JP3878066B2 - 傾角調整機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスクの情報の記録や再生等を行うディスク装置における光ピックアップの光軸に対するディスクモータの回転軸の角度を微調整する傾角調整機構および傾角調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ディスク装置においては、メカシャーシ側のベース(以下、メカシャーシベースという)上にディスクモータベースが載置されている。このディスクモータベースには、光ディスクを載置するターンテーブルおよびこのターンテーブルを回転駆動するディスクモータが固定されている。ディスクモータおよびターンテーブルの各回転軸はディスクモータベースに直交するように設定されている。また、メカシャーシベース上には、上記ターンテーブル上に載置される光ディスクの径方向に移動可能な光ピックアップが配置されている。光ピックアップのレーザ光線は、光ディスクの情報の記録やその再生を行うために、光ディスクに対し直角に近い角度となるように調整される必要がある。このため、メカシャーシベースとディスクモータベースとの間には、例えば特開2000−99974号公報に開示されているように、メカシャーシベースに対するディスクモータベースの取り付け角度を微調整することで、メカシャーシベース上に配設された光ピックアップの光軸に対するディスクモータの回転軸の角度を微調整する傾角調整機構が配設されている。
【0003】
図17は上記公報に開示された従来のディスク装置における傾角調整機構の構成を示す断面図である。図において1は光ディスクであり、2は光ディスク1を載置するターンテーブルであり、3はターンテーブル2を回転駆動するスピンドルモータ(以下、ディスクモータ)であり、3aはディスクモータ3の出力軸であり、4はメカシャーシベースである。メカシャーシベース4には円形状の開口部4aが設けられており、この開口部4aの周縁部には3つのねじ穴(図17においてねじ穴4bおよび4cのみを示す)が形成されている。一方、ディスクモータ3はディスクモータベース5の中心穴5a上に固定されており、このディスクモータベース5の周縁部には3つのねじ穴(図17においてねじ穴5bおよび5cのみを示す)が形成されている。このようなディスクモータベース5はメカシャーシベース4の開口部4aの周縁部に対し例えばねじ6bおよび6cを締め込むことにより取り付けられている。ねじ6cの外周部にはメカシャーシベース4とディスクモータベース5との間にスペーサ7が配設されている。また、ねじ6bの外周部にはメカシャーシベース4とディスクモータベース5との間に付勢ばねとしての圧縮ばね8が配設されている。なお、ねじ6bと圧縮ばね8とは従来の傾角調整機構を構成する。
【0004】
次に動作について説明する。
ねじ6cを締め込むことにより、スペーサ7の厚さによりねじ6c側のディスクモータベース5とメカシャーシベース4との高さを設定する。次に、ねじ6bを締め込むことにより、圧縮ばね8の付勢力に抗してねじ6b側のディスクモータベース5とメカシャーシベース4との高さを調整する。これにより、ディスクモータ3の出力軸3aとメカシャーシベース4との角度θが略90°近傍で微調整される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の傾角調整機構は上述のような構成を有しているので、次のような課題があった。
一般に、傾角調整機構における付勢ばねとしては、調整ストローク範囲内ではできるだけ付勢力が変化しないばね定数の低いものが望ましいが、同時に、傾角調整後においては、モータ3による振動および衝撃力に耐えて傾角を保持するだけの高い保持力を有することも求められる。このため、付勢ばねを図17に示すように圧縮ばねで構成する場合には、調整後の傾角保持を優先して付勢力の強い圧縮ばねを使用せざるを得ない。この場合には、調整作業が困難となる。また、この要求仕様を満たす圧縮ばねを用いる場合には、高さ調整(製品厚み)方向に圧縮ばねを配置するためのスペースが必要になるため、製品の薄形化を図れない。
【0006】
これに対し、付勢ばねを圧縮ばねに代えて板ばねで構成する傾角調整機構も知られている。この場合、板ばねを用いることで製品の薄形化を図れるが、上記要求仕様を満たすためには、その平面寸法が大きくなり、メカ全体の寸法が大きくなると共に、特に複数のばね片を一体化した一体型板ばねでは他物を避けるために細くしたばね片だけをばね力の高い材料で構成することができないため上記要求仕様を満たせないという第1の課題があった。
【0007】
さらに、ディスクモータベース等の部品を組付ける際には、上記要求仕様を満たす高い付勢力(反力)を有する板ばねに抗して部品を位置決めし、かつねじ止めしなければならず、その組付作業やその後の調製作業が困難となるという第2の課題があった。
