネジ止めされる場合に、鏡筒本体401には、ネジ403が螺合されるネジ孔404aが形成された座面突部404と、このネジ孔404aに螺合されるネジ403の頭部と干渉しない位置に、鏡筒本体401にネジ止めされる際の位置決めや回転止めを行う位置決め突部405及び回転防止突部406が形成される。一方、板金402には、ネジ孔404aに対応した貫通孔407と、位置決め突部405及び回転防止突部406に対応した位置決め孔408及び回転防止孔409が形成され、これら位置決め孔408及び回転防止孔409に鏡筒本体401の位置決め突部405及び回転防止突部406が係合された状態で、ネジ孔を通して座面突部404のネジ孔404aにネジ403が螺合されることによって、鏡筒本体に固定される。
【0011】
この場合、鏡筒本体401では、ネジ孔404aに螺合されるネジ403の頭部と干渉しない位置に、位置決め突部405や回転防止突部406を配置するための一定のスペースを確保する必要があり、小型化を図る上で大変不利となってしまう。また、小型化のためネジを小さくすることも考えられるが、締結部分の耐久性が低下し、締付トルクの管理も難しくなることから、信頼性が大幅に低下してしまう危険性がある。また、ネジ止めされる際の鏡筒本体401に対する板金402の連れ回りによって、位置決め突部405や回転防止突部406に変形が生じ、これを防止するために、位置決め突部405や回転防止突部406を大きくすると、鏡筒本体の大型化を招くことになる。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、鏡筒本体に対する固定箇所を削減しながら、鏡筒本体に対して各構成要素を適切に固定することによって、更なる小型化を可能とした結像レンズ装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、そのような結像レンズ装置を備えることによって、装置全体を小型化すると共に、被写体の像を高分解能で撮像することを可能とした撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る結像レンズ装置は、被写体の像を結像させる複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、複数のレンズのうち何れかのレンズの間に配置される絞りの開口を第1の駆動モータの駆動により調節する絞り調節機構と、絞り調節機構を保持する第1の保持部材と、鏡筒本体に収納され、複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持部材と、レンズ支持部材と当接されるカムが第2の駆動モータの駆動軸に設けられ、当該第2の駆動モータの駆動によりレンズ支持部材を当該カムの変位に応じて光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構と、レンズ駆動機構を保持する第2の保持部材とを備え、鏡筒本体の光軸と平行な第1の側面に形成された第1の挿入口から、鏡筒本体の内部に絞りが挿入され、鏡筒本体の第1の側面及び当該第1の側面と隣接する光軸と平行な第2の側面に亘って形成された第2の挿入口から、鏡筒本体の内部にカムが挿入され、第1の保持部材に設けられた被押付部が第2の保持部材に設けられた押付部により鏡筒本体の第1の側面に押し付けられた状態で、第2の保持部材に設けられた固定部が鏡筒本体の第2の側面に固定されていることを特徴としている。
【0015】
以上のように、本発明に係る結像レンズ装置では、第1の保持部材に設けられた被押付部が第2の保持部材に設けられた押付部により鏡筒本体の第1の側面に押し付けられた状態で、第2の保持部材に設けられた固定部が鏡筒本体の第2の側面に固定されることから、鏡筒本体に対する絞り調節機構とレンズ駆動機構との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構とレンズ駆動機構とを鏡筒本体に対して適切に固定することができ、装置全体を小型化することができる。
【0016】
また、本発明に係る撮像装置は、被写体の像を結像させる複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、複数のレンズのうち何れかのレンズの間に配置される絞りの開口を第1の駆動モータの駆動により調節する絞り調節機構と、絞り調節機構を保持する第1の保持部材と、鏡筒本体に収納され、複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持部材と、レンズ支持部材と当接されるカムが第2の駆動モータの駆動軸に設けられ、当該第2の駆動モータの駆動によりレンズ支持部材を当該カムの変位に応じて光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構と、レンズ駆動機構を保持する第2の保持部材と、複数のレンズにより結像された被写体の像を受像する固体撮像素子とを備え、鏡筒本体の光軸と平行な第1の側面に形成された第1の挿入口から、鏡筒本体の内部に絞りが挿入され、鏡筒本体の第1の側面及び当該第1の側面と隣接する光軸と平行な第2の側面に亘って形成された第2の挿入口から、鏡筒本体の内部にカムが挿入され、第1の保持部材に設けられた被押付部が第2の保持部材に設けられた押付部により鏡筒本体の第1の側面に押し付けられた状態で、第2の保持部材に設けられた固定部が鏡筒本体の第2の側面に固定されていることを特徴としている。
【0017】
以上のように、本発明に係る撮像装置では、鏡筒本体に対する絞り調節機構とレンズ駆動機構との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構とレンズ駆動機構とが鏡筒本体に対して適切に固定されることから、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子により高分解能で撮像することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した結像レンズ装置及び撮像装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、本発明を適用した撮像装置1は、鏡筒本体2に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体2に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像する本発明を適用した結像レンズ装置に、複数のレンズにより結像された被写体の像を受像する固体撮像素子を取り付けることによって、全体を小型パッケージ化したものである。そして、このような撮像装置1は、小型化が図られることによって、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等を構成するに好適なものとして使用されている。なお、本例では、結像レンズ装置の前玉有効径を約5.2mmとして設計したが、そのような設計範囲に限定されるものではなく、更に小型化することも可能である。
