JP2005010657A - レンズ鏡筒及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カムを用いたレンズ駆動機構のカムの喰い付き発生を防止する。
【解決手段】複数のレンズ7,11が光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体2と、鏡筒本体2に収納された一部のレンズ11を保持するレンズ保持部材19と、レンズ保持部材19を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸20a,20bと、レンズ保持部材19を光軸方向の一方側に付勢するコイルバネ33と、駆動モータ53により回転駆動されるカム51の変位に応じてレンズ保持部材19をコイルバネ33の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動機構42とを備え、少なくとも光軸方向の他方側において、このレンズ駆動機構42によりレンズ保持部材19が変位駆動されるメカストロークが、レンズ保持部材のスライド可能な駆動ストロークよりも小さくなるように設定されている。
【選択図】 図27
【解決手段】複数のレンズ7,11が光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体2と、鏡筒本体2に収納された一部のレンズ11を保持するレンズ保持部材19と、レンズ保持部材19を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸20a,20bと、レンズ保持部材19を光軸方向の一方側に付勢するコイルバネ33と、駆動モータ53により回転駆動されるカム51の変位に応じてレンズ保持部材19をコイルバネ33の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動機構42とを備え、少なくとも光軸方向の他方側において、このレンズ駆動機構42によりレンズ保持部材19が変位駆動されるメカストロークが、レンズ保持部材のスライド可能な駆動ストロークよりも小さくなるように設定されている。
【選択図】 図27
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鏡筒本体に配置された複数のレンズのうち一部のレンズを光軸方向に変位させることによって被写体の像を結像するレンズ鏡筒、並びにそのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を撮像する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鏡筒本体に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像するレンズ鏡筒がある。また、このようなレンズ鏡筒で結像された被写体の像をCCD(charge−coupled device)やCMOS(complementary mental−oxide semiconductor device)等の固体撮像素子で受像し、この固体撮像素子が受像した光を光電変換して電気信号として出力し、被写体の像に対応したデジタル画像データを生成する、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置がある。
【0003】
ところで、上述した撮像装置では、携帯の利便性や使い勝手の良さを向上させるため、装置全体の小型化が積極的に進められている。具体的に、撮像装置では、上述した一部のレンズを光軸方向に変位駆動するためのレンズ駆動機構や、複数のレンズの間に配置された絞りの開口を調節するための絞り調節機構、複数のレンズにより結像された被写体の像を撮像する固体撮像素子等がレンズ鏡筒を構成する鏡筒本体に一体に取り付けられることによって、装置全体の小型パッケージ化が行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
例えば、鏡筒本体には、図33に示すようなレンズ駆動機構200が取り付けられている。
【0005】
このレンズ駆動機構200は、レンズを保持するレンズ保持部材をラックを介して光軸方向に変位させるガイドスクリュー軸201と、このガイドスクリュー軸201を回転駆動する駆動モータ202とを有している。ガイドスクリュー軸201は、駆動モータ202の駆動軸と一体に形成されており、一端と他端との間がブラケット203により支持されている。ブラケット203は、両端部が同一方向に折り曲げられた平板部材からなり、一端203aにガイドスクリュー軸201を貫通させた状態で駆動モータ202が固定され、他端203bに設けられた軸受204にガイドスクリュー軸201の先端が軸支されることによって、当該ガイドスクリュー軸201を軸周りに回転可能に支持している。また、ブラケット203の一端203aと他端203bとの間には、ネジ205を貫通させる複数の貫通孔206と、鏡筒本体にネジ止めされる際の位置決めや回転止めを行う位置決め孔207や回転防止孔208が形成されている。
【0006】
そして、このレンズ駆動機構200は、ブラケット203の位置決め孔207及び回転防止孔208に、鏡筒本体に突設されたボスが係合された状態で、ブラケット203の貫通孔206を通してネジ205が鏡筒本体に設けられたネジ孔に螺合されることによって、鏡筒本体に取り付けられている。
【0007】
また、鏡筒本体には、図34に示すような絞り調節機構300が取り付けられている。
【0008】
この絞り調節機構300は、駆動モータ301の駆動により絞り302の開口302aを調節するものであり、駆動モータ301を保持する保持部材303と絞り302とが一体に形成されてなる。また、保持部材303には、ネジ304を貫通させる貫通孔305と、鏡筒本体にネジ止めされる際の位置決めを行う位置決め突部306とが形成された固定片307が突出して設けられている。
【0009】
そして、この絞り調節機構300は、固定片307の位置決め突部306が鏡筒本体に設けられた位置決め穴に係合された状態で、固定片307の貫通孔305を通してネジ304が鏡筒本体に設けられたネジ孔に螺合されることによって、鏡筒本体に取り付けられている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−311734号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなレンズ駆動機構200や絞り調節機構300が取り付けられた鏡筒本体には、レンズ駆動機構200の駆動モータ202と絞り調節機構300の駆動モータ301とが、それぞれ光軸と平行な方向に並んで配置されることになる。
【0012】
この場合、鏡筒本体には、レンズ駆動機構200の駆動モータ202と絞り調節機構300の駆動モータ301との干渉を防ぐためのスペースを確保しながら、これらレンズ駆動機構200及び絞り調節機構300を光軸方向に並べて配置しなければならない。
【0013】
しかしながら、従来のレンズ鏡筒では、鏡筒本体の小型化が進むにつれて、これら駆動モータ202,301の干渉を防ぐためのスペースを確保することが非常に困難となってきており、このような制約によって撮像装置を自由に設計することができなくなると共に、結果として装置全体の大型化を招いてしまうといった問題があった。
【0014】
また、上述したレンズ駆動機構200では、図35A及び図35Bに示すように、鏡筒本体の内部で一部のレンズを光軸方向に変位駆動するのに必要なメカストロークを保証するために、このメカストローク以上に鏡筒本体に固定されるブラケット203の位置精度を考慮した駆動ストロークを確保する必要がある。
【0015】
具体的に、このレンズ駆動機構200では、図35Aに示すように、ブラケット203と鏡筒本体との間でガタが生じやすく、鏡筒本体に対する組付誤差を考慮して、保証するメカストロークよりも駆動ストロークを大きく確保する必要がある。この場合、レンズ駆動機構200自体を小型化することは非常に困難である。
【0016】
一方、上述した固体撮像素子の高画素化や高画質化に対応するためには、図35Bに示すように、鏡筒本体に対するレンズ駆動機構200の位置精度を向上させると共に、駆動ストロークを小さくすることによって、レンズを高分解能で変位させる必要がある。
【0017】
このように、従来の撮像装置では、鏡筒本体に対するレンズ駆動機構200の位置決め精度が悪く、このレンズ駆動機構200による駆動ストロークが大きくなるために、更なる小型化が困難となると共に、レンズ鏡筒により結像された被写体の像を固体撮像素子により高分解能で撮像することが困難となるといった問題があった。
【0018】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、レンズ駆動手段の小型化を図ると共に、レンズ駆動手段によりレンズを光軸方向に適切に変位させることによって、結像性能の更なる向上並びに小型化を可能としたレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、そのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を高分解能で撮像することを可能とすると共に、装置全体の更なる小型化を可能とした撮像装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係るレンズ鏡筒は、被写体の像を結像する複数のレンズと、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、鏡筒本体の内部において複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸と、ガイド軸にスライド可能に支持されたレンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じてレンズ保持部材を付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動手段とを備え、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることを特徴としている。
【0021】
また、本発明に係る撮像装置は、被写体の像を結像する複数のレンズと、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、鏡筒本体の内部において複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸と、ガイド軸にスライド可能に支持されたレンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じてレンズ保持部材を付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動手段と、複数のレンズにより結像された被写体の像を撮像する撮像手段とを備え、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることを特徴としている。
【0022】
以上のように、本発明では、レンズ駆動手段のカムの変位が最小となるとき、ガイド軸にスライド可能に支持されたレンズ保持部材が付勢手段に付勢された状態で光軸方向の一方側の端部に位置している。そして、この位置から、カムが回転駆動手段により当該カムの変位が増加する一の方向に回転駆動されると、当該カムの変位に応じてレンズ保持部材が付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動される。一方、カムが回転駆動手段により当該カムの変位が減少する他の方向に回転駆動されると、当該カムの変位に応じてレンズ保持部材が光軸方向の一方側に変位駆動される。したがって、レンズ駆動手段は、回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じて、レンズ保持部材を光軸方向に適切に変位駆動することができる。
【0023】
ここで、カムが回転駆動手段により一の方向に回転駆動されて当該カムの変位が最大となるとき、すなわちレンズ駆動手段によりレンズ保持部材が光軸方向の他方側の端部まで変位駆動されるとき、回転駆動手段による他の方向への回転トルクは最小となり、付勢手段がレンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢力は最大となる。
【0024】
このとき、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲がレンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも大きいと、カムがレンズ保持部材との摺接部分に食い込んだ状態となることがある。この場合、回転駆動手段がカムを他の方向に回転駆動させようとしても、カムが回転せずにレンズ保持部材が光軸方向の他方側の端部に保持されたまま、光軸方向の一方側へと戻らなくなる。
【0025】
そこで、本発明では、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されている。
【0026】
これにより、カムが回転駆動手段により一の方向に回転駆動されて当該カムの変位が最大となるとき、カムがレンズ保持部材との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体の内部においてレンズ保持部材を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲を保証することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したレンズ鏡筒及び撮像装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、本発明を適用した撮像装置1は、鏡筒本体2に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体2に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像する本発明を適用したレンズ鏡筒1aを備え、このレンズ鏡筒1aにより結像された被写体の像を鏡筒本体2の背面側に取り付けられた後述する固体撮像素子15によって撮像するものである。また、この撮像装置1は、装置全体の小型パッケージ化が図られることによって、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等を構成するに好適なものとして使用されている。なお、ここでは、レンズ鏡筒の前玉有効径を約5.2mmとして設計したが、そのような設計範囲に限定されるものではなく、更に小型化することも可能である。
【0029】
具体的に、鏡筒本体2は、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置された主鏡筒3と、この主鏡筒3の背面側に取り付けられた後部鏡筒4とを有している。
【0030】
主鏡筒3に配置された複数のレンズは、図3及び図4に示すように、被写体側から順に、主鏡筒3に固定された第1のレンズ5及び第2のレンズ6からなる固定レンズ群7と、主鏡筒3の内部で光軸方向に移動可能に支持された第3のレンズ8、第4のレンズ9及び第5のレンズ10からなる可動レンズ群11とを有している。なお、複数のレンズのうち、第1のレンズ4乃至第4のレンズ8は、光学ガラスからなり、第5のレンズ9は、光学プラスチックからなる。