【0008】
また、傾角調整前にディスクモータベースをメカシャーシベース面内方向に位置決めする際、メカシャーシベースに設けた円筒状の基準部材と、ディスクモータベースに設けた丸穴との嵌め合いで位置決めする場合には、基準部材の外径と丸穴の内寸法が部品公差内でばらつくため、両者間の隙間が変化する。これにより位置決めが安定せず、特にディスクモータベースのディスクジッター方向の位置ズレが大きくなると、再生特性が劣化するという第3の課題があった。
【0009】
さらに、調整ねじと板ばねを用いた傾角調整方法では、振動や温度変化などにより、経時的に調整後にねじが緩み、調整がずれることがある。この対策として、調整後にねじを接着固定することが考えられるが、固定後にディスクモータベースの部品交換を実施する場合を想定すると、完全接着できないという第4の課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、平面寸法を増やすことなく、要求仕様を満たす板ばねと調整ねじとで構成した傾角調整機構を得ることを第1の目的とする。
【0011】
この発明は、部品を組み付ける際に低い反力を発生する板ばねと調整ねじとで構成した傾角調整機構を得ることを第2の目的とする。
【0012】
この発明は、メカシャーシベースに対し高い精度で位置決めしたディスクモータベースに対して高精度の傾角調整を行える傾角調整機構を得ることを第3の目的とする。
【0013】
この発明は、傾角調整後にメカシャーシベースに対しディスクモータベースを取外し可能に固定する傾角調整方法を得ることを第4の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る傾角調整機構は、ディスク装置における光ピックアップを摺動可能に保持するメカシャーシベース上に設けられ、ディスクモータを固定したディスクモータベースを前記メカシャーシベースから離間させる方向に付勢する板ばねと、該板ばねに対しその付勢力に抗して負荷をかける調整ねじとを備え、前記板ばねは一枚の板金と該板金から切り起こした複数のばね片とからなる一体型板ばねであり、該一体型板ばねのうち、他のばね片に比べて細長く、平面寸法が小さく設定されているばね片をその撓み方向に折り曲げて、前記ディスクモータベースに接触する第1当接部を有する第1ばね部と前記メカシャーシベースに接触する第2当接部を有する第2ばね部とを設けたものである。
【0015】
この発明に係る傾角調整機構は、幅の狭いばね片を、第2ばね部の第2当接部が調整ねじの締め込み途中においてメカシャーシベースに接触するように構成したものである。
【0016】
この発明に係る傾角調整機構は、ディスクモータベースにメカシャーシベースに立設された基準部材の頂部に螺合する固定ねじを位置決めするV字部分を有するねじ穴と、該ねじ穴のV字部分の近傍に形成された貫通穴とを備えると共に、一体型板ばねのうち、幅の広いばね片に、その撓み方向と反対の方向に切り起こされかつディスクモータベースの貫通穴内に挿入されると共に固定ねじの締め込みに際し基準部材をねじ穴のV字部分に押し付ける押圧片を設けたものである。
【0017】
この発明に係る傾角調整方法は、ディスク装置における光ピックアップを摺動可能に保持するメカシャーシベース上に設けられ、ディスクモータを固定したディスクモータベースを支持する一体型板ばねに対し、その付勢力に抗して調整ねじで負荷をかけながら光ピックアップの光軸とディスクモータの回転軸との角度を調整した後、ディスクモータベースの穴部とメカシャーシベースに立設された基準部材との間に半田を塗布してディスクモータベースとメカシャーシベースとを固定するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による傾角調整機構の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図であり、図2は図1の要部を拡大して示す概略斜視図であり、図3は図1に示した要部を矢印S方向から視た概略矢視図であり、図4は図1に示した傾角調整後のディスク装置の構成を矢印Z方向から視た矢視図であり、図5は図1に示した傾角調整後のディスク装置の構成を矢印Z(−)方向から視た矢視図である。なお、図中のX軸、Y軸およびZ軸は各図間で一致するように示されている。
【0019】
図において10はディスク装置におけるメカシャーシベースである。メカシャーシベース10の裏面上には図1および図4に示すようにY軸方向に沿って一対のガイド軸11および12が配設されている。これらガイド軸11および12には光ピックアップ13が摺動自在に支持されている。メカシャーシベース10の裏面上であって両ガイド軸11および12の一端側領域には、後述のディスクモータベースの外縁部に対応する位置にそれぞれ円筒状の基準部材14、ねじ部材15および16が配設されている。また、メカシャーシベース10の裏面上であってねじ部材16の近傍には後述のディスクモータベースの回転を阻止する断面矩形状の回り止め部17がメカシャーシベース10と一体に設けられている。