【0020】
鏡筒本体2は、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置された主鏡筒3と、複数のレンズにより結像される被写体の像面に位置するように固体撮像素子が取り付けられた後部鏡筒4とから構成されている。
【0021】
この鏡筒本体2の内部において、複数のレンズは、図3及び図4に示すように、被写体側から、主鏡筒3に対して固定された第1のレンズ5及び第2のレンズ6からなる固定レンズ群7と、主鏡筒3の内部で光軸方向に移動可能に支持された第3のレンズ8、第4のレンズ9及び第5のレンズ10からなる可動レンズ群11とを有して構成されている。また、複数のレンズのうち、第1のレンズ4乃至第4のレンズ8は、光学ガラスからなり、第5のレンズ9は、光学プラスチックからなる。
【0022】
また、固定レンズ群7と可動レンズ群11との間には、絞り12が配置されている。そして、これら複数のレンズにより結像される被写体の像面側には、後部鏡筒4に固定された赤外カットフィルタ13と、ローパスカットフィルタ14と、固体撮像素子15とが配置されている。
【0023】
主鏡筒3は、図5に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂が全体略直方体状に成形されてなる。この主鏡筒3の被写体側に位置する前面には、固定レンズ群7が固定される略円筒状のレンズ取付部16が設けられている。このレンズ取付部16は、第1のレンズ5と第2のレンズ6とを隣接させた状態で熱カシメ等によりその外周部を固定支持している。
【0024】
また、この主鏡筒3には、図6に示すように、内部に可動レンズ群11を収納するためのレンズ収納空間17が形成されており、背面側が開放された形状を有している。そして、このレンズ収納空間17には、可動レンズ群11を光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持機構18が配設されている。
【0025】
このレンズ支持機構18は、可動レンズ群11を支持するレンズ支持部材19と、このレンズ支持部材19を光軸方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸20a,20bとを有している。
【0026】
レンズ支持部材19は、図7及び図8に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂や、後述するカムピン36とサイドカム51との摺動特性を向上させるために、例えば液晶ポリマー等からなる。このレンズ支持部材19は、レンズ保持枠21と共に可動レンズ群11の外周部を保持するレンズ支持枠19aを有している。このレンズ支持枠19aは、中央部に可動レンズ群11が収納されるレンズ収納凹部22が形成されており、このレンズ収納凹部22の底面中央には、可動レンズ群11の第3のレンズ8を所定の径で臨ませる開口部23が形成されている。一方、レンズ保持枠21は、第5のレンズ10の外周部と当接される円環部21aと、この円環部21aの両側からレンズ支持枠19aに向かって折り曲げ形成された一対の折曲げ片21bとを有し、円環部21aには、第5のレンズ10の外周部と当接されることによって一対の折曲げ片21bを所定の弾性力でレンズ支持枠19aを挟み込む方向へと撓ませる複数の突起部21cが形成されており、一対の折曲げ片21b,21bの先端部には、それぞれレンズ支持枠19aの外周部に形成された係止溝24と係合される係止爪21dが形成されている。
【0027】
また、レンズ支持枠19aの外周部には、一方のガイド軸20aを挿通する貫通孔25が形成された筒状部26と、他方のガイド軸20bを挟み込む溝部27が形成された支持片28とが互いに対称となる位置から突出形成されている。また、支持片28と隣接した位置には、第5のレンズ10を位置決めする溝部29が形成された位置決め部30が突出形成されている。この溝部29には、第5のレンズ10を射出成形することにより生じるゲート部分(スプルー)31が係合される。第5のレンズ10は、このようなゲート部分31を切断せずに残しておくことで、切断時の応力の発生により光学特性が劣化するのを防止している。本例では、この第5のレンズ10に残されたゲート部分31をレンズ支持枠19aに保持する際の位置決めに用いている。
【0028】
そして、このレンズ支持部材19に可動レンズ群11を固定する際は、先ず、第3のレンズ8、第4のレンズ9及び第5のレンズ10が接合された状態でレンズ支持枠19aのレンズ収納凹部22に収納される。このとき、第5のレンズ10のゲート部分31がレンズ支持枠19aの溝部29と係合されることによって、これら可動レンズ群11がレンズ支持枠19aに対して正確に位置決めされる。次に、レンズ保持枠21がレンズ支持枠2aと共に可動レンズ群11の外周部を挟み込みながら、一対の突出片21bの係止爪21dがレンズ支持枠19aの係止溝24と係合される。これにより、可動レンズ群11をレンズ支持部材19に適切に固定することができる。
【0029】
一対のガイド軸20a,20bは、図6に示すように、光軸と平行に配置されており、それぞれの両端部が主鏡筒3と後部鏡筒4との間で固定支持される。このうち、一方のガイド軸20aは、図6中に示すレンズ収納空間17の左上コーナー部に位置しており、他方のガイド軸20bは、図6中に示すレンズ収納空間17の右下のコーナー部に位置している。この場合、レンズ支持部材19は、主鏡筒3に対して略45゜傾けられた状態で配置されることによって、一対のガイド軸20a,20bに対するレンズ支持部材19のガタツキを抑制することができる。