【0031】
また、固定レンズ群7と可動レンズ群11との間には、絞り12が配置されている。そして、これら複数のレンズにより結像される被写体の像面側には、赤外カットフィルタ13と、ローパスフィルタ14と、固体撮像素子15とが後部鏡筒4に固定された状態で配置されている。
【0032】
主鏡筒3は、図5に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂により全体略直方体状に成形されている。この主鏡筒3の被写体側に位置する前面には、固定レンズ群7が固定される略円筒状のレンズホルダ16が設けられている。このレンズホルダ16は、第1のレンズ5と第2のレンズ6とを隣接させた状態で熱カシメ等によりその外周部を固定支持している。
【0033】
また、主鏡筒3には、図6に示すように、内部に可動レンズ群11を収納するためのレンズ収納空間17が形成されており、背面側が開放された形状を有している。そして、このレンズ収納空間17には、可動レンズ群11を光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持機構18が設けられている。
【0034】
このレンズ支持機構18は、可動レンズ群11を保持するレンズ保持部材19と、このレンズ保持部材19を光軸方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸20a,20bとを有している。
【0035】
レンズ保持部材19は、図7及び図8に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂や、後述するカムピン36とサイドカム51との摺動特性を向上させるために、例えば液晶ポリマー等で形成されている。
【0036】
また、このレンズ保持部材19は、レンズ固定枠21と共に可動レンズ群11の外周部を保持するレンズ保持枠19aを有している。このレンズ保持枠19aの中央部には、可動レンズ群11が収納されるレンズ収納凹部22が形成されており、このレンズ収納凹部22の底面中央には、可動レンズ群11の第3のレンズ8を所定の径で臨ませる開口部23が形成されている。
【0037】
一方、レンズ固定枠21は、第5のレンズ10の外周部と当接される円環部21aと、この円環部21aの両側からレンズ保持枠19aに向かって折り曲げ形成された一対の折曲げ片21bとを有している。このうち、円環部21aには、第5のレンズ10の外周部と当接されることによって一対の折曲げ片21bを所定の弾性力でレンズ保持枠19aを挟み込む方向へと撓ませる複数の突起部21cが形成されている。一方、一対の折曲げ片21b,21bの先端部には、それぞれレンズ保持枠19aの外周部に形成された係止溝24と係合される係止爪21dが形成されている。
【0038】
また、レンズ保持枠19aの外周部には、一方のガイド軸20aを挿通する貫通孔25が形成された筒状部26と、他方のガイド軸20bを挟み込む溝部27が形成された支持片28とが互いに対称となる位置から突出形成されている。また、支持片28と隣接した位置には、第5のレンズ10を位置決めする溝部29が形成された位置決め部30が突出形成されている。そして、この溝部29には、第5のレンズ10を射出成形することにより生じるゲート部31が係合されることになる。
【0039】
第5のレンズ10は、このようなゲート部31を切断せずに残しておくことで、切断時の応力の発生により光学特性が劣化するのを防止している。また、ここでは、この第5のレンズ10に残されたゲート部31をレンズ保持枠19aに保持する際の位置決めに用いている。
【0040】
そして、このレンズ保持部材19に可動レンズ群11を固定する際は、先ず、第3のレンズ8、第4のレンズ9及び第5のレンズ10を接合した状態でレンズ保持枠19aのレンズ収納凹部22に収納する。このとき、第5のレンズ10のゲート部31がレンズ保持枠19aの溝部29と係合されることによって、これら可動レンズ群11がレンズ保持枠19aに対して正確に位置決めされる。
【0041】
次に、レンズ固定枠21がレンズ支持枠2aと共に可動レンズ群11の外周部を挟み込みながら、一対の突出片21bの係止爪21dをレンズ保持枠19aの係止溝24と係合させる。これにより、可動レンズ群11をレンズ保持部材19に適切に保持させることができる。
【0042】
一対のガイド軸20a,20bは、図6に示すように、光軸と平行に配置されており、それぞれの両端部が主鏡筒3と後部鏡筒4との間で固定支持されている。このうち、一方のガイド軸20aは、図6中に示すレンズ収納空間17の左上コーナー部に位置しており、他方のガイド軸20bは、図6中に示すレンズ収納空間17の右下のコーナー部に位置している。この場合、レンズ保持部材19は、主鏡筒3に対して略45゜傾けられた状態で配置されることによって、一対のガイド軸20a,20bに対するレンズ保持部材19のガタツキを抑制することが可能となっている。
【0043】
また、主鏡筒3の一対のガイド軸20a,20bが固定される面には、図9に示すように、一対の受け穴32a,32bが形成されており、これら受け穴32a,32bは、圧入される一対のガイド軸20a,20bの先端を保持するように、内面が四方に亘って平坦化された形状を有している。
【0044】
また、一方のガイド軸20aには、図6に示すように、レンズ保持部材19を背面側に付勢する付勢手段である圧縮コイルバネ33が挿通されている。一方、図7に示すレンズ保持部材19の筒状部26及び図9に示す主鏡筒3の一方の受け穴32aには、このコイルバネ33の両端部と当接される受け部34,35がそれぞれ形成されている。
【0045】
コイルバネ33は、所定の面圧でカムピン36がサイドカム51と当接されるように、内周部がガイド軸20aに接触せず、且つ、圧縮された際に外周部が主鏡筒3の受け部35の内周部と干渉しない寸法で形成されている。
【0046】
そして、このレンズ保持部材19は、図10及び図11に示すように、筒状部26の貫通孔25に一方のガイド軸20aが挿通され、支持片28の溝部27に他方のガイド軸20bが挟み込まれることによって、これら一対のガイド軸20a,20bに沿ってスライド可能に支持されている。
【0047】
また、レンズ保持部材19には、筒状部26の近傍から背面側に向かってカムピン36が突出形成されている。このカムピン36は、レンズ保持部材19がコイルバネ33に付勢されることによって、後述するレンズ駆動機構42のサイドカム51と当接されることになる。また、このカムピン36は、サイドカム51との摺動性及び耐摩耗性を良くするために、その先端部が例えば半球面とされている。なお、ここでは、カムピン36がレンズ保持部材19と一体に成形された構成となっているが、サイドカム51との摺動性及び耐摩耗性を向上させるために、例えば液晶ポリマー等を用いてカムピン36をレンズ保持部材19とは別個に作製した後に、このレンズ保持部材19に取り付けた構成としてもよい。
【0048】
また、レンズ保持部材19には、後述するリセットセンサ67と協働して初期化の動作を行う突出片37が、筒状部26の近傍から前面側に向かって所定の長さで突出形成されている。さらに、レンズ保持部材19には、図10に示すように、一対のガイド軸20a,20bに沿って前面側にスライドされた際に主鏡筒3と当接される規制突部38と、背面側にスライドされた際に後部鏡筒4と当接される規制片39とが互いに逆向きに突出形成されている。一方、主鏡筒3には、図9に示すように、このレンズ保持部材19の規制突部38と当接されるメカストッパ40が形成されている。
【0049】
また、主鏡筒3には、図12に示すように、上述した絞り12の開口12aを調節する絞り調節機構41と、上述したレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構42とが設けられている。
【0050】
絞り調節機構41は、図13及び図14に示すように、第1の駆動モータ43の駆動により絞り12の開口12aを2枚のシャッタ部材(図示せず。)により調節する、いわゆるアイリスユニットであり、第1の保持部材44と一体に形成されている。
【0051】
第1の保持部材44は、この絞り調節機構41を保持するものであり、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばポリカーボネート樹脂により全体略矩形平板状に成形されている。
【0052】
また、第1の保持部材44の先端部には、絞り12の開口12aが光軸と一致するように形成されている。また、第1の保持部材44には、基端部の背面側の主面に位置して、第1の駆動モータ43が光軸と平行となるように取り付けられている。一方、この第1の駆動モータ43が取り付けられた面とは反対側の主面には、絞り12の開口12aを調節する2枚のシャッタ部材(図示せず。)が第1の駆動モータ43の駆動により互いに逆向きにスライド可能に設けられている。また、第1の保持部材44の主鏡筒3と当接される面には、当該主鏡筒3に対して位置決めされるボス穴45が形成されている。また、第1の保持部材44の一側面部には、後述する主鏡筒3の位置決め凹部48に係合されると共に、後述する第2の保持部材54の押付片56に押し付けられる被押付片46が突出形成されている。
【0053】
一方、主鏡筒3には、図12に示すように、光軸と平行な一側面(以下、第1の側面という。)3aに、上述した絞り12を固定レンズ群7と可動レンズ群11との間に挿入するための第1の挿入口47が形成されている。また、第1の側面3aには、第1の保持部材44の被押付片46が係合される位置決め凹部48が第1の挿入口47と隣接して形成されている。また、第1の側面3aには、第1の保持部材44のボス穴45に係合されるボス49と、第1の駆動モータ43の外形に対応した切欠き部50とが形成されている。
【0054】
レンズ駆動機構42は、図14に示すように、レンズ保持部材19のカムピン36と当接されるサイドカム51と、このサイドカム51が取り付けられた駆動軸52を当該サイドカム51と一体に回転駆動する第2の駆動モータ53とを有している。
【0055】
サイドカム51は、その回転に応じてレンズ保持部材19を光軸方向に等速で変位させるものであり、その中心部に対して外周面が渦巻き状の輪郭曲線を描くように、例えばポリカーボネート樹脂を用いて高精度に成形されると共に、その中心部が第2の駆動モータ53の駆動軸52に圧入若しくは接着により取り付けられている。
【0056】
なお、このサイドカム51の外周面には、カムピン36との摺動性を良くするために、グリスを塗布してもよい。また、このサイドカム51を摺動性に優れた例えば液晶ポリマー等を用いて作製し、レンズ保持部材19を耐摩耗性に優れた例えば炭素入りのポリカーボネート樹脂等を用いて作製することによって、このようなグリスを塗布しない構造とすることもできる。
【0057】
第2の駆動モータ53は、いわゆるステッピングモータであり、供給される駆動パルスに応じて駆動軸52の回転を駆動制御する。そして、この第2の駆動モータ53は、第2の保持部材54により支持されている。この第2の保持部材54は、両端部が同一方向に折り曲げられた板金からなり、一端に駆動軸52を貫通させた状態で第2の駆動モータ53が固定され、他端に設けられた軸受55に駆動軸52の先端が軸支されることによって、この駆動軸52を一端と他端との間で回転可能に支持している。
【0058】
また、第2の保持部材54の一端には、上述した第1の保持部材44の被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに押し付ける押付片56が折り曲げ形成されている。この押付片56は、所定の弾性を有するように、板金の板厚、幅、材質等が決められており、上述した主鏡筒3の位置決め凹部48に第1の保持部材44の被押付片46が係合された際の寸法バラツキを吸収できるようになされている。なお、場合によっては、このような押付片56の弾性付勢によらずに光学性能に影響を与えない範囲内で係合部分にガタを持たせることも可能である。
【0059】
また、この第2の保持部材54の一端と他端との間には、主鏡筒3に対して位置決めされるボス孔57が形成されている。さらに、このボス孔57が形成された位置からは、主鏡筒3に固定される固定片58が、第2の駆動モータ53側に駆動軸52と平行となるように延長して形成されている。この固定片58には、第1の孔部59と、この第1の孔部59よりも拡径された第2の孔部60とが駆動軸52と平行な方向に沿って連続して形成されている。このうち、第1の孔部59は、主鏡筒3にネジ止めされる際の固定片58の回転を防止する長孔であり、第2の孔部60は、主鏡筒3にネジ止めされる際のネジ61を貫通させる貫通孔である。
【0060】
一方、主鏡筒3には、図12に示すように、第1の側面3a及び当該第1の側面3aと隣接する光軸と平行な一側面(以下、第2の側面という。)3bに亘って、上述したサイドカム51をレンズ収納空間17に挿入するための第2の挿入口62が形成されている。そして、主鏡筒3の内面には、この第2の挿入口62から挿入された第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合される位置決め凹部63が形成されている。
【0061】
また、第2の側面3bには、上述した固定片58の第1の孔部59と係合される回転防止用の位置決め突部64と、固定片58の第2の孔部60を通してネジ61が螺合されるネジ孔65aが形成された座面突部65とが突出形成されている。位置決め突部64は、座面突部65よりも高く且つ当該ネジ孔65aに螺合されるネジ61の頭部に対応した領域内に少なくとも一部が位置している。座面突部65は、ネジ孔65aから位置決め突部64に向かって一部が切り欠かれた形状を有している。なお、これら位置決め突部64及び座面突部65は、それぞれ先端に面取りが施されており、基端が主鏡筒3の第2の面に対して曲面形状を有している。また、第2の側面3bには、上述した第2の保持部材54のボス孔57と係合される位置決め用のボス66が突出形成されている。
【0062】
そして、これら絞り調節機構41及びレンズ駆動機構42を主鏡筒3に取り付ける際は、先ず、主鏡筒3の第1の挿入口47から絞り12を主鏡筒3の内部に挿入する。このとき、主鏡筒3の位置決め凹部48に第1の保持部材44の被押付片46が係合され、第1の保持部材44のボス穴45に主鏡筒3のボス49が係合され、主鏡筒3の切欠き部50に第1の保持部材44に取り付けられた第1の駆動モータ43がそれぞれ係合される。なお、この位置決め凹部48に係合された被押付片46は、第1の側面3aと同一主面を形成している。また、図示を省略するが、主鏡筒3の内部に挿入された絞り12の先端は、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部と係合されると共に、上述したレンズホルダ16とレンズ収納空間17との間を遮断することになる。これにより、絞り調節機構41は、固定レンズ群7と可動レンズ群11との間の光路上に絞り12の開口12aが位置するように、主鏡筒3に対して正確に位置決めされた状態となる。
【0063】