【0020】
メカシャーシベース10の裏面上であって上記基準部材14、ねじ部材15および16の近傍には、後述のディスクモータベースを3点で支持する一体型板ばね18が固定されている。一体型板ばね18は、例えば図2に示すように3枚のばね片19、20および21を1枚の板金から後述のディスクモータベース側へ斜めに切り起こしてなるものである。ばね片19の先端中央部には基準部材14との接触を避ける凹部19aとこの凹部19aを挟む位置に形成されかつ後述のディスクモータベースの一面に接触する一対の当接部19bとが設けられている。ばね片20の先端中央部にはねじ部材15との接触を避ける凹部20aとこの凹部20aを挟む位置に形成されかつ後述のディスクモータベースの一面に接触する一対の当接部20bとが設けられている。ばね片21は後述のターンテーブル等の他物との接触を避けるために他のばね片19および20に比べて細長く、平面寸法が小さく設定されている。また、ばね片21はその撓み方向(図1中のZ方向)に折り曲げられて断面コ字状をなしており、基面部18aから後述のディスクモータベースの一面に向けて斜めに延びる第1ばね部22と、この第1ばね部22の上端が略直角に折り曲げられてメカシャーシベース10の裏面に向けて斜めに延びる連絡部23と、この連絡部23の下端屈曲部23aから第1ばね部22の延在方向に平行に延びる第2ばね部24とから概略構成されている。第1ばね部22の上端屈曲部分の外側は後述のディスクモータベースの一面に接触する第1当接部22aとなっており、第2ばね部24の下端部分の外側はメカシャーシベース10の裏面に接触する第2当接部24aとなっている。
【0021】
このような構成の一体型板ばね18は、その基面部18aにおいて固定ねじ25および26によりメカシャーシベース10の裏面に固定されており、この上には図1に示すようにディスクモータベース30が配設されている。ディスクモータベース30には、メカシャーシベース10の基準部材14の上端を受け入れる位置決め穴30aと、ねじ部材15および16の上端を受け入れるねじ穴30bおよび30cと、回り止め部17の上部を受け入れる断面矩形状に開口した回り止め穴30dとが所定位置に設けられている。位置決め穴30a内に挿入された基準部材14の上部には雌ねじ(図示せず)が切られており、これには固定ねじ31が取り付けられている。また、ねじ穴30bおよび30c内に挿入されたねじ部材15および16の上部にはそれぞれ雌ねじ(図示せず)が切られており、これらには調整ねじ32および33が取り付けられている。ここで、メカシャーシベース10に対するディスクモータベース30のX−Y平面内の位置決めは、位置決め穴30aと基準部材14との嵌め合いによってX−Y平面内の回動中心を規定すると共に、回り止め穴30dと回り止め部17との係合によってX−Y平面内の回動を規制することによって行われる。
【0022】
ディスクモータベース30の下部には光ディスク(図示せず)を載置して回転駆動するターンテーブル34が配設されており、ディスクモータベース30の中央部分にはターンテーブル34を軸支する回転軸35aを有するディスクモータ35が配設されている。なお、図5に示すように、ディスクモータベース30の表面(下面)の一部には光ピックアップ13のディスク径方向の内周側での位置を検出するスイッチ36が配設されている。
【0023】
次に動作について説明する。
ディスクモータベース30が一体型板ばね18を介してメカシャーシベース10上に配設され、固定ねじ31、調整ねじ32および33がZ方向に若干締め込まれた状態で、ディスクモータベース30は一体型板ばね18の3枚のばね片19,20および21の反力により常にZ(−)方向に付勢されている。この状態において各ねじの締め込み量に応じてメカシャーシベース10に対するディスクモータベース30のZ方向高さや傾きが調整可能である。この調整に際し、ディスクモータベース30のZ方向の高さ基準を基準部材14の上端面高さで規定する。即ち、固定ねじ31を、そのねじ頭31aが基準部材14の上端面と接する位置まで締め込み固定することにより、固定ねじ31の高さ位置が定まり、ねじ頭31aと接するディスクモータベース30の高さが規定される。
【0024】
次に、ディスクモータベース30の傾き調整は、調整ねじ32および33をZ(+)方向またはZ(−)方向に移動させることにより行う。即ち、X軸回りの傾き調整は、調整ねじ32をZ(+)方向またはZ(−)方向に移動させ、ディスクモータベース30を固定ねじ31および調整ねじ33によって高さ規定される回転軸まわりに回動されることにより行う。また、Y軸回りの傾き調整は、調整ねじ33をZ(+)方向またはZ(−)に移動させ、ディスクモータベース30を固定ねじ31および調整ねじ32で高さ規定される回転軸まわりに回動させることにより行う。