【0030】
また、主鏡筒3の一対のガイド軸20a,20bが固定される面には、図9に示すように、一対の受け穴32a,32bが形成されており、これら受け穴32a,32bは、圧入される一対のガイド軸20a,20bの先端を保持するように、内面が四方に亘って平坦化された形状を有している。
【0031】
また、一方のガイド軸20aには、図6に示すように、レンズ支持部材19を背面側に付勢する圧縮コイルバネ33が挿通されている。一方、図7に示すレンズ支持部材19の筒状部26及び図9に示す主鏡筒3の一方の受け穴32aには、この圧縮コイルバネ33の両端部と当接される受け部34,35がそれぞれ形成されている。
【0032】
そして、レンズ支持部材19は、図10及び図11に示すように、筒状部26の貫通孔25に一方のガイド軸20aが挿通され、支持片28の溝部27に他方のガイド軸20bが挟み込まれることによって、これら一対のガイド軸20a,20bに沿って摺動可能に支持されている。
【0033】
また、レンズ支持部材19には、筒状部26の近傍から背面側に向かってカムピン36が突出形成されている。このカムピン36は、レンズ支持部材19が圧縮コイルバネ33に付勢されることによって、後述するレンズ駆動機構42のサイドカム51と当接される。また、このカムピン36は、サイドカム51との摺動性及び耐摩耗性を良くするために、その先端部が例えば半球面とされている。また、このカムピン36は、レンズ支持部材19と一体に成形されているが、サイドカム51との摺動性及び耐摩耗性を向上させるために、例えば液晶ポリマー等を用いてレンズ支持部材19とは別個に作製した後に、このレンズ支持部材19に取り付けた構造としてもよい。また、圧縮コイルバネ33は、所定の面圧でカムピン36がサイドカム51と当接されるように、内周部がガイド軸20aに接触せず、且つ、圧縮された際に外周部が主鏡筒3の受け部34と干渉しない寸法で形成されている。
【0034】
また、このレンズ支持部材19には、後述するリセットセンサ67と協働して初期化の動作を行う突出片37が、筒状部26の近傍から前面側に向かって所定の長さで突出形成されている。さらに、レンズ支持部材19には、図10に示すように、一対のガイド軸20a,20bに沿って前面側にスライドされた際に主鏡筒3と当接される規制突部38と、背面側にスライドされた際に後部鏡筒4と当接される規制片39とが互いに逆向きに突出形成されている。一方、主鏡筒3には、図9に示すように、このレンズ支持部材19の規制突部38と当接される受け面40が形成されている。
【0035】
また、主鏡筒3には、図12に示すように、上述した絞り12の開口12aを調節する絞り調節機構41と、上述したレンズ支持部材19を光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構42とが配設されている。
【0036】
絞り調節機構41は、図13及び図14に示すように、第1の駆動モータ43の駆動により絞り12の開口12aを2枚のシャッタ部材(図示せず。)により調節する、いわゆるアイリスユニットであり、第1の保持部材44と一体に形成されてなる。第1の保持部材44は、この絞り調節機構41を保持するものであり、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばポリカーボネート樹脂からなる。
【0037】
この第1の保持部材44は、全体略矩形平板状に成形されてなり、先端部には、絞り12の開口12aが光軸と一致するように形成されている。また、第1の保持部材44には、基板部側の一方の主面に位置して、第1の駆動モータ43が光軸と平行となるように取り付けられている。一方、この第1の駆動モータ43が取り付けられた面とは反対側の主面には、絞り12の開口12aを調節する2枚のシャッタ部材が第1の駆動モータ43の駆動により互いに逆向きにスライド可能に設けられている。また、第1の保持部材44の主鏡筒3と当接される面には、当該主鏡筒3に対して位置決めされるボス穴45が形成されている。また、第1の保持部材44の一側面部には、後述する主鏡筒3の位置決め凹部48に係合されると共に、後述する第2の保持部材54の押付片56に押し付けられる被押付片46が突出形成されている。
【0038】
一方、主鏡筒3には、図12に示すように、光軸と平行な一側面(以下、第1の側面という。)3aに、上述した絞り12を固定レンズ群7と可動レンズ群11との間に挿入するための第1の挿入口47が形成されている。また、第1の側面3aには、第1の保持部材44の被押付片46が係合される位置決め凹部48が第1の挿入口47と隣接して形成されている。また、第1の側面3aには、第1の保持部材44のボス穴45に係合されるボス49と、第1の駆動モータ43の外形に対応した切欠き部50とが形成されている。
【0039】
レンズ駆動機構42は、図14に示すように、レンズ支持部材19のカムピン36と当接されるサイドカム51と、このサイドカム51が取り付けられた駆動軸52を回転駆動する第2の駆動モータ53とを有している。
【0040】
サイドカム51は、駆動軸52の回転に応じてレンズ支持部材19を光軸方向に変位させるものであり、例えばポリカーボネート樹脂を用いて高精度に成形され、中心部が第2の駆動モータ53の駆動軸52に圧入若しくは接着により固定されてなる。また、サイドカム51は、カムピン36との摺動性を良くするために、カムピン36と摺接される面にグリスを塗布してもよい。また、サイドカム51を摺動性に優れた例えば液晶ポリマー等を用いて作製し、レンズ支持部材19を耐摩耗性に優れた例えば炭素入りのポリカーボネート樹脂等を用いて作製することによって、このようなグリスを塗布しない構造とすることもできる。
【0041】
第2の駆動モータ53は、いわゆるステッピングモータであり、供給される駆動パルスに応じて駆動軸52の回転を駆動制御する。そして、この第2の駆動モータ53は、第2の保持部材54により支持されている。この第2の保持部材54は、両端部が同一方向に折り曲げられた板金からなり、一端に駆動軸52を貫通させた状態で第2の駆動モータ53が固定され、他端に設けられた軸受55に駆動軸52の先端が軸支されることによって、この駆動軸52を一端と他端との間で回転可能に支持している。
【0042】
