JP3882884B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒に関し、特に、NOx吸蔵性能と三元性能とを有する排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
リーンバーンエンジンや筒内噴射式エンジンなどの希薄燃焼式エンジンは、燃費特性や排ガス特性の向上のため、所定運転域では理論空燃比よりも燃料希薄側のリーン空燃比で運転される。リーン空燃比運転が行われる間は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を三元触媒によって十分に浄化できないことから、酸化雰囲気において排ガス中のNOxを吸蔵し、この吸蔵したNOxを還元雰囲気で窒素(N2)に還元させることにより、大気へのNOx排出量を低減させる技術が知られている。
【0003】
このようなNOx吸蔵作用を得るために、例えば特開平9−85093号公報に記載のように、吸蔵剤としてカリウム(K)、バリウム(Ba)などの硝酸塩となり得るアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加して、触媒にNOx吸蔵性能を付与するようにしたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図7は、触媒調製時の吸蔵剤の添加量に対するNOx浄化率(リーン変化後15sec経過時点の値)とTHC浄化率(空燃比30の値)を示しており、この図から明らかなように、NOx浄化率を向上させるべく吸蔵剤の添加量を増加させるとTHC浄化率が低下し、NOx吸蔵性能と三元性能(酸化・還元性能)とはトレードオフの関係にあることがわかる。また、図8は熱耐久試験後のNOx浄化率とTHC浄化率を触媒への吸蔵剤の添加量の関数として示しているが、この熱耐久試験中に、高温下での蒸発・飛散やコージライト担体との反応消費などにより吸蔵剤の一部が消失することから、熱耐久試験前に比べ熱耐久試験後にTHC浄化率は向上するもののNOx浄化率が低下してしまい、やはり、トレードオフの関係が成立する。
【0005】
このような特性について、本発明者は以下の現象が要因となっていると推測する。
1)アルカリ塩である吸蔵剤は非常に高い電子供与物質であり、電子を放出することにより、貴金属上へのCO,HCの吸着作用を弱化させる。そして、この電子供与作用は、吸蔵性能の高い吸蔵剤ほど高くなる。
【0006】
2)物理的な要因として、アルカリ塩である吸蔵剤は移動し易い特性を有するため、貴金属活性面の表面を覆ってしまう確率が高くなる。この現象は、高温特性の向上のために吸蔵剤を増加させるほど顕著となる。
以上の要因により、単一の触媒でNOx吸蔵性能と三元性能とを高次元で両立させることは困難となる。
【0007】
しかしながら、運転者の出力要求をリーン運転のみで満たすことは非現実的なため、触媒システムにはストイキ運転やリッチ運転で発生するCO,HCを浄化する三元性能は必須であり、また、リーン運転時に吸蔵したNOxを還元する意味でも三元性能は欠かせない。従って、一般には、吸蔵剤の添加量を制限したり吸蔵剤を吸蔵性能の低い材料で構成したりして、故意にNOx吸蔵性能を抑制して三元性能を確保するしかなく、結果として、要求されるNOx吸蔵性能と三元性能とを十分に満足する触媒を得ることができなかった。また、両者をより高次元で両立させるには、NOx吸蔵性能に特化した(吸蔵剤を十分に添加した)NOx触媒の下流側に通常の三元触媒を設けるしかなく、この場合は触媒装置が全体として複雑且つ大型となり搭載位置の制限を受けるという別の問題が発生してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、搭載位置の自由度が高い単一の触媒として構成した上で、NOx吸蔵性能と三元性能とを高次元で両立させることができる排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、担体にNOx吸蔵触媒層と三元触媒層とを有すると共に、NOx吸蔵触媒層にアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つを吸蔵剤として添加し、三元触媒層にリンを添加したものである。
【0010】