【0025】
このような傾き調整において、図3に示すように、一体型板ばね18のうち、幅の狭いばね片21の第1板ばね部22の第1当接部22aはディスクモータベース30の下面に当接しており、調整ねじ33のZ(+)方向の締め込みに対する第1板ばね部22のZ(−)方向の反力がディスクモータベース30に作用している。同時に、第2板ばね部24の第2当接部24aはメカシャーシベース10の上面に当接しており、第2板ばね部24のZ(+)方向の反力がメカシャーシベース10に作用している。結果として、幅の狭いばね片21の反力は第1板ばね部22の反力と第2板ばね部24の反力との和となり、他のばね片19および20の各反力に等しくなり、一体型板ばね18の反力を安定させることができるので、ディスクモータベース30の高さおよび傾きが確実に保持される。
【0026】
以上のように、この実施の形態1によれば、傾角調整機構を構成する一体型板ばね18のうち、幅の狭いばね片21をその撓み方向に断面コ字状に折り曲げ、第1板ばね部22および第2板ばね部24を設けるように構成したので、ばね片21の平面寸法を大きくすることなく、ばねとして作用する領域を広げることが可能となり、必要とされる高い保持力を確保することができるという効果がある。なお、この実施の形態1では、一体型板ばね18のうち、ばね片21のみの幅を他のばね片19および20よりも狭く設定したが、一体型板ばね18の配置位置や他物との関係で他のばね片19または20の幅を狭く設定する場合もあり、その場合には、この実施の形態1におけるばね片21と同様に、他のばね片19または20も例えば断面コ字状に折り曲げることで、必要とされる高い保持力を確保するようにしてもよい。
【0027】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2による傾角調整機構の構成であって、調整ねじの締め込み開始直後の状態を示す側面図であり、図7は図6に示した状態から調整ねじの締め込みをさらに続けた状態を示す側面図であり、図8は図7に示した状態から調整ねじの締め込みをさらに続けた状態を示す側面図である。なお、この実施の形態2による傾角調整機構の構成要素のうち、実施の形態1の傾角調整機構の構成要素と共通するものについては同一符号を付し、その部分の説明を省略する。
【0028】
この実施の形態2の特徴は、一体型板ばね18のうち、幅の狭いばね片21の第2板ばね部24の先端部である第2当接部24aが調整ねじ33の締め込み途中においてメカシャーシベース10の上面に接触するように構成した点にある。
【0029】
次に動作について説明する。
Y軸回りの傾き調整の初期段階においては、図6に示すように、一体型板ばね18のうち、幅の狭いばね片21の第1板ばね部22の第1当接部22aのみがディスクモータベース30の下面に当接しており、調整ねじ33のZ(+)方向の締め込みに対する第1板ばね部22のZ(−)方向の反力がディスクモータベース30に作用している。このとき、第2板ばね部24の第2当接部24aはメカシャーシベース10の上面から離間しており、メカシャーシベース10は第2板ばね部24のZ(+)方向の反力を受けていない。従って、調整の初期段階においては調整ねじ33の締め込みに対するばね片21の反力が小さいため、組立時の位置決めやねじ止め等の作業を容易に実施することが可能となる。
【0030】
次に、調整ねじ33をさらに締め込むことで、図7および図8に示すように、ばね片21の第2板ばね部24の第2当接部24aがメカシャーシベース10の上面に当接した後、第2板ばね部24も連絡部23の下端屈曲部23aを支点としてZ(+)方向に撓む。これにより、ディスクモータベース30に作用するばね片21の付勢力は、第1板ばね部22によるものだけでなく、第2板ばね部24によるものも加味されることとなる。従って、メカシャーシベース10に対するディスクモータベース30の高さおよび傾きは、調整当初の第1板ばね部22単独のばね力と比較してZ(−)方向へ、より大きなばね力で保持することが可能である。
【0031】
なお、ばね片21の第2板ばね部24の第2当接部24aがメカシャーシベース10の上面に当接し始めるときに、ディスクモータベース30がメカシャーシベース10に対する所定位置に達するまでの任意の位置にあるように、ばね片21の各部位の寸法を調整すれば、当接の前後におけるディスクモータベース30への付勢力を大きく変化させることが可能となる。
【0032】