次に、主鏡筒3の第2の挿入口62から、サイドカム51がレンズ収納空間17に収納されたレンズ保持部材19のカムピン36と当接されるように、レンズ駆動機構42を主鏡筒3の内部に挿入する。このとき、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合される。また、第2の保持部材54のボス孔57に主鏡筒3の第2の面に形成されたボス66が係合される。また、図15に示すように、第2の保持部材54の押付片56が第1の保持部材44の被押付片46と当接され、上述した位置決め凹部48に係合された被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに所定の力量で押し付けた状態とする。また、図16及び図17に示すように、固定片58が主鏡筒3の座面突部65と当接された状態で、第2の保持部材54の第1の孔部59に主鏡筒3の位置決め突部64が係合されると共に、第2の孔部60を通してネジ孔65aにネジ61が螺合される。これにより、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定される。
【0064】
この撮像装置1では、第1の保持部材44の被押付片46が第2の保持部材54の押付片56により主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けられた状態で、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定されることから、主鏡筒3に対する絞り調節機構41とレンズ駆動機構42との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構41とレンズ駆動機構42とを主鏡筒3に対して適切に位置決め固定することが可能である。
【0065】
なお、第2の保持部材54の押付片56は、第1の保持部材44の被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けることによって、主鏡筒3に対して絞り調節機構41を絞り12の挿入方向に固定すると共に、この絞り12の挿入方向と直交する方向にも固定することが可能である。
【0066】
また、この撮像装置1では、主鏡筒3の第1の側面3aにおいて、絞り調節機構41の第1の駆動モータ43が光軸と平行して配置されると共に、レンズ駆動機構42の第2の駆動モータ53が光軸と直交して配置されることによって、これら第1の駆動モータ43及び第2の駆動モータ53を鏡筒本体2の同一側面にコンパクトに配置することが可能なことから、装置全体を更に小型化することが可能である。また、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42の第2の駆動モータ53を光軸と直交して配置することが可能となることで、サイズやデザイン等の設計自由度を更に向上させることが可能である。
【0067】
さらに、この撮像装置1では、可動レンズ群11を保持するレンズ保持部材19をサイドカム51の変位に応じて光軸方向に変位駆動することで、ラックやリードスクリューといった構成部品が不要となり、レンズ駆動機構42自体を従来のレンズ駆動機構200よりも小型化することが可能なことから、装置全体を更に小型化することが可能である。
【0068】
また、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42が主鏡筒3のレンズ収納空間17に挿入されたときに、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合されることから、第2の駆動モータ53の駆動軸52の位置精度を向上させることが可能であり、サイドカム51によるレンズ保持部材19の光軸方向の移動操作を適切に行うことが可能となる。
【0069】
上述した絞り調節機構41及びレンズ駆動機構42が取り付けられた主鏡筒3の第1の側面3aには、図18に示すように、絞り調節機構41よりも前面側に位置してリセットセンサ67が設けられている。
【0070】
このリセットセンサ67は、図19に示すように、上述したレンズ保持部材19の突出片37に沿った溝部68を有し、この溝部68を突出片37が通過することによって、これを感知し、電源投入時等においてレンズ駆動機構42の初期化を行う。また、このリセットセンサ67は、略矩形状のプリント配線基板69にハンダ付けされており、このプリント配線基板69には、上部にネジ70を貫通させる貫通孔71と、両側縁部に一対の切欠き部72とが形成されている。
【0071】
一方、主鏡筒3の第1の側面3aには、このリセットセンサ67をレンズ収納空間17に挿入するための第3の挿入口73が形成されている。また、第1の側面3aには、プリント配線基板69の貫通孔71を通してネジ70が螺合されるネジ孔74と、プリント配線基板69の一対の切欠き部72に係合されることによって、プリント配線基板69を主鏡筒に対して位置決めする或いはネジ止めされるプリント配線基板69の回転を防止する一対の突起部75とが形成されている。
【0072】
そして、リセットセンサ67を主鏡筒3に取り付ける際は、第3の開口部73からリセットセンサ67を挿入する。このとき、プリント配線基板69の一対の切欠き部72に一対の突起部75が係合された状態で、プリント配線基板69の貫通孔71を通して主鏡筒3のネジ孔74にネジ70が螺合される。これにより、リセットセンサ67が取り付けられたプリント配線基板69を主鏡筒3の第1の側面3aに位置決め固定することができる。
【0073】
リセットセンサ67が取り付けられた主鏡筒3には、後部鏡筒4が取り付けられる。この後部鏡筒4は、図20及び図21に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂が全体略矩形枠状に成形されてなり、その中央部には、矩形状の開口部4aが形成されている。
【0074】
この後部鏡筒4の主鏡筒3の背面と対向する正面には、一対の受け穴76a,76bが形成されており、これら一対の受け穴76a,76bは、圧入される一対のガイド軸20a,20bの他端を保持するように、内面が四方に亘って平坦化された形状を有している。また、この後部鏡筒4の背面には、一対の受け穴76a,76bの近傍に位置して、一対の位置決め突部77が突出形成されている。また、この後部鏡筒4の正面には、上述した図10及び図11に示すレンズ保持部材19の規制片39と当接されるメカストッパ78が突出形成されている。
【0075】
また、後部鏡筒4の背面には、図21に示す左上コーナー部及び右下のコーナー部に位置して、ネジ79を貫通させる一対の貫通孔80が形成されている。また、これら貫通孔80の周囲には、後部鏡筒4の背面側に取り付けられる固体撮像素子15とネジ79との干渉を防ぐために、一段低くなされた段差部80aが形成されている。また、この後部鏡筒4の背面には、一対の位置決め突部81と一対のネジ孔82とがそれぞれ一対の貫通孔80から順に上方又は下方に並ぶように形成されている。そして、この後部鏡筒4は、正面側の一対の位置決め突部77が主鏡筒3の背面に形成された一対の位置決め穴83に係合されることによって位置決めされ、一対の貫通孔80を通して主鏡筒3の背面に形成された一対のネジ孔84にネジ79が螺合されることによって、この主鏡筒3の背面に固定される。
【0076】
そして、この主鏡筒3に取り付けられた後部鏡筒4には、図22に示すように、背面側から順に、赤外カットフィルタ13と、ローパスフィルタ14と、固体撮像素子15とが組み付けられている。
【0077】
赤外カットフィルタ13は、赤外光が固体撮像素子に到達しないようにするためのものである。この赤外カットフィルタ13には、大別して2種類の方式があり、一つは、金属イオンを含有することで特定の波長(ここでは赤外光)を吸収する、いわゆる吸収フィルタと、もう一つは、誘電体の多層構造をもつ、いわゆるダイクロイックフィルタである。
【0078】
ローパスフィルタ14は、固体撮像素子15に向かう光から特定の空間周波数成分を取り出すためのものである。すなわち、複数のレンズを透過した光は、このローパスフィルタ14を透過することで特定の空間周波数成分のみが取り出され、この特定の空間周波数成分の光が固体撮像素子15に入射することになる。
【0079】
固体撮像素子15は、配線基板85に実装されたCCD(charge−coupled device)からなり、入射した光を光電変換して電気信号として出力する。また、固体撮像素子15としては、CCDの代わりに、CMOS(complementary mental−oxide semiconductor device)を配線基板85に実装するようにしてもよい。
【0080】
また、固体撮像素子15は、矩形状の板金86に取り付けられており、この板金86の両側には、上述した後部鏡筒4の背面側に形成された位置決め突部81が係合される一対の位置決め孔87と、ネジ88を貫通させる一対の貫通孔89とが形成されている。この板金86には、図23に示すように、固体撮像素子15に矩形枠状のシールゴム90が嵌合され、このシールゴム90を介してローパスフィルタ14と赤外カットフィルタ13とが接合されている。そして、この板金86は、一対の位置決め孔87に後部鏡筒4の一対の位置決め突部81が係合された状態で、一対の貫通孔89を通して後部鏡筒4の一対のネジ孔82にネジ88が螺合されることによって、後部鏡筒4の背面に取り付けられている。また、後部鏡筒4には、これら赤外カットフィルタ13、ローパスフィルタ14及びシールゴム90が嵌め込まれる枠状の段差部91が形成されている。
【0081】
以上のように構成される撮像装置1では、固定レンズ群7に対してレンズ支持機構18によりスライド可能に支持された可動レンズ群11をレンズ駆動機構42により光軸方向に変位させるフォーカス動作を行うことで、この鏡筒本体2の背面側に位置する固体撮像素子15の受光面に被写体の像を結像させる。そして、この撮像装置1では、結像された被写体の像を固体撮像素子15が受像し、この固体撮像素子15から出力される電気信号を処理することで、被写体の像に対応したデジタル画像データを生成することが可能となっている。
【0082】
上述したように、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42が第2の駆動モータ53により回転駆動されるサイドカム51の変位に応じて、可動レンズ群11が保持されたレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動する。
【0083】
ここで、レンズ駆動機構42では、図24に示すように、サイドカム51の変位が最小となるとき、レンズ保持部材19の規制片39が後部鏡筒4のメカストッパ78に当接されることによって、その光軸方向の一方側への移動が規制されている。したがって、このレンズ保持部材19は、コイルバネ33に付勢された状態で光軸方向の一方側、すなわち一対のガイド軸20a,20bに沿った背面側の端部に位置することになる。
【0084】
そして、この状態から、サイドカム51が第2の駆動モータ53により当該カム51の変位が増加する一の方向、すなわち図24中矢印X1で示す方向に回転駆動されると、レンズ保持部材19のカムピン36がサイドカム51の外周面と摺接しながら、レンズ保持部材19がコイルバネ33の付勢に抗して光軸方向の他方側、すなわちコイルバネ33の圧縮方向へと変位駆動される。したがって、このレンズ保持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿って、図24中矢印Y1で示す前面側へとスライドすることになる。
【0085】
このレンズ駆動機構42では、図25に示すように、サイドカム51の変位が最大となるとき、レンズ保持部材19の規制突部38が主鏡筒3のメカストッパ40に当接されることによって、その光軸方向の他方側への移動が規制されている。したがって、このレンズ保持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿った前面側の端部に位置することになる。
【0086】
一方、サイドカム51が第2の駆動モータ53により当該カム51の変位が減少する他の方向、すなわち図25中矢印X2で示す方向に回転駆動されると、レンズ保持部材19のカムピン36がサイドカム51の外周面と摺接しながら、レンズ保持部材19がコイルバネ33に付勢された状態で光軸方向の一方側、すなわちコイルバネ33の伸張方向へと変位駆動される。したがって、このレンズ保持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿って、図25中矢印Y2で示す背面側へとスライドすることになる。
【0087】
この撮像装置1では、このようなレンズ駆動機構42によって、レンズ保持部材19の駆動ストロークを従来よりも小さくすることが可能であり、可動レンズ群11を高分解能で変位駆動することが可能である。
【0088】
ここで、レンズ保持部材19のスライド可能な距離範囲(メカストローク)は、上述した後部鏡筒4に設けられた背面側メカストッパ78と、主鏡筒3に設けられた前面側メカストッパ40とに、それぞれレンズ保持部材19の背面側規制片39と前面側規制突部38とが当接されることによって保証されている。一方、レンズ駆動機構42がレンズ保持部材19を変位駆動する距離範囲(駆動ストローク)は、サイドカム51の変位が最小となる位置と最大となる位置との変位量の差によって保証されている。そして、このサイドカム51は、図26に示すように、メカストローク以上の駆動ストロークを保証している。
【0089】
ところで、図25に示すように、サイドカム51の変位が最大となるとき、すなわちレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、第2の駆動モータ53による図25中矢印X2で示す方向の回転トルクは最小となり、コイルバネ33がレンズ保持部材19を図25中矢印Y2で示す方向に付勢する付勢力は最大となる。
【0090】
このとき、図26に示すように、駆動ストロークがメカストロークよりも大きいと、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に深く食い込んだ状態、いわゆる喰い付きが発生することがある。
【0091】
この場合、回転駆動機構43がサイドカム51を図25中矢印X2で示す方向に回転させようとしても、サイドカム51が回転せずにレンズ保持部材19が前面側の最端部に保持されたまま、図25中矢印Y2で示す方向に戻らなくなる不都合が生じてしまう。
【0092】
具体的に、このサイドカム51の喰い付きの発生原理について説明する。
【0093】
レンズ駆動機構42では、図25に示すように、レンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、上述したレンズ保持部材19の規制突部38と主鏡筒3のメカストッパ40とが互いに当接された状態となっている。
【0094】
このとき、レンズ保持部材19のカムピン36とサイドカム51の外周面との間には摩擦力が働いており、その摩擦係数をμとし、第2の駆動モータ53の回転トルクによってサイドカム51とカムピン36との接点に働く力をPとし、サイドカム51の外周面に対する圧力角をθとし、サイドカム51の外周面に対する法線方向の反力をRとし、駆動軸52がサイドカム51を支える力をJとすると、
R−P・sinθ=J・cosθ (式1)
P・cosθ−μ・R=J・sinθ (式2)
という関係が成り立つ。
【0095】
また、この喰い付き状態から、第2の駆動モータ53がサイドカム51を図25中矢印X2で示す方向に回転駆動する際には、一度第2の駆動モータ53による回転トルクが0となることから、上述したサイドカム51とカムピン36との接点に働く力Pが0となり、摩擦力の方向が逆転する。
【0096】
このとき、上記式1及び上記式2から、
R=J・cosθ (式1’)
という関係が成り立ち、
μ・R≧J・sinθ (式2’)
が静止条件となる。
【0097】
すなわち、サイドカム51は、この静止条件が成り立つ位置まで変位してから静止することになる。