また、第2の保持部材54の一端には、上述した第1の保持部材44の被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに押し付ける押付片56が折り曲げ形成されている。この押付片56は、所定の弾性を有するように、板金の板厚、幅、材質等が決められており、上述した主鏡筒3の位置決め凹部48に第1の保持部材44の被押付片46が係合された際の寸法バラツキを吸収できるようになされている。
【0043】
また、この第2の保持部材54の一端と他端との間には、主鏡筒3に対して位置決めされるボス孔57が形成されている。さらに、このボス孔57が形成された位置からは、主鏡筒3に固定される固定片58が、第2の駆動モータ53側に駆動軸52と平行となるように延長して形成されている。この固定片58には、第1の孔部59と、この第1の孔部59よりも拡径された第2の孔部60とが駆動軸52と平行な方向に沿って連続して形成されている。このうち、第1の孔部59は、主鏡筒3にネジ止めされる際の固定片58の回転を防止する長孔であり、第2の孔部60は、主鏡筒3にネジ止めされる際のネジ61を貫通させる貫通孔である。
【0044】
一方、主鏡筒3には、図12に示すように、第1の側面3a及び当該第1の側面3aと隣接する光軸と平行な一側面(以下、第2の側面という。)3bに亘って、上述したサイドカム51をレンズ収納空間17に挿入するための第2の挿入口62が形成されている。そして、主鏡筒3の内面には、この第2の挿入口62から挿入された第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合される位置決め凹部63が形成されている。
【0045】
また、第2の側面3bには、上述した固定片58の第1の孔部59と係合される回転防止用の位置決め突部64と、固定片58の第2の孔部60を通してネジ61が螺合されるネジ孔65aが形成された座面突部65とが突出形成されている。位置決め突部64は、座面突部65よりも高く且つ当該ネジ孔65aに螺合されるネジ61の頭部を投影した領域内に少なくとも一部が位置している。座面突部65は、ネジ孔65aから位置決め突部64に向かって一部が切り欠かれた形状を有している。なお、これら位置決め突部64及び座面突部65は、それぞれ先端に面取りが施されており、基端が主鏡筒3の第2の面に対して曲面形状(R)を有している。また、第2の側面3bには、上述した第2の保持部材54のボス孔57と係合される位置決め用のボス66が突出形成されている。
【0046】
そして、これら絞り調節機構41及びレンズ駆動機構42を主鏡筒3に取り付ける際は、先ず、主鏡筒3の第1の挿入口47から絞り12を主鏡筒3の内部に挿入する。このとき、主鏡筒3の位置決め凹部48に第1の保持部材44の被押付片46が係合され、第1の保持部材44のボス孔45に主鏡筒3のボス49が係合され、主鏡筒3の切欠き部50に第1の保持部材44に取り付けられた第1の駆動モータ43がそれぞれ係合される。なお、この位置決め凹部48に係合された被押付片46は、第1の側面3aと同一主面を形成している。また、図示を省略するが、主鏡筒3の内部に挿入された絞り12の先端は、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部と係合されると共に、上述したレンズ取付部16とレンズ収納空間17との間を遮断することになる。これにより、絞り調節機構41は、固定レンズ群7と可動レンズ群11との間の光路上に絞り12の開口12aが位置するように、主鏡筒3に対して正確に位置決めされた状態となる。
【0047】
次に、主鏡筒3の第2の挿入口62から、サイドカム51がレンズ収納空間17に収納されたレンズ支持部材19のカムピン36と当接されるように、レンズ駆動機構42を主鏡筒3の内部に挿入する。このとき、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合される。また、第2の保持部材54のボス孔57に主鏡筒3の第2の面に形成されたボス66が係合される。また、図15に示すように、第2の保持部材54の押付片56が第1の保持部材44の被押付片46と当接され、上述した位置決め凹部48に係合された被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに所定の力量で押し付けた状態とする。また、図16及び図17に示すように、固定片58が主鏡筒3の座面突部65と当接された状態で、第2の保持部材54の第1の孔部59に主鏡筒3の位置決め突部64が係合されると共に、第2の孔部60を通してネジ孔65aにネジ61が螺合される。これにより、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定される。
【0048】
このように、撮像装置1では、第1の保持部材44の被押付片46が第2の保持部材54の押付片56により主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けられた状態で、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定されることから、主鏡筒3に対する絞り調節機構41とレンズ駆動機構42との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構41とレンズ駆動機構42とを主鏡筒3に対して適切に位置決め固定することが可能である。
【0049】
なお、第2の保持部材54の押付片56は、第1の保持部材44の被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けることによって、主鏡筒3に対して絞り調節機構41を絞り12の挿入方向に固定すると共に、この絞り12の挿入方向と直交する方向にも固定することが可能である。
【0050】
また、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42が主鏡筒3のレンズ収納空間17に挿入されたときに、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合されることから、第2の駆動モータ53の駆動軸52の位置精度を向上させることが可能であり、サイドカム51によるレンズ支持部材19の光軸方向の移動操作を適切に行うことが可能となる。また、撮像装置1では、このようなサイドカム51からなるレンズ駆動機構42によって、レンズ支持部材19の駆動ストロークを従来よりも小さくすることが可能であり、可動レンズ群11を高分解能で変位駆動することが可能である。