以上のように、この実施の形態2によれば、幅の狭いばね片21の第2板ばね部24の先端部である第2当接部24aが調整ねじ33の締め込み途中においてメカシャーシベース10の上面に接触するように構成したので、接触前においてはばね反力が小さいため、組立時の位置決めやねじ止め等の作業を容易に実施することができると共に、接触後においてはばね反力が大きくなるため、メカシャーシベース10に対するディスクモータベース30の高さおよび傾きを大きなばね力で安定に保持することができるという効果がある。
【0033】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3による傾角調整機構の構成を示す側面図である。なお、この実施の形態3による傾角調整機構の構成要素のうち、実施の形態1および実施の形態2の傾角調整機構の構成要素と共通するものについては同一符号を付し、その部分の説明を省略する。
【0034】
この実施の形態3の特徴は、実施の形態1および実施の形態2においてはばね片21を断面コ字状に折り曲げて構成したのと異なり、ばね片21を断面略Z字状に折り曲げて構成した点にある。即ち、この実施の形態3におけるばね片21は、実施の形態1および実施の形態2におけるばね片21の第2板ばね部24を連絡部23の下端屈曲部23aへ戻る方向へ折り曲げて構成されている。図9において40は第2板ばね部24の下端屈曲部であり、41はこの下端屈曲部40を介して第2板ばね部24とつながる第3板ばね部であり、41aは第3板ばね部40の下端であって、調整ねじ33の締め込み途中においてメカシャーシベース10の上面に接触する第2当接部である。
【0035】
以上のように、この実施の形態3によれば、ばね片21を断面略Z字状に折り曲げて構成したので、実質的に断面コ字状に折り曲げて構成した実施の形態2におけるばね片21と同様に、接触前においてはばね反力が小さいため、組立時の位置決めやねじ止め等の作業を容易に実施することができると共に、接触後においてはばね反力が大きくなるため、メカシャーシベース10に対するディスクモータベース30の高さおよび傾きを大きなばね力で保持することができるという効果がある。
【0036】
実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4による傾角調整機構の調整前の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図であり、図11はこの発明の実施の形態4による傾角調整機構の調整後の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図であり、図12は 図11に示した傾角調整機構およびディスク装置の構成を示す概略平面図であり、図13は図11に示したディスク装置におけるディスクモータベースの構成を示す平面図である。なお、この実施の形態4による傾角調整機構の構成要素のうち、実施の形態1から3までの傾角調整機構の構成要素と共通するものについては同一符号を付し、その部分の説明を省略する。
【0037】
この実施の形態4の特徴は、図13に示すように、ディスクモータベース30に、Y軸を対称軸としてθ1=θ2となるV字部分を有する位置決め穴50を設け、この位置決め穴50の近傍に断面矩形状の貫通穴51を設けると共に、一体型板ばね18のばね片19に上記貫通穴51に挿入可能な押圧片52を設けた点にある。押圧片52はばね片19の凹部19aの一部を撓み方向と反対方向に切り起こして形成されている。
【0038】
次に動作について説明する。
メカシャーシベース10に対するディスクモータベース30のX−Y平面内の位置決めは、位置決め穴50のV字部分に円筒状の基準部材14の外周側面を押し当てることによってX−Y平面内の回動中心を規定し、回り止め穴部30dと回り止め部17との係合によるX−Y平面内の回動を規制することにより行われる。このとき、基準部材14の外周側面に、ディスクモータベース30の位置決め穴50のV字部分を押し当てる付勢力は、ディスクモータベース30をメカシャーシベース10に対して所定の位置に配置したときに、板ばね部19の一対の当接部19bがディスクモータベース30の下面と接触してZ方向に撓み、これにより板ばね部19に設けられた押圧片52がY方向に変位して、位置決め穴51の側面をY方向に押し付けることで得られる。
【0039】
以上のように、この実施の形態4によれば、円筒状の基準部材14に位置決め穴50のV字部分を押し当てる押圧片52を例えばばね片19に設けるように構成したので、基準部材14の外径寸法が部品公差内で変化しても、メカシャーシベース10に対するディスクモータベース30の位置決めを、上記押し当て方向に垂直な方向(図13に示すA寸法)に精度良く実施することができるという効果がある。
【0040】
この実施の形態4では、押圧片52を、ディスクモータベース30をZ(−)方向に付勢する一体型板ばね18と一体化するように構成したので、部品点数を増やすことなくコストの増大を回避することができるという効果がある。
【0041】
実施の形態5.