【0098】
ここで、Rは、静止状態の突張り力であることから、
P>R・sinθ+μ・R・cosθ
となる力Pを第2の駆動モータ53によって発生させることができれば、レンズ保持部材19は、無事に前面側の端部から脱出させることができる。すなわち、サイドカム51の喰い付きは発生しないことになる。
【0099】
しかしながら、レンズ保持部材19が前面側の端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51は、実際には慣性によってカムピン36に更に食い込んだ状態となっている。したがって、レンズ保持部材19を前面側の端部まで変位駆動したとき(定常状態)よりも大きな回転トルクを第2の駆動モータ53によって発生させなければ、このレンズ保持部材19を前面側の端部から脱出させることはできない。すなわち、サイドカム51の喰い付きが発生することになる。
【0100】
また、レンズ駆動機構42によりレンズ保持部材19が変位駆動される際には、レンズ保持部材19のカムピン36とサイドカム51の外周面との間に動摩擦力が働くことから、その動摩擦係数をμmとし、静止状態における静止摩擦係数μ0とすると、一般に、
μ0>μm
という関係が成り立つ。
【0101】
したがって、レンズ保持部材19を前面側の端部まで変位駆動したとき(定常状態)よりも大きな回転トルクを第2の駆動モータ53によって発生させなければ、このレンズ保持部材19を前面側の端部から脱出させることはできない。すなわち、サイドカム51の喰い付きが発生することになる。
【0102】
以上のことから、サイドカム51の喰い付きは、
(1) レンズ保持部材19が前面側の端部まで変位駆動されたとき、上記圧力角θが存在すること
(2) 静止状態において上記突張り力Rが存在すること
(3) 上記動摩擦係数μmと上記静止摩擦係数μ0との間に差が生じること
といった要件を満たすことによって発生していたことがわかる。
【0103】
ここで、上記(3)の摩擦係数μmと上記静止摩擦係数μ0と動摩擦μmとの差を無くすことは、物理的に困難である。なお、両者の差を限りなく小さくすることは可能であり有効であるものの、上記喰い付きの発生を防止する根本的な解決方法とはならない。また、上記(2)のレンズ保持部材19の規制突部38と主鏡筒3のメカストッパ40とが互いに当接された(静止)状態において、突張り力Rを無くすことは物理的に困難である。なお、この静止状態については、上記式2’により理解できる。
【0104】
そこで、この撮像装置1では、上述したサイドカム51の喰い付きの問題を解決するために、図27に示すように、少なくとも光軸方向の前面側において、レンズ駆動機構42によりレンズ保持部材19が変位駆動される距離範囲(駆動ストローク)が、レンズ保持部材19のスライド可能な距離範囲(メカストローク)よりも小さくなるように設定されている。
【0105】
すなわち、少なくとも一対のガイド軸20a,20bに支持されたレンズ保持部材19のスライド可能な前面側の端部よりも、レンズ駆動機構42により変位駆動されるレンズ保持部材19の変位可能な前面側の端部を手前に位置させる。
【0106】
これにより、レンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0107】
具体的に、上述した撮像装置1では、図28及び図29に示すように、前面側のメカストロークに余裕を持たせるため、上述した主鏡筒3に設けられたメカストッパ40を除去すると共に、上述したレンズ保持部材19に設けられた規制突部38を除去した構造とする。
【0108】
これにより、サイドカム51は、例えば図30に示すように、当該カム51の変位が増加する一の方向、すなわち図30中矢印X1に示す方向に繰り返し回転させることが可能である。すなわち、カムピン36は、サイドカム51の変位が最大となる位置から、このサイドカム51が図30中矢印X1に示す方向に回転することで、再びサイドカム51の変位が最小となる位置へと戻ることができる。
【0109】
なお、この図30中矢印X1に示す回転方向の戻り動作の際には、リセットセンサ67と突出片37との共働によってレンズ保持部材19が保証ストロークの外側へと送り込まれたことを検出し、これによって再初期化の動作を行うことが可能である。
【0110】
したがって、レンズ鏡筒1aでは、このような図30に示すレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0111】
そして、このようなレンズ鏡筒1aを備える撮像装置1では、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子15により高分解能で撮像することが可能である。
【0112】
また、撮像装置1では、レンズ保持部材19が光軸方向の他方側に変位駆動されるのをサイドカム51の変位が最大となる手前で規制する規制手段として、例えば図31に示すように、サイドカム51の外周面にカムピン36と当接されるカムストッパ92を設けた構成としてもよい。
【0113】
このカムストッパ92は、サイドカム51の外周面から突出形成されており、サイドカム51の変位が最大となる手前でカムピン36と当接されることによって、サイドカム51の回転を規制している。
【0114】
したがって、レンズ鏡筒1aでは、このような図31に示すレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0115】
そして、このようなレンズ鏡筒1aを備える撮像装置1では、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子15により高分解能で撮像することが可能である。
【0116】
また、撮像装置1では、レンズ保持部材19が光軸方向の他方側に変位駆動されるのをサイドカム51の変位が最大となる手前で規制する規制手段として、例えば図32に示すように、サイドカム51に規制突部93を設け、主鏡筒3に規制突部93と当接されるカムストッパ94を設けた構成としてもよい。
【0117】
規制突部93は、サイドカム51の厚み方向の主面から突出形成されており、カムストッパ94は、主鏡筒3の内周面から突出形成されている。そして、サイドカム51の変位が最大となる手前で規制突部93がカムストッパ94に当接されることによって、サイドカム51の回転を規制している。なお、カムストッパ94は、主鏡筒3以外の部分に設けることも可能である。
【0118】
したがって、このレンズ鏡筒1aでは、このような図32に示すレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0119】
そして、このようなレンズ鏡筒1aを備える撮像装置1では、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子15により高分解能で撮像することが可能である。
【0120】
なお、上述した撮像装置1では、光軸方向の背面側において、駆動ストロークがメカストロークよりも小さくなるように設定することも考えられる。
【0121】
しかしながら、レンズ保持部材19が背面側の最端部に位置するとき、サイドカム51の変位が最小となることから、第2の駆動モータ53による図24中矢印X1で示す方向の回転トルクは最大となり、逆に、コイルバネ33がレンズ保持部材19を図25中矢印Y2で示す方向に付勢する付勢力は最小となる。
【0122】
したがって、光軸方向の背面側では、上述したサイドカム51の喰い付きの発生を考慮する必要が非常に少なくなることから、むしろ鏡筒本体2に対するレンズ駆動機構42の組付誤差や位置精度等を考慮して、保証するメカストロークよりも駆動ストロークを大きく確保する方が好ましい。
【0123】
なお、上述した撮像装置1では、サイドカム51の変位に応じてレンズ保持部材19が圧縮コイルバネ33の付勢に抗して背面側から前面側へと変位駆動される構成となっているが、これらレンズ駆動機構42及びコイルバネ33の配置を入れ替えることで、例えばサイドカム51の変位に応じてレンズ保持部材19が圧縮コイルバネ33の付勢に抗して前面側から背面側へと変位駆動される構成とすることや、サイドカム51の変位に応じてレンズ保持部材19が引張りコイルバネ33の付勢に抗して変位駆動される構成とすることも可能である。
【0124】
なお、本発明は、上述した撮像装置1の構成に限定されるものではなく、鏡筒本体に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像するレンズ鏡筒、並びにそのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を固体撮像素子により撮像する撮像装置に広く適用可能である。
【0125】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るレンズ鏡筒では、レンズ駆動手段が回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じてレンズ保持部材を光軸方向に適切に変位駆動することから、結像性能の更なる向上並びに更なる小型化が可能である。
【0126】
また、本発明に係る撮像装置では、そのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を撮像手段により高分解能で撮像することが可能であり、装置全体の更なる小型化が可能である。
【0127】
そして、本発明では、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることから、カムがレンズ保持部材との摺接部分に食い込んだ状態となるのを防ぐと共に、鏡筒本体の内部においてレンズ保持部材を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲を保証することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した撮像装置を前面側から見た斜視図である。
【図2】上記撮像装置を背面側から見た斜視図である。
【図3】上記撮像装置の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】上記撮像装置の内部構成を示す横断面図である。
【図5】主鏡筒及び固定レンズ群の構成を示す斜視図である。
【図6】主鏡筒及びレンズ支持機構の構成を示す斜視図である。
【図7】レンズ保持部材及び可動レンズ群の構成を前面側から見た斜視図である。
【図8】レンズ保持部材及び可動レンズ群の構成を背面側から見た斜視図である。
【図9】主鏡筒の構成を示す背面図である。
【図10】レンズ支持機構及びレンズ駆動機構を前面側から見た斜視図である。
【図11】レンズ支持機構及びレンズ駆動機構を背面側から見た斜視図である。
【図12】主鏡筒、絞り調節機構及びレンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図13】絞り調節機構の構成を示す斜視図である。
【図14】レンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図15】絞り調節機構及びレンズ駆動機構の組付状態を示す斜視図である
【図16】第2の保持部材の固定片が主鏡筒の第2の側面に固定された状態を示す断面図である。
【図17】第2の保持部材の固定片が主鏡筒の第2の側面に固定された状態を示す平面図である。
【図18】主鏡筒とリセットセンサとの構成を示す斜視図である。
【図19】レンズ支持機構とリセットセンサの構成示す斜視図である。
【図20】主鏡筒と後部鏡筒との構成を正面側から見た斜視図である。
【図21】主鏡筒と後部鏡筒との構成を背面側から見た斜視図である。
【図22】鏡筒本体、赤外カットフィルタ、ローパスフィルタ及び固体撮像素子の構成を示す斜視図である。
【図23】赤外カットフィルタ、ローパスフィルタ及び固体撮像素子が一体化された状態を示す斜視図である。
【図24】レンズ駆動機構によりレンズ保持部材を背面側の端部に位置させた状態を示す平面図である。
【図25】レンズ駆動機構によりレンズ保持部材を前面側の端部に位置させた状態を示す平面図である。
【図26】図25に示すレンズ駆動機構の駆動ストロークとメカストロークとの関係を示す模式図である。
【図27】サイドカムの喰い付き発生を防止したレンズ駆動機構の駆動ストロークとメカストロークとの関係を示す模式図である。
【図28】図9に示す主鏡筒からメカストッパを除去した状態を示す背面図である。
【図29】図10に示すレンズ保持部材からストッパ突部を除去した状態を示す斜視図である。
【図30】レンズ駆動機構のサイドカムを当該カムの変位が増加する方向に繰り返し回転可能とした構成を示す平面図である。
【図31】レンズ駆動機構のサイドカムにカムピンと当接されるストッパを設けた構成を示す平面図である。
【図32】レンズ駆動機構のサイドカムに規制突部を設け、主鏡筒にストッパを設けた構成を示す平面図である。
【図33】従来のレンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図34】従来の絞り調節機構の構成を示す斜視図である。
【図35】保証するメカストロークに対するレンズ駆動機構の位置精度と駆動ストロークとの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 撮像装置、1a レンズ鏡筒、2 鏡筒本体 3 主鏡筒、4 後部鏡筒、7 固定レンズ群、11 可動レンズ群、12 絞り、 13 赤外カットフィルタ、14 ローパスフィルタ、15 固体撮像素子、18 レンズ支持機構、19 レンズ保持部材、20a,20b ガイド軸、33 コイルバネ、36カムピン、38 規制突部、39 規制片、40 メカストッパ、41 絞り調節機構、42 レンズ駆動機構、43 第1の駆動モータ、51 サイドカム、52 駆動軸、53 第2の駆動モータ、78 メカストッパ、92 カムストッパ、93 規制突部、94 カムストッパ
【発明の属する技術分野】
本発明は、鏡筒本体に配置された複数のレンズのうち一部のレンズを光軸方向に変位させることによって被写体の像を結像するレンズ鏡筒、並びにそのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を撮像する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鏡筒本体に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像するレンズ鏡筒がある。また、このようなレンズ鏡筒で結像された被写体の像をCCD(charge−coupled device)やCMOS(complementary mental−oxide semiconductor device)等の固体撮像素子で受像し、この固体撮像素子が受像した光を光電変換して電気信号として出力し、被写体の像に対応したデジタル画像データを生成する、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置がある。
【0003】
ところで、上述した撮像装置では、携帯の利便性や使い勝手の良さを向上させるため、装置全体の小型化が積極的に進められている。具体的に、撮像装置では、上述した一部のレンズを光軸方向に変位駆動するためのレンズ駆動機構や、複数のレンズの間に配置された絞りの開口を調節するための絞り調節機構、複数のレンズにより結像された被写体の像を撮像する固体撮像素子等がレンズ鏡筒を構成する鏡筒本体に一体に取り付けられることによって、装置全体の小型パッケージ化が行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