【0051】
また、この撮像装置1では、図16及び図17に示すように、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定されたときに、座面突部65のネジ孔65aに螺合されたネジ61の頭部を投影した領域内に位置決め突部64の少なくとも一部が位置すると共に、第1の孔部59と第2の孔部60とが連続して形成されることによって、位置決め突部64とネジ61の頭部との間に、図16に示すような微小な隙間Sが生じることになる。この場合、主鏡筒3の位置決め凹部63に係合された軸受55を支点として、ネジ止めされた第2の保持部材54の固定片58が僅かに弾性変位し、第1の孔部59及び第2の孔部60へと倒れ込んだ状態となる。これにより、撮像装置1では、レンズ駆動機構42を主鏡筒3に対してガタツキを生じさせることなく強固に位置決め固定することが可能である。
【0052】
また、この撮像装置1では、図18に示すように、第2の保持部材54の第1の孔部59に係合される位置決め突部64の形状を第1の孔部59が連続する方向に沿って長方形状としてもよい。この場合、第1の孔部59と位置決め突部64とは、互いの当接される面が第1の孔部59と第2の孔部60とを結ぶ直線と平行に平坦化されていることから、互いの接触面積を増大させて、集中する圧力(力量)を低下させることができる。これにより、第2の孔部60を通してネジ孔65aにネジ61が螺合される際の位置決め突部64の変形を抑制することが可能であり、ネジ止めによる固定部58の連れ回りを確実に防止することが可能である。
【0053】
上述した絞り調節機構41及びレンズ駆動機構42が取り付けられた主鏡筒3の第1の側面3aには、図19に示すように、絞り調節機構41よりも前面側に位置してリセットセンサ67が配設されている。
【0054】
このリセットセンサ67は、図20に示すように、上述したレンズ支持部材19の突出片37に沿った溝部68を有し、この溝部68を突出片37が通過することによって、これを感知し、電源投入時等においてレンズ駆動機構42の初期化を行う。また、このリセットセンサ67は、略矩形状のフレキシブル配線基板69にハンダ付けされており、このフレキシブル配線基板69には、上部にネジ70を貫通させる貫通孔71と、両側縁部に一対の切欠き部72とが形成されている。
【0055】
一方、主鏡筒3の第1の側面3aには、このリセットセンサ67をレンズ収納空間17に挿入するための第3の挿入口73が形成されている。また、第1の側面3aには、フレキシブル配線基板69の貫通孔71を通してネジ70が螺合されるネジ孔74と、フレキシブル配線基板69の一対の切欠き部72に係合されることによって、フレキシブル配線基板69を主鏡筒に対して位置決めする或いはネジ止めされるフレキシブル配線基板69の回転を防止する一対の突起部75とが形成されている。
【0056】
そして、リセットセンサ67を主鏡筒3に取り付ける際は、第3の開口部73からリセットセンサ67を挿入する。このとき、フレキシブル配線基板69の一対の切欠き部72に一対の突起部75が係合された状態で、フレキシブル配線基板69の貫通孔71を通して主鏡筒3のネジ孔74にネジ70が螺合される。これにより、リセットセンサ67が取り付けられたフレキシブル配線基板69を主鏡筒3の第1の側面3aに位置決め固定することができる。
【0057】
リセットセンサ67が取り付けられた主鏡筒3には、後部鏡筒4が取り付けられる。この後部鏡筒4は、図21及び図22に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂が全体略矩形枠状に成形されてなり、その中央部には、矩形状の開口部4aが形成されている。
【0058】
この後部鏡筒4の主鏡筒3の背面と対向する正面には、一対の受け穴76a,76bが形成されており、これら一対の受け穴76a,76bは、圧入される一対のガイド軸20a,20bの他端を保持するように、内面が四方に亘って平坦化された形状を有している。また、この後部鏡筒4の背面には、一対の受け穴76a,76bの近傍に位置して、一対の位置決め突部77が突出形成されている。また、この後部鏡筒4の正面には、上述した図10及び図11に示すレンズ支持部材19の規制片39と当接される受け部78が突出形成されている。
【0059】
また、後部鏡筒4の背面には、図22に示す左上コーナー部及び右下のコーナー部に位置して、ネジ79を貫通させる一対の貫通孔80が形成されている。また、これら貫通孔80の周囲には、後部鏡筒4の背面側に取り付けられる固体撮像素子15とネジ79との干渉を防ぐために、一段低くなされた段差部80aが形成されている。また、この後部鏡筒4の背面には、一対の位置決め突部81と一対のネジ孔82とがそれぞれ一対の貫通孔80から順に上方又は下方に並ぶように形成されている。そして、この後部鏡筒4は、正面側の一対の位置決め突部77が主鏡筒3の背面に形成された一対の位置決め穴83に係合されることによって位置決めされ、一対の貫通孔80を通して主鏡筒3の背面に形成された一対のネジ孔84にネジ79が螺合されることによって、この主鏡筒3の背面に固定される。
【0060】
この主鏡筒3に後部鏡筒4が取り付けられた鏡筒本体2は、図23に示すように、本発明を適用したレンズ結像装置を構成しており、上述した複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置され、固定レンズ群7に対してレンズ支持機構18により支持された可動レンズ群11をレンズ駆動機構42により光軸方向に変位駆動することによって、この鏡筒本体2の背面側に被写体の像を結像させる。そして、この鏡筒本体2は、背面側に、赤外カットフィルタ13と、ローパスカットフィルタ14と、固体撮像素子15とが後部鏡筒4に固定された状態で配置されることによって、本発明を適用した撮像装置1を構成している。
【0061】
赤外カットフィルタ13は、近赤外光が固体撮像素子に到達しないようにするためのものである。この赤外カットフィルタ13には、大別して2種類の方式があり、一つは、金属イオンを含有することで特定の波長(ここでは赤外光)を吸収する、いわゆる吸収フィルタと、もう一つは、誘電体の多層構造をもつ、いわゆるダイクロイックフィルタである。