例えば吸蔵剤としてカリウムが添加されている場合、三元触媒層に移動したカリウムはリンと反応してリン酸カリウムに変換される。リン酸カリウムは非常に安定した物質であり、電子供与性は全く有さず、且つ、三元触媒層の貴金属活性面上で移動する性質も有さないことから、三元触媒層への悪影響が未然に防止される。このように、リンは吸蔵剤であるアルカリと強い反応を起こして安定物質に変換させることにより、吸蔵剤の三元触媒への影響を抑止する。よって、NOx吸蔵触媒層と三元触媒層とを共通の担体上に形成して、単一の触媒として構成した上で、NOx吸蔵触媒層によるNOx吸蔵作用と共に、三元触媒層による三元作用を得ることが可能となる。
【0014】
一方、請求項2の発明では、NOx吸蔵触媒層と三元触媒層との間に、吸蔵剤の三元触媒層への移動を抑制する吸蔵剤ブロック層を形成したものであり、吸蔵剤の三元触媒への移動が抑制されるため、吸蔵剤による影響が抑止される。
この吸蔵剤ブロック層の材料として、好ましくは、酸性物質を含む複合酸化物からなる群から選択される少なくとも一つの材料を用いる。酸性物質を含む複合酸化物の各々は、IV族、V族およびVI族の遷移元素ならびにIV族、V族およびVI族の典型元素からなる群から選択される少なくとも一つの酸性物質を含む。
【0015】
より好ましくは、少なくとも一つの酸性物質は、酸性物質と吸蔵剤との反応性を考慮して選択される。例えば、吸蔵剤がカリウムの場合、シリカやタングステンを酸性物質として含む酸性酸化物や複合酸化物を用いるのがよい。
より好ましくは、吸蔵剤ブロック層の材料はゼオライトからなる。即ち、ゼオライトは、カチオン交換能により吸蔵剤を固定する能力に優れ、吸蔵触媒層内を移動する吸蔵剤が高温の水蒸気存在下でイオン化されると、ゼオライト上の酸点のカチオン交換能により吸蔵剤がイオンとして固定され、三元触媒層への移動が抑制される。また、ゼオライトからなる吸蔵剤ブロック層は三次元網目状構造をもち、高い比表面積を有することから、このような構造の吸蔵剤ブロック層上で吸蔵剤が高分散されるので、三元触媒層へ浸入し難くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態による排ガス浄化用触媒を説明する。
本実施形態の排ガス浄化用触媒は、多数のセルからなるハニカム(モノリス)型のコージライト担体を有する触媒として構成されている。図1は本実施形態の排ガス浄化用触媒に形成された一つのセルの四半部を示し、コージライト担体10のセルは例えば四角形状に形成されている。コージライト担体10は、例えば、アルミナ源の粉末、シリカ源の粉末およびマグネシア源の粉末を、アルミナ、シリカ、マグネシアの割合がコージライト組成になるように混合したものを水に分散させ、その固形分をハニカム状に成形し、このハニカム成形体を焼成したものである。
【0020】
コージライト担体10の表面にはNOx吸蔵触媒層をなす吸蔵触媒層20が形成され、この吸蔵触媒層20の表面には吸蔵剤ブロック層30が形成され、さらに吸蔵剤ブロック層30の表面には三元触媒層40が形成されている。以下に述べるように、吸蔵触媒層20は主にNOx吸蔵作用を奏し、三元触媒層40は主に三元触媒作用を奏し、吸蔵剤ブロック層30は、吸蔵触媒層20中の吸蔵剤が三元触媒層40側に移動するのを抑制する抑制層としての機能を奏する。
【0021】
吸蔵触媒層20は、例えば以下のようにして形成される。先ず、プラチナ(Pt)などの貴金属、カリウム(K)やバリウム(Ba)などのアルカリ金属やアルカリ土類金属などの吸蔵剤、及びゼオライトなどの酸性質材料などを含むスラリーを調製する。次いで、コージライト担体10を上記のスラリー中に浸漬し、これを乾燥後に焼成する。これにより、貴金属と吸蔵剤とを含有した吸蔵触媒層20中に、影響抑止材料として酸性質材料50が混合される。
【0022】
吸蔵剤は、カリウムやバリウムが代表的であるが、これらに限らず、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であれば如何なるものであってもよい。本実施形態では良好なNOx吸蔵性能を確保するために、図8の特性に基づいて吸蔵触媒層20に十分な量の吸蔵剤が添加されている。
また、吸蔵剤の固定を目的とした酸性質材料50としては、図2に示すようなIV、V、VI族の遷移元素或いはIV、V、VI族の典型元素(Si、P、S、V、Cr、As、Nb、Mo、Wなど)で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属との親和性が大きいものが好ましい(図2は、例えばカリウムとの親和性を示す)。吸蔵剤との反応性をも考慮すると、吸蔵剤がカリウムである場合、酸性質材料50は珪素(Si)やタングステン(W)が好ましく、また、NOxと吸蔵剤との反応性を阻害しない材料がよい。