例えば、鏡筒本体には、図33に示すようなレンズ駆動機構200が取り付けられている。
【0005】
このレンズ駆動機構200は、レンズを保持するレンズ保持部材をラックを介して光軸方向に変位させるガイドスクリュー軸201と、このガイドスクリュー軸201を回転駆動する駆動モータ202とを有している。ガイドスクリュー軸201は、駆動モータ202の駆動軸と一体に形成されており、一端と他端との間がブラケット203により支持されている。ブラケット203は、両端部が同一方向に折り曲げられた平板部材からなり、一端203aにガイドスクリュー軸201を貫通させた状態で駆動モータ202が固定され、他端203bに設けられた軸受204にガイドスクリュー軸201の先端が軸支されることによって、当該ガイドスクリュー軸201を軸周りに回転可能に支持している。また、ブラケット203の一端203aと他端203bとの間には、ネジ205を貫通させる複数の貫通孔206と、鏡筒本体にネジ止めされる際の位置決めや回転止めを行う位置決め孔207や回転防止孔208が形成されている。
【0006】
そして、このレンズ駆動機構200は、ブラケット203の位置決め孔207及び回転防止孔208に、鏡筒本体に突設されたボスが係合された状態で、ブラケット203の貫通孔206を通してネジ205が鏡筒本体に設けられたネジ孔に螺合されることによって、鏡筒本体に取り付けられている。
【0007】
また、鏡筒本体には、図34に示すような絞り調節機構300が取り付けられている。
【0008】
この絞り調節機構300は、駆動モータ301の駆動により絞り302の開口302aを調節するものであり、駆動モータ301を保持する保持部材303と絞り302とが一体に形成されてなる。また、保持部材303には、ネジ304を貫通させる貫通孔305と、鏡筒本体にネジ止めされる際の位置決めを行う位置決め突部306とが形成された固定片307が突出して設けられている。
【0009】
そして、この絞り調節機構300は、固定片307の位置決め突部306が鏡筒本体に設けられた位置決め穴に係合された状態で、固定片307の貫通孔305を通してネジ304が鏡筒本体に設けられたネジ孔に螺合されることによって、鏡筒本体に取り付けられている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−311734号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなレンズ駆動機構200や絞り調節機構300が取り付けられた鏡筒本体には、レンズ駆動機構200の駆動モータ202と絞り調節機構300の駆動モータ301とが、それぞれ光軸と平行な方向に並んで配置されることになる。
【0012】
この場合、鏡筒本体には、レンズ駆動機構200の駆動モータ202と絞り調節機構300の駆動モータ301との干渉を防ぐためのスペースを確保しながら、これらレンズ駆動機構200及び絞り調節機構300を光軸方向に並べて配置しなければならない。
【0013】
しかしながら、従来のレンズ鏡筒では、鏡筒本体の小型化が進むにつれて、これら駆動モータ202,301の干渉を防ぐためのスペースを確保することが非常に困難となってきており、このような制約によって撮像装置を自由に設計することができなくなると共に、結果として装置全体の大型化を招いてしまうといった問題があった。
【0014】
また、上述したレンズ駆動機構200では、図35A及び図35Bに示すように、鏡筒本体の内部で一部のレンズを光軸方向に変位駆動するのに必要なメカストロークを保証するために、このメカストローク以上に鏡筒本体に固定されるブラケット203の位置精度を考慮した駆動ストロークを確保する必要がある。
【0015】
具体的に、このレンズ駆動機構200では、図35Aに示すように、ブラケット203と鏡筒本体との間でガタが生じやすく、鏡筒本体に対する組付誤差を考慮して、保証するメカストロークよりも駆動ストロークを大きく確保する必要がある。この場合、レンズ駆動機構200自体を小型化することは非常に困難である。
【0016】
一方、上述した固体撮像素子の高画素化や高画質化に対応するためには、図35Bに示すように、鏡筒本体に対するレンズ駆動機構200の位置精度を向上させると共に、駆動ストロークを小さくすることによって、レンズを高分解能で変位させる必要がある。
【0017】
このように、従来の撮像装置では、鏡筒本体に対するレンズ駆動機構200の位置決め精度が悪く、このレンズ駆動機構200による駆動ストロークが大きくなるために、更なる小型化が困難となると共に、レンズ鏡筒により結像された被写体の像を固体撮像素子により高分解能で撮像することが困難となるといった問題があった。
【0018】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、レンズ駆動手段の小型化を図ると共に、レンズ駆動手段によりレンズを光軸方向に適切に変位させることによって、結像性能の更なる向上並びに小型化を可能としたレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、そのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を高分解能で撮像することを可能とすると共に、装置全体の更なる小型化を可能とした撮像装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係るレンズ鏡筒は、被写体の像を結像する複数のレンズと、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、鏡筒本体の内部において複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸と、ガイド軸にスライド可能に支持されたレンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じてレンズ保持部材を付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動手段とを備え、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることを特徴としている。
【0021】
また、本発明に係る撮像装置は、被写体の像を結像する複数のレンズと、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、鏡筒本体の内部において複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを保持するレンズ保持部材と、レンズ保持部材を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸と、ガイド軸にスライド可能に支持されたレンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じてレンズ保持部材を付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動手段と、複数のレンズにより結像された被写体の像を撮像する撮像手段とを備え、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることを特徴としている。
【0022】
以上のように、本発明では、レンズ駆動手段のカムの変位が最小となるとき、ガイド軸にスライド可能に支持されたレンズ保持部材が付勢手段に付勢された状態で光軸方向の一方側の端部に位置している。そして、この位置から、カムが回転駆動手段により当該カムの変位が増加する一の方向に回転駆動されると、当該カムの変位に応じてレンズ保持部材が付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動される。一方、カムが回転駆動手段により当該カムの変位が減少する他の方向に回転駆動されると、当該カムの変位に応じてレンズ保持部材が光軸方向の一方側に変位駆動される。したがって、レンズ駆動手段は、回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じて、レンズ保持部材を光軸方向に適切に変位駆動することができる。
【0023】
ここで、カムが回転駆動手段により一の方向に回転駆動されて当該カムの変位が最大となるとき、すなわちレンズ駆動手段によりレンズ保持部材が光軸方向の他方側の端部まで変位駆動されるとき、回転駆動手段による他の方向への回転トルクは最小となり、付勢手段がレンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢力は最大となる。
【0024】
このとき、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲がレンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも大きいと、カムがレンズ保持部材との摺接部分に食い込んだ状態となることがある。この場合、回転駆動手段がカムを他の方向に回転駆動させようとしても、カムが回転せずにレンズ保持部材が光軸方向の他方側の端部に保持されたまま、光軸方向の一方側へと戻らなくなる。
【0025】
そこで、本発明では、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されている。
【0026】
これにより、カムが回転駆動手段により一の方向に回転駆動されて当該カムの変位が最大となるとき、カムがレンズ保持部材との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体の内部においてレンズ保持部材を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲を保証することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したレンズ鏡筒及び撮像装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、本発明を適用した撮像装置1は、鏡筒本体2に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体2に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像する本発明を適用したレンズ鏡筒1aを備え、このレンズ鏡筒1aにより結像された被写体の像を鏡筒本体2の背面側に取り付けられた後述する固体撮像素子15によって撮像するものである。また、この撮像装置1は、装置全体の小型パッケージ化が図られることによって、例えばデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等を構成するに好適なものとして使用されている。なお、ここでは、レンズ鏡筒の前玉有効径を約5.2mmとして設計したが、そのような設計範囲に限定されるものではなく、更に小型化することも可能である。
【0029】
具体的に、鏡筒本体2は、複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置された主鏡筒3と、この主鏡筒3の背面側に取り付けられた後部鏡筒4とを有している。
【0030】
主鏡筒3に配置された複数のレンズは、図3及び図4に示すように、被写体側から順に、主鏡筒3に固定された第1のレンズ5及び第2のレンズ6からなる固定レンズ群7と、主鏡筒3の内部で光軸方向に移動可能に支持された第3のレンズ8、第4のレンズ9及び第5のレンズ10からなる可動レンズ群11とを有している。なお、複数のレンズのうち、第1のレンズ4乃至第4のレンズ8は、光学ガラスからなり、第5のレンズ9は、光学プラスチックからなる。
【0031】
また、固定レンズ群7と可動レンズ群11との間には、絞り12が配置されている。そして、これら複数のレンズにより結像される被写体の像面側には、赤外カットフィルタ13と、ローパスフィルタ14と、固体撮像素子15とが後部鏡筒4に固定された状態で配置されている。
【0032】
主鏡筒3は、図5に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂により全体略直方体状に成形されている。この主鏡筒3の被写体側に位置する前面には、固定レンズ群7が固定される略円筒状のレンズホルダ16が設けられている。このレンズホルダ16は、第1のレンズ5と第2のレンズ6とを隣接させた状態で熱カシメ等によりその外周部を固定支持している。
【0033】
また、主鏡筒3には、図6に示すように、内部に可動レンズ群11を収納するためのレンズ収納空間17が形成されており、背面側が開放された形状を有している。そして、このレンズ収納空間17には、可動レンズ群11を光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持機構18が設けられている。
【0034】
このレンズ支持機構18は、可動レンズ群11を保持するレンズ保持部材19と、このレンズ保持部材19を光軸方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸20a,20bとを有している。
【0035】
レンズ保持部材19は、図7及び図8に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂や、後述するカムピン36とサイドカム51との摺動特性を向上させるために、例えば液晶ポリマー等で形成されている。
【0036】
また、このレンズ保持部材19は、レンズ固定枠21と共に可動レンズ群11の外周部を保持するレンズ保持枠19aを有している。このレンズ保持枠19aの中央部には、可動レンズ群11が収納されるレンズ収納凹部22が形成されており、このレンズ収納凹部22の底面中央には、可動レンズ群11の第3のレンズ8を所定の径で臨ませる開口部23が形成されている。
【0037】
一方、レンズ固定枠21は、第5のレンズ10の外周部と当接される円環部21aと、この円環部21aの両側からレンズ保持枠19aに向かって折り曲げ形成された一対の折曲げ片21bとを有している。このうち、円環部21aには、第5のレンズ10の外周部と当接されることによって一対の折曲げ片21bを所定の弾性力でレンズ保持枠19aを挟み込む方向へと撓ませる複数の突起部21cが形成されている。一方、一対の折曲げ片21b,21bの先端部には、それぞれレンズ保持枠19aの外周部に形成された係止溝24と係合される係止爪21dが形成されている。
【0038】
また、レンズ保持枠19aの外周部には、一方のガイド軸20aを挿通する貫通孔25が形成された筒状部26と、他方のガイド軸20bを挟み込む溝部27が形成された支持片28とが互いに対称となる位置から突出形成されている。また、支持片28と隣接した位置には、第5のレンズ10を位置決めする溝部29が形成された位置決め部30が突出形成されている。そして、この溝部29には、第5のレンズ10を射出成形することにより生じるゲート部31が係合されることになる。
【0039】
第5のレンズ10は、このようなゲート部31を切断せずに残しておくことで、切断時の応力の発生により光学特性が劣化するのを防止している。また、ここでは、この第5のレンズ10に残されたゲート部31をレンズ保持枠19aに保持する際の位置決めに用いている。
【0040】