【0062】
ローパスカットフィルタ14は、固体撮像素子15に向かう光から特定の空間周波数成分を取り出すためのものである。すなわち、複数のレンズを透過した光は、このローパスフィルタ14を透過することで特定の空間周波数成分のみが取り出され、この特定の空間周波数成分の光が固体撮像素子15に入射することになる。
【0063】
固体撮像素子15は、配線基板85に実装されたCCD(charge-coupled device)からなり、入射した光を光電変換して電気信号として出力する。また、固体撮像素子15としては、CCDの代わりに、CMOS(complementary mental-oxide semiconductor device)を配線基板85に実装するようにしてもよい。
【0064】
また、固体撮像素子15は、矩形状の板金86に取り付けられており、この板金86の両側には、上述した後部鏡筒4の背面側に形成された位置決め突部81が係合される一対の位置決め孔87と、ネジ88を貫通させる一対の貫通孔89とが形成されている。この板金86には、図24に示すように、固体撮像素子15に矩形枠状のシールゴム90が嵌合され、このシールゴム90を介してローパスカットフィルタ14と赤外カットフィルタ13とが接合されている。そして、この板金86は、一対の位置決め孔87に後部鏡筒4の一対の位置決め突部81が係合された状態で、一対の貫通孔89を通して後部鏡筒4の一対のネジ孔82にネジ88が螺合されることによって、後部鏡筒4の背面に取り付けられる。また、後部鏡筒4には、これら赤外カットフィルタ13、ローパスカットフィルタ14及びシールゴム90が嵌め込まれる枠状の段差部91が形成されている。
【0065】
以上のように構成される撮像装置1では、結像レンズ装置が固定レンズ群7に対してレンズ支持機構18により支持された可動レンズ群11をレンズ駆動機構42により光軸方向に変位駆動することによって、この鏡筒本体2の背面側に被写体の像を結像する。すなわち、第2の駆動モータ53の回転駆動に応じてサイドカム51がレンズ支持部材19を光軸方向に変位させる。また、このレンズ支持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿って前面側にスライドされた際に、主鏡筒3の受け面40と規制突部38とが当接され、背面側にスライドされた際に後部鏡筒4の受け部78と規制片39とが当接されることによって、その光軸方向の移動範囲が規制されている。このように、サイドカム51は、上述した図27に示すメカストローク以上の駆動ストロークを保証し、可動レンズ群11を高分解能で変位駆動することが可能である。
【0066】
そして、この撮像装置1では、レンズ結像装置で結像された被写体の像を固体撮像素子15で受像し、この固体撮像素子15から出力される電気信号を処理することで、被写体の像に対応したデジタル画像データを生成することができる。
【0067】
上述したように、この撮像装置1では、第2の保持部材54の押付片56が第1の保持部材44の被押付片46により主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けられた状態で、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定されることから、主鏡筒3に対する絞り調節機構41とレンズ駆動機構42との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構41とレンズ駆動機構42とを主鏡筒3に対して適切に固定することが可能である。これにより、高性能且つ組付時の取り回しが容易な構造とすることが可能であり、装置全体を小型化することが可能である。
【0068】
また、この撮像装置1では、これら絞り調節機構41とレンズ駆動機構42との鏡筒本体2に対する固定箇所を削減することによって、鏡筒本体2を肉厚にすることなく鏡筒本体2の変形が防止された構造とすることが可能である。したがって、この撮像装置1では、装置全体の更なる小型化が可能であり、鏡筒本体2の変形による光学特性の劣化を防止することが可能である。
【0069】
また、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42が主鏡筒3のレンズ収納空間17に挿入されたときに、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合されることによって、第2の駆動モータ53の駆動軸52の位置精度を向上させることが可能なことから、サイドカム51によるレンズ支持部材19の駆動ストロークを従来よりも小さくすることが可能であり、レンズ駆動機構42を更に小型化することも可能である。さらに、この撮像装置1では、固体撮像素子15の高画素化や高画質化に対応した可動レンズ群11の高分解能での変位駆動が可能である。
【0070】
また、この撮像装置1では、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定されたときに、座面突部65のネジ孔65aに螺合されたネジ61の頭部を投影した領域内に位置決め突部64の少なくとも一部が位置すると共に、第1の孔部59と第2の孔部60とが連続して形成されることによって、位置決め突部64とネジ61の頭部との間に、図16に示すような微小な隙間Sが生じることになる。これにより、主鏡筒3の位置決め凹部63に係合された軸受55を支点として、ネジ止めされた第2の保持部材54の固定片58が僅かに弾性変位し、第1の孔部59及び第2の孔部60へと倒れ込んだ状態となることから、レンズ駆動機構42を主鏡筒3に対してガタツキを生じさせることなく強固に位置決め固定することが可能である。したがって、この撮像装置1では、鏡筒本体2に対する固定箇所の信頼性を維持したまま、組付時の取り回しが容易な構造とすることが可能であり、更なる小型化及び低コスト化が可能である。
【0071】
また、第1の孔部59と位置決め突部64とは、互いの当接される面が第1の孔部59と第2の孔部60とを結ぶ直線と平行に平坦化されていることから、互いの接触面積を増大させて、集中する圧力(力量)を低下させることが可能である。これにより、第2の孔部60を通してネジ孔65aにネジ61が螺合される際の位置決め突部64の変形を抑制することが可能であり、ネジ止めによる固定部58の連れ回りを確実に防止することが可能である。したがって、この撮像装置1では、更に組付時の取り回しが容易且つ鏡筒本体2に対する固定箇所の信頼性を維持した構造とすることが可能であり、更なる小型化及び低コスト化が可能である。