【0023】
特に、酸性質材料50はゼオライトや二酸化チタン(TiO2)の少なくとも一方を含むものが望ましく、例えば複合酸化物であるゼオライトは、カチオン交換能により吸蔵剤(本実施形態ではカリウム)を固定する能力に優れる。吸蔵触媒層20内を移動する吸蔵剤は、高温の水蒸気存在下においてイオン化された状態になることがあり、図3に模式的に示すように、吸蔵剤、例えばカリウムは、ゼオライトの酸点のカチオン交換能によりイオンとして固定される。ゼオライトのカチオン交換能はSiO2/AlO2比に反比例し、耐熱性はこの比に比例する。即ち、SiO2/AlO2比を小とした場合、アルミナ量の増加に伴って酸点が増加するため吸蔵剤の固定作用を強化できるが、耐熱性の低いアルミナの分解を引き起こして酸性質材料50自体の耐熱性が損なわれるため、これらの吸蔵剤の固定作用と耐熱性を勘案した上で、上記比を設定することが好ましい。また、酸性質材料50は天然品及び合成品の何れでもよいが、物理的吸着面積を大きくとれる高比表面積のものが望ましい。
【0024】
一方、吸蔵剤ブロック層30は、例えば以下のようにして、吸蔵触媒層20の表面に形成される。先ず、ゼオライト構成成分を含むスラリーを調製し、このスラリー中に吸蔵触媒層20を形成済みのコージライト担体10を浸漬する。その後、コージライト担体10を乾燥・焼成すると、吸蔵触媒層20の表面にゼオライトからなる吸蔵剤ブロック層30が形成される。
【0025】
ゼオライトの吸蔵剤ブロック層30はカチオン交換能を備える酸点を有し、上記吸蔵触媒層20でも述べたように、ゼオライトは吸蔵剤を固定する能力に優れる。吸蔵触媒層20から吸蔵剤ブロック層30側に移動する吸蔵剤は、高温の水蒸気存在下においてイオン化されると、ゼオライトの酸点のカチオン交換能によりイオンとして固定される。また、吸蔵剤ブロック層30は三次元網目状構造をもち、高い比表面積を有する。カリウムは、このような構造の吸蔵剤ブロック層30上で高分散されるので、三元触媒層40へ浸入し難くなる。
【0026】
吸蔵剤ブロック層30は、MFI型、Y型、X型、モルデナイト、フェリエライトなどの種々のタイプのゼオライトを用いて構成可能である。この際、吸着HC種との構造関連性を考慮して、排ガス組成に適合するタイプのゼオライトが選択される。また、上記吸蔵触媒層20でも述べたように、ゼオライトのカチオン交換能はSiO2/AlO2比に反比例し、耐熱性はこの比に比例することから、吸蔵剤の固定作用と耐熱性を勘案した上で、上記比を設定することが好ましい。
【0027】
一方、三元触媒層40は、例えば以下のようにして、吸蔵剤ブロック層30の表面に形成される。先ず、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属、及び酸性質材料を含むスラリーを調製し、このスラリー中に、吸蔵触媒層20及び吸蔵剤ブロック層30を形成済みのコージライト担体10を浸漬する。その後、コージライト担体10を乾燥・焼成すると、吸蔵剤ブロック層30の表面に、影響抑止材料として酸性質材料60が混合された三元触媒層40が形成される。そして、本実施形態では良好な三元性能を確保するために、図8の特性に基づいて三元触媒層40には吸蔵剤は一切添加されていない。
【0028】
また、酸性質材料60は、アルカリ塩である吸蔵剤が有する非常に高い電子供与性を抑制して安定物質に反応させる材料を含む。一般にはシリカ(SiO2)やタングステン(W)などが挙げられるが、特にリン(P)のようにアルカリと強い反応を起こす材料が望ましい。
そして、このように構成された触媒において、吸蔵触媒層20に含まれたカリウムやバリウムなどの吸蔵剤は、ゼオライトなどの酸性質材料50により奏されるカチオン交換能により吸蔵触媒層20中に固定されている。この固定作用により、吸蔵剤の高温下での蒸発・飛散、及びコージライト担体10側への移動による反応消費が防止されると共に、吸蔵剤の三元触媒層40側への移動も抑制されている。
【0029】
また、この吸蔵剤の三元触媒層40側への移動抑制にはゼオライトからなる吸蔵剤ブロック層30も貢献し、仮に吸蔵剤が吸蔵触媒層20から離脱したとしても、吸蔵剤ブロック層30中において、吸蔵剤は酸点のカチオン交換能によりイオンとして固定されると共に、高い比表面積を有する吸蔵剤ブロック層30中で高分散されるため、結果として三元触媒層40に到達し難くなる。