そして、このレンズ保持部材19に可動レンズ群11を固定する際は、先ず、第3のレンズ8、第4のレンズ9及び第5のレンズ10を接合した状態でレンズ保持枠19aのレンズ収納凹部22に収納する。このとき、第5のレンズ10のゲート部31がレンズ保持枠19aの溝部29と係合されることによって、これら可動レンズ群11がレンズ保持枠19aに対して正確に位置決めされる。
【0041】
次に、レンズ固定枠21がレンズ支持枠2aと共に可動レンズ群11の外周部を挟み込みながら、一対の突出片21bの係止爪21dをレンズ保持枠19aの係止溝24と係合させる。これにより、可動レンズ群11をレンズ保持部材19に適切に保持させることができる。
【0042】
一対のガイド軸20a,20bは、図6に示すように、光軸と平行に配置されており、それぞれの両端部が主鏡筒3と後部鏡筒4との間で固定支持されている。このうち、一方のガイド軸20aは、図6中に示すレンズ収納空間17の左上コーナー部に位置しており、他方のガイド軸20bは、図6中に示すレンズ収納空間17の右下のコーナー部に位置している。この場合、レンズ保持部材19は、主鏡筒3に対して略45゜傾けられた状態で配置されることによって、一対のガイド軸20a,20bに対するレンズ保持部材19のガタツキを抑制することが可能となっている。
【0043】
また、主鏡筒3の一対のガイド軸20a,20bが固定される面には、図9に示すように、一対の受け穴32a,32bが形成されており、これら受け穴32a,32bは、圧入される一対のガイド軸20a,20bの先端を保持するように、内面が四方に亘って平坦化された形状を有している。
【0044】
また、一方のガイド軸20aには、図6に示すように、レンズ保持部材19を背面側に付勢する付勢手段である圧縮コイルバネ33が挿通されている。一方、図7に示すレンズ保持部材19の筒状部26及び図9に示す主鏡筒3の一方の受け穴32aには、このコイルバネ33の両端部と当接される受け部34,35がそれぞれ形成されている。
【0045】
コイルバネ33は、所定の面圧でカムピン36がサイドカム51と当接されるように、内周部がガイド軸20aに接触せず、且つ、圧縮された際に外周部が主鏡筒3の受け部35の内周部と干渉しない寸法で形成されている。
【0046】
そして、このレンズ保持部材19は、図10及び図11に示すように、筒状部26の貫通孔25に一方のガイド軸20aが挿通され、支持片28の溝部27に他方のガイド軸20bが挟み込まれることによって、これら一対のガイド軸20a,20bに沿ってスライド可能に支持されている。
【0047】
また、レンズ保持部材19には、筒状部26の近傍から背面側に向かってカムピン36が突出形成されている。このカムピン36は、レンズ保持部材19がコイルバネ33に付勢されることによって、後述するレンズ駆動機構42のサイドカム51と当接されることになる。また、このカムピン36は、サイドカム51との摺動性及び耐摩耗性を良くするために、その先端部が例えば半球面とされている。なお、ここでは、カムピン36がレンズ保持部材19と一体に成形された構成となっているが、サイドカム51との摺動性及び耐摩耗性を向上させるために、例えば液晶ポリマー等を用いてカムピン36をレンズ保持部材19とは別個に作製した後に、このレンズ保持部材19に取り付けた構成としてもよい。
【0048】
また、レンズ保持部材19には、後述するリセットセンサ67と協働して初期化の動作を行う突出片37が、筒状部26の近傍から前面側に向かって所定の長さで突出形成されている。さらに、レンズ保持部材19には、図10に示すように、一対のガイド軸20a,20bに沿って前面側にスライドされた際に主鏡筒3と当接される規制突部38と、背面側にスライドされた際に後部鏡筒4と当接される規制片39とが互いに逆向きに突出形成されている。一方、主鏡筒3には、図9に示すように、このレンズ保持部材19の規制突部38と当接されるメカストッパ40が形成されている。
【0049】
また、主鏡筒3には、図12に示すように、上述した絞り12の開口12aを調節する絞り調節機構41と、上述したレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するレンズ駆動機構42とが設けられている。
【0050】
絞り調節機構41は、図13及び図14に示すように、第1の駆動モータ43の駆動により絞り12の開口12aを2枚のシャッタ部材(図示せず。)により調節する、いわゆるアイリスユニットであり、第1の保持部材44と一体に形成されている。
【0051】
第1の保持部材44は、この絞り調節機構41を保持するものであり、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばポリカーボネート樹脂により全体略矩形平板状に成形されている。
【0052】
また、第1の保持部材44の先端部には、絞り12の開口12aが光軸と一致するように形成されている。また、第1の保持部材44には、基端部の背面側の主面に位置して、第1の駆動モータ43が光軸と平行となるように取り付けられている。一方、この第1の駆動モータ43が取り付けられた面とは反対側の主面には、絞り12の開口12aを調節する2枚のシャッタ部材(図示せず。)が第1の駆動モータ43の駆動により互いに逆向きにスライド可能に設けられている。また、第1の保持部材44の主鏡筒3と当接される面には、当該主鏡筒3に対して位置決めされるボス穴45が形成されている。また、第1の保持部材44の一側面部には、後述する主鏡筒3の位置決め凹部48に係合されると共に、後述する第2の保持部材54の押付片56に押し付けられる被押付片46が突出形成されている。
【0053】
一方、主鏡筒3には、図12に示すように、光軸と平行な一側面(以下、第1の側面という。)3aに、上述した絞り12を固定レンズ群7と可動レンズ群11との間に挿入するための第1の挿入口47が形成されている。また、第1の側面3aには、第1の保持部材44の被押付片46が係合される位置決め凹部48が第1の挿入口47と隣接して形成されている。また、第1の側面3aには、第1の保持部材44のボス穴45に係合されるボス49と、第1の駆動モータ43の外形に対応した切欠き部50とが形成されている。
【0054】
レンズ駆動機構42は、図14に示すように、レンズ保持部材19のカムピン36と当接されるサイドカム51と、このサイドカム51が取り付けられた駆動軸52を当該サイドカム51と一体に回転駆動する第2の駆動モータ53とを有している。
【0055】
サイドカム51は、その回転に応じてレンズ保持部材19を光軸方向に等速で変位させるものであり、その中心部に対して外周面が渦巻き状の輪郭曲線を描くように、例えばポリカーボネート樹脂を用いて高精度に成形されると共に、その中心部が第2の駆動モータ53の駆動軸52に圧入若しくは接着により取り付けられている。
【0056】
なお、このサイドカム51の外周面には、カムピン36との摺動性を良くするために、グリスを塗布してもよい。また、このサイドカム51を摺動性に優れた例えば液晶ポリマー等を用いて作製し、レンズ保持部材19を耐摩耗性に優れた例えば炭素入りのポリカーボネート樹脂等を用いて作製することによって、このようなグリスを塗布しない構造とすることもできる。
【0057】
第2の駆動モータ53は、いわゆるステッピングモータであり、供給される駆動パルスに応じて駆動軸52の回転を駆動制御する。そして、この第2の駆動モータ53は、第2の保持部材54により支持されている。この第2の保持部材54は、両端部が同一方向に折り曲げられた板金からなり、一端に駆動軸52を貫通させた状態で第2の駆動モータ53が固定され、他端に設けられた軸受55に駆動軸52の先端が軸支されることによって、この駆動軸52を一端と他端との間で回転可能に支持している。
【0058】
また、第2の保持部材54の一端には、上述した第1の保持部材44の被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに押し付ける押付片56が折り曲げ形成されている。この押付片56は、所定の弾性を有するように、板金の板厚、幅、材質等が決められており、上述した主鏡筒3の位置決め凹部48に第1の保持部材44の被押付片46が係合された際の寸法バラツキを吸収できるようになされている。なお、場合によっては、このような押付片56の弾性付勢によらずに光学性能に影響を与えない範囲内で係合部分にガタを持たせることも可能である。
【0059】
また、この第2の保持部材54の一端と他端との間には、主鏡筒3に対して位置決めされるボス孔57が形成されている。さらに、このボス孔57が形成された位置からは、主鏡筒3に固定される固定片58が、第2の駆動モータ53側に駆動軸52と平行となるように延長して形成されている。この固定片58には、第1の孔部59と、この第1の孔部59よりも拡径された第2の孔部60とが駆動軸52と平行な方向に沿って連続して形成されている。このうち、第1の孔部59は、主鏡筒3にネジ止めされる際の固定片58の回転を防止する長孔であり、第2の孔部60は、主鏡筒3にネジ止めされる際のネジ61を貫通させる貫通孔である。
【0060】
一方、主鏡筒3には、図12に示すように、第1の側面3a及び当該第1の側面3aと隣接する光軸と平行な一側面(以下、第2の側面という。)3bに亘って、上述したサイドカム51をレンズ収納空間17に挿入するための第2の挿入口62が形成されている。そして、主鏡筒3の内面には、この第2の挿入口62から挿入された第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合される位置決め凹部63が形成されている。
【0061】
また、第2の側面3bには、上述した固定片58の第1の孔部59と係合される回転防止用の位置決め突部64と、固定片58の第2の孔部60を通してネジ61が螺合されるネジ孔65aが形成された座面突部65とが突出形成されている。位置決め突部64は、座面突部65よりも高く且つ当該ネジ孔65aに螺合されるネジ61の頭部に対応した領域内に少なくとも一部が位置している。座面突部65は、ネジ孔65aから位置決め突部64に向かって一部が切り欠かれた形状を有している。なお、これら位置決め突部64及び座面突部65は、それぞれ先端に面取りが施されており、基端が主鏡筒3の第2の面に対して曲面形状を有している。また、第2の側面3bには、上述した第2の保持部材54のボス孔57と係合される位置決め用のボス66が突出形成されている。
【0062】
そして、これら絞り調節機構41及びレンズ駆動機構42を主鏡筒3に取り付ける際は、先ず、主鏡筒3の第1の挿入口47から絞り12を主鏡筒3の内部に挿入する。このとき、主鏡筒3の位置決め凹部48に第1の保持部材44の被押付片46が係合され、第1の保持部材44のボス穴45に主鏡筒3のボス49が係合され、主鏡筒3の切欠き部50に第1の保持部材44に取り付けられた第1の駆動モータ43がそれぞれ係合される。なお、この位置決め凹部48に係合された被押付片46は、第1の側面3aと同一主面を形成している。また、図示を省略するが、主鏡筒3の内部に挿入された絞り12の先端は、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部と係合されると共に、上述したレンズホルダ16とレンズ収納空間17との間を遮断することになる。これにより、絞り調節機構41は、固定レンズ群7と可動レンズ群11との間の光路上に絞り12の開口12aが位置するように、主鏡筒3に対して正確に位置決めされた状態となる。
【0063】
次に、主鏡筒3の第2の挿入口62から、サイドカム51がレンズ収納空間17に収納されたレンズ保持部材19のカムピン36と当接されるように、レンズ駆動機構42を主鏡筒3の内部に挿入する。このとき、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合される。また、第2の保持部材54のボス孔57に主鏡筒3の第2の面に形成されたボス66が係合される。また、図15に示すように、第2の保持部材54の押付片56が第1の保持部材44の被押付片46と当接され、上述した位置決め凹部48に係合された被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに所定の力量で押し付けた状態とする。また、図16及び図17に示すように、固定片58が主鏡筒3の座面突部65と当接された状態で、第2の保持部材54の第1の孔部59に主鏡筒3の位置決め突部64が係合されると共に、第2の孔部60を通してネジ孔65aにネジ61が螺合される。これにより、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定される。
【0064】
この撮像装置1では、第1の保持部材44の被押付片46が第2の保持部材54の押付片56により主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けられた状態で、第2の保持部材54の固定片58が主鏡筒3の第2の側面3bに固定されることから、主鏡筒3に対する絞り調節機構41とレンズ駆動機構42との組付工数及び固定箇所を削減しながら、これら絞り調節機構41とレンズ駆動機構42とを主鏡筒3に対して適切に位置決め固定することが可能である。
【0065】
なお、第2の保持部材54の押付片56は、第1の保持部材44の被押付片46を主鏡筒3の第1の側面3aに押し付けることによって、主鏡筒3に対して絞り調節機構41を絞り12の挿入方向に固定すると共に、この絞り12の挿入方向と直交する方向にも固定することが可能である。
【0066】
また、この撮像装置1では、主鏡筒3の第1の側面3aにおいて、絞り調節機構41の第1の駆動モータ43が光軸と平行して配置されると共に、レンズ駆動機構42の第2の駆動モータ53が光軸と直交して配置されることによって、これら第1の駆動モータ43及び第2の駆動モータ53を鏡筒本体2の同一側面にコンパクトに配置することが可能なことから、装置全体を更に小型化することが可能である。また、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42の第2の駆動モータ53を光軸と直交して配置することが可能となることで、サイズやデザイン等の設計自由度を更に向上させることが可能である。
【0067】
さらに、この撮像装置1では、可動レンズ群11を保持するレンズ保持部材19をサイドカム51の変位に応じて光軸方向に変位駆動することで、ラックやリードスクリューといった構成部品が不要となり、レンズ駆動機構42自体を従来のレンズ駆動機構200よりも小型化することが可能なことから、装置全体を更に小型化することが可能である。
【0068】
また、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42が主鏡筒3のレンズ収納空間17に挿入されたときに、主鏡筒3の内面に形成された位置決め凹部63に第2の保持部材54の先端から突出する軸受55が係合されることから、第2の駆動モータ53の駆動軸52の位置精度を向上させることが可能であり、サイドカム51によるレンズ保持部材19の光軸方向の移動操作を適切に行うことが可能となる。
【0069】
上述した絞り調節機構41及びレンズ駆動機構42が取り付けられた主鏡筒3の第1の側面3aには、図18に示すように、絞り調節機構41よりも前面側に位置してリセットセンサ67が設けられている。
【0070】
このリセットセンサ67は、図19に示すように、上述したレンズ保持部材19の突出片37に沿った溝部68を有し、この溝部68を突出片37が通過することによって、これを感知し、電源投入時等においてレンズ駆動機構42の初期化を行う。また、このリセットセンサ67は、略矩形状のプリント配線基板69にハンダ付けされており、このプリント配線基板69には、上部にネジ70を貫通させる貫通孔71と、両側縁部に一対の切欠き部72とが形成されている。