【0072】
なお、このような固定方法の適用については、上述した第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定される箇所に限定されず、鏡筒本体2に対する他の固定箇所にも広く適用可能であり、板金に限らず樹脂部材等を鏡筒本体2に固定する場合にも適用可能である。
【0073】
なお、本発明は、上述した複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像する結像レンズ装置に限らず、例えば複数のレンズのうち少なくとも一部のレンズを光軸方向に変位させることによって倍率の変化と焦点合わせとを行うズームレンズや、プロジェクタ装置で使用される投影レンズ等にも適用可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、第2の保持部材の押付片が第1の保持部材の被押付片により鏡筒本体の第1の側面3aに押し付けられた状態で、第2の保持部材の固定部が主鏡筒の第2の側面3bに固定されることから、鏡筒本体に対する絞り調節機構とレンズ駆動機構との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構とレンズ駆動機構とを鏡筒本体に対して適切に固定することが可能であり、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子により高分解能で撮像することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した撮像装置を前面側から見た斜視図である。
【図2】上記撮像装置を背面側から見た斜視図である。
【図3】上記撮像装置の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】上記撮像装置の内部構成を示す横断面図である。
【図5】主鏡筒及び固定レンズ群の構成を示す斜視図である。
【図6】主鏡筒及びレンズ支持機構の構成を示す斜視図である。
【図7】レンズ支持部材及び可動レンズ群の構成を前面側から見た斜視図である。
【図8】レンズ支持部材及び可動レンズ群の構成を背面側から見た斜視図である。
【図9】主鏡筒の構成を示す背面図である。
【図10】レンズ支持機構及びレンズ駆動機構を前面側から見た斜視図である。
【図11】レンズ支持機構及びレンズ駆動機構を背面側から見た斜視図である。
【図12】主鏡筒、絞り調節機構及びレンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図13】絞り調節機構の構成を示す斜視図である。
【図14】レンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図15】絞り調節機構及びレンズ駆動機構の組付状態を示す斜視図である。
【図16】第2の保持部材の固定片が主鏡筒の第2の側面に固定された状態を示す断面図である。
【図17】第2の保持部材の固定片が主鏡筒の第2の側面に固定された状態を示す平面図である。
【図18】固定片の第1の孔部に係合される位置決め突部の変形例を示す平面図である。
【図19】主鏡筒とリセットセンサとの構成を示す斜視図である。
【図20】レンズ支持機構とリセットセンサの構成示す斜視図である。
【図21】主鏡筒と後部鏡筒との構成を正面側から見た斜視図である。
【図22】主鏡筒と後部鏡筒との構成を背面側から見た斜視図である。
【図23】鏡筒本体、赤外カットフィルタ、ローパスカットフィルタ及び固体撮像素子の構成を示す斜視図である。
【図24】赤外カットフィルタ、ローパスカットフィルタ及び固体撮像素子が一体化された状態を示す斜視図である。
【図25】従来のレンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図26】従来の絞り調節機構の構成を示す斜視図である。
【図27】保証するメカストロークに対するレンズ駆動機構の位置精度と駆動ストロークとの関係を示す模式図である。
【図28】鏡筒本体に対する板金の固定を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 撮像装置、2 鏡筒本体 3 主鏡筒、4 後部鏡筒、7 固定レンズ群、11 可動レンズ群、12 絞り、 13 赤外カットフィルタ、14 ローパスカットフィルタ、15 固体撮像素子、16 レンズ取付部、17 レンズ収納空間、18 レンズ支持機構、19 レンズ支持部材、20a,20b 一対のガイド軸、33 圧縮コイルバネ、36 カムピン、41 絞り調節機構、42 レンズ駆動機構、43 第1の駆動モータ、44 第1の保持部材、46被押付片、47 第1の挿入口、48 位置決め凹部、51 サイドカム、52 駆動軸、53 第2の駆動モータ、54 第2の保持部材、55 軸受、56 押付片、58 固定片、59 第1の孔部、60 第2の孔部、61 ネジ、62 第2の挿入口、63 位置決め凹部、64 位置決め突部、65a ネジ孔、65 座面突部、67 リセットセンサ、86 板金、90 シールゴム

Claims (13)

  1. 被写体の像を結像させる複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、
    上記複数のレンズのうち何れかのレンズの間に配置される絞りの開口を第1の駆動モータの駆動により調節する絞り調節機構と、
    上記絞り調節機構を保持する第1の保持部材と、
    上記鏡筒本体に収納され、上記複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持部材と、
    上記レンズ支持部材と当接されるカムが第2の駆動モータの駆動軸に設けられ、当該第2の駆動モータの駆動により上記レンズ支持部材を当該カムの変位に応じて光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構と、
    上記レンズ駆動機構を保持する第2の保持部材とを備え、