図14はこの発明の実施の形態5による傾角調整機構の調整前の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図であり、図15はこの発明の実施の形態5による傾角調整機構の調整後の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図であり、図16は図15のXVI−XVI線断面図である。なお、この実施の形態5による傾角調整機構の構成要素のうち、実施の形態1から4までの傾角調整機構の構成要素と共通するものについては同一符号を付し、その部分の説明を省略する。
【0042】
この実施の形態5の特徴は、光ピックアップ13の光軸(図示せず)とディスクモータ35の回転軸(図示せず)との角度を調整した後に、ディスクモータベース30とメカシャーシベース10とを半田で固定するように構成した点にある。即ち、メカシャーシベース10上には円筒状のガイド部材60および61が立設されている。一方、ディスクモータベース30の位置決め穴30aおよびねじ穴30bの近傍には、メカシャーシベース10のガイド部材60に係合される貫通穴62が設けられ、ねじ穴30c近傍のディスクモータベース30の縁部にはガイド部材61の外周面の一部が摺接する半円形状の凹部63が設けられている。貫通穴62、凹部63および回り止め穴30dの周辺には半田付け用のランド部64,65および66が設けられている。なお、図において67はランド部64上に塗布された半田部であり、68はランド部65上に塗布された半田部であり、69は回り止め穴30dと回り止め部17とを固定する半田部である。
【0043】
次に動作について説明する。
ディスクモータベース30のメカシャーシベース10に対する傾角調整後、ガイド部材60,61および回り止め部17を被い、これと結合する形でランド部64,65および66に半田を塗布し、ディスクモータベース30をガイド部材60,61および回り止め部17に固定する。
【0044】
なお、必要に応じてディスクモータベース30をメカシャーシベース10から取り外す場合は、塗布した半田を加熱し、これを除去した後に、調整ねじ32および33、固定ねじ31を取り外す。これを繰り返すことで、ディスクモータベース30の固定、取り外しが何度でも行うことが可能である。
【0045】
以上のように、この実施の形態5によれば、傾角調整後のディスクモータベースの固定がより強固になり、位置ずれを防止し、傾角調整の保持に対する信頼性を向上させることができるという効果がある。
【0046】
この実施の形態5では、半田を加熱除去することが可能であるので、接着剤で固定した場合と比較してディスクモータベース交換などの作業も容易に実施することが可能となるという効果がある。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、一体型板ばねと調整ねじとを備え、一体型板ばねのうち、他のばね片に比べて細長く、平面寸法が小さく設定されているばね片をその撓み方向に折り曲げて、ディスクモータベースに接触する第1当接部を有する第1ばね部とメカシャーシベースに接触する第2当接部を有する第2ばね部とを設けるように構成したので、他のばね片に比べて細長く、平面寸法が小さく設定されているばね片を折り曲げることで、ばねとして作用する領域を広げることができ、平面寸法を増やすことなく、必要とされる高い保持力を得ることができるという効果がある。
【0048】
この発明によれば、調整ねじの締め込み途中において第1ばね部の変形により第2ばね部の第2当接部をメカシャーシベースに接触させるように構成したので、第2ばね部の先端部のメカシャーシベースへの接触前においては第1ばね部のみに依存する板ばねの反力を小さく抑制でき、傾角調整の作業性を向上させることができるという効果がある。また、接触後においては第1ばね部に加えて第2ばね部の反力も利用できるようになるため、必要とされる高い保持力を確保することができるという効果がある。
【0049】
この発明によれば、ディスクモータベースにメカシャーシベースに立設された基準部材の頂部に螺合する固定ねじを位置決めするV字部分を有するねじ穴と、該ねじ穴のV字部分の近傍に形成された貫通穴とを備えると共に、一体型板ばねのうち、その撓み方向と反対の方向に切り起こされかつディスクモータベースの貫通穴内に挿入されると共に固定ねじの締め込みに際し基準部材をねじ穴のV字部分に押し付ける押圧片を有するばね片を設けるように構成したので、基準部材の外径寸法が部品公差内で変化しても、メカシャーシベースに対するディスクモータベースの位置決めを押圧片の押付け方向に直交する方向に精度よく、かつ部品点数を増やすことなく、実施することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による傾角調整機構の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】 図1の要部を拡大して示す概略斜視図である。