【0071】
一方、主鏡筒3の第1の側面3aには、このリセットセンサ67をレンズ収納空間17に挿入するための第3の挿入口73が形成されている。また、第1の側面3aには、プリント配線基板69の貫通孔71を通してネジ70が螺合されるネジ孔74と、プリント配線基板69の一対の切欠き部72に係合されることによって、プリント配線基板69を主鏡筒に対して位置決めする或いはネジ止めされるプリント配線基板69の回転を防止する一対の突起部75とが形成されている。
【0072】
そして、リセットセンサ67を主鏡筒3に取り付ける際は、第3の開口部73からリセットセンサ67を挿入する。このとき、プリント配線基板69の一対の切欠き部72に一対の突起部75が係合された状態で、プリント配線基板69の貫通孔71を通して主鏡筒3のネジ孔74にネジ70が螺合される。これにより、リセットセンサ67が取り付けられたプリント配線基板69を主鏡筒3の第1の側面3aに位置決め固定することができる。
【0073】
リセットセンサ67が取り付けられた主鏡筒3には、後部鏡筒4が取り付けられる。この後部鏡筒4は、図20及び図21に示すように、強度及び量産性があり且つ遮光性を有する黒色の樹脂材料、例えばガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂が全体略矩形枠状に成形されてなり、その中央部には、矩形状の開口部4aが形成されている。
【0074】
この後部鏡筒4の主鏡筒3の背面と対向する正面には、一対の受け穴76a,76bが形成されており、これら一対の受け穴76a,76bは、圧入される一対のガイド軸20a,20bの他端を保持するように、内面が四方に亘って平坦化された形状を有している。また、この後部鏡筒4の背面には、一対の受け穴76a,76bの近傍に位置して、一対の位置決め突部77が突出形成されている。また、この後部鏡筒4の正面には、上述した図10及び図11に示すレンズ保持部材19の規制片39と当接されるメカストッパ78が突出形成されている。
【0075】
また、後部鏡筒4の背面には、図21に示す左上コーナー部及び右下のコーナー部に位置して、ネジ79を貫通させる一対の貫通孔80が形成されている。また、これら貫通孔80の周囲には、後部鏡筒4の背面側に取り付けられる固体撮像素子15とネジ79との干渉を防ぐために、一段低くなされた段差部80aが形成されている。また、この後部鏡筒4の背面には、一対の位置決め突部81と一対のネジ孔82とがそれぞれ一対の貫通孔80から順に上方又は下方に並ぶように形成されている。そして、この後部鏡筒4は、正面側の一対の位置決め突部77が主鏡筒3の背面に形成された一対の位置決め穴83に係合されることによって位置決めされ、一対の貫通孔80を通して主鏡筒3の背面に形成された一対のネジ孔84にネジ79が螺合されることによって、この主鏡筒3の背面に固定される。
【0076】
そして、この主鏡筒3に取り付けられた後部鏡筒4には、図22に示すように、背面側から順に、赤外カットフィルタ13と、ローパスフィルタ14と、固体撮像素子15とが組み付けられている。
【0077】
赤外カットフィルタ13は、赤外光が固体撮像素子に到達しないようにするためのものである。この赤外カットフィルタ13には、大別して2種類の方式があり、一つは、金属イオンを含有することで特定の波長(ここでは赤外光)を吸収する、いわゆる吸収フィルタと、もう一つは、誘電体の多層構造をもつ、いわゆるダイクロイックフィルタである。
【0078】
ローパスフィルタ14は、固体撮像素子15に向かう光から特定の空間周波数成分を取り出すためのものである。すなわち、複数のレンズを透過した光は、このローパスフィルタ14を透過することで特定の空間周波数成分のみが取り出され、この特定の空間周波数成分の光が固体撮像素子15に入射することになる。
【0079】
固体撮像素子15は、配線基板85に実装されたCCD(charge−coupled device)からなり、入射した光を光電変換して電気信号として出力する。また、固体撮像素子15としては、CCDの代わりに、CMOS(complementary mental−oxide semiconductor device)を配線基板85に実装するようにしてもよい。
【0080】
また、固体撮像素子15は、矩形状の板金86に取り付けられており、この板金86の両側には、上述した後部鏡筒4の背面側に形成された位置決め突部81が係合される一対の位置決め孔87と、ネジ88を貫通させる一対の貫通孔89とが形成されている。この板金86には、図23に示すように、固体撮像素子15に矩形枠状のシールゴム90が嵌合され、このシールゴム90を介してローパスフィルタ14と赤外カットフィルタ13とが接合されている。そして、この板金86は、一対の位置決め孔87に後部鏡筒4の一対の位置決め突部81が係合された状態で、一対の貫通孔89を通して後部鏡筒4の一対のネジ孔82にネジ88が螺合されることによって、後部鏡筒4の背面に取り付けられている。また、後部鏡筒4には、これら赤外カットフィルタ13、ローパスフィルタ14及びシールゴム90が嵌め込まれる枠状の段差部91が形成されている。
【0081】
以上のように構成される撮像装置1では、固定レンズ群7に対してレンズ支持機構18によりスライド可能に支持された可動レンズ群11をレンズ駆動機構42により光軸方向に変位させるフォーカス動作を行うことで、この鏡筒本体2の背面側に位置する固体撮像素子15の受光面に被写体の像を結像させる。そして、この撮像装置1では、結像された被写体の像を固体撮像素子15が受像し、この固体撮像素子15から出力される電気信号を処理することで、被写体の像に対応したデジタル画像データを生成することが可能となっている。
【0082】
上述したように、この撮像装置1では、レンズ駆動機構42が第2の駆動モータ53により回転駆動されるサイドカム51の変位に応じて、可動レンズ群11が保持されたレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動する。
【0083】
ここで、レンズ駆動機構42では、図24に示すように、サイドカム51の変位が最小となるとき、レンズ保持部材19の規制片39が後部鏡筒4のメカストッパ78に当接されることによって、その光軸方向の一方側への移動が規制されている。したがって、このレンズ保持部材19は、コイルバネ33に付勢された状態で光軸方向の一方側、すなわち一対のガイド軸20a,20bに沿った背面側の端部に位置することになる。
【0084】
そして、この状態から、サイドカム51が第2の駆動モータ53により当該カム51の変位が増加する一の方向、すなわち図24中矢印X1で示す方向に回転駆動されると、レンズ保持部材19のカムピン36がサイドカム51の外周面と摺接しながら、レンズ保持部材19がコイルバネ33の付勢に抗して光軸方向の他方側、すなわちコイルバネ33の圧縮方向へと変位駆動される。したがって、このレンズ保持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿って、図24中矢印Y1で示す前面側へとスライドすることになる。
【0085】
このレンズ駆動機構42では、図25に示すように、サイドカム51の変位が最大となるとき、レンズ保持部材19の規制突部38が主鏡筒3のメカストッパ40に当接されることによって、その光軸方向の他方側への移動が規制されている。したがって、このレンズ保持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿った前面側の端部に位置することになる。
【0086】
一方、サイドカム51が第2の駆動モータ53により当該カム51の変位が減少する他の方向、すなわち図25中矢印X2で示す方向に回転駆動されると、レンズ保持部材19のカムピン36がサイドカム51の外周面と摺接しながら、レンズ保持部材19がコイルバネ33に付勢された状態で光軸方向の一方側、すなわちコイルバネ33の伸張方向へと変位駆動される。したがって、このレンズ保持部材19は、一対のガイド軸20a,20bに沿って、図25中矢印Y2で示す背面側へとスライドすることになる。
【0087】
この撮像装置1では、このようなレンズ駆動機構42によって、レンズ保持部材19の駆動ストロークを従来よりも小さくすることが可能であり、可動レンズ群11を高分解能で変位駆動することが可能である。
【0088】
ここで、レンズ保持部材19のスライド可能な距離範囲(メカストローク)は、上述した後部鏡筒4に設けられた背面側メカストッパ78と、主鏡筒3に設けられた前面側メカストッパ40とに、それぞれレンズ保持部材19の背面側規制片39と前面側規制突部38とが当接されることによって保証されている。一方、レンズ駆動機構42がレンズ保持部材19を変位駆動する距離範囲(駆動ストローク)は、サイドカム51の変位が最小となる位置と最大となる位置との変位量の差によって保証されている。そして、このサイドカム51は、図26に示すように、メカストローク以上の駆動ストロークを保証している。
【0089】
ところで、図25に示すように、サイドカム51の変位が最大となるとき、すなわちレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、第2の駆動モータ53による図25中矢印X2で示す方向の回転トルクは最小となり、コイルバネ33がレンズ保持部材19を図25中矢印Y2で示す方向に付勢する付勢力は最大となる。
【0090】
このとき、図26に示すように、駆動ストロークがメカストロークよりも大きいと、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に深く食い込んだ状態、いわゆる喰い付きが発生することがある。
【0091】
この場合、回転駆動機構43がサイドカム51を図25中矢印X2で示す方向に回転させようとしても、サイドカム51が回転せずにレンズ保持部材19が前面側の最端部に保持されたまま、図25中矢印Y2で示す方向に戻らなくなる不都合が生じてしまう。
【0092】
具体的に、このサイドカム51の喰い付きの発生原理について説明する。
【0093】
レンズ駆動機構42では、図25に示すように、レンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、上述したレンズ保持部材19の規制突部38と主鏡筒3のメカストッパ40とが互いに当接された状態となっている。
【0094】
このとき、レンズ保持部材19のカムピン36とサイドカム51の外周面との間には摩擦力が働いており、その摩擦係数をμとし、第2の駆動モータ53の回転トルクによってサイドカム51とカムピン36との接点に働く力をPとし、サイドカム51の外周面に対する圧力角をθとし、サイドカム51の外周面に対する法線方向の反力をRとし、駆動軸52がサイドカム51を支える力をJとすると、
R−P・sinθ=J・cosθ (式1)
P・cosθ−μ・R=J・sinθ (式2)
という関係が成り立つ。
【0095】
また、この喰い付き状態から、第2の駆動モータ53がサイドカム51を図25中矢印X2で示す方向に回転駆動する際には、一度第2の駆動モータ53による回転トルクが0となることから、上述したサイドカム51とカムピン36との接点に働く力Pが0となり、摩擦力の方向が逆転する。
【0096】
このとき、上記式1及び上記式2から、
R=J・cosθ (式1’)
という関係が成り立ち、
μ・R≧J・sinθ (式2’)
が静止条件となる。
【0097】
すなわち、サイドカム51は、この静止条件が成り立つ位置まで変位してから静止することになる。
【0098】
ここで、Rは、静止状態の突張り力であることから、
P>R・sinθ+μ・R・cosθ
となる力Pを第2の駆動モータ53によって発生させることができれば、レンズ保持部材19は、無事に前面側の端部から脱出させることができる。すなわち、サイドカム51の喰い付きは発生しないことになる。
【0099】
しかしながら、レンズ保持部材19が前面側の端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51は、実際には慣性によってカムピン36に更に食い込んだ状態となっている。したがって、レンズ保持部材19を前面側の端部まで変位駆動したとき(定常状態)よりも大きな回転トルクを第2の駆動モータ53によって発生させなければ、このレンズ保持部材19を前面側の端部から脱出させることはできない。すなわち、サイドカム51の喰い付きが発生することになる。
【0100】
また、レンズ駆動機構42によりレンズ保持部材19が変位駆動される際には、レンズ保持部材19のカムピン36とサイドカム51の外周面との間に動摩擦力が働くことから、その動摩擦係数をμmとし、静止状態における静止摩擦係数μ0とすると、一般に、
μ0>μm
という関係が成り立つ。
【0101】
したがって、レンズ保持部材19を前面側の端部まで変位駆動したとき(定常状態)よりも大きな回転トルクを第2の駆動モータ53によって発生させなければ、このレンズ保持部材19を前面側の端部から脱出させることはできない。すなわち、サイドカム51の喰い付きが発生することになる。
【0102】
以上のことから、サイドカム51の喰い付きは、
(1) レンズ保持部材19が前面側の端部まで変位駆動されたとき、上記圧力角θが存在すること
(2) 静止状態において上記突張り力Rが存在すること
(3) 上記動摩擦係数μmと上記静止摩擦係数μ0との間に差が生じること
といった要件を満たすことによって発生していたことがわかる。
【0103】
ここで、上記(3)の摩擦係数μmと上記静止摩擦係数μ0と動摩擦μmとの差を無くすことは、物理的に困難である。なお、両者の差を限りなく小さくすることは可能であり有効であるものの、上記喰い付きの発生を防止する根本的な解決方法とはならない。また、上記(2)のレンズ保持部材19の規制突部38と主鏡筒3のメカストッパ40とが互いに当接された(静止)状態において、突張り力Rを無くすことは物理的に困難である。なお、この静止状態については、上記式2’により理解できる。
【0104】
そこで、この撮像装置1では、上述したサイドカム51の喰い付きの問題を解決するために、図27に示すように、少なくとも光軸方向の前面側において、レンズ駆動機構42によりレンズ保持部材19が変位駆動される距離範囲(駆動ストローク)が、レンズ保持部材19のスライド可能な距離範囲(メカストローク)よりも小さくなるように設定されている。
【0105】
すなわち、少なくとも一対のガイド軸20a,20bに支持されたレンズ保持部材19のスライド可能な前面側の端部よりも、レンズ駆動機構42により変位駆動されるレンズ保持部材19の変位可能な前面側の端部を手前に位置させる。
【0106】
これにより、レンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0107】
具体的に、上述した撮像装置1では、図28及び図29に示すように、前面側のメカストロークに余裕を持たせるため、上述した主鏡筒3に設けられたメカストッパ40を除去すると共に、上述したレンズ保持部材19に設けられた規制突部38を除去した構造とする。
【0108】
これにより、サイドカム51は、例えば図30に示すように、当該カム51の変位が増加する一の方向、すなわち図30中矢印X1に示す方向に繰り返し回転させることが可能である。すなわち、カムピン36は、サイドカム51の変位が最大となる位置から、このサイドカム51が図30中矢印X1に示す方向に回転することで、再びサイドカム51の変位が最小となる位置へと戻ることができる。