【0030】
一方、以上の吸蔵触媒層20中の酸性質材料、及び吸蔵剤ブロック層30による移動抑制作用にも関わらず、万一、吸蔵剤が三元触媒層40に到達した場合、三元触媒層40中の酸性質材料との反応により吸蔵剤は安定した物質に変換されて無害化される。例えば、吸蔵触媒層20中に吸蔵剤としてカリウムが添加され、三元触媒層40中に酸性質材料としてリンが添加されている場合、三元触媒層40に移動したカリウムはリンと反応してリン酸カリウムに変換される。
【0031】
リン酸カリウムは非常に安定した物質であり、電子供与性は全く有さず、且つ、三元触媒層の貴金属活性面上で移動する性質も有さない。従って、仮に三元触媒層40上に吸蔵触媒層20からの吸蔵剤が到達したとしても、この吸蔵剤による悪影響、例えば、吸蔵剤が有する電子供与性により貴金属上へのCO,HCの吸着作用が弱化されたり、吸蔵剤が貴金属活性面上を移動して表面を覆ってしまうなどの悪影響が未然に防止される。以上の結果、吸蔵剤を含む吸蔵触媒層20とこれを含まない三元触媒層40とを共通の担体10上に形成して、単一の触媒として構成可能となる。
【0032】
そして、この触媒において、リーン空燃比での運転中にエンジンから排出された排ガス中のNOxは、吸蔵触媒層30に分散された吸蔵剤の作用下で硝酸塩の形で吸蔵される。また、リッチ空燃比での機関運転中には吸蔵剤から硝酸塩が放出されて、三元触媒層40の貴金属上でCOなどと反応して窒素に還元されて触媒から放出される。
【0033】
吸蔵触媒層20は十分な吸蔵剤が添加されていることから良好なNOx吸蔵性能を奏し、三元触媒層40は吸蔵剤を一切添加されず、且つ上記のように吸蔵剤の悪影響も防止されていることから良好な三元性能を奏し、NOxの浄化が確実になされると共に、ストイキ運転やリッチ運転で発生するCO,HCも三元触媒層40により確実に浄化される。よって、本実施形態の排ガス浄化用触媒によれば、製造コストの安価な単一の触媒として構成した上で、NOx吸蔵性能と三元性能とを高次元で両立させることができるという優れた効果を奏する。
【0034】
図4は、空燃比に対するNOxとTHCの浄化率を示しており、図中の破線で示す従来の触媒では、NOx吸蔵性能を優先させた(吸蔵剤の添加量を増加させた)結果、NOx浄化率は良好であるものの十分なTHC浄化率が得られないのに対し、実線で示す本実施形態の触媒では、THCについても十分な浄化率が得られることが確認された。
【0035】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態による排ガス浄化用触媒を説明する。
図5に示すように、本実施形態の排ガス浄化用触媒は、第1実施形態のものに比べて、吸蔵触媒層20と三元触媒層40の配置を入れ換えた点が異なり、双方の層の構成成分を含めて、その他の点については第1実施形態と同一構成となっている。
【0036】
従って、その製造過程は、先ず、コージライト担体10上にリンなどの酸性質材料60を含む三元触媒層40を形成し、次いで、三元触媒層40上にゼオライトからなる吸蔵剤ブロック層30を形成し、その後にアルカリ塩である吸蔵剤及びゼオライトなどの酸性質材料50を含む吸蔵触媒層20を形成する。
このように構成された本実施形態の排ガス浄化用触媒においても、第1実施形態のものと同様に、吸蔵触媒層20中の酸性質材料50と吸蔵剤ブロック層30により、吸蔵触媒層20の吸蔵剤が三元触媒層40に移動するのが抑制されると共に、三元触媒に到達した吸蔵剤が酸性質材料60により安定した物質に変換されることから、三元触媒層40には吸蔵剤による悪影響が一切及ばない。よって、吸蔵剤を含む吸蔵触媒層20とこれを含まない三元触媒層40とを共通の担体10上に形成して、製造コストの安価な単一の触媒として構成した上で、NOx吸蔵性能と三元性能とを高次元で両立させることができる。
【0037】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態による排ガス浄化用触媒を説明する。
図6に示すように、本実施形態の排ガス浄化用触媒は、第1実施形態のものに比べて、吸蔵剤ブロック層30を省略した点が異なり、その他の点については第1実施形態と同一構成となっている。
【0038】