【図3】 図1に示した要部を矢印S方向から視た概略矢視図である。
【図4】 図1に示した傾角調整後のディスク装置の構成を矢印Z方向から視た矢視図である。
【図5】 図1に示した傾角調整後のディスク装置の構成を矢印Z(−)方向から視た矢視図である。
【図6】 この発明の実施の形態2による傾角調整機構の構成であって、調整ねじの締め込み開始直後の状態を示す側面図である。
【図7】 図6に示した状態から調整ねじの締め込みをさらに続けた状態を示す側面図である。
【図8】 図7に示した状態から調整ねじの締め込みをさらに続けた状態を示す側面図である。
【図9】 この発明の実施の形態3による傾角調整機構の構成を示す側面図である。
【図10】 この発明の実施の形態4による傾角調整機構の調整前の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図である。
【図11】 この発明の実施の形態4による傾角調整機構の調整後の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図である。
【図12】 図11に示した傾角調整機構およびディスク装置の構成を示す概略平面図である。
【図13】 図11に示したディスク装置におけるディスクモータベースの構成を示す平面図である。
【図14】 この発明の実施の形態5による傾角調整機構の調整前の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図である。
【図15】 この発明の実施の形態5による傾角調整機構の調整後の構成および当該傾角調整機構を備えるディスク装置の構成を示す分解斜視図である。
【図16】 図15のXVI−XVI線断面図である。
【図17】 従来のディスク装置における傾角調整機構の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 メカシャーシベース、11,12 ガイド軸、13 光ピックアップ、14 基準部材、15,16 ねじ部材、17 回り止め部、18 一体型板ばね、18a 基面部、19,20,21 ばね片、22 第1板ばね部、22a第1当接部、23 連絡部、24 第2板ばね部、24a 第2当接部、25,26 固定ねじ、30 ディスクモータベース、30a 位置決め穴、30b,30c ねじ穴、30d 回り止め穴、31 固定ねじ、32,33 調整ねじ、34 ターンテーブル、35 ディスクモータ、36 スイッチ、40 下端屈曲部、41 第3板ばね部、41a 第2当接部、50 位置決め穴、51貫通穴、52 押圧片、60,61 ガイド部材、62 貫通穴、63 凹部、64,65,66 ランド部、67,68,69 半田部。
Claims (3)
- ディスク装置における光ピックアップを摺動可能に保持するメカシャーシベース上に設けられ、ディスクモータを固定したディスクモータベースを前記メカシャーシベースから離間させる方向に付勢する板ばねと、該板ばねに対しその付勢力に抗して負荷をかける調整ねじとを備え、前記板ばねは一枚の板金と該板金から切り起こした複数のばね片とからなる一体型板ばねであり、該一体型板ばねのうち、他のばね片に比べて細長く、平面寸法が小さく設定されているばね片をその撓み方向に折り曲げて、前記ディスクモータベースに接触する第1当接部を有する第1ばね部と前記メカシャーシベースに接触する第2当接部を有する第2ばね部とを設けた傾角調整機構。
- 他のばね片に比べて細長く、平面寸法が小さく設定されているばね片は、第2ばね部の第2当接部が調整ねじの締め込み途中においてメカシャーシベースに接触するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の傾角調整機構。
- ディスクモータベースはメカシャーシベースに立設された基準部材の頂部に螺合する固定ねじを位置決めするV字部分を有するねじ穴と、該ねじ穴の前記V字部分の近傍に形成された貫通穴とを備えると共に、一体型板ばねのうち、その撓み方向と反対の方向に切り起こされかつ前記ディスクモータベースの前記貫通穴内に挿入されると共に、前記固定ねじの締め込みに際し前記基準部材を前記ねじ穴のV字部分に押し付ける押圧片を有するばね片を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の傾角調整機構。
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