    上記鏡筒本体の光軸と平行な第1の側面に形成された第1の挿入口から、上記鏡筒本体の内部に上記絞りが挿入され、上記鏡筒本体の第1の側面及び当該第1の側面と隣接する光軸と平行な第2の側面に亘って形成された第2の挿入口から、上記鏡筒本体の内部に上記カムが挿入され、上記第1の保持部材に設けられた被押付部が上記第2の保持部材に設けられた押付部により上記鏡筒本体の第1の側面に押し付けられた状態で、上記第2の保持部材に設けられた固定部が上記鏡筒本体の第2の側面に固定されていることを特徴とする結像レンズ装置。
  2. 上記第1の保持部材は、上記絞りが上記鏡筒本体の内部に挿入されたときに、上記鏡筒本体の第1の側面に設けられた位置決め凹部に上記被押付部が係合されることによって、上記鏡筒本体に対して位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の結像レンズ装置。
  3. 上記第2の保持部材は、上記駆動軸を軸支する軸受部を先端に有し、上記カムが上記鏡筒本体の内部に挿入されたときに、当該軸受部が上記鏡筒本体の内部に設けられた位置決め凹部と係合されることによって、上記鏡筒本体に対して位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の結像レンズ装置。
  4. 上記鏡筒本体は、上記第2の側面に、上記第2の保持部材がネジ止めされるネジ孔が形成された座面突部と、当該座面突部よりも高く且つ当該ネジ孔に螺合されるネジの頭部を投影した領域内に少なくとも一部が位置するように形成された係合突部とを有し、
    上記第2の保持部材は、上記固定部に連続して形成された第1の孔部と第2の孔部とを有し、
    上記固定部は、上記座面突部と当接され、上記第1の孔部に上記係合突部が係合された状態で、上記第2の孔部を通して上記ネジ孔にネジが螺合されることによって、上記鏡筒本体の第2の側面に固定されていることを特徴とする請求項1記載の結像レンズ装置。
  5. 上記第1の孔部と上記係合突部とは、互いの当接される面が上記第1の孔部と上記第2の孔部とを結ぶ直線と平行となるように平坦化されていることを特徴とする請求項4記載の結像レンズ装置。
  6. 上記第1の駆動モータは、上記鏡筒本体の第1の側面と平行して配置されていると共に、上記第2の駆動モータは、上記鏡筒本体の第1の側面と直交して配置されていることを特徴とする請求項1記載の結像レンズ装置。
  7. 被写体の像を結像させる複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、
    上記複数のレンズのうち何れかのレンズの間に配置される絞りの開口を第1の駆動モータの駆動により調節する絞り調節機構と、
    上記絞り調節機構を保持する第1の保持部材と、
    上記鏡筒本体に収納され、上記複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持部材と、
    上記レンズ支持部材と当接されるカムが第2の駆動モータの駆動軸に設けられ、当該第2の駆動モータの駆動により上記レンズ支持部材を当該カムの変位に応じて光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構と、
    上記レンズ駆動機構を保持する第2の保持部材と、
    上記複数のレンズにより結像された被写体の像を受像する固体撮像素子とを備え、
    上記鏡筒本体の光軸と平行な第1の側面に形成された第1の挿入口から、上記鏡筒本体の内部に上記絞りが挿入され、上記鏡筒本体の第1の側面及び当該第1の側面と隣接する光軸と平行な第2の側面に亘って形成された第2の挿入口から、上記鏡筒本体の内部に上記カムが挿入され、上記第1の保持部材に設けられた被押付部が上記第2の保持部材に設けられた押付部により上記鏡筒本体の第1の側面に押し付けられた状態で、上記第2の保持部材に設けられた固定部が上記鏡筒本体の第2の側面に固定されていることを特徴とする撮像装置。
  8. 上記第1の保持部材は、上記絞りが上記鏡筒本体の内部に挿入されたときに、上記鏡筒本体の第1の側面に設けられた位置決め凹部に上記被押付部が係合されることによって、上記鏡筒本体に対して位置決めされていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
  9. 上記第2の保持部材は、上記駆動軸を軸支する軸受部を先端に有し、上記カムが上記鏡筒本体の内部に挿入されたときに、当該軸受部が上記鏡筒本体の内部に設けられた位置決め凹部と係合されることによって、上記鏡筒本体に対して位置決めされていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
  10. 上記鏡筒本体は、上記第2の側面に、上記第2の保持部材がネジ止めされるネジ孔が形成された座面突部と、当該座面突部よりも高く且つ当該ネジ孔に螺合されるネジの頭部を投影した領域内に少なくとも一部が位置するように形成された係合突部とを有し、
    上記第2の保持部材は、上記固定部に連続して形成された第1の孔部と第2の孔部とを有し、
    上記固定部は、上記座面突部と当接され、上記第1の孔部に上記係合突部が係合された状態で、上記第2の孔部を通して上記ネジ孔にネジが螺合されることによって、上記鏡筒本体の第2の側面に固定されていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
  11. 上記第1の孔部上記係合突部とは、互いの当接される面が上記第1の孔部と上記第2の孔部とを結ぶ直線と平行となるように平坦化されていることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
  12. 上記第1の駆動モータは、上記鏡筒本体の第1の側面と平行して配置されていると共に、上記第2の駆動モータは、上記鏡筒本体の第1の側面と直交して配置されていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
  13. 上記固体撮像素子は、上記複数のレンズにより結像される被写体の像面に位置するように、上記鏡筒本体に取り付けられていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
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