【0109】
なお、この図30中矢印X1に示す回転方向の戻り動作の際には、リセットセンサ67と突出片37との共働によってレンズ保持部材19が保証ストロークの外側へと送り込まれたことを検出し、これによって再初期化の動作を行うことが可能である。
【0110】
したがって、レンズ鏡筒1aでは、このような図30に示すレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0111】
そして、このようなレンズ鏡筒1aを備える撮像装置1では、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子15により高分解能で撮像することが可能である。
【0112】
また、撮像装置1では、レンズ保持部材19が光軸方向の他方側に変位駆動されるのをサイドカム51の変位が最大となる手前で規制する規制手段として、例えば図31に示すように、サイドカム51の外周面にカムピン36と当接されるカムストッパ92を設けた構成としてもよい。
【0113】
このカムストッパ92は、サイドカム51の外周面から突出形成されており、サイドカム51の変位が最大となる手前でカムピン36と当接されることによって、サイドカム51の回転を規制している。
【0114】
したがって、レンズ鏡筒1aでは、このような図31に示すレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0115】
そして、このようなレンズ鏡筒1aを備える撮像装置1では、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子15により高分解能で撮像することが可能である。
【0116】
また、撮像装置1では、レンズ保持部材19が光軸方向の他方側に変位駆動されるのをサイドカム51の変位が最大となる手前で規制する規制手段として、例えば図32に示すように、サイドカム51に規制突部93を設け、主鏡筒3に規制突部93と当接されるカムストッパ94を設けた構成としてもよい。
【0117】
規制突部93は、サイドカム51の厚み方向の主面から突出形成されており、カムストッパ94は、主鏡筒3の内周面から突出形成されている。そして、サイドカム51の変位が最大となる手前で規制突部93がカムストッパ94に当接されることによって、サイドカム51の回転を規制している。なお、カムストッパ94は、主鏡筒3以外の部分に設けることも可能である。
【0118】
したがって、このレンズ鏡筒1aでは、このような図32に示すレンズ駆動機構42によってレンズ保持部材19が前面側の最端部まで変位駆動されたとき、サイドカム51がレンズ保持部材19のカムピン36との摺接部分に食い込むのを防ぐと共に、鏡筒本体2の内部においてレンズ保持部材19を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲(保証ストローク)を保証することが可能である。
【0119】
そして、このようなレンズ鏡筒1aを備える撮像装置1では、装置全体を小型化しながら、被写体の像を固体撮像素子15により高分解能で撮像することが可能である。
【0120】
なお、上述した撮像装置1では、光軸方向の背面側において、駆動ストロークがメカストロークよりも小さくなるように設定することも考えられる。
【0121】
しかしながら、レンズ保持部材19が背面側の最端部に位置するとき、サイドカム51の変位が最小となることから、第2の駆動モータ53による図24中矢印X1で示す方向の回転トルクは最大となり、逆に、コイルバネ33がレンズ保持部材19を図25中矢印Y2で示す方向に付勢する付勢力は最小となる。
【0122】
したがって、光軸方向の背面側では、上述したサイドカム51の喰い付きの発生を考慮する必要が非常に少なくなることから、むしろ鏡筒本体2に対するレンズ駆動機構42の組付誤差や位置精度等を考慮して、保証するメカストロークよりも駆動ストロークを大きく確保する方が好ましい。
【0123】
なお、上述した撮像装置1では、サイドカム51の変位に応じてレンズ保持部材19が圧縮コイルバネ33の付勢に抗して背面側から前面側へと変位駆動される構成となっているが、これらレンズ駆動機構42及びコイルバネ33の配置を入れ替えることで、例えばサイドカム51の変位に応じてレンズ保持部材19が圧縮コイルバネ33の付勢に抗して前面側から背面側へと変位駆動される構成とすることや、サイドカム51の変位に応じてレンズ保持部材19が引張りコイルバネ33の付勢に抗して変位駆動される構成とすることも可能である。
【0124】
なお、本発明は、上述した撮像装置1の構成に限定されるものではなく、鏡筒本体に光軸を一致させた状態で配置された複数のレンズのうち、鏡筒本体に収納された一部のレンズを光軸方向に変位させることによって、被写体の像を結像するレンズ鏡筒、並びにそのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を固体撮像素子により撮像する撮像装置に広く適用可能である。
【0125】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るレンズ鏡筒では、レンズ駆動手段が回転駆動手段により回転駆動されるカムの変位に応じてレンズ保持部材を光軸方向に適切に変位駆動することから、結像性能の更なる向上並びに更なる小型化が可能である。
【0126】
また、本発明に係る撮像装置では、そのようなレンズ鏡筒により結像された被写体の像を撮像手段により高分解能で撮像することが可能であり、装置全体の更なる小型化が可能である。
【0127】
そして、本発明では、少なくとも光軸方向の他方側において、レンズ駆動手段によりレンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることから、カムがレンズ保持部材との摺接部分に食い込んだ状態となるのを防ぐと共に、鏡筒本体の内部においてレンズ保持部材を光軸方向に変位駆動するのに必要な距離範囲を保証することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した撮像装置を前面側から見た斜視図である。
【図2】上記撮像装置を背面側から見た斜視図である。
【図3】上記撮像装置の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】上記撮像装置の内部構成を示す横断面図である。
【図5】主鏡筒及び固定レンズ群の構成を示す斜視図である。
【図6】主鏡筒及びレンズ支持機構の構成を示す斜視図である。
【図7】レンズ保持部材及び可動レンズ群の構成を前面側から見た斜視図である。
【図8】レンズ保持部材及び可動レンズ群の構成を背面側から見た斜視図である。
【図9】主鏡筒の構成を示す背面図である。
【図10】レンズ支持機構及びレンズ駆動機構を前面側から見た斜視図である。
【図11】レンズ支持機構及びレンズ駆動機構を背面側から見た斜視図である。
【図12】主鏡筒、絞り調節機構及びレンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図13】絞り調節機構の構成を示す斜視図である。
【図14】レンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図15】絞り調節機構及びレンズ駆動機構の組付状態を示す斜視図である
【図16】第2の保持部材の固定片が主鏡筒の第2の側面に固定された状態を示す断面図である。
【図17】第2の保持部材の固定片が主鏡筒の第2の側面に固定された状態を示す平面図である。
【図18】主鏡筒とリセットセンサとの構成を示す斜視図である。
【図19】レンズ支持機構とリセットセンサの構成示す斜視図である。
【図20】主鏡筒と後部鏡筒との構成を正面側から見た斜視図である。
【図21】主鏡筒と後部鏡筒との構成を背面側から見た斜視図である。
【図22】鏡筒本体、赤外カットフィルタ、ローパスフィルタ及び固体撮像素子の構成を示す斜視図である。
【図23】赤外カットフィルタ、ローパスフィルタ及び固体撮像素子が一体化された状態を示す斜視図である。
【図24】レンズ駆動機構によりレンズ保持部材を背面側の端部に位置させた状態を示す平面図である。
【図25】レンズ駆動機構によりレンズ保持部材を前面側の端部に位置させた状態を示す平面図である。
【図26】図25に示すレンズ駆動機構の駆動ストロークとメカストロークとの関係を示す模式図である。
【図27】サイドカムの喰い付き発生を防止したレンズ駆動機構の駆動ストロークとメカストロークとの関係を示す模式図である。
【図28】図9に示す主鏡筒からメカストッパを除去した状態を示す背面図である。
【図29】図10に示すレンズ保持部材からストッパ突部を除去した状態を示す斜視図である。
【図30】レンズ駆動機構のサイドカムを当該カムの変位が増加する方向に繰り返し回転可能とした構成を示す平面図である。
【図31】レンズ駆動機構のサイドカムにカムピンと当接されるストッパを設けた構成を示す平面図である。
【図32】レンズ駆動機構のサイドカムに規制突部を設け、主鏡筒にストッパを設けた構成を示す平面図である。
【図33】従来のレンズ駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図34】従来の絞り調節機構の構成を示す斜視図である。
【図35】保証するメカストロークに対するレンズ駆動機構の位置精度と駆動ストロークとの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 撮像装置、1a レンズ鏡筒、2 鏡筒本体 3 主鏡筒、4 後部鏡筒、7 固定レンズ群、11 可動レンズ群、12 絞り、 13 赤外カットフィルタ、14 ローパスフィルタ、15 固体撮像素子、18 レンズ支持機構、19 レンズ保持部材、20a,20b ガイド軸、33 コイルバネ、36カムピン、38 規制突部、39 規制片、40 メカストッパ、41 絞り調節機構、42 レンズ駆動機構、43 第1の駆動モータ、51 サイドカム、52 駆動軸、53 第2の駆動モータ、78 メカストッパ、92 カムストッパ、93 規制突部、94 カムストッパ
Claims (12)
- 被写体の像を結像する複数のレンズと、
上記複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、
上記鏡筒本体の内部において上記複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを保持するレンズ保持部材と、
上記レンズ保持部材を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸と、
上記ガイド軸にスライド可能に支持された上記レンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、
上記レンズ保持部材と当接されるカムと、前記カムを回転駆動する回転駆動手段とを有し、前記回転駆動手段により回転駆動される前記カムの変位に応じて、上記レンズ保持部材を上記付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動手段とを備え、
少なくとも上記光軸方向の他方側において、上記レンズ駆動手段により上記レンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、上記レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 上記レンズ駆動手段により上記レンズ保持部材が光軸方向の他方側に変位駆動されるのを上記カムの変位が最大となる手前で規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 上記レンズ保持部材は、上記カムの外周面と摺接されるカムピンを有し、
上記規制手段は、上記カムの外周面にストッパを有し、
上記カムの変位が最大となる手前で上記カムピンが上記ストッパに当接されることを特徴とする請求項2記載のレンズ鏡筒。 - 上記規制手段は、上記カムに設けられた規制突部と、上記鏡筒本体に設けられたストッパとを有し、
上記カムの変位が最大となる手前で上記規制突部が上記ストッパに当接されることを特徴とする請求項2記載のレンズ鏡筒。 - 上記カムは、当該カムの変位が増加する方向に繰り返し回転可能であることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 上記回転駆動手段は、上記カムが取り付けられた駆動軸を上記カムと一体に回転駆動する駆動モータであり、当該駆動モータが光軸と直交して配置されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 被写体の像を結像する複数のレンズと、
上記複数のレンズが光軸を一致させた状態で配置される鏡筒本体と、
上記鏡筒本体の内部において上記複数のレンズのうち少なくとも一のレンズを保持するレンズ保持部材と、
上記レンズ保持部材を光軸方向にスライド可能に支持するガイド軸と、
上記ガイド軸にスライド可能に支持された上記レンズ保持部材を光軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、
上記レンズ保持部材と当接されるカムと、前記カムを回転駆動する回転駆動手段とを有し、前記回転駆動手段により回転駆動される前記カムの変位に応じて、上記レンズ保持部材を上記付勢手段の付勢に抗して光軸方向の他方側に変位駆動するレンズ駆動手段と、
上記複数のレンズにより結像された被写体の像を撮像する撮像手段とを備え、
少なくとも上記光軸方向の他方側において、上記レンズ駆動手段により上記レンズ保持部材が変位駆動される距離範囲が、上記レンズ保持部材のスライド可能な距離範囲よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする撮像装置。 - 上記レンズ駆動手段により上記レンズ保持部材が光軸方向の他方側に変位駆動されるのを上記カムの変位が最大となる手前で規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
- 上記レンズ保持部材は、上記カムの外周面と摺接されるカムピンを有し、
上記規制手段は、上記カムの外周面にストッパを有し、
上記カムの変位が最大となる手前で上記カムピンが上記ストッパに当接されることを特徴とする請求項8記載の撮像装置。 - 上記規制手段は、上記カムに設けられた規制突部と、上記鏡筒本体に設けられたストッパとを有し、
上記カムの変位が最大となる手前で上記規制突部が前記ストッパに当接されることを特徴とする請求項8記載の撮像装置。 - 上記カムは、当該カムの変位が増加する方向に繰り返し回転可能であることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
- 上記回転駆動手段は、上記カムが取り付けられた駆動軸を上記カムと一体に回転駆動する駆動モータであり、当該駆動モータが光軸と直交して配置されていることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
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-
2003
- 2003-06-20 JP JP2003177033A patent/JP2005010657A/ja not_active Withdrawn
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