従って、その製造過程は、先ず、コージライト担体10上にアルカリ塩である吸蔵剤及びゼオライトなどの酸性質材料50を含む吸蔵触媒層20を形成し、その後にリンなどの酸性質材料60を含む三元触媒層40を形成する。
このように構成された本実施形態の排ガス浄化用触媒では、第1実施形態で述べた吸蔵剤ブロック層30による吸蔵剤の移動抑制作用は得られないものの、吸蔵触媒層20中の酸性質材料50により吸蔵剤が固定されており、且つ、三元触媒層40中の酸性質材料60による吸蔵剤の変換作用も奏されることから、三元触媒層40には吸蔵剤による悪影響が一切及ばない。よって、吸蔵剤を含む吸蔵触媒層20とこれを含まない三元触媒層40とを共通の担体10上に形成して、製造コストの安価な単一の触媒として構成した上で、NOx吸蔵性能と三元性能とを高次元で両立させることができる。
【0045】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記第1ないし第3実施形態に限るものではない。例えば、第1の実施形態に対して吸蔵触媒層20中の酸性質材料50を省略したり、第2実施形態に対して吸蔵触媒層20中の酸性質材料50、または吸蔵剤ブロック層30を省略したり、第3実施形態に対して吸蔵触媒層20中の酸性質材料50を省略したりしてもよい。また、吸蔵剤ブロック層30に代えて、吸蔵剤の三元触媒層40への影響を抑止する影響抑止材料が添加された影響抑止層を形成しても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、ハニカム型コージライト担体10を担体として用いたが、本発明は、コージライト以外の材料からなる担体を備えた排ガス浄化用触媒にも適用可能であり、例えば、メタル担体を用いた場合でも同様の作用効果が得られる。また、ハニカム型コージライト担体を用いる場合、コージライト担体のセルは四角形状のものに限定されず、例えば三角形状や六角形状のものでもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明の排ガス浄化用触媒によれば、担体に吸蔵触媒層と三元触媒層とを重合して形成し、三元触媒層にリンを添加したため、吸蔵触媒層に添加された吸蔵剤の三元触媒層への影響が抑止され、その結果、搭載の自由度が高い単一の触媒として構成した上で、NOx吸蔵性能と三元性能とを高次元で両立させることができる。
【0049】
一方、請求項2の発明の排ガス浄化用触媒によれば、吸蔵触媒層と三元触媒層との間に形成した吸蔵剤ブロック層により、吸蔵剤の三元触媒層への移動が抑制されるため、吸蔵剤による影響を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の排ガス浄化用触媒に形成された一つのセルの四半部を示す部分拡大断面図である。
【図2】 酸性質材料のカリウムとの親和性を示す説明図である。
【図3】 ゼオライトのカチオン交換能によるカリウム固定作用を示す模式図である。
【図4】 空燃比に対するNOxとTHCの浄化率を示す説明図である。
【図5】 第2実施形態の排ガス浄化用触媒に形成された一つのセルの四半部を示す部分拡大断面図である。
【図6】 第3実施形態の排ガス浄化用触媒に形成された一つのセルの四半部を示す部分拡大断面図である。
【図7】 触媒調製時における吸蔵剤の添加量に対するNOx浄化率とTHC浄化率を示す説明図である。
【図8】 熱耐久後における吸蔵剤の添加量に対するNOx浄化率とTHC浄化率を示す説明図である。
【符号の説明】
10 コージライト担体
20 吸蔵触媒層
30 吸蔵剤ブロック層
40 三元触媒層
50,60 酸性質材料(影響抑止材料)
Claims (2)
- 担体にNOx吸蔵触媒層と三元触媒層とを有すると共に、該NOx吸蔵触媒層にアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つを吸蔵剤として添加し、上記三元触媒層にリンを添加したことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 上記NOx吸蔵触媒層と上記三元触媒層との間に、上記吸蔵剤の三元触媒層への移動を抑制する吸蔵剤ブロック層